• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1195147
審判番号 不服2006-26306  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-22 
確定日 2009-04-02 
事件の表示 平成10年特許願第212845号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月15日出願公開、特開2000- 42217〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願の経緯概要は下記のとおりである。

特許出願 平成10年7月28日
手続補正及び審査請求 平成13年8月1日
拒絶理由 平成18年6月5日
手続補正 平成18年8月4日
拒絶査定 平成18年10月19日
審判請求 平成18年11月22日
手続補正 平成18年11月30日
審尋 平成20年9月17日
回答書 平成20年11月21日

第2 平成18年11月30日付の手続補正についての補正却下の決定

[結論]

平成18年11月30日付の手続補正を却下する。

[理由]

1.平成18年11月30日付の手続補正における特許請求の範囲の記載について

平成18年11月30日付の手続補正(以下「本件補正」という。)における特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである。
「【請求項1】
ベニヤで形成され、ガイドレールに囲まれた遊技領域が形成されると共に、各種電気部品が配設された遊技盤と、
前面枠の裏面側に取り付けられた裏機構盤に配設されて、所定の排出条件の成立に基づき所要数の遊技球を排出する球排出装置と、
前記前面枠の前面側に取り付けられた開閉パネルに配設されて、前記球排出装置から排出された遊技球を貯留する上皿と、
前記球排出装置から排出された遊技球を前記上皿へと流下案内する球供給路と、
を備えた遊技機において、
前記球供給路は、
前記裏機構盤に設けられた裏機構盤供給路と、
前記開閉パネルに設けられた上皿連通路と、
前記裏機構盤供給路と前記上皿連通路とを中継する球中継路と、
を有し、
前記前面枠は、前記遊技盤を載せて下方から支持するフレームボードを有し、
前記遊技盤は、遊技盤前面構成部材により装飾され、
前記球中継路は、
前記フレームボードの上端部に形成され、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤の隅部に形成された切欠部と、
により形成し、
前記切欠部は、前記遊技盤隅部のベニヤ部分を被覆する前記遊技盤前面構成部材により構成し、
前記遊技盤の裏面側には、前記球中継路を形成する前記切欠部の周りに溝部を形成する一方、
前記裏機構盤の前面側には、前記溝部に嵌入可能な突出部を設け、
前記突出部を、
前記遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材に形成し、
前記突出部が前記溝部に嵌入した状態において、不正侵入物が前記球供給路を介して侵入するのを防止していることを特徴とする遊技機。」(以下「本願補正発明」という。)

2.原査定時の特許請求の範囲の記載について

原査定時の(平成18年8月4日付の手続補正における)特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである。
「【請求項1】
ベニヤで形成され、ガイドレールに囲まれた遊技領域が形成されると共に、各種電気部品が配設された遊技盤と、
前面枠の裏面側に取り付けられた裏機構盤に配設されて、所定の排出条件の成立に基づき所要数の遊技球を排出する球排出装置と、
前記前面枠の前面側に取り付けられた開閉パネルに配設されて、前記球排出装置から排出された遊技球を貯留する上皿と、
前記球排出装置から排出された遊技球を前記上皿へと流下案内する球供給路と、
を備えた遊技機において、
前記球供給路は、
前記裏機構盤に設けられた裏機構盤供給路と、
前記開閉パネルに設けられた上皿連通路と、
前記裏機構盤供給路と前記上皿連通路とを中継する球中継路と、
を有し、
前記前面枠は、前記遊技盤を載せて下方から支持するフレームボードを有し、
前記遊技盤は、遊技盤前面構成部材により装飾され、
前記球中継路は、
前記フレームボードの上端部に形成され、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤の隅部に形成された切欠部と、
により形成し、前記遊技盤隅部のベニヤ部分を前記遊技盤前面構成部材により被覆して構成し、
前記遊技盤の裏面側には、前記球中継路を形成する前記切欠部の周りに溝部を形成する一方、
前記裏機構盤の前面側には、前記溝部に嵌入可能な突出部を設け、
前記突出部を、
前記遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材に形成し、
前記突出部が前記溝部に嵌入した状態において、不正侵入物が前記球供給路を介して侵入するのを防止していることを特徴とする遊技機。」

3.本件補正についての検討

本件補正は、原査定時の手続補正における請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である
「前記球中継路は、
前記フレームボードの上端部に形成され、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤の隅部に形成された切欠部と、
により形成し、前記遊技盤隅部のベニヤ部分を前記遊技盤前面構成部材により被覆して構成し」
という点について、
「前記球中継路は、
前記フレームボードの上端部に形成され、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤の隅部に形成された切欠部と、
により形成し、
前記切欠部は、前記遊技盤隅部のベニヤ部分を被覆する前記遊技盤前面構成部材により構成し」
と変更したものである。
これについて検討すると、本件補正前の「前記遊技盤隅部のベニヤ部分を前記遊技盤前面構成部材により被覆して構成し」という事項は、本件補正後の「前記遊技盤隅部のベニヤ部分を被覆する前記遊技盤前面構成部材」という事項に相当するから、本件補正後の請求項1は、「前記切欠部」が「前記遊技盤前面構成部材」によって構成されている点の限定がなされているのに対して、本件補正前の請求項1は切欠部についてのかかる限定はなされていない。
請求人は、審判請求書において、本件補正の目的について述べていないが、上記のように特許請求の範囲が明らかに減縮されているものであるから、本件補正は特許請求の範囲の減縮に該当するものであると判断できる。

そこで、本願補正発明が独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。

4.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された実願平5-22053号(実開平6-75573号)のCD-ROM(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

【0006】
【実施例】
以下に本考案に係る不正防止構造の一実施例を図面と共に説明する。図1は本考案が適用されるパチンコ機の正面図、図2はその裏面図、図3は機構板を開いた状態のパチンコ機の斜視図、図4はその要部を拡大して示す斜視図、図5は同要部の断面図をそれぞれ示す。図において、1はパチンコ機本体、2は前面枠である。3は該前面枠2の前面に開閉自在に装着されるガラス扉枠で、前後に並置される2枚のガラス板4,4’を嵌挿保持させている。5はガラス扉枠3の下方に位置し同じく前面枠2に開閉自在に装着される前板で、この前板5の前面にパチンコ球を貯溜する打球供給皿6が装着されている。
【0007】
前記前板5にはパチンコ球が通過する賞球口7を開設し、該賞球口7に打球供給皿6の皿部8と連なり後端を開放した接続管9が装着されている。
【0008】
10は前面枠2の後側に装着される遊技盤である。この遊技盤10の表面には前記ガラス板4’との間にガイドレール11で囲まれた遊技領域部12が形成され、この遊技領域部12の略中央に可変表示装置13、その下方に一度に多くの入賞球を発生させる大型の入賞装置14を設け、さらに遊技領域部12の所定位置に一対の開閉翼片15,15を開閉して打球の入賞し易い状態としにくい状態とに変化させる可変入賞口16及び前記可変表示装置13を作動させるための始動入賞口17などをそれぞれ複数個配設している。
【0010】
遊技盤10の下部には打球供給皿6と連なる連通口22が開設される。更に詳しくは、賞球口7に装着される接続管9が連通口22内に嵌装されており、しかも接続管9は前板5を遊技盤10に対し開閉動作させるため、連通口22内の部分が分離して形成されている。
【0011】
23は遊技盤10の裏面10aに開閉自在に装着される機構板であり、外側表面には上部に球タンク24が設けられ、その内部に貯溜されたパチンコ球は導出樋25を介して景品球払出装置26に導かれる。該景品球払出装置26の下方には前記打球供給皿6にパチンコ球を導く景品球排出樋27が設けられている。すなわち、該景品球排出樋27の下端には遊技盤10側に屈曲し、その下端出口27aが前記連通口22に接続される。
そして、遊技盤10の遊技領域部12に装着された入賞装置14又は可変入賞口16などに打球が入賞すると、入賞球1個づつにつき所定量のパチンコ球が景品球払出装置26から払い出される。これらパチンコ球は景品球排出樋27から連通口22を介して打球供給皿6に貯溜される。
【0012】
しかして、本考案は図3乃至図5に示すように遊技盤10の裏面10aに連通口22の上縁及び両側縁を囲う凹溝28を形成している。一方、機構板23の遊技盤10の裏面10aと接合する内面23aに前記凹溝28と対向して下端出口27aの上縁及び両側縁を囲う阻止片29を突設している。
そして、機構板23を遊技盤10の裏面10aに覆着した時、阻止片29が凹溝28内に嵌入するようにしている。
【0013】
これにより、遊技盤10の裏面10aと機構板23の内面23aとの隙間は塞がれ、連通口22から遊技盤10の裏面10aへの路は閉ざされるので、たとえパチンコ機本体1の前側からピアノ線又は薄いセル板等を連通口22内に挿入し、更に遊技盤10の裏面10aに這わせようとしても、阻止片29によりその先端の進行は阻まれる。よって、入賞装置14のソレノイド21又は可変入賞口16を操作することは不可能となる。

また、引用文献1の図2等及び技術常識を参酌すれば、景品球払出装置26、景品球排出樋27が機構板23に備えられていることは当然のことである。

上記引用文献1における記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「ガイドレール11で囲まれた遊技領域部12が形成され、可変表示装置13、入賞装置14、可変入賞口16及び始動入賞口17などが配設された遊技盤10と、
前記遊技盤10の裏面10aに開閉自在に装着される機構板23に備えられ、前記入賞装置14又は前記可変入賞口16などに打球が入賞すると、入賞球1個づつにつき所定量のパチンコ球を払い出す景品球払出装置26と、
前面枠2に開閉自在に装着される前板5の前面に装着されて、前記景品球払出装置26から払い出されたパチンコ球を貯溜する打球供給皿6と、
前記景品球払出装置26から前記打球供給皿6にパチンコ球を導く前記機構板23に備えられた景品球排出樋27とを備え、
前記景品球排出樋27の下端出口27aが連通口22に接続され、
前記前板5にはパチンコ球が通過する賞球口7を開設し、該賞球口7に前記打球供給皿6の皿部8と連なり後端を開放した接続管9が装着され、
該接続管9は前記連通口22内に嵌装され、前記接続管9の前記連通口22内の部分が分離して形成され、
前記前面枠2の後側に前記遊技盤10を装着し、
前記遊技盤10の下部に前記連通口22が開設され、
前記遊技盤10の裏面10aに前記連通口22の上縁及び両側縁を囲う凹溝28を形成する一方、
前記機構板23の前記遊技盤10の裏面10aと接合する内面23aに、前記凹溝28と対向し、該凹溝28内に嵌入可能な阻止片29を突設し、
前記機構板23を前記遊技盤10の裏面10aに覆着した時、前記阻止片29が前記凹溝28内に嵌入することにより、パチンコ機本体1の前側からピアノ線又は薄いセル板等を前記連通口22内に挿入し、更に前記遊技盤10の裏面10aに這わせようとしても、前記阻止片29によりその先端の進行は阻まれるパチンコ機」

5.対比

ここで、本願補正発明と引用発明とを比較する。

引用発明における「パチンコ機」は本願補正発明の「遊技機」に相当し、 以下同様に、「可変表示装置13、入賞装置14、可変入賞口16及び始動入賞口17など」は「各種電気部品」に、「機構板23」は「裏機構盤」に、「前記入賞装置14又は前記可変入賞口16などに打球が入賞すると」は「所定条件の成立に基づき」に、「入賞球1個づつにつき所定量の」は「所要数の」に、「パチンコ球」は「遊技球」に、「払い出す」は「排出する」に、「景品球払出装置26」は「球排出装置」に、「前板5」は「開閉パネル」に、「打球供給皿6」は「上皿」に、「景品球排出樋27」は「裏機構盤供給路」に、「凹溝28」は「溝部」に、「阻止片29」は「突出部」に、「ピアノ線又は薄いセル板等」は「不正侵入物」にそれぞれ相当する。
さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことが云える。
・遊技盤がベニヤで形成されることは例を挙げるまでもない慣用手段に過ぎない。
・引用発明も前面枠に遊技盤が装着されるものであるから、引用発明の「遊技盤10の裏面10a」は本願補正発明の「前面枠の前面側」に相当することは明らかである。
・引用発明も、「前板5にはパチンコ球が通過する賞球口7を開設し、賞球口7に打球供給皿6の皿部8と連なり後端を開放した接続管9が装着され、接続管9は連通口22内に嵌装され、接続管9の連通口22内の部分が分離して形成され」るものであるから、「接続管9」のうち賞球口7に装着された部分が、本願補正発明における「上皿連絡路」に相当し、「接続管9」のうち連通口22内に嵌装され、分離して形成された「連通口22内の部分」が、本願補正発明における「球中継路」に、それぞれ相当する。
・引用文献1には詳細な記載はないが、図3?5の遊技盤10の前面枠2への装着状態を参照すれば、遊技盤10の下部に遊技盤を支える板状部分があることは明らかであるから、引用発明も「フレームボード」を備えていると判断できる。
・図5を参照すれば、「接続管9」の「連通口22内の部分」においてパチンコ球の流下面は前下がりに傾斜していることが明らかである。
・引用発明も、遊技盤の下部に連通口が開設されるものであり、図3?5を参照すれば、連通口は遊技盤を切り欠いて形成したものと認めることができ、とすれば、引用発明の「連通口」は本願補正発明の「切欠部」に相当するから、同様に「連通口22の上縁及び両側縁」は「切欠部の周り」に相当すると判断できる。
・引用発明の「機構板23の遊技盤10の裏面10aと接合する内面23a」は本願補正発明の「裏機構盤の前面側」に相当することが明らかである。
・引用発明は「機構板23を遊技盤10の裏面10aに覆着した時、阻止片29が凹溝28内に嵌入することにより…阻止片29によりその先端の進行は阻まれる」ものであるから、本願補正発明における「前記突出部が前記溝部に嵌入した状態において…前記球供給路を介して侵入するのを防止している」と同様の作用効果を奏するものであることは明らかである。

よって、両者は、
「ベニヤで形成され、ガイドレールに囲まれた遊技領域が形成されると共に、各種電気部品が配設された遊技盤と、
前面枠の裏面側に取り付けられた裏機構盤に配設されて、所定の排出条件の成立に基づき所要数の遊技球を排出する球排出装置と、
前記前面枠の前面側に取り付けられた開閉パネルに配設されて、前記球排出装置から排出された遊技球を貯留する上皿と、
前記球排出装置から排出された遊技球を前記上皿へと流下案内する球供給路と、
を備えた遊技機において、
前記球供給路は、
前記裏機構盤に設けられた裏機構盤供給路と、
前記開閉パネルに設けられた上皿連通路と、
前記裏機構盤供給路と前記上皿連通路とを中継する球中継路と、
を有し、
前記前面枠は、前記遊技盤を載せて下方から支持するフレームボードを有し、
前記球中継路は、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤に形成された切欠部と、
により形成し、
前記遊技盤の裏面側には、前記球中継路を形成する切欠部の周りに溝部を形成する一方、
前記裏機構盤の前面側には、前記溝部に嵌入可能な突出部を設け、
前記突出部が前記溝部に嵌入した状態において、不正侵入物が前記球供給路を介して侵入するのを防止していることを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]

本願補正発明では、「球中継路」は、「フレームボードの上端部に形成された球流下面」と「遊技盤の隅部に形成された切欠部」とにより形成しているのに対し、引用発明では、遊技盤10の下部に連通口22が開設され、その連通口22内に接続管9が嵌装されている点。

[相違点2]

本願補正発明では「遊技盤は、遊技盤前面構成部材43により装飾され」、「切欠部は、遊技盤隅部のベニヤ部分を被覆する遊技盤前面構成部材により構成」しているのに対し、引用発明には「遊技盤前面構成部材」に相当する構成がない点。

[相違点3]

本願補正発明では「突出部を、遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材に形成し」ているのに対し、引用発明においては「機構板23の遊技盤10の裏面10aと接合する内面23a」に阻止片29を突設しているものの、ここで内面23aが「遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材」に該当するか明らかではない点。

6.判断

上記相違点について検討する。

[相違点1について]

原査定で引用された特開平5-184717号公報(以下「引用文献2」という。)には図面と共に以下の技術事項が記載されている。

・遊技盤10を着脱可能なように構成してある遊技盤収納枠26は、遊技盤10の裏面側を受け入れる裏面枠27と、遊技盤10の底部を支承するフレームボード28とから構成してある(図2参照)。(段落【0012】)
・遊技盤収納枠26の適所には遊技媒体供給用開口部33を開設してあり、後述する遊技媒体排出機構より排出された遊技媒体たる球が供給される遊技媒体供給樋34の球出口34aを、上記遊技媒体供給用開口部33より前面パネル7の裏面側へ突出状に臨ませ、前面パネル7の球受口7aを介して球供給皿16に球が供給されるようにしてある。(段落【0014】)
・遊技盤収納枠26に形成した遊技媒体供給用開口部33と、該遊技媒体供給用開口
部33に適合する状態で遊技盤10に形成される遊技盤切欠部77の形状(段落【0035】)
・「遊技媒体供給用開口部33」は、「裏面枠27」の下端と「フレームボード28」の上端の両方に跨るように開設されていることが図示されている。(【図5】?【図8】を参照)
・「遊技盤切欠部77」は、「遊技盤10」の下端に開設されていることが図示されている。(【図10】を参照)

引用文献2においては、「フレームボード28」は「遊技盤10」の底部を支承するものであって、また「遊技盤切欠部77」は「遊技媒体供給用開口部33」に適合する形状であるから、「遊技媒体排出機構」から「球供給皿16」に球が供給される際において、「フレームボード28に開設された遊技媒体供給用開口部33」と「遊技盤切欠部77」とから構成される空間を球が通過するものである。

よって、引用文献2には、フレームボード28の上端に開設された遊技媒体供給用開口部33と、遊技盤10の下端に開設された遊技盤切欠部77とから形成される空間を介して、「遊技媒体排出機構」から「球供給皿16」に球が供給されるという技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

引用発明においては、連通口22が遊技盤10の下部に開設されているが、引用文献2記載の技術を適用し、引用発明が有する遊技盤10を支える板状部分(フレームボード)の上端に開口部を開設し、該開口部と遊技盤10の下端に開設した切欠部とから連通口を形成することは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)にとって容易に想到できたことである。

また、引用発明における連通口22(引用文献2における遊技媒体供給用開口部33と遊技盤切欠部77に相当)の位置を遊技盤の「隅部」とすることについては、配設位置は当業者が適宜設計できることであり、また遊技盤の隅部に位置させることも、例えば原査定時に周知例として提示した特開平9-201452号公報(以下「文献4」という。)の【図3】や【図14】にあるように周知である(以下「周知技術1」という。)。

したがって、相違点1にかかる構成とすることは、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1に基づき、当業者にとって容易に想到できたことである。

[相違点2について]

当審で新たに引用する特開平7-255910号公報(以下「引用文献3」という。)においては、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

・遊技盤13は大きく分けてベース盤51および枠体52に区分され、これらを組み合せて遊技盤13が構成されている。(段落【0013】)
・なお、ベース盤51は樹脂によって成形する例に限らず、例えば従来通りに木を素材として矩形状に形成(例えば、木製の合板(ベニア)により形成)するようにしてもよい。そのようにすると、遊技領域が木製であるから、障害釘の植設に便利である。(段落【0013】)
・ベース盤51の下部には上皿21図1参照)に賞品球(あるいは貸球)を排出するための賞球排出口116が形成されている。(段落【0016】)
・枠体52はベース盤51と同じ大きさの矩形をなし、樹脂によって外バンド121および内バンド122と共に一体成形されている。枠体52の4角には取り付けピン123a、123b(123c、123dは図8参照)が形成され、これらの取り付けピン123a?123dをベース盤51の取り付け穴117a?117dにそれぞれ挿入することにより、枠体52がベース盤51に固定される。(段落【0017】)
・枠体52の中央部には円形状の中央開口部131が形成されており、この中央開口部131にベース盤51の遊技領域103が嵌合可能になっている(段落【0018】)
・図2に示すように、外バンド121および内バンド122の外周円に沿う遊技領域103の周囲には円弧状のリングランプ141、142が設けられるとともに、枠体52の左右角には補給ランプ143および賞球ランプ144がそれぞれ配置されている。リングランプ141、142、補給ランプ143および賞球ランプ144は、遊技領域103の外側に配置される装飾部を構成する。…一方、内バンド122の内側にはサイドランプ(装飾部材)151、152が配置されている。(段落【0022】)
・ベース盤51に対する役物装置の取り付け用の穴や切り欠き等は、最初から樹脂成形することで、加工作業がいらなくなるとともに、穴や切り欠き等の位置を正確にすることができる。(段落【0050】)
・枠体52の下部に、ベース盤51の賞球排出口116に対応する突出部が形成されている点が図示されている(【図8】参照)。

引用文献3の「ベース盤51」は、引用発明における「遊技盤」に相当し、引用文献3の段落【0018】及び【図3】から、ベース盤51の前面に枠体52が嵌合されるものであって、段落【0022】の記載も参照すれば、枠体52は装飾部材としての機能を奏することは明らかである。
また、引用文献3の【図8】を参照すれば、枠体52の下部にベース盤51の賞球排出口116に対応する突出部(【図8】において符号116で示されている)が形成されている点が図示されており、引用文献3は枠体52を必要な範囲を樹脂で一体成形し(段落【0017】や段落【0022】を参照)位置を正確とする(段落【0050】参照)という技術思想のものであるから、当該突出部(【図8】における符号116)を枠体52として形成することも、引用文献3に開示されていると解されるべきである。
とすれば、「枠体52はベース盤51と同じ大きさの矩形」(段落【0017】参照)であるから、ベース盤51の隅部も枠体52によって被覆されることは明らかであり、またベース盤51はベニヤ製(段落【0013】参照)であるから、枠体52を取り付けた場合においてベニヤも被覆されるのは当然のことであり、かつ、ベース盤51の賞球排出口116も枠体52によって構成されることとなる。
よって、引用文献3には、ベース盤51の隅部のベニヤを被覆する枠体52によってベース盤51を装飾するとともに、賞球排出口116を構成する技術(以下「引用文献3記載の技術」という。)が記載されている。
なお、本願補正発明における「ベニヤ部分を…被覆」という点については、平成18年8月4日付の意見書において、その根拠記載として出願当初の明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0027】及び【図4】を指摘しているが、段落【0027】においては「遊技盤1の左下隅部には、図4に示すように、ベニア部分を被覆するように遊技盤前面構成部材43が取り付けられ、該遊技盤前面構成部材43の下端部には、切欠部41が形成されている。」としか記載がなく、また【図4】を参照しても、切欠部41の付近には、遊技盤1よりも正面視で一回り小さく形成された遊技盤構成部材43が描かれているだけであるから、「遊技盤隅部のベニヤ部分」とは、遊技盤の表面のベニヤ以外を指すと解することはできない。

また、引用発明1の連通口22(引用文献3における賞球排出口116に相当)の位置を遊技盤の隅部とすることも、先に周知技術1として指摘したように周知の点である。

以上のことから、引用発明に引用文献3記載の技術及び周知技術1を適用し、相違点2にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたことである。

[相違点3について]

引用文献1においても「機構板23の遊技盤10の裏面10aと接合する内面23aに前記凹溝28と対向して下端出口27aの上縁及び両側縁を囲う阻止片29を突設している。」(段落【0012】参照)と明らかに記載されているものであるが、「内面23a」が本願補正発明における「遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材」に相当するかどうかは直ちに明らかではない。
これについて、相違点3にかかる構成については、平成13年8月1日付の手続補正書における請求項1にも記載されており、これに対して最初の拒絶理由通知が送付され引用文献1が提示された後も、平成18年8月4日付の意見書や審判請求書においても、構成(l)(相違点3にかかる構成に相当)については、引用文献1に類似する構成が記載されていると述べながら、平成20年11月21日付の回答書において一転「引用文献1には記載がない」と主張し、また当該構成の効果として「入賞球案内路を画成する蓋部材に突起部が付いているので、不正部材を無理に遊技盤裏面と蓋部材の間に挿入した場合に、蓋部材が後方に押されて入賞球案内路が狭まり、入賞球案内路で球詰まりが発生する可能性があります。入賞球案内路で球詰まり状態が発生すると、遊技機ではその異常状態を報知するため、不正行為がしにくいという効果を奏します。」と新たに効果を主張している。
しかし、上記効果は当初明細書等に記載があったものではなく、人力で押す程度で「蓋部材が後方に押されて入賞球案内路が狭まり」かつ「入賞球案内路で球詰まりが発生する」という場合は、蓋部材の強度や支持構造、さらには入賞球案内路の構造についても何らかの特徴が必要と考えられるところ、当初明細書等にはそのような記載はなく、本願補正発明がそのような効果を奏するかどうかも直ちに信用できない。請求人は、平成20年11月21日付の回答書において、引用文献1については「賞球排出流路と遊技盤の間には入賞球案内路がなく空間となっており」と本願補正発明との差異を主張しているが、この主張に関する引用文献1の根拠記載も不明であり、仮に上記差異が上記効果を奏するとすれば上記差異を裏付ける構成が本願補正発明に記載されている必要があるが、本願補正発明にそのような構成を見つけることもできない。

これに関して、引用文献1の【図3】を参照すると、入賞装置14、可変入賞口16及び変動入賞口17が遊技盤の裏面に形成されているが、これらに入賞したパチンコ球は当然集められなければならず、これら入賞装置14、可変入賞口16及び変動入賞口17と内面23aとの位置関係及び技術常識を参酌すれば、【図3】及び【図5】における機構盤23の内面23aより下方側の部分が入賞球を集合し流下させる機構を図示していると解され、とすれば引用文献1における【図3】、【図4】の内面23aの奥側(遊技盤と反対側)における傾斜面は「遊技球を流下案内する入賞球案内路」と判断できる。よって、引用文献1を総合的に勘案し、かつ技術常識を参酌すれば、「内面23a」は「遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材」に相当すると解するのが相当である。
なお、上記技術常識を示す文献として、例えば実願平4-73750号(実開平6-36676号)のCD-ROM(以下「文献5」という。)における「入賞球樋カバー29」を指摘することができる。
そして、請求人が主張する上記効果についても、仮に通常の蓋部材や案内流路の構造をもって、請求項の記載に基づき請求人が主張する上記効果が奏されるのであれば、引用文献1も同様の効果が奏されると判断するほかないから、相違点3にかかる構成は、引用発明及び上記技術常識から当業者が容易に想到できたことである。

そうすると、相違点1?3にかかる本願補正発明の構成は、引用発明、引用文献2記載の技術、引用文献3記載の技術、周知技術1及び技術常識から当業者が容易に想到できた範囲のものというべきである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術、引用文献3記載の技術、周知技術1及び技術常識から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

7.むすび

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1にかかる発明は、上記「第2[理由]2.」に平成18年8月4日付の手続補正における特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのもの(以下「本願発明」という。)である。

2.引用例

原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1及びその記載事項は、上記「第2[理由]4.」に記載したとおりのものである。

3.対比

ここで、本願発明と引用発明とを比較する。 上記「第2[理由]5.」も参照すれば、両者は
「ベニヤで形成され、ガイドレールに囲まれた遊技領域が形成されると共に、各種電気部品が配設された遊技盤と、
前面枠の裏面側に取り付けられた裏機構盤に配設されて、所定の排出条件の成立に基づき所要数の遊技球を排出する球排出装置と、
前記前面枠の前面側に取り付けられた開閉パネルに配設されて、前記球排出装置から排出された遊技球を貯留する上皿と、
前記球排出装置から排出された遊技球を前記上皿へと流下案内する球供給路と、
を備えた遊技機において、
前記球供給路は、
前記裏機構盤に設けられた裏機構盤供給路と、
前記開閉パネルに設けられた上皿連通路と、
前記裏機構盤供給路と前記上皿連通路とを中継する球中継路と、
を有し、
前記前面枠は、前記遊技盤を載せて下方から支持するフレームボードを有し、
前記球中継路は、前下がりに傾斜する球流下面と、
前記遊技盤に形成された切欠部と、
により形成し、
前記遊技盤の裏面側には、前記球中継路を形成する切欠部の周りに溝部を形成する一方、
前記裏機構盤の前面側には、前記溝部に嵌入可能な突出部を設け、
前記突出部が前記溝部に嵌入した状態において、不正侵入物が前記球供給路を介して侵入するのを防止していることを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]

本願発明では、「球中継路」は、「フレームボードの上端部に形成された球流下面」と「遊技盤の隅部に形成された切欠部」とにより形成しているのに対し、引用発明では、遊技盤10の下部に連通口22が開設され、その連通口22内に接続管9が嵌装されている点。

[相違点2]

本願発明では「遊技盤は、遊技盤前面構成部材43により装飾され」、「前記遊技盤隅部のベニヤ部分を遊技盤前面構成部材により被覆して構成」しているのに対し、引用発明には「遊技盤前面構成部材」に相当する構成がない点。

[相違点3]

本願発明では「突出部を、遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材に形成し」ているのに対し、引用発明においては「機構板23の遊技盤10の裏面10aと接合する内面23a」に阻止片29を突設しているものの、ここで内面23aが「遊技領域に設けられた入賞口へ入賞した遊技球を流下案内する入賞球案内路を画成する蓋部材」に該当するか明らかではない点。

4.判断

[相違点1,3について]

上記「第2[理由]6.」における、[相違点1について]及び[相違点3について]の判断に同じである。

[相違点2について]

原査定時に周知例として提示された文献4にもあるように、装飾部材(文献4における「飾り部材3」)によって遊技盤を覆い、かつ切欠部を遊技盤の隅部に位置させ(文献4の【図3】や【図14】に図示されている)、また上記切欠部が位置する遊技盤隅部についても被覆するように装飾部材を位置させる(文献4の「遊技盤本体27とほゞ同形に形成した飾り部材3を、遊技盤本体27の前面側に重合させる」(段落【0013】)という記載を参照)ことは、周知技術に過ぎない(以下「周知技術2」という。)。
本願発明では「遊技盤隅部のベニヤ部分を…被覆」とあるが、遊技盤はベニヤで形成されているものである(文献4においても「遊技盤本体27は、例えばベニヤ合板を切削加工して形成する」(段落【0010】参照)という記載がある)から、遊技盤を装飾部材で被覆することによってベニヤも被覆されることは当然のことである。なお、本願発明における「ベニヤ部分を…被覆」という点については、平成18年8月4日付の意見書において、その根拠記載として当初明細書等の段落【0027】及び【図4】を指摘しているが、段落【0027】においては「遊技盤1の左下隅部には、図4に示すように、ベニア部分を被覆するように遊技盤前面構成部材43が取り付けられ、該遊技盤前面構成部材43の下端部には、切欠部41が形成されている。」としか記載がなく、また【図4】を参照しても、切欠部41の付近には、遊技盤1よりも正面視で一回り小さく形成された遊技盤構成部材43が描かれているだけであるから、「遊技盤隅部のベニヤ部分」とは、遊技盤の表面のベニヤ以外を指すと解することはできない。

なお、相違点2にかかる構成に関して、請求人は、平成18年8月4日付の意見書において、効果(ニ)として「遊技盤の隅部に形成された切欠部を遊技盤前面構成部材により被覆しているので、ベニヤをルーター加工(ドリルによる切削)するとバリが出て、球止まりし易いという不具合を防止することができる。」と主張しているが、ここでは切欠部を被覆と主張しているのであって、一方、本願発明(平成18年8月4日付の手続補正書における請求項1である)には「前記遊技盤隅部のベニヤ部分を前記遊技盤前面構成部材により被覆して構成し」としか記載されておらず、そして「前記遊技盤隅部」とは切欠部が形成された隅部のことを指すとしか解されないから、上記効果の主張は請求項の記載に基づくものではない。そして、審判請求後に、平成18年11月30日付の手続補正書によって「前記切欠部は、前記遊技盤隅部のベニヤ部分を被覆する前記遊技盤前面構成部材により構成し」と変更した上で、審判請求書において上記(ニ)と同様の効果を主張しているのであるから、上記(ニ)の効果は本願発明においては請求項の記載に基づかない主張であるという原審の判断を維持することができる。

よって、上記相違点にかかる構成は、引用発明及び周知技術2から、当業者が容易に想到できたものである。

そうすると、相違点1?3にかかる本願発明の構成は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2から当業者が容易に想到できた範囲のものというべきである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1,2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおり、平成18年11月30日付の補正は却下され、そして、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項2以下について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-28 
結審通知日 2009-02-03 
審決日 2009-02-17 
出願番号 特願平10-212845
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉鉄 豊郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 池谷 香次郎
森 雅之
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 博司  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ