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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F |
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管理番号 | 1195184 |
審判番号 | 不服2008-4990 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-02-28 |
確定日 | 2009-04-02 |
事件の表示 | 特願2002-238357「パターン形成方法及びパターン形成プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月11日出願公開、特開2004- 77824〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成14年8月19日に出願された特願2002-238357号であって、平成18年12月8日付けで拒絶理由通知がなされ、平成19年2月16日付けで手続補正がなされ、これに対して、平成20年1月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年2月28日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同年3月31日付けで手続補正がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [結論] 平成20年3月31日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成20年3月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、補正前(平成19年2月16日付け手続補正書参照)に 「【請求項1】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項2】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記補正パターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成方法。 【請求項3】 前記段差パターンの形状及び前記回路パターンの形状の少なくとも一方を考慮して、実験及びリソグラフィシミュレーションを用いて前記補正ルールを作成する段階を更に有し、 前記段差パターンの形状には、前記段差パターンの高さ、前記段差パターンの線幅、前記段差パターンの2次元形状、及び隣接する前記段差パターン間の距離のうち少なくとも何れか1つが含まれ、 前記回路パターンの形状には、前記回路パターンの線幅、前記回路パターンの2次元形状、及び隣接する前記回路パターン間の距離のうち少なくとも何れか1つが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。 【請求項4】 前記回路パターンは、不純物注入領域を規定するパターンであることを特徴とする請求 項1乃至3のいずれか一項記載のパターン形成方法。 【請求項5】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記マスクパターンを用いてリソグラフィ工程を実施する際に前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分または該交差部分とその近傍において発生する回路パターンのエッジの裾引き量を測定する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールを作成する段階と、 前記補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して前記交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階と、 前記補正パターンを付加した補正後のマスクパターンを用いてプロセスシミュレーションを実施する段階と、 前記プロセスシミュレーションにより得られた回路素子の動作特性を評価する段階と、 所望の前記動作特性が得られるまで、前記補正ルールを見直して、前記補正パターンの付加及び前記プロセスシミュレーションを繰り返し実施する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項6】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記マスクパターンを用いてリソグラフィ工程を実施する際に前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分または該交差部分とその近傍において発生する回路パターンのエッジの裾引き量を測定する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールを作成する段階と、 前記補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して前記交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階と、 前記補正パターンを付加した補正後のマスクパターンを用いてプロセスシミュレーションを実施する段階と、 前記プロセスシミュレーションにより得られた回路素子の動作特性を評価する段階と、 所望の前記動作特性が得られるまで、前記補正ルールを見直して、前記補正パターンの付加及び前記プロセスシミュレーションを繰り返し実施する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記マスクパターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成方法。 【請求項7】 前記プロセスシミュレーションには、不純物注入シミュレーションが含まれることを特徴とする請求項5又は6記載のパターン形成方法。 【請求項8】 コンピュータに、 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを形成するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する手順と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する手順とを実行させるプログラムであって、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当することを特徴とするパターン形成プログラム。 【請求項9】 コンピュータに、 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを形成するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する手順と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分の近傍に補正パターンを付加する手順とを実行させるプログラムであって、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記補正パターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成プログラム。」 とあったものを、 「【請求項1】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項2】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記補正パターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成方法。 【請求項3】 前記段差パターンの形状及び前記回路パターンの形状の少なくとも一方を考慮して、実験及びリソグラフィシミュレーションを用いて前記補正ルールを作成する段階を更に有し、 前記段差パターンの形状には、前記段差パターンの高さ、前記段差パターンの線幅、前記段差パターンの2次元形状、及び隣接する前記段差パターン間の距離のうち少なくとも何れか1つが含まれ、 前記回路パターンの形状には、前記回路パターンの線幅、前記回路パターンの2次元形状、及び隣接する前記回路パターン間の距離のうち少なくとも何れか1つが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。 【請求項4】 前記回路パターンは、不純物注入領域を規定するパターンであることを特徴とする請求 項1乃至3のいずれか一項記載のパターン形成方法。 【請求項5】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記マスクパターンを用いてリソグラフィ工程を実施する際に前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分または該交差部分とその近傍において発生する回路パターンのエッジの裾引き量を測定する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールを作成する段階と、 前記補正ルールに従って、前記マスクパターンのエッジに対して前記交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する段階と、 前記補正パターンを付加した補正後のマスクパターンを用いてプロセスシミュレーションを実施する段階と、 前記プロセスシミュレーションにより得られた回路素子の動作特性を評価する段階と、 所望の前記動作特性が得られるまで、前記補正ルールを見直して、前記補正パターンの付加及び前記プロセスシミュレーションを繰り返し実施する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項6】 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 前記マスクパターンを用いてリソグラフィ工程を実施する際に前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分または該交差部分とその近傍において発生する回路パターンのエッジの裾引き量を測定する段階と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールを作成する段階と、 前記補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して前記交差部分の近傍に補正パターンを付加する段階と、 前記補正パターンを付加した補正後のマスクパターンを用いてプロセスシミュレーションを実施する段階と、 前記プロセスシミュレーションにより得られた回路素子の動作特性を評価する段階と、 所望の前記動作特性が得られるまで、前記補正ルールを見直して、前記補正パターンの付加及び前記プロセスシミュレーションを繰り返し実施する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記マスクパターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成方法。 【請求項7】 前記プロセスシミュレーションには、不純物注入シミュレーションが含まれることを特徴とする請求項5又は6記載のパターン形成方法。 【請求項8】 コンピュータに、 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを形成するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する手順と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する手順とを実行させるプログラムであって、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され、補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有することを特徴とするパターン形成プログラム。 【請求項9】 コンピュータに、 段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを形成するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する手順と、 前記段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分の近傍に補正パターンを付加する手順とを実行させるプログラムであって、 前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジから一定の距離をおいて当該エッジの外側に配置され、前記補正パターンの幅は、露光装置の解像限界以下であることを特徴とするパターン形成プログラム。」 と補正するものであるところ、その内容は、次の補正事項のとおりである。 (1)補正事項1 請求項1において、「前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する」を「前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する」とし、「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され」を「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され」とし、「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する」を「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有する」とする補正。 (2)補正事項2 請求項5において、「前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する」を「前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する」とし、「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され」を「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され」とし、「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する」を「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有する」とする補正。 (3)補正事項3 請求項8において、「前記マスクパターンに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に補正パターンを付加する」を「前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターンを付加する」とし、「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に配置され」を「前記補正パターンは、前記マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され」とし、「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する」を「補正後のマスクパターンは、前記マスクパターンから前記補正パターンを除いた部分に相当する前記凹部を有する」とする補正。 2.補正の要件について 補正事項1ないし3は、「マスクパターンに対して」について「マスクパターンのエッジに対して」と限定し、「補正パターン」について「選択的に凹部を設ける補正パターン」と限定し、「エッジの内側に配置され」た「補正パターン」について「局所的に配置され」ているという限定を付すものであり、「マスクパターンから補正パターンを除いた部分に相当する」「補正後のマスクパターン」が「マスクパターンから補正パターンを除いた部分に相当する凹部を有する」と限定したものであるから、いわゆる限定的減縮を目的とする補正に該当する。よって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成14年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 したがって、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれかの事項を目的とするものである。 3.独立特許要件について 本件補正は平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げるいわゆる限定的減縮を目的とするものに該当するものであるから、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)について以下に検討する。 (1)引用例 (ア)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-133956号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (a)「【請求項1】 トランジスタを含む所望の設計パターンを半導体基板上に転写する際に用いるマスクパターンを前記設計パターンと同等のパターンが得られるように補正するマスクパターン補正方法であって、 前記設計パターンから前記トランジスタのゲートパターンを抽出する第1の工程と、 抽出されたゲートパターンのゲート幅の寸法を測定し、測定された値が所定寸法以下の場合にパターン補正の対象として選別する第2の工程と、 選別されたゲートパターンに対して、露光後のパターン形状が前記設計パターンの形状に近づくように補助パターンを生成する第3の工程と、 生成された補助パターンを選別された前記ゲートパターンと合成することにより、前記マスクパターンを補正する補正パターンを生成する第4の工程とを備えていることを特徴とするマスクパターン補正方法。」 (b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路装置等の設計パターンの転写に用いるマスクパタ-ンを所望の設計パタ-ンに近いパタ-ンが半導体基板上に転写されるようにあらかじめ補正するマスクパタ-ン補正方法と、マスクパタ-ン補正方法を用いて補正されたマスクパタ-ンを有するフォトマスクと、マスクパタ-ン補正方法を用いて補正されたマスクパタ-ンを用いて製造された半導体装置とに関する。」 (c)「【0002】 【従来技術】現在の半導体装置の製造工程においては、半導体装置の設計パターンが形成されたマスクパタ-ンに露光光源からの露光光を透過することにより、半導体基板上のレジスト膜に所望の設計パターンを転写するフォトリソグラフィ工程が必須である。近年、半導体装置における設計パターンの微細化は、その製造プロセスにおける露光光源の波長を縮小するペース以上のペ-スで進んでいる。その結果、露光光源の波長と同等又はそれ以下の寸法をレジスト膜に転写するフォトリソグラフィ工程を行なわざるを得ない状況になりつつある。このことは、マスクパタ-ン、すなわち設計パターンとレジスト膜上に転写された転写パタ-ンとの間に無視できない差異が生じるという問題をもたらす。 【0003】このような差異をもたらす要因の一つとして、半導体素子の活性領域と素子分離領域との境界に生じる段差部分が挙げられる。」 (d)「【0013】本発明は、前記従来の問題を解決し、トランジスタにおける拡散領域と素子分離領域との境界からなる段差部分に起因したゲート寸法の変形を防止する有効な補正パターンをチップ面積を増大させることなく簡便に生成できるようにすることを目的とする。」 (e)「【0028】図1に示すように、まず、パターン入力工程ST01において、データ処理装置にマスクパターンとなるパターンデータを入力する。」 (f)「【0034】図2(a)はパターン入力工程ST01において入力されたマスクパターンのうちの2つのトランジスタを含む図形パターンを示し、図2(b)はゲートパターン抽出工程ST02において抽出されたゲートパターンを示している。 【0035】図2(a)に示すように、平面かぎ形を有する第1の拡散領域パターン11Aと第2の拡散領域パターン12Aとが互いに間隔をおいて配置されている。第1の拡散領域パターン11A上における図面左側の領域には図面縦方向に延びるゲート及びゲート用配線となる第1のPS(多結晶シリコン)パターン13が配置されている。第1の拡散領域パターン11A上における図面右側の領域には第1のPSパターン13とほぼ平行に配置され且つ屈曲して第2の拡散領域パターン12A上における図面上側の領域で図面横方向に延びる第2のPSパターン14が配置されている。また、第2の拡散領域パターン12A上における図面下側の領域には第2のPSパターン14とほぼ平行に延びる第3のPSパターン15が配置されている。続いて、入力された第1及び第2の拡散領域パターン11A、12Aに対して、それぞれ、横方向及び縦方向にそれぞれ値が最大で0.1μm程度の第1の所定量Aだけ拡大させる拡大補正処理を行なうことにより、第1の拡大パターン11B及び第2の拡大パターン12Bを作成する。ここで、A=0の場合には第1及び第2の拡大パターン11B、12Bは、第1及び第2の拡散領域パターン11A、12Aとそれぞれ同一パターンとなる。 【0036】なお、第1及び第2の拡散領域パターン11A、12Aと、第1?第3のPSパターン13?15とは最終的には異なるフォトマスクに形成される。 【0037】次に、図2(b)に示すように、ゲートパターン抽出工程ST02において、第1の拡大パターン11Bと第1のPSパターン13との論理積演算を行なうことにより、第1のPSパターン13と第1の拡大パターン11Bとの重なり部分からなる第1のゲートパターン13aが抽出される。また、第1の拡大パターン11Bと第2のPSパターン14との論理積演算を行なうことにより、第2のPSパターン14と第1の拡大パターン11Bとの重なり部分からなる第2のゲートパターン14aが抽出される。同様にして、第2のPSパターン14と第2の拡大パターン12Bとの重なり部分からなる第3のゲートパターン14bが抽出されると共に、第3のPSパターン15と第2の拡大パターン12Bとの重なり部分からなる第4のゲートパターン15aが抽出される。 【0038】図3(a)及び図3(b)はゲートパターン選別工程ST03において、複数のゲートパターンから補正対象とするゲートパターンが選別される様子を表わしている。図3(a)に示すように、第1のゲートパターン13a及び第2のゲートパターン14aは共に図面縦方向(Y方向)に延びており、第3のゲートパターン14b及び第4のゲートパターン15aは共に図面横方向(X方向)に延びている。 【0039】ここで、第1のゲートパターン13a及び第2のゲートパターン14aに対して、Y方向に値が0.4μm?1.0μm程度の第2の所定量2B分だけ縮小させる縮小処理を行なう。その結果、第1のゲートパターン13aはゲート幅が2Bよりも大きいため、第1の縮小パターン13bが生成される。一方、第2のゲートパターン14aはゲート幅が2Bよりも小さいため、縮小パターンが生成されずに消滅する。同様に、第3のゲートパターン14b及び第4のゲートパターン15aに対して、X方向に第2の所定量Bだけ縮小させる縮小処理を行なう。その結果、第3のゲートパターン14bはゲート幅が2Bよりも大きいため、第2の縮小パターン14cが生成され、一方、第4のゲートパターン15aはゲート幅が2Bよりも小さいため、縮小パターンが生成されない。 【0040】次に、図3(b)に示すように、縮小パターンが存在する場合には、第1及び第2の縮小パターン13b及び14cに対してそれぞれ第2の所定量2B分の寸法を拡大して元のゲート幅の13a及び14bに戻す。続いて、図2(b)に示す第1のゲートパターン13a、第2のゲートパターン14a、第3のゲートパターン14b及び第4のゲートパターン15aと、図3(b)に示す第1のゲートパターン13a及び第3のゲートパターン14bとの論理減算を行なう。これにより、ゲート幅が2B以下である第2のゲートパターン14a及び第4のゲートパターン15aが補正対象パターンとして選別される。 【0041】図4(a)及び図4(b)は補助パターン生成工程ST04において、補正対象のゲートパターンに対する補助パターンが生成される様子を表わしている。図4(a)に示すように、補正対象の第2のゲートパターン14a及び第4のゲートパターン15aに対して、その周縁部を第3の所定量C分の拡大又は縮小する補正を行なうことにより、それぞれ第2のゲート拡大パターン14d及び第4のゲート拡大パターン15bを生成する。ここで、第3の所定量Cは、補正対象パターンのゲート幅に依存する値となる。すなわち、露光後のパターン形状が設計パターンの形状に近づく値とし、本実施形態においては、例えば0.005μm?0.02μmとしている。図4(a)においては、第3の所定量C分の拡大を行なっているが、使用するレジスト材のネガ型又はポジ型の極性や露光方法により縮小パターンとする場合もあり得る。 【0042】次に、図4(b)に示すように、第1の拡大パターン11Bと第2のゲート拡大パターン14dとの論理積、及び第2の拡大パターン12Bと第4のゲート拡大パターン15bとの論理積演算を行なって、それぞれ第2のゲート補助パターン14eと第4のゲート補助パターン15cとを生成する。 【0043】図5は補正パターン合成工程ST05において、入力されたマスクパターンと補助パターンとが合成される様子を表わしている。図5に示すように、図2(a)に示す第1の拡散領域パターン11A、第2の拡散領域パターン12A、第1のPSパターン13、第2のPSパターン14及び第3のPSパターン15と、図4(b)に示す第2のゲート補助パターン14e及び第4のゲート補助パターン15cとに対して論理和演算を行なってこれらを合成することにより、補正パターンを生成する。」 (g)「【0046】図6は本実施形態に係るマスクパタ-ン補正方法により作成された補正パターンを持つフォトマスクにおける1つのトランジスタの図形パターンを表わしている。図6に示すように、方形状を有するトランジスタの拡散領域パターン21と、該拡散領域パターン21を囲む素子分離パターン22とからなる第1のマスクパターンと、拡散領域パターン21上における一辺と該一辺と対向する他辺とをまたぐように形成され、拡散領域パターン21上にゲート補助パターン23が付加されたゲートパターン24からなる第2のマスクパターンとを併せた図形を示している。ここで、ゲートパターン24のゲート長をL1とし、ゲート補助パターンのゲート長をL3とする。また、拡散領域パターン21のゲート長方向におけるゲート補助パターン23の一辺と該一辺と対向する素子分離パターン22との寸法をF1とし、拡散領域パターン21のゲート幅方向の寸法となるトランジスタ幅をW1とする。」 (h)上記(e)の記載から、上記マスクパターン補正方法がマスクパターンを作成する工程を含むことが読み取れる。 (i)図2および上記(f)の記載から、第1及び第2の拡散領域パターン11A、12Aに交差するように第1のPS(多結晶シリコン)パターン13および第2のPSパターン14を配置することが読み取れる。 (j)上記(f)の記載から、拡散領域パターンに対して拡大補正処理を行なうことにより拡大パターンを作成し、拡大パターンとPSパターンとの論理演算を行なうことによりPSパターンからゲートパターンを抽出し、ゲートパターンに対して拡大又は縮小する補正を行なうことによりゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンを作成し、前記ゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンに対して論理演算を行うことにより、補助パターンを生成することが読み取れる。 (k)図4,5および6並びに上記(f),(g)の記載から、補助パターンがゲートパターンに沿って配置され、ゲートパターンと前記拡散領域パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、前記拡散領域パターンの2つのエッジと前ゲートパターンによって形成される2つの交差部分にまたがって形成されることが見て取れる。 上記記載を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「トランジスタにおける拡散領域と素子分離領域との境界からなる段差部分を有する半導体基板上に、拡散領域パターンに交差するようにトランジスタを含む所望の設計パターンを転写するフォトリソグラフィ工程において用いるマスクパターンを作成する段階と、前記マスクパターンを前記設計パターンと同等のパターンが得られるように補正する段階とを有するマスクパターン補正方法であって、 前記設計パターンから前記トランジスタのゲートパターンを抽出し、前記ゲートパターンに対して、露光後のパターン形状が前記設計パターンの形状に近づくように補助パターンを生成する工程と、 生成された補助パターンを選別された前記ゲートパターンと合成することにより、前記マスクパターンを補正する補正パターンを生成する工程とを備え、 前記補助パターンを生成する工程においては、拡散領域パターンに対して拡大補正処理を行なうことにより拡大パターンを作成し、拡大パターンとPSパターンとの論理演算を行なうことによりPSパターンからゲートパターンを抽出し、ゲートパターンに対して拡大又は縮小する補正を行なうことによりゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンを合成し、前記ゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンに対して論理演算を行うことにより、ゲートパターンに沿って配置され、ゲートパターンと前記拡散領域パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、前記拡散領域パターンの2つのエッジと前ゲートパターンによって形成される2つの交差部分にまたがって形成される補助パターンを生成することを特徴とするマスクパターン補正方法。」 (イ)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-281683号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (a)「【請求項1】 液晶表示素子の透明基板上の下地層の上に形成された透明導電膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして透明電極を形成する際に用いられ、前記透明導電膜上に塗布された感光性レジストを所望のパターンに露光させるための液晶表示素子用フォトマスクにおいて、前記下地層の段差部に対応する部分の形状を、所望のパターンに切欠き部または突出部が形成された形状としたことを特徴とする液晶表示素子用フォトマスク。」 (b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示素子用フォトマスクに係り、特に、内面拡散反射型の液晶表示素子を製造する場合に、透明基板上の下地層の上に透明電極を所望のパターンに形成するための液晶表示素子用フォトマスクに関する。」 (c)「【0017】図1は本発明に係る液晶表示素子用フォトマスクが用いられる液晶表示素子の実施の一形態を示したもので、この液晶表示素子1は、ガラスまたはプラスチック等からなる一対の透明基板2を有しており、裏側の透明基板2の表面には、拡散反射層3が形成されるとともに、この拡散反射層3の表面には、透明絶縁膜4が形成されている。一方、表側の透明基板2の表面には、カラーフィルタ5が形成されており、このカラーフィルタ5の表面には、前記裏側の透明基板2と同様に、透明絶縁膜4が形成されている。また、前記各透明基板2の各透明絶縁膜4の表面には、それぞれ所定のパターンを形成してなる透明電極6が形成されている。」 (d)「【0021】そして、図2に示すように、各透明基板2および透明絶縁膜4の表面全体に、例えば、スパッタ法等の手段により透明導電膜7を成膜し、この透明導電膜7の表面に感光性レジスト8を塗布した後、所望のパターンが形成されたフォトマスク(図3参照)を用いて感光性レジスト8に紫外線を照射して露光させるようになっている。その後、弱アルカリ溶液からなる現像液により感光性レジスト8を除去し、この感光性レジスト8が除去された部分の透明導電膜7を、エッチング等の手段により除去することにより、透明電極6を所望のパターンに形成するようになっている。」 (e)「【0023】そのため、本実施形態においては、図3に示すように、ポジ型感光性レジスト8を用いる場合は、フォトマスク9の形状を、透明絶縁膜4の端縁に形成される段差部10に対応する部分にほぼコ字状の切欠き部11を形成してなる形状に形成するようになっている。この切欠き部11のフォトマスク9の幅方向の切欠き寸法と、拡散反射層3および透明絶縁膜4からなる段差部10の高さ寸法とは、図4に示すような関係となっている。そのため、段差部10の高さ寸法に応じて切欠き部11の切欠き量を設定するようにすればよい。なお、本発明は、段差部10の高さ寸法が1.5μm以上となるものに適用した方が好ましい。 【0024】本実施形態においては、前記切欠き部11が形成されたフォトマスク9を用いてポジ型感光性レジスト8に紫外線を照射することにより、前記切欠き部11に紫外線が多く照射され、段差部10に対する紫外線の照射量を十分に確保することができる。その結果、段差部10のように膜厚が大きい部位であっても、十分に紫外線を照射することができ、現像液により感光性レジスト8を除去する場合に、所定のパターン通りに除去することが可能となる。そして、その後の透明導電膜7のエッチングにより適正なパターンを得ることができる。」 (f)図2、図3および上記(e)の記載から、液晶表示素子の透明基板上の下地層の上に形成された透明導電膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして透明電極を形成する際に、フォトマスク9に透明絶縁膜4の端縁に形成される段差部10に対応する部分にコ字状の切欠き部11を形成すること、すなわち、段差パターンが形成されている基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において、マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ段差パターンのエッジと回路パターンのエッジによって形成される交差部分にまたがって選択的に凹部を設けてマスクパターンを補正したことが見て取れる。 (2)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「トランジスタにおける拡散領域と素子分離領域との境界からなる段差部分を有する半導体基板」は、本件補正発明の「段差パターンが形成されている処理基板」に相当する。 引用発明の「拡散領域パターン」は、本件補正発明の「段差パターン」に相当する。 引用発明の「トランジスタを含む所望の設計パターン」は、本件補正発明の「回路パターン」に相当する。 引用発明の「フォトリソグラフィ工程において用いるマスクパターン」は、本件補正発明の「リソグラフィ工程において使用するマスクパターン」に相当する。 引用発明の「補助パターン」は、「拡散領域パターンに対して拡大補正処理を行なうことにより拡大パターンを作成し、拡大パターンとPSパターンとの論理演算を行なうことによりPSパターンからゲートパターンを抽出し、ゲートパターンに対して拡大又は縮小する補正を行なうことによりゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンを合成し、前記ゲート拡大パターン又はゲート縮小パターンに対して論理演算を行うことにより」生成され、「ゲートパターンに沿って配置され、ゲートパターンと拡散領域パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、前記拡散領域パターンの2つのエッジと前ゲートパターンによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され」、「PSパターン」から抽出された「ゲートパターン」と合成されることにより、「マスクパターンを補正する補正パターン」が生成されるのであるから、引用発明の「補助パターン」と、本件補正発明の「段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける補正パターン」とは、「段差パターンの形状を考慮した補正ルール」に従って、「マスクパターン」に沿って、「回路パターンと段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に」、「段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンによって形成される2つの交差部分にまたがって」形成され、「マスクパターン」に対して付加される「補正パターン」であるという点で一致する。 引用発明の「マスクパターン補正方法」は、本件補正発明の「パターン形成方法」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明とは、 「段差パターンが形成されている処理基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において使用するマスクパターンを作成する段階と、 段差パターンの形状を考慮した補正ルールに従って、前記マスクパターンに対して、回路パターンと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に形成される補正パターンを付加する段階とを有し、 前記補正パターンは、前記マスクパターンに沿って、前記段差パターンの2つのエッジと前記回路パターンによって形成される2つの交差部分にまたがって形成されるパターン形成方法」の点で一致し、次の点で相違する。 (相違点) 「補正パターン」が、本件補正発明では「マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ段差パターンの2つのエッジと回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成され」、「マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設ける」ものであるのに対して、引用発明ではこのことが明らかでない点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 引用例1からは、ゲートパターンに対して縮小する補正を行なうことによりゲート縮小パターンを作成し、前記ゲート縮小パターンに対して論理演算を行うことにより補助パターンを生成すること(上記(1)(ア)(j)参照)、すなわち、マスクパターンに当該マスクパターンよりも幅が狭い凹部を設けることも記載されており、段差パターンが形成されている基板の上に前記段差パターンに交差する回路パターンを転写するリソグラフィ工程において、マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置され、かつ段差パターンのエッジと回路パターンのエッジによって形成される交差部分にまたがって選択的に凹部を設けてマスクパターンを補正することは、例えば引用例2に記載されるように周知であるから、引用発明においても、補正パターンを、マスクパターンのエッジに沿って、当該エッジの内側に局所的に配置し、かつ段差パターンの2つのエッジと回路パターンの1つのエッジによって形成される2つの交差部分にまたがって形成し、マスクパターンのエッジに対して、前記回路パターンのエッジと前記段差パターンのエッジとの交差部分及び該交差部分の近傍に、選択的に凹部を設けてマスクパターンを補正することは当業者が容易に想到しうることである。 そして、本件補正発明の作用効果は引用発明及び引用例2の記載から当業者が予期できたものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用例2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.本件補正についての結び よって、本件補正発明は、上記引用発明及び引用例2の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、「第2[理由]1.」に補正前請求項1として記載したとおりのものである。 本願発明は、前記「第2[理由]2.」で検討した本件補正発明から、「マスクパターンに対して」について「マスクパターンのエッジに対して」という限定を省き、「補正パターン」について「選択的に凹部を設ける」という限定を省き、「エッジの内側に配置され」た「補正パターン」について「局所的に配置され」ているという限定を省き、「マスクパターンから補正パターンを除いた部分に相当する」「補正後のマスクパターン」が「マスクパターンから補正パターンを除いた部分に相当する凹部を有する」という限定を省いたものに相当する。 2.対比・判断 本願発明を、引用発明と対比すると、本願発明と引用発明とは、本件補正発明と引用発明との一致点において一致し、一方で、両者は、本件補正発明と引用発明との相違点1および2においてのみ相違する。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]2.」において記載したとおり、引用発明及び引用例2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明及び引用例2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである 3.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-27 |
結審通知日 | 2009-02-03 |
審決日 | 2009-02-17 |
出願番号 | 特願2002-238357(P2002-238357) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G03F)
P 1 8・ 121- Z (G03F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大熊 靖夫 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
小松 徹三 安田 明央 |
発明の名称 | パターン形成方法及びパターン形成プログラム |
代理人 | 三好 秀和 |