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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20056282 審決 特許
不服200627219 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1195152
審判番号 不服2007-642  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-11 
確定日 2009-04-02 
事件の表示 特願2002-133818「DNAチップ用基板、DNAチップ、及びそれらの製造方法、並びに解析システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月19日出願公開、特開2003-329679〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成14年5月9日の特許出願であって、平成18年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年1月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年2月5日付けで手続補正がなされたものである。

II.平成19年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年2月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の請求項1に記載された発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を
「金属金型を用いて製造したものであって、基板上に、凹部底面から隆起する複数の山状スポット部を設け、該山状スポット部の頂部平面のみが親水性で且つnmスケールの凹凸を備え、その他の部分は疎水性であることを特徴とするDNAチップ用基板。」とする補正を含むものである。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「DNAチップ用基板」について、「金属金型を用いて製造したものであって」と限定を付加するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされてる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされてる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物1(原査定の第3引用例)、刊行物2(同第2引用例)及び刊行物3には、以下の事項がそれぞれ記載されている。(以下、下線は当審で付与したものである。)

(刊行物1:特開平9-269325号公報の記載事項)
(1a)「【請求項1】基板の分析部上で、分析対象物と、該分析対象物と直接的又は間接的に反応する反応物質とを反応させ、この反応に由来して発生する信号を検出する分析方法であって、少なくとも信号検出段階において、基板に対向する位置としての対向部に、前記信号の発生に関与する信号発生関与部及び前記信号の検出器の少なくとも一方を設け、基板の分析部と対向部との距離が、基板の非分析部と対向部との距離に比して短くなるように、基板及び対向部の少なくとも一方に凹凸を形成し、基板の分析部上での前記反応に由来する信号が基板の非分析部上での反応に由来する信号に比して強い信号強度で検出されるようにしたことを特徴とする分析方法。
・・・
【請求項12】請求項1?11のいずれかに記載の分析方法に使用する基板であって、表面に複数の凸状分析部が形成されていることを特徴とする分析用基板。
【請求項13】凸状分析部の周囲に凹状領域が非分析部として形成されている請求項12記載の分析用基板。
【請求項14】凸状分析部に、特異結合物質が担持されている請求項12又は13記載の分析用基板。
・・・
【請求項16】各凸状分析部の非分析部からの高さが0.1μm?1mmであり、隣接する凸状分析部の間隔が2μm?20mmである請求項12?15のいずれかに記載の分析用基板。」
(1b)「【0017】すなわち、本発明において分析対象物と反応させる物質のうち、分析対象物と直接的に反応する反応物質としては、(i) 分析対象物と直接的に結合し、それ自体は化学的変化を起こさない物質・・・
【0019】また、分析対象物が特定の配列を有する核酸である場合に、そのDNAあるいはRNAと相補的にハイブリダイゼーションするポリ又はオリゴヌクレオチドなどや、後述する分析対象物に対する特異結合物質や、分析対象物をインヒビターなどとする酵素分子等を例示することができる。また、カルボン酸基、アミノ基等の解離基を有するイオン結合性物質、シリコン等の疎水結合性物質も例示することができる。」
(1c)「【0064】・・・この特異結合分析としては・・・相補的核酸配列のハイブリダイゼーションを用いた核酸プローブアッセイなどの多くの方法が知られており、その特異性の高さから、臨床検査をはじめとする広い分野で繁用されている。」
(1d)「【0070】以上のような本発明の分析方法において、分析対象物を担持する基板側に凹凸を設けておく態様を実施する場合、使用する基板としては、表面に複数の凸状分析部と各凸状分析部の周囲に凹状の非分析部を形成したものが有用である。特に、その凸状分析部に、分析対象物に対する特異結合物質を担持させたものは、本発明で特異結合分析を利用する場合に有用である。
【0071】このような基板において、凸状分析部の表面積や、凸状分析部の非分析部からの高さや、隣接する凸状分析部の間隔は、分析対象物の種類等に応じて適宜定めることができるが、例えば、凸状分析部の非分析部からの高さ0.1μm?1mmとし、隣接する凸状分析部の間隔を2μm?20mmとすることにより、通常の多項目同時分析や多試料同時分析を、高い分析精度で行うことが可能となる。
【0072】また、このような凹凸を有する基板は、フォトリソグラフィー法、エッチング法、切削法、蒸着法、貼合わせ法、印刷法などの表面加工法あるいは表面処理法を用いて容易に作製することができる。したがって、本発明の方法によれば、それを実施する装置も容易に製造できるようになる。」
(1e)「【0081】(2) 凸状分析部を有する分析用基板の作製
図4(同図(a)上面図、同図(b)断面図)に示すように、方形(50μm×50μm)の凸状分析部1aを2カ所に内包する長方形(150μm×300μm)の凹状非分析部1b、及び、その位置決めのための凹状位置決め部7を有する分析用基板10を次のように作製した。
【0082】まず、レジスト(OFPR-5000、東京応化社製)をスライドガラス基板(長さ76mm×幅26mm×厚さ0.8?1.0mm、松浪社製)上にスピンコートした。次いで、オーブン中で60℃30分間プリベークし、その上に予め作製したマスクパターンを密着させ、Hgランプ(500W)で3秒間光照射した。現像液に30秒間浸漬した後、よく水洗することによりレジストマスクがパターニングされたガラス基板を得た。次のこの基板を10%HF溶液に5分間浸すことによってマスクされていない露出ガラス部分を深さ2μmエッチングした。このエッチングにより、深さ2μmの凹状非分析部1bと凹状位置決め部7を形成すると共に、凹状非分析部1b内に凸状分析部1aを残存させた。次に、この基板を蒸留水で洗浄後、メタノールで洗浄してレジストを除去し、再度蒸留水で洗浄して乾燥し、凸状分析部1aを有する分析用基板10を得た。」
(1f)図4には、長方形の輪郭を示す基板上の凹部底面である凹状非分析部1bから隆起する、四角形の頂部平面を有する2つの凸状分析部1aが形成された分析用基板が図示されている。(第14頁【図4】)

(刊行物2:特開2001-4623号公報の記載事項)
(2a)「【請求項1】基板上に試料溶液の供給による微小スポットが多数形成されたDNAチップにおいて、
前記基板は、前記微小スポットの位置ずれを自動的に補正する位置ずれ補正手段を有することを特徴とするDNAチップ。
・・・
【請求項3】請求項1記載のDNAチップにおいて、
前記位置ずれ補正手段は、前記基板のうち、前記微小スポットが形成されるべき位置に形成された親水性領域とそれ以外の部分に形成された撥水性領域とで構成されていることを特徴とするDNAチップ。
・・・
【請求項5】請求項1記載のDNAチップにおいて、
前記位置ずれ補正手段は、前記基板のうち、前記微小スポットが形成されるべき部分とそれ以外の部分とで表面状態を異ならせることで構成されることを特徴とするDNAチップ。」
(2b)「【0099】第1の変形例は、図11に示すように、基板10のうち、微小スポット80が形成されるべき位置に親水性領域Z1を形成し、それ以外の部分に撥水性領域Z2を形成した点で異なる。具体的には、微小スポット80が形成されるべき位置以外の部分に撥水性の膜16を形成することで達成される。撥水性の膜16としては、例えばSiコート、フッ素樹脂等を使用することができる。
【0100】これによれば、図11に示すように、基板10上に試料溶液の供給によって微小スポット80が形成された際において、該微小スポット80の一部が撥水性の膜16にかかったとき(二点鎖線参照)、該微小スポット80の表面張力と膜16の撥水作用によって、該微小スポット80が移動し、規定の位置に微小スポット80の中心を位置決めできる。この場合、微小スポット80の一部が撥水性の膜16にかかったときでも、膜16が撥水性のため、試料溶液が移動した後の痕跡がなく、固定化後のスポット形状が親水性の部分のみの形状になり、形状のばらつきが低減される。」
(2c)「【0106】第5の変形例は、図15に示すように、基板10のうち、微小スポット80が形成されるべき部分とそれ以外の部分とで表面状態を異ならせた点で異なる。
【0107】これによれば、図15に示すように、基板10上に試料溶液の供給によって微小スポット80が形成された際において、該微小スポット80の一部が粗面22以外の部分にかかったとき(二点鎖線参照)、該微小スポット80の表面張力によって、該微小スポット80が移動し、規定の位置に微小スポット80の中心を位置させることができる。この場合、上述した第1の変形例と同様に、該微小スポット80の一部が粗面22以外にかかったときでも、粗面22以外の部分は、試料が移動した後の痕跡がなく、固定化後のスポット形状が粗面22のみの形状になり、形状のばらつきが低減される。また、微小スポット80は、接触する面が粗面であるため、接触面積が大きく、基板10に強固に固定され、スポッティング後の固定化時において、試料溶液が流れ出すことを低減できる。」

(刊行物3:特開2002-62298号公報の記載事項)
(3a)「【0016】・・・
(A)DNAチップ及び袋状薄膜部材の構成
本実施形態のDNAチップ(測定用チップ)10は、図1(A),(B)に示すように、チップ基板1と、このチップ基板1に積載され貼り付けられる疎水性の薄膜部材2とをそなえて構成されている。薄膜部材2には、複数(例えば1,000?80,000個)の微小な孔部3が形成されており、この開孔部3とチップ基板1の表面とから形成される凹部(収容部)3aに、プローブDNAを含む水溶性のプローブ溶液(第1の生体試料検出用試料)がそれぞれ収容されるようになっている。」
(3b)「【0021】以下、チップ基板1,薄膜部材2及び開孔部3について説明する。先ず、チップ基板1について図1(A),(B)を参照して説明すると、チップ基板1の大きさは、ここでは一般に使用されるスライドガラスと同程度の大きさ(例えば25mm×75mm程度)に設定され、厚みは、DNAを検出するための装置の設定等に依存するものであるが、通常1mm前後(0.7mm?1.6mm程度)に設定されている。また、上述したように、チップ基板1の表面と薄膜部材2の開孔部3とによりプローブ溶液を収容する凹部3aが形成されており、チップ基板1のプローブ溶液を収容する側の表面には、親水処理が施工されることが好ましい。このような親水処理としては、ここでは、例えば、後述するようにプローブ溶液中のDNAを固定化するためのコーティング剤が塗工されてコーティング膜1aを形成させるような処理がなされている。」
(3c)「【0031】・・・各開孔部3は真円状に形成されており、直径(開孔寸法)D1は、10μm以上であれば特に限定されないが、10μm?500μmの範囲で設定することが好ましい。これにより、開孔部3内へのスポッティングが比較的容易になるとともにハイブリダイゼーション後に行なわれる蛍光量の計測を精度良く行なえ、さらに、チップ基板1上のプローブ溶液のスポッティング数を十分に確保できる。」
(3d)「【0046】例えば、上述の実施形態では、複数の微小な孔部3を有する薄膜部材2がチップ基板1に貼り付けられることにより、チップ基板1の表面と孔部3とから、プローブ溶液及びターゲット溶液を収容する凹部3aが形成されているが、フォトリソグラフィ等の技術を用い、チップ基板1上に凹部3aが形成されるように樹脂層を積層させたり、チップ基板1に直接に凹部を形成するようにしても良い。チップ基板1に凹部を直接形成する手法としては、スタンパや金型等によりチップ基板1の成形と同時に凹部を形成する方法、機械的に切削する方法、エッチングの技術等により化学的に形成する方法の何れでもよい。」

3.対比・判断
上記刊行物1の記載事項(上記(1a)(1e)(1f))から、刊行物1には、
「基板表面に、頂部平面を有する複数の凸状分析部が形成され、その周囲に凹状領域が非分析部として形成されている分析用基板」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで、本願補正発明と刊行物1発明とを比較する。
(ア)刊行物1発明の「基板表面」、「頂部平面を有する複数の凸状分析部」、「凹状領域」は、本願補正発明の「基板上」、「複数の山状スポット」、「凹状底部」にそれぞれ相当し、刊行物1発明の「頂部平面を有する複数の凸状分析部が形成され、その周囲に凹状領域が非分析部として形成されている」基板表面の形状は、本願補正発明の基板上に「凹部底面から隆起する複数の山状スポット部」を設けた形状に相当する。
(イ)刊行物1発明の「分析用基板」と本願補正発明の「DNAチップ用基板」とは、分析対象物分析用基板である点で共通している。
したがって、両者の間には、以下の一致点及び相違点がある。
(一致点)
基板上に、凹部底面から隆起する複数の山状スポット部を設け、該山状スポット部は頂部平面を有する、分析対象物分析用基板である点。

(相違点1)
分析対象物分析用基板が、本願補正発明では、DNAチップ用基板であるのに対して、刊行物1発明では、分析用基板である点。

(相違点2)
補正発明では、山状スポット部の頂部平面のみが親水性で且つnmスケールの凹凸を備え、その他の部分は疎水性であるのに対し、刊行物1発明では、凸状分析部の頂部平面が親水性であり且つnmスケールの凹凸を備え、その他の部分は疎水性であることを規定していない点。

(相違点3)
基板が、補正発明では、金属金型を用いて製造したものであるのに対し、刊行物1発明では、製造法を規定していない点。

そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1について)
刊行物1(上記(1b))には、分析対象物として核酸が記載されているから、刊行物1発明において、分析対象物として核酸、つまりDNAを採用し、分析用基板をDNAチップ用基板とすることに何等困難性はない。

(相違点2について)
刊行物2には、DNAチップ用の基板の微小スポットが形成される位置に親水性領域を形成し、それ以外の部分に撥水性領域、つまり疎水性領域を形成することにより、親水性の部分にのみ微小スポットが形成されること(上記(2b))、さらに、微小スポットが接触する面が粗面であると、接触面積が大きく、基板に強固に固定でき、スポッテイング後の固定化時に試料溶液が流れ出すことを低減できることが記載されている(上記(2c))。
そうすると、刊行物1発明をDNAチップ用基板とした際に、凸状分析部の頂部平面にDNAのスポットが形成しやすいように、頂部平面のみを親水性として、その他の部分は疎水性とし、且つ、頂部平面に、頂部平面の寸法やDAN固定の効率等を考慮して、nmスケールの凹凸を設けることは、当業者が容易になし得たものといえる。

(相違点3について)
刊行物1(上記(1d))には、基板表面に凸状分析部と凹状領域を形成する方法として、フォトリソグラフィー法、エッチング法、切削法、蒸着法、貼合わせ法、印刷法などの表面加工法あるいは表面処理法が記載されている。一方、刊行物3には、DNAチップ用基板表面に凹部を直接形成する方法として、スタンパや金型等によりチップ基板1の成形と同時に凹部を形成する方法、機械的に切削する方法、エッチングの技術等により化学的に形成する方法の何れでもよいと記載され、金型により凹部を形成することが記載されており、金型は金属製であることが一般的であるから、刊行物1発明の基板を形成する方法として、刊行物1に記載された方法に代えて、金属金型による方法を採用することは当業者が容易になし得たものといえる。

(本願補正発明の効果について)
高い信頼性を有し、検出能力が高く、取り扱い及び処理が容易であり、迅速且つ高感度の解析を実施できるという、本願明細書に記載された効果は、刊行物1ないし3の記載から予測しうるものである。

(請求人の主張について)
審判請求人は、平成20年10月2日付けの回答書で、刊行物3(新たな引用例4)について、この金型技術において、nmオーダーの成形は当時困難であったと主張しているが、本願補正発明は、山状スポット部の寸法を特定するものではなし、本願明細書段落【0009】には、ピッチ間隔や頂部平面の寸法は、数十から数百μm程度、凹部深さは数十μmと記載されていることから、金型はμmオーダーであればよく、このような金型技術は、本願明細書段落【0016】に、DNAチップの微細加工法として引用された特許の対応特許文献である、特開昭63-196368号公報及び特開平1-135466号公報、さらに特開2000-351960号公報、特開平11-165252号公報にも記載されるように、本願優先日前に周知の技術である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

4.まとめ
したがって、本願補正発明は、刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされてる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

III.本願発明について
1.本願発明
平成19年2月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、請求項3についてのみ特許請求の範囲を補正している平成18年5月1日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1は次のとおりである。

「基板上に、凹部底面から隆起する複数の山状スポット部を設け、該山状スポット部の頂部平面のみが親水性で且つnmスケールの凹凸を備え、その他の部分は疎水性であることを特徴とするDNAチップ用基板。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1、2及びその記載事項は、前記「II.2.」に記載したとおりである。

3.本願発明について
本願発明は、前記II.において検討した補正発明から、「DNAチップ用基板」の限定事項である「金属金型を用いて製造したものであって」という構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「II.3」に記載したとおり、刊行物1ないし刊行物3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、上記省かれた構成に対応する相異点3に係る構成について、刊行物3を引用して容易性の判断をしたものであるから、本願発明は、前記「II.3」の相異点1及び相異点2について述べたと同様の理由により、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-27 
結審通知日 2009-02-03 
審決日 2009-02-17 
出願番号 特願2002-133818(P2002-133818)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮澤 浩加々美 一恵  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 信田 昌男
松本 征二
発明の名称 DNAチップ用基板、DNAチップ、及びそれらの製造方法、並びに解析システム  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  

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