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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65B
管理番号 1195693
審判番号 無効2006-80129  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-07-14 
確定日 2009-03-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3080347号「PETボトルの殺菌方法」の特許無効審判事件についてされた平成19年 3月13日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年行ケ第10137号平成19年7月26日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3080347号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3080347号の発明についての出願は、平成6年8月22日に特許出願され、平成12年6月23日にその特許の設定登録がなされた後、特許異議の申立がなされ、平成13年9月3日に訂正請求がなされ、平成14年1月15日に訂正を認めて本件請求項1、2に係る特許を維持するとする決定がなされ、同決定は確定している。
本件は、その後、請求人渋谷工業株式会社より、平成18年7月14日に特許無効審判が請求されたものであり、平成18年10月2日に答弁書が提出されるとともに、訂正請求がなされ、その後、双方より口頭審理陳述要領書が提出され、平成19年1月23日に口頭審理が行われ、平成19年3月13日に訂正を認め、その請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とするとの審決がなされたところ、本件の被請求人は、これを不服として知的財産高等裁判所に同審決の取消を求める訴(平成19年(行ケ)第10137号)を提起した後、本件特許について平成19年7月3日付けで訂正の審判請求(訂正2007-390085号)をし、平成19年7月26日に知的財産高等裁判所により同審決を取り消す旨の決定がなされたので、上記訂正審判の請求書に添付された明細書を援用する訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされたものとみなされ、平成19年11月1日に請求人に本件訂正請求書を送付し、これに対して、請求人より、平成19年11月30日に弁駁書が提出されている。

2.訂正の適否についての判断
本件訂正請求は、特許第3080347号(平成6年8月22日特許出願、平成12年6月23日設定登録)の明細書を、審判請求書に添付した平成19年7月3日付け訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。
なお、本件特許第3080347号については、異議2001-70618号の手続において、平成13年9月3日付けで訂正請求がなされ、この訂正は認められ確定している。
その後、本件無効審判の手続において、平成18年10月2日付けで訂正請求がなされ、この訂正を認めた無効審判事件の審決を取り消す旨の決定がなされたので、本件訂正請求における、願書に添付した明細書又は図面は、異議2001-70618号の手続において、平成13年9月3日付けで提出された訂正請求書によって訂正した明細書(以下「原明細書」という。)とすべきである。

(1)訂正事項
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1ないし4における「過酸化水素が配合される」という記載を「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」と訂正する。
イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1ないし4における「ノズルによってPETボトルの少なくとも内面に」という記載を「ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に」と訂正する。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1における「1000ppmないし1500ppmの」という記載を、「1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた」と訂正する。
エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1における「過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に噴射する」という記載を「過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で8?15秒間噴射する」と訂正する。
オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2における「過酢酸系殺菌剤を55℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に噴射する」という記載を「過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射する」と訂正する。
力.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項3における「過酢酸系殺菌剤を50℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に噴射」という記載を「過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射」と訂正する。
キ.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項3の「噴射すせる」を「噴射する」と訂正する。
ク.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4の「3000ppm以上」を「3000ppm」と訂正する。
ケ.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項4の「過酢酸系殺菌剤を45℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に噴射する」という記載を「過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、…PETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射する」と訂正する。
コ.訂正事項10
発明の詳細な説明の段落【0014】【0015】【0018】【0020】【0021】【0023】の「噴出」を「噴射」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1
原明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4には、「過酢酸に対して過酸化水素が配合される」ことが発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0011】に「本発明において、過酢酸系殺菌剤としては、ヘンケル白水社製のP3 -oxoniaaktiv、 P3 -oxonia aktiv 90 等を例示でき、過酢酸と過酸化水素の混合比が、重量比で過酢酸1に対して過酸化水素1ないし4となるように混合するのが薬剤の安定性の点で好ましい。」とあるように「過酢酸に対して過酸化水素が配合される」に係る技術的事項として、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となる」ことが、記載されている。
したがって、訂正事項1は、請求項1ないし4に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、本願の出願当初明細書(以下「当初明細書」という。)にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.訂正事項2
原明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4には、「ノズルによってPETボトルの少なくとも内面に」が発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0017】に「なお、前記第1殺菌用ノズル及び第2殺菌用ノズルは、ボトル搬送装置1によって倒立状態で搬送されるボトルの内容物充填用口に対向する位置に配置されている。」と記載され、「PETボトル」が「倒立状態」にあることが、記載されている。
したがって、訂正事項2は、請求項1ないし4に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の「1000ppmないし1500ppmの」を、「1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた」とすることは「1500ppm」の濃度を除外する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。
また、上記訂正事項3は、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ.訂正事項4
原明細書の特許請求の範囲の請求項1には、「殺菌剤の噴射」が発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】に「また、殺菌剤を噴出することにより、殺菌を行う方式においては、過酢酸系殺菌剤の流量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。」と記載されている。
また、表1には、過酢酸濃度が1000ppmの過酸化水素系殺菌剤による殺菌実験の結果が示されており、実施例2の殺菌結果として、殺菌剤を「65℃」に加温し、「8?15秒間」噴射して殺菌した場合に殺菌効果を奏する評価「○」あるいは「◎」が記載されている。
したがって、訂正事項4は、請求項1に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
オ.訂正事項5
原明細書の特許請求の範囲の請求項2には、「殺菌剤の噴射」が発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】に「また、殺菌剤を噴出することにより、殺菌を行う方式においては、過酢酸系殺菌剤の流量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。」と記載されている。
また、表2には、過酢酸濃度が1500ppmの過酸化水素系殺菌剤による殺菌実験の結果が示されており、実施例5の殺菌結果として、殺菌剤を「65℃」に加温し、「5?15秒間」噴射して殺菌した場合に殺菌効果を奏する評価「○」あるいは「◎」が記載されている。
したがって、訂正事項5は、請求項2に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
カ.訂正事項6
原明細書の特許請求の範囲の請求項3には、「殺菌剤の噴射」が発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】に「また、殺菌剤を噴出することにより、殺菌を行う方式においては、過酢酸系殺菌剤の流量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。」と記載されている。
また表3には、過酢酸濃度が2000ppmの過酸化水素系殺菌剤による殺菌実験の結果が示されており、実施例の殺菌結果として、殺菌剤を「60℃」または「65℃」に加温し、「5?15秒間」噴射して殺菌した場合に、殺菌効果を奏する評価「○」あるいは「◎」が記載されている。
したがって、訂正事項6は、請求項3に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
キ.訂正事項7
「噴射すせる」は「噴射する」の明らかな誤記であり、この訂正は誤記の訂正に該当するものであって、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ク.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4の「3000ppm以上」を、「3000ppm」とすることは「3000ppmより大きい」濃度を除外する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。
また、上記訂正事項8は、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ケ.訂正事項9
原明細書の特許請求の範囲の請求項4には、「殺菌剤の噴射」が発明の構成として記載されている。
そして、原明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】に「また、殺菌剤を噴出することにより、殺菌を行う方式においては、過酢酸系殺菌剤の流量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。」と記載されている。
また、表4には、過酢酸濃度が3000ppmの過酸化水素系殺菌剤による殺菌実験の結果が示されており、実施例13及び14の殺菌結果として、殺菌剤を「60℃」または「65℃」に加温し、「5?15秒間」噴射して殺菌した場合に、殺菌効果を奏する評価「○」あるいは「◎」が記載されている。
したがって、訂正事項9は、請求項4に記載されている構成を同構成に係る技術的事項として原明細書に記載されていた技術的事項により限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
コ.訂正事項10
原明細書の「噴射」及び「噴出」に係る記載は、例えば、発明の詳細な説明の段落【0015】に、「また、上記の噴出方式によって、食品容器を殺菌する場合には、噴出を複数回に分けて行ってもよく、また、一回に連続的に噴射してもよい。」と記載されていたように、両用語を区別なく使用されていた。その両用語ともに、発明の詳細な説明の段落【0015】に記載された「過酢酸系殺菌剤の流量は、・・・100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。」、とされる流量を意図する用語と認められ、段落【0020】に記載された「温調手段によって所定の温度に温調された過酢酸系殺菌剤が噴出される。・・・付着していたごみ等の異物が洗い流される」との記載も噴射を記載するものである。 よって、「噴出」を「噴射」とする訂正は、原明細書に記載される用語を統一することにより不明りょうな記載の釈明をするものである。
また、上述のとおり、上記訂正事項10は、当該技術的事項は、当初明細書にも記載されているから、新規事項の追加に該当するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)まとめ
したがって、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とし、いずれも、原明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書に適合し、特許法134条の2第5項において準用する平成6年改正前第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件特許発明
上記のように本件訂正は適法になされたものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下「本件発明1ないし4」という。)は、平成19年7月3日付け訂正明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で8?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項2】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が1500ppm以上で2000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項3】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が2000ppm以上で3000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項4】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が3000ppmとされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加湿し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。」

4.請求人の主張の概要
無効審判請求人は、
甲第1号証として、英国特許第1,570,492号明細書を提出して、「過酢酸の濃度が100ないし5000ppmの範囲(表1及び表2では1000ppm)の過酢酸と過酸化水素の混合水溶液を含む殺菌媒体を室温でスプレー手段によってプラスチック容器に吹きつけ、加熱空気で加温することによって殺菌剤を活性化するプラスチック容器の殺菌方法。」の発明が記載されているとすると共に、
甲第2号証として、米国特許第5,262,126号明細書
甲第3号証として、特開平3-30770号公報
甲第4号証として、特開平4-30783号公報、及び、
甲第5号証として、特開平5-254522号公報
を提出して、甲第2号証に、「積層包装材の包装容器を浸漬させる殺菌方法。」とする発明が記載され、甲第3号証に、「過酸化水素及び過酢酸を含む殺菌用媒質をポリエチレンコップの様な殺菌されるべき物品内に噴射する」発明が記載され、甲第4号証及び甲第5号証に、「PETボトルの内面を殺菌する」発明が記載されているとしている。
そして、本件各発明の殺菌剤の濃度及び温度の数値限定に関して、臨界的意義が存在せず、数値範囲を最適化したに過ぎないとして、本件各発明は、甲第1号証及び周知技術に基いて、又は甲第1号証に甲第2ないし5号証を適用することにより、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらについての特許は同法第123条第1項第2号に該当し、いずれも無効とすべき旨主張している。
さらに、被請求人が請求した平成18年10月2日付けの訂正請求(以下「先の訂正請求」という。)に対して、請求人は、後日訂正に係る技術的事項に関連する周知技術を立証するために、
甲第8号証として、特開昭52-25011号公報
甲第9号証として、特開昭52-25034号公報
甲第10号証として、特開平4-189728号公報
甲第11号証として、特開平4-197483号公報
甲第13号証として、WO93/07909号公報、及び
甲第14号証として、特表平7-502988号公報
を提出して、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されている殺菌剤は、周知の殺菌剤の配合であるから、先の訂正請求によっても、訂正後の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1?5号証に記載された発明、及び、甲第8?11,13,14号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それら発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべき旨主張している。
また、請求人は、先の訂正請求に対して、甲第2号証に、過酢酸の重量%が10?45、過酸化水素の重量%が1?15である殺菌溶液が記載されており(8欄10?17行の表)、過酢酸が10?15重量%の範囲であれば、殺菌溶液の過酢酸と過酸化水素の重量比は1:1?1.5となる旨主張するとともに、甲第2号証の表3に、殺菌溶液の温度を高くすることにより殺菌効果が高まること及び殺菌溶液の濃度を高くすることにより殺菌効果が高まることが示されているとして、甲第8?10号証及び13号証には、過酢酸と過酸化水素の配合比を過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とすることが開示されており、甲第2号証に、甲第8?10及び13号証に示される周知のものを適用して、過酢酸と過酸化水素の配合比を過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とすることは当業者にとって容易に想到し得る事項に過ぎない旨主張している。
さらに、甲第1号証、3?5号証及び11号証には、PETボトルの内面に殺菌剤を噴射してPETボトルを殺菌する方法が開示されているから、PETボトルの内面に殺菌剤を噴射してPETボトルを殺菌する方法自体は、本件特許出願当時から周知のものであり、先の訂正請求による請求項1ないし4に係る発明は、甲第1?5号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それら発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべき旨主張している。
また、請求人は、口頭審理の後に上申書を提出するとともに、
甲第15号証として、特開平2-4631号公報
甲第16号証として、特開平2-4624号公報
を提出し過酢酸と過酸化水素を含有する過酢酸系殺菌剤は、PETボトルを殺菌する殺菌液としても、周知であるとしている。
さらに、請求人は本件訂正請求に対して、弁駁書を提出するとともに、
甲第17号証として、特開平3-232582号公報
甲第18号証として、特公平6-22532号公報
を提出しPETボトルが倒立状態で使用され、100?300ml/secの流量で噴射する点が記載されているとしている。
したがって、本件発明1ないし4は、甲第1?5号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それら発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべき旨主張している。

5.被請求人の主張の概要
被請求人は、甲第1ないし5号証を提示して本件各発明の特許を無効とすべきとする審判請求の理由に対して、指定された答弁の期間に先の訂正請求を行い、訂正を前提として、本件各発明は、 過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されている過酢酸系殺菌剤に係る発明であり、過酢酸系殺菌剤を加温した後、ノズルによってPETボトルの少なくとも内面に噴射している構成を有し、各構成は以下のとおり、甲第1?5号証に記載又は示唆されるものではなく、訂正請求後に提出された甲第6?14号証にも記載又は示唆されるものではないので、本件各発明の特許は、無効とされるべきものではない旨主張している。
甲第2号証及びその後提出された甲第8?14号証のものは、一見すると過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となる数値が記載されているとしても、実施例として記載されるもの、好ましい値とされるものは、異なる比率のものであり、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されている殺菌剤の配合比を具体的に開示するものではなく、本件各発明の進歩性を判断する論拠とはなり得ない旨主張している。
甲第2号証には「殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、」との開示があるのみであり、他の本件各発明の構成要件については具体的に開示されていない旨主張している。
また、本件各発明において過酢酸系殺菌剤を加温し、噴射して用いることは、過酢酸が高温では不安定であるという知見に基づく従来の技術常識に反するものであり、過酢酸系殺菌剤を低温で用いる場合には長時間浸漬する必要があったため、噴射する方法は採用できない旨主張している。
一方、過酸化水素は、安定性が高いため低温では充分な分解が生じず、殺菌作用が不十分であるため、噴霧後に加熱乾燥する方法あるいは比較的高い温度で浸漬する方法が一般的であり、残留した場合に毒性の問題があり、PET材料においては過酸化水素が吸着しやすいという性質があるから、使用する過酸化水素を少なくする必要性がある旨主張している。
そして、本件特許出願時の技術常識に照らせば、当業者は、公知の殺菌剤を、物理的性質や化学的性質に基いて、合理的なあるいは適切な方法で用いるのであるから、本件各発明の各構成要件について、これらの技術常識に反して、異なる薬剤についての文献の開示を適用することは、当業者が容易になし得ることではないとしている。
よって、本件各発明は、甲第2号証に甲第1、3?5、8?11、13号証の記載を組み合わせても当業者が容易に想到し得るものではないとし、甲第1号証のものを主引用例としても、甲第2号証を主引用例としても、先の訂正請求による請求項1ないし4に係る発明についての特許は、請求人が提出した証拠及び理由によっては、無効とされるべきではない旨主張している。
さらに、被請求人は、
乙第1号証の1及び乙第1号証の2として、広辞苑、
乙第2号証の1及び乙第2号証の2として、日本語大辞典、
乙第4号証として、甲第3号証の対応欧州特許0411970(B1)公報
を提出し、「噴射」「噴霧器」「噴霧機」の意味を示し、「噴射」と「噴霧」は技術内容が明確に区別される旨主張している。
また、被請求人は、乙第3号証として、「本件発明の殺菌剤を甲第1号証の噴霧後加熱の方法で使用した場合は殺菌作用を十分に発揮することができない点」、乙第6号証として、「甲第1号証の方法で熱風乾燥を行うためには極めて少量の殺菌剤を容器表面に薄く均一に付着させる必要があり、噴射は除外される点」、乙第7号証の1として、「本件発明の方法である予め加温して噴射する殺菌方法の場合において、過酸化水素(12000ppm)のみを用いた殺菌剤では殺菌効果が見られない点」、乙第7号証の2として、「本件発明の方法である予め加温して噴射する殺菌方法の場合において、本件発明殺菌剤(過酢酸1000ppm及び過酸化水素4000ppmを含む)では殺菌効果が見られる点」をそれぞれ主張している。
そして、被請求人は、口頭審理の後の上申書で提出された甲第15号証について、具体的な過酢酸の濃度の開示はなく、甲第16号証について、過酢酸と過酸化水素の具体的な比率は開示されていないとしている。
さらに、被請求人は、本件訂正請求を提出し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で8?15秒間噴射することにより、残留殺菌剤を最小限にして安全性を維持しつつ、短時間で効率的な殺菌が可能となったものであるとしている。
以上のとおり、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証,その他の証拠の組み合わせ、あるいは周知技術から、当業者が容易に想到し得るものではなく、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである旨主張している。

6.当審の判断
(1)甲号証に記載された事項
甲第2、4、5、8ないし11、13ないし15号証は、本件に係る出願の出願前に頒布された刊行物であり、それぞれ以下の記載が認められる。

(A)甲第2号証:米国特許第5,262,126号明細書の記載事項
第1欄11?14行に、
「The present invention relates to a method for sterilizing laminated packaging material for forming a packing container to preserve a liquid such as juice or milk contained therein for a long period of time.」
と記載されており、
「・・・ジュースやミルク等の液体を長期間保存するための包装容器を形成する積層包装材の殺菌方法・・・」
の旨記載されているものと認める。

第3欄64?末行に、
「The sterilizing station 23 includes a sterilizing tank 30 which stores a 35 wt % hydrogen peroxide solution as a sterilizing solution heated to, e.g., about 80 ℃ and an endless circulatingunit 31 which circulates the blanks 2 while holding them in the lateral direction. 」
と記載されており、
「・・加熱(例えば約80℃)された・・・殺菌溶液として溜めた殺菌タンク30・・」の旨記載されているものと認める。

第4欄20?25行に、
「When the circulating unit 31 is intermittently rotated … in a direction indicated by an arrow in FIG. 1, the blanks are sequentially dipped in the sterilizing solution in the sterilizing tank 30 and sequentially removed therefrom.」
と記載されており、
「・・・紙パックは、殺菌タンク30の殺菌溶液に順次浸漬され、・・・」る旨記載されているものと認める。

したがって、上記記載より、
記載事項2-1
「殺菌剤を加熱し、紙層を含む積層材を有する食品容器を浸漬する殺菌方法。」
が把握可能なものと認められる。

第8欄6?20行に、
「It is also possible to add acetic acid and peracetic acid to the hydrogen peroxide solution used as a sterilizing solution. A typical composition of the mixture type sterilizing solution is as follows:
Component Content (% by weight)
Peracetic acid 10 to 45
Acetic acid 40 to 85
Hydrogen peroxide 1 to 15
Balance (water) 1 to 15
The mixed sterilizing solution is diluted with water and used in a concentration of 0.1 to 10.0% at 10 to 90℃. 」
と記載されており、
「過酸化水素に酢酸と過酢酸を追加したものもまた殺菌溶液として使用することができる。混合型殺菌溶液の典型的な組成は、以下のとおりである。
組成 成分(重量%)
過酢酸 10?45
酢酸 40?85
過酸化水素 1?15
残余(水) 1?15
混合殺菌溶液は水で薄め、10?90℃で0.1?10.0%の濃度で使用される。」
旨記載されているものと認める。

上記記載は、過酢酸に対して過酸化水素が配合されるとともに、過酢酸の濃度が10?45(重量%)で、混合殺菌溶液は水で薄め、10?90℃で0.1?10.0%の濃度で使用される点を示すものである。ここで、過酢酸の濃度が10?45(重量%)の混合殺菌溶液を水で薄めて0.1?10.0%の濃度で使用するから、過酢酸の濃度は使用状態で0.01?4.5(重量%)となり、過酢酸の濃度は100ppm?45000ppmの殺菌剤を開示するものである。
したがって、甲第2号証には、過酢酸の濃度が100ppm?45000ppmの殺菌剤を10?90℃で使用する点が記載されている。
また、上記記載は、過酸化水素に酢酸と過酢酸を追加した混合殺菌溶液の組成を示すものであり、特に、過酢酸及び過酸化水素の成分比に着目すると、上記記載の重量(%)範囲内において、例えば、過酢酸10重量(%)、過酸化水素10重量(%)、残余成分(酢酸、水)80重量(%)、あるいは過酢酸10重量(%)、過酸化水素15重量(%)、残余成分(酢酸、水)75重量(%)が、含まれていることは明白である。この場合、過酢酸1に対する過酸化水素水の重量比は、前者では1、後者では1.5となる。
したがって、甲第2号証において、過酢酸の濃度は成分(重量%)10%とし、過酸化水素の濃度は成分(重量%)10?15%とすることを選択した場合は、当業者が技術思想として把握する範囲としては、「過酢酸10に対して過酸化水素の重量比が10ないし15となるように過酸化水素が配合されること」を含むものであるから、 甲第2号証には、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されること」を含む点が記載され、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」点を排除するものではない。

したがって、上記記載より、
記載事項2-2
「過酢酸に対して過酸化水素が配合され、過酢酸の濃度が10?45(重量%)過酸化水素の濃度が1?15(重量%)で、混合殺菌溶液は水で薄め、10?90℃で0.1?10.0%の濃度で使用され、過酢酸の濃度が100?45,000ppmであること。」及び
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合されること。」
が把握可能である。

さらに、甲第2号証の、第8欄21?40行に、
「 EXAMPLE
Sterilization was performed by using the apparatus shown in the drawing. In this experiment, the sterilization was applied to cartons having both surfaces implanted with 107 spores of Bacillus subtilis var. golobigii [IFO 1372]. Tables A and B show the results:


Note:
The number of cartons used was 20 for each test.」
と記載されており、

「 実例
殺菌は、図面に示した装置を用いて行った。この実験では、枯草菌(Bacillus subtilis var. golobigii )[IFO 1372]の107個の胞子を移植した両面を有する紙箱に殺菌を施した。表Aと表Bは、その結果を示す。
表3

殺菌溶液 濃度 温度 細菌が検出された
(%) ( ℃.) 紙箱の番号

H2O2 35 80 0

過酢酸+ 6 60 0
H2O2
過酢酸+ " 30 2
H2O2
過酢酸+ 2 80 0
H2O2
過酢酸+ " 60 3
H2O2
注:
使用する紙箱の数は、各試験ごとに20であった。」
旨記載されているものと認める。

表3の記載からは、過酢酸と過酸化水素を配合した殺菌剤において、濃度2%、60℃の時は細菌が検出され、濃度6%、60℃の時は細菌が検出されなかったことから、殺菌剤の濃度を高くすれば殺菌効果が上がる点が把握される。また、濃度2%、80℃の時は細菌が検出されず、濃度2%、60℃の時は細菌が検出されたことから、殺菌剤の温度が上昇すれば殺菌効果が上がる点が把握される。
また、濃度2%、80℃の時及び濃度6%、60℃の時は細菌が検出されなかったことから、殺菌剤の濃度を上げると温度を下げることができ、殺菌剤の温度を上げると濃度を下げることができるという、濃度と温度の相対関係が把握される。

したがって、上記記載より、
記載事項2-3
「過酢酸と過酸化水素を配合した殺菌剤の濃度を上げると温度を下げることができ、温度を上げると濃度を下げることができるという、濃度と温度の相対関係。」
が把握可能である。

したがって、以上を総合すると、甲第2号証には、以下の発明が記載されているものと認める。
「過酢酸に対して過酸化水素が配合され、過酢酸の濃度が10?45(重量%)過酸化水素の濃度が1?15(重量%)で、混合殺菌溶液は水で薄め、10?90℃で、0.1?10.0%の濃度で使用され、過酢酸の濃度が100?45,000ppmである紙層を含む積層包装材の食品容器を浸漬する殺菌方法。」

(B)甲第4号証:特開平4-30783号公報の記載事項
特許請求の範囲には、
「過酢酸濃度1,000?10,000ppm、液温100℃以上の過酢酸水溶液を食品容器類に噴霧することを特徴とする食品容器類の殺菌方法。」

第2頁左上欄9行?11行には、
「液量を少なくし短時間殺菌ができるように濃度を高くして、加熱噴霧して殺菌する」
第2頁左上欄19行?右上欄6行には、
「1.5lPETボトルを用いてつぎのような条件で実施した。・・・
過酢酸噴霧:噴霧量0.16g/s、噴霧温度100℃」

と記載されており、甲第4号証には、
「濃度1,000?10,000ppm、液温100℃以上の過酢酸水溶液を食品容器用PETボトルの内面に噴霧して殺菌する殺菌方法。」
が記載されているものと認める。

(C)甲第5号証:特開平5-254522号公報の記載事項
【0001】に、
「本発明は無菌充填(アセブティック)用容器のオゾン水による殺菌方法…に係り、容器内面全体を殺菌し得る殺菌方法…に関する。」

【0029】に、
「ノズル1の各オリフィスからオゾン水がボトル1の内面に噴霧されると共に、その反力でノズル1の回転ノズル本体3が回転する。」

【0033】に、
「ボトルとしては、金属製、ガラス製、プラスチック製等の各種ボトルを挙げることができる。本発明は加熱殺菌によって容易に熱変形を生じ易いプラスチック製ボトルの殺菌に特に有効である。この様なプラスチックの適当な例は、…………ポリエチレンテレフタレート、…………等である。」

と記載されており、甲第5号証には、
「オゾン水を無菌充填用容器として使用されるPETボトルの内面に噴霧して殺菌する殺菌方法。」
が記載されているものと認める。

(D)甲第8号証:特開昭52-25011号公報
請求項1に、
「脂肪族モノペルオキシカルボン酸をベ-スとする機能剤を製造および貯蔵するための貯蔵安定な濃縮物において,炭素原子数2?3を有するペルオキシ酸および/または相応する脂肪族モノカルボン酸0.5?20重量%,H2O225?40重量%,残分としての水を含有することを特徴とする機能剤の貯蔵安定な濃縮物。」
と記載されており、当業者からみて、甲第8号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4であるものを包含して殺菌剤の濃縮物。」
が記載されるものと認める。

第3頁左上欄5?13行に、
「例1
殺菌剤を製造するための濃縮物を
酢酸 5重量%
H2O2 30重量%
水 65重量%
を混合することにより製造した。
該濃縮物を放置しかつ所定の時間で被検体をとり、H2O2及び過酢酸の含量を測定した。その結果を以下の第1表に挙げた。」

第3頁右上欄に、
「第1表
H2O2 過酢酸
28.5% 3.3%」

第4頁右上欄に、
「第6表
H2O2 過酢酸
26.2% 2.3%」

と記載されており、これらの記載は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるものではないが、実施例の記載は一例を示すものであって、前述の請求項1の記載からみて、甲第8号証に、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される比率を含む殺菌剤が開示されているのを排除するものではない。

したがって、甲第8号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される比率を含む貯蔵安定な殺菌剤。」
が記載されているものと認める。

(E)甲第9号証:特開昭52-25034号公報の記載事項
【特許請求の範囲】に、
「1 ・・・炭素原子数2?3の過酸及び1又は相応する脂肪族モノカルボン酸0.5?20重量%,H_(2)O_(2)25?40重量%並びにホスホン酸又はその酸性水溶性塩0.25?10重量%を含み,全体が100%となる様に残分に水を含有することを特徴とする殺菌剤濃縮物。
2 過酢酸及び/又は酢酸5?10重量%、ホスホン酸又はその酸性塩0.5?5重量%並びに少なくとも2:1、有利に3:1?50:1の割合でモル過剰のH_(2)O_(2)を含有する特許請求の範囲第1項記載の殺菌剤濃縮物。」

と記載されており、当業者からみて、甲第9号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4であるものを包含した殺菌剤の濃縮物。」
が記載されるものと認める。

第4頁右上欄?左下欄に、
「例 3
殺菌剤の製造のための濃縮物を
酢酸 5重量%
H2O2 27.6 重量%
ヒドロキシエタン-1・1-ジホスホン酸 1.5 重量%
アルキル-(C12)-ベンゼンスルホネート 1.5 重量%
水 64.4 〃
を混合することにより製造した。
濃縮物を半分ずつに分け、温度20又は40℃で放置しかつ一定の期間でH2O2及び過酢酸の含量を測定するために試料を取出した。結果を次表3に挙げる。該濃縮物が前記湿潤剤の存在においても長期にわたって安定であることが明白である。

表3
過酸化水素 過酢酸
28.3% 2.3%」
と記載されており、これらの記載は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるものではないが、実施例の記載は一例を示すものであって、前述の特許請求の範囲の記載からみて、甲第9号証に、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される比率を含む殺菌剤が開示されているのを排除するものではない。

したがって、甲第9号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される比率を含む長期にわたって安定である殺菌剤。」
が記載されているものと認める。

(F)甲第10号証:特開平4-189728号公報の記載事項
第4頁右上欄12?14行には、
「殺菌剤の水溶液(4)として、市販のオキソニアアクティブ原液(過酢酸10重量%、過酸化水素20重量%、ヘンケル白水(株)製)を用いて」
と記載されており、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4であるもの包含して甲第10号証には、殺菌剤が記載されるものと認める。甲第10号証はその開示する技術として、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」殺菌剤を含みその比率が開示されるものと認める。

したがって甲第10号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されることを含む殺菌剤。」
が記載されているものと認める。

(G)甲第11号証:特開平4-197483号公報
【特許請求の範囲】に、
「(1)容器を倒立状態に保持するための保持装置と、容器内に処理液を放出するノズルと、上記保持装置及び/又はノズルを、ノズルから容器内に処理液を放出する角度が変わるように揺動させる装置とを備えたボトル処理装置。
(2)容器を倒立状態に保持して搬送するホルダと、このホルダに追従して移動し、容器内に処理液を放出するノズルと、上記ホルダに設けた係合部と、ホルダの移動経路に沿って配設され、上記ノズルによって処理を行う部分に傾斜部を設けたガイド部材とを備え、上記係合部をガイド部材に係合させてホルダの進行を案内し、処理部分で容器を搬送しているホルダを揺動させることを特徴とする請求項1記載の装置。
(3)ノズルが、殺菌液を放出して容器内を殺菌するためのものである請求項1又は2記載の装置。」

第2頁右上欄13行?17行に、
「倒立状態になった容器は、搬送中に、駆動ホイル(6)の下部に設けられ容器の移動に追従して回転する処理液放出ノズルによって、下方のビン口から処理液を放出されて洗浄又は殺菌される。」

第3頁左上欄3行?13行に、
「容器(22)の内面を殺菌する場合は熱水、オゾン水、過酸化水素水等を放出するものである。ノズル(24)としては、上記処理液を噴射若しくは噴水状に放出する形態のものを採用できる。ノズル(24)は、容器(22)を殺菌する場合は、容器内(22)に挿入され、処理液を容器(22)の底面から側面全体を伝わって流下するように放出するものであることが望ましい。これにより、容器(22)内金面に確実に殺菌液を当て、優れた殺菌効果を得ることができる。」

第3頁右上欄15行?20行に、
「本発明は、特に容量が1000ccを越える大型容器、或い表面張力で処理液をはじきやすいベットボトル等のプラスチック製ボトルに対しても、容器内全面に確実に処理液を当てることができるので、これらの洗浄、殺菌に好適に用い得る。」
と記載されている。

したがって、甲第11号証には、
「過酸化水素を含む殺菌剤をノズルによって倒立状態のPETボトルの内面に噴射する殺菌方法。」
が記載されているものと認める。

(H)甲第13号証:WO93/07909号公報の記載事項((I)甲第14号証:特表平7-502988号公報参照)
第6頁29行?第7頁11行に、
「例1 本発明による組成物の製造
2液系を製造した。一つの液は、250m1の過酢酸水溶液であり、5wt%(活性)の過酢酸を含む。もう一つの液は、0.6wt%の第2リン酸カリウムと0.5wt%のCDTMPを含む10Lの水溶液である。これら二つの液を混合して、本発明の組成物を作った。

例2 本発明による組成物の製造
5wt%の過酢酸、20wt%の過酸化水素、8wt%の酢酸を含む溶液を、1wt%のCDTMPおよび0.8wt%の第2リン酸カリウムを含む溶液で14倍に希釈して、3.500ppmの過酢酸を含む溶液を作った。

例3と比較例A 消毒剤組成物の腐食実験
軟鋼とステンレス鋼316とのそれぞれ一対のクーポンを、室温(15?25℃)で72時間、消毒剤溶液中に浸潰した。例3では、例2の方法によって、消毒剤溶液を作り、25倍の希釈後、2000ppmの過酢酸を含む溶液を得た。」

と記載されており、甲第13号証には、
「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が3,500ppmで使用すること、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が2,000ppmで使用する殺菌方法。」
が記載されているものと認める。

(J)甲第15号証:特開平2-004631号公報
第4頁左上欄第2?5行に、
「本発明の無菌充填用プラスチック製容器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の如き熱可塑性ポリエステルの延伸ブロー成形で形成されていることが最も好ましい。」

第4頁右上欄第5?9行に、
「本発明のプラスチック容器を無菌充填に用いるには、この容器をそれ自体公知の殺菌液に浸漬するか、或いは殺菌液を噴霧するかして、殺菌処理を行う。殺菌液としては、過酢酸及び/又は過酸化水素を含有する水溶液が好適に使用される。」
と記載されており、

したがって、甲第15号証には、
「過酢酸及び過酸化水素を含む殺菌液をPETボトルに噴霧する殺菌方法。」
が記載されているものと認める。

(2)本件発明1について
(2-1)対比
本件発明1と甲第2号証の発明とを対比すると、甲第2号証の発明の「過酢酸に対して過酸化水素が配合される」は、それが過酸化水素系であるか、過酢酸系であるかは別途検討することとし、配合されるものは、本件発明1の「過酢酸に対して過酸化水素が配合される」ことと差異はなく、甲第2号証の発明の「過酢酸の濃度が10?45(重量%)で、・・水で薄め・・0.1?10.0%の濃度で使用され、過酢酸の濃度が100?45,000ppmm」は、本件発明1の「過酢酸の濃度が1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた」とその値が異なるとしても、特定の濃度で使用する点においては、相当するというべきであり、甲第2号証の発明の「10?90℃で使用する」は、その温度範囲には差異が残るものの、「90°C」での使用は、加温されていると解すべきであるので、本件発明1の「加温し」なる事項に相当するものと認める。
よって、両発明は、
「過酢酸に対して過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が特定の濃度範囲に限定された殺菌剤を特定の温度範囲に限定された温度に加温する殺菌方法。」
の発明である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本件発明1は、殺菌対象がPETボトルであるのに対し、甲第2号証の発明は殺菌対象が紙層を含む積層材を有する食品容器である点。

相違点2
本件発明1は、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に100?300ml/secの流量で8?15秒間殺菌剤を噴射するのに対し、甲第2号証の発明は、殺菌剤に浸漬する点。

相違点3
本件発明1は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温しているのに対し、甲第2号証の発明は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が特定の濃度範囲に限定された殺菌剤を特定の温度範囲に限定された温度に加温する点。

(2-2)相違点についての判断
ここで、甲第2号証には、過酢酸に対して過酸化水素が所定の濃度で配合された混合殺菌溶液を水で薄め、特定の温度範囲に加温して、飲料用容器である積層包装材を浸積することにより殺菌を行うことが示されており、これに接した当業者が、当該混合殺菌溶液を、他の飲料用容器の殺菌に適用してみようとすることは、ごく自然に想起し得ることである。
また、甲第2号証に示された、前述の殺菌における濃度と温度の相対関係に係る技術的事項や、混合殺菌溶液の濃度を高めたり、使用量を増やせば、殺菌効果が増大するであろうことは、当業者にとって自明ともいうべき技術的事項であることに照らせば、当業者が、甲第2号証に示された混合殺菌溶液を、他の飲料用容器の殺菌に適用するに当たり、適用する飲料用容器において通常使用されている殺菌剤の使用態様を用いた上で、必要最小限の殺菌剤及び殺菌時間により所望の殺菌が実現できるよう、濃度、温度、使用量等の各種パラメータを種々選択することは、設計上当然考慮すべき事項であり、格別の創意工夫を要するものとはいえない。
以上を踏まえ、上記相違点について検討する

相違点1について
殺菌対象としての食品容器として、甲第2号証に記載された紙層を含む積層材を有する食品容器も、甲第4、5、11、15号証に記載されているようなPETボトルも共に周知の技術的事項であり、紙層を含む積層材を有する食品容器もPETボトルも、その殺菌の対象とする部位である内面は共に樹脂層である。
よって、甲第2号証の紙層を含む積層材を有する食品容器を、PETボトルに代えることは当業者が容易に想到し得たことである。
被請求人は、甲第2号証に記載された紙層を含む積層材とは異なり、PET材料は、残留した場合に毒性の問題がある過酸化水素が吸着しやすいという性質があるから、使用する過酸化水素を少なくする必要性がある旨主張している。
しかし、過酸化水素を含む殺菌剤をPETボトルに使用する点は、甲第11及び15号証に記載されているように、周知の技術的事項である。また、甲第2号証は、過酸化水素の濃度が1?15(重量%)の混合殺菌溶液を水で薄め、0.1?10.0%の濃度で使用するから、過酸化水素の濃度は0.001?1.5(重量%) となり、過酸化水素の濃度は10ppm?15000ppmとなるから、本件発明1における「過酸化水素水濃度1000ppm以上で1500ppm未満」よりも過酸化水素水濃度の範囲は広く、甲第2号証の過酸化水素の濃度は、本件発明1の過酸化水素水濃度より多くされたものも、少なくされたものも含んでいるので、該主張は採用できない。
したがって、相違点1は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用して、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とは認められない。

相違点2について
甲第2号証に記載されている殺菌剤に浸漬する殺菌方法が周知の殺菌方法であることに加えて、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法も甲第11号証に記載されているように、従来周知の殺菌方法の一形式である。さらに、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法は、本願出願前より広く採用されるものと解されるところ、請求人が弁駁書と共に提出した、甲第17及び18号証にみられるように、周知の技術である。
よって、甲第2号証の発明の殺菌剤に浸漬する点を、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する点に代えることは、代替可能な周知技術の選択に属する事項であり、当業者が容易に想到し得たことである。
また、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は、殺菌する容器の容量によって異なり、殺菌する容器の容量が大きくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は増加し、殺菌する容器の容量が小さくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は減少すること及び、殺菌時間を短くすれば、殺菌効果が下がり、殺菌時間を長くすれば、殺菌効果が上がることは、当業者からみれば自明な事項である。
そして、殺菌剤の流量及び時間の数値の組み合わせは、容器の容量及び必要とされる殺菌効果に応じて、適宜選択し得るものであり、殺菌剤の流量及び時間の範囲の数値を限定し、流量を「100?300ml/sec」、時間を「8?15秒」とするように数値を選択することは当業者が適宜なし得ることである。
また、数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明1の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明1に記載された殺菌剤の流量と時間の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点2は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、殺菌剤の流量と時間の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

相違点3について
「6.(1)(A)記載事項2-2」に述べたとおり、甲第2号証の第8欄6?20行の表には、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合される」点が記載されている。
「6.(1)(D),(E),(F)」に述べたとおり、甲第8ないし10号証の記載は、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」殺菌剤を排除するものではなく、実施例ではないものの技術概念として「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」場合を含み、開示し、また 「6.(1)(H(I))」に述べたとおり、甲第13号証(甲第14号証参照)によれば、実施例において、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が4となる殺菌剤が記載されている。
そして、甲第2号証において、その実施例として記載される過酢酸と過酸化水素の比率が具体的に開示されていないとしても、当業者が技術思想として把握する範囲としては、「過酢酸10に対して過酸化水素の重量比が10ないし15となるように過酸化水素が配合されること」を含むものであるから、 甲第2号証には、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合される」ことを含む点が記載され、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」点を排除するものではない。
そうであれば、甲第2号証のものにおいても、技術思想として把握可能であり、特段排除を行うことのない範囲において、公知、周知の比率を試みることは、当業者にとって格別の困難性を伴う事項とは認められない。しかも、甲第8及び9号証において、殺菌剤の安定性の向上を目的として、「過酢酸に対して過酸化水素が配合される」点が記載され、本件の段落番号【0011】には「過酢酸と過酸化水素の混合比が、重量比で過酢酸1に対して過酸化水素1ないし4となるように混合するのが薬剤の安定性の点で好ましい。」と記載され、殺菌剤の安定性を考えて過酢酸に対して過酸化水素が配合される点は、甲第8及び9号証及び本件発明に共通するものであり、さらに、過酢酸に対して過酸化水素が配合される点は、甲第2、10及び13に開示されているのであるから、甲第2号証の殺菌剤において、殺菌剤の安定性を考慮することは当然行われることというべきである。
したがって、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」ことは容易に想到し得るものと認める。
下限値1及び上限値4の数値の範囲について検討しても、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明1の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

また、「6.(1)(A)記載事項2-2」に述べたとおり、甲2号証の第8欄6?20行には、過酢酸の濃度が100ppm?45000ppmの殺菌剤を10?90℃で使用する点が開示され、「6.(1)(A)記載事項2-3」に述べたとおり、甲2号証の第8欄21?40行には、過酢酸と過酸化水素を配合した殺菌剤において、殺菌剤の濃度を上げると温度を下げることができ、殺菌剤の温度を上げると濃度を下げることができるという、濃度と温度の相対関係が明確に開示されている。
よって、 殺菌剤の濃度と温度の数値の組み合わせは、甲第2号証に開示された濃度と温度の相対関係のもとに、甲第2号証において排除されることのない過酢酸と過酸化水素の比率の範囲において、甲第2号証に開示された程度の殺菌剤の濃度と温度の範囲から適宜選択し、試みるべきものであり、過酢酸の濃度を「1000ppm以上で1500ppmよりも小さく」された殺菌剤を「65℃ないし95℃」に加温するように数値を選択することは、甲第2号証において、過酢酸の濃度が100ppm?45000ppmの殺菌剤を10?90℃で使用する点が知られるのであるから、当業者が適宜試みるべき範囲というべきである。
次に、過酢酸の濃度を「1000ppm以上で1500ppmよりも小さく」された殺菌剤を「65℃ないし95℃」に加温する数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明1に記載された過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点3は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、過酢酸に対する過酸化水素の重量比と過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

さらに、本件発明1に「過酢酸系殺菌剤」と特定される点について検討する。本件明細書の発明の詳細な説明において過酢酸系の明確な説明はない。また当該技術分野において、過酢酸系か否かにより、殺菌剤の特性等が特定されることが当業者にとって広く知られた技術常識であるといった根拠も見いだせない。したがって、殺菌剤としてその成分に明確な区別がなく、過酢酸と過酸化水素の両方の成分が混合されて使用されることから、過酢酸系である点のみで実質的に異なる殺菌剤と解することはできない。
「6.(1)(A)記載事項2-2」に述べたとおり、甲第2号証には、第8欄6?20行に、過酢酸は10?45%(重量%)であり、過酸化水素は1?15%(重量%)と記載され、両者の配合比に特定の相互関係が規定されているものではないが、過酢酸が過酸化水素より多量に含有する場合も記載しており、過酢酸の重量比が過酸化水素より大きく主成分を過酢酸とする殺菌剤に加え、甲第2号証は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含む殺菌剤を10?90℃で使用するとしている点が開示されている。

まとめ
そして、本件発明1が奏する効果は、甲第2号証の発明及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められず、本件発明1は、甲第2号証の発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、同発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(3)本件発明2について
(3-1)対比
本件発明2と甲第2号証の発明とを対比すると、両発明は、上記「6.(2)(a)本件発明1について 相違点1について」において既に検討した相違点1に加えてさらに、次の相違点4、5の点で相違している。

相違点4
本件発明2は、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に100?300ml/secの流量で5?15秒間殺菌剤を噴射するのに対し、甲第2号証の発明は、殺菌剤に浸漬する点。

相違点5
本件発明2は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が1500ppm以上で2000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温しているのに対し、甲第2号証の発明は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が特定の濃度範囲に限定された殺菌剤を特定の温度範囲に限定された温度に加温する点。

(3-2)相違点についての判断
相違点4について検討する。
甲第2号証に記載されている殺菌剤に浸漬する殺菌方法が周知の殺菌方法であることに加えて、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法も甲第11号証に記載されているように、従来周知の殺菌方法の一形式である。さらに、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法は、本願出願前より広く採用されるものと解されるところ、請求人が弁駁書と共に提出した、甲第17及び18号証にみられるように、周知の技術である。
よって、甲第2号証の発明の殺菌剤に浸漬する点を、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する点に代えることは、代替可能な周知技術の選択に属する事項であり、当業者が容易に想到し得たことである。
また、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は、殺菌する容器の容量によって異なり、殺菌する容器の容量が大きくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は増加し、殺菌する容器の容量が小さくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は減少すること及び、殺菌時間を短くすれば、殺菌効果が下がり、殺菌時間を長くすれば、殺菌効果が上がることは、当業者からみれば自明な事項である。
そして、殺菌剤の流量及び時間の数値の組み合わせは、容器の容量及び必要とされる殺菌効果に応じて、適宜選択し得るものであり、殺菌剤の流量及び時間の範囲の数値を限定し、流量を「100?300ml/sec」、時間を「5?15秒」とするように数値を選択することは当業者が適宜なし得ることである。
また、数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明2の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明2に記載された殺菌剤の流量と時間の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点4は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、殺菌剤の流量と時間の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

相違点5について検討する。
上記「(2)(a)本件発明1について 相違点3について」で検討したように、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」ことは容易に想到し得るものであり、本件発明2と甲第2号証の発明の対比において、過酢酸系であることは、実質的な相違点とはいえない。
殺菌剤の濃度と温度の数値の組み合わせは、甲第2号証に開示された濃度と温度の相対関係のもとに、甲第2号証に開示された程度の殺菌剤の濃度と温度の範囲から適宜選択し得るものであり、過酢酸の濃度範囲及び温度範囲の数値を限定し、過酢酸の濃度を「1500ppm以上で2000ppmよりも小さく」された殺菌剤を「65℃ないし95℃」に加温するように数値を選択することは当業者が適宜なし得るものである。
また、数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明2の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明2に記載された過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点5は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、過酢酸に対する過酸化水素の重量比と過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

まとめ
本件発明2が奏する効果は、甲第2号証の発明及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められず、本件発明2は、甲第2号証及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、同発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(4)本件発明3について
(4-1)対比
本件発明3と甲第2号証の発明とを対比すると、両発明は、上記「6.(2)(a)本件発明1について 相違点1について」において既に検討した相違点1に加えてさらに、次の相違点6、7の点で相違している。

相違点6
本件発明3は、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に100?300ml/secの流量で5?15秒間殺菌剤を噴射するのに対し、甲第2号証の発明は、殺菌剤に浸漬する点。

相違点7
本件発明3は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が2000ppm以上で3000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温しているのに対し、甲第2号証の発明は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が特定の濃度範囲に限定された殺菌剤を特定の温度範囲に限定された温度に加温する点。

(4-2)相違点についての判断
相違点6について検討する。
甲第2号証に記載されている殺菌剤に浸漬する殺菌方法が周知の殺菌方法であることに加えて、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法も甲第11号証に記載されているように、従来周知の殺菌方法の一形式である。さらに、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法は、本願出願前より広く採用されるものと解されるところ、請求人が弁駁書と共に提出した、甲第17及び18号証にみられるように、周知の技術である。
よって、甲第2号証の発明の殺菌剤に浸漬する点を、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する点に代えることは、代替可能な周知技術の選択に属する事項であり、当業者が容易に想到し得たことである。
また、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は、殺菌する容器の容量によって異なり、殺菌する容器の容量が大きくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は増加し、殺菌する容器の容量が小さくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は減少すること及び、殺菌時間を短くすれば、殺菌効果が下がり、殺菌時間を長くすれば、殺菌効果が上がることは、当業者からみれば自明な事項である。
そして、殺菌剤の流量及び時間の数値の組み合わせは、容器の容量及び必要とされる殺菌効果に応じて、適宜選択し得るものであり、殺菌剤の流量及び時間の範囲の数値を限定し、流量を「100?300ml/sec」、時間を「5?15秒」とするように数値を選択することは当業者が適宜なし得るものである。
また、数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明4の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明3に記載された殺菌剤の流量と時間の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点6は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、殺菌剤の流量と時間の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

相違点7について検討する。
上記「(2)(a)本件発明1について 相違点3について」で検討したように、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」ことは容易に想到し得るものであり、本件発明3と甲第2号証の対比において、過酢酸系であることは、実質的な相違点とはいえない。
殺菌剤の濃度と温度の数値の組み合わせは、甲第2号証に開示された濃度と温度の相対関係のもとに、甲第2号証に開示された程度の殺菌剤の濃度と温度の範囲から適宜選択し得るものであり、過酢酸の濃度範囲及び温度範囲の数値を限定し、過酢酸の濃度を「2000ppm以上で3000ppmよりも小さく」された殺菌剤を「60℃ないし95℃」に加温するように数値を選択することは当業者が適宜なし得るものである。
数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明3に記載された過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点7は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、過酢酸に対する過酸化水素の重量比と過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

まとめ
そして、本件発明3が奏する効果は、甲第2号証の発明及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められず、本件発明3は、甲第2号証の発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、同発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(5)本件発明4について
(5-1)対比
本件発明4と甲第2号証の発明を対比すると、両発明は、上記「6.(2)(a)本件発明1について 相違点1について」において既に検討した相違点1に加えてさらに、次の相違点8、9の点で相違している。

相違点8
本件発明4は、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に100?300ml/secの流量で5?15秒間殺菌剤を噴射するのに対し、甲第2号証の発明は、殺菌剤に浸漬する点。

相違点9
本件発明4は、過酢酸の濃度が3000ppmとされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温しているのに対し、甲第2号証の発明は、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし1.5となるように過酸化水素が配合されることを含むものの、過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4とは特定されていない過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が特定の濃度範囲に限定された殺菌剤を特定の温度範囲に限定された温度に加温する点。

(5-2)相違点についての判断
相違点8について検討する。
甲第2号証に記載されている殺菌剤に浸漬する殺菌方法が周知の殺菌方法であることに加えて、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法も甲第11号証に記載されているように、従来周知の殺菌方法の一形式である。さらに、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する殺菌方法は、本願出願前より広く採用されるものと解されるところ、請求人が弁駁書と共に提出した、甲第17及び18号証にみられるように、周知の技術である。
よって、甲第2号証の発明の殺菌剤に浸漬する点を、ノズルによって倒立状態の容器の少なくとも内面に殺菌剤を噴射する点に代えることは、代替可能な周知技術の選択に属する事項であり、当業者が容易に想到し得たことである。
また、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は、殺菌する容器の容量によって異なり、殺菌する容器の容量が大きくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は増加し、殺菌する容器の容量が小さくなれば、殺菌に必要とされる殺菌剤の流量は減少すること及び、殺菌時間を短くすれば、殺菌効果が下がり、殺菌時間を長くすれば、殺菌効果が上がることは、当業者からみれば自明な事項である。
そして、殺菌剤の流量及び時間の数値の組み合わせは、容器の容量及び必要とされる殺菌効果に応じて、適宜選択し得るものであり、殺菌剤の流量及び時間の範囲の数値を限定し、流量を「100?300ml/sec」、時間を「5?15秒」とするように数値を選択することは当業者が適宜なし得ることである。
また、数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明4の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明4に記載された殺菌剤の流量と時間の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点8は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、殺菌剤の流量と時間の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

相違点9について検討する。
上記「(2)(a)本件発明1について 相違点3について」で検討したように、「過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合される」ことは容易に想到し得るものであり、本件発明4と甲第2号証の対比において、過酢酸系であることは、実質的な相違点とはいえない。
殺菌剤の濃度と温度の数値の組み合わせは、甲第2号証に開示された濃度と温度の相対関係のもとに、甲第2号証に開示された程度の殺菌剤の濃度と温度の範囲から適宜選択し得るものであり、過酢酸の濃度範囲及び温度範囲の数値を限定し、過酢酸の濃度を「3000ppm」とされた殺菌剤を「60℃ないし95℃」に加温するように数値を選択することは当業者が適宜なし得るものである。
数値の範囲について検討すると、数値範囲の内と外で効果に量的、質的に顕著な差異があり、臨界的な効果が奏されるとの技術的根拠も見いだせず、そうすると、本件発明の効果についてみても、当業者において当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
よって、本件発明4に記載された過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値限定には臨界的意義が存在するものとはいえない。
したがって、相違点9は、甲第2号証の発明に周知の技術を適用し、過酢酸に対する過酸化水素の重量比と過酢酸の濃度と殺菌剤の温度の数値の組み合わせを適宜選択することによって、当業者が容易に想到し得たものであり、格別の事項とはいえない。

まとめ
そして、本件発明4が奏する効果は、甲第2号証の発明及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められず、本件発明4は、甲第2号証の発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、本件発明4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(6)むすび
以上のとおり、本件発明1ないし4は、いずれも本件出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。
また、審判に関する費用の負担については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条により被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
PETボトルの殺菌方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が1000ppm以上で1500ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で8?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項2】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が1500ppm以上で2000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を65℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項3】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が2000ppm以上で3000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【請求項4】過酢酸1に対して過酸化水素の重量比が1ないし4となるように過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が3000ppmとされた過酢酸系殺菌剤を60℃ないし95℃に加温し、ノズルによって倒立状態のPETボトルの少なくとも内面に、100?300ml/secの流量で5?15秒間噴射することを特徴とするPETボトルの殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、飲料水、ジュース、ウーロン茶、ミルクコーヒーなどの各種飲食品が充填されるPETボトルの殺菌方法に関するものであり、より詳しくは、殺菌剤の濃度を高くすることなく短時間にPETボトルを殺菌できるPETボトルの殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
従来、過酢酸系殺菌剤を用いてPETボトルを殺菌する場合、殺菌剤をPETボトル内に充填することによりPETボトルを殺菌することがなされている。この殺菌後には、PETボトルから充填された殺菌剤を排出すると共に、PETボトル内を無菌水によって洗浄し(洗浄工程)、PETボトル内の殺菌剤を除去する。
【0003】
ところで、上記洗浄工程後に、過酸化水素や過酢酸が残留しないようにするために、使用する過酸化水素や過酢酸の濃度を低く抑えたいという要請がある。しかしながら、使用する過酸化水素や過酢酸の濃度を低く抑えると、殺菌剤は強力な殺菌効果を発揮し得ないため、十分な殺菌をしようとする場合は、どうしても、殺菌時間が長くなってしまうという時間的な不経済性が問題となる。
【0004】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、殺菌剤の濃度を高くすることなく、短時間にPETボトルを殺菌できるPETボトルの殺菌方法、及びPETボトルの殺菌装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために提案されたものであり、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、過酸化水素が配合されるとともに過酢酸の濃度が1000ppmないし1500ppmの過酢酸系殺菌剤を60℃以上に加温し、PETボトルの少なくとも内面に接触させることを特徴とするPETボトルの殺菌方法が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が1500ppm以上で2000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を55℃以上に加温し、PETボトルの少なくとも内面に接触させることを特徴とするPETボトルの殺菌方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が2000ppm以上で3000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を50℃以上に加温し、PETボトルの少なくとも内面に接触させることを特徴とするPETボトルの殺菌方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、過酸化水素が配合されると共に過酢酸の濃度が3000ppm以上とされた過酢酸系殺菌剤を45℃以上に加温し、PETボトルの少なくとも内面に接触させることを特徴とするPETボトルの殺菌方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、過酸化水素が配合された過酢酸系殺菌剤を45℃以上に温調する温調手段と、該温調手段によって温調された過酢酸系殺菌剤をPETボトルの少すくとも内面に供給する複数個の殺菌剤供給手段と、を備えていることを特徴とするPETボトルの殺菌装置が提供される。
【0010】
【発明の具体的な説明】
本発明は、過酸化水素が配合された過酢酸系殺菌剤(以下、単に過酢酸系殺菌剤と記すことがある。)を所定の温度以上、あるいは、過酢酸系殺菌剤の濃度に対応して所定の温度以上に加温し、この加温された過酢酸系殺菌剤をPETボトルの少なくとも内面に接触させて殺菌することに特徴を有するものであり、これによって、過酢酸系殺菌剤の濃度を高くすることなく、極めて短時間でPETボトルの殺菌ができるようになる。
【0011】
本発明において、過酢酸系殺菌剤としては、ヘンケル白水社製のP_(3)-oxonia aktiv、P_(3)-oxonia aktiv 90等を例示でき、過酢酸と過酸化水素の混合比が、重量比で過酢酸1に対して過酸化水素1ないし4となるように混合するのが薬剤の安定性の点で好ましい。
【0012】
また、過酢酸系殺菌剤の温度は、PETボトルの殺菌に使用する過酢酸系殺菌剤の過酢酸の濃度が、通常1000ないし1500ppmであることを考慮して、60℃以上とするのが好ましい。また、実用上の観点、及び、殺菌効果を十分に発揮できる程度に、分解することなく過酢酸を残存させるという観点から95℃以下の温度であることが好ましい。
【0013】
また、過酢酸の濃度が1500ppm以上で2000ppmよりも小さい過酢酸系殺菌剤を使用する場合には、過酢酸系殺菌剤を55℃以上に加温するのが好ましい。過酢酸系殺菌剤の温度が55℃よりも低い温度とすると、殺菌時間が長くなる傾向にある。
【0014】
また、過酢酸の濃度が2000ppm以上で3000ppmよりも小さくされた過酢酸系殺菌剤を使用する場合には、過酢酸系殺菌剤を50℃以上に加温するのが好ましい。過酢酸系殺菌剤の温度が50℃よりも低いと、殺菌時間が長くなる傾向にある。
また、本発明では、過酢酸系殺菌剤をPETボトルの少なくとも内面に接触させることにより殺菌するが、この方法として、PETボトル内にノズルにより、過酢酸系殺菌剤を噴射する方法を採用できる。また、PETボトル内に過酢酸系殺菌剤を噴射することなく、PETボトル内に過酢酸系殺菌剤を流入させて満注状態とすることにより殺菌することも可能である。
【0015】
また、上記の噴射方式によって、PETボトルを殺菌する場合には、噴射を複数回に分けて行ってもよく、また、一回に連続的に噴射してもよい。噴射を複数回に分割して行う場合には、第1回目以降に噴射された薬剤の汚れを抑えることが、でき、薬剤を回収し再利用できる等の利点がある。また、噴射を1回で行う場合には、殺菌時間の短縮、殺菌剤の噴射の制御が簡単になる等の利点がある。
また、殺菌剤を噴射することにより、殺菌を行う方式においては、過酢酸系殺菌剤の流量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、100ないし300ml/secとするのがボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。
【0016】
また、殺菌剤をボトルに満注する方式によって、殺菌を行う場合においては、過酢酸系殺菌剤の量は、殺菌しようとするボトルの容積等によっても異なるが、満注にするのが、ボトル内面全面を殺菌する点において好ましい。
また、本発明に係るPETボトルの殺菌装置は、温調手段によって温調された過酢酸系殺菌剤をPETボトルの少なくとも内面に供給する殺菌剤供給手段を複数個備えていることを特徴としている。
すなわち、本発明に係るPETボトルの殺菌装置は、特定の殺菌剤供給手段によって、殺菌する前に、他の殺菌剤供給手段によって殺菌する構成である。したがって、他の殺菌剤供給手段による殺菌工程が、特定の殺菌剤供給手段による殺菌工程前の予備洗浄工程を兼ねるため、予備洗浄手段が不要となり、装置の小型化を図ることができる。
【0017】
以下に、本発明に係る過酢酸系殺菌剤方法を実施するための装置を図1にしたがって説明する。
図1において、1はベルトコンベア等によって構成されるボトル搬送装置であり、2はボトル殺菌部である。
ボトル殺菌部2は、クラス10000の無菌レベルに保持されると共に、第1殺菌用ノズル(図示省略)、及び第2殺菌用ノズル(図示省略)が設けられており、さらに、過酢酸系殺菌剤を所望の温度に加熱して保持する温調手段が設けられている。第1殺菌用ノズル及び第2殺菌用ノズルの各々からは、温調手段によって温調された過酢酸系殺菌剤が噴射されるようになっている。なお、前記第1殺菌用ノズル及び第2殺菌用ノズルは、ボトル搬送装置1によって倒立状態で搬送されるボトルの内容物充填用口に対向する位置に配置されている。
【0018】
また、ボトル殺菌部2のボトル搬送方向(図1右方向)下流側には、無菌エアー搬送部3が設けられている。この無菌エアー搬送部3では、ボトルに無菌エアーを吹きつける無菌エアー吹きつけ手段(図示省略)が設けられている。
また、無菌エアー搬送部3のボトル搬送方向下流側には、ボトル洗浄・充填密封部4が配置されている。このボトル洗浄・充填密封部4は、クラス100の無菌レベルに保持されている。このボトル洗浄・充填密封部4は、無菌水を噴射するための無菌水噴射ノズル(図示省略)を有する洗浄機5が設けられている。
さらに、ボトル洗浄・充填密封部4は、洗浄機5のボトル搬送方向下流側に、充填部6を備えている。この充填部6は、ミルクコーヒー等の飲食品をボトル内に供給するための、飲食品供給手段(図示省略)を備えている。
【0019】
また、ボトル洗浄・充填密封部4は、充填部6のボトル搬送方向下流側に、キャッパー7を備えている。
また、本発明に係るの殺菌装置は、ボトルの食品充填用口を閉止するキャップを殺菌するための、キャップ殺菌装置8を備えている。このキャップ殺菌装置8は、クラス1000の無菌レベルに保持されている。
【0020】
殺菌前のボトルは、ボトル搬送装置1によって、倒立状態でボトル殺菌部2に搬送される。ボトル殺菌部2では、まず、第1殺菌用ノズルからボトルの内面及び外面、あるいは内面のみに、温調手段によって所定の温度に温調された過酢酸系殺菌剤が噴射される。これにより、ボトルの内面及び外面、あるいは内面に付着していたごみ等の異物が洗い流されると共に、ボトルの内面及び外面、あるいは、内面が殺菌される。次いで、ボトル搬送装置1によってボトルが、第2殺菌用ノズルに対向する位置に至ると、ボトルの内面及び外面、あるいは内面に、第2殺菌用ノズルより、所定の温度に温調された過酢酸系殺菌剤が噴射される。これによって、第1殺菌用ノズルによっては殺菌されなかった菌が殺菌される。
【0021】
上記のボトル殺菌部2における殺菌においては、過酢酸系殺菌剤を所定の温度に加熱した状態、すなわち、過酢酸系殺菌剤の殺菌力を高めた状態でボトルに噴射しているので、殺菌時間が短縮される。
【0022】
ボトル殺菌部2で殺菌されたボトルは、ボトル搬送装置1によってボトル洗浄・充填密封部4へと搬送される。この搬送過程において、無菌エアー搬送部3の無菌エアー吹きつけ手段によって、無菌エアーがボトルの内面及び外面に吹きつけられる。
【0023】
上記の如く搬送されたボトルは、洗浄機5の前記無菌水噴射ノズルによって、ボトル内外に無菌水が噴射されて、ボトルに残留している過酢酸系殺菌剤が除去される。
この場合、本発明では、上記の如く、加熱状態とされた過酢酸系殺菌剤を用いて、すなわち、殺菌力が高くされた過酢酸系殺菌剤を用いてボトルを殺菌しているので、過酢酸系殺菌剤の過酢酸の濃度を低く抑えることができるので、洗浄後に過酢酸系殺菌剤が残留する心配はない。
【0024】
洗浄後のボトルは、充填部6において、前記飲食品供給手段によって、ミルクコーヒー等の飲食品が内部に充填されると共に、キャップ殺菌装置8によって殺菌されたキャップがキャッパー7によって装着される。キャップ装着後のボトルは、製品検査され、これにより全工程が終了する。
なお、上記では、ボトル殺菌部2において、第1殺菌用ノズルと第2殺菌用ノズルとによって、2回に分けて殺菌を行っているが、殺菌用ノズルを単一個とし、さらに、殺菌時間を第1殺菌用ノズルと第2殺菌用ノズルによる2回分の殺菌時間をかけることにより、殺菌を1回で行う構成とすることができる。
また、本発明では、過酢酸系殺菌剤を加熱して殺菌を行っているため、悪臭が発生することが予測されるが、殺菌装置に、吸引・排出手段を設けることにより、クリーンな環境を維持できる。
【0025】
【実施例】
実施例1
Bacillus subutilis芽胞を、内容量が1500mlのPETボトル(JUC-1500)内面に均一に10^(6)cfu/ボトルトとなるように付着させ、試験用ボトルとした。
殺菌条件は以下の通りとした。
▲1▼使用する殺菌剤;過酢酸系殺菌剤(商品名:P3-oxonia aktiv)
▲2▼殺菌剤における過酢酸濃度;1000ppm
▲3▼過酢酸系殺菌剤の温度;60℃
▲4▼殺菌剤のボトルへの供給方式;ボトルの内面に殺菌剤を噴射する方式
▲5▼殺菌剤の流量;100ml/sec
▲6▼殺菌時間;1sec、3sec、5sec、8sec、10sec、15secの各々の時間
上記の条件で、ボトル内面を殺菌し、殺菌結果を表1に示した。
【0026】
実施例2
殺菌剤の温度を65℃にする以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表1に示した。
【0027】
実施例3
殺菌剤における過酢酸の濃度を1500ppmとし、過酢酸系殺菌剤の温度を55℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌結果を表2に示した。
【0028】
実施例4
殺菌剤の温度を60℃にする以外は、実施例3と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表2に示した。
【0029】
実施例5
殺菌剤の温度を65℃にする以外は、実施例3と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表2に示した。
【0030】
実施例6
殺菌剤における過酢酸の濃度を2000ppmとし、過酢酸系殺菌剤の温度を50℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌結果を表3に示した。
【0031】
実施例7
殺菌剤の温度を55℃にする以外は、実施例6と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表3に示した。
【0032】
実施例8
殺菌剤の温度を60℃にする以外は、実施例6と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表3に示した。
【0033】
実施例9
殺菌剤の温度を65℃にする以外は、実施例6と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表3に示した。
【0034】
実施例10
殺菌剤における過酢酸の濃度を3000ppmとし、過酢酸系殺菌剤の温度を45℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌結果を表4に示した。
【0035】
実施例11
殺菌剤の温度を50℃にする以外は、実施例10と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表4に示した。
【0036】
実施例12
殺菌剤の温度を55℃にする以外は、実施例10と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表4に示した。
【0037】
実施例13
殺菌剤の温度を60℃にする以外は、実施例10と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表4に示した。
【0038】
実施例14
殺菌剤の温度を65℃にする以外は、実施例10と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表4に示した。
【0039】
比較例1
殺菌剤の温度を45℃にする以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表1に示した。
【0040】
比較例2
殺菌剤の温度を50℃にする以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表1に示した。
【0041】
比較例3
殺菌剤の温度を55℃にする以外は、実施例1と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表1に示した。
【0042】
比較例4
殺菌剤の温度を45℃にする以外は、実施例3と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表2に示した。
【0043】
比較例5
殺菌剤の温度を50℃にする以外は、実施例3と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表2に示した。
【0044】
比較例6
殺菌剤の温度を45℃にする以外は、実施例6と同様の条件で試験用ボトルの殺菌を行い、殺菌効果を表3に示した。
【0045】

【0046】
上記表1において、「◎」は生残菌数が10^(0)cfu以下であること、「○」は生残菌数が10^(0)cfu以上で10^(1)cfu以下であることを示しており、いずれも生残菌数が法定の生残菌数よりも少なくなっている(適切な殺菌がなされている)ことを示している。また、「△」は生残菌数が10^(1)cfu以上で10^(3)cfu以下であること、「×」は生残菌数が10^(3)cfu以上であることを示しており、生残菌数が法定の生残菌数よりも多くなっている(殺菌が不十分)であることを示している。
上記表1から実施例1では、15secという短時間で、十分な殺菌効果が得られ、実施例2では、さらに短い8secで十分な殺菌効果が得られることが明らかになった。
一方、比較例1ないし3では、いずれも、15sec以内の短時間では、十分な殺菌効果が得られなかった。
【0047】

【0048】
表2において、「◎」、「○」、「△」、「×」は、表1と同様の内容を示している。
実施例3ないし5では、いずれも15sec以内という短時間で十分な殺菌効果が得られ、特に、実施例5では5secという極めて短時間で十分な殺菌効果が得られた。
一方、比較例4及び5では、15sec以内という短時間では、十分な殺菌効果は得られなかった。
【0049】

【0050】
表3において、「◎」、「○」、「△」、「×」は、表1と同様の内容を示している。
実施例6ないし9では、いずれも15sec以内という短時間で十分な殺菌効果が得られ、特に、実施例9では5secという極めて短時間で極めて有効な殺菌効果が得られた。
一方、比較例6では、15sec以内という短時間では、十分な殺菌効果は得られなかった。
【0051】

【0052】
表4において、「◎」、「○」、「△」、「×」は、表1と同様の内容を示している。
実施例10ないし14では、いずれも15sec以内という短時間で十分な殺菌効果が得られ、特に、実施例14では3secという極めて短時間で、十分な殺菌効果が得られた。
【0053】
【発明の効果】
以上のように構成されているので、本発明によれば、殺菌剤の濃度を高くすることなく短時間にPETボトルを殺菌できるPETボトルの殺菌方法及びPETボトルの殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るPETボトルの殺菌方法の工程図である。
【符号の説明】
2 ボトル殺菌部
4 ボトル洗浄・充填密封部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-01-30 
結審通知日 2008-02-04 
審決日 2008-02-20 
出願番号 特願平6-196699
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (B65B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森林 克郎  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 田中 玲子
寺本 光生
登録日 2000-06-23 
登録番号 特許第3080347号(P3080347)
発明の名称 PETボトルの殺菌方法  
代理人 小川 信夫  
代理人 高石 秀樹  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 中村 稔  
代理人 安國 忠彦  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 中村 稔  
代理人 神崎 真一郎  
代理人 明石 幸二郎  
代理人 高石 秀樹  
代理人 小川 信夫  
代理人 市川 さつき  
代理人 市川 さつき  
代理人 永島 孝明  

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