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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C |
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管理番号 | 1195070 |
審判番号 | 不服2007-9362 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-04-04 |
確定日 | 2009-03-30 |
事件の表示 | 特願2005-257350「電子地図データのデータ構造および電子地図データを記録した記録媒体,並びに経路探索装置,経路探索を行うためのコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 53154〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は,平成13年10月12日に出願した特願2001-314925号の一部を平成17年9月6日に新たな特許出願としたものであって,平成19年2月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月4日に拒絶査定不服審判が請求され,さらに,平成20年7月31日付けで当審の拒絶理由が通知され,同年10月1日付けで手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成20年10月1日付け手続補正書により補正(以下「本件補正」という。)された特許請求の範囲によれば,以下のとおりのものと認められる。 「コンピュータが経路探索を行う際に利用する電子地図データを記録した記録媒体であって、 歩行路を表すリンクデータと、歩行路同士の結合点または端点を表すノードデータとによって現実の歩行路のつながり状態を表す歩行路データを記憶する歩行路データ記憶部と、 経路探索用に前記歩行路の歩行の困難度を考慮して設定されたコストを、前記リンクデ ータと対応付けて記憶するコストデータ記憶部とを備え、 前記コストデータ記憶部は、一つのリンクに対して多段階の歩行者の歩行能力に対応づけて設定された複数のコストを記憶するとともに、前記コンピュータが、入力された歩行能力に応じた経路探索用の各リンクのコストを設定するために参照される 電子地図データを記録した記録媒体。」 なお,本件補正後の請求項10に記載された「歩行路データを記憶する歩行路データ」,「コストデータを記憶するコストデータ」は,その意味を明確に理解し難いこと,及び以下のような理由により,それぞれ「歩行路データを記憶する歩行路データ記憶部」,「コストデータを記憶するコストデータ記憶部」の意であると解されるので,上記のとおり認定した。 すなわち,本件補正は,当審の上記拒絶理由通知における,「(本件補正前の)請求項1に記載されたものは,『電子地図データのデータ構造』を対象とするものであるのに,『歩行路データ記憶部』や『コストデータ記憶部』というハードウェア資源を有することとなり不明確である」旨の指摘に対し,請求項1における「歩行路データ記憶部」や「コストデータ記憶部」をそれぞれ「歩行路データ」「コストデータ」に補正すると共に,請求項10についても,同様の箇所を上記と同様に補正したものである。しかし,そもそも請求項10は,「電子データ構造」の発明ではなく,「記録媒体」の発明であり,上記拒絶理由通知においても,請求項10については,上記の趣旨での記載不備は指摘していなかったにもかかわらず,請求項10をも請求項1と同様に補正したのは,請求人の錯誤によるものと解される。したがって,請求項10に係る発明において,「(歩行路データを記憶する)歩行路データ」「(コストデータを記憶する)コストデータ」に関しては,本件補正前の請求項10に記載された「歩行路データ記憶部」「コストデータ記憶部」の誤記と解するのが妥当と判断した。 3.引用例 当審の拒絶理由通知で引用した特開2001-27544号公報(以下「引用例」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は個人が携帯して利用するパーソナルナビゲーション装置に関し、特に、指定した現在地及び目的地とを結ぶ複数の経路候補を表示し、経路候補を個人の状態にあわせて選択できるパーソナルナビゲーション装置及びこれに利用される記憶媒体に関する。」 ・「【0005】 【発明が解決しようとする課題】・・・しかしながら、歩道を経路として扱わないので、歩道、横断歩道、歩道橋などを表示することがあっても、単に背景として表示するだけであった。例えば、歩行者に移動条件(健常者、車椅子使用者など)がある場合、歩行者の移動条件に応じた経路情報を得ることができないので、自分が立っている交差点の向こうに渡りたいとき、どのような経路なのか、移動困難な経路がどこにあるのかなど確認できないという問題がある。 【0006】本発明は以上の事情を考慮してなされたものであり、例えば、現在地から目的地に至る経路のナビゲーション情報として、歩行者の移動条件及び歩道状態に応じた複数の経路候補を生成して表示する構成にしたことにより、歩行者が自分に適した移動負荷が少ない経路候補の選択が可能になるパーソナルナビゲーション装置及びこれに利用される記憶媒体を提供するものである。」 ・「【0015】本発明の別の観点によれば、パーソナルナビゲーション装置をコンピュータで制御するプログラムを記憶した記憶媒体であって、歩道の所定地点に予め設定された複数のノードと各ノード間の距離及び歩道状態を含む地図データを地図データ記憶部に記憶する地図データ記憶機能と、移動条件指定部を用いて、歩行者の移動条件を指定する移動条件指定機能と、位置指定部を用いて、現在地及び目的地を含む位置を指定する位置指定機能と、現在地と目的地とを結ぶ経路候補となる各ノードを地図データ記憶部から検索するノード検索機能と、歩道状態及び歩行者の移動条件に基づいて各ノード間に対する歩行者の移動負荷を算出する移動負荷算出機能と、移動負荷が付加されたノード間の距離及び歩道状態が含まれる地図データを用いて歩行者に応じた複数の経路候補を生成する経路生成機能と、経路候補を含む地図画像を選択可能に表示部に表示する地図描画機能とを有するコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体が提供される。」 ・「【0021】入力部2は、例えば、キーパッド、タッチパネルキーなどで構成され、地図表示画面のスクロール指示を行うスクロール指示キー、経路生成モード設定/解除キー、目的地設定キーなどを備え、歩行者の移動条件を指定する移動条件指定部、現在地及び目的地を含む位置を指定する位置指定部として機能する。」 ・「【0023】地図データ記憶部4は、例えば、ROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリ、フロッピーディスクやハードディスクなどの磁気ディスクやCD-ROM/MO/MD/DVDなどの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードも含む)/光カードなどのカード系などを含めた記憶媒体で構成され、背景レイヤ、文字・記号レイヤ、道路レイヤ、歩道レイヤなどから構成された地図データや文字記号や経路データを記憶する。 【0024】また、地図データ記憶部4は、歩道の所定地点に予め設定された複数のノードと各ノード間の距離及び歩道状態を含む地図データを記憶している。また、地図データ記憶部4は、歩道状態としてノード間の傾斜度、ノード間に存在する横断歩道、歩道橋、階段を含む地図データを記憶している。また、地図データ記憶部4は、歩道状態及び歩行者の移動条件に対応する移動負荷係数を記憶した移動負荷係数テーブルをさらに有してもよい。また、移動負荷係数テーブルは、歩行者の移動条件に基づいて予め決めた最大許容移動負荷を記憶してもよい。 【0025】ここで、歩行者の移動条件とは、健常者、車椅子使用者などの条件とする。歩道とは、歩行者(自転車含む)専用の通行路(車道に付随する通行帯、歩道橋、細い道、地下道、スロープ、歩行者専用道路、遊歩道、土手、山道、階段、公園の出入り口、アーケード街、細い橋、吊り橋、各種建物・施設などの敷地内で通常通行可能な通路)をいい、車両は通行できないものとする。 【0026】経路生成部5は、通信部1から得た現在地座標と入力部2から得た目的地座標とから、現在地と目的地とを結ぶ経路候補となる各ノードを地図データ記憶部から検索し、歩道状態及び歩行者の移動条件に基づいて各ノード間に対する歩行者の移動負荷を算出し、移動負荷が付加されたノード間の距離及び歩道状態が含まれる地図データを用いて歩行者に応じた複数の経路候補を生成する。 【0027】また、経路生成部5は、ノード間の距離に歩道状態及び歩行者の移動条件に対応する移動負荷係数をかけることにより各ノード間に対する歩行者の移動負荷を算出する機能を有している。」 ・「【0036】図2は本実施例の地図データ記憶部に記憶された地図データのレイヤの一例を示す図である。図2に示すように、地図データ記憶部4に記憶されている地図データは、以下の4つのレイヤ(画像データ)から構成されている。背景レイヤ201は、道路、歩道、建物などの形状を表示する背景データである。文字・記号レイヤ202は、道路、歩道、建物などの名称の表示する文字・記号データである。 【0037】道路レイヤ203は、一般道路と大域的ノード(交差点など)の地図データである。歩道レイヤ204は、歩道と歩行者用ノード(横断歩道の端など)の地図データであり、大域的ノードと歩行者用ノードとの位置関係を示す地図データである。 【0038】図3は本実施例の地図データに付加されたノードの位置関係を示す図である。図3の地図データでは、大きな車道R1、R2が2本交差し、それらの両側に歩道が存在する例である。図3に示すように、歩行者用ノードは、例えば、横断歩道の端(N1,N15,N8,N9,N11,N12)、歩道橋の端(N5,N6)、曲がり角(N3,N7,N10,N13,N14,N16,N17)などの分岐点や地点に設定される。また、歩行者が移動する際に、特別な負荷がかかる坂道の端、階段の端などの地点に設定される。」 ・「【0047】図7は本実施例の移動負荷係数テーブルの一構成例を示す図である。図4に示す歩行者用ノードテーブル(1)では、任意の隣接する2つの歩行者用ノード間における地図上の水平距離とその経路の状態を示しているが、歩行者の移動条件(健常者、車椅子使用者など)によっては、実際に移動する労力とは必ずしも比例しない。 【0048】そこで、図7に示す移動負荷係数テーブルのように、ある2つの歩行者用ノード間における水平距離に、経路の状態と歩行者の移動条件とに依存する労力に比例した距離に換算するための移動負荷係数が記憶されている。なお、歩行者の移動条件(健常者・車椅子使用者など)に応じた移動負荷係数を掛けた値を移動負荷という。また、歩行者の移動条件は、予め選択されているものとする。この移動負荷係数テーブルには、歩行者の移動条件に応じて定められている最大許容移動負荷値が記憶されている。 【0049】また、経路生成部5は、最大許容移動負荷を越えるノードを経由する経路候補は生成しないよう構成されている。経路生成部5は、ノード間の距離に歩道状態及び歩行者の歩行者の移動条件に対応する移動負荷係数に基づいて目的地までの移動負荷が最小となる経路を生成するよう構成されている。」 ・「【0054】図12は本実施例の経路候補の各ノード間の移動負荷の計算結果の一例を示す図である。図12において、歩行者用ノードN1(以降、N1と表記する)を出発地、N6を目的地とする。図13は本実施例の移動負荷情報を付加した経路候補の一例を示す図である。図12の移動負荷の計算結果から得られた経路候補であり、歩行者は自分の移動条件にあわせて選択することができる。」 ・また,歩行者用ノードテーブルは,図4(a)にも示されるように,歩行者用ノードの座標,隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路の距離や状態等のデータが記憶されており,図3に示されるような現実の歩行者用の経路のつながり状態を表すデータを記憶するものということができる。 ・第7図には,一つの「経路の状態」(例えば,舗装状態,スロープの傾斜角度等)に対して,健常者・車椅子(軽度)・足が不自由(杖が必要)等,多段階の歩行者の移動条件に対応付けて複数の移動負荷係数を設定することが開示されている。 これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例には,次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「コンピュータが現在地と目的地とを結ぶ経路を選択する際に利用する地図データを記憶した記憶媒体であって, 隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路の距離や状態のデータと,横断歩道の端や歩道の曲がり角,分岐点等に設定された歩行者用ノードの座標情報とによって,現実の歩行者用の経路のつながり状態を表すデータを記憶する歩行者用ノードテーブルと, 経路選択のために,歩行にかかる労力を考慮し設定された移動負荷係数を経路の状態と対応付けて記憶する移動負荷係数テーブルとを備え, 前記移動負荷係数テーブルは,一つの経路の状態に対して多段階の歩行者の移動条件に対応付けて設定された複数の移動負荷係数を記憶するとともに,前記コンピュータが,入力された歩行者の移動条件に応じた経路を選択するために,隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路の移動負荷係数を設定するために参照される 地図データを記憶した記憶媒体。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると,その機能・作用から見て,後者の「現在地と目的地とを結ぶ経路を選択する」態様は,前者の「経路探索を行う」態様に相当し,以下同様に,「地図データ」は「電子地図データ」に,「記憶した」は「記録した」に,「記憶媒体」は「記録媒体」に,「隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路」は「歩行路」または「リンク」に,それぞれ相当する。 また,後者の「隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路の距離や状態のデータ」と,前者の「歩行路を表すリンクデータ」とは,「歩行路に関するデータ」との概念で共通する。 さらに,後者の「横断歩道の端や歩道の曲がり角,分岐点等に設定された歩行者用ノードの座標情報」は,前者の「歩行路同士の結合点または端点を表すノードデータ」に相当し,以下同様に,「現実の歩行者用の経路つながり状態を表すデータを記憶する歩行者用ノードテーブル」は,「現実の歩行路のつながり状態を表す歩行路データを記憶する歩行路データ記憶部」に,「経路選択のために,歩行にかかる労力を考慮して設定された移動負荷係数」は,「経路探索用に歩行路の歩行の困難度を考慮して設定されたコスト」に,「移動負荷係数テーブル」は「コストデータ記憶部」に,それぞれ相当する。 そして,後者の「移動負荷係数を経路の状態と対応付けて記憶する移動負荷係数テーブル」と,前者の「コストを,リンクデータと対応付けて記憶するコストデータ記憶部」とは,「コストを記憶するコストデータ記憶部」との概念で共通する。 また,後者の「歩行者の移動条件」は,前者の「歩行者の歩行能力」に相当する。 加えて,後者の「一つの経路の状態に対して多段階の歩行者の移動条件に対応付けて設定された複数の移動負荷係数を記憶する」態様と,前者の「一つのリンクに対して多段階の歩行者の歩行能力に対応付けて設定された複数のコストを記憶する」態様とは,「多段階の歩行者の歩行能力に対応付けて設定された複数のコストを記憶する」との概念で共通する。 また,後者の「コンピュータが,入力された歩行者の移動条件に応じた経路を選択するために,隣接する2つの歩行者用ノード間の部分経路の移動負荷計数を設定するために参照される」態様は,前者の「コンピュータが,入力された歩行能力に応じた経路探索用の各リンクのコストを設定するために参照される」態様に相当する。 したがって,両者は, 「コンピュータが経路探索を行う際に利用する電子地図データを記憶した記録媒体であって, 歩行路に関するデータと,歩行路同士の結合点または端点を表すノードデータとによって現実の歩行路のつながり状態を表す歩行路データを記憶する歩行路データ記憶部と, 経路探索用に前記歩行路の歩行の困難度を考慮して設定されたコストを記憶するコストデータ記憶部とを備え, 前記コストデータ記憶部は,多段階の歩行者の歩行能力に対応付けて設定された複数のコストを記憶するとともに,前記コンピュータが,入力された歩行能力に応じた経路探索用の各リンクのコストを設定するために参照される 電子地図データを記録した記録媒体。」の点で一致し,以下の点で相違する。 [相違点1] 歩行路データを構成する「歩行路に関するデータ」に関し,本願発明では,歩行路「を表すリンクデータ」であるのに対し,引用発明では,歩行路「の距離や状態のデータ」である点。 [相違点2] コストデータの記憶態様に関し,本願発明では,コストを「リンクデータ」と対応付けて記憶するのに対し,引用発明では,コストを「経路の状態」と対応付けて記憶する点。 [相違点3] 多段階の歩行者の歩行能力に対応付けて設定された複数のコストの記憶態様に関し,本願発明では,「一つのリンク」に対して設定するのに対し,引用発明では,「一つの経路の状態」に対して設定する点。 5.判断 上記各相違点について以下検討する。 ・相違点1について 本願発明において,「歩行路」または「リンク」とは,隣接する2つのノードを始点及び終点とする1本の経路を意味すると解され(【0036】段落参照),「リンクデータ」には,リンク番号,始点・終点,リンク種別(歩道,坂道等)等が含まれる(図2等参照)外,歩行路の距離も含み得る(【0036】段落)ところ,引用発明における「歩行路(経路)の距離や状態のデータ」も,隣接する2つのノード間の部分経路の距離や状態(平坦,坂道等)を含むものであり,本願発明の「歩行路を表すリンクデータ」と引用発明の「歩行路の距離や状態のデータ」とは,共通のデータを含むものであって,両者は実質的に同じものといえるから,相違点1は実質的な相違点ではない。 なお,隣接する2つのノード間の経路を「リンク」と称して扱うことは,当審の拒絶理由通知で引用した特開平11-304516号公報(【0017】?【0022】段落等を参照)にも開示されるように,地図データを扱う分野における技術常識である。 ・相違点2について 本願発明の「リンクデータ」には,リンク種別(歩道,坂道等)が含まれ,引用発明における「経路の状態」には平坦,坂道等の情報が含まれることは上記のとおりであるから,引用発明における「経路の状態」は本願発明における「リンクデータ」の一部といえる。 そうすると,引用発明も,コストをリンクデータに対応付けて記憶するものということができるから,相違点2も,実質的な相違点ではない。 ・相違点3について 引用発明においては,コスト(移動負荷係数)を個別のリンク毎ではなく,経路の状態に対して設定しているが,歩行路データ記憶部(歩行者用ノードテーブル)に記憶した「リンク(隣接するノード間の部分経路)」とその「経路の状態」との対応関係を併せ用いることにより,本願発明と同様,個別のリンク毎の,多段階の歩行者の歩行能力に対応付けて設定された複数のコストを取得し,経路探索に利用しているものである。 そうすると,引用発明においても,個別のリンク毎のコストを取得する必要があるのであるから,コストを記憶する際に,「一つのリンク」に対してコストを設定するよう構成することは,当業者が,記憶媒体の記憶容量等を考慮して,容易になし得る事項である。 したがって,相違点3に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易になし得るものである。 そして,本願発明の全体構成により奏される効果は,引用発明から予測し得る範囲内のものである。 6.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-13 |
結審通知日 | 2008-11-18 |
審決日 | 2009-01-19 |
出願番号 | 特願2005-257350(P2005-257350) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G01C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 片岡 弘之 |
特許庁審判長 |
大河原 裕 |
特許庁審判官 |
小川 恭司 仁木 浩 |
発明の名称 | 電子地図データのデータ構造および電子地図データを記録した記録媒体、並びに経路探索装置、経路探索を行うためのコンピュータプログラム |