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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1194880
審判番号 不服2007-25966  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-20 
確定日 2009-03-26 
事件の表示 特願2004-276233「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月 6日出願公開、特開2006- 94070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年9月22日の出願であって、平成19年8月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月4日付で手続補正がなされたものである。

2.平成19年10月4日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年10月4日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)手続補正
請求人は、上記手続補正により、特許請求の範囲の請求項および明細書の補正を行った。その補正のうち、補正前の請求項1に従属する補正前の請求項4に従属する補正前の請求項8を補正して補正後の請求項1とする補正の内容は次のとおりである。
(ア)補正前の「前記データに基づく画像処理の実行指示を受け付ける指示受付手段」における「画像処理」を「取得処理又は送信処理」と補正する。
(イ)補正前の「該指示受付手段が受け付けた実行指示に従って前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づく画像処理を行なう処理手段」(請求項1)、「複数種類の画像処理をそれぞれ行なう複数の前記処理手段」(請求項4)において、
a)「複数種類の画像処理」を「それぞれ異なる種類の取得処理又は送信処理」と補正する。
b)「データに基づく画像処理を行う」を「取得処理又は送信処理を、」「データに行う」と補正する。
(ウ)補正前の「前記データ記憶手段に記憶されたデータと、前記指示受付手段が実行指示を受け付けた前記データに基づく画像処理に係る情報とを履歴情報として記憶する履歴記憶手段」における「画像処理に係る情報」を「取得処理に係る情報又は送信処理に係る情報」と補正する。
(エ)補正前の「前記画像処理に係る情報は、前記データがどのような画像処理に利用されたかを示す情報である」を「前記取得処理に係る情報は、前記データがどのような取得処理に利用されたかを示す情報であり、前記送信処理に係る情報は、前記データがどのような送信処理に利用されたかを示す情報であり」と補正する。

(2)補正の適否
上記(ア)?(エ)の補正は、何れも「画像処理」を「取得処理又は送信処理」とする補正を含むものであり、まず、この補正について考察する。
補正前の請求項1の「受け付けたデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データに基づく画像処理の実行指示を受け付ける指示受付手段と、該指示受付手段が受け付けた実行指示に従って前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づく画像処理を行なう処理手段とを備える画像処理装置において」との記載から、補正前の「画像処理」は、データ記憶手段に記憶されたデータに基づき処理手段が行う画像処理である。「取得処理」とは、例えば、ファクシミリデータを受信する、外部のコンピュータから印刷ジョブを受信する、などのデータがデータ記憶手段に記憶される前に行われる処理であると考えられるから、補正前の「(データ記憶手段に記憶されたデータに基づく)画像処理」の下位概念としては「取得処理」がないことは明らかである。(これに対し「送信処理」は、データ記憶手段に記憶されたデータを送信する処理であるから、「画像処理」の下位概念である。)
したがって、「画像処理」を「取得処理又は送信処理」とする補正は、「取得処理」の部分が「画像処理」を限定したものではないから、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しない。

よって、本件手続補正は、その他の補正内容について考察するまでもなく、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、の何れを目的とするものでもないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、平成18年改正前特許法という)第17条の2第4項の規定に違反してなされたものである。

また、仮に、請求人の主張するように、「画像処理」を「取得処理又は送信処理」とする補正が平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の規定による特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとして、補正後の請求項1に係る発明が平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定による特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか否かについて、以下に検討する。

補正後の請求項1の記載において、「受け付けたデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データに基づく取得処理又は送信処理の実行指示を受け付ける指示受付手段と、該指示受付手段が受け付けた実行指示に従ってそれぞれ異なる種類の取得処理又は送信処理を、前記データ記憶手段に記憶されたデータに行なう複数の処理手段とを備える画像処理装置において」との部分について考察すると次のことがいえる。
すなわち、処理手段が、取得処理を、前記データ記憶手段に記憶されたデータに行なうことは、明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。取得処理と考えられるものとして明細書には、読み取り部から画像データを読み取ること、外部のファクシミリ装置から画像データを受信すること、ファクシミリ受信処理によりデータを受信すること、外部のコンピュータから印刷ジョブを受信すること、(【0044】【0049】【0064】【0087】【0110】を参照)は記載されているが、これらの処理はデータ記憶手段に記憶されたデータに行なうものではない。
したがって、補正後の請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない
また、補正後の請求項1の記載における上記の部分についてさらに考察する。
「取得処理を、データ記憶手段に記憶されたデータに行う」との記載において、データ記憶手段に記憶されたデータは受け付けたデータ、すなわち、既に取得したデータであるから、この記載は、既に取得したデータに対して取得処理を行うとの意味となり、これがどのような意味であるのかは明確でない。
したがって、補正後の請求項1に係る発明は明確でない。
よって、補正後の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号又は第2号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものといえ、あるいは、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものといえるので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成19年10月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という)は、平成19年3月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「受け付けたデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データに基づく画像処理の実行指示を受け付ける指示受付手段と、該指示受付手段が受け付けた実行指示に従って前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づく画像処理を行なう処理手段とを備える画像処理装置において、
前記データ記憶手段に記憶されたデータと、前記指示受付手段が実行指示を受け付けた前記データに基づく画像処理に係る情報とを履歴情報として記憶する履歴記憶手段と、
該履歴記憶手段へのアクセスを制限する制限手段と
を備え、
前記画像処理に係る情報は、前記データがどのような画像処理に利用されたかを示す情報であることを特徴とする画像処理装置。」

(1)引用文献の記載事項
これに対して、原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-36885号公報(以下、「引用文献1」という)には、次の技術事項が記載されている。
(a1)「本発明は、1つ以上のワークステーション装置が接続されたローカルエリアネットワークに接続されるとともに、公衆網を介し、ファクシミリ装置との間で所定のファクシミリ伝送手順を用いてファクシミリデータをやりとりするネットワークファクシミリ装置に関する。」(【0001】を参照)
(a2)「しかしながら、このようなネットワークファクシミリ装置では、ローカルエリアネットワークに接続されているワークステーション装置から、その送信履歴や送信画情報などを参照することができるため、ある人の通信にかかる送信履歴や送信画情報が、他人に利用され、通信の秘密性が保持されないと言う不具合を生じていた。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、送信履歴や送信画情報を他人に利用されないようにすることができるネットワークファクシミリ装置を提供することを目的としている。」(【0004】【0005】を参照)
(a3)「また、本実施例では、ユーザにより操作表示部7が操作され、画情報送信が指令されると、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画像データを符号化複号化部8で符号化圧縮し、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積し、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する。
そして、その画情報送信について、図3(a)に示すような履歴情報を作成する。また、蓄積した画情報を管理するために、同図(b)に示すような蓄積管理情報を作成して保存する。
履歴情報は、ワークステーション装置WS(WS1?WSn)から履歴情報を取り出す際に参照される送信履歴用パスワード、送信日時、送信時の伝送モード、宛先の電話番号をあらわす宛先番号、その送信動作の結果をあらわす送信結果、および、送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号からなる。
また、蓄積管理情報は、それぞれの蓄積画情報を識別するためのファイル番号、蓄積画情報の画像モード(解像度、符号化方式など)、および、対応する蓄積画情報が、画像蓄積装置9に記憶されている態様を記憶するための画像マッピング情報からなる。」(【0030】-【0033】を参照)
(a4)「一方、ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXの送信履歴を参照する場合には、図5に示すような処理を実行する。
まず、ユーザにより、履歴ビューワが起動されると(処理201)、ユーザに対して送信履歴用パスワードの入力を要求して、ユーザに送信履歴用パスワードを入力させ(処理202)、次いで、ネットワークファクシミリ装置FXに対し、処理202で入力された送信履歴用パスワードを指定した状態で、履歴情報の取得要求を発行する(処理203)。
これにより、ネットワークファクシミリ装置FXでは、ワークステーション装置WSから指定された送信履歴用パスワードと同じ値が、送信履歴用パスワードにセットされている履歴情報が検索され、それによって得られた1つ以上の履歴情報が、ネットワークファクシミリ装置FXからその履歴情報の取得要求元のワークステーション装置WSへと送信される。」(【0038】-【0040】を参照)
(a5)「【図1】本発明の一実施例にかかるネットワークシステムを示したブロック図。【図2】ネットワークファクシミリ装置FXの構成例を示したブロック図。【図3】履歴情報と蓄積管理情報の一例を示した概略図。【図4】ユーザが画情報送信動作するときのネットワークファクシミリ装置FXの処理の一例を示したフローチャート。【図5】ワークステーション装置WSがネットワークファクシミリ装置FXの送信履歴を参照する場合の処理の一例を示したフローチャート。」

以上の記載から、引用文献1には、次の発明が記載されている。

「スキャナ5で読み取った画情報を蓄積する画像蓄積装置9と、操作されて前記画情報の送信が指令される操作表示部7と、該操作表示部7で操作された送信の指令に従って前記画像蓄積装置9に蓄積された画情報の送信を行なう手段とを備えるネットワークファクシミリ装置において、
前記操作表示部7で送信が指令された前記画情報の送信について、送信日時、送信時の伝送モード、宛先番号、送信結果、送信画情報ファイル番号の情報を履歴情報として保存する手段と、
該保存する手段に保存された履歴情報を参照する場合にパスワードの入力を要求する手段と
を備えたネットワークファクシミリ装置。」

また、原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-102549号公報(以下、「引用文献2」という)には、次の技術事項が記載されている。
(b1)「【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成システムに関し、1度読み取った印刷データを蓄積し、再印刷が要求された際に蓄積した印刷データを用いて再印刷を行う画像形成システムに関する。」(【0001】を参照)
(b2)「また、請求項2記載の発明は、印刷を行う画像形成装置と、印刷に係る情報を管理するコピーサーバと、がネットワークを介して相互接続されている画像形成システムであって、画像形成装置は、画像を読み取る画像読取手段と、画像読取手段により読み取られた画像を印刷する印刷手段と、画像読取手段により読み取られた画像を印刷データとしてコピーサーバに送信する印刷データ送信手段と、印刷手段による印刷を要求する利用者の識別子であるユーザIDを含む履歴情報を作成し、作成した履歴情報をコピーサーバに送信する履歴情報送信手段と、を有し、コピーサーバは、送信された印刷データおよび履歴情報に対応する識別子であるジョブIDを発行するジョブID発行手段と、ジョブID発行手段により発行されたジョブIDごとに、対応する印刷データおよび履歴情報を格納するジョブ情報格納手段と、を有することを特徴とする。」(【0008】を参照)
(b3)「(実施形態の概要)
本実施形態において、画像形成システムでは、各コピー機とコピーサーバとが常に接続されている。コピー機は、コピーを行った場合、そのときスキャンしたコピーデータを必ずコピーサーバに転送する。コピーサーバは、コピー機から受信したコピーデータを履歴およびジョブIDで管理する。これにより、誰がどのような設定と時間でコピーを行ったかを把握できる。また、そのジョブIDさえあれば、利用者は、コピーサーバに格納されたコピーデータを用いて再印刷を行うことができる。
本実施形態における画像形成システムは、利用者の意識しないところでコピーのデータを常に蓄積し、履歴も管理するため、利用者は、コピー時のジョブごとのIDさえ知っていれば再印刷が可能となる。また、画像形成システムは、そのジョブIDを用いて利用者制限を行うため不正利用を防止することができる。また、コピー機は、電子メールの送受信機能を有し、ジョブIDを利用者の端末に瞬時に送信する。また、利用者の端末が、サブジェクトにジョブIDを含む電子メールをコピー機に送信することにより、利用者は、遠隔から再印刷を要求することが可能となる。」(【0021】【0022】を参照)
(b4)「コピー機1は、コピーサーバ2との通信(コピーデータおよび履歴情報の転送)が成功したと判断した場合(ステップS113/Yes)、コピーサーバ2は、コピー機1から転送されたコピーデータおよび履歴情報を受信し、自サーバ内に格納する(ステップS114)。」(【0049】を参照)

以上の記載から、引用文献2には、次の発明が記載されている。

「コピーデータと、該コピーデータをコピーしたときの設定や時間の履歴情報とを格納するコピーサーバを備えた画像形成システム。」

(2)対比
本願発明と、引用文献1に記載された発明とを対比する。
引用文献1に記載された発明おける「画情報」、「蓄積」、「画像蓄積装置9」、「指令」、「操作表示部7」、「保存」は、それぞれ、本願発明の「データ」、「記憶」、「データ記憶手段」、「実行指示」、「指示受付手段」、「記憶」に相当する。
引用文献1に記載された「ネットワークファクシミリ装置」は、「画情報」を送受信するものであるから、「画像処理装置」といえるものである。
引用文献1に記載されたものにおける「スキャナ5で読み取った画情報を蓄積する画像蓄積装置9」は、スキャナで読み取ることにより受け付けた画情報を蓄積するものであるから、本願発明の「受け付けたデータを記憶するデータ記憶手段」に相当する。
引用文献1に記載されたものにおける「操作されて前記画情報の送信が指令される操作表示部7」は、画情報の送信がデータに基づく画像処理といえるものであるから、本願発明の「前記データに基づく画像処理の実行指示を受け付ける指示受付手段」に相当する。
引用文献1に記載されたものにおける「該操作表示部7で操作された送信の指令に従って前記画像蓄積装置9に蓄積された画情報の送信を行なう手段」も同様に、画情報の送信がデータに基づく画像処理といえるものであるから、本願発明の「該指示受付手段が受け付けた実行指示に従って前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づく画像処理を行なう処理手段」に相当する。
引用文献1に記載されたものにおける「前記操作表示部7で送信が指令された前記画情報の送信について、送信日時、送信時の伝送モード、宛先番号、送信結果、送信画情報ファイル番号の情報を履歴情報として保存する手段」において、同様に、画情報の送信がデータに基づく画像処理といえるものであり、送信日時、送信時の伝送モード、宛先番号、送信結果、送信画情報ファイル番号の情報は、何れも送信に係る情報といえるものであるから、本願発明の「前記指示受付手段が実行指示を受け付けた前記データに基づく画像処理に係る情報を履歴情報として記憶する履歴記憶手段」に相当し、また、上記送信日時、送信時の伝送モード、宛先番号、送信結果、送信画情報ファイル番号の情報は、画情報がどのような送信に利用されたかを示しているといえるので、本願発明と引用文献1に記載された発明とは「前記画像処理に係る情報は、前記データがどのような画像処理に利用されたかを示す情報である」点で一致する。
引用文献1に記載されたものにおける「該保存する手段に保存された履歴情報を参照する場合にパスワードの入力を要求する手段」は、履歴情報を参照するには該履歴情報を保存する手段にアクセスする必要があり、その際にパスワードの入力が要求されるのはパスワードを照合して前記アクセスを禁止、又は許可などの制限をするためであることから、本願発明の「該履歴記憶手段へのアクセスを制限する制限手段」に相当する。
したがって、本願発明と引用文献1に記載された発明とは次の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「受け付けたデータを記憶するデータ記憶手段と、前記データに基づく画像処理の実行指示を受け付ける指示受付手段と、該指示受付手段が受け付けた実行指示に従って前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づく画像処理を行なう処理手段とを備える画像処理装置において、
前記指示受付手段が実行指示を受け付けた前記データに基づく画像処理に係る情報を履歴情報として記憶する履歴記憶手段と、
該履歴記憶手段へのアクセスを制限する制限手段と
を備え、
前記画像処理に係る情報は、前記データがどのような画像処理に利用されたかを示す情報であることを特徴とする画像処理装置。」

(相違点)
履歴記憶手段が、本願発明においては、データ記憶手段に記憶されたデータをも記憶するものであるのに対し、引用文献1に記載された発明では、画像蓄積装置9に蓄積された画情報(本願発明の「データ記憶手段に記憶されたデータ」に相当)そのものではなく、該画情報のファイル番号を記憶するものである点。

(3)当審の判断
相違点について検討する。
引用文献1に記載された発明における履歴情報には、画像蓄積装置9に蓄積された画情報のファイル番号が含まれているのであるから、この履歴情報は、画像蓄積装置9に蓄積された画情報と対応付けられているものである。また、画像形成装置において、画像処理の履歴情報とともに、画像処理を行った対象のデータそのものを記憶することは、引用文献2に記載されているように公知であるから、画像形成装置である引用文献1に記載されたネットワークファクシミリ装置において、情報を履歴情報として保存する手段(本願発明の「履歴記憶手段」に相当)に、引用文献2に記載されたもののように、画像蓄積装置9に蓄積された画情報(本願発明の「データ記憶手段に記憶されたデータ」に相当)をも記憶する構成とすることは当業者が容易に想到できたことである。

(4)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-21 
結審通知日 2009-01-27 
審決日 2009-02-10 
出願番号 特願2004-276233(P2004-276233)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 努  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 千葉 輝久
廣川 浩
発明の名称 画像処理装置  
代理人 河野 登夫  

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