• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1193604
審判番号 不服2006-24870  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-02 
確定日 2009-03-05 
事件の表示 特願2005-332600「呼出システム、呼出装置及び発呼装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月11日出願公開、特開2006-121731〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成16年6月28日に出願した特願2004-189536号の一部を平成17年11月17日に新たな特許出願としたものであって、その請求項15に係る発明は、平成18年12月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項15に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。)
「被呼装置の内線番号を呼出装置に送出することによって発呼を行う発呼手段と、
前記呼出装置から、該呼出装置が前記発呼手段から受け取った内線番号に応じて前記被呼装置を前記内線番号によって呼び出すか、その内線番号に対応した外線番号によって呼び出すかを示す情報を受信する手段と、
該手段が受信した情報に基づき、前記呼出装置が前記被呼装置を前記内線番号によって呼び出すか、前記外線番号によって呼び出すかを報知する手段とを設けたことを特徴とする発呼装置。」

第2.引用発明
A.これに対して、原審の拒絶の理由に引用された、特開平10-215471号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0020】次に図3により、第1の無線電話機303が構内に滞在する第2の無線電話機304を第2の無線電話機304の公衆サービスの電話番号で呼び出す場合を説明する。なお、2つの無線電話機303,304が滞在する構内は共に公衆サービスのエリア外であり、本手順はすべて自営の無線周波数を使用した内線電話としての動作である。
【0021】まず第1の無線電話機303からの第2の無線電話機304の公衆電話番号を宛先とする呼設定(305,306)を内線無線制御部302経由で受信した呼制御部300は宛先電話番号を解析して、それが外線発信であり、かつ公衆移動体通信網の電話番号であると判断して、電話番号を持つ無線電話機の内線番号と位置登録有無を無線子機登録部301へ問い合わせる(307)。
【0022】無線子機登録部301は前記公衆電話番号を持つ第2の無線電話機304が位置登録されていることを確認して呼制御部300へその内線番号を含めて応答を返す(308)。以降、呼制御部300と第2の無線電話機304との間で無線報知チャネルによる着呼(309)、呼設定(311,312)の手順を経由して、第1の無線電話機303から第2の無線電話機304の内線呼出が始まる(313、314)。
【0023】次に図4により、図3の場合で着信先の第2の無線電話機が自営サービス圏外である構外へ移動している場合に、内線着信ではなく、公衆移動体通信網への発信に切り替えられる場合の手順を説明をする。第1の無線電話機405から第2の無線電話機406への発信は図3と同じ手順で行われる(407?411)。ただし図4では第2の無線電話機406は自営サービス圏外へ移動しているため、報知チャネルによる着呼(411)に対する応答はなく内線無線制御部404でタイムアウトが発生する(412)。このタイムアウト発生により第2の無線電話機406が自営サービス圏外へ移動したことを内線無線制御部404は検出して呼制御部402へタイムアウト発生を示す解放通知を送信し、呼制御部402は宛先が公衆電話番号であることを解析して、公衆無線制御部401を経由して公衆基地局400への発信をおこなう(412)。
【0024】同時に、内線無線制御部404からの通知により、無線子機登録部403は第2の無線電話機406の位置登録を削除する(413)。この操作により、以降再度第2の無線電話機406が自営サービスエリアに戻って位置登録を行うまで、第2の無線電話機406宛の公衆電話番号による発信があった場合、自営サービスエリアへの着信報知(411)を行わず、即座に公衆基地局400へ発信するステップ413以降、前記公衆基地局400と前記第1の無線電話機405との間の呼設定(412,414)、認証(415,416)、呼出(417)を主装置(401?404)で中継して、第1の無線電話機405から構外にいる第2の無線電話機406への呼出が始まる。」(4頁5欄13行?6欄14行)

ここで、上記摘記事項中、【0021】において、呼制御部300は第1の無線電話機303からの第2の無線電話機304の公衆電話番号を宛先とする呼設定(305,306)を受信している。この記載によれば、第1の無線電話機303は呼制御部300に相手端末の電話番号を宛先とする呼設定を送信していることが分かり、さらに技術常識を考慮すれば、相手端末の電話番号を宛先とする呼設定の送信は、発呼を行っていることに他ならないから、第1の無線電話機303には「相手端末の電話番号を送出することによって発呼を行う発呼手段」が設けられていることは明らかである。
また、技術常識を考慮すれば、上記摘記事項中、【0022】の「内線呼出」は、「内線番号によって呼び出す」ことであり、【0023】の「宛先が公衆電話番号であることを解析して、公衆無線制御部401を経由して公衆基地局400への発信をおこなう」ことは、「公衆電話番号によって呼び出す」ことであることは自明である。

したがって、この記載事項によると、引用例1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「第2の無線電話機の公衆電話番号を呼制御部に送出することによって発呼を行う発呼手段が設けられ、
該呼制御部は前記発呼手段から受け取った公衆電話番号に応じて前記第2の無線電話機を内線番号によって呼び出すか、公衆電話番号によって呼び出すものである、第1の無線電話機。」

B.また、原審の拒絶の理由に引用された、特開平9-163433号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

「発信者が内線専用電話機12によりコードレス電話機5の内線番号(300番)をダイヤルすることによる着信を、制御装置6において検出すると、この着信検出に応じて、内線着信可能な場合には、制御装置6によってコードレス電話機5に内線着信し、また内線着信不可の場合には、制御装置6によって公衆移動端末メモリ11に記憶されているコードレス電話機5の移動網加入者番号を公衆網2に自動発信することにより、コードレス電話機5への着信を公衆網2を介して自動転送し、この自動転送中に、「ただいま、事業所に不在ですので公衆網にダイヤルしています」等の、自動転送中であることを説明するトーキ音をトーキ装置7によって発信側に対して送出することにより、コードレス電話機5が構内交換機3の呼び出しエリア外に位置する場合にも、構内交換機3経由で自動的にコードレス電話機5へ着信することができる。」(5頁7欄1行?16行)

ここで、制御装置6は、発信者が内線専用電話機12によりコードレス電話機5の内線番号(300番)をダイヤルすることによる着信を検出するようにされているから、内線専用電話機12にはダイヤルされた内線番号を制御装置6に送出することによって発呼を行う発呼手段が設けられていることは明らかである。
また、内線着信不可の場合に移動網加入者番号を公衆網2に自動発信するとき、トーキ音が発信側に対して送出されているが、発信者の内線専用電話機12は、このトーキ音を受信する手段や、発信者に報知するためのスピーカなどの手段が設けられていることは明らかである。
さらに、図1を参照すると、トーキ装置7は制御装置6に収容されているものであり、制御装置の動作により、制御装置を介することによって、内線専用電話機12はトーキ音を聴取することになるから、内線専用電話機12は制御装置からトーキ音を受信していると言える。

したがって、この記載事項によると、引用例2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「コードレス電話機の内線番号を制御装置に送出することによって発呼を行う発呼手段と、
該制御装置は前記発呼手段から受け取った内線番号に応じて前記コードレス電話機を内線番号によって呼び出すか、その内線番号に対応した移動網加入者番号によって呼び出すものであって、前記制御装置から、該制御装置が前記発呼手段から受け取った内線番号に対応した移動網加入者番号によって呼び出すことを示すトーキ音を受信する手段と、
該手段が受信したトーキ音に基づき、前記制御装置が前記コードレス電話機を前記移動網加入者番号によって呼び出すことを報知する手段とを設けた内線専用電話機。」

第3.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1では「第1の無線電話機」から「第2の無線電話機」に電話がかけられているので、それぞれ発呼する装置、被呼される装置であるから、本願発明の「発呼装置」、「被呼装置」と一致している。
また、引用発明1の「公衆電話番号」は、本願発明の「外線番号」に相当すると共に、本願発明の「内線番号」とは、「電話番号」である点で一致している。
また、引用発明1の「呼制御部」は、電話番号を受け取り、呼接続の制御を行う点で、本願発明の「呼出装置」と一致している。
したがって、両者は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「被呼装置の電話番号を呼出装置に送出することによって発呼を行う発呼手段が設けられ、
該呼出装置は前記発呼手段から受け取った電話番号に応じて前記被呼装置を内線番号によって呼び出すか、外線番号によって呼び出すものである、発呼装置。」

(相違点1)
発呼手段が呼出装置に送出するものであり、呼出装置が被呼装置を内線番号によって呼び出すか、その内線番号に対応した外線番号によって呼び出すかを決めるための「電話番号」に関し、本願発明では「内線番号」であるのに対して、引用発明1では「公衆電話番号」である点
(相違点2)
「発呼装置」に関し、本願発明では「前記呼出装置から、該呼出装置が前記発呼手段から受け取った内線番号に応じて前記被呼装置を前記内線番号によって呼び出すか、その内線番号に対応した外線番号によって呼び出すかを示す情報を受信する手段と、該手段が受信した情報に基づき、前記呼出装置が前記被呼装置を前記内線番号によって呼び出すか、前記外線番号によって呼び出すかを報知する手段」が設けられているのに対し、引用発明1ではこのような手段が設けられていない点

第4.当審の判断
まず、上記相違点1について検討する。
引用発明1と引用発明2とは、共に所定の電話番号で発呼を行うと、内線番号によって呼び出すか、外線番号によって呼び出すかが選択されるものである点で技術分野が共通する。よって、引用発明1に引用発明2を適用して、発呼手段が呼出装置に送出するものであり、呼出装置が被呼装置を内線番号によって呼び出すか、その内線番号に対応した外線番号によって呼び出すかを決めるための「電話番号」として、引用発明1における「公衆電話番号」に替えて、引用発明2の「内線番号」とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
次に、上記相違点2について検討する。
引用発明2の「トーキ音」は「内線番号に対応した外線番号によって呼び出すことを示す情報」と言い得るものであるから、引用発明1に適用し、発呼装置に「呼出装置から、該呼出装置が発呼手段から受け取った内線番号に応じて被呼装置を内線番号に対応した外線番号によって呼び出すことを示す情報を受信する手段と、該手段が受信した情報に基づき、前記呼出装置が前記被呼装置を前記外線番号によって呼び出すことを報知する手段」を設けるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
ここで、内線番号で呼び出す場合には情報が報知されるようにはなされていないが、情報(トーキ音)の有無によって内線番号で呼び出しているのか外線番号で呼び出しているのかが判別できることは明らかである。そして、この判別をより確実なものとするために、内線番号で呼び出す場合にも情報を報知するようにすることは、適宜設計的になし得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1及び引用発明2から当業者が予測できる程度のものである。

第5.むすび
したがって、本願発明は、,引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-24 
結審通知日 2009-01-06 
審決日 2009-01-20 
出願番号 特願2005-332600(P2005-332600)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸次 一夫  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 小宮 慎司
山本 春樹
発明の名称 呼出システム、呼出装置及び発呼装置  
代理人 大澤 敬  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ