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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1194843 |
審判番号 | 不服2006-21633 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-09-27 |
確定日 | 2009-03-26 |
事件の表示 | 特願2001- 61281「携帯通信機器」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月13日出願公開、特開2002-262338〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成13年3月6日の出願であって、平成18年8月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。そして、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月21日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。 【請求項1】 受信した衛星信号に基づいて、自機の位置を示す位置情報を獲得する衛星信号処理部と、 上記位置情報に基づいて、該位置情報で示される位置が含まれる地図を示した地図情報を、地図情報データベースから獲得する地図情報アクセス部と、 少なくとも、上記獲得した地図情報に基づいた地図と、上記位置情報に基づいた自機の位置とを、表示部に表示させる制御部とを備え、 上記制御部は、さらに、 自機の位置と上記獲得した地図情報に基づいた地図とを表示部に表示させた後であって、かつ、上記相手機器を特定するための入力を自機が受け付けた場合に、所望の相手機器の現在位置を示した位置情報を保有する位置情報サービスセンターから、アンテナを介して、上記相手機器の現在位置を示す位置情報を獲得し、 自機の位置と上記相手機器の現在位置とを、上記地図上に表示させることを特徴とする携帯通信機器。 2.刊行物の記載 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-281801号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の記載がなされている。 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、歩行者の位置情報管理システムに関する。 【0017】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の位置情報管理システムのシステム構成図である。本発明のシステムは、情報を一元的に管理するセンターシステム10と人が持ち歩く携帯端末11、GPSのための人工衛星12、D-GPS(DiferentialGPS )のための電波発信塔13、及び無線で携帯端末11の位置を教える情報提供局(電波マーカー)33よりなっている。 【0018】携帯端末11には、GPSアンテナ14、携帯電話用無線機15、PHS用無線機16、及び、電波マーカー33からの電波を受けるための無線機17のそれぞれの受信機を有している。各受信機は、それぞれの電波発信局からの電波を受け取り、制御部22に渡す。 【0019】制御部22では、それぞれの電波から得られる位置情報のうち最も精度の高いものを使用して携帯端末11の現在の位置を取得し、所持者に現在位置と周辺の地図をディスプレイ18に出力することによって知らせる。19は、音声マイクであって、所持者に音による警告の通知を行う場合に使用される。携帯端末11には、所持者がよく行く地域の地図情報など最小限の地図情報が地図データ21として記憶されており、携帯端末11がこの地図データ21の範囲にいる場合には、この地図データ21を読み出して、ディスプレイ18に出力する。また、この携帯端末11に記憶されている地図データ21は、ICカードあるいはミニチュアカード等着脱可能な記憶媒体を実装することにより使用可能とすることが好ましい。このようにすることによって、利用したい区域の最小限の地図のみを実装すればよく、必要以上に多くの記憶容量を必要としないので、携帯端末11を小型化できるという利点を持つ。 【0020】方向検出器20は、携帯端末11に電波が届かなくなった場合に、自立的に携帯端末11の移動を検出して、現在位置の特定を行うためのものである。方向検出器20は、ジャイロコンパスと加速度センサからなっており、制御部22は、方向検出器20からの情報を演算することによって、端末の移動方向と移動距離を算出し、ディスプレイ18に現在位置として出力する。特に、3次元ジャイロを使用し、加速度センサを3次元的に配置することによって、携帯端末の3次元的移動方向及び移動距離を演算することが可能になるので、いずれの電波も受信できない状況にあっても、自立的にナビゲーションを行うことが出来る。 【0021】センターシステム10は、携帯電話交換機25あるいはPHS交換機26を介して、無線機(携帯電話基地局)23及び無線機(PHS基地局)24に接続され、携帯端末11と位置情報の交換などを行う。センターシステム10の情報提供部27は、携帯電話及びPHS基地局の位置データを含む地図データ28を有しており、携帯端末11が有している地図データ21では、現在位置を表示するのにデータが足りない場合、地図データ28を携帯端末11に送って現在位置の表示が可能になるようにする。携帯電話またはPHS基地局の位置データは、携帯端末11が、GPS、D-GPSの受信が出来ない場合に、最寄りの携帯電話基地局又はPHS基地局の所在地から携帯端末11の位置を知るときに使用する。 【0022】また、情報提供部27は、家庭の端末32とネットワーク等を介して接続されており、携帯端末11を有している徘徊老人や子どもの居場所を突き止めるために、携帯端末11の位置情報を提供する。 【0023】情報提供局(電波マーカー)33は、携帯端末11が、GPS、D-GPS、携帯電話、及びPHSを使用することができない場合に、現在位置を取得するために使用される。情報提供局33は、無線機29、制御部30、及び位置データ31からなっている。位置データ31は、情報提供局33が設けられている緯度、及び経度を記憶したもので、制御部30を介して無線機29から携帯端末11に送信される。携帯端末11側では、情報提供局33からの緯度、経度情報に基づいて携帯端末11の現在位置を取得する。 【0035】図4は、現在位置を取得し、地図を表示する場合の処理フローである。同図は、携帯端末11の制御部22が行う地図データ表示フローである。最初に、ステップS10でユーザから現在位置表示の指示が行われる。すると、ステップS11でGPSより現在位置を入手する。ここで、図2で説明したように、GPSで現在位置が入手不可能である場合には、PHSまたは携帯電話の基地局の位置から現在位置を入手し、それが不可能であった場合には、電波マーカーを使い、それがだめな場合には、携帯端末11の方向検出器20によって、進行方向と移動距離を算出し、最後に得られた位置情報から推測して現在位置を算出する。このとき、表示には、現在位置の取得が不可能で、方向検出器20によって現在位置を推測している旨の表示を行っておく。 【0036】ステップS11で、現在位置を入手できたら、ステップS12で携帯端末11に記憶されている地図データ21の中に、現在位置を含むものがあるか否かを判断する。携帯端末11に記憶されている地図データ21の中に現在位置を含むものがある場合には、ステップS15に進んで、地図を表示するとともに、現在位置を表示する。携帯端末11に記憶されている地図データ21の中に現在位置を含むものがなかった場合には、ステップS13でセンターシステムへ現在位置を通知する。センターシステムでは、送信されてきた現在位置を含む地図データを探し出す。携帯端末11は、現在位置を含む地図データをセンターシステムからダウンロードし(ステップS14)、ステップS15で携帯端末11のディスプレイに地図を表示するとともに、地図中に現在位置を表示する。ダウンロードした地図データは携帯端末11の地図データ21としてメモリに記憶しておき、ステップS11に戻って、現在位置の取得と地図及び現在位置の表示を続行する。 【0037】現在位置の終了は、例えば、携帯端末11に表示終了ボタンを設けておき、このボタンが押されたら、図4のフローに割り込みをかけて終了するようにしてもよいし、電源を直接切ることによって終了するようにしてもよい。 【0038】なお、地図データを取得する場合に、頻繁に使用する地図データを使用のたびにダウンロードするのでは、効率的ではないので携帯端末に保持される地図データ21には、地図番号及び緯度、経度の他に、何回表示画面に表示されたかを示す回数及び最新アクセス日時をいっしょに記録しておくようにする。携帯端末には、所定時間地図データが保持されるが、最新アクセス日時から所定時間を過ぎた地図データについては、記憶容量に限りがあるので消去するようにする。このとき、何回表示画面に表示されたかを示す回数を参照して、所定時間の間に予め定められた回数以上表示された地図データは消去しないで保持しておくようにする。このようにすることによって、同じ地図データを頻繁にダウンロードすることがなくなり、携帯端末の記憶容量を有効に使用することができる。 【0049】図6は、本発明のシステムを携帯端末間の位置情報取得に適用した場合の処理を示す図である。図5の場合は、携帯端末の位置情報を家庭の端末で取得する場合であったが、同図の適用例では、携帯端末間の位置情報を取得して携帯端末所持者同士が、相手がどこにいるのかを取得することが出来る。 【0050】図6では、相手の現在位置を知りたい携帯端末所持者を自分とし、現在位置を知りたい相手を第3者として、センターシステムを介して第3者の位置を自分の携帯端末のディスプレイ上に表示させるときの処理の流れを示している。 【0051】先ず、第3者の持っている携帯端末では、常にGPSやPHS、携帯電話、電波マーカーを使用して現在位置を取得している。更に、一定時間たったか否かが判断され(ステップS30)、現在位置をセンターシステムに送信する(ステップS31)。センターシステムでは、第3者から送られてくる現在位置をログに記録して(ステップS32)、第3者がどのような経路をたどって移動しているかが分かるようになっている。ここで、同じ携帯端末を有している自分の側には、現在位置をセンターシステムに送信するステップが記載されていないが、これは、自分の側から第3者の現在位置を知るための処理のみを取り出して記載しているためで、実際には、自分の持っている携帯端末も一定時間毎にセンターシステムに現在位置を送信し、現在位置の変化がログに記録されている。従って、自分の側から行う図6の処理は第3者の側から自分に対しても同様に行うことが出来る。 【0052】第3者の現在位置を知りたい自分は、自分の携帯端末に第3者との相対位置の表示を行うよう指示する(ステップS33)。これにより、自分の携帯端末はセンターシステムに対し、第3者の位置を要求する(ステップS34)。このとき、自分は第3者を特定する必要があるが、これは、携帯端末が有しているID番号や電話番号等で行う。 【0053】センターシステムは自分からの第3者の現在位置の取得要求が来ると、特定された第3者に着信可能か否かを調べる(ステップS35)。着信可能か否かを調べる方法は前述のように、呼び出し信号に対して第3者の携帯端末が応答するか否かで行う。 【0054】着信が不可能である場合には、予めログに記録しておいた特定された第3者の現在位置の変化から速度と進行方向を調べて、現在の位置を推定し(ステップS39)、自分の携帯端末に送信をしてくる。自分の携帯端末ではこの信号を受信し(ステップS40)、次に、GPS、PHSあるいは携帯電話の基地局、または電波マーカーを使って、自分の位置を取得する(ステップS41)。以下のステップは後述する。 【0055】第3者への着信が可能である場合には、第3者の携帯端末に現在位置の送信をするように要求する(ステップS36)。第3者の携帯端末では、現在位置をGPS、PHS、携帯電話、電波マーカーのいずれかを使用して取得し(ステップS37)、現在位置をセンターシステムに送信する(ステップS38)。センターシステムは第3者の現在位置を自分の携帯端末に送信する。これにより、自分の携帯端末で、第3者の現在位置を受信し(ステップS40)、次に、自分の現在位置を取得する(ステップS41)。 【0056】第3者からの送信あるいはセンターシステムにおける推測により、第3者の現在位置が分かり、自分の現在位置が分かると、自分の携帯端末に記憶されている地図データの中に第3者の位置と自分の位置とを表示可能な地図があるか否かが判断される(ステップS42)。表示可能な地図データが記憶されていた場合には、この地図データを表示し、この地図上に自分の位置と特定された第3者の位置を表示する(ステップS45)。 【0057】表示しおわったら、連続的に相対位置を表示するために、自分の携帯端末では、処理をステップS34に戻して、繰り返し第3者の現在位置と自分の現在位置とを取得して表示させるようにする。 【0058】自分の携帯端末に記憶されている地図データに特定された第3者の位置と自分の位置とを表示する地図がない場合には、第3者の現在位置と自分の現在位置とをセンターシステムに送る(ステップS43)。センターシステムでは、第3者の位置と自分の位置から両者を一度に表示することの出来る地図データを検索し、両者を一度に表示することのできる地図データを自分の携帯端末に送信する(ステップS44)。自分の携帯端末ではセンターシステムから送られてきた地図データを表示するとともに、第3者の位置と自分の位置とを表示する(ステップS45)。 【0059】このように、本発明のシステムを使用すれば、家庭端末からのみではなく、携帯端末からでも所在を知りたい第3者の位置を知ることが出来、徘徊老人や子どもを実際に捜しながら、位置を確認することが出来る。従って、徘徊老人や子どもの捜索を効率的に行うことが出来る。 図1には、携帯端末11のGPSアンテナ14が、GPS衛星12からの信号を受信し、制御部22に出力することが、図示されている。 また、図1には、携帯端末11の無線機(携帯電話)15、無線機(PHS端末)16が、アンテナを介してセンターシステム10と通信することが、図示されている。 以上の記載において、以下の事項が認められる。 【0050】?【0058】の処理が、携帯電話の制御部で行われることは、当業者に明らかである。 【0051】の「センターシステムでは、第3者から送られてくる現在位置をログに記録」することから、センターシステムは第3者の現在位置を保有することは、明らかである。 以上の刊行物1の記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載発明」という。)が記載されていると認められる。 「 GPS衛星からの信号を受け取り、制御部に現在位置を出力するGPSアンテナを備えた携帯端末であって、 制御部は、 現在位置表示の指示が行われると、自分の現在位置を入手し、携帯端末に記憶されている地図データの中に、現在位置を含むものがあるか否かを判断し、現在位置を含むものがある場合には、ディスプレイに現在位置を含む地図表示するとともに、現在位置を表示し、現在位置を含むものがなかった場合には、現在位置を含む地図データをセンターシステムからダウンロードし、ディスプレイに地図を表示するとともに、地図中に自分の現在位置を表示し、地図データを携帯端末に記憶する処理と、 第3者との相対位置の表示を行うよう指示され、携帯端末が有しているID番号や電話番号等で第3者を特定された場合に、第3者の現在位置を保有するセンターシステムから、アンテナを介して、第3者の携帯端末の現在位置を受信し、自分の現在位置を取得し、携帯端末に記憶されている地図データの中に第3者の位置と自分の位置とを表示可能な地図が記憶されていた場合には、この地図上に自分の位置と特定された第3者の位置を表示する処理とを行う、 携帯端末。」 3.対比 本願発明と刊行物1記載発明を対比すると、刊行物1記載発明の「GPS衛星からの信号を受け取り、現在位置を出力するGPSアンテナ」は、本願発明の「受信した衛星信号に基づいて、自機の位置を示す位置情報を獲得する衛星信号処理部」に相当する。 刊行物1記載発明の「携帯端末に記憶されている地図データの中に、現在位置を含むものがあるか否かを判断し、現在位置を含むものがある場合には、ディスプレイに現在位置を含む地図表示し、現在位置を含むものがなかった場合には、現在位置を含む地図データをセンターシステムからダウンロードし、ディスプレイに地図を表示する制御部」は、本願発明の「上記位置情報に基づいて、該位置情報で示される位置が含まれる地図を示した地図情報を、地図情報データベースから獲得する地図情報アクセス部」に相当し、 刊行物1記載発明の「携帯端末に記憶されている地図データの中に、現在位置を含むものがあるか否かを判断し、現在位置を含むものがある場合には、ディスプレイに現在位置を含む地図表示するとともに、現在位置を表示し、現在位置を含むものがなかった場合には、現在位置を含む地図データをセンターシステムからダウンロードし、ディスプレイに地図を表示するとともに、地図中に現在位置を表示する制御部」は、本願発明の「少なくとも、上記獲得した地図情報に基づいた地図と、上記位置情報に基づいた自機の位置とを、表示部に表示させる制御部」に相当する。 刊行物1記載発明の「携帯端末が有しているID番号や電話番号等で第3者を特定される」ことは、本願発明の「上記相手機器を特定するための入力を自機が受け付ける」ことに相当する。 刊行物1記載発明の「第3者の携帯端末の現在位置」は、本願発明の「所望の相手機器の現在位置」に相当する。 そして、刊行物1記載発明の「制御部は、第3者の現在位置を保有するセンターシステムから、アンテナを介して、第3者の携帯端末の現在位置を受信する」ことは、本願発明の「制御部は、さらに、所望の相手機器の現在位置を示した位置情報を保有する位置情報サービスセンターから、アンテナを介して、上記相手機器の現在位置を示す位置情報を獲得する」ことといえる。 刊行物1記載発明の「制御部は、携帯端末に記憶されている地図データの中に第3者の位置と自分の位置とを表示可能な地図が記憶されていた場合には、この地図上に自分の位置と特定された第3者の位置を表示する」ことは、本願発明の「制御部は、自機の位置と上記相手機器の現在位置とを、上記地図上に表示させる」ことといえる。 刊行物1記載発明の「携帯端末」は、センターシステムと通信をするから、本願発明の「携帯通信機器」といえる。 したがって、両者の発明の一致点、相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「 受信した衛星信号に基づいて、自機の位置を示す位置情報を獲得する衛星信号処理部と、 上記位置情報に基づいて、該位置情報で示される位置が含まれる地図を示した地図情報を、地図情報データベースから獲得する地図情報アクセス部と、 少なくとも、上記獲得した地図情報に基づいた地図と、上記位置情報に基づいた自機の位置とを、表示部に表示させる制御部とを備え、 上記制御部は、さらに、 上記相手機器を特定するための入力を自機が受け付けた場合に、所望の相手機器の現在位置を示した位置情報を保有する位置情報サービスセンターから、アンテナを介して、上記相手機器の現在位置を示す位置情報を獲得し、 自機の位置と上記相手機器の現在位置とを、上記地図上に表示させることを特徴とする携帯通信機器。」である点。 <相違点> 制御部が、所望の相手機器の現在位置を示した位置情報を保有する位置情報サービスセンターから、アンテナを介して、上記相手機器の現在位置を示す位置情報を獲得し、自機の位置と上記相手機器の現在位置とを、上記地図上に表示させることが、本願発明では、「自機の位置と上記獲得した地図情報に基づいた地図とを表示部に表示させた後であって」、かつ、上記相手機器を特定するための入力を自機が受け付けた場合であるのに対して、刊行物1記載発明では、第3者との相対位置の表示を行うよう指示され、携帯端末が有しているID番号や電話番号等で第3者を特定された場合である点。 4.判断 まず、地図中に自分の現在位置を表示する処理を行い、次に、第3者の位置と自分の位置とを表示することは、表示の設計として普通のことである(例えば、特開昭59-52709号公報、特開平4-70999号公報参照。)から、刊行物1記載発明において、自機の位置と上記獲得した地図情報に基づいた地図とを表示部に表示させた後であって、かつ、上記相手機器を特定するための入力を自機が受け付けた場合に、所望の相手機器の現在位置を示した位置情報を保有する位置情報サービスセンターから、アンテナを介して、上記相手機器の現在位置を示す位置情報を獲得し、自機の位置と上記相手機器の現在位置とを、上記地図上に表示させるようにすることは、設計事項である。 そして、刊行物1記載発明の地図中に自分の現在位置を表示する処理が、センターシステムから第3者の携帯端末の現在位置を受信して、第3者の位置と自分の位置とを表示する処理と比べて、通信費用が発生せず、処理に要する時間が短いことは明らかであり、本願発明の作用効果は、刊行物1記載発明から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-20 |
結審通知日 | 2009-01-27 |
審決日 | 2009-02-09 |
出願番号 | 特願2001-61281(P2001-61281) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉村 博之、小河 誠巳 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
深津 始 清水 稔 |
発明の名称 | 携帯通信機器 |