• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1194217
審判番号 不服2006-15596  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-20 
確定日 2009-03-12 
事件の表示 特願2003-160351「画像処理方法、画像処理装置、画像記録再生装置、およびテレビジョン受像機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 72727〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.経緯および本願発明
本願は、平成15年6月5日(優先権主張 平成14年6月11日)の出願であって、平成18年6月12日に拒絶査定されたところ、平成18年7月20日付けで上記拒絶査定を不服として拒絶査定不服審判が請求された。
本願の特許請求の範囲に係る発明は、平成18年4月3日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1から請求項18までの各請求項に記載されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、これを「本願発明」ともいう)は、次のとおりのものである。

[本願発明]
「動画像の所望のシーンを検索する際に利用する縮小画像を圧縮して記録するステップと、
前記動画像が表示される際に、少なくとも前記動画像のシーンより時間的に前のシーンに対応した縮小画像と、前記動画像のシーンより時間的に後ろのシーンに対応した縮小画像のいずれか一方を表示させるよう制御するステップと、
表示された縮小画像を、前記動画像の進行に応じて更新させるよう制御するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。」

2.引用例
原査定の拒絶理由に引用された特開2000-308003号公報(平成12年11月2日公開、以下、引用例ともいう)には、図面と共に次の記載がある。

(ア)(発明の属する技術分野)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報処理装置および方法、並びに媒体に関し、特に、動画像を再生する情報処理装置および方法、並びに媒体に関する。」

(イ)(従来技術とその解決課題についての記載)
「【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータに、チューナを内蔵し、テレビジョン放送局から画像および音声の信号を受信し、受信した画像および音声を所定のデジタルデータに変換して、ハードディスクなどの記録媒体に記録し、必要に応じて再生する技術が利用されるようになりつつある。
【0003】このようなパーソナルコンピュータの画像の再生において、所望のシーンを探すとき、利用者は、通常のビデオカセットレコーダと同様に、画像の早送り、巻き戻し、または倍速再生などを利用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような画像の画像の早送り、巻き戻し、または倍速再生などでは、所望のシーンを探すのに時間がかかるという問題点があった。
【0005】本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速に所望のシーンを検索できるようにすることを目的とする。」

(ウ)(実施の形態についての記載)
「【0030】MPEGエンコーダ58は、デジタルセレクタ57から供給された画像および音声のデジタルデータを、MPEG方式のデジタルデータに圧縮し、ブリッジ59に出力する。また、MPEGエンコーダ58は、シーンの切り替わりの画像を、静止画像に変換し、ブリッジ59に出力する。」

「【0053】図6は、AVコンテンツの構成の例を説明する図である。・・(略)」

「【0058】AVコンテンツ101-1は、HDD31-1または31-2に記録されている動画像データファイル111-1-1乃至111-1-3、およびHDD31-1または31-2に記録されている静止画像データファイル112-1-1乃至112-1-3から構成される。動画像データファイル111-1-1乃至111-1-3は、MPEG方式の画像データが格納されている。動画像データファイル111-1-2の先頭に格納されている画像データに対応する画像は、動画像データファイル111-1-1の最後に格納されている画像データに対応する画像に連続している。同様に、動画像データファイル111-1-3の先頭に格納されている画像データに対応する画像は、動画像データファイル111-1-2の最後に格納されている画像データに対応する画像に連続している。
【0059】静止画像データファイル112-1-1は、動画像データファイル111-1-1に格納されている画像データのシーンの切り替わりの画像を、静止画像に変換した画像データ、および、そのシーンの切り替わりの時刻(または、動画像データファイル111-1-1上のオフセット位置)のデータが格納されている。
静止画像データファイル112-1-2は、動画像データファイル111-1-2に格納されている画像データのシーンの切り替わりの画像を、静止画像に変換した画像データ、および、そのシーンの切り替わりの時刻(または、動画像データファイル111-1-2上のオフセット位置)のデータが格納されている。静止画像データファイル112-1-3は、動画像データファイル111-1-3に格納されている画像データのシーンの切り替わりの画像を、静止画像に変換した画像データ、および、そのシーンの切り替わりの時刻(または、動画像データファイル111-1-3上のオフセット位置)のデータが格納されている。」

「【0090】図16は、例えば、録画再生プログラム81が、AVコンテンツ101-1を再生し、静止画像データファイル112-1-1乃至112-1-3に記憶されている静止画像を表示させたとき、パーソナルコンピュータ1のCRT30に表示される画面を説明する図である。静止画像表示ウィンドウ171は、静止画像データファイル112-1-1乃至112-1-3に記憶されている静止画像(シーンの変わり目の静止画像)を所定の大きさのサムネイル画像として表示する。静止画像表示ウィンドウ171の図中の横方向の位置は、再生する画像の時間軸に対応している。
【0091】現在位置指示ゲージ172が示す位置は、現在、すなわち再生している画像の時点に対応する。図中の左側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間経過後、所定の過去の時点(既に画像を再生した)を示す。図中の右側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間の未来の時点(これから画像が再生される)を示す。
【0092】サムネイル画像は、そのシーンの変わり目の時点に対応する位置に配置され、静止画像表示ウィンドウ171に表示される。シーン変わり目が短時間で発生する場合、サムネイル画像は、重ね合わせて表示される。再生される画像の表示が進むにつれて(時間が経過するに従って)、サムネイル画像の表示位置は、図中の右側から左側に移動する。
【0093】サムネイル画像のドラッグなどにより、再生されている画像と切り離して、静止画像表示ウィンドウ171に表示されるサムネイル画像のみをスクロールすることもできる。また、サムネイル画像は、スクロールバーの操作によってもスクロールされる。いずれの場合も、サムネイル画像同士の距離は、シーンの変わり目の時点の間の時間を常に反映し、変化しない。」

「【0117】次に、図19のステップS32の録画の処理の詳細について説明する。・・(中略)・・ステップS62において、録画再生プログラム81の指示に基づきハードウェアインターフェース91は、MPEGエンコーダ58に録画する画像を、高画質、または標準などの所定の録画モードで圧縮させる。ステップS63において、録画再生プログラム81に基づきハードウェアインターフェース91は、MPEGエンコーダ58の出力を基に、録画しているシーンが切り換えられたか否かを判定し、録画している画像のシーンが切り換えられたと判定された場合、ステップS64に進み、MPEGエンコーダ58に、画像(動画像)に対応する静止画像を生成させる。」

「【0124】ステップS69において、録画再生プログラム81の指示に基づきファイルI/O93は、MPEGエンコーダ58で圧縮された画像を、所定のHDD31上の動画像データファイル111に記録する。ステップS70において、録画再生プログラム81は、MPEGエンコーダ58で生成された静止画像をシーンの再生時刻などの所定のデータとともに、所定のHDD31上の静止画像データファイル112に記録する。」

「【0136】次に、・・(中略)・・静止画像の表示の処理を、図22のフローチャートを参照して説明する。ステップS121において、録画再生プログラム81は、再生している画像と静止画像表示ウィンドウ171上のサムネイル画像の位置とが対応する、同期モードに設定する。ステップS122において、録画再生プログラム81の指示の基にファイルI/O93は、再生している画像の時刻を基準に、所定の範囲の時刻の静止画像データを静止画像データファイル112から読み出す。
【0137】ステップ123において、録画再生プログラム81は、ステップS122で読み出した静止画像データに対応する時刻を基に、静止画像データによって表示されるサムネイル画像の表示位置を算出する。ステップS124において、録画再生プログラム81は、ハードウェアインターフェース91に、静止画像データから生成したサムネイル画像を、ステップS123で算出した静止画像表示ウィンドウ171上の所定の位置に表示させる。」

「【0141】ステップS128において、静止画像表示ウィンドウ171のサムネイル画像がドラッグされていないと判定された場合、ステップS132に進み、録画再生プログラム81は、マウス29からの入力を基に、静止画像表示ウィンドウ171のサムネイル画像がダブルクリックされたか否かを判定し、静止画像表示ウィンドウ171のサムネイル画像がダブルクリックされたと判定された場合、ステップS133に進み、ダブルクリックされたサムネイル画像に対応する時刻から、画像の再生を開始する。・・(略)」

(エ)(発明の効果についての記載)
「【0246】
【発明の効果】請求項1に記載の情報処理装置、請求項6に記載の情報処理方法、および請求項7に記載の媒体によれば、動画像のシーンの切り換えに対応する静止画像、およびシーンの切り換えの時刻が記憶され、画面上の所定の基準位置に対して、画面上の所定の基準位置に対応する時刻と、シーンの時刻との差分に対応する距離を有する位置に静止画像を表示させるように表示が制御されるようにしたので、迅速に所望のシーンを検索できるようになる。」

3.対比
本願発明と引用例に記載された発明(以下「引用発明」ともいう)とを対比する。
(1)画像処理方法
引用発明は動画像を取り扱っており、本願発明と同様に「画像処理方法」ということができる。

(2)縮小画像を圧縮して記録するステップ
ア.動画像の所望のシーンを検索する際に利用する
引用例の「動画ファイルデータ・・に格納されている画像データのシーンの切り替わりの画像を、静止画に変換した画像データ・・が格納」(【0059】)、「MPEGエンコーダ58で生成された静止画像をシーンの再生時刻などの所定のデータとともに、所定のHDD31上の静止画像データファイル112に記録」(【0124】)、「静止画像データから生成したサムネイル画像を、ステップS123で算出した静止画像表示ウィンドウ171上の所定の位置に表示させ」(【0137】)、「画面上の所定の基準位置に対して、画面上の所定の基準位置に対応する時刻と、シーンの時刻との差分に対応する距離を有する位置に静止画像を表示させるように表示が制御されるようにしたので、迅速に所望のシーンを検索できる」(【0246】)の記載から、引用発明で記録する「静止画像」は「動画像の所望のシーンを検索する際に利用する」ものといえ、この点で、本願発明の「動画像の所望のシーンを検索する際に利用する」画像に相当する。

イ.縮小画像
本願発明における「縮小画像」とは、明細書の記載に照らし、いわゆる「サムネイル画像」であって、縮小した静止画像であることが明らかであるから、引用発明で記録する「静止画像」は、静止画像である点で本願発明の「縮小画像」に相当する。
もっとも、引用発明で記録する静止画像は、これを特に「縮小した」静止画像とはしておらず、かえって、「静止画像データから生成したサムネイル画像を、ステップS123で算出した静止画像表示ウィンドウ171上の所定の位置に表示させ」(【0137】)ることから、「縮小した」静止画像ではなく、この点で、本願発明の縮小画像と相違する。

ウ.圧縮して記録
本願発明では、縮小画像を「圧縮して」記録しているところ、引用例の「MPEGエンコーダ58は、シーンの切り替わりの画像を、静止画像に変換」(【0030】)、「MPEGエンコーダ58に、画像(動画像)に対応する静止画像を生成」(【0117】)の記載から、引用発明では「圧縮して」記録するものではない点で相違する。

エ.小括(縮小画像を圧縮して記録するステップ)
上記のようであるから、本願発明と引用発明とは「動画像の所望のシーンを検索する際に利用する静止画像を記録するステップ」を有する点で一致し、記録する「静止画像」が、本願発明では「縮小画像」であることに対し、引用発明では「縮小画像」ではない点で、また、静止画像の記録が、本願発明では「圧縮して」記録することに対し、引用発明では「圧縮して」記録するものではない点で相違する。

(3)動画像が表示される際に、・・縮小画像・・を表示させるよう制御するステップ
ア.動画像が表示される際に、縮小画像を表示させるよう制御する
引用例の図16、「現在位置指示ゲージ172が示す位置は、現在、すなわち、再生している画像の時点に対応する。図中の左側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間経過後、所定の過去の時点(既に画像を再生した)を示す。図中の右側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間の未来の時点(これから画像が再生される)を示す。」(【0091】)、「図22のフローチャートを参照して説明する。ステップS121において、録画再生プログラム81は、再生している画像と静止画像表示ウィンドウ171上のサムネイル画像の位置とが対応する、同期モードに設定する。ステップS122において、録画再生プログラム81の指示の基にファイルI/O93は、再生している画像の時刻を基準に、所定の範囲の時刻の静止画像データを静止画像データファイル112から読み出す。」(【0136】)、「ステップS123において、録画再生プログラム81は、ステップS122で読み出した静止画像データに対応する時刻を基に、静止画像データによって表示されるサムネイル画像の表示位置を算出する。ステップS124において、録画再生プログラム81は、ハードウェアインターフェース91に、静止画像データから生成したサムネイル画像を、ステップS123で算出した静止画像表示ウィンドウ171上の所定の位置に表示させる。」(【0137】)の記載から、引用発明は、画像を再生しているときに、サムネイル画像を表示しており、「動画像が表示される際に、縮小画像を表示させるよう制御する」といえる。

イ.少なくとも前記動画像のシーンより時間的に前のシーンに対応した縮小画像と、前記動画像のシーンより時間的に後ろのシーンに対応した縮小画像のいずれか一方を表示
引用例の図16、「現在位置指示ゲージ172が示す位置は、現在、すなわち、再生している画像の時点に対応する。図中の左側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間経過後、所定の過去の時点(既に画像を再生した)を示す。図中の右側は、現在位置指示ゲージ172の位置からの距離に対応した所定の時間の未来の時点(これから画像が再生される)を示す。」(【0091】)、「サムネイル画像は、そのシーンの変わり目の時点に対応する位置に配置され、静止画像表示ウィンドウ171に表示される。シーン変わり目が短時間で発生する場合、サムネイル画像は、重ね合わせて表示される。再生される画像の表示が進むにつれて(時間が経過するに従って)、サムネイル画像の表示位置は、図中の右側から左側に移動する。」(【0092】)の記載から、引用発明は、過去の時点(ゲージ172の左側)、未来の時点(ゲージ172の右側)にサムネイル画像を表示しており、「少なくとも前記動画像のシーンより時間的に前のシーンに対応した縮小画像と、前記動画像のシーンより時間的に後ろのシーンに対応した縮小画像のいずれか一方を表示」するということができる。

ウ.表示される縮小画像
表示される縮小画像は、本願発明では圧縮して記録された縮小画像であるところ、引用例の「静止画像表示ウィンドウ171は、静止画像データファイル112-1-1乃至112-1-3に記憶されている静止画像(シーンの変わり目の静止画像)を所定の大きさのサムネイル画像として表示する。」(【0090】)、「静止画像データから生成したサムネイル画像を、ステップS123で算出した静止画像表示ウィンドウ171上の所定の位置に表示させる。」(【0137】)の記載、および、静止画像データから生成したサムネイル画像は当然に静止画像を縮小した縮小画像であることから、引用発明では、表示される縮小画像は、(記録された縮小画像ではなく、)記録された静止画像を縮小した縮小画像である点で相違する。

エ.小括(動画像が表示される際に、・・縮小画像・・を表示させるよう制御するステップ)
上記のようであるから、本願発明と引用発明とは「前記動画像が表示される際に、少なくとも前記動画像のシーンより時間的に前のシーンに対応した縮小画像と、前記動画像のシーンより時間的に後ろのシーンに対応した縮小画像のいずれか一方を表示させるよう制御するステップ」を有する点で一致し、表示される縮小画像が、本願発明では圧縮して記録された縮小画像であることに対し、引用発明では記録された静止画像を縮小した縮小画像である点で相違する。

(4)表示された縮小画像を、前記動画像の進行に応じて更新させるよう制御するステップ
引用例の「サムネイル画像は、そのシーンの変わり目の時点に対応する位置に配置され、静止画像表示ウィンドウ171に表示される。シーン変わり目が短時間で発生する場合、サムネイル画像は、重ね合わせて表示される。再生される画像の表示が進むにつれて(時間が経過するに従って)、サムネイル画像の表示位置は、図中の右側から左側に移動する。」(【0092】)の記載から、引用発明は、表示された縮小画像を、前記動画像の進行に応じて更新させるよう制御しているといえるから、本願発明と引用発明とは「表示された縮小画像を、前記動画像の進行に応じて更新させるよう制御するステップ」を有する点で一致する。

(5)相違点の整理
上記のように、発明の構成に沿ってみていくと、記録する「静止画像」が、本願発明では「縮小画像」であることに対し、引用発明では「縮小画像」ではない点、静止画像の記録が、本願発明では「圧縮して」記録することに対し、引用発明では「圧縮して」記録するものではない点、および、表示される縮小画像が、本願発明では圧縮して記録された縮小画像であることに対し、引用発明では記録された静止画像を縮小した縮小画像である点が相違として認められるが、これらの相違を発明全体をみて整理すると、本願発明では、表示される縮小画像を圧縮して記録し、記録した縮小画像を表示することに対し、引用発明では、縮小する前の静止画像を記録し、記録された静止画像を縮小して、その縮小した縮小画像を表示するという相違であるということができる。

4.一致点相違点
以上の対比結果によれば、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
「動画像の所望のシーンを検索する際に利用する静止画像を記録するステップと、
前記動画像が表示される際に、少なくとも前記動画像のシーンより時間的に前のシーンに対応した縮小画像と、前記動画像のシーンより時間的に後ろのシーンに対応した縮小画像のいずれか一方を表示させるよう制御するステップと、
表示された縮小画像を、前記動画像の進行に応じて更新させるよう制御するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。」

[相違点]
本願発明では、表示される縮小画像を圧縮して記録し、記録した縮小画像を表示することに対し、引用発明では、縮小する前の静止画像を記録し、記録された静止画像を縮小して、その縮小した縮小画像を表示する点。

5.判断
(1)[相違点]について
原査定の拒絶の理由で引用する特許第3058333号公報(特にその第3頁5欄1?24行目等)にも示されるように、検索のために表示される縮小画像を、圧縮して記録し、記録した縮小画像を表示することは、周知の技術である。
引用発明において縮小画像を表示するのは検索のためであり、同じく検索のために表示される縮小画像を、圧縮して記録し、記録した縮小画像を表示する上記周知の技術を採用することは、当業者が容易に想到しうるということができる。そうすると、引用発明に上記周知の技術を採用することで、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうることである。

(2)効果等
上記のように、相違点に係る本願発明の構成は当業者が容易に想到しうるものであるところ、本願発明の作用効果も当業者が予測できることといえるから、本願発明は、引用例に記載された発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.結び
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項2ないし18に係る各発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-08 
結審通知日 2009-01-13 
審決日 2009-01-26 
出願番号 特願2003-160351(P2003-160351)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 恵一  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 小池 正彦
岩井 健二
発明の名称 画像処理方法、画像処理装置、画像記録再生装置、およびテレビジョン受像機  
代理人 ▲角▼谷 浩  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ