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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60H
管理番号 1193528
審判番号 不服2008-9939  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-21 
確定日 2009-03-04 
事件の表示 特願2007-137128「可変温度座席雰囲気制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月23日出願公開、特開2007-210613〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1994年11月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1993年11月22日、米国)を国際出願日とする特願平7-515171号の一部を新たな特許出願とした特願2005-190362号の一部をさらに新たな特許出願としたものであって、平成20年 1月17日付けで拒絶査定がなされ(平成20年 1月22日発送)、これに対し、同年 4月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年 5月19日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年 5月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年 5月19日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成20年 5月19日付けの補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「温度雰囲気制御システムであって、
少なくとも一つの空気流路を備えた座席と、
該流路に接続され且つ空気温度調節のために配置された少なくとも一つのヒート・ポンプと、
該ヒート・ポンプ及び該少なくとも一つの流路に接続された少なくとも一つのファンであって、該ヒート・ポンプにより温度調節され、該空気流路の少なくとも一部を通る空気の流れを促進するために配置されたファンと、
前記システムの温度を検出する少なくとも一つのセンサーと、
該ヒート・ポンプ、該ファン、及び該センサーと接続した制御器であって、該センサーは検出された前記システムの温度を該制御器に伝え、該制御器は使用者からの初期入力と前記検出されたシステムの温度の信号に基づいて、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を自動的に制御し、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を調節するよう構成された制御器を具備し、
前記制御器は、システムの応答を変更し、座席占有者により良い温度的心地よさを提供し、かつ座席占有者の不快感と反生理的応答を減じるべく前記システムの冷却機能を制御するために該制御器を自動的に動作させる手段を有し、該制御器は、検出された、使用者によって行われた先の温度制御調節から経過した時間情報と一定の時間との差異に基づいて前記ヒート・ポンプの動作を制御し、前記検出された経過した時間情報は前記制御器に伝えられるように構成されている、
温度雰囲気制御システム。」と補正された。

上記補正は、請求項1に記載された発明を特定する事項である「ヒート・ポンプの動作(の)制御」について「(経過した時間情報と)一定時間との差異(に基づいて)」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項に適合するか)について検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-277020号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次のの事項が記載されている。

イ「【請求項1】 表面にエア吹出孔が形成されたシートと、
該シート内に形成され前記エア吹出孔と連通する連通路と、
前記連通路に配設されたペルチエ素子と、
前記エア吹出孔に向かつて空気を送る前記連通路に配設されたフアンと、 を備える自動車用シート。」(特許請求の範囲【請求項1】)

ロ「【産業上の利用分野】
本発明は、加温および冷却機能を有する自動車用シートに関する。」(段落【0001】)

ハ「【作用】前記技術的手段は次のように作用する。シート内に配設されたペルチエ素子により、加熱あるいは冷却されたエアがフアンにより、エア吹出孔から吹き出される。
この作用により、いかなるシートの位置においても対応することができるとともに、夏期には冷たいエアをエア吹出孔から吹き出せれるので発汗により高湿度感(ムレ感)を感じることがなく、冬季には暖かいエアをエア吹出孔から吹き出せるので、快適な車内空間を提供することができる。」(段落【0007】、【0008】)

ニ「【実施例】 以下、図1を参照して実施例を説明する
自動車用シート1は、背当て部2aおよび着座部2bからなるシート2と、シート2の下部に形成された空間7に配設されたペルチエ素子3と、空間7に配設されたフアン4とを備える。
背当て部2aは、内部に空間7と連通する第1ダクト5aが形成されており、その第1ダクト5aと連通するエア吹出孔6が複数形成されている。また着座部2bは、内部に空間7と連通する第2ダクト5bが形成されており、その第2ダクト2bと連通するエア吹出孔6が複数形成されている。
ペルチエ素子3は、第1フイン3aと第2フイン3bとからなるものであり、バツテリー8と電気的に接続されている。また、第1フイン3aおよび第2フイン3bは、電流の流れる方向により空間7内に存在するエアを加熱および冷却するものである。」(段落【0009】?【0011】)

ホ「次に、本実施例の作動を説明する。冷却する時には、フアン4により送られてくるエアが第1フイン3aにより冷却されるとともに、第2フイン3bにより加熱される。第1フイン3aにより冷却されたエアは、第1ダクト5aおよび第2
ダクト5bを介してエア吹出孔6から吹き出される。第2フイン3bにより加熱されたエアは、排気ダクト9を介して自動車の外部に排出される。
加熱する時には、フアン4により送られてくるエアが第1フイン3aにより加熱されるとともに、第2フイン3bにより冷却される。第1フイン3aにより加熱されたエアは、第1ダクト5aおよび第2ダクト5bを介してエア吹出孔6から吹き出される。第2フイン3bにより冷却されたエアは、排気ダクト9を介して自動車の外部に排出される。」(段落【0013】、【0014】)

ヘ「また、本実施例の自動車用シート1は、シート2に温度センサもしくは湿度センサを配設して、使用者が設定した温度もしくは湿度によりElectronic Control Unit等の制御手段によりペルチエ素子3およびフアン4を自動制御することも可能である。
また、エア吹出孔6は、むれ易い股や脇の下周辺部のみに設けても良いものであり、また、必要に応じてエア吹出孔6を部分的に開閉する手段を設けることも可能である。」(段落【0015】、【0016】)

ト「【発明の効果】本発明は、シートの内部にペルチエ素子が内蔵されているので、シートポジシヨンの調整に障害となることがないので、いかなるシートの位置においても対応することができる。
また、ペルチエ素子により、加熱あるいは冷却されたエアがフアンにより、エア吹出孔から吹き出されるので、夏期には冷たいエアをエア吹出孔から吹き出せれるので発汗により高湿度感を感じることがない。
また、冬季には暖かいエアをエア吹出孔から吹き出せれるので、快適な車内空間を提供することができる。
また、自動車用エアコンと別に作動させることができるので、使用者の好みに合わせて快適な空間を提供することができる。」(段落【0018】?【0021】)

以上イ?トの記載及び図面によれば、引用例には、
「冷却機能を有する自動車用シートであって、第1、2ダクト(5a、5b)を備えたシートと、該ダクト(5a、5b)に接続され且つ空気温度調節のために配置されたペルチエ素子3と、該ペルチエ素子3及び第1、2ダクト(5a、5b)に接続されたフアン4であって、該ペルチエ素子3により温度調節され、該第1、2ダクト(5a、5b)の少なくとも一部を通る空気の流れを促進するために配置されたフアン4と、温度を検出する温度センサと、ペルチエ素子3およびフアン4を制御するElectronic Control Unit等の制御手段を具備し、使用者が設定した温度により自動制御し、快適な空間を提供する冷却機能を有する自動車用シート。」(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「冷却機能を有する自動車用シート」は本願補正発明の「温度雰囲気制御システム」に相当し、以下同様に「第1、2ダクト(5a、b)」は「空気流路」に、「シート」は「座席」に、「ペルチエ素子3」は「ヒート・ポンプ」に、「フアン4」は「ファン」に、「温度センサ」は「センサー」に、「Electronic Control Unit等の制御手段」は「制御器」に、「使用者」は「座席占有者」に、「設定した温度」は「初期入力」に、「快適な空間」は「より良い温度的心地よさ」に、それぞれ相当する。

また、「温度センサを配設して、・・・制御手段により・・・自動制御する」(前記「(2)ヘ」参照。)の記載からみて、「温度センサ」と「制御手段」とは接続しており、温度を制御手段に伝えているものと理解でき、「自動制御する」との記載からみて、「制御手段」は、「使用者が設定した温度」と「温度センサ」が検出した温度の信号に基づいて「ペルチエ素子3」及び「フアン4」の動作を調節するものであると理解できる。

そして、引用発明における「制御手段」は、応答を変更し、「使用者」の不快感と反生理的応答を減じるべくシステムの冷却機能を制御するため「制御手段」を自動的に動作させる手段であるといえる。

してみると、両者は、
「温度雰囲気システムであって、少なくとも一つの空気流路を備えた座席と、該流路に接続され且つ空気温度調節のために配置された少なくとも一つのヒート・ポンプと、該ヒート・ポンプ及び該少なくとも一つの流路に接続された少なくとも一つのファンであって、該ヒート・ポンプにより温度調節され、該空気流路の少なくとも一部を通る空気の流れを促進するために配置されたファンと、温度を検知する少なくとも一つのセンサーと、該ヒート・ポンプ、該ファン、及び該センサーと接続した制御器であって、該センサーは検出された温度を該制御器に伝え、該制御器は使用者からの初期入力と検出された温度の信号に基づいて、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を自動的に制御し、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を調節するように構成された制御器を具備し、前記制御器は、システムの応答を変更し、座席占有者により良い温度的心地よさを提供し、かつ座席占有者の不快感と反生理的応答を減じるべく前記システムの冷却機能を制御するために前記制御器を自動的に動作させる手段を有する、温度雰囲気制御システム。」
の点で一致し、
次の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明では、温度センサはシステムの温度を検出するものであるのに対し、引用発明では、温度センサは「シート2に配設」するものである点。
[相違点2]
本願補正発明では、制御器は、検出された、使用者によって行われた先の温度制御調節から経過した時間情報と一定の時間との差異に基づいてヒート・ポンプの動作を制御し、前記検出された経過した時間情報は前記制御器に伝えられるように構成されているのに対し、引用発明では、制御器が、当該事項を具備するか否かは不明である点。

(4)判断
そこで、上記相違点について検討する。
まず、相違点1について検討する。

座席占有者に快適な温度空間を提供するためのシステムにおいて、温度センサーをどこに設けるかは、必要に応じて、当業者であれば適宜選択し得る設計的事項である。

したがって、引用発明において、温度センサを、システムの温度を検出するものとした点は、当業者であれば、容易に想到し得たことである。

次に、相違点2について検討する。
空調システムにおいて、検出された、使用者によって行われた先の空調制御調節から経過した時間情報と所定の時間との差異に基づいて、空調機器の動作を制御する制御手段を設け、前記検出された経過した時間情報を前記制御手段に伝えるように構成するようなことは、本願の優先日前、周知の技術である(例えば、原審における拒絶の理由において提示された特開平5-69727号公報の他、特開平5-278445号公報、特開平5-286349号公報参照。)。

そして、前記所定の時間を一定の時間とすること、空調制御調節を温度調節とすること、空調機器をヒート・ポンプとすることは、当業者であれば、適宜選択し得る設計的事項である。

してみると、引用発明において、制御器は、検出された、使用者によって行われた先の温度制御調節から経過した時間情報と一定の時間との差異に基づいてヒート・ポンプの動作を制御し、前記検出された経過した時間情報は前記制御器に伝えられるように構成されているものとした点は、周知技術に基づいて、当業者であれば、容易に想到し得たことである。

さらに、本願補正発明の奏する作用効果をみても、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本願発明について
平成20年 5月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、本願の平成19年11月13日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。

「温度雰囲気制御システムであって、
少なくとも一つの空気流路を備えた座席と、
該流路に接続され且つ空気温度調節のために配置された少なくとも一つのヒート・ポンプと、
該ヒート・ポンプ及び該少なくとも一つの流路に接続された少なくとも一つのファンであって、該ヒート・ポンプにより温度調節され、該空気流路の少なくとも一部を通る空気の流れを促進するために配置されたファンと、
前記システムの温度を検出する少なくとも一つのセンサーと、
該ヒート・ポンプ、該ファン、及び該センサーと接続した制御器であって、該センサーは検出された前記システムの温度を該制御器に伝え、該制御器は使用者からの初期入力と前記検出されたシステムの温度の信号に基づいて、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を自動的に制御し、該ヒート・ポンプ及び該ファンの少なくとも1つの動作を調節するよう構成された制御器を具備し、
前記制御器は、システムの応答を変更し、座席占有者により良い温度的心地よさを提供し、かつ座席占有者の不快感と反生理的応答を減じるべく前記システムの冷却機能を制御するために該制御器を自動的に動作させる手段を有し、該制御器は、検出された、使用者によって行われた先の温度制御調節から経過した時間情報に基づいて前記ヒート・ポンプの動作を制御し、前記検出された経過した時間情報は前記制御器に伝えられるように構成されている、
温度雰囲気制御システム。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から「ヒート・ポンプの動作(の)制御」について「(経過した時間情報と)一定時間との差異(に基づいて)」とする限定事項を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-29 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-20 
出願番号 特願2007-137128(P2007-137128)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B60H)
P 1 8・ 121- Z (B60H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 一正  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
関口 哲生
発明の名称 可変温度座席雰囲気制御システム  
代理人 鶴田 準一  
代理人 下道 晶久  
代理人 島田 哲郎  
代理人 南山 知広  
代理人 水谷 好男  
代理人 青木 篤  

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