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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61F
管理番号 1195075
審判番号 不服2007-23332  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-24 
確定日 2009-03-30 
事件の表示 平成 9年特許願第220822号「個装吸収性物品」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月23日出願公開,特開平11- 47187〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は,平成9年8月1日の出願であって,平成19年7月23日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成19年8月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,平成19年9月21日に手続補正がなされたところ,当審において,平成20年10月31日付けで,平成19年9月21日付けの手続補正の却下の決定と拒絶理由通知がなされ,これに対し,平成20年12月25日に手続補正がなされたものである。

II.当審の判断
1.本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は,平成20年12月25日付け手続補正書により補正された明細書の,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「吸収性物品と,この吸収性物品を個別包装している個装袋とからなる個装吸収性物品において,前記個装袋を水溶紙により構成するとともに,前記水溶紙は,製造工程中に解繊された繊維中に熱可塑性水溶性ポリマーからなるバインダーを混合することで熱シール性が付与されていることを特徴とする個装吸収性物品。」

2-1.引用例の記載事項
(1) 引用例1
当審の平成20年10月31日付け拒絶理由通知で引用された実願昭54-49409号(実開昭55-151322号公報)のマイクロフィルム(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに下記の事項が記載されている。
a.(1頁)(実用新案登録請求の範囲)
「1.一部に粘着剤層を有する生理処理ナプキンを少なくとも該粘着剤層に当接する部分に剥離層を有する水溶性フィルムによって包装してなる生理処理ナプキン個別包装体。」
b.(1頁8?10行)
「本考案は粘着層付き生理処理ナプキンに関するものであって特にその水溶性個別包装フィルムを粘着層の保護材として利用しようとするものである。」
c.(2頁7?15行)
「前記個別包装材料として用いる水溶性フィルムとはフィルム形成能を有し,生理処理ナプキンの個別包装に用いることのできるものであって,天然あるいは合成の水溶性,水膨潤性,水解性高分子である。すなわちデンプン,コラーゲン等の天然水溶性高分子類あるいはポリビニルアルコール,・・・などの合成水溶性高分子類およびその誘導体である。」

これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。
「生理処理ナプキンと,この生理処理ナプキンを個別包装している個別包装フィルムとからなる生理処理ナプキン個別包装体において,前記個別包装フィルムを水溶性フィルムにより構成することを特徴とする生理処理ナプキン個別包装体。」

(2) 引用例2
同じく引用された特開平7-132965号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに下記の事項が記載されている。
d.(2頁1欄)(特許請求の範囲)
「【請求項1】 水中で攪拌したとき240秒以内に崩壊分散する水溶紙を包装材料とし,洗浄剤,着色剤,防臭剤及び殺菌剤を主成分とする処理剤が前記の包装材料により包装されていることを特徴とするトイレット用水処理剤。」
e.(2頁1欄42行?同2欄6行)
「【0005】
【課題を解決するための手段】このような水溶性樹脂フィルムの問題を改善するために包装材料を種々検討した結果,水溶紙が優れている事を見出し,本発明を完成した。本発明は,水中で攪拌したとき240秒以内に崩壊分散する水溶紙を包装材料とし,洗浄剤,着色剤,防臭剤及び殺菌剤を主成分とする処理剤が前記の包装材料により包装されていることを特徴とするトイレット用水処理剤である。」
f.(2頁2欄21?29行)
「【0007】本発明で使用される水溶紙としては適度にエーテル化して部分的にカルボキシメチルセルロース化したのち,ナトリウム化した繊維と,エーテル化していないパルプ繊維を配合して,水に溶ける時間や強度をコントロールした機能紙が用いられる。このような水溶紙としては三島製紙株式会社製「ディゾルボ」が好ましい。この紙は水に浸漬し,ゆるやかに攪拌するだけで35?180秒以内に崩壊分散する。この紙はヒートシールにより接着する事が出来る点でも優れている。」
g.(2頁2欄37?43行)
「【0009】
【実施例】
実施例1
ディゾルボWAPを縦11.0cm、横8.7cmに切り,2枚合わせて3方をヒートシールし,下記処方の薬剤粉末を25g入れたのち入口をヒートシールして袋とする。」

上記記載事項fには,水溶紙は,製造工程中に解繊された繊維中に熱可塑性水溶性材料からなるバインダー(すなわち,適度にエーテル化して部分的にカルボキシメチルセルロース化したのち,ナトリウム化した繊維)を混合することで熱シール性が付与されていることが記載されている。
これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されている。
「処理剤と,この処理剤を個別包装している袋とからなるトイレット用水処理剤において,前記袋を水溶紙により構成するとともに,前記水溶紙は,製造工程中に解繊された繊維中に熱可塑性水溶性材料からなるバインダーを混合することで熱シール性が付与されていることを特徴とするトイレット用水処理剤。」

2-2.対比
本願発明と引用発明1とを対比すると,その構造または機能からみて,引用発明1の「生理処理ナプキン」は本願発明の「吸収性物品」に相当し,以下同様に,「生理処理ナプキン個別包装体」は「個装吸収性物品」に,それぞれ相当する。
また,引用発明1の「個別包装フィルム」は,本願発明の「個装袋」と実質的に同義である。
そこで,本願発明の用語を用いて表現すると,両者は次の点で一致する。
(一致点)
「吸収性物品と,この吸収性物品を個別包装している個装袋とからなる個装吸収性物品において,前記個装袋を水溶性材料により構成することを特徴とする個装吸収性物品。」

そして,両者は次の点で相違する。
(相違点)
個装袋を構成する水溶性材料が,本願発明が紙であり,製造工程中に解繊された繊維中に熱可塑性水溶性ポリマーからなるバインダーを混合することで熱シール性が付与されているのに対し,引用発明1はフィルムであり,その製造工程及び熱シール性についての記載がない点。

2-3.相違点の判断
上記相違点について検討する。
そこで,上記相違点について検討する。
引用発明2には,トイレット用水処理剤に関するものであるが,処理剤を個別包装している袋(水溶性材料)を水溶紙により構成するとともに,前記水溶紙は,製造工程中に解繊された繊維中に熱可塑性水溶性材料からなるバインダーを混合することで熱シール性が付与されていることが記載されている(上記2-1.(2))。
本願発明,引用発明1及び引用発明2は,いずれも,個装袋をそのままトイレに流せるようにすることで廃棄処理の便宜を図ったものである点で同じであり,そのため前記個装袋の材料として,水溶性材料を用いた点においても共通している。
また,一般に,製造工程中に解繊された繊維中にポリビニールアルコールのような熱可塑性水溶性ポリマーからなるバインダーを混合することで熱シール性が付与された水溶性材料も,広く知られている(例えば,特開平3-286727号公報1頁右欄5?10行,特開平6-136655号公報3頁3欄【0017】段落参照)。
そうすると,上記周知の技術手段を考慮すると,引用発明1に引用発明2を適用して,相違点に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得た事項である。
そして,本願発明による効果も,引用発明1及び引用発明2から当業者が予測し得た程度のものであって,格別のものとはいえない。
したがって,本願発明は,周知の技術手段を考慮すると,引用発明1及び引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

III.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
それゆえ,本願出願は,特許請求の範囲の請求項2ないし請求項4に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-02 
結審通知日 2009-02-03 
審決日 2009-02-16 
出願番号 特願平9-220822
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米村 耕一  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 村山 禎恒
熊倉 強
発明の名称 個装吸収性物品  
代理人 和泉 久志  
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