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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1194314 |
審判番号 | 不服2008-15674 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-06-19 |
確定日 | 2009-03-12 |
事件の表示 | 特願2007- 3859「記録パラメータ設定装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、情報記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月 6日出願公開、特開2007-317343〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件審判の請求に係る特許願(以下「本願」という。)は、平成19年1月11日(優先権主張 平成18年4月28日)に出願されたものであって、平成20年5月15日付けで拒絶査定がされ、平成20年6月19日付けで拒絶査定不服審判が請求され、平成20年7月9日付けで手続補正がされた。 そして、本願請求項1乃至13に係る各発明は、平成20年7月9日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項1】 記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定装置であって、 後述する第1参照テーブルおよび第2参照テーブルから、前記記録情報に応じた記録パラメータを得て、前記記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定手段を備え、 (第1参照テーブル)前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、第1所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一の分類にされている、前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を格納するテーブル; (第2参照テーブル)前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、第2所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一に分類されている、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群を格納するテーブル; 前記第2所定記録マーク長は、前記第1所定記録マーク長よりも長い記録マーク長であることを特徴とする記録パラメータ設定装置。」(以下「本願発明」という。) 2.刊行物及びその記載 これに対して、拒絶査定の理由に引用された刊行物である特開2003-242646号公報(平成15年8月29日公開、以下「刊行物」という。)には、【0011】【0012】等に、光ディスクの記録マークは光照射による熱エネルギーでの記録のため、通常記録開始点よりも記録終了点の方がマークの幅が太くなる傾向があるとし、従来の記録マークの形状を制御する技術では、EFM plusのように10種類ものマーク長が存在する変調方式に対しては、具体的にどうすればよいかということが窺い知れないとし、追記型光ディスク、特にDVD-Rにおいて、良好な記録マークの形成とLPP情報の正確な読み出しを両立させることを目的としてなされた情報記録媒体の記録方法及び情報記録再生装置に関する発明について、以下の記載がある。 (i)「【0025】図1は、本願発明の記録ストラテジの概略図を示す。縦軸はレーザの出力レベルに比例している。特徴的なのは、3T、4T、5Tの長さのマークを記録する場合は、ひとつのパルスを使用しており、それ以上の長さのマークを記録するときにはn-4個のパルスを使用していることである。また、6T以上のマークを用のパルスは4Tの長さからなるファーストパルス部と、(n-6)Tからなるマルチパルス部(6Tの場合存在せず)、2Tの長さからなるラストパルス部によって構成されていることも特徴である。パラメータのセットは5つで、記録すべきNRZI信号の始まりからファーストパルスの立ち上がりまでの時間を制御するTstart、ファーストパルスの立ち下がり位置を制御するTfe、マルチパルス部のパルス幅を制御するTmp、ラストパルスの立ち上がり位置を制御するTls、ラストパルスの立ち下がり位置を制御するTendである。Tmp以外の幅ではなく位置を制御するパラメータは、ファーストパルス部またはラストパルス部の始めまたは終わりを起点としており、図の右方向に位置が動く場合をプラスの方向としている。」 (ii)「【0035】以上見てきたように、本願発明のTmpはモジュレーションを調整するためだけに存在し、前後エッジに熱的影響を与えないので、いろいろな形態が考えられる。例えば、Tmpの位置を平行移動したストラテジや、数個のTmpをまとめてひとつのTmpにしてしまうストラテジ(5T以下はひとつのパルス、6Tはふたつのパルス、それ以上は3つのパルスで記録する)等が考えられる。また、当然、ファーストパルスとラストパルスの間を両パルスと異なる記録パワレベルで結ぶといったストラテジも考えられる。」 (iii)「【0044】(実施例1)記録媒体として対象となるDVD-Rディスクに対して、図1に示す記録ストラテジで記録を行ない、その後再生した。記録線速は4倍速相当の13.96m/s、チャネルクロックは104.64MHzである。記録後、再生は1倍速相当の線速3.49m/s、チャネルクロックは26.16MHzで行なった。Tmpに対するマージンを測定したのが、図9であるが、非常に広いマージンが得られていることがわかる。また、図10にTmpに対するモジュレーションとLPPのエラーレートの関係を示す。Tmpを0.5T以下にするとLPPのエラーが良好になることがわかる。また、図9よりTmpが0.5T近傍では良好なジッタが得られていることも再確認できる。なお、本実施例で用いた5つのパラメータは図11のとおりである。また、最適な記録パワは18mW程度であった。 【0045】以上より、本願発明により、高線速記録時においても良好なジッタと良好なLPP再生が両立できるようになった。」 (iv) 【図11】 (v)「【0049】(実施例3)記録媒体として対象となるDVD-Rディスクに対して、図13に示す記録ストラテジで記録を行ない、その後再生した。このストラテジは図1のストラテジにおける7T以上のマルチパルス部を複数のパルスではなく、ひとつのパルスで記録するように変更したものである。したがって、マルチパルス部のパラメータとして、Tmpの代りにTmsとTmeを使用している。Tmsはマルチパルス部のパルスの立ち上がり位置を意味し、Tmeはマルチパルス部のパルスの立ち下がり位置を意味する。8T以上のマルチパルス部のパルスはマークが長くなる毎に、1Tづつ伸びていき、マルチパルス部に存在するパルスはひとつになるようになっている。記録線速は4倍速相当の13.96m/s、チャネルクロックは104.64MHzである。記録後、再生は1倍速相当の線速3.49m/s、チャネルクロックは26.16MHzで行なった。実施例1と同様の結果が得られ、本願発明の有効性が確認された。なお、使用したパラメータは図14の通りである。また、最適な記録パワは18mW程度であった。」 (vi) 【図14】 (vii)「【0056】図17に示すように、本願発明の情報記録再生装置は、光ディスク媒体とLD駆動系とLDからなる記録手段と、光検出器からなる情報再生手段と、記録条件又は再生条件を設定する記録再生条件設定機構からなる。記録再生条件設定機構は再生信号を検出する部分と、その再生信号から記録再生条件を設定する部分と、その設定した記録再生条件を実行する部分とからなる。設定された記録再生条件をもとにLD駆動系がLDを発光させる。光ディスクはスピンドル駆動系により回転させられ、光ディスクに記録されている情報はLDにより照射された光の反射光として、対物レンズを通り、光検出系で検出される。光検出系で検出された情報は再生信号として、上位の処理系に送られる。その際、再生信号は記録再生条件設定機構にも配分され、記録再生条件設定機構はその情報をもとに記録再生条件を点検することができる。点検した情報を用いて、記録再生条件を変更するなどすれば、より良い記録再生が行なえることになる。記録条件設定機構により本願発明の様々な記録方法が実現される。本願発明の情報記録再生装置は非常に信頼性の高い記録再生を行なうことができる。」 上記(i)の【0025】において、 「特徴的なのは、3T、4T、5Tの長さのマークを記録する場合は、ひとつのパルスを使用しており、それ以上の長さのマークを記録するときにはn-4個のパルスを使用していることである。また、6T以上のマークを用のパルスは4Tの長さからなるファーストパルス部と、(n-6)Tからなるマルチパルス部(6Tの場合存在せず)、2Tの長さからなるラストパルス部によって構成されていることも特徴である。」(審決注:「6T以上のマークを用のパルス」は「6T以上のマーク用のパルス」乃至「6T以上のマークの記録に用いるパルス」と解し得る。)、 「パラメータのセットは5つで、記録すべきNRZI信号の始まりからファーストパルスの立ち上がりまでの時間を制御するTstart、ファーストパルスの立ち下がり位置を制御するTfe、マルチパルス部のパルス幅を制御するTmp、ラストパルスの立ち上がり位置を制御するTls、ラストパルスの立ち下がり位置を制御するTendである。Tmp以外の幅ではなく位置を制御するパラメータは、ファーストパルス部またはラストパルス部の始めまたは終わりを起点としており、図の右方向に位置が動く場合をプラスの方向としている。」 と記載されたうちの、ファーストパルスの立ち上がりまでの時間を制御する「Tstart」とラストパルスの立ち下がり位置を制御する「Tend」について、上記(iv)の【図11】、(vi)の【図14】をみると、 「Tstart」が、両図とも、マーク長3T、4Tと増加しているのに対して、マーク長5T以上(「>7T」、「>8T」が最大マーク長を含むことは自明)で、「1.5」という一定値が、又、「Tend」について、両図とも、マーク長3T?5Tで増加しているのに対して、マーク長6T以上で、「-0.2」の一定値が用いられ、中間パルス部は6Tからみられるとしてマルチパルスは7Tから設定されていることは明らかである。 そこで、各パラメータが、いずれも、記録再生条件設定機構で用いられ、設定されることを考慮して、以上の摘示事項を、特に【図17】【図11】【図14】を参照して整理すると、刊行物には、以下の発明が記載されているものと認める。 「光ディスク媒体と、 LD駆動系とLDからなる記録手段と、 光検出器からなる情報再生手段と、 記録条件又は再生条件を設定する記録再生条件設定機構を備える情報記録再生装置であって、 記録再生条件設定機構は、再生信号を検出する部分と、その再生信号から記録再生条件を設定する部分と、その設定した記録再生条件を実行する部分とからなり、 設定された記録再生条件をもとにLD駆動系がLDを発光させ、 光ディスクに記録されている情報はLDにより照射された光の反射光として、光検出系で検出され、 光検出系で検出された情報は再生信号として、上位の処理系に送られ、その際、再生信号は記録再生条件設定機構にも配分され、記録再生条件設定機構はその情報をもとに記録再生条件を点検することができ、点検した情報を用いて、記録再生条件を変更するようにしたものであって、 3T、4T、5Tの長さのマークは、一つのパルスを使用して記録し、それ以上の長さのマークを記録するときには、n-4個のパルスを使用して記録し、6T以上のマークに用いるパルスは、4Tの長さからなるファーストパルス部と、(n-6)Tからなるマルチパルス部(6Tの場合存在せず)と、2Tの長さからなるラストパルス部によって構成し、 記録再生条件設定機構で、 記録時に設定される各種パラメータのうち、記録すべきNRZI信号の始まりからファーストパルスの立ち上がりまでの時間を制御するTstartとラストパルス部の終わりを起点としたラストパルスの立ち下がり位置を制御するTendについて、 (図11及び図14に示されるように、) Tstartとして、3T、4Tのマーク長に対してはマーク長に応じて異なる値、5T以上のマーク長に対して、一定の値(1.5)、 Tendとして、3T、4Tのマーク長に対してはマーク長に応じて異なる値、6T以上のマーク長に対して、一定の値(-0.2) を用いて設定する情報記録再生装置。」(以下「刊行物記載の発明」という。) 3.対比・判断 〔対比〕 本願発明と刊行物記載の発明とを対比する。 (a) いずれの発明も、光ディスクへの情報記録に際して、良好な記録マークを形成しようとする点で共通する。 (b) 本願発明における、前後の各「エッジの熱を制御するための記録パラメータ」と刊行物記載の発明における「Tstart」と「Tend」との関係について、 本願明細書【0083】の「図7は、記録マークを形成し終わる位置である後エッジの熱を制御するための参照テーブルとして、記録パルスパラメータである終端パルスの立下り位置dTlpの参照テーブルを示している。」なる記載、【0084】の「図11は、記録マークを形成し始める位置である前エッジの熱を制御するための参照テーブルとして、記録パルスパラメータである先頭立上り位置dTtopの参照テーブルを示している。」なる記載からみて、本願明細書又は図面において、それぞれ、「dTtop」と「dTlp」とされたパラメータが、本願発明における各記録パラメータに対応する。 「dTtop」と「dTlp」については、更に、本願明細書又は図面の【0070】及び【図5】の記載をみると、「dTtop」は、「各記録マーク長に対応する記録情報の立上り位置(0から1になる位置)を基準とした時間で設定され」とされ、その前後関係はともかく、記録情報の立ち上がり位置から先頭パルスの立ち上がり位置までの時間に相当する値であり、又、「dTlp」は、「各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置(1から0になる位置)を基準とした時間で設定される。」とされており、同様に、その前後関係はともかく、記録情報の立下がり位置から終端パルスの立下がり位置までの時間に相当する値である。 (c) 一方、刊行物記載の発明では、「Tstart」について、「記録すべきNRZI信号の始まりからファーストパルスの立ち上がりまでの時間を制御するTstart」としており、「記録すべきNRZI信号の始まり」が、「記録情報の立ち上がり位置」に、「ファーストパルス」が、「先頭パルス」に相当することは、自明であるから、刊行物記載の発明における「Tstart」が、本願明細書又は図面でいう「dTtop」、即ち、本願発明における「前エッジの熱を制御するための記録パラメータ」に相当していることは明らかである。 (d) 又、刊行物記載の発明で、「Tend」について、「ラストパルス部の終わりを起点としたラストパルスの立ち下がり位置を制御するTend」としており、 「6T以上のマークに用いるパルスは、4Tの長さからなるファーストパルス部と、(n-6)Tからなるマルチパルス部(6Tの場合存在せず)、2Tの長さからなるラストパルス部によって構成」されているのであるから、6T以上の各マークについては、その長さは、各パルス部の長さの総和に相当し、パルス部の最後に位置する「ラストパルス部」の終わりが、「NRZI信号の終わり」、即ち、「各記録マーク長に対応する記録情報の立下り位置(1から0になる位置)」に相当することは明らかであり、刊行物記載の発明における「ラストパルス部の終わりを起点としたラストパルスの立ち下がり位置を制御するTend」とされた「Tend」が、本願明細書又は図面でいう「dTlp」で、本願発明における「後エッジの熱を制御するための記録パラメータ」に相当することは明らかである。 (e) 刊行物の記載で、上記2.(ii)【0035】の「以上見てきたように、本願発明のTmpはモジュレーションを調整するためだけに存在し、前後エッジに熱的影響を与えないので、・・・」なる記載からみても、「Tmp」以外の「Tstart」、「Tend」が、前後のエッジに熱的影響を与え、前後のエッジの熱を制御するためのパラメータであることは明らかである。 したがって、刊行物記載の発明において「Tstart」、「Tend」の各パラメータを設定する記録再生条件設定機構が、本願発明における記録パラメータ設定装置に対応する。 (f) 前エッジの熱を制御するための記録パラメータについて、 本願発明では、前エッジの熱を制御するための記録パラメータ(「dTtop」)は、第1参照テーブル、即ち、「記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、第1所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一の分類にされている、記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群として格納するテーブル」とされた「テーブル」に格納されるものとされている。 「分類する」という同類のものをまとめる情報操作態様、又、「テーブル」という情報保持(格納)態様は、結局、所定記録マーク長から最大の記録マーク長までの各マーク長に対して、同一のパラメータ値を対応させ、設定に用いていることに他ならない。 刊行物記載の発明におけるパラメータ「Tstart」も、5Tのマーク長から最大のマーク長までの各マーク長に対して、同一のパラメータ値を対応させ、設定しており、この点で、本願発明との差異はなく、刊行物記載の発明における「5Tのマーク長」が、本願発明における「第1所定記録マーク長」に相当することは明らかである。 (g) 後エッジの熱を制御するための記録パラメータについて、 本願発明では、後エッジの熱を制御するための記録パラメータ(「dTlp」)は、第2参照テーブル、即ち、「記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じて分類されているとともに、第2所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一の分類にされている、記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群として格納するテーブル」とされた「テーブル」に格納されるものとされている。 「分類する」という同類のものをまとめる情報操作態様、又、「テーブル」という情報保持(格納)態様は、結局、所定記録マーク長から最大の記録マーク長までの各マーク長に対して、同一のパラメータ値を対応させ、設定に用いていることに他ならない。 刊行物記載の発明におけるパラメータ「Tend」も、上記パラメータ「Tstart」が同一となる「第1所定記録マーク長」に相当する「5Tのマーク長」より長い、6Tのマーク長から最大のマーク長までの各マーク長に対して、同一のパラメータ値を対応させ、設定しており、この点で、本願発明との差異はなく、刊行物記載の発明における「6Tのマーク長」が、本願発明における「第2所定記録マーク長」に相当する。 (h) 記録パラメータが「群」を構成することについて、 刊行物記載の発明において、各パラメータの個々の値は、記録する記録情報に応じて各マークを形成する際、形成すべき記録マークの長さのそれぞれに対応して設けられる値であり、全体として、「パラメータ群」を構成していることは明らかであるから、記録情報に応じた記録マークを形成する際、各パラメータ群から、記録情報、即ち、記録マーク長に対応するパラメータを得て、記録再生条件設定機構で設定をするものである。 本願発明においても、第1参照テーブルおよび第2参照テーブルから、記録パラメータを得るとされてはいるが、結局、各テーブルに格納された「記録パラメータ群」から、記録情報に応じた記録パラメータを得ていることは明らかであり、この点で、両発明に差異はない。 結局、本願発明と刊行物記載の発明の[一致点]及び[相違点]は以下のとおりである。 [一致点] 「記録情報に応じて情報記録媒体に記録マークを形成するための記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定装置であって、 後述する第1(記録パラメータ群)および第2(記録パラメータ群)から、前記記録情報に応じた記録パラメータを得て、前記記録パラメータの設定を行う記録パラメータ設定手段を備え、 (第1(記録パラメータ群))前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じているとともに、第1所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一にされている、前記記録マークのうちの前エッジの熱を制御するための記録パラメータ群; (第2(記録パラメータ群))前記記録情報のうちの少なくとも記録マーク長に応じているとともに、第2所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一にされている、前記記録マークのうちの後エッジの熱を制御するための記録パラメータ群; 前記第2所定記録マーク長は、前記第1所定記録マーク長よりも長い記録マーク長である記録パラメータ設定装置。」 [相違点] イ.各(記録パラメータ群)の保持態様について、本願発明が、それぞれ、第1参照テーブル及び第2参照テーブルなるテーブルに格納し、したがって、記録パラメータ設定手段は、「第1参照テーブルおよび第2参照テーブル」からなるテーブルより、記録情報に応じた記録パラメータを得るとしているのに対して、刊行物記載の発明では、保持態様について不明である点。 ロ.各(記録パラメータ群)の各記録パラメータに対する情報操作について、本願発明が、「記録マーク長に応じて分類」し、したがって、「第1/第2所定記録マーク長から最大の記録マーク長は同一の/に分類」しているのに対して、刊行物記載の発明では、分類なる同類のものをまとめる情報操作については不明な点。 〔判断〕 -相違点イ.について- 上記(2.(iv)(vi))の【図11】【図14】にもみられるように、刊行物記載の発明の実施例において、「Tstart」「Tend」の各パラメータは、各マーク長と各パラメータとの関係を表形式(テーブル形式)で記載されている。 又、光ディスク記録装置において、記録パラメータを各マーク長に対応させて、「(参照)テーブル」として記憶・格納することは、本願明細書に先行例として提示された特開2005-92942号公報((平成17年4月7日公開)、特に【0047】等参照)他に特開2000-231719号公報((平成12年8月22日公開)特に【0067】【0160】【0169】【図4】【図19】【図24】等参照)、特開2000-298834号公報((平成12年10月24日公開)、特に【0023】【0024】【0048】等参照)、特開2005-92952号公報((平成17年4月7日公開)、特に【0064】?【0066】【図8】等参照)等において周知技術である。 テーブル形式で記載された刊行物記載の発明における「Tstart」、「Tend」の各記録パラメータについても、それぞれ、各マーク長に対応させて、「(参照)テーブル」として記憶・格納すること、したがって、記録パラメータ設定手段が、参照テーブルなる各テーブルから、記録情報に応じて記録パラメータを得るようにすることは、当業者であれば、格別の発明力を要すことなく、必要に応じて、適宜に採用し得る範囲内のことと認める。 -相違点ロ.について- 本願発明の「分類」するなる同類のものをまとめる情報操作について、本願明細書又は図面では、【0012】に、「なお、上記分類とは、記録マーク長に従ったまとまりであって、具体的には、1つのくくりにまとめられた記録マーク長に対応する記録パラメータに対して共通の値、または共通の変化量が与えられていることを言う。」とされている。 本願発明は、分類操作の対象となる情報内容が、「記録マーク長」と「記録パラメータ」という技術的事項にある点で特徴があるということができるとしても、同類のものをまとめる情報操作の結果、「1つのくくりにまとめられた記録マーク長に対応する記録パラメータに対して共通の値、または共通の変化量が与えられていること」とするものであって、その同類のものをまとめる操作態様自体に特段の工夫がなされているとは認められない。 刊行物記載の発明における「Tstart」「Tend」の各パラメータも、上記(2.(iv)、(vi))したように、【図11】【図14】で、各マーク長とパラメータとの関係を表形式(テーブル形式)で記載されており、パラメータ「Tstart」「Tend」は、それぞれ、各マーク長毎に整理されているといえ、更に、 Tstartについては、5T以上のマーク長に対して、一定の値(1.5)、 Tendについては、6T以上のマーク長に対して、一定の値(-0.2) という「共通の値」が与えられており、この点で、本願発明と差異がないことは、上記3.〔対比〕(c)(d)に記載したとおりである。 5T以上のマーク長、6T以上のマーク長が、それぞれ、「1つのくくりにまとめられる」ことは自明であり、結局、刊行物記載の発明の実施形態には、「分類」するなる同類のものをまとめる 情報操作についての用語表現がなされてはいないとしても、結果的に、刊行物記載の発明における記録パラメータも、各マーク長に応じて分類されているとみることもできる。 しかも、光ディスク装置において、記録パラメータを記録マーク長に応じて「分類」し、(参照)テーブルとして、格納することは、本願明細書での先行例として提示された特開2005-92942号公報((平成17年4月7日公開)の【0047】等参照)、他に特開2000-231719号公報((平成12年8月22日公開)、特に【請求項4】?【請求項9】【0071】【0160】【0167】【図4】【図19】【図24】等参照)等において周知技術である。 刊行物記載の発明においても、各パラメータをマーク長に応じて分類し、テーブルに格納することは、当業者であれば、格別の発明力を要すことなく、必要に応じて、適宜に採用し得る範囲内のことと認める。 そして、上記各相違点についての判断を総合しても本願発明の奏する効果は刊行物に記載された発明及び周知技術から当業者が十分に予測可能なものであって格別のものではない。 結局、本願の請求項1に係る発明は、刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-08 |
結審通知日 | 2009-01-13 |
審決日 | 2009-01-27 |
出願番号 | 特願2007-3859(P2007-3859) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中野 浩昌 |
特許庁審判長 |
江畠 博 |
特許庁審判官 |
山田 洋一 吉川 康男 |
発明の名称 | 記録パラメータ設定装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、情報記録媒体 |
代理人 | 特許業務法人原謙三国際特許事務所 |