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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1194853
審判番号 不服2006-25259  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-07 
確定日 2009-03-26 
事件の表示 特願2003-133983「テレビ受像機、及び電気機器の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月 2日出願公開、特開2004-343174〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成15年5月13日の出願であって、平成18年9月5日付で手続補正がなされたが、同年10月12日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年11月7日に拒絶査定不服審判がなされ、同日付で手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年11月7日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
上記手続補正は、平成18年9月5日手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された、
「テレビ受像機の特定の動作とこの動作に連動して制御される複数の他の電気機器の動作との対応関係を設定するための連動動作定義手段と、制御コードを他の電気機器に無線送信するための送信部と、特定の動作を行うとき、この動作に対応付けられた複数の他の電気機器の動作に対する制御コードを送信するために出力する連動制御部とを備え、当該テレビ受像機の特定の動作に連動して、複数の他の電気機器の動作を一括して制御するように構成されたことを特徴とするテレビ受像機。」
という発明を、
「テレビ受像機の特定の動作を設定し、複数の他の電気機器の機種とその動作とを設定して、前記特定の動作と他の電気機器の動作との対応関係を設定するための連動動作定義手段と、制御コードを他の電気機器に無線送信するための送信部と、前記特定の動作に対応付けられた複数の他の電気機器の動作に対する制御コードを送信するために出力する連動制御部とを備え、前記特定の動作を行うとき、この動作に連動して複数の他の電気機器にそれぞれ制御コードを送信して、複数の他の電気機器の動作を一括して制御するように構成されたことを特徴とするテレビ受像機。」
という発明(以下、「補正後の発明」という)に変更することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「連動動作定義手段」に関し、「テレビ受像機の特定の動作を設定し、複数の他の電気機器の機種とその動作とを設定」するものに限定するとともに、「複数の他の電気機器の動作を一括して制御する」ことが、「前記特定の動作を行うとき、この動作に連動して複数の他の電気機器にそれぞれ制御コードを送信して」行うものであることに限定して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

(2)引用発明及び周知技術
A.原審の拒絶理由に引用された特開2003-37751号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した点に鑑みなされたものであり、テレビのリモコンを用いて外部チューナーの選局と外部チューナーの信号が入力されている外部入力を選択する操作を一括処理する操作方法と機器選択方法を提供する。」(2頁1欄36行?41行)

ロ.「【0018】図1に示すテレビジョン受像機100は、リモコン受光部1、制御部2、IR送信装置3、メモリ4、IR発信部5、チューナー部6、入力切り換えスイッチ7、映像処理部8、OSD制御部9、および表示装置10を備える。
【0019】制御部2、IR送信装置3、OSD制御部9はマイクロコンピュータ等から構成され、後述するリモコンコード変換処理プログラムおよび入力切換処理プログラムおよびリモコンコード変換テーブルの書き換え処理プログラムおよびリモコンコード変換テーブル内容表示処理プログラムをマイクロコンピュータにより実行し、各ブロックの機能が実現される。
【0020】テレビジョン受像機100は、外部チューナー11および外部チューナー12がそれぞれ各チューナーの接続部を介して接続されている。
【0021】このように構成されたテレビジョン受像機100において、リモコンによるポジション選局コードを受信したとき、制御部2はメモリ4に記憶している変換テーブルに応じたリモコンコード変換処理を行い、IR送信装置3に対して変換後のリモコンコード信号をIR送信する制御を行う。同様に、前記変換テーブルに記憶しているビデオ入力への切換処理を行う。
【0022】このように、テレビジョン受像機のポジションボタンのリモコンコードを受信した時に、メモリに記憶した入力切換処理と外部チューナー制御用のリモコンコード変換処理およびIR送信を行うことにより外部チューナー視聴時の複数の操作を不用にし利便性を高めることができる。
【0023】図2は、メモリ4に記憶している内容の表示および書き換え用GUIの一例である。図2に示すGUIは、リモコンのポジション番号201および、そのポジション番号に応じたチャンネル表示202およびOSD表示の設定状態を一覧表形式で表示する。
【0024】また図3は、各ビデオ入力に接続されている外部機器を設定するGUIの一例である。図3に示すGUIは、テレビジョン受像機に実装している各ビデオ入力301に接続されている機器302を設定し、その設定内容を一覧表示する。
【0025】図2に記載のチャンネル表示202の設定より機器を判定し、図3に記載の接続機器の設定内容より、IR送信するべきリモコンコードと切りかえるべき入力の判定を行う。
【0026】以下図2、図3を元に使用例をあげる。図2において、ポジション番号「3」のチャンネル表示202の内容が「BS3」となっている。また、図3において、BSはビデオ2に接続している設定となっている。
【0027】この場合、ポジション番号「3」を選択すると、チャンネル表示の設定202からBSのポジション番号「3」を選局すると判定し、IR送信装置からBSのポジション番号「3」のリモコンコードを送信し、また、BSはビデオ2に接続されているという情報から、ビデオ2に入力切換を行う。
【0028】このように、ポジションに機器を特定できるチャンネル表示設定を行うGUIおよび、テレビジョン受像機に実装されている各ビデオ入力に接続されている機器の設定を行うGUIを備えることにより、好みのポジションに好みの機器のポジションが設定でき、内蔵チューナー、外部接続のチューナーに関係無くシームレスな選局が可能となる。」(3頁3欄17行?4欄26行)

ここで、上記摘記事項ロ.の【0021】、【0022】によれば、メモリ4に記憶した変換テーブルには、リモコンによるポジション選局コードに対応して、切り換えるべきビデオ入力に関する情報と、外部チューナーに対してIR送信される、外部チューナー制御用のリモコンコードに変換するための情報が記憶されていることが分かる。また、【0028】によれば、これらの情報は好みの設定ができることが分かる。そして、リモコンによるポジション選局コードが入力されると、その設定に応じて、ビデオ入力の入力切換動作と、外部チューナーに対して変換されたリモコンコードのIR送信が行われ、外部チューナーでは選局動作が行われることになるから、結局、変換テーブルにはテレビジョン受像機100の入力切換動作と、外部チューナーの選局動作が設定されていると換言できる。このとき、引用例1では外部チューナーが2つ接続されている例が示されているが、リモコンコードがどちらのチューナーに対するものであるのかが区別されなければならないことは技術常識であるから、変換テーブルにおける設定は、外部チューナーの機種の設定を包含するものとなっていることは明らかである。また、ポジション番号毎に、入力切換動作と選局動作との対応付けがなされていることも、【0023】?【0028】の記載を参照すれば明らかであるから、これらの対応関係も設定されているといえる。
また、上記摘記事項ロ.の【0027】の「IR送信装置からBSのポジション番号「3」のリモコンコードを送信」という記載は、外部チューナーに対して、選局動作をさせるリモコンコードを送信することを意味すると理解できる。すなわち、IR送信装置は、リモコンコードを外部チューナーにIR送信するものいえる。
また、上記摘記事項ロ.の【0021】の「制御部2はメモリ4に記憶している変換テーブルに応じたリモコンコード変換処理を行い、IR送信装置3に対して変換後のリモコンコード信号をIR送信する制御を行う」という記載によれば、制御部によって、変換されたリモコンコードが出力されていることが分かる。そしてこのリモコンコードは、送信するために出力されており、またこれまでの考察から、外部チューナーの選局動作に対するものであって、かつ入力切換動作に対応付けられたものであるともいえる。
また、上記摘記事項イ.の【0003】の「外部チューナーの選局と外部チューナーの信号が入力されている外部入力を選択する操作を一括処理する」という記載、上記摘記事項ロ.の【0022】の「メモリに記憶した入力切換処理と外部チューナー制御用のリモコンコード変換処理およびIR送信を行う」という記載を見れば、入力切換処理とリモコンコードの送信が一連の処理として行われていることは明らかであるので、入力切換処理に係る動作(入力切換動作)に連動してリモコンコードを送信しているといえ、さらに外部チューナーの選局動作までを一括して制御するように構成されているともいえる。

したがって、上記引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
「テレビジョン受像機の入力切換動作を設定し、外部チューナーの機種とその選局動作を設定して、前記入力切換動作と外部チューナーの選局動作との対応関係を設定するための変換テーブルと、リモコンコードを外部チューナーにIR送信するためのIR送信装置と、前記入力切換動作に対応付けられた外部チューナーの選局動作に対するリモコンコードを送信するために出力する制御部とを備え、前記入力切換動作を行うとき、この動作に連動して外部チューナーにリモコンコードを送信して、外部チューナーの選局動作を一括して制御するように構成されたテレビジョン受像機。」

B.同じく原審の拒絶理由に引用された特開平2-86392号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項(ハ)が記載されている。また、国際公開99/16282号(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項(ニ)が記載されている。

ハ.「ところが、この第7図のAVシステムにおいて、例えば、VTR2の再生動作を行なわせようとした場合、『セレクターon』『TVon』『アンプon』『VTRon』『セレクターをVTRにセット』『VTR再生』というような各種操作が必要であり、たとえ1つのプログラマブルコマンダーのみでこれらすべての操作を行なうことができたとしても、操作はきわめて煩雑であるといえる。
そこで、プログラマブルコマンダーを単に各種機器のリモコンコードを記憶できるようにするのみでなく、操作手順をも記憶できるようにしたものも開発されている。
すなわち、上記したようにVTR2を再生する場合は、あらかじめ『セレクタon』『VTR再生』までの一連の操作手順を1つのシーケンスとして、ある1つのプログラム可能なキーに登録しておき、登録後は、その登録したキーを操作するのみでリモートコマンダーが自動的に各種リモコンコードを順次出力するようにしたものである。」(周知例1の3頁左上欄12行?右上欄12行)

ニ.「ここでは「ビデオ鑑賞」という機能項目に対応する、
(1)テレビ電源オンと、
(2)ビデオ電源オンと、
(3)テレビ入力ソースビデオ選択と、
(4)照明70%調光
の指示コードが記憶部52Eに保持されているとする。
機能項目選択スイッチ2からビデオ鑑賞の機能項目が選択されると、制御処理部51Eは、記憶部52Eを検索し、ビデオ鑑賞に対応する指示コード(1)?(4)を読み出し、順番に通信部6に出力する(ステップS1602)。通信部6は、その指示コードを赤外線コードにして赤外線信号として発信する。
以上のように、この実施の形態16によれば、生活場面に応じて複数の機器をあるパターンに基づいて操作する「生活パターン操作モード」の機能項目をあらかじめ設定しておき、生活パターン操作モード選択ボタン14を設けて、生活パターン操作モードが設定されると、制御処理部51Eは、記憶部52Eに記憶された設定情報に基づいて設定された機器に指示コードを変換した赤外線信号を送信して複数の機器を1度の操作で遠隔操作できるようにしたので、手順及び操作が簡単であり、手間と時間を省くことができる。」(周知例2の37頁2行?18行)

上記周知例1、2に開示されているように、「複数の電気機器に対してリモコンによる制御コードを送ること」は周知である。

(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「テレビジョン受像機」は、補正後の発明の「テレビ受像機」に相当している。
引用発明の「入力切換動作」は、ある定められた動作の一つであるから、補正後の発明の「特定の動作」と一致している。
引用発明の「外部チューナー」は、テレビジョン受像器に接続されて用いられる電気機器であって、テレビジョン受像器とは異なる機器であるので、補正後の発明の「他の電気機器」と一致している。
引用発明の「選局動作」は、外部チューナーの動作の一つであるから、補正後の発明の「他の電気機器の動作」と一致している。
引用発明の「変換テーブル」は、テレビジョン受像機の入力切換動作と、外部チューナーの機種とその選局動作を設定し、入力切換動作と外部チューナーの選局動作との対応関係を設定するものである点で、補正後の発明の「連動動作定義手段」と一致している。
引用発明の「リモコンコード」は、外部チューナー制御用のものであるから、補正後の発明の「制御コード」と一致している。
「IR送信」とは、技術常識によれば、赤外線送信のことであり、無線送信の一種であることは当業者にとって明らかであるから、引用発明の「IR送信」、「IR送信装置」は、補正後の発明の「無線送信」、「送信部」と一致している。
引用発明の「制御部」は、入力切換動作に対応付けられた外部チューナーの選局動作に対するリモコンコードを送信するために出力するものである点で、補正後の発明の「連動制御部」と一致している。
また、引用発明のテレビジョン受像機の機能に関し、入力切換動作(特定の動作)を行うとき、この動作に連動して外部チューナー(他の電気機器)にリモコンコード(制御コード)を送信して、外部チューナーの選局動作(他の電気機器の動作)を一括して制御するものである点で、補正後の発明のテレビ受像機の機能と一致している。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。
(一致点)
「テレビ受像機の特定の動作を設定し、他の電気機器の機種とその動作とを設定して、前記特定の動作と他の電気機器の動作との対応関係を設定するための連動動作定義手段と、制御コードを他の電気機器に無線送信するための送信部と、前記特定の動作に対応付けられた他の電気機器の動作に対する制御コードを送信するために出力する連動制御部とを備え、前記特定の動作を行うとき、この動作に連動して他の電気機器に制御コードを送信して、他の電気機器の動作を一括して制御するように構成されたテレビ受像機。」

(相違点)
補正後の発明は「複数の」他の電気機器に対して制御コードが送られるのに対して、引用発明では何れか1つの他の電気機器(外部チューナー)が選択されて、当該他の電気機器(外部チューナー)に対してのみ制御コード(リモコンコード)が送られるものである点。

上記相違点について検討する。
例えば、上記周知例1、2に記載されているように、「複数の電気機器に対してリモコンによる制御コードを送ること」は周知であるから、引用発明においても連動させる電気機器を複数選定し、それらに対して制御コードを送って、動作を一括して制御するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。

以上のとおり、補正後の発明は引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成18年11月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年9月5日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された、「1.補正後の本願発明」で上記したとおりのものと認める。

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明及び周知技術」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

第4.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-21 
結審通知日 2009-01-27 
審決日 2009-02-10 
出願番号 特願2003-133983(P2003-133983)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04Q)
P 1 8・ 121- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩原 義則  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 小宮 慎司
山本 春樹
発明の名称 テレビ受像機、及び電気機器の制御方法  
代理人 後藤 誠司  
代理人 大島 泰甫  
代理人 稗苗 秀三  

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