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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47K |
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管理番号 | 1195040 |
審判番号 | 不服2007-3425 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-02-05 |
確定日 | 2009-03-31 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第521868号「センターフィードロール」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月19日国際公開、WO97/21377、平成12年10月10日国内公表、特表2000-513241〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、1996年12月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年12月14日、英国)を国際出願日とする出願であって、平成18年10月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月7日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年3月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成19年3月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正の概要 本件補正により、特許請求の範囲は、次のとおりに補正された。 「【請求項1】 センターフィードロール取り出しシステムであって、 2つのウェブから形成されたセンターフィードロールを備え、前記ウェブの各々は、該ウェブを分離して複数のシートにできる脆い線を有しており、前記脆い線の強度と前記ウェブ引張強度との比は約1対5より小さく、前記一方のウェブの前記脆い線は、前記他方のウェブの脆い線からずれており、使用時に、前記シートが交互のウェブから一枚ずつ引き出されるようになっており、 前記ロールを支持し、開口部のまわりに延びるリムが設けられたベースを有するディスペンサーを備え、前記リムは、使用時に前記ロールの中央に突出し、前記各ウェブが前記ロールの内側面から前記開口部を通過するようになっており、前記ウェブの前記ミシン目の強度は、該ウェブが前記ロールの中心から引き出されるが、前記開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されたセンターフィードロール取り出しシステム。 【請求項2】?【請求項15】(省略) 【請求項16】 請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載されたセンターフィードロールと、 前記ロールを支持し、前記ウェブが前記ロールの内側面から通過できる開口部を有するディスペンサーと、 を備え、 各ウェブの前記ミシン目の強度は、前記ウェブが前記ロールの中心から引き出されるが、前記開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されたことを特徴とするセンターフィードロール取り出しシステム。 【請求項17】 前記ロールの軸線は垂直であることを特徴とする請求項16に記載のセンターフィードロール取り出しシステム。 【請求項18】?【請求項23】(省略)」 上記【請求項17】は、請求項1を引用する請求項16をさらに引用するものであり、【請求項17】の補正は、実質上、補正前の請求項18の「センターフィードロール取り出しシステム」の「ディスペンサー」について、「開口部のまわりに延びるリムが設けられたベース」を有し、「前記リムは、使用時に前記ロールの中央に突出し、前記各ウェブが前記ロールの内側面から前記開口部を通過するようになっており」という限定を加えたものである。 してみると、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の、請求項1を引用する請求項16をさらに引用する請求項17に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (本願補正発明) 「センターフィードロール取り出しシステムであって、 2つのウェブから形成されたセンターフィードロールを備え、前記ウェブの各々は、該ウェブを分離して複数のシートにできる脆い線を有しており、前記脆い線の強度と前記ウェブ引張強度との比は約1対5より小さく、前記一方のウェブの前記脆い線は、前記他方のウェブの脆い線からずれており、使用時に、前記シートが交互のウェブから一枚ずつ引き出されるようになっており、 前記ロールを支持し、開口部と、開口部のまわりに延びるリムが設けられたベースを有するディスペンサーを備え、前記リムは、使用時に前記ロールの中央に突出し、前記各ウェブが前記ロールの内側面から前記開口部を通過するようになっており、前記ウェブの前記ミシン目の強度は、該ウェブが前記ロールの中心から引き出されるが、前記開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されたセンターフィードロール取り出しシステムにおいて、 前記ロールの軸線は垂直であることを特徴とするセンターフィードロール取り出しシステム。」 (2)刊行物 刊行物1:欧州特許出願公開第480848号明細書 刊行物2:実願昭56-4993号(実開昭57-118797号)のマイクロフィルム 本願優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物1には、「中心繰り出し紙手ふき分配装置(distributeur de papier essuie-mains a devidage central)」に関して、図面とともに、以下のことが記載されている。 (ア)「 ![]() 」(第2欄第7-10行) 「煙突形型の機能としては、ボビンの内部を繰り出す際に、紙のくせを取り、まっすぐさせることである。」(仮訳) (イ)「 ![]() 」(第2欄第21-23行) 「図2は本発明による中心繰り出し分配装置を示している。」(仮訳) (ウ)「 ![]() 」(第2欄第49行-第3欄第2行) 「ボビン形状の紙に適合する円筒形本体1は側面に突起1.1を含む。突起は壁に取りつけたベースプレート2の上に適合し、固定される。本体は円形ボビンホルダ-4と紙を引き通過するため中心開口部を含む台3は垂直に装備される。本体外観を保護するため、金属覆い5を、本体において取りはずしのできる資材で位置決めし取りつける。」(仮訳) (エ)「 ![]() 」(第3欄第26-35行) 「台3は特定の高さにおいて、本体の内部へ再上昇する煙突形型3.2とともに、紙の通過する開口部3.1の回りに配置される。煙突形型は、紙のガイドを容易にするために、円筒形または円錐形3.3の外側面とする。上部のへり3.4は煙突形型の内部へ紙テ-プの挿入と通過を簡単にするために丸くする。」(仮訳) (オ) 第5頁第2図によれば、分配装置(distributeur)本体(corps)1は、内部に紙のボビン(porte-bobine)4を設け、使用時に紙が引き出されるようになっており、 本体(corps)1は、前記ボビン(porte-bobine)4を支持し、中央開口部(ouverture centrale)3.1のまわりに延びる円錐(cylindrique)3.3の外側面をもつ煙突形型(cheminee)3.2が設けられた台(plateau)3を有し、前記煙突形型(cheminee)3.2は、使用時に前記ボビン(porte-bobine)4の中央に突出し、前記紙が前記ボビン(porte-bobine)4の内側面から前記中央開口部(ouverture centrale)3.1を通過するようになっており、前記ボビン(porte-bobine)4の軸線は垂直であるものが記載されている。 これらの記載事項(ア)?(オ)及び第2図の記載によれば、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「分配装置であって、 ボビン4を備え、使用時に、紙が引き出されるようになっており、 前記ボビン4を支持し、中央開口部3.1のまわりに延びる円錐の外側面をもつ煙突形型3.2が設けられた台3を有する本体1を備え、前記煙突形型3.2は、使用時に前記ボビン4の中央に突出し、前記紙が前記ボビン4の内側面から前記中央開口部3を通過するようになっている分配装置において、 前記ボビン4の軸線は垂直である分配装置」(以下、「刊行物1記載の発明」という。) また、本願優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2には、図面とともに、以下のことが記載されている。 (カ) 「長尺で適当巾のテシユペーパー1に所定間隔をおいて横切目2を入れ、 二枚のテシユペーパー1a・1bの切目2が交互になるように重ねてロール状に巻取り、 取出口5aのある箱5に収容した、 引出しの容易なロール巻きしたテシユペーパー」(実用新案登録請求の範囲) (キ) 「長尺で適宜巾例えば200cm×24cmのテシユペーペー1に、横の切目2を等間隔例えば20cmに付し、第1図のように1aと1bを重ね、しかも切目2が交互になるように芯3にロール状に巻取り、ロール状のテシユペーパーとなる。」(明細書第2頁第3-7行) (ク) 「箱5よりテシユペーパー1を引出す要領を述べると、取出口5a(強靱で滑り易い合成樹脂製シートを図示した)はテシユペーパー1巾の約半分長さの楕円形孔で、テシユペーパー1の端を矢方向(イ)に引張ると、巾を縮小されて1a、1bは一体となつて箱5外に引出され、切目2(ロ)が取出口より脱出すると、切目2より切れて20cm×24cmのテシユペーパー1b(ハ)となり、この時にはテシユペーパー1a(ニ)は約10cm程度取出口5aより脱出して次の引出しに応ずる体勢となる。」(明細書第2頁第12行-第3頁第2行) これらの記載事項(カ)?(ク)によれば、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。 「二枚のテシユペーパー1a・1bから形成されたロール状のテシユペーパーを備え、前記テシユペーパー1a・1bの各々は、該テシユペーパーを分離して複数のシートにできる切目2を有しており、前記一方のテシユペーパーの前記切目2は、前記他方のテシユペーパーの切目2からずれており、使用時に、前記シートが交互のテシユペーパーから一枚ずつ引き出されるようになっており、前記テシユペーパーの前記切目2の強度は、該テシユペーパーが前記ロール状のテシユペーパーから引き出されるが、取出口5aの近傍又は該取出口5a内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されているもの」(以下、「刊行物2記載の発明」という。) (3)対比 そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「分配装置」は本願補正発明の「センターフィードロール取り出しシステム」に相当し、以下同様に、刊行物1記載の発明の「ボビン4」、「紙」、「中央開口部3.1」、「円錐の外側面をもつ煙突形型3.2」、「台3」、「本体(corps)1」は、それぞれ本願補正発明の「センターフィードロール」、「シート」、「開口部」、「リム」、「ベース」、「ディスペンサー」に相当する。 したがって、両者は、 「センターフィードロール取り出しシステムであって、 センターフィードロールを備え、使用時に、シートが引き出されるようになっており、 前記センターフィードロールを支持し、開口部のまわりに延びるリムが設けられたベースを有するディスペンサーを備え、前記リムは、使用時に前記センターフィードロールの中央に突出し、前記シートが前記センターフィードロールの内側面から前記開口部を通過するようになっている、センターフィードロール取り出しシステムにおいて、前記センターフィードロールの軸線は垂直である」ものが記載されている。 の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点) 本願補正発明が、2つのウェブから形成されたセンターフィードロールを備え、前記ウェブの各々は、該ウェブを分離して複数のシートにできる脆い線を有しており、前記脆い線の強度と前記ウェブ引張強度との比は約1対5より小さく、前記一方のウェブの前記脆い線は、前記他方のウェブの脆い線からずれており、使用時に、前記シートが交互のウェブから一枚ずつ引き出されるようになっており、前記ウェブの前記脆い線(ミシン目)の強度は、該ウェブが前記ロールの中心から引き出されるが、前記開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されているのに対し、刊行物1記載の発明ではそのような構成を有していない点。 (4)判断 上記相違点について検討するにあたり、刊行物2記載の発明と本願補正発明とを対比すると、刊行物2記載の発明の「二枚のテシユペーパー1a・1b」は本願補正発明の「2つのウェブ」に相当し、以下同様に、刊行物2記載の発明の「ロール状のテシユペーパー」、「切目2」、「取出口5a」は、それぞれ本願補正発明の「センターフィードロール」、「脆い線(ミシン目)」、「開口部」に相当する。 してみると、刊行物2記載の発明には、本願補正発明の発明特定事項である、 「2つのウェブから形成されたセンターフィードロールを備え、前記ウェブの各々は、該ウェブを分離して複数のシートにできる脆い線を有しており、前記一方のウェブの前記脆い線は、前記他方のウェブの脆い線からずれており、使用時に、前記シートが交互のウェブから一枚ずつ引き出されるようになっており、前記ウェブの前記脆い線の強度は、該ウェブが前記ロールから引き出されるが、開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されているもの」 が、開示されている。 一般に、ロール状のペーパーの供給方式として、ロールの外側から取り出すものと、ロールの内側から取り出すものとは従来周知であり、ロール状のペーパーであればそのどちらにも対応できることは容易に想定される。 よって、刊行物1記載の発明において、センターフィードロールとして刊行物2に記載の「ロール状のテシユペーパー」を採用することに格別の困難性はない。 また、センターフィードロールとして刊行物2に記載の「ロール状のテシユペーパー」を刊行物1記載の発明に採用するにあたり、脆い線(切目2)の強度を最適なものに設定することは、当業者ならば適宜なし得る技術事項にすぎず、その強度の数値範囲を限定することに格別の顕著性はない。 さらに、センターフィードロールとして刊行物2に記載の「ロール状のテシユペーパー」を刊行物1記載の発明に採用するにあたり、刊行物1に記載の「円錐の外側面をもつ煙突形型3.2」が脆い線を有するウェブを引き出す際の抵抗となっていることは、上記記載事項(ア)及び(エ)からみて明らかであり、脆い線を有するウェブがロールから引き出されるときに、開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として、脆い線により破断することは容易に想到し得るものである。 そして、本願補正発明の作用効果も、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明から当業者が予測できる範囲のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。 3.本願発明 平成19年3月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1を引用する請求項25に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年6月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項25に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 (本願発明) 「2つのウェブから形成されたセンターフィードロールであって、 前記ウェブの各々は、該ウェブを分離して複数のシートにできる脆い線を有しており、前記脆い線の強度と前記ウェブ引張強度との比は約1対5より小さく、前記一方のウェブの前記脆い線は、前記他方のウェブの脆い線からずれており、使用時に、前記シートが交互のウェブから一枚ずつ引き出されるようになっているセンターフィードロールと、 該ロールを支持し、開口部のまわりに延びるリムが設けられたベースを有するディスペンサーと、 を備え、 前記リムは、使用時に前記ロールの中央に突出し、前記各ウェブが前記ロールの内側面から前記開口部を通過するようになっており、前記ウェブの前記ミシン目の強度は、該ウェブが前記ロールの中心から引き出されるが、前記開口部の近傍又は該開口部内において生成される抵抗の結果として破断するように選択されたセンターフィードロール取り出しシステム。」 4.刊行物及びその記載内容 刊行物及びその記載事項は、前記「2.(2)刊行物」に記載したとおりである。 5.対比・判断 本願発明と前記「2.」で検討した本願補正発明を対比すると、本願発明は、実質上、本願補正発明から「ロールの軸線は垂直である」との構成を省略したものである。 してみると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)判断」に記載したとおり、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-10-28 |
結審通知日 | 2008-11-04 |
審決日 | 2008-11-18 |
出願番号 | 特願平9-521868 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A47K)
P 1 8・ 121- Z (A47K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 七字 ひろみ |
特許庁審判長 |
石川 好文 |
特許庁審判官 |
伊波 猛 関根 裕 |
発明の名称 | センターフィードロール |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 大塚 文昭 |