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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1194588
審判番号 不服2006-2924  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-16 
確定日 2009-03-19 
事件の表示 特願2001-205911「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月15日出願公開、特開2002- 11139〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年8月8日に出願された特願平9-215092号の一部を、平成12年4月12日に新たな特許出願とした特願2000-110613号の一部を、平成13年7月6日に新たな特許出願とした特願2001-205911号であり、平成18年1月11日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年2月16日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。
請求人は、審判請求後の平成18年3月3日付で手続補正をしたが、当審では平成20年9月9日付で同手続補正を却下するとともに、同日付で拒絶理由を通知して、それに対して平成20年11月14日付で手続補正がなされたものである。

2.本願発明について
【1】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成20年11月14日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
前面に操作パネルが設けられた筐体と、前記筐体の前記操作パネルの上方に設けられたゲームの進行を行う主表示手段と、
前記操作パネル内に設けられた前記ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う副表示手段とを備え、
前記操作パネルには、さらにゲーム用のメダルおよび/又は紙片の挿入部と、ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部と、プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段とが設けられ、
前記操作部材からの信号に基づいて、前記主表示手段にて表示される前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段を有し、
前記操作部と前記副表示手段用入力手段とが、前記操作パネル内で互いに離間して配置されており、
操作頻度の高い入力機能が前記操作部材に割り当てられ、操作頻度の低い入力機能が前記副表示手段用入力手段に割り当てられることを特徴とするスロットマシン。」(以下、「本願発明」という。)

【2】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
当審で通知した平成20年9月9日付の拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特開平6-285257号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1-1)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 単一の台で複数種のゲームのうちのいずれかを選択して実行することが可能な電子複合遊戯機であって、
操作領域内の接触位置を検出する接触位置検出手段を備えた表示操作板と、
選択されたゲームの進行に必要な複数種のスイッチの画像を前記表示操作板上の操作領域内に表示して接触スイッチを生成するスイッチ生成手段と、
前記スイッチ生成手段により生成される各接触スイッチにゲームの進行に必要な特定の機能を設定する機能設定手段と、
前記接触位置検出手段により検出された接触位置から操作された接触スイッチを判別して特定する判別手段とを備えて成る電子複合遊戯機。
【請求項2】 前記表示操作板またはその近傍には、ジョイスティックが配備され、前記機能設定手段は、前記スイッチ生成手段により生成された各接触スイッチおよび前記ジョイスティックにゲームの進行に必要な特定の機能を設定する請求項1に記載された電子複合遊戯機。
・・・
【請求項6】 各ゲームは、台に設けられた複数個のリールによって実行される請求項1に記載された電子複合遊戯機。」
(1-2)
「【0016】・・・請求項6の発明では、スロットマシンにおけるゲーム展開を多様化することが可能となる。」
(1-3)
「【0017】
【実施例】図1は、この発明の一実施例にかかる電子複合遊戯機1の外観を示す。この電子複合遊戯機1は、機体の前面にCRT2,ゲーム情報表示部3,操作台4,メダル投入口5,メダル排出口6,メダル受け皿7などが設けられた構造のものである。」
(1-4)
「【0020】前記操作台4には、実行するゲームの選択、および選択されたゲームの進行に必要な操作を行うための表示操作板8が嵌め込まれている。この表示操作板8は、図2に示すように、スイッチ表示板9,タッチパネル10,カバー枠11を順に上へ重ね合わせて構成されており、・・・」
(1-5)
「【0022】前記スイッチ表示板9は液晶表示板であって、ゲームの選択時および各ゲームの実行時に、複数のスイッチ画像を所定の位置に表示する。各スイッチ画像は接触スイッチ(以下、単に「スイッチ」という)を構成するもので、各スイッチには制御部39によりゲームの進行に必要な特定の機能が設定される。・・・
【0023】図3(1)?(5)は、前記表示操作板8上の所定の位置に特定の操作機能を有するスイッチを生成した例を示す。まず図3(1)は、ゲーム選択時の状態であって、表示操作板8にはこの電子複合遊戯機1が実行できる4種類のゲームA?Dのいずれかを選択するためのスイッチ13?16が生成されている。各スイッチ13?16は、異なる色彩の矩形枠内にゲーム名を表して成る画像をもって構成されるもので、いずれかスイッチの位置に指先を接触すると、そのスイッチに表されたゲーム名のゲームが選択されるようになっている。
【0024】図3(2)(3)(4)(5)は、それぞれゲームA,B,C,Dが選択されたときの状態を示すもので、前記スイッチ表示板9には、選択されたゲームの進行に必要な複数のスイッチ17a?17c,18a?18e,19a?19e,20a?20hがそれぞれ生成される。」
(1-6)
「【0030】図5は、操作台4に、前記表示操作板9の他にジョイスティック35を設けた例を示す。前記ジョイスティック35は、戦闘ゲームなどにおいて対象物の方向決めを行う操作に用いられるもので、・・・」
(1-7)
「【0032】なお、前記ジョイスティック35は複数個設置することも可能であり、また上述したような収容部32やカバー体34は、必ずしも設ける必要はない。さらにこのジョイスティック35以外に、ハンドルやレバーなどを設置して、選択されたゲームに応じて、使用するようにしてもよい。」
(1-8)
「【0033】図6は、上記電子複合遊戯機1の電気的構成を示す。制御部39は、制御、演算の主体であるCPU40にバス41を介してROM42やRAM43が接続されたものである。この制御部39には2個の画像メモリ44,45,CRTコントローラ46,表示操作板コントローラ47,CRT2,スイッチ表示板9,タッチパネル10などが接続されている。」
(1-9)
「【0036】またCPU40は、タッチパネル10より押圧点のX座標位置およびY座標位置の各情報を取り込んで、いずれのスイッチが押操作されたかを判断する。」
(1-10)
「【0037】なお、ジョイスティック35を用いた図5に示した実施例については、ジョイスティック35の操作方向を検出するためのスイッチが前記バス41に接続される。」
(1-11)
「【0041】遊戯者によりいずれかのスイッチが押操作されると、ステップ4が「YES」となって、CPU40はつぎのステップ5で選択されたゲームの実行プログラムを前記ROM42から読み出し、ステップ6でCRT2の表示画面に該当するゲーム画面を表示させる。」
(1-12)
図1には、機体の前面であって、操作台4の上方にゲーム画面を表示するCRT2が設けられることが記載されている。

上記の記載(1-1)?(1-12)及び図面によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「前面に操作台4が設けられた機体と、前記機体の前記操作台4の上方に設けられたゲーム画面を表示するCRT2と、
前記操作台4に液晶表示板であるスイッチ表示板9、タッチパネル10、カバー枠11を順に上へ重ね合わせた表示操作板8を嵌め込むと共に前記機体前面にメダル投入口5を備え、
スイッチ表示板9には複数のスイッチ画像が表示され、遊戯者によりいずれのスイッチが押操作されたかを判断する判別手段とを備え、ゲーム選択時にスイッチ表示板9には電子複合遊戯機1が実行できる4種類のゲームA?Dのいずれかを選択するためのスイッチ13?16が生成され、いずれかスイッチの位置に指先を接触すると、そのスイッチに表されたゲーム名のゲームが選択されると共に前記スイッチ表示板9には選択されたゲームの進行に必要な複数のスイッチ17a?17c、18a?18e、19a?19e、20a?20hがそれぞれ生成され、遊戯者によりゲームの進行に必要ないずれかのスイッチが押操作されると、CPU40はCRT2の表示画面に該当するゲーム画面を表示させる電子複合遊戯機。」(以下、「引用発明」という。)

[2]対比
引用発明は、上記[1]に示した如くのものである。
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「操作台4」は本願発明の「操作パネル」に相当し、同様に、「機体」は「筐体」に、「ゲーム画面を表示する」は「ゲームの進行を行う」に、「CRT2」は「主表示手段」に、「メダル投入口5」は「ゲーム用のメダル」「の挿入部」にそれぞれ相当する。
引用発明の液晶表示板である「スイッチ表示板9」は、主表示手段に相当するCRT2とは別の表示手段であるから、本願発明の「副表示手段」に相当する。
引用発明によって実行されるゲームはスロットマシンであるから、引用発明を「スロットマシン」と称することができ、さらに引用発明について以下のことがいえる。
(1)引用発明の「副表示手段(スイッチ表示板9)」は、「操作パネル(操作台4)」に嵌め込まれた表示操作板8の一部をなすものであるから、これを、「操作パネル内に設けられた」ということができる。
(2)引用発明は、「遊戯者によりゲームの進行に必要ないずれかのスイッチが押操作されると、CPU40はCRT2の表示画面に該当するゲーム画面を表示させる」ものであって、引用発明の「CPU40」は本願発明の「ゲーム進行制御手段」に相当するから、引用発明は、スイッチ表示板9の他に設けた操作手段からの信号に基づいているかどうかは別にして、遊戯者のスイッチ操作に基づいて、主表示手段(CRT2)にて表示されるゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段(CPU40)を有するということができる。

[3]一致点・相違点
したがって、本願発明と引用発明とは、
「前面に操作パネルが設けられた筐体と、前記筐体の前記操作パネルの上方に設けられたゲームの進行を行う主表示手段と、
前記操作パネル内に設けられた副表示手段とを備え、
前記操作パネルには、さらにゲーム用のメダルの挿入部が設けられ、
前記主表示手段にて表示される前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段を有する、スロットマシン。」である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点;
相違点(A)
副表示手段について、本願発明は、「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う」のに対し、引用発明は、そのような表示を行うものではない点。

相違点(B)
本願発明は、操作パネルに、「ゲーム用のメダルおよび/又は紙片の挿入部」を備えるのに対し、引用発明は、機体前面に「ゲーム用のメダル」「の挿入部」に相当する「メダル投入口5」を備えるものの、「操作パネル」に設けるものではない点。

相違点(C)
本願発明は、操作パネルに、「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部」が設けられるのに対し、引用発明は同部材を設けるものではない点。

相違点(D)
本願発明は、操作パネルに、「プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段」が設けられるのに対し、引用発明は、操作パネルに、当該手段を設けるものではない点。

相違点(E)
ゲーム進行制御手段によるゲームの進行制御について、本願発明は、「(前記)操作部材からの信号に基づいて」制御が行われるのに対し、上記相違点(C)で挙げた如く、引用発明は操作部材を設けるものではないため、操作部材からの信号に基づいて制御が行われるものとはいえない点。

相違点(F)
本願発明は、「前記操作部と前記副表示手段用入力手段とが、前記操作パネル内で互いに離間して配置されている」と共に「操作頻度の高い入力機能が前記操作部材に割り当てられ、操作頻度の低い入力機能が前記副表示手段用入力手段に割り当てられる」のに対し、引用発明はそのような構成を備えるものではない点。

[4]相違点の判断
(1)相違点(A)について。
スロットマシンの実績を把握するためのデータを、操作部の近傍にて表示することは、例えば特開平4-371179号公報、実公平5-27984号公報、実公平3-37673号公報に見られるように従来周知の技術であって、当該実績を把握するためのデータの表示を、「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示」ということができる。
引用発明の「副表示手段(スイッチ表示板9)」は、「ゲーム選択時に」「電子複合遊戯機1が実行できる4種類のゲームA?Dのいずれかを選択するためのスイッチ13?16」及び「選択されたゲームの進行に必要な複数のスイッチ17a?17c、18a?18e、19a?19e、20a?20h」といったスイッチ画像を表示することを意図したものではあるけれども、スイッチ画像以外を表示してはならない理由は見あたらない。そうである以上、上記周知技術を採用して、引用発明の「副表示手段(スイッチ表示板9)」に、「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う」ことは、単なる周知技術の付加にすぎず、上記相違点(A)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点(B)について。
引用文献1の【図1】及び【図5】には、メダル投入口5が前方に位置するものが図示されており、これによれば、水平方向にメダルを投入すると解されるが、鉛直方向にメダルを投入するスロットマシンも例を挙げるまでもなく周知であるから、引用発明のメダル投入口の位置を、操作台上面に変更することは設計変更というべきである。
よって、上記相違点(B)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)相違点(C)について。
引用文献1には、前記[1](1-6)、(1-7)に摘記したとおり、「操作パネル(操作台4)」に、ジョイスティック、ハンドル、レバーなどを設置して、選択されたゲームに応じて使用してもよい旨記載されている。そして、これらジョイスティック、ハンドル、レバーなどは、スロットマシンを意識して記載されたものと認めることはできないが、引用発明においてスロットマシンが選択される場合があることから、スタート部材をレバーで構成するというスロットマシンにおける周知技術を付加して、引用発明の「操作パネル(操作台4)」に、スタート部材としてのレバー(本願発明の「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部」に相当する。)を設ける構成とすることは、単なる周知技術の付加および設計変更にすぎない。
したがって、上記相違点(C)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(4)相違点(D)について。
引用発明の「副表示手段(スイッチ表示板9)」に表示される「複数のスイッチ画像」は、タッチパネル10と相俟って、「ゲーム選択時に」「電子複合遊戯機1が実行できる4種類のゲームA?Dのいずれかを選択するためのスイッチ13?16」を表示するものであって、遊戯者がいずれかのスイッチを操作してゲームを選択すると、「選択されたゲームの進行に必要な複数のスイッチ17a?17c、18a?18e、19a?19e、20a?20h」がそれぞれ表示されるものであるから、「ゲーム選択時に」表示される「電子複合遊戯機1が実行できる4種類のゲームA?Dのいずれかを選択するためのスイッチ13?16」を「副表示手段用入力手段」ということができる。また、前記スイッチ13?16を操作する主体がプレイヤーであることは明らかであるから、引用発明は、操作パネルに設けられているか否かは別にして、「プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段を備える」ということができる。
そして、当審拒絶理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献2(特開昭63-172366号公報 )に、「ファンクション・キー3は、取引処理の各段階に応じて、取引種類の選択、金額の万、干、円等の単位、確認、取消などの入力のために用いられる。ファンクション・キー3の機能はその都度、CRT2の画面上であって各ファンクション・キー3に隣接する箇所に表示される。」(2頁右下欄14?20行)及び「CRT2に取引種類の選択案内とファンクションキー3の機能とが表示されるので、顧客は希望する取引をファンクションキー3を用いて選択入力する(ステップ51)。公金納入処理が選択されると、CRT2にカードまたは通帳を挿入せよという案内が表示される」(4頁左上欄10?1
5行)と記載されるとおり、表示手段の表示内容を変更するに当たり、操作に応じた信号を出力する画面用入力手段を同画面周辺に配することは、タッチパネル採用と並んで周知の技術であるから、引用発明の「スイッチ表示板(副表示手段)」の画面周辺、すなわち、「操作パネル(操作台4)」に、「プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段」を配置する構成とすることは、当業者にとって想到容易である。
したがって、上記相違点(D)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(5)相違点(E)について。
上記(3)において、相違点(C)について検討したとおり、引用発明の「操作パネル(操作台4)」に、「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部(スタート部材としてのレバー)」を設ける構成とすることは、単なる周知技術の付加および設計変更にすぎず、当業者にとって想到容易である。
そうすると、引用発明は、「遊戯者によりゲームの進行に必要ないずれかのスイッチが押操作されると、CPU40はCRT2の表示画面に該当するゲーム画面を表示させる」ものであるから、そのスイッチとして、前記の如く、「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部(スタート部材としてのレバー)」を用いることはすなわち、該操作部材の操作に基づいてゲーム進行制御手段(CPU40)によるゲームの進行制御が行われることを意味する。そして、該操作部材の操作をゲーム進行制御手段(CPU40)に伝達する手段として「信号」を採用し、「操作部材からの信号に基づいて」制御が行われる構成とすることは、改めて例を挙げるまでもないほど周知の技術である。
したがって、上記相違点(E)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(6)相違点(F)について。
上記(3)において、相違点(C)について検討したとおり、引用発明の「操作パネル(操作台4)」に、「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部(スタート部材としてのレバー)」を設ける構成とすることは、当業者にとって想到容易である。
また、上記(4)において、相違点(D)について検討したとおり、引用発明の「スイッチ表示板(副表示手段)」の画面周辺、すなわち、「操作パネル(操作台4)」に、「プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段」を配置する構成とすることも、当業者にとって想到容易である。
そして、当審拒絶理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献3(特開平9-84937号公報)には、遊技機の一種であるパチンコ機に関し、パネル下部7にスイッチ類を集約的に配置するが、玉貸しや発射操作のための操作部34と遊技表示を操作したり変化を加える操作部35とが離間して配置される構成を採ることが開示されており(特に図7及び段落【0054】?【0056】参照)、このように何らかの機能に基づいて、操作部を分けて配置することはきわめて自然に採用される構成である。
そうすると、引用発明の「操作パネル(操作台4)」に、「ゲームを進行させるためにプレイヤーにより操作される操作部材を備えた操作部(スタート部材としてのレバー)」及び「プレイヤーにより操作される副表示手段用入力手段」という2種類の操作手段を配置するに際し、両者を混在して配置する必要性は何もなく、むしろ、上記の如く、両者を分けて配置する構成とすることが極めて自然であるから、上記相違点(F)に係る本願発明の構成の如く「前記操作部と前記副表示手段用入力手段とが、前記操作パネル内で互いに離間して配置されている」とすることは設計事項というべきである。
次に、「操作部材」及び「副表示手段用入力手段」について、前者は「ゲームを進行させるため」の入力手段であり、後者は「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う」ための入力手段であるから、両者を較べれば、前者は、例えば、スロットマシンのスタート部材としてのレバーであれば、ゲームを開始する毎に毎回操作をすることが必要であり、後者の「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う」ための入力手段よりも操作頻度が高くなることは明らかである。つまり、上記相違点(F)に係る本願発明の構成の如く「操作頻度の高い入力機能が前記操作部材に割り当てられ、操作頻度の低い入力機能が前記副表示手段用入力手段に割り当てられる」とすることは、「操作部材」と「副表示手段用入力手段」という2種類の入力手段の機能を、前者は「ゲームを進行させるため」の入力手段であり、後者は「ゲームの進行とは直接の関連性を有しない表示を行う」ための入力手段であるとしたことから必然的に導き出せる自明な事項であるから、この点に進歩性を認めることはできない。
したがって、上記相違点(F)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

[5]むすび
相違点(A)?(F)に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術、引用文献3記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-14 
結審通知日 2009-01-20 
審決日 2009-02-02 
出願番号 特願2001-205911(P2001-205911)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 森 雅之
▲吉▼川 康史
発明の名称 スロットマシン  
代理人 星野 哲郎  

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