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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  F24C
管理番号 1194134
審判番号 無効2008-800046  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-02-25 
確定日 2009-02-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4002695号発明「五徳」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第4002695号の出願についての手続の概要は、以下のとおりである。

平成11年 3月17日 特許出願。
平成19年 8月24日 特許権の設定登録(特許第4002695号、請求項の数1)。
平成20年 2月25日 無効審判請求。
平成20年 5月30日 答弁書及び訂正請求書提出。
平成20年 7月14日 弁駁書提出。
平成20年10月 9日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)。
平成20年10月23日 第1回口頭審理。
平成20年11月12日 上申書提出(請求人)。
平成20年12月 8日 上申書提出(被請求人)。

第2.訂正請求について
1.訂正請求の内容
被請求人が行った平成20年5月30日付けの訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書に記載したとおり訂正することを求めるものである。

訂正事項1
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を
「枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設していることを特徴とする五徳。」
と訂正する。

訂正事項2
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の「五徳本体の下面」を「上記五徳本体の下面」と訂正し、更に、段落【0005】の「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している」を「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設している」と訂正する。

2.訂正の適否
訂正事項1は、特許明細書段落【0011】の記載に基づき、請求項1に係る特許発明の特定事項である「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔」について、「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している」を「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設している」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正事項2は、特許請求の範囲請求項1の訂正である訂正事項1に伴い、発明の詳細な説明を整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

そして、上記訂正事項1、2は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

なお、請求人は、弁駁書において、
「訂正前の「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している」を「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設している」と訂正したものであるが、訂正前の「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔」の「嵌合溝孔」は「凸設」ということはあり得ず、また、「外方に向かって凹設」ということもあり得ず、「内方に向かって凹設」であることは当たり前であり、「明りょうでない記載」には当たらない。そして、訂正前の「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している」と「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設している」とは実質同一であり、このような訂正は、特許法第134条の2第1項第1号に規定の「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
このことは、訂正前の「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している」を「鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設している」と訂正しても、それによって新たな効果が生じないことからも明らかである。」
と主張する(弁駁書3頁3?15行)ので、この点について検討する。
そもそも、被請求人は、訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正であると主張しており、「明りょうでない記載の釈明」を目的とした訂正とは主張してはいない。
そして、訂正事項1は、甲第1号証に係る五徳の嵌合溝孔とは別異の構造であることを明確にするために、コンロ周壁部の外周壁面に嵌合溝孔を「内方に向かって凹設している」と限定するもの、即ち、上位概念の「形成している」を下位概念の「内方に向かって凹設している」と限定するものであって、両者が同一のものではないことは明らかである。
また、特許請求の範囲の減縮は、新たな効果を生じるものでなければならないものではない。
したがって、請求人の当該主張は失当である。

3.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書及び同条第5項において準用する特許法第126条第3項、第4項に適合するので、当該訂正を認める。

第3.本件発明
訂正後の本件請求項1に係る発明は、訂正後の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである(以下「本件特許発明」という。)。

「枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設していることを特徴とする五徳。」

第4.両当事者の主張
1.請求人の主張
(1)審判請求書における主張
請求人の「請求の趣旨」は、「特許第4002695号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」というものであり、甲第1号証ないし甲第3号証を提出し、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明と同一、或いは、甲第1号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号、或いは同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである、旨主張し、その内容は、概略、次のとおりである。
なお、審判請求書における特許法第29条第1項第3号の主張は口頭審理において撤回された。(「第1回口頭審理調書」参照)

・本件特許発明について
本件特許発明は分説すると次のようになる。
A.枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、
B.上記五徳本体の下面に上端部が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、
C.このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成していることを特徴とする五徳。
・甲第1号証について
甲第1号証に表されている五徳は、次のような構成となっている。
(a)五徳本体1は、周方向に所定の間隔で上下方向に波を打つ枠状に形成されている。五徳本体1には、複数箇所に鍋底載置用突出部2が上方向への波部3により形成されて上方に向かって一体に設けられている。
(b)五徳本体1の内側には、上端縁が該五徳本体1に連続した一定高さのコンロ周壁部4が下方に向けて突設されている。
(c)このコンロ周壁部4の外周壁面には、枠状に形成された五徳本体1の一部を構成する上方向への波部3の内壁間によって、上下方向に長い鍋底載置用突出部2が下方から嵌合する嵌合溝孔5が形成されている。
・本件特許発明と先行技術発明との対比
本件特許発明の構成要件(A)と甲第1号証に記載された発明の構成要件(a)とを対比すると、本件特許発明と甲第1号証に記載された発明とは、枠状に形成されている五徳本体に、複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳である点で共通している。
ただ、本件特許発明では、鍋底載置用突出部は枠状に形成されている五徳本体の上面に設けられているのに対し、甲第1号証に記載された発明では、鍋底載置用突出部は上下方向に波を打つ枠状に形成されている五徳本体の一部を構成する上方向への波部により形成されて上方に向かって設けられている点で僅かに相違が認められる。
しかし、この相違は鍋底載置用突出部を枠状に形成されている五徳本体の上面に設けているか、或いは枠状に形成されている五徳本体1の一部を上方向へ向けて突設して設けているか、だけであり、鍋底載置用突出部としての効果を変えるものではなく、上記の相違は単なる設計変更の域を出ない。
本件特許発明の構成要件(B)と甲第1号証に記載された発明の構成要件(b)とを対比すると、本件特許発明の構成要件(B)と甲第1号証に記載された発明とは、五徳本体に上端縁を該五徳本体に連続した一定の高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設している点で共通している。
ただ、本件特許発明では、コンロ周壁部は五徳本体の下面に下方に向かって突設してあるのに対し、甲第1号証に記載された発明では、コンロ周壁部は五徳本体1の内側に下方に向かって突設している点で僅かに相違が認められる。
しかし、この相違は本件特許発明の効果を変えるものではなく、上記の相違は単なる設計変更の域を出ない。
本件特許発明の構成要件(C)と甲第1号証に記載された発明の構成要件(c)とを対比すると、本件特許発明と甲第1号証に記載された発明とはコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成している点で共通している。
ただ、甲第1号証に記載された発明では、コンロ周壁部の外周壁面に形成された嵌合溝孔は、枠状に形成された五徳本体の一部を構成する上方向への波部の内壁間によって形成したものであって、コンロ周壁部の外周壁面を凹状にして嵌合溝孔を形成したものではないが、実質的になんら変わるところはない。
上記したように、本件特許発明は、その構成要件(A)、(B)、(C)が、僅かな相違は認められるものの甲第1号証に記載された発明の構成要件(a)、(b)、(c)と実質同一であり、また、本体特許発明の効果も甲第1号証に記載された発明から奏せられる効果以上のものはない。
従って、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明から、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができたものである。

(2)弁駁書における主張
・[弁駁書6.(1)]甲第2号証について
甲第2号証は、甲第1号証として提出した、本件特許の出願前に頒布された株式会社マイン(本件審判請求人)製品総合カタログの作製費の見積書として株式会社クイックスから入手したものである。
総合カタログ(甲第1号証)は平成4年に作製され平成5年(1993年)に頒布されたものであるが、作製してから15年も経っており、総合カタログ(甲第1号証)の納品書、領収書等の書類が株式会社マインに無く、そのため総合カタログ(甲第1号証)を作製した株式会社クイックスに、総合カタログ(甲第1号証)に関する書類を求め、株式会社クイックスから送られてきた見積書を甲第2号証として提出したものであるが、被請求人のご指摘の通り消費税の金額に不明瞭な点がある。
株式会社クイックスによれば、古いものであり、当時の関係書類は残っていないが、毎年株式会社マインの総合カタログを作成しており、作成部数は変わらないことから、当時の費用をたどり、安易に見積書を作成してしまった、とのことであるが、甲第2号証は証拠として確かに不適切であった。
改めて株式会社クイックスから、総合カタログ(甲第1号証)は、株式会社クイックスが作成したこと、及び平成5年1月18日に株式会社マインに納品したことを証明する証明書(甲第4号証)を受けた。甲第4号証から、株式会社マイン製品総合カタログ(甲第1号証)の頒布日が確認できる。
そして、株式会社マインは毎年自社製品の総合カタログを業界関係者に頒布しており、総合カタログ(甲第1号証)は1993年当時に頒布されたものであることは業界関係者に知られているところである。

・[弁駁書6.(2)]進歩性
被請求人は、甲第1号証の五徳の問題点を無理矢理作り出し、本件特許発明の解決課題、構成及び効果とは関係ないところで、甲第1号証の五徳と本件特許発明の差異を主張している。
被請求人が主張する甲第1号証の五徳と本件特許発明の差異は以下の通りであるが、到底認められるものではない。
(イ)被請求人は、甲第1号証の五徳は、五徳本体における下方向に波打った部分が食卓上に当接することによって五徳は起立状態を安定的に維持することができる構成になっている、とした上で、甲第1号証の五徳において、仮に、五徳本体における下方向に波打った部分よりもコンロ周壁部が下方に突出した状態となると、五徳を食卓上に載置した状態において、コンロ周壁部が食卓上に当接し、五徳本体は浮いた不安定な状態となってしまい、倒れてしまうおそれがある、とし、コンロ周壁部は必ず五徳本体における下方向に波打った部分よりも上方に位置している必要がある、と主張しているが(第3頁第17行?第4頁第4行)、その通りであり、また、甲第1号証の五徳はそのような構成となっている。
かかる被請求人の主張は、「本件特許発明では、コンロ周壁部が食卓上に当接させたとき、起立状態に安定的に維持できる。」ということであれば、これは、全くの誤りである、と言わざるを得ない。何故なら、本件特許発明に、コンロ周壁部が食卓上に載置される、といった構成はまったく無く、また、効果にもこのような記載はない。そればかりか、特許第4002695号明細書の段落〔0017〕に、本件特許発明の五徳の使用方法の説明があり、五徳はコンロ周壁部をコンロ保持台に吊り下げた状態で保持されており(図7)、コンロ周壁部が食卓上に直接載置されていない。このことから、本件特許発明の五徳のコンロ周壁部には、食卓上に起立状態を安定的に維持できる保証はなく、本件特許発明には、「コンロ周壁部を食卓上に当接させたとき、起立状態に安定的に維持できる。」といった効果は全く生じない。この限りにおいて、甲第1号証の五徳と変わりはない。
(ロ)…省略…
(ハ)また、被請求人は、甲第1号証の五徳は、複数個の五徳を上下方向に重ね合わせた場合に、上下方向に押圧力が加わったとき、下側の五徳の鍋底載置用突出部が、下側の五徳の嵌合溝孔に食い込んだ状態になるおそれがある主張しているが(第5頁第1行?第3行)、これは、全くの言いがかりと言わざるを得ない。
このようなことは、本件特許発明にも言えることであり、本件特許発明、即ち、請求項1において、鍋底載置用突出部と、鍋底載置用突出部を勘合する嵌合溝孔との形状については、全く限定されておらず、鍋底載置用突出部と嵌合溝孔の形状によっては、本件特許発明でも鍋底載置用突出部が嵌合溝孔に内に食い込んだ状態となるおそれがある。
以上のように、被請求人の主張は悉く理由のないものであって、請求人の主張を覆すことができるものではない。
本件特許発明の効果は甲第1号証に記載された発明から奏せられる効果であって、本件特許発明は甲第1号証に記載された発明から、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができたものである。

・[弁駁書6.(3)]むすび
以上の通り、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

(3)上申書における主張
請求人は、上申書において、参考資料1(株式会社マイン製品総合カタログ第18頁)、及び参考資料2(参考資料1の第18頁に表された「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」のうち、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」と同形の五徳を分解した参考写真)を提出し、概略次のように主張している。
本件特許発明の五徳本体とコンロ周壁部の形状は、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」と酷似している。
両者の相違は、本件特許発明では、五徳本体とコンロ周壁部が一体となっているのに対し、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」では、五徳本体及びコンロ周壁部とが別体となっている点、本件特許発明では、コンロ周壁部の外周壁面に上下方向に鍋底載置用突出部の嵌合溝孔が形成してあるのに対し、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」では、コンロ周壁部の外周壁面に上下方向に鍋底載置用突出部の嵌合溝孔がない点だけである。
また、「万葉こんろ」は本件特許発明と同様に、五徳本体とコンロ周壁部が一体となっている。
五徳は、主に旅館、ホテル、居酒屋等で使用されるものであり、五徳を含む食器類に対し、斬新なデザインだけでなく、大量の食器類を使用するので、できるだけスペースを有効活用するために、食器類を省スペースで効率よく収納できるよう積み重ねできる形状が要求される。
甲第1号証発明は、正にこのような要求に応える五徳であって、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」の五徳本体とコンロ周壁部の機能をそのままに備えたうえで、斬新なデザインと上下方向に積み重ねでき、効率よく収納できるものとして開発されたものである。
甲第1号証発明は、上下方向に積み重ねできるように、コンロ周壁部の外周壁面に、枠状に形成された五徳本体の一部を構成する上方向への波部の内壁間によって、鍋載置用突出部を下方から嵌合する嵌合溝孔が形成された形状となっている。
本件特許発明は、かかる甲第1号証発明の、コンロ周壁部の外周壁面に鍋載置用突出部を形成する技術思想を、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」のコンロ周壁部に適用したに過ぎない。
よって、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

〔証拠方法〕
甲第1号証:株式会社マイン製品総合カタログ「第14頁抜粋」
甲第2号証:株式会社マイン製品総合カタログ作成費見積書
甲第3号証:甲第1号証の第14頁、下欄左側に表れている五徳を表した図面
甲第4号証:株式会社クイックスからの総合カタログ納品証明書

2.被請求人の主張の概要
被請求人は、本件特許には請求人が主張するような無効理由は存在しない旨主張している。
そして、被請求人は、甲第1号証の頒布について、甲第1号証の表紙には、確かに「味な演出 1993」の文字はあるものの、甲第1号証は審判請求人のカタログであり、甲第2号証が新たに作製されたものである可能性が極めて高いという事情も考慮すれば、甲第1号証が1993年に頒布されたとの審判請求人の主張にも疑問を抱かざるを得ないものであるから、甲第1号証は、刊行物と取り扱うには疑義が多く、証拠としては不適格である旨を主張している。

第5.甲各号証
1.甲第1号証の頒布について
請求人は、甲第1号証として、審判請求人の総合カタログを提出し、更に、甲第2号証として、甲第1号証の作成費の見積書を提出して、甲第2号証により上記総合カタログ(甲第1号証)の頒布日が確認できると主張している。
しかし、この見積書の日付は平成4年12月21日である。そして、小計が10500000円で、この小計の5%に相当する消費税が525000円であり、これらの合計額が11025000円となっている。
ところが、平成4年12月21日の時点では消費税は3%であって、消費税は315000円となるべきものである。なお、消費税が3%から5%に引き上げられたのは、平成9年4月1日である。
してみれば、甲第2号証が発行された時点での消費税は3%であって、消費税が5%に引き上げられたのは、甲第2号証の発行から4年以上も後のことであり、見積書を発行するに際して消費税を3%のところを5%と間違えることは通常の取引の実情からしてあり得ず、ましてや、金額を提示する見積書であれば尚更である。
このような事情から、甲第2号証は、この無効審判を請求するために新たに作製されたものである可能性が極めて高く、甲第1号証の頒布日を立証する証拠として到底採用することができない。
又、甲第2号証は、見積書であって請求書や納品書ではなく、株式会社クイックスに発注し、総合カタログが審判請求人に実際に納品された否かも確認できず、甲第2号証に記載の総合カタログ1993が甲第1号証であるか否かの確認もできない。
請求人は甲第2号証が安易に作成されたものであり不適切である旨を認め、弁駁書にて甲第4号証を提出し、株式会社クイックスが請求人の総合カタログを平成5年1月18日に請求人に納品したことを証明している。
しかしながら、弁駁書にあるように、請求人及び株式会社クイックスには当時の関係書類が現在、残っていないと認めながらも、株式会社クイックスは平成5年1月18日と明確な日付をもって請求人に納付したと証明しており、甲第2号証の事情を考慮すれば、株式会社クイックスによる証明自体の信憑性に疑義を生じざるを得ないものである。
以上のように、甲第2号証、甲第4号証からは、甲第1号証の頒布された日は確認できない。
そして、被請求人は、甲第1号証の表紙には、確かに「味な演出 1993」の文字はあるものの、甲第1号証は審判請求人のカタログであり、甲第2号証の事情も考慮すれば、甲第1号証が1993年に頒布されたとの審判請求人の主張にも疑問を抱かざるを得ないものである旨を主張している。
しかし、甲第1号証の表表紙の中央部には、「味な演出 1993 CATALOGUE」という記載があり、この「1993」が西暦1993年(平成5年)を意味するものであり、頒布されることを目的とする商品カタログであることから、甲第1号証は、本件特許出願前の遅くとも1993年12月31日より前に頒布された刊行物といえる。

2.甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、その第14頁の左下の「さざ波こんろ」の写真及びその写真に基づき請求人が記載した図面である甲第3号証の記載からみて、平成20年10月9日付けの口頭審理陳述要領書に添付した甲第3号証に対応する図面において、被請求人が付した「8」で示された部分は、本件特許発明の「コンロ周壁部の上端縁」に相当するので、次の発明が記載されている(以下「甲第1号証発明」という)。

「周方向に所定の間隔で上下方向に波を打つ枠状に形成されている五徳本体の一部を構成する上方向への波部により形成されて上方に向かって逆V字状に突出させて複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の内周面に上端縁ではない部分が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって、該コンロ周壁の下端を五徳本体の一部を構成する下方向への波部よりは上方に設け、このコンロ周壁部の外周壁面の外側に、前記鍋底載置用突出部を構成する上方向への波部の下方に波部の内壁間によって、上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔が形成されている五徳。」

第6.対比・判断
1.本件特許発明と甲第1号証発明との対比
本件特許発明と甲第1号証発明を対比すると、嵌合溝孔が形成される場所について甲第1号証発明の「コンロ周壁部の外周壁面の外側」と、本件特許発明の「コンロ周壁部の外周壁面の内方」とは、「コンロ周壁部の外周壁面付近」である点で共通している。
そうすると、本件特許発明と甲第1号証発明は、次の一致点及び相違点を有するものである。

〔一致点〕
枠状に形成されている五徳本体の上部複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体に該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって設けてあり、このコンロ周壁部の外周壁面付近に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成していることを特徴とする五徳。

〔相違点1〕
本件特許発明では、鍋底載置用突出部は枠状に形成されている五徳本体の上面に設けられているのに対し、甲第1号証発明では、鍋底載置用突出部は上下方向に波を打つ枠状に形成されている五徳本体の一部を構成する上方向への波部により形成されて上方に向かって逆V字状に突出させて設けられている点。

〔相違点2〕
本件特許発明では、五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあるのに対し、甲第1号証発明では、五徳本体の下面ではなく内周面に上端縁ではない部分が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に設けているものの、該コンロ周壁の下端を五徳本体の一部を構成する下方向への波部よりは上方に設けている点。

〔相違点3〕
本件特許発明では、コンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設したのに対し、甲第1号証発明では、コンロ周壁部の外周壁面の外側に、前記鍋底載置用突出部を構成する上方向への波部の下方に波部の内壁間によって、上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔が形成された点。

2.相違点についての検討
そこで、上記相違点の中、相違点3に着目して検討する。

甲第1号証に係る五徳は、上下方向に波状に形成した五徳本体自体の一部で鍋底載置用突出部とし、この鍋底載置用突出部の下方に嵌合溝孔に形成しており、この五徳本体同士を嵌合させるものであり、本件特許発明のように、五徳本体とは別のコンロ周壁部に嵌合溝孔を凹設し、この嵌合溝孔に鍋底載置用突出部を嵌合可能に構成した技術的思想とは全く別異のものである。
そして、甲第1号証、平成20年11月12日付け提出の上申書に添付した参考資料1、2の何れにも、嵌合溝孔をコンロ周壁部に内方に向かって凹設した構成は、記載されていないし、示唆されているともいえない。また本件特許出願前周知であるともいえない。
請求人は、前記上申書において、本件特許発明は、かかる甲第1号証発明の、コンロ周壁部の外周壁面に鍋載置用突出部を形成する技術思想を、コンロ周壁部の外周壁面に上下方向に鍋底載置用突出部の嵌合溝孔がない点だけ本件特許発明と相違する「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」のコンロ周壁部に適用したに過ぎない旨を主張している。
しかしながら、参考資料1、2に記載された「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」のコンロ周壁部の外周壁面に、甲第1号証発明の周方向に所定間隔で上下方向に波を打つ枠状に形成された五徳本体自体で嵌合溝孔を形成させる技術思想を適用しようとすれば、「雅こんろ」、「民芸風こんろ」、「万葉こんろ」の枠状の五徳本体を、コンロ周壁部の外周壁面の外側に、上下方向に波を打つ枠状に形成することは想到できるものの、それは、甲第1号証発明の五徳のようなものでしかない。
そして、甲第1号証、参考資料1、2の何れにも鍋底載置用突出部の嵌合溝孔をコンロ周壁部に内方に向かって凹設した構成は、記載されていないし、示唆されているともいえない、更に本件特許出願前周知であるともいえない以上、本件特許発明のように、鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を、枠状の五徳本体ではないコンロ周壁部に内方に向かって凹設することは、たとえ当業者といえども容易に想到することはできない。

また、甲第1号証発明は、五徳本体同士を嵌合させるものであるから、その嵌合を可能にするには、五徳本体の内外面を上端から下端に向かって末広がり状に形成した傾斜面に必ず形成しておかねばならず、そのため、五徳本体同士の嵌合が可能となる範囲内でしかもその形状、構造を設計することができず、設計の自由度が制限されて形状が特定されることになる。
これに対し、本件特許発明は、五徳本体とは別な部材である鍋底載置用突出部を、コンロ周壁部に形成している嵌合溝孔に嵌合させるものであるから、五徳本体の形状、構造が鍋底載置用突出部や嵌合溝孔の形状、構造に影響を受けることなく、自由に設計することができ、鍋底載置用突出部や嵌合溝孔の形状、構造も自由に設計することができるので、五徳上に載置させる鍋底の形状、膳の配設スペース、他の食器の形状や大きさなどを考慮して種々の形態の五徳を形成することができるものである。
このように、本件特許発明は、相違点3に係る構成により、特許明細書段落【0019】に記載された「上記五徳Aでは、五徳本体1を平面正方形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭四角錘形状に形成した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、五徳本体1を平面円形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭四角錘形状に形成したものであってもよく、或いは、五徳本体1 を平面円形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭円錐形状に形成したものであってもよく、更に、五徳本体1を平面正方形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭円錐形状に形成したものであってもよい。」との作用効果を奏するものである。

そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明は、甲第1号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.まとめ
以上のとおり、本件特許発明は、甲第1号証発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、特許法第29条第2項の規定により特許が受けることができないものには該当せず、結局、本件特許発明についての特許が特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものであるという請求人の主張は失当である。

第7 むすび
以上のとおり、本件特許発明は、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明に対する特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
五徳
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設していることを特徴とする五徳。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下方向に重ね合わせて保管することができる五徳に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、五徳はコンロ保持台とは別体に形成されており、使用する際には五徳をコンロ保持台の上面に載置した上で、該五徳の鍋底載置用突出部上に鍋が載置される。そして、使用しない時には、五徳をコンロ保持台から離脱させて別体とした上で、五徳は五徳同士集められた状態で保管される。
【0003】
しかしながら、従来の五徳は重ね合わせた状態で保管することができず、ただ単に積み重ねた状態とするか、或いは、無造作に複数の五徳を保管箱内に入れておくといった保管方法しかなく、前者の場合には不用意な外部からの衝撃によって崩れてしまうといった問題点があり、又、後者の場合には、無造作に保管箱内に入れていることから、一の五徳を取り出す際に他の五徳が引っ掛かったりして取り扱いに不便といった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複数の五徳を上下方向に重ね合わせた状態とすることができて整理整頓した状態で保管することができ、使用する際にあっても一の五徳のみを簡単且つ確実に取り出して使用することができる五徳を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の五徳は、枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を内方に向かって凹設していることを特徴とする。
【0006】
【作用】
本発明の五徳は、五徳本体の下面外周部に、他の五徳の鍋底載置用突出部が嵌脱自在に嵌合可能な嵌合溝孔を形成しており、一の五徳の嵌合溝孔の夫々に他の五徳の鍋底載置用突出部の夫々を嵌合させることによって、複数の五徳を上下方向に重ね合わせた状態とすることができる。
【0007】
よって、五徳を使用していない時には、複数の五徳を重ね合わせた整理整頓したコンパクトな状態に保管することができるとともに、一の五徳を取り出す際にも最上部の五徳を下方の五徳から簡単に且つ確実に取り出すことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の五徳の一例を図面を参照しつつ説明する。五徳本体1は、図1乃至図4に示したように、平面正方形の枠状に形成されており、該五徳本体1の上面における夫々の角部には鍋底載置用突出部11が上方に向かって突設されている。
【0009】
上記鍋底載置用突出部11は偏平な側面略台形状に形成されているとともに、その長さ方向を上記五徳本体1の対角線方向に合致した状態に形成されており、上記鍋底載置用突出部11の上端面は内方から外方に向かって階段状に傾斜した傾斜面に形成されている。
【0010】
更に、上記五徳本体1の下面には一定高さのコンロ周壁部12が一体に形成されている。該コンロ周壁部12は上端開口縁を上記五徳本体1の内周縁に一体に連続させていると共に、上端から下端に向かって徐々に小幅となる逆截頭四角錐の皿形状に形成されてあり、その下端を有底にして底部121に形成している。この底部121の平坦な内底面を固形燃料Bを安定した状態で載置することができる固形燃料載置面121aとされている。
【0011】
そして、五徳本体1の上面四方に突設した上記各鍋底載置用突出部11の下方に対応させて上記コンロ周壁部12の外周壁面122における傾斜稜角部の夫々には、その上下方向の全長に亘って且つ下端を開放させた状態に上記鍋底載置用突出部11が嵌脱自在に嵌合可能な縦長スリット形状の嵌合溝孔123、123・・・が内方に向かって一定深さ凹設されている(図2及び図5参照)。
【0012】
又、上記コンロ周壁部12の四方周壁面122の夫々には、その内外面に亘って貫通した空気孔124、124・・・が貫設されており、上記固形燃料載置面121a上に載置された固形燃料Bに円滑に且つ確実に酸素を供給できるように構成されている。
【0013】
次に、上記五徳Aの使用要領を説明する。始めに、五徳Aを上下方向に重ね合わせて所定場所に保管する際の要領について説明する。
【0014】
先ず、下方側に配した五徳Aの鍋底載置用突出部11、11・・・の上方に、上方側に配する五徳Aのコンロ周壁部12の嵌合溝孔123、123・・・の下端開口部を対向させた状態とした上で、上方の五徳Aを下方の五徳Aに向かって降ろすと、下方の五徳Aの鍋底載置用突出部11が上方の五徳Aの五徳本体1の嵌合溝孔123内に挿入、嵌合し、該鍋底載置用突出部11が全高に亘って嵌合溝孔123内に嵌合され、鍋底載置用突出部11の上端面が上方側の五徳Aの五徳本体1の下面に当接して両五徳A、Aが安定した状態に重ね合わせられる(図6参照)。
【0015】
この状態では、上下の五徳A、Aは互いに安定した状態に重ね合わされているので外部からの衝撃に対しても不用意に崩れるといったこともなく、複数の五徳Aを安定したコンパクトな状態に重ね合わせて保管しておくことができる。なお、図7では二つの五徳A、Aを上下方向に重ね合わせた時について説明したが、三つ以上の五徳A、A・・・を上記と同様にして上下方向に重ね合わせてもよい。
【0016】
次に、上記上下方向に重ね合わせた五徳Aを使用するには、最上部の五徳Aを該五徳Aの下方に位置する五徳Aから離間する方向、即ち、上方に向かって持ち上げることによって、最上部の五徳Aのコンロ周壁部12の嵌合溝孔123、123・・・と下方の五徳Aの鍋底載置用突出部11、11・・・との嵌合状態を解除して、最上部の五徳Aを取り出す。
【0017】
しかして、この取り出された五徳Aは、図7に示したような、従来から用いられているコンロ保持台Cの上端開口部に枠状の五徳本体1を着脱自在に嵌め込んで支持させ、五徳本体1のコンロ部を形成しているコンロ周壁部12をコンロ保持台C内に吊り下げた状態にする。この状態にして、コンロ周壁部12の固形燃料載置面121a上に固形燃料Bを載置、燃焼させた上で、該五徳Aの鍋底載置用突出部11、11・・・上に鍋Cを載置し、上記固形燃料Bによって上記鍋Dを加熱し、該鍋D内の食材を調理する。
【0018】
上記五徳Aでは、そのコンロ周壁部12の底部121の内面を固形燃料載置面121aとした場合を説明したが、図8及び図9に示したように、上記コンロ周壁部12の略全面に亘って上下方向に貫通する貫通孔121bを形成してもよい。かかる場合には、固形燃料Bは、図8に示したように、コンロ保持台Cの内底面上に載置される。
【0019】
又、上記五徳Aでは、五徳本体1を平面正方形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭四角錘形状に形成した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、五徳本体1を平面円形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭四角錘形状に形成したものであってもよく、或いは、五徳本体1を平面円形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭円錐形状に形成したものであってもよく、更に、五徳本体1を平面正方形の枠状に形成するとともにコンロ周壁部12を逆截頭円錐形状に形成したものであってもよい。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載の五徳は、枠状に形成されている五徳本体の上面複数箇所に鍋底載置用突出部を一体に設けてなる五徳において、上記五徳本体の下面外周部に上記各鍋底載置用突出部の夫々が嵌脱自在に嵌合可能な嵌合溝孔を形成していることを特徴とするので、複数の五徳を上方の五徳の嵌合溝孔に下方の五徳の鍋底載置用突出部を嵌脱自在に嵌合させた状態に重ね合わせることができる。
【0021】
即ち、複数の五徳を上下方向にコンパクトにしかも安定した状態に重ね合わせた上で狭い保管場所にも保管することができるとともに、外部からの衝撃に対して不用意にその重ね合わせた状態が崩れるといった不測の事態も生じない。
【0022】
しかも、この上下方向に重ね合わせた五徳を使用する場合にも、最上部の五徳を下方の五徳から離間する方向、即ち、上方に向かって持ち上げるといった簡単な操作でもって、最上部の五徳を下方の五徳から簡単に且つ確実に取り出すことができる。
【0023】
上記五徳は、五徳本体の下面に上端縁が該五徳本体に連続した一定高さのコンロ周壁部を下方に向かって突設してあり、このコンロ周壁部の外周壁面に上下方向に長い鍋底載置用突出部の嵌合溝孔を形成しているので、下方の五徳の鍋底載置用突出部を上方の五徳の嵌合溝孔の内周面に沿わせた状態に、しかも下方の五徳の鍋底載置用突出部の全体を上方の五徳の嵌合溝孔に完全に且つ確実に嵌合させた状態に複数の五徳を安定した状態に且つコンパクトに重ね合わせることができる。
【0024】
上記五徳において、コンロ周壁部の下端を有底に形成して、この有底の内底面を固形燃料載置面に形成しているとともに、該コンロ周壁部に内外に貫通する空気孔を穿設している場合には、コンロ保持台を用いることなく固形燃料を用いて鍋底載置用突出部に載置した鍋内の食材を調理することができるとともに、コンロ周壁部に空気孔を穿設しているので固形燃料の不完全燃焼を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の五徳を示した斜視図である。
【図2】
本発明の五徳を示した斜視図である。
【図3】
本発明の五徳を示した平面図である。
【図4】
本発明の五徳を示した正面図である。
【図5】
本発明の五徳を示した底面図である。
【図6】
本発明の五徳を上下方向に重ね合わせた状態を示した断面図である。
【図7】
本発明の五徳の使用状態を示した正面図である。
【図8】
本発明の他の五徳の使用状態を示した斜視図である。
【図9】
図8の五徳を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 五徳本体
11 鍋底載置用突出部
12 コンロ周壁部
121 底部
122 周壁面
121a固形燃料載置面
123 嵌合溝孔
124 空気孔
A 五徳
B 固形燃料
C コンロ保持台
D 鍋
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-12-17 
結審通知日 2008-12-22 
審決日 2009-01-07 
出願番号 特願平11-71663
審決分類 P 1 113・ 121- YA (F24C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 唯  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 佐野 遵
長浜 義憲
登録日 2007-08-24 
登録番号 特許第4002695号(P4002695)
発明の名称 五徳  
代理人 大塚 明博  
代理人 山本 拓也  
代理人 山本 拓也  
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