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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1195185
審判番号 不服2008-6846  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-21 
確定日 2009-04-02 
事件の表示 特願2001- 33602「ペーパーレスレコーダ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月23日出願公開、特開2002-236461〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年(2001年)2月9日に出願した特願2001-33602号であって、平成20年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年3月21日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年4月17日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年4月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について

[補正の却下の決定の結論]
平成20年4月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

1 本件補正について
平成20年4月17日付けの手続補正により、特許請求の範囲は、平成20年1月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載の、
「 【請求項1】
常時視覚可能にトレンドデータの波形表示又は記録を行う主ディスプレイ部と、
定常状態では収納されており、必要に応じて視覚可能に引き出され前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータを表示又は記録する1個又は複数個の補助ディスプレイ部と、
を具備するペーパーレスレコーダ。
【請求項2】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置より折り畳み式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項3】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりスライド式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項4】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりポップアップ式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項5】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりロール式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項6】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部の水平面と同一位置に視覚可能に引き出されることを特徴とする請求項1乃至5記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項7】
前記補助ディスプレイ部に表示又は記録される、前記主ディスプレイ部の補完データが、前記主ディスプレイ部データに連続するトレンドデータであることを特徴とする請求項1乃至6記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項8】
前記補助ディスプレイ部に表示又は記録される、前記主ディスプレイ部の補完データが、アラーム情報であることを特徴とする請求項1乃至6記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項9】
記録紙の代わりであるディスプレイ部が柔軟性を有するシート状部材で構成され、このシート状部材は折りたたみ式又はロール式に装置内部に収納されていて、装置内部から引き出し可能になっており、前記ディスプレイ部には計測データと制御目標値の少なくとも一方を表示することを特徴とするペーパーレスレコーダ。」が、

「 【請求項1】
常時視覚可能にトレンドデータの波形表示又は記録を行う主ディスプレイ部と、
定常状態では収納されており、必要に応じて視覚可能に引き出され前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータを表示又は記録する1個又は複数個の補助ディスプレイ部と、
を具備し、
前記補助ディスプレイ部に表示又は記録される、前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータは、アラーム情報であることを特徴とするペーパーレスレコーダ。
【請求項2】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置より折り畳み式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項3】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりスライド式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項4】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりポップアップ式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項5】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部位置よりロール式に視覚可能に引き出されるように収納されている請求項1記載のペーパーレスレコーダ。
【請求項6】
前記補助ディスプレイ部が、前記主ディスプレイ部の水平面と同一位置に視覚可能に引き出されることを特徴とする請求項1乃至5記載のペーパーレスレコーダ。」と補正された。

2 補正目的についての検討
この本件補正は、
(1)補正前の請求項7ないし9を削除する補正事項、及び
(2)請求項1において、補助ディスプレイ部に表示又は記録される内容について、「前記補助ディスプレイ部に表示又は記録される、前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータは、アラーム情報である」点を追加して限定する補正事項からなる。
上記(1)の補正事項は、請求項の削除を目的とするものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
上記(2)の補正事項は、補助ディスプレイ部に表示又は記録される内容について、具体化するものであり、いわゆる限定的減縮を目的とするものであるから、第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正を含むものであるから、次に、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

3 独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明について
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、平成20年4月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである。(上記「1 本件補正について」の記載参照。)

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平1-42096号(実開平2-132290号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、図面の記載とともに以下の事項が記載されている。(下記の「イ 引用例1に記載された発明の認定」において直接引用した記載に下線を付した。)

(ア)「2.実用新案登録請求の範囲
表示器と装置本体とが一体に形成された情報処理装置において、
前記表示器に、前記表示器の表示画面を形成するための通常は積層状態にある複数の表示パネルであつて、必要に応じて、前記積層状態から縦、横、または縦横に平面的に配列されて大画面を形成する平面配列状態への切換えが可能な複数の表示パネルを設け、
前記複数の表示パネルが前記平面配列状態にある場合に、前記複数の表示パネルにより形成される大画面を1画面として扱うようにしたことを特徴とする情報処理装置。」(明細書第1ページ第4?16行)

(イ)「第2図は第1図に示すラップトップパソコンのシステム構成を示すブロック図である。第2図において、装置全体の制御を司るマイクロプロセッサ22には、処理手順を示すプログラムやデータ等が格納されるRAM22、ROM23、及び各入出力部とのインターフェースを司るキーボードアダプタ24、フロッピディスクアダプタ25、磁気ディスクアダプタ26が接続されている。」(明細書第5ページ第19行?第6ページ第6行)

(ウ)「また、本考案は前記実施例に示すようなラップトップパソコンに限るものではない。すなわち、第5図に示すような、電子手帳30の表示器31において実施することも可能である。第5図に示すような電子手帳30の表示器31は、本体に固定されている表示パネル32aと、表示パネル32aの例えば背面に配設された表示パネル32によって構成されている。そして、必要に応じて第5図に示すように、表示パネル32aの背面から表示パネル32bを右横方向にスライドさせて引出して設定することができる。また、図中破線で示すように縦方向に表示パネル32bを引出して設定するようにしても良い。こうして、表示パネル32bが引出されて設定された場合は、電子手帳30の制御を司る制御部(図示せず)は、表示パネル32a、32bによる表示画面を1画面となるように表示を制御する。
このように、通常状態における表示器は、複数枚の表示パネルが重なった状態で配設されているために、装置の大型化を招くことがない。そして、必要に応じて表示パネルを引き出して設定することにより、複数枚の表示パネルで1画面を構成し、表示画面を大きくすることができる。」(明細書第9ページ第16行?第10ページ第17行)

(エ)第5図には電子手帳の外観図が図示されており、第5図から、表示パネル32aが常時視覚可能にあること、及び文字入力部を有することが見て取れる。


イ 引用例1に記載された発明の認定
第5図から見取れるように引用例1に記載の電子手帳は文字入力部を有すること(上記(エ)参照)、及び、引用例1に記載の他の実施例であるラップトップパソコンがRAM22等の記憶部を有し、記録可能な装置となっていること(上記(イ)参照)にかんがみ、技術常識を参酌すれば、引用例1に記載の電子手帳は、記録を行う情報処理装置であるといえる。

よって、上記記載事項から、引用例1には、情報処理装置(電子手帳)に関し、
「表示器31は、本体に固定されている表示パネル32aと、表示パネル32aの背面に配設された表示パネル32によって構成されており、
表示パネル32aが常時視覚可能にあり、
また、記録を行い、
必要に応じて、表示パネル32aの背面から表示パネル32bを右横方向にスライドさせて引出して設定することができ、
表示パネル32bが引出されて設定された場合は、制御部は、表示パネル32a、32bによる表示画面を1画面となるように表示を制御する情報処理装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
ア ここで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「表示器31は、本体に固定されている表示パネル32a・・・によって構成されており、表示パネル32aが常時視覚可能にあり、また、記録を行」うことと、本願補正発明の「常時視覚可能にトレンドデータの波形表示又は記録を行う主ディスプレイ部・・・を具備」することとは、「常時視覚可能に表示又は記録を行う主ディスプレイ部・・・を具備」することで一致している。

引用発明の「表示器31は、・・・表示パネル32aの背面に配設された表示パネル32によって構成されており、表示パネル32aが常時視覚可能にあり、また、記録を行い、必要に応じて、表示パネル32aの背面から表示パネル32bを右横方向にスライドさせて引出して設定することができ」ることと、本願補正発明の「定常状態では収納されており、必要に応じて視覚可能に引き出され前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータを表示又は記録する1個又は複数個の補助ディスプレイ部とを具備」することとは、「定常状態では収納されており、必要に応じて視覚可能に引き出され表示又は記録する1個又は複数個の補助ディスプレイ部とを具備」することで一致している。
なお、本願補正発明の「1個又は複数個」の特定は、実質的に個数については特定していないのと同等であると認められるから、引用発明の「スライドさせて引き出して設定することができる表示パネル」の数と、本願補正発明の「補助ディスプレイ」の数との間に相違を生じているものとは認められない。

引用発明の「表示パネル32bが引出されて設定された場合は、制御部は、表示パネル32a、32bによる表示画面を1画面となるように表示を制御する」の記載より、引用発明の表示パネル32bの表示内容は、表示パネル32aの表示内容を補完するものであることは明らかである。
したがって、引用発明の「表示パネル32aが常時視覚可能にあり、また、記録を行い、・・・表示パネル32bが引出されて設定された場合は、制御部は、表示パネル32a、32bによる表示画面を1画面となるように表示を制御する」ことと、本願補正発明の(補助ディスプレイ部が)「主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータを表示又は記録する」こととは、(補助ディスプレイ部が)「主ディスプレイ部の表示内容を補完する内容を表示又は記録する」ことで一致する。

引用発明の「記録を行」う点及び「情報処理装置」である点と、本願補正発明の「ペーパレスレコーダ」である点とは、「記録を行う情報処理装置」である点で一致する。

イ 一致点
したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「常時視覚可能に表示又は記録を行う主ディスプレイ部と、
定常状態では収納されており、必要に応じて視覚可能に引き出され前記主ディスプレイ部の表示内容を補完する内容を表示又は記録する1個又は複数個の補助ディスプレイ部とを具備する記録を行う情報処理装置。」の発明である点で一致し、次の各点で相違する。

ウ 相違点
(ア)相違点1;
主ディスプレイ部で表示又は記録する内容が、本願補正発明においては、トレンドデータであるのに対し、引用発明においてはそのような限定がなされていない点。

(イ)相違点2;
補助ディスプレイ部において主ディスプレイ部を補完して表示又は記録する内容が、本願補正発明においてはアラーム情報であるのに対し、引用発明においてはそのような限定がなされていない点。

(ウ)相違点3;
発明の対象である記録を行う情報処理装置が、本願補正発明においてはペーパレスレコーダであるのに対し、引用発明においてはペーパレスレコーダであるか否かが明らかでない点。

(4)当審の判断
ア 次に、上記各相違点について検討する。

(ア)相違点1について
情報処理装置において、表示・記録の対象をトレンドデータとすることは、例えば、
・特開平8-210877号公報(【0002】【0009】)
・特開平10-104024号公報(【0002】)
等にも記載されているように周知の技術である。
引用発明においても、上記の周知の技術を採用して、主ディスプレイで表示又は記録する内容をトレンドデータとして、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

(イ)相違点2について
トレンドデータを表示する情報処理装置において、ディスプレイにトレンドデータを補完する情報としてのアラーム情報を表示することは、例えば、
・特開平7-234133号公報(【0037】【図7】)
・特開平10-253401号公報(【図21】【図1】【図2】)
にも記載されているように周知技術である。
引用発明においても、上記周知技術を採用し、トレンドデータ及び該トレンドデータを補完する情報としてのアラーム情報を表示するようにすることに格別の困難性は認められない。
そして、引用発明において上記周知技術を採用してトレンドデータ及びアラーム情報を表示するに当たり、その割り振りとして、常時観測する情報であるトレンドデータを常時視覚可能な主ディスプレイに表示させ、補完データであって必要に応じて観測するに留まるアラーム情報を必要に応じて視覚可能に引き出される補助ディスプレイに表示するように設定することは、当業者が容易になし得ることである。
したがって、引用発明において、上記相違点2に係る発明特定事項を得ることは、上記周知技術を参酌して当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)相違点3について
情報処理装置においてペーパレスレコーダは周知である。(上記(ア)(イ)において示した周知例参照。)そして、引用発明の情報処理装置は、記録を行うものであることにかんがみれば、引用発明の情報処理装置を周知のペーパレスレコーダとして、上記相違点3に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び上記の周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び上記の周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、本件補正は、同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成20年4月17日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年1月25日けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。(上記「第2 平成20年4月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成20年4月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「3 独立特許要件についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「第2 平成20年4月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 補正目的についての検討」で述べた、補助ディスプレイ部に表示又は記録される内容について、「前記補助ディスプレイ部に表示又は記録される、前記主ディスプレイ部のトレンドデータを補完するデータは、アラーム情報である」点を特定した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成20年4月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「3 独立特許要件についての検討」において記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-04 
結審通知日 2009-02-05 
審決日 2009-02-19 
出願番号 特願2001-33602(P2001-33602)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 571- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 創  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 安田 明央
森林 克郎
発明の名称 ペーパーレスレコーダ  

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