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審決分類 |
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G01B |
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管理番号 | 1194233 |
審判番号 | 不服2006-27617 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-12-07 |
確定日 | 2009-03-12 |
事件の表示 | 特願2002- 40421「異物検出装置、及び異物検出装置を用いた路面走行車両」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月27日出願公開、特開2003-240525〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年2月18日の出願であって、平成18年10月30日付け(送達:同年11月7日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月20日付けで明細書又は図面についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 その後、当審において平成20年8月11日付け審尋書により審尋をしたところ、請求人より同年10月16日付けで回答書の提出があった。 2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由1]目的要件違反 (1)補正の内容 本件補正前の特許請求の範囲は次のとおりである。 「【請求項1】光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、光を前記格子を介して照射する送光装置と、 光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、前記送光装置により照射される光の反射光を格子を介して受光し、この受光結果を画像処理することで、撮像視野範囲内のモアレ像を得る撮像装置とを備えたモアレ装置であって、 前記撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように、前記撮像装置の光軸を傾けるようにしたことを特徴とするモアレ装置。 【請求項2】前記撮像装置及び前記送光装置のうち少なくとも一方を、光軸の傾き角度を可変可能とすることを特徴とする請求項1記載のモアレ装置。 【請求項3】前記撮像装置の周辺に複数の送光装置を配置して、前記撮像装置の最大撮像視野範囲を覆うようにしたことを特徴とする請求項1記載のモアレ装置。 【請求項4】前記請求項1乃至3のいずれかに記載のモアレ装置を具備し、このモアレ装置により得られたモアレ像から凹形状または凸形状の物体を検出することを特徴とする異物検出装置。 【請求項5】前記請求項4に記載の異物検出装置を搭載した路面走行車両であって、 前記異物検出装置で得られた路面上の凹形状の物体または凸形状の物体の検出情報を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする路面走行車両。 【請求項6】測位衛星から信号を受信し、この受信信号に基づいて自装置の現在位置を計測する位置計測手段をさらに具備し、 前記記憶手段は、前記異物検出装置で得られた路面上の凹形状の物体または凸形状の物体の検出情報を、前記位置計測手段で得られた位置情報に対応付けて記憶することを特徴とする請求項5記載の路面走行車両。 【請求項7】自車両のタイヤの回転数を計測し、この計測結果から前記位置計測装置に対する位置補正値を求める位置補正手段をさらに具備し、 前記記憶手段は、前記異物検出装置で得られた路面上の凹形状の物体または凸形状の物体の検出情報を、前記位置計測手段で得られた位置情報及び前記位置補正手段で得られた位置補正値に対応付けて記憶することを特徴とする請求項6記載の路面走行車両。 【請求項8】自車両の周辺の状況を撮像する撮像手段をさらに具備し、 前記記憶手段は、前記異物検出装置で得られた路面上の凹形状の物体または凸形状の物体の検出情報を、前記位置計測手段で得られた位置情報及び前記撮像手段の撮像結果に対応付けて記憶することを特徴とする請求項6記載の路面走行車両。」(以下、「補正前の請求項1」、「補正前の請求項2」・・・「補正前の請求項8」という。) そして、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、光を前記格子を介して被検査面に照射する送光装置と、 光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、前記送光装置により照射される光の前記被検査面からの反射光を格子を介して撮像することで格子縞のモアレ像を得る撮像装置と、 前記撮像装置で得られるモアレ像に生じる歪みを前記被検査面上の凹形状または凸形状の物体として検出する検出手段とを具備することを特徴とする異物検出装置。」(以下、「補正後の請求項1」という。)に補正する補正事項を含むものである。 ところで、前記補正前の請求項1は、「撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように、前記撮像装置の光軸を傾けるようにした」構成を発明特定事項として含んでいる。 そして、補正前の請求項2?8は、いずれも請求項1に従属する請求項であるから、結局、補正前の請求項1?8はいずれも該構成を発明特定事項として含むものであるといえる。 これに対し、補正後の請求項1には該構成が含まれていない。 そして、該構成は「撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように、前記撮像装置の光軸を傾けるように」するとの所定の技術的意義を有するものである。 そうすると、前記補正前の請求項1?8のいずれかの請求項を補正後の請求項1とする本件補正は、上記所定の技術的意義を有する構成の削除を伴うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明であるともいえない。 (2)まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由2]独立特許要件違反 以上のとおり本件補正は却下されるべきものであるが、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについても検討しておく。 (1)引用例記載の事項・引用発明1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平3-6411号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項(a)ないし(d)が図面とともに記載されている。 (a)「即ち、レーザ発生器によって試験体との間に配置された格子板の格子模様を試験体上に照射し、カメラによって格子板を介して試験体上に照射された格子模様を記録することで、カメラ像としてモアレ縞を得ることができる。」(2頁右上欄末行?左下欄4行) (b)「表面欠陥記録装置2は、レーザ発生器3と、格子板4と、カメラ5と、これらを搭載する台車6とを備えている。」(2頁左下欄12行?14行) (c)「この場合、試験体1上に現れた指示模様10をカバーするように表面欠陥記録装置2を試験体1上の適当位置に配置し、レーザ発生器3からのビームが所定の領域を照射するようレーザビームの照射角度を調整する。また、試験体1上に照射された格子模様11を視野内に収められるようにカメラ5の角度を調整する。」(2頁右下欄3行?9行) (d)「第2図において、レーザー発生器3とカメラ5の間隔aと、レーザ発生器3と格子板4間の距離Lが定まっていると、格子板4の格子間隔pに従いレーザビームとカメラ5の光線が格子点を通るとき、格子板4から距離h1、h2、h3、h4という具合に、距離に応じて順次縞模様が形成される。従って、予めレーザ発生器3、カメラ5、格子板4の位置関係を知ると共に、格子板4と試験体1の距離を知れば縞模様の次数および縞模様間隔から三次元的な位置を知ることができる。」(2頁右下欄12行?3頁左上欄1行) 前記記載事項(a)における「レーザ発生器」及び「カメラ」は、いずれも光軸を有する光学装置であることを考慮すると、前記記載事項(a)?(c)及び第1図及び第3図から、 (イ)「レーザ発生器3の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3からのビームを前記格子板4を介して試験体1上に照射するレーザ発生器3及び格子板4」及び (ロ)「カメラ5の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3及び格子板4によって照射された格子模様を格子板4を介して受光し記録することでモアレ像を得るカメラ5及び格子板4」との技術事項が読みとれる。 前記記載事項(d)において、「縞模様の次数および縞模様間隔から試験体1の三次元位置を知ることができる」ことから、 ・試験体1表面上の(各点での)三次元位置を計算する手段を有すること、及び、 ・前記「縞模様」がカメラ5及び格子板4で得られるモアレ像を指すこと、はいずれも明らかである。 よって、前記記載事項(d)から、 (ハ)「カメラ5及び格子板4で得られるモアレ像から試験体1の表面上の三次元位置を計算する手段」との技術事項が読みとれる。 前記記載事項(b)から、 (ニ)「表面欠陥記録装置」との技術事項が読みとれる。 以上の技術事項(イ)ないし(ニ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。 「レーザ発生器3の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3からのビームを前記格子板4を介して試験体1上に照射するレーザ発生器3及び格子板4と、 カメラ5の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3及び格子板4によって照射された格子模様を格子板4を介して受光し記録することでモアレ像を得るカメラ5及び格子板4と、 前記カメラ5及び格子板4で得られるモアレ像から試験体1の表面上の三次元位置を計算する手段とを具備する表面欠陥記録装置。」(以下「引用発明1」という。) (2)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1における 「レーザ発生器3の光軸」、「レーザ発生器3からのビーム」、「試験体1」、「レーザ発生器3及び格子板4」、「カメラ5の光軸」、「カメラ5及び格子板4」、「照射された格子模様」、「受光し記録する」及び「モアレ像」は、 本願補正発明における 「光軸」、「光」、「被検査面」、「送光装置」、「光軸」、「撮像装置」、「照射される光の前記被検査面からの反射光」、「撮像する」及び「格子縞のモアレ像」にそれぞれ相当する。 また、引用発明1における「格子板4」は格子間隔Pを備えているから、本願補正発明における「一定間隔のピッチを有する格子」に相当する。 また、引用発明1において、試験体表面が平坦であるならば、モアレ像は一様に整列した縞模様となること、一方、試験体表面が凹凸形状を有していると、モアレ像は該凹凸形状に対応して歪んだ縞模様が得られることは、いずれも技術常識である。 このことを考慮すると、引用発明1における「カメラ5及び格子板4で得られるモアレ像」は、本願補正発明における「撮像装置で得られるモアレ像に生じる歪み」に相当するといえる。 また、引用発明1において、試験体表面上の形状は試験体表面上の三次元位置座標の集合で表現されること、及び、モアレ像に生じる歪みは試験体表面上の形状に対応するものであることを考慮すると、引用発明1における「モアレ像から試験体1の表面上の三次元位置を計算する」ことは、「モアレ像に生じる歪みを被検査面表面上の凹形状又は凸形状として検出する」ことにほかならない。 したがって、本願補正発明における「モアレ像に生じる歪みを前記被検査面上の凹形状または凸形状の物体として検出する」ことも、引用発明1における「モアレ像から試験体1の表面上の三次元位置を計算する」ことも、共に、「モアレ像に生じる歪みを被検査面上の凹形状又は凸形状として検出する」点で共通しているといえる。 さらに、本願補正発明における「異物検出装置」も、引用発明1における「表面欠陥記録装置」も、共に、「検出装置」である点で共通している。 したがって、両者は、 (一致点) 「光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、光を前記格子を介して被検査面に照射する送光装置と、光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、前記送光装置により照射される光の前記被検査面からの反射光を格子を介して撮像することで格子縞のモアレ像を得る撮像装置と、前記撮像装置で得られるモアレ像に生じる歪みを前記被検査面上の凹形状または凸形状として検出する検出手段とを具備する検出装置。」 で一致し、以下の点で相違している。 (相違点) 相違点1:被検査面上の凹形状または凸形状として検出する検出手段を具備する検出装置について、 本願補正発明では、被検査面上の凹形状または凸形状の物体として検出する検出手段を具備する異物検出装置であるのに対し、引用発明1では、試験体1の表面上の三次元位置(被検査面上の凹形状または凸形状)を検出する検出手段を具備する表面欠陥記録装置である点。 (3)判断 前記相違点について検討する。 一般に路面(「被検査面」に相当)上の湾曲や陥没内の凹凸(「凹形状または凸形状の物体」に相当)を光学的手段により検出する欠陥検出装置(「異物検出装置」に相当)は周知である(例えば、原審で引用された特開平10-260141号公報の特に段落【0020】?【0023】及び図2?5の記載を参照のこと)。 引用発明1は、被検査面上の凹凸形状に対応して生じるモアレ縞を記録するものであるから、被検査面上に凹形状または凸形状の物体があれば、該物体の表面形状に対応して生じるモアレ像の歪みを記録し得ること、そして、モアレ像の歪み具合から該物体を検出し得ることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 そうしてみると、引用発明1を、前記周知の被検査面上の凹形状または凸形状の物体の検出に適用して、本願補正発明の構成とすることに格別の創意を要するとはいえない。 そして、本願補正発明の効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 なお、審判請求人は平成20年10月16日付け回答書において、 「本件発明において、「モアレ」は連続的に変化する位相を検出するために用いているのではなく、すなわち、受信画像のモアレによる位相が連続的に変化することで生じる縞を利用するのではなく、光源からの距離によるモアレ像の変化、つまり、距離の違いによって位相が凹凸物で変化すること、位相がジャンプすると縞が急激に変化することを利用しているのであり、この点で本件発明は引用例と大きく異なる。 」旨主張している。 しかしながら、本願補正発明である本件補正後の請求項1には「モアレ像に生じる歪みを・・被検査面上の凹形状または凸形状の物体として検出する」と記載されているに止まり、モアレ像が示す位相のジャンプなるものを抽出する構成について特許請求の範囲には何ら記載されておらず、また、本件補正後の明細書の発明の詳細な説明又は図面にも記載されていない。 そして、モアレ像の歪みは、位相が凹凸物によってジャンプした場合に限らず、一般に被検査面上の凹凸形状によって生じることは前記「2.[理由2](2)」で説示したとおりである。 そうすると、「本件発明は、光源からの距離によるモアレ像の変化、つまり、距離の違いによって位相が凹凸物で変化すること、位相がジャンプすると縞が急激に変化することを利用している」旨の上記請求人の主張は、特許請求の範囲の記載はもとより、明細書の発明の詳細な説明又は図面の記載に基づくものともいえないから、採用することができない。 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、光を前記格子を介して照射する送光装置と、 光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、前記送光装置により照射される光の反射光を格子を介して受光し、この受光結果を画像処理することで、撮像視野範囲内のモアレ像を得る撮像装置とを備えたモアレ装置であって、 前記撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように、前記撮像装置の光軸を傾けるようにしたことを特徴とするモアレ装置。」(以下、「本願発明」という。) (1)引用例記載の事項・引用発明2 先に説示した引用例の記載事項(c)(2.[理由2](1)(c))から、 (ホ)「レーザ発生器3からのビームが照射した所定の領域の格子模様をカメラ5の視野内に収められるようにカメラ5の角度を調整するようにした」との技術事項が読みとれる。 そこで、前記2.[理由2](1)で説示した技術事項(イ)、(ロ)及び(ニ)並びに前記技術事項(ホ)を改めて総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されていると認められる。 「レーザ発生器3の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3からのビームを前記格子板4を介して試験体1上に照射するレーザ発生器3及び格子板4と、 カメラ5の光軸上に格子板4を配置し、レーザ発生器3及び格子板4によって照射された格子模様を格子板4を介して受光し、この受光を記録することで視野内のモアレ像を得るカメラ5及び格子板4とを備えた表面欠陥記録装置であって、 レーザ発生器3からのビームが照射した所定の領域の格子模様をカメラ5の視野内に収められるようにカメラ5の角度を調整するようにした表面欠陥記録装置。」(以下、「引用発明2」という。) (2)対比 本願発明と引用発明2とを対比する。 引用発明2における 「レーザ発生器3の光軸」、「格子板4」、「レーザ発生器3からのビーム」、「試験体1」、「レーザ発生器3及び格子板4」、「カメラ5の光軸」、「照射された格子模様」及び「カメラ5及び格子板4」が、 本願発明における 「光軸」、「一定間隔のピッチを有する格子」、「光」、「被検査面」、「送光装置」、「光軸」、「照射される光の反射光」及び「撮像装置」にそれぞれ相当することは前記「2.[理由2](2)対比」で説示したとおりである。 そして、引用発明2における 「この受光を記録する」、「視野内のモアレ像」、「所定の領域」及び「表面欠陥記録装置」は、 本願発明における 「この受光結果を画像処理する」、「撮像視野範囲内のモアレ像」、「照射範囲」及び「モアレ装置」にそれぞれ相当する。 また、引用発明2において、「レーザ発生器3からのビームが照射した所定の領域の格子模様をカメラ5の視野内に収められるように」調整する際、格子模様がカメラ5の視野範囲いっぱいに、すなわち、カメラ5の視野範囲が所定の領域の格子模様と略一致するように調整することは、当業者が実施する際、普通に採用する態様であることを考慮すると、 引用発明2における 「所定の領域の格子模様をカメラ5の視野内に収められるように」は、 本願発明における 「撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように」に相当するといえる。 さらに、本願発明における「撮像装置の光軸を傾けるように」することも、引用発明2における「カメラ5の角度を調整するように」することも、共に、「撮像光学系を傾けるように」する点で共通している。 してみると、両者は (一致点) 「光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、光を前記格子を介して照射する送光装置と、 光軸上に一定間隔のピッチを有する格子を配置し、前記送光装置により照射される光の反射光を格子を介して受光し、この受光結果を画像処理することで、撮像視野範囲内のモアレ像を得る撮像装置とを備えたモアレ装置であって、 前記撮像装置の撮像視野範囲が前記送光装置による光の照射範囲に略一致するように撮像光学系を傾けるようにしたモアレ装置。」 で一致し、以下の点で相違している。 (相違点) 傾ける撮像光学系について、 相違点2:本願発明では、一定間隔のピッチを有する格子を配置した撮像装置の光軸を傾けるようにしたのに対し、引用発明2では、格子板4(一定間隔のピッチを有する格子)はそのままで、カメラ5の角度を傾けるようにした点。 (3)判断 相違点2について、 一般に、モアレ装置において、撮像素子、レンズ、格子からなる受光光学系の光軸を測定対象面に対して傾けて配置することは周知である(例えば、特開平4-186553号公報、特に3頁右下欄下から5行?4頁右下欄14行及び第8図の記載を参照のこと)から、引用発明2において、カメラ5の角度を傾けることに代えて格子を配置した撮像装置全体の光軸を傾けるようにすることは、当業者が容易に想到し得るところといえる。 そして、本願発明の効果も引用発明2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明2及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-09 |
結審通知日 | 2009-01-13 |
審決日 | 2009-01-28 |
出願番号 | 特願2002-40421(P2002-40421) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01B)
P 1 8・ 572- Z (G01B) P 1 8・ 571- Z (G01B) P 1 8・ 574- Z (G01B) P 1 8・ 575- Z (G01B) P 1 8・ 573- Z (G01B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲うし▼田 真悟 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
山下 雅人 下中 義之 |
発明の名称 | 異物検出装置、及び異物検出装置を用いた路面走行車両 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 村松 貞男 |