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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効200680144 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 B05C |
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管理番号 | 1195706 |
審判番号 | 無効2007-800282 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2007-12-27 |
確定日 | 2009-03-09 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3616105号発明「少量の液体材料を分配するための方法及び装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3616105号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 (1)本件特許第3616105号の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」という。)は、1996年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年11月16日、米国、1996年2月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成16年11月12日にその発明について設定の登録がされたものである。 (2)請求人は、平成19年12月27日に審判請求書を提出し、本件特許発明1及び本件特許発明2は甲第1号証に記載された発明と同一、または、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証乃至甲第10号証に記載されたような周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであり、したがって、本件特許発明1及び本件特許発明2は特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張し、証拠方法として甲第1号証乃至甲第10号証を提出している。また、本件特許発明1及び本件特許発明2は、平成14年改正前特許法第36条第4項並びに第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、更に、本件特許発明1及び本件特許発明2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない旨主張している。 (3)被請求人は、平成20年5月15日に答弁書と共に訂正請求書を提出し、明細書の訂正を求めた。当該訂正の内容は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。具体的には、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明を下記のとおり訂正することを求めるものである。 a)訂正事項1 本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項1について、 「【請求項1】 少量の液体又は粘性材料を分配するための装置であって、 液体又は粘性材料を流すための流動孔を有する分配装置ハウジングであって、該流動孔は該分配装置ハウジングの中に延在し、該流動孔は出口端と前記液体又は粘性材料の供給源に接続されている入口とを有する分配装置ハウジングと、 該流動孔の出口端に取り付けられ、バルブシートを備える出口開口部が配置された下端を有するバルブシート機構と、 前記バルブシート機構の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられるノズル機構と、 前記流動孔中に延在し、前記バルブシートに着座しうる下部端を有するバルブシャフトと、 前記流動孔の出口端の近傍を加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構とを備え、 前記バルブシャフトははじめに該バルブシャフトの下部端が該バルブシート機構の出口開口部を閉鎖するために該バルブシートに着座しており、その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍の液体又は粘性材料を加熱し、そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、その後再度該バルブシャフトの下部端が該バルブシートに急激に着座して該液体又は粘性材料の流れを断って該液体又は粘性材料の小滴を形成することを特徴とする分配装置。」 とあるのを、 「【請求項1】 少量の液体又は粘性材料を分配するための装置であって、 液体又は粘性材料を流すための流動孔を有する分配装置ハウジングであって、該流動孔は該分配装置ハウジングの中に延在し、該流動孔は出口端と前記液体又は粘性材料の供給源に接続されている入口とを有する分配装置ハウジングと、 該流動孔の出口端に取り付けられ、バルブシートを備える出口開口部が配置された下端を有するバルブシート機構と、 前記バルブシート機構の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられるノズル機構と、 前記流動孔中に延在し、前記バルブシートに着座しうる下部端を有するバルブシャフトと、 前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構とを備え、 前記バルブシャフトははじめに該バルブシャフトの下部端が該バルブシート機構の出口開口部を閉鎖するために該バルブシートに着座しており、その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱し、そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して前記少量の加熱された該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、その後再度該バルブシャフトの下部端が該バルブシートに急激に着座して該液体又は粘性材料の流れを断って該液体又は粘性材料の小滴を形成することを特徴とする分配装置。」と訂正する(下線部は訂正箇所を示す、以下同じ。)。 また、請求項3ないし6を削除する。 b)訂正事項2 特許公報第6ページ12行、特許公報第7ページ6行、同ページ8?9行及び特許公報第13ページ20行に記載した「第2の実施態様」を「参考態様」に訂正する。さらに、特許公報第15ページ34行に記載した「図14及び15に示す実施態様」を「図14及び15に示す参考態様」に訂正、特許公報第19ページ18?19行に記載した「本発明の別の実施態様」を「本発明の参考態様」に訂正する。 c)訂正事項3 特許公報第17ページ16?17行に記載した「バルブシート612から約0.036?約0.150インチ未満」を「バルブシート612から約0.006?約0.048インチ未満」に訂正する。 2.訂正の可否に対する判断 上記訂正事項1ないし3について、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について、以下に検討する。 (1)訂正事項1について 訂正事項1のうち、請求項1の記載の訂正は、2つの訂正を包含しているので、それぞれ以下に判断する。 a)訂正前の「流動孔の出口端の近傍を加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構」、「その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍の液体又は粘性材料を加熱し、」及び「そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、」に関する訂正は、加熱対象について「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構」、「その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱し、」及び「そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して前記少量の加熱された該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、」と訂正するものである。 この訂正について検討するに、該訂正は、加熱機構によって加熱される対象が「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料」であることを明確化する意図のものであることが自明であることから、明りょうでない記載の釈明に該当する。 また、訂正後の上記記載は、本件特許明細書の「また本発明により、バルブシート機構32に隣接して加熱素子50が配置され、以下に詳細に説明する様に、バルブシート機構中の非常に少量の液体又は粘性材料を加熱する。」(本件特許公報第7ページ第39?40行)、「待機中の閉鎖位置では、図1及び2に示す様に、バルブヘッド92がバルブシート38の上に載っている間に、カップ状バルブシート部品78が少量の液体又は粘性材料で満たされる。取付本体70は、黄銅の様な熱伝導性材料で形成されて、取付本体70の周囲に配置されており、そこに固定された加熱素子50から、一般的に炭化タングステンで構築されたバルブシート部品78に熱を伝達し、バルブシャフト42を取り囲むバルブシート部品78の中の液体又は粘性材料を加熱する。」(本件特許公報第9ページ第31?36行)、「したがって、バルブシート部品78の中に位置する粘性材料は短時間だけ加熱される。」(本件特許公報第9ページ第42?43行)及び「接着剤を選択した温度範囲に短時間だけ維持し、触媒が融解して材料の最終的な硬化が起こる温度を超えないことが重要である。この理由から、バルブシート部品78だけを加熱し、分配装置の残りの部分は加熱しない。」(本件特許公報第9ページ第49行?第10ページ第1行)なる記載に基づくものであり、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 また、請求項2は請求項1を引用するものであることから、上記訂正により請求項2も訂正されることとなるが、訂正後の請求項2についてみても、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 b)請求項3ないし6を削除する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、該訂正によって、本件特許明細書に記載された事項の範囲内にないものを追加するものでもない。 更に、上記a)及びb)のいずれも、また全体としてみても、特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正事項1の上記b)により請求項3ないし請求項6を削除することによって、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された「第2の実施態様」が、特許発明の実施態様ではないことになるのに伴い、発明の詳細な説明の記載を訂正するものである。 この訂正は、特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであり、明りょうでない記載の釈明に該当するものである。 したがって、訂正事項1のb)と同様に、本件特許明細書に記載された事項の範囲内にないものを追加するものでもなく、また実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の「バルブシート612から約0.036?約0.150インチ未満」(特許公報第17ページ第16?17行)を、「バルブシート612から約0.006?約0.048インチ未満」と訂正するものである。 この訂正は、「第2位置「e」は、ノズルオリフィス622の直径の約3倍未満の距離、好ましくはノズルオリフィス622の直径の約1.5倍未満の距離にある。すなわち、第2位置はバルブシート612から約0.036?約0.150インチ未満、好ましくはバルブシート612から約0.003?約0.024インチ未満である。」(特許公報第17ページ第14?18行)の記載から、該数値範囲は、ノズルオリフィス622の直径の約3倍と認められるところ、該ノズルオリフィス622に関し、「細長いオリフィスは一般的に直径が約0.002?約0.016インチである。細長いオリフィス622は、長さ対直径の比が約50対1まで、好ましくは少なくとも約25対1、最も好ましくは少なくとも約3対1である。」(特許公報第16ページ第40?43行)との記載があり、また「オリフィス」なる一般的な記載から、「ノズルオリフィス622」は「細長いオリフィス」を指していることが明らかである。 また、第2位置「e」より上方に位置する第1位置「d」との関係においても、「第1位置「d」はバルブシート612から約0.050インチである。」(特許公報第17ページ第14行)と記載されていることから、上記訂正前の「バルブシート612から約0.036?約0.150インチ未満」なる数値範囲のうち、上限の「約0.150インチ」なる記載は、明らかに不合理である。 したがって、上記訂正前の「バルブシート612から約0.036?約0.150インチ未満」なる記載は、「バルブシート612から約0.006?約0.048インチ未満」なる記載の誤記と認められる。 3.訂正の適否についての判断 したがって、平成20年5月15日付け訂正請求書による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮又は同条同項第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定を満足するものであるから、当該訂正を認める。 なお、請求人は後述するように、平成20年6月30日付け弁駁書において、上記訂正請求について、訂正目的に違反するものであり、新規事項を追加するものであり、或いは、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、認められるべきではない旨主張しているが、上記の通り、訂正事項1、2は、訂正前に記載されていた事項について明りょうでない記載の釈明を行うもの、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、或いは特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるものであることから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明に該当するもの、或いは同条同項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、訂正事項3は誤記の訂正を目的とするもので、同条同項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであることから、請求人の主張は採用できない。 4.当事者の主張 4-1.請求人の主張 請求人は、本件特許を無効とする、との審決を求め、その理由として、次のように主張し、証拠方法として甲第1号証乃至甲第11号証を提出している。 (1)無効理由1 本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許出願前に外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同条の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し無効とされるべきものである。 (2)無効理由2 本件特許の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許出願前に国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証から第10号証までに記載された発明に基いて、当該技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同条の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し無効とされるべきものである。 甲第1号証 米国特許第4066188号明細書 甲第2号証 特開平4-17177号公報 甲第3号証 実願平3-79996号(実開平5-22054号)のC D-ROM 甲第4号証 特開平5-31458号公報 甲第5号証 特開平3-296461号公報 甲第6号証 特開平5-168997号公報 甲第7号証 実公平5-9099号公報 甲第8号証 独国特許出願公開第4013323号明細書 甲第9号証 特開昭57-34974号公報 甲第10号証 特開昭56-133174号公報 (3)無効理由3 本件特許の請求項1及び請求項2に係る特許は、平成14年改正前特許法第36条第4項並びに第6項第1号及び第2号(以下、平成14年改正前の特許法に係る規定を「旧規定」という。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し無効とされるべきものである。 (4)無効理由4 本件特許の請求項1及び請求項2に係る特許は、特許法第184条の12第2項(旧規定)により読み替えて適用される特許法第17条の2第3項(旧規定)に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第1号に該当し無効とされるべきものである。 (5)請求人は、平成20年6月30日付け弁駁書において、 a)平成20年5月15日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、訂正目的に違反するものであり、新規事項を追加するものであり、或いは、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、認められるべきではない旨、主張し、 b)仮に、本件訂正請求が認められたとしても、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明は、特許出願前に国内及び外国において頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法同条の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し無効とされるべきものである、旨主張し、 c)仮に、本件訂正請求が認められたとしても、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明は、特許出願前に国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とされるべきものである、旨主張し、 d)仮に、本件訂正請求が認められたとしても、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明は、平成14年改正前の特許法第184条の12第2項により読み替えて適用される平成14年改正前の特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第1号に該当し無効とされるべきものである、 旨、主張している。 また、上記c)主張に伴い、周知技術を示す証拠として、下記証拠を追加している。 甲第11号証 特開昭51-123245号公報 4-2.被請求人の主張 (1)一方、被請求人は、平成20年5月15日付け答弁書において、同日付け訂正請求書により訂正後の請求項1及び2に係る発明について、甲第1号証乃至甲第10号証に記載された発明から容易に発明できたものではなく、請求人の主張する無効理由1ないし4は、いずれも成り立たないと主張している。 (2)更に、被請求人は、平成20年9月30日付け上申書において、上記本件訂正請求は、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、誤記の訂正を目的とするものであるから、本件訂正請求は認められるべきである旨、主張している。 5.記載不備について 請求人は審判請求書における請求の理由のうちの「無効理由3」及び弁駁書において、訂正後の発明について特許請求の範囲における請求項1の記載は明確でない旨主張している。この主張は、本件に係る発明の認定に係わるので、まず、この点について以下に判断する。 (1)訂正後の請求項1に記載された「少量」なる意味が不明確であるとの主張について。 本件特許明細書における発明の詳細な説明の記載には、当該「少量」について明確に定義されていないものの、上記「2.訂正の可否に対する判断、(1)訂正事項1について」でも述べたように、「カップ状バルブシート部品78が少量の液体又は粘性材料で満たされる。」(本件特許公報第9ページ32?33行)、「バルブシート機構中の非常に少量の液体又は粘性材料を加熱する。」(本件特許公報第7ページ第40行)なる記載があり、更には、「発明の分野 本発明は、液体材料を分配する分野に、より詳しくは電子部品やプリント回路基盤の組立てにおける少量の粘性接着剤、半田フラックス又は他の液体材料を迅速に分配するための方法及び装置に関する。」(本件特許公報第2ページ第23?26行)なる記載がある。 これら発明の詳細な説明の記載を参酌し、また技術常識を加味すると、この種の分配装置における液体材料の分配量は、分配する液体材料に応じて、当業者にとって自明な範囲であると解され、該自明な範囲の液体材料を分配する際、適度な液体材料の量である「少量」がカップ状バルブシート部品78に満たされ、加熱されるであろうことは、当業者であれば理解可能なものであるといえる。 したがって、本件特許の出願時以前における技術常識等を前提とすれば、訂正後の発明の「少量」なる記載をもって、特に、訂正後の請求項1に係る発明が不明確なものになるとはいえない。 (2)訂正後の請求項1に記載された「加熱機構」なる意味が不明確であるとの主張について。 訂正後の請求項1に記載された「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構」なる記載について、出願人は、該記載を文言解釈し、「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱する」ためには、特殊な加熱手段が必要であり、不明確である旨主張している。 しかしながら、上記「2.訂正の可否に対する判断、(1)訂正事項1について」でも述べたように、本件特許明細書における発明の詳細な説明には、「待機中の閉鎖位置では、図1及び2に示す様に、バルブヘッド92がバルブシート38の上に載っている間に、カップ状バルブシート部品78が少量の液体又は粘性材料で満たされる。取付本体70は、黄銅の様な熱伝導性材料で形成されて、取付本体70の周囲に配置されており、そこに固定された加熱素子50から、一般的に炭化タングステンで構築されたバルブシート部品78に熱を伝達し、バルブシャフト42を取り囲むバルブシート部品78の中の液体又は粘性材料を加熱する。」(本件特許公報第9ページ第31?36行)、「したがって、バルブシート部品78の中に位置する粘性材料は短時間だけ加熱される。」(本件特許公報第9ページ第42?43行)及び「接着剤を選択した温度範囲に短時間だけ維持し、触媒が融解して材料の最終的な硬化が起こる温度を超えないことが重要である。この理由から、バルブシート部品78だけを加熱し、分配装置の残りの部分は加熱しない。」(本件特許公報第9ページ第49行?第10ページ1行)と記載されており、これらの記載を参酌し上記記載を解釈すれば、上記訂正後の請求項1に記載された事項に関する「加熱機構」の意は、「加熱機構」の加熱対象として「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみ」と記したにすぎないものと解される。 したがって、訂正後の請求項1における「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構」なる記載をもって、訂正後の請求項1に係る発明が不明確なものとなるとはいえない。 よって、訂正後の発明に関して、特許請求の範囲の請求項1の記載は、平成14年改正前特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものとはいえない。 6.本件訂正発明 したがって、本件請求項1及び2に係る特許発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 少量の液体又は粘性材料を分配するための装置であって、 液体又は粘性材料を流すための流動孔を有する分配装置ハウジングであって、該流動孔は該分配装置ハウジングの中に延在し、該流動孔は出口端と前記液体又は粘性材料の供給源に接続されている入口とを有する分配装置ハウジングと、 該流動孔の出口端に取り付けられ、バルブシートを備える出口開口部が配置された下端を有するバルブシート機構と、 前記バルブシート機構の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられるノズル機構と、 前記流動孔中に延在し、前記バルブシートに着座しうる下部端を有するバルブシャフトと、 前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構とを備え、 前記バルブシャフトははじめに該バルブシャフトの下部端が該バルブシート機構の出口開口部を閉鎖するために該バルブシートに着座しており、その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱し、そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して前記少量の加熱された該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、その後再度該バルブシャフトの下部端が該バルブシートに急激に着座して該液体又は粘性材料の流れを断って該液体又は粘性材料の小滴を形成することを特徴とする分配装置。」(以下、「本件訂正発明1」という。) 「【請求項2】 請求項1に記載の該分配装置であって、前記ノズル機構は長さ対直径の比が少なくとも3対1である細長オリフィスを有することを特徴とする分配装置。」(以下、「本件訂正発明2」という。) 7.甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明、周知技術 (1)甲第1号証に記載された発明 本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(米国特許第4066188号明細書)には、以下のことが記載されている。 なお、原文後の括弧内の記載は、当審における仮訳である。 a)「This invention relates to the application of liquids to surfaces and especially to equipment used to apply beads, ribbons or small unitary deposits of extruded or sprayed material in a desired pattern under high speed production conditions.」(公報第1欄10?14行) (仮訳「本発明はある表面への液体の塗布に関し、特に押出しあるいは吹出しされた物質をビーズ、リボンまたは小サイズの単位付着物として、高速の製造条件下において所望のパターンで塗布するのに用いられる装置に関する。」) b)「The main objective of the invention is to provide a novel heat exchanger located adjacent to the discharge nozzle of a molten adhesive applicator, the heat exchanger raising and maintaining the temperature of the adhesive at an elevated temperature just prior to dispensing the adhesive onto a substrate. Another objective of the invention is to provide a heat exchanger in the form of a manifold which has a fluid flow path for the adhesive configured in such a way that the adhesive absorbs the maximum amount of heat being transferred from heaters disposed in the manifold. Still another objective of the invention is to provide a novel heat exchanger in the form of a manifold which circumferentially encloses a valve element disposed in the central bore of the manifold. This embodiment insures that the molten adhesive immediately adjacent to the valve is maintained in a liquid state and thereby overcomes the problem of liquid adhesives cooling to the point of solidification and thereby retarding the functional operation of the applicator valve.」(同第1欄46?66行) (仮訳「本発明の主目的は、溶融接着剤塗布器の吐出ノズルに隣接して配置される新規の熱交換器であって、接着剤を基材上に分配する直前に、接着剤の温度を高めた温度に上昇させ維持する熱交換器を提供することにある。 本発明の別の目的は、マニホールド形状の熱交換器であって、接着剤がマニホールド内に配設されたヒータから伝達された最大量の熱を吸収するように形成された接着剤用の流体流路を有する熱交換器を提供することにある。 本発明の更に別の目的は、マニホールド形状の新規な熱交換器であって、マニホールドの中心ボアに配設されたバルブエレメントを周方向から取り囲む熱交換器を提供することにある。この実施態様は、バルブのすぐ近くに隣接する溶融接着剤が液体状態に維持されることにより、液状の接着剤が固化点にまで冷却され、塗布バルブの機能動作を妨げるという問題の解消を保証する。」) c)「Referring to the drawings, FIGS. 1 and 2 show a modular apparatus 10 embodying the invention and adapted for use in connection with equipment for heating and circulating a hot-melt type adhesive to be applied to a substrate. The adhesive dispensing apparatus 10 comprises a body or manifold block 11 having a motor assembly 12 attached to one end thereof and an outlet nozzle assembly 13 attached to the opposite end thereof. The body or manifold block 11 has a stepped bore 14 formed therethrough which is connected to the inlet port 15 by a plurality of parallel bores or passageways 16 formed in the manifold 11.」(同第2欄10?23行) (仮訳「図1及び図2は、基材に塗布すべきホットメルト型接着剤を加熱し循環させる装置に接続して用いるのに適した、本発明の実施例であるモジュール式装置10を示している。この接着剤分配装置10は、一端に取り付けられたモータ機構12と、他端に取り付けられた出口ノズル機構13とを有する本体つまりマニホールドブロック11を備える。 本体つまりマニホールドブロック11は、それを貫通して形成された段状ボア14を有し、段状ボア14はマニホールド11に形成された複数の並行ボアつまり通路によって入口ポート15に接続されている。」) d)「A valve assembly 17 extends through the stepped bore 14 and is in operative communication with the nozzle assembly 13 attached to one end of the manifold block 11. The valve assembly 17 comprises a rod 18 having a ball valve element 19 attached to one end thereof and a piston 20 attached to the opposite end of the rod 18. A bellows type seal 21 is sealingly secured to one end of the rod 18 adjacent to the valve element 19. The opposite end of the bellows seal 21 is hydraulically sealed by an "O"-ring type seal 45 and is mechanically secured between the motor block 22 of motor assembly 12 and the manifold block 11 thus sealing off the upper end of the stepped bore 14.」(同第2欄24?36行) (仮訳「バルブ機構17が段状ボア14を貫いて延び、マニホールドブロック11の一端に取り付けられたノズル機構13と動作連通している。バルブ機構17は、一端に取り付けられたボールバルブエレメント19を有するロッド18と、ロッド18の他端に取り付けられたピストン20とから成る。ベロー型シール21が、バルブエレメント19に隣接する側のロッド18の一端に密封固定されている。ベロー型シール21の他端は、Oリング型シール45によって水圧密封されると共に、モータ機構12のモータブロック22とマニホールドブロック11との間で機械的に固定され、段状ボア14を密封している。」) e)「A sleeve 23 is pressed into sealing engagement at the opposite end of the stepped bore 14 and cooperates with the inlet port 15 to form an annular passageway 24 for conducting hot melt adhesive from the inlet port 15 through the passageway 16.」(同第2欄37?41行) (仮訳「スリーブ23が段状ボア14の反対端に圧入されて密封係合され、入口ポート15と協働して、ホットメルト接着剤を入口ポート15から通路16を介して導入するための環状通路24を形成している。」) f)「The outlet nozzle assembly 13 comprises an end plate 25 sealingly secured to the manifold body 11 by machine screws not shown. The end plate 25 is provided with a stepped bore 26 having a valve seat 27 pressed into one end thereof. An outlet nozzle 28 is sealingly secured to the end plate 25 by a threaded retaining nut 29.」(同第2欄42?48行) (仮訳「出口ノズル機構13は、不図示の小ネジによってマニホールドブロック11に密封固定されたエンドプレート25を有する。エンドプレート25は段状ボア26を備え、段状ボア26の一端にバルブシート27が圧入されている。出口ノズル28が、ネジ切り保持ナット29によりエンドプレート25に密封固定されている。」) g)「The valve element 19 is biased to a closed position of engagement with the valve seat 27 by a compression spring 30 which reacts against a flanged portion 31 of the operating rod 18 and one end of a stepped bore 32 in the motor housing 22. The motor block 22 has an end cap 33 secured to one end thereof thus forming an operating chamber 34 in which the piston 20 is disposed. The piston 20 is secured to the operating rod 18 by lock nuts 35 and 36 which are in engagement with a threaded end portion 37 of rod 18. The motor block 22 and end cap 33 define an operating chamber 34 wherein piston 20 reciprocates axially in response to pressure of operating air. Operating air is transmitted to the chamber 34 through an inlet port 38 through a passageway 39 to the bottom side of piston 20. The upper side of piston 20 and chamber 34 is vented to atmosphere by means of a vent port 40 in one end of end cap 33. The operating air is conventional shop air under pressure and is operatively controlled by a valve means (not shown) to effect reciprocation of the piston 20 and valve assembly 17.」(同第2欄49行?68行) (仮訳「バルブエレメント19は圧縮バネ30によってバルブシート27と係合する閉位置に付勢され、圧縮バネ30は作動ロッド18のフランジ部31とモータハウジング(ブロック)22内の段状ボア32の一端とに対して作用している。モータブロック22はその一端に固定されたエンドキャップ33を有して作動室34を形成し、作動室34内にピストン20が配設されている。ピストン20は、作動ロッド18のネジ切り端部37と係合したロックナット35及び36によって作動ロッド18に固定されている。モータブロック22とエンドキャップ33が作動室34を形成し、作動室34内でピストン20が動作空気の圧力に応じて軸方向に往復移動する。動作空気は入口ポート38から通路39を介して、作動室34内でピストン20の底側に導入される。ピストン20及び作動室34の上方側は、エンドキャップ33の一端に形成された通気ポート40により大気と連通している。動作空気は通常の工場用加圧空気で、バルブ手段(不図示)によりピストン20とバルブ機構17を往復移動させるように動作制御される。」) h)「Referring to FIG. 2 of the drawings, it will be seen that the manifold block 11 is heated by two electrical resistance cartridge type heaters 41 and 42 disposed in vertical bores 43 and 44 respectively. The heaters are arranged parallel to the fluid passageways 16 and flank the stepped bore 14 in manifold block 11. The plurality of parallel bores or fluid passageways 16 are circumferentially arranged around stepped bore 14, valve 18 and are located between the heaters 41 and 42 disposed in manifold 11. The manifold 11 as disclosed herein provides a compact efficient heat exchanger which functions to elevate and maintain the temperature of the molten adhesive above the temperature level at which it is supplied to the adhesive dispenser 10.」(同第3欄1?14行) (仮訳「添付図面中の図2を参照すると、マニホールドブロック11は垂直ボア43及び44内にそれぞれ配設された2つの電気抵抗カートリッジ 型ヒータ41及び42により加熱されることが分かる。これらのヒータは流体通路16と平行に配置され、マニホールドブロック11内の段状ボア14の側面に位置する。複数の平行ボアつまり流体通路16は段状ボア14及びバルブ(動作ロッド)18の周囲に周方向に配置され、マニホールドブロック11内に配設されたヒータ41と42の間に位置する。ここに開示されたマニホールドブロック11は、溶融接着剤の温度を、溶融接着剤が接着剤ディスペンサ10に供給される際の温度より高いレベルに上昇させ維持する機能を果たすコンパクトで効率的な熱交換器を提供する。」) i)「In the operation of the preferred embodiment shown and described herein, the adhesive dispensing apparatus 10 is connected in a fluid circuit forming a part of a hot-melt adhesive heating and circulating system, and is positioned with its outlet nozzle assembly 13 adapted to apply adhesive to a translating surface at a desired location. An example of that type of system is illustrated in U.S. Pat. No. 3,788,56l issued Jan. 29, 1974 and assigned to the Assignee of this application. As illustrated in that patent, an adjustable timing means is provided for controlling the desired frequency of operation of the adhesive dispensing apparatus and establishes the duration of the time interval which determines the size of the unitary deposits of adhesive which are dispensed from the adhesive dispensing apparatus.」(同第3欄17?31行) (仮訳「ここに図示し説明した好ましい実施例の動作時、接着剤分配装置10がホットメルト接着剤加熱循環システムの一部を形成する流体回路に接続され、その出口ノズル機構13が所望の個所で、移動する表面に接着剤を塗布するのに適するように位置決めされる。この種の加熱循環システムの一例は、1974年1月29日付けで発行され、本出願の譲受者に譲渡された米国特許第3,788,561号に示されている。同特許に例示されているように、接着剤分配装置の所望の動作回数を制御する調整可能なタイミング手段が設けられ、接着剤分配装置から分配される接着剤の単位付着物のサイズを決める時間間隔の持続時間を定める。」) j)「Hot-melt adhesive is pumped under pressure into the inlet port 15 of the manifold block 11 into annular passageway 24, through the parallel bores or passageway 16 to the upper end of stepped bore 14. The adhesive then flows around valve assembly 17 and downwardly through stepped bore 14, bore 46 of sleeve 23 and into bore 26 of end plate 25 and around the valve element 19 disposed in the stepped bore 47 of valve seat 27.」(同第3欄32?39行) (仮訳「ホットメルト接着剤は、マニホールドブロック11の入口ポート15から環状通路24内へ入り、平行ボアつまり流体通路16を介し、段状ボア14の上端に至るように加圧ポンプ給送される。次いで、接着剤はバルブ機構17の周囲を流れ、段状ボア14、スリーブ23のボア46及びエンドプレート25のボア26を通って下降し、バルブシート27の段状ボア47内に配設されたバルブエレメント19の周囲に至る。」) k)「When the air motor assembly 12 is actuated to effect reciprocation of the valve assembly 17, the molten adhesive is dispensed through stepped bore 47 and outlet orifice 50 of nozzle 28 onto a substrate.」(同第3欄40?43行) (仮訳「エアモータ機構12が作動しバルブ機構17を往復移動させると、接着剤が段状ボア47及びノズル28の出口孔50を介して分配される。」) l)「As the hot melt adhesive flows through the labyrinth type flow paths indicated by the arrows in FIG. 1, heat is transferred to the adhesive by the heaters which conduct heat through the manifold 11. A thermostatic control 48 is secured to the manifold 11 by machine screws 49 and monitors the temperature of the manifold 11 and adjusts the heat output of the heaters 41 and 42 so that, the temperature of the adhesive is elevated to and maintained within a desirable temperature range.」(同第3欄44?53行) (仮訳「ホットメルト接着剤が図1中矢印で示したようなラビリンス状の流路を流れるにつれ、マニホールドブロック11を介して熱を伝達しているヒータから接着剤へ熱が伝わる。 サーモスタット式制御装置48が小ネジ49によってマニホールドブロック11に固定され、マニホールドブロック11の温度をモニターすると共に、接着剤の温度が上昇し所望の温度範囲内に維持されるように、ヒータ41及び42の熱出力を調整する。」) m)「1. An adhesive dispensing apparatus for extruding hot viscous liquid from a pressurized source onto a substrate surface, comprising: a body having a central bore formed therethrough; a passage means in said body connected to said central bore for conducting viscous liquid to said central bore; a valve seat attached to one end of said central bore; a movable valve assembly disposed in said central bore for operative engagement with said valve seat; a passageway formed in said valve seat; said valve assembly operatively controlling the flow of said viscous liquid through said passageway in said valve seat; heater bores formed in said body adjacent to said central bore with heating means disposed therein; and a plurality of parallel bores formed in said body between said heating means and said central bore, which plurality of parallel bores are concentrically disposed around said valve assembly, and wherein the parallel bores function as heat exchanger means」(請求項1) (仮訳「1.高温の粘性液体を加圧源から基材上に押出し吐出する接着剤分配装置において、 内部を貫いて形成された中心ボアを有する本体; 前記中心ボアに接続され、粘性液体を前記中心ボアに供給する前記本体 内の通路手段; 前記中心ボアの一端に取り付けられたバルブシート; 前記中心ボア内に、前記バルブシートと動作係合するように配設された 可動のバルブ機構; 前記バルブシート内に形成された通路; 前記バルブ機構が前記バルブシート内の通路を通る前記粘性流体の流れ を動作制御すること; 前記本体内に前記中心ボアと隣接して形成され、加熱手段が内部に配設 されたヒータボア;及び 前記本体内で前記加熱手段と前記中心ボアとの間に形成された複数の平 行ボアで、前記バルブ機構と同心円状に配置され、熱交換手段として機能 する複数の平行ボア; から成る接着剤分配装置。」) 上記a)、b)の記載より、甲第1号証に記載されたものは、少量の粘性液体である接着剤を分配するための装置に係るものであることが分かる。 上記c)、j)、e)及び図1の記載より、マニホールドブロック11は液体を流すための環状通路24,通路16,段状ボア14及びボア46(以下、「流動孔A」と称す。)を有しており、該流動孔Aは該マニホールドブロック11の中に延在し、該流動孔Aはその出口端と前記液体の供給源に接続されている入口ポート15とを有していることが分かる。 上記e)、f)及び図1の記載より、段状ボア14の出口に位置するスリーブ23には、バルブシート27を備える出口開口部が配置されたエンドプレート25が取り付けられていることが分かる。 上記d)、f)及び図1の記載より、ノズル機構13がエンドプレート25の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられていることが分かる。 上記d)、g)及び図1の記載より、作動ロッド18は、段状ボア14中に延在し、バルブシート27に着座しうるバルブエレメント19を有していることが分かる。 上記h)及び図1、2の記載より、段状ボア14の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱するために、前記段状ボア14の周りには電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42が取り付けられていることが分かる。 上記g)及び図1の記載より、作動ロッド18は、はじめに圧縮バネ30によって、作動ロッド18の下端のバルブエレメント19がエンドプレート25の出口開口部を閉鎖するためバルブシート27に着座していることが分かる。 上記h)、l)及び図1の記載より、電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42が段状ボア14近傍に存在する少量の液体を加熱していることが分かる。なお、上記「作動ロッド18は、はじめに圧縮バネ30によって、作動ロッド18の下端のバルブエレメント19がエンドプレート25の出口開口部を閉鎖するためバルブシート27に着座している」際にも、電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42が段状ボア14近傍に存在する少量の液体を加熱し得ることは明らかである。 上記k)、m)及び図1の記載より、作動ロッド18は該作動ロッド18の下端のバルブエレメント19がバルブシート27から上昇して前記少量の加熱された液体をエンドプレート25の出口開口部から流し出すことが分かり、また、上記a)、g)、i)、k)及び図1の記載より、その後、再度作動ロッド18の下端のバルブエレメント19がバルブシート27に着座して液体の流れを断って該液体の小滴を形成することが分かる。 なお、該バルブエレメント19がバルブシート27に着座する態様に関して、液体を分断し得る程度に「急激に」着座することは、当該分野における技術常識から明らかである(後述7.(2-B)参照)。 図1から、ノズル機構13として、細長オリフィスを有する分配装置が描かれていることが分かる。 以上のこと、及び図面の記載からみて、甲第1号証には、次の発明が記載されている。 「少量の液体を分配するための装置であって、 液体を流すための流動孔Aを有するマニホールドブロック11であって、該流動孔Aは該マニホールドブロック11の中に延在し、該流動孔Aは出口端と前記液体の供給源に接続されている入口ポート15とを有するマニホールドブロック11と、 該流動孔Aの出口端に取り付けられ、バルブシート27を備える出口開口部が配置された段状ボア26を有するエンドプレート25と、 前記エンドプレート25の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられる細長オリフィスを有するノズル機構13と、 前記流動孔A中に延在し、前記バルブシート27に着座しうるバルブエレメント19を有する作動ロッド18と、 前記流動孔Aの近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱するために前記流動孔Aの周りに取り付けられた電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42とを備え、 前記作動ロッド18ははじめに該作動ロッド18のバルブエレメント19が該エンドプレート25の出口開口部を閉鎖するために該バルブシート27に着座しており、その際に該電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42が前記流動孔Aの近傍に存在する少量の液体を加熱し、そして該作動ロッド18は該作動ロッド18のバルブエレメント19が該バルブシート27から上昇して前記少量の加熱された該液体を該エンドプレート25の出口開口部から流し出し、その後再度該作動ロッド18のバルブエレメント19が該バルブシート27に急激に着座して該液体の流れを断って該液体の小滴を形成する分配装置。」(以下、「甲第1号証記載の発明」という。) (2)甲第2号証乃至甲第11号証に記載された事項(周知技術) 本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証乃至甲第11号証には、下記の記載がある。 (2-1)甲第2号証(特開平4-17177号公報)に記載された事項 a)「この接着剤塗布部19は、第5図に示すように、接着剤タンク34と、ホースヒータ35を介して接続されている。接着剤タンク34の内部には、ヒータ36及びサーモカプラー(図示省略)が内蔵されており、接着剤を所定温度に制御し、溶融状態に保つようになっている。」(公報第3ページ左下欄第8?13行) b)「このピストンロッド41の上部にはシリンダ室40内に摺動可能に内嵌するピストン42が一体に設けられており、下端部には、接着剤供給室39下部に形成された接着剤吐出ノズル43の開閉を行なうピストンニードル44が設けられている。」(公報第3ページ右下欄第4?9行) c)「ピストンロッド41は、スプリング47により常時下方に向けて付勢されている。また、接着剤吐出ノズル43の近傍には、オリフィスヒータ48とサーモカプラー49が設けられていて、接着剤吐出ノズル43から吐出される接着剤の温度を制御することが可能となっている。」(公報第3ページ右下欄下から4行?第4ページ左上欄第2行) d)第5図には、接着剤塗布部の断面図が描かれているものと認める。 (2-2)甲第3号証(実願平3-79996号(実開平5-22054号)のCD-ROM)に記載された事項 図2、図4及び図5に記載されたヒータに関し、「溶融タンク3に取付けてあるヒータ69は、接着剤を焦げつきを起さない流動化状態まで温度センサー78でチェックし乍ら加熱するものであり、また塗布用ノズル装置4、5に取付けてあるヒータ70は、接着剤を最終使用温度まで温度センサー79でチェックし乍ら加熱するものである。」(【0013】) (2-3)甲第4号証(特開平5-31458号公報)に記載された事項 a)「接着剤11の供給槽2は電磁弁4の開放により接着剤の液滴が射出ノズル5から射出されるように所定の一定圧力に保持され、好ましくは射出ノズル5を通る接着剤の粘性を一定にするために他の部分も含めて一定温度に保持されている。」(【0007】第6?11行) b)「弁体20が電磁コイル24により引き上げられると、弁体20は接着剤の射出ノズル5への流れを可能にし、加圧下にある接着剤を液滴化して射出ノズル5から放出させる。」(【0007】第21?24行) c)「図示しない調整器により給電時間が任意の所定値に設定され、電子部品を仮止めするのに必要な接着剤の一滴あたりの供給量が任意に調整される。」(【0007】第27?29行) (2-4)甲第5号証(特開平3-296461号公報)に記載された事項 a)「上記一液性封止材料6は、吐出する際にニードル2を加熱する温度制御手段であるヒータ15と熱電対16と温度コントローラ12により加熱されるようになっている。吐出を終了する際にはニードル2を冷却する冷却制御手段であるニードル冷却部14と空冷コントローラ13と熱電対16と温度コントローラ12により、設定された温度までニードル2は冷却されるようになっている。」(公報第2ページ右上欄11行?19行) b)第1図には「ニードル2」付近を加熱するための「加熱機構」が開示されている。 (2-5)甲第6号証(特開平5-168997号公報)に記載された事項 a)「しかしながら上記のような構成では、温調により管理される温度は全て塗布温度となり、ノズル2から十分離れたシリンジ1内、つまり、図3(b)の場合では、一回の塗布に直接関与しない部分の材料まで塗布温度に管理され、また、図3(a)の場合では、ノズル2近傍以外の材料は外気温に影響される状態である。そのため、最適塗布温度と最適保存温度の差が大きな材料については、長時間の使用に対して、ノズル2から十分離れ、長時間塗布温度に保たれた部分で材料の粘土変化や組成変化が発生し、安定な塗布が行えない。また、ノズル2部分が常時塗布温度に設定されているために、停止中にノズル2先端部分から材料が垂れるという問題点を有していた。」(【0005】) b)「本発明は上記問題点を解決するもので、材料の条件を一定に保ち、安定な塗布を行うディスペンサを提供することを目的とする。」(【0006】) c)「上記構成によって、シリンジ内の材料で長時間使用されない部分は、材料の最適保存温度に維持されるために、粘土変化や組成変化の発生を抑えることができ、安定して使用できる期間を延ばすことができる。加えて、ノズル部分を温調し、塗布に最適な温度に保つことによって、粘性を一定にし、高粘性物質による糸引きの発生を抑え、安定したディスペンスを行うことができる。」(【0008】) d)図1乃至図3には、バルブシートに相当する「シリンジ1」から「ノズル2」にかけての部分の上方付近および下方付近を材料の特性を一定に保ちながら加熱するための温調装置A?Cが開示されているものと認める。 (2-6)甲第7号証(実公平5-9099号公報)に記載された事項 a)「また、従来のシリンダによる滴下吐布においては次のような欠点もあつた。再び第9図を参照されたい。シリンジ1内の加圧エアによつて押し出された液体は、ノズル10の先端部に至る。しかし、同図にも見られるように、液体は液滴d_(1)となつて、それが微量なる場合にはノズルの先端部に付着したままでいることが多い。この理由は、液体自体の有する凝集力CFとノズル10先端部との相互間の付着力AFとが作用するからである。そして液滴自体の重さがw>AFとなつたときに、始めてその液滴はノズル先端部から離れ落ちる即ち滴下するのである。」(公報第4欄第30?41行) b)「該バルブステムの先端部はニードルバルブとなり、上記シリンジ1内の吐出孔4Hの入口即ち弁座と密接しており、・・・」(公報第6欄第10?13行) c)「また、ノズルから液体が吐出する際シリンジ1内の液体Lには必要とする一定の圧力がかけられているため、液体が吐出孔4Hを通つてノズル10内を通過し、必要とする速度をもつて機外に吐出されるため、液体がノズル10先端部に付着する機会は生じない。所要量吐出されると上記バルブ11Vは閉鎖し、吐出は中断される。その量はバルブ11Vの開度と開時間によつて決められる。即ち如何なる微量吐出をも行なうことができるのである。 従つて、従来の如く、ノズル先端部に、液滴が付着残留することはなく、従つて又、それら残留滴を被吐物上に手力で近接して転移させることも必要なくなる。 よつて、シリンジ1のノズル10は真下に向け、被吐物(実装基板)面上をある一定間隔をおいて単に水平移動(“H”方向)すればよく、自動化は容易に可能となるのである。」(公報第7欄第35行?第8欄第8行) (2-7)甲第8号証(独国特許出願公開第4013323号明細書)に記載された事項(なお、引用箇所中の「aウムラウト」、「oウムラウト」、「uウムラウト」及び「エスツェット」については、それぞれ「ae」、「oe」、「ue」及び「ss」で表記した。) a)「Die Erfindung betrifft ein Dosierventil zur Portionierung von fliessfaehigen oder fliessfaehig gemachten Stoffen, mit einem in einem Traegerkoerper angeordneten Ventilkoerper, der eine durchgehende Bohrung mit Anschluss an eine Zufuhrbohrung zur Versorgung mit dem zu portionierenden Stoff und einen pulsierend antreibbaren Dosierkolben aufweist, der aus einem in der Bohrung axial verschieblich gelagerten Anker und einem feststehenden Hubbegrenzungsteil besteht, wobei sich die durchgehende Bohrung im Austrittsbereich des zu portionierenden Stoffes auf eine Dosierbohrung verjuengt.」(公報第1欄第3?15行) (仮訳「本発明は、分配すべき物質を供給する供給ボアと接続する貫通ボアと、ボアに軸線方向へ摺動自在に支持されたアンカおよび位置不変のストローク制限部材からなるパルス状に駆動される分配ピストンとを有しかつ支持部材に設置されたバルブ体を有し、1つまたは複数の流動性のまたは流動化可能な物質、特に、接着剤、加熱接着剤、インキ、ラッカなどを分配する分配バルブであって、貫通ボアが、分配すべき物質の出口範囲において、分配ボアに狭窄される形式のものに関する。」) b)「Mit dem erfindungsgemaessen Dosierventil sind bei geringstem konstruktiven Aufwand hohe Schaltfrequenzen von bis zu 1000 Punkten pro Sekunde erzielbar, wodurch nicht nur laengs der Transportrichtung (beispielsweise Papierfoerderrichtung), sondern auch quer dazu geleimt werden kann. Durch die kompakte Bauweise werden zudem sehr enge Punkt- und/oder Strichabstaende ermoeglicht.」(公報第2欄第34?41行) (仮訳「本発明に係る分配バルブによって、僅かな構造経費で、最大1000点/secの高い切換周波数を達成でき、かくして、移送方向(例えば、紙送り方向)に沿ってのみならず、上記方向に直角な方向へも、接着剤を塗布できる。更に、コンパクトな構造によって、狭い点間隔および/または線間隔を実現できる。」) c)「Die durchgehende Bohrung (3) verjuengt sich im Austrittsbereich aus dem Dosierventil auf eine Dosierbohrung (8, 8’). Die Versorgung mit dem zu portionierenden Stoff geschieht ueber die Zufuhrbohrung (9) oder alternativ ueber die gestrichelt angedeutete Bohrung (96), beispielsweise fuer kontaktloses Querleimen bei in Reihe angeordneten Ventilen. Der Ventilkoerper (1) besitzt zweckmaessigerweise einen loesbar mit ihm verbundenen Dosierkopf (10) sowie einen Justierkopf (11). Umgeben ist der Ventilkoerper (1) von einem Mantel bzw. einer Abdeckhuelse (12) mit einem daran befestigten elektrischen Anschlussstueck (12’) fuer die elektromagnetische Spule (13).」(公報第3欄第5?17行) (仮訳「貫通ボア(3)は、分配バルブの出口範囲において、狭窄されて分配ボア(8,8’)に移行する。分配すべき物質の供給は、供給ボア(9)を介して、あるいは、別の方式として、バルブを直列に配置した場合に、例えば、非接触で横方向接着剤塗布のため、破線で示したボア(9’)を介して行われる。バルブ体(1)は、合目的的には、バルブ体に着脱自在に結合された分配ヘッド(10)と、調整ヘッド(11)とを有する。バルブ体(1)は、電磁コイル(13)の電気接続片(12’)を固定したスリーブまたはカバースリーブ(12)によって囲まれている。」) d)「Der vorzugsweise sechseckig ausgestaltete Anker (5) steht in Wirkungsverbindung zu der konzentrisch um die Bohrung (3) angeordneten elektromagnetischen Spule (13), getrennt durch eine Schale bzw. eine Einbettung aus Isoliermaterial (14). Der Anker (5) ist auf- und abbewegbar in der Ankeraufnahmebohrung (3) angeordnet und ist an seinem unteren Ende mit einem Ventilkopf (15) versehen, der vorzugsweise aus Kunststoff besteht und einen Dichtkegel aufweisen kann. Der Ventilkopf (15) dichtet die verringerte Durchgangsbohrung (3‘) in Wirkungsverbindung mit dem Ventilsitz (14’) ab. Der zweckmaessigerweise aus Kunststoff bestehende Ventilsitz (14’) ist mit grossem Vorteil Bestandteil der Spuleneinbettung (14).」(公報第3欄第18?31行) (仮訳「好ましくは六角形に構成されたアンカ(5)は、ボア(3)に同心に配置されかつ絶縁材料製スリーブまたは埋込部材(14)によって分離された電磁コイル(13)と作用結合する。アンカ(5)は、アンカ受容ボア(3)内に上下動自在に設けてあり、その下端に、好ましくは、プラスチックからなり密封円錐体を有することができるバルブヘッド(15)を備えている。バルブヘッド(15)は、バルブ座(14’)と作用共働して、縮小された貫通ボア(3’)を密封する。好ましくはプラスチックからなるバルブ座(14’)が、コイル埋込部材(14)の構成部分であれば極めて有利である。」) e)「Der Dosierkopf (10) besteht zur vorteilhaft einfachen Montage aus einem Duesenkoerper (20), der mittels Aussengewinde mit dem Traegerkoerper (2) verschraubbar ausgestaltet ist und an dem sich am oberen Ende der Mantel (12) bzw. dessen Abschlussring (12’’) abstuetzt. Im Dosierkoerper (20) befindet sich eine die Dosierbohrung (8, 8’) bildende Dosierhuelse (21), die von einer Schraubenmutter (22) mit Aussengewinde im Dosierkoerper (20) fixierbar ist. Die Dosierhuelse (21) besitzt am unteren Ende die Austrittsoeffnung (23) fuer das Dosiermedium. Die Bohrung (3, 3’) und die Dosierbohrung (8, 8’) bzw. die Spuleneinbettung (14) und die Dosierhuelse (21) sind mittels Dichtring (24) gegen Austritt von Dosiermaterial gesichert.」(公報第3欄第51?64行) (仮訳「分配ヘッド(10)は、有利な簡単な組込のため、雄ネジによって支持部材(2)に螺着できるよう構成され、スリーブ(12)またはその閉鎖リング(12’’)を上端に支持したノズル部材(20)からなる。分配部材(20)には、ネジナット(22)によって分配部材(20)の雄ネジに固定され分配ボア(8,8’)を形成する分配スリーブ(21)が設けてある。分配スリーブ(21)は、下端に、分配媒体の出口(23)を有する。ボア(3,3’)および分配ボア(8,8’)またはコイル埋込部材(14)および分配スリーブ(21)は、密封リング(24)によって、分配材料の逸出が防止されるよう構成されている。」) f)「Die erfindungsgemaessen Dosierventile koennen Bestandteil eines nicht dargestellten Auftragskopfes bzw. einer Auftragsleiste oder -rahmens sein, wobei gegebenenfalls auch mehrere gleiche Dosierventile nach einem vorbestimmten Raster angeordnet sein koennen. Mit einem solchen Auftragskopf lassen sich unter Zuhilfenahme eines oder mehrerer Dosierventile tropfen- oder strichfoermig portionierte Kaltkleber, insbesondere auch durch Erhitzen fliessfaehig gemachte Kleber, naemlich Heisskleber, Farben, lacke oder dgl. nach einem bestimmten Schema punkt- bzw. strichfoermig auf einen entsprechenden Gegenstand aufbringen.」(公報第4欄第47?58行) (仮訳「本発明に係る分配バルブは、塗布ヘッドまたは塗布バーまたは塗布フレーム(図示しない)の構成部分であってよく、この場合、場合によっては、所定のパターンにもとづき複数の同一の分配バルブを設けることもできる。このような塗布ヘッドを使用して、1つまたは複数の分配バルブの補助下で、対向する対象物上に、滴状または線状に分配された低温接着剤を塗布でき、特に、加熱によって流動化した接着剤、即ち、加熱接着剤、インキ、ラッカなどを、所定のパターンにもとづき、滴状または線状に塗布することもできる。」) (2-8)甲第9号証(特開昭57-34974号公報)に記載された事項 a)「本発明は、インクを小滴として噴射して普通紙,かん,各種の板などの表面に画像を形成するために用いられるインク小滴噴射装置に関するものである。」(公報第1ページ右欄下から4行?7行)、 b)「前記高粘度流体などのインクを噴射させた場合には別の難点が付随する。すなわち、インク小滴の分裂が生じ難くインク小滴が粗大化する傾向にあり、・・・」(公報第2ページ右上欄下から3行?6行)、 c)「側壁4の内側面にホーン9の先端面12が接触および離別を繰返し従って噴射口3の開閉動作が行われ一定の周期で一定量の小滴7’を噴射することができる。」(公報第2ページ右下欄下から2行?第3ページ左上欄第2行)、 d)「本発明によればノズルすなわち噴射口3を完全に瞬間的に閉塞するためにインク滴7’の分裂が行われ易くなり、常に一定量のインク小滴7’を噴射することができる。」(公報第3ページ左上欄第7?10行)、等の記載がある。 (2-9)甲第10号証(特開昭56-133174号公報)に記載された事項 a)「この発明はインク噴射装置に関し、たとえばノズルオリフイスから噴射されるインク液滴を記録媒体に文字あるいは画像として記録するインクジエツト方式におけるインク噴射装置に関する。」(公報第1ページ右下欄第12?15行) b)「ニードル4は再びノズルオリフイス3を閉塞する。したがって、ノズルオリフイス3から噴出し始めたインクはインク滴11のように切断されて高速度で飛翔する。」(公報第3ページ右下欄第1?4行) (2-10)甲第11号証(特開昭51-123245号公報)に記載された事項 「製造組立てに用いられる、例えばゼネラル・ミルス・ケミカルス社製のポリアミド樹脂「バーサロン(VERSALON)1200」のような、高温融解接着剤は長時間高温にさらされると焦げたり早く変質し易い。しかし強力な接着を行なうために必要なことであるが、接着し合わす材料表面を充分濡らすためには高温で接着剤供給を行なわなければならない。そこで望まれることは、供給ホース136を通して接着剤銃10へは融解接着剤を低温で送給しても、その接着剤をハウジング11内で高温にする、すなわち銃から対象物に射出する直前に所要の温度まで上げることである。」(公報第7ページ右下欄末行?同第8ページ左上欄11行) (2-A)上記(2-1)乃至(2-5)の記載から、甲第2号証乃至甲第6号証には、「流動孔の出口端の周りに取り付けられ」、「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱」する「加熱機構」を有する分配装置が記載されていることが分かり、また、該「加熱機構」を有する分配装置は、従来周知の技術であることが分かる。 (2-B)また、上記(2-3)、(2-6)乃至(2-9)の記載から、甲第4号証、甲第7号証乃至甲第10号証には、「バルブシャフトがバルブシートに急激に着座することで液を分断する」技術が記載されていることが分かり、また、該技術は技術常識であることが分かる。 (2-C)更に、上記(2-2)、(2-4)、(2-5)及び(2-10)の記載から、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第11号証には、「バルブシートの付近を加熱」することで、液体又は粘性材料の適度な加熱を行えるという効果に関する事項が記載されていることが分かる。 8.対比 (1)本件訂正発明1について 本件訂正発明1と甲第1号証記載の発明とを比較すると、甲第1号証記載の発明における「液体」、「流動孔A」、「マニホールドブロック11」、「入口ポート15」、「バルブシート27」、「段状ボア26」、「エンドプレート25」、「ノズル機構13」、「バルブエレメント19」、「作動ロッド18」及び「電気抵抗カートリッジ型ヒータ41,42」は、それぞれの有する機能に照らして、本件訂正発明1における「少量の液体又は粘性材料」、「流動孔」、「分配装置ハウジング」、「入口」、「バルブシート」、「出口開口部が配置された下端」、「バルブシート機構」、「ノズル機構」、「下部端」、「バルブシャフト」及び「加熱機構」に相当する。 したがって、両者は「少量の液体又は粘性材料を分配するための装置であって、 液体又は粘性材料を流すための流動孔を有する分配装置ハウジングであって、該流動孔は該分配装置ハウジングの中に延在し、該流動孔は出口端と前記液体又は粘性材料の供給源に接続されている入口とを有する分配装置ハウジングと、 該流動孔の出口端に取り付けられ、バルブシートを備える出口開口部が配置された下端を有するバルブシート機構と、 前記バルブシート機構の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられるノズル機構と、 前記流動孔中に延在し、前記バルブシートに着座しうる下部端を有するバルブシャフトと、 前記流動孔の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱するために前記流動孔の周りに取り付けられた加熱機構とを備え、 前記バルブシャフトははじめに該バルブシャフトの下部端が該バルブシート機構の出口開口部を閉鎖するために該バルブシートに着座しており、その際に該加熱機構が前記流動孔の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱し、そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して前記少量の加熱された該液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、その後再度該バルブシャフトの下部端が該バルブシートに急激に着座して該液体又は粘性材料の流れを断って該液体又は粘性材料の小滴を形成する分配装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 「加熱機構」に関して、本件訂正発明1においては、「流動孔の出口端の周りに取り付けられ」、「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱」するのに対し、甲第1号証記載の発明においては、その点が明らかでない点。 (2)本件訂正発明2について 本件訂正発明2と甲第1号証記載の発明とを比較すると、上記8.(1)に記載した本件訂正発明1と甲第1号証記載の発明と相当関係に加えて、甲第1号証記載の発明における「バルブシート27に形成されたオリフィス」は、その有する機能に照らして、本件訂正発明2における「細長オリフィス」に相当する。 したがって、両者は、上記[相違点1]に加えて、以下の点で相違する。 [相違点2] 「ノズル機構」に関して、本件訂正発明2においては、「ノズル機構は長さ対直径の比が少なくとも3対1である細長オリフィスを有する」のに対し、甲第1号証記載の発明においては、「ノズル機構13はバルブシート27に形成された細長オリフィスを有」しているものの、該「細長オリフィス」の「長さ対直径の比」が明らかでない点。 9.当審の判断 (1)本件訂正発明1について 上記相違点1について検討すると、上記7.(2-A)において既述した甲第2号証乃至甲第6号証に記載されているように、分配装置の技術分野において「流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料を加熱するために前記流動孔の出口端の周りに」「加熱機構」を取り付けることは、従来周知の技術にすぎない。 また、該「加熱機構」を取り付けるにあたり、如何なる程度の「液体又は粘性材料」を加熱するように設計するかは、液体又は粘性材料の材質に起因した分配性を加味して、当業者が適宜設計し得る事項である。 したがって、甲第1号証記載の発明に、甲第2号証乃至甲第6号証に記載された上記従来周知の技術を適用して、上記[相違点1]に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。 (2)本件訂正発明2について 上記相違点2について検討すると、「細長オリフィス」における「長さ対直径の比」を如何に設定するかは、液体の吐出性に鑑み当業者が適宜設計し得る値にすぎず、更に、「長さ対直径の比」を「少なくとも3対1」とする数値限定の内と外とで作用効果において顕著な差異は見出せない。 なお、甲第1号証記載の発明に記載された「細長オリフィス」における「長さ対直径の比」も、第1図等の記載から、ほぼ「3対1」の形状を有している。 したがって、甲第1号証記載の発明の「細長オリフィス」における「長さ対直径の比」を、上記[相違点2]に係る本件訂正発明2の数値範囲を満たすように設定することは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。 なお、被請求人は答弁書において、本件訂正発明1における「バルブシートの付近のみを選択的に加熱」することによる効果について、「本件訂正発明1の構成によれば、加熱によって硬化する材料を分配する際に、材料の粘性を下げるのには十分であるが、材料の硬化を引き起こさない程度の加熱を容易に実現できる」旨主張しているが、該効果は、上記7.(2-C)で既述したように、甲第3号証(実開平5-22054号公報の【0013】)、甲第5号証(特開平3-296461号公報の第2ページ左下欄下から2行?右下欄6行)、甲第6号証(特開平5-168997号公報の【0008】、甲第11号証(特開昭51-123245号公報の第7ページ右下欄末行?第8ページ左上欄11行)に記載された事項から予測される以上の格別の効果を奏しているとも認められない。 また、本件訂正発明1,2全体として検討しても、甲第1号証記載の発明、甲第2号証乃至甲第6号証に記載された上記従来周知の技術、甲第4号証及び甲第7号証乃至甲第10号証に記載された技術常識、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第11号証に記載された事項から予測される以上の格別の効果を奏するとも認められない。 10.むすび 以上のことから、本件訂正発明1及び2は、甲第1号証記載の発明、及び甲第2号証乃至甲第6号証に記載された従来周知の技術、甲第4号証及び甲第7号証乃至甲第10号証に記載された技術常識、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は特許法第123条第1項第2号に該当する。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。 よって、結論の通り審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 少量の液体材料を分配するための方法及び装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少量の液体又は粘性材料を分配するための装置であって、 液体又は粘性材料を流すための流動孔を有する分配装置ハウジングであって、該流動孔は該分配装置ハウジングの中に延在し、該流動孔は出口端と前記液体又は粘性材料の供給源に接続されている入口とを有する分配装置ハウジングと、 該流動孔の出口端に取り付けられ、バルブシートを備える出口開口部が配置された下端を有するバルブシート機構と、 前記バルブシート機構の出口開口部と流体的に連通するように取り付けられるノズル機構と、 前記流動孔中に延在し、前記バルブシートに着座しうる下部端を有するバルブシャフトと、前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱するために前記流動孔の出口端の周りに取り付けられた加熱機構とを備え、 前記バルブシャフトははじめに該バルブシャフトの下部端が該バルブシート機構の出口開口部を閉鎖するために該バルブシートに着座しており、その際に該加熱機構が前記流動孔の出口端の近傍に存在する少量の液体又は粘性材料のみを加熱し、そして該バルブシャフトは該バルブシャフトの下部端が該バルブシートから上昇して前記少量の加熱された液体又は粘性材料を該バルブシート機構の出口開口部から流し出し、その後再度該バルブシャフトの下部端が該バルブシートに急激に着座して該液体又は粘性材料の流れを断って該液体又は粘性材料の小滴を形成することを特徴とする分配装置。 【請求項2】 請求項1に記載の該分配装置であって、前記ノズル機構は長さ対直径の比が少なくとも3対1である細長オリフィスを有することを特徴とする分配装置。 【発明の詳細な説明】 関連出願 本願は、米国特許出願第607,126号、(1996年2月26日提出)の一部継続出願である米国特許出願第08/559,332号(1995年11月16日提出)の関連出願である。 発明の分野 本発明は、液体材料を分配する分野に、より詳しくは電子部品やプリント回路基盤の組立てにおける少量の粘性接着剤、半田フラックス又は他の液体材料を迅速に分配するための方法及び装置に関する。 発明の背景 本発明は、電子工業でプリント回路基盤の様な表面上に流体材料を分配するための方法及び装置に関する。しかし、本発明の用途は広く、他の産業でも有利に使用できる。 プリント回路を組立てるための基材表面を限定するプリント回路基盤(PC)の製造では、3種類の一般的な基盤が用いられることが多い。第1の基盤は、表面実装部品だけが使用され表面実装基盤と呼ばれている。部品を固定するための接着剤を載せてあるプリント回路基盤の上に部品を配置する。次いで、基盤を接着した部品と共にオーブン中に入れ、接着剤を硬化させ、部品を所定の位置に保持する。次に、基盤及び部品をウエーブ半田付け機械に通し、電気接続を完了させる。これらの部品を基盤に固定する別の方法は、リフロー半田付けと呼ばれているが、そこでは半田ペーストを基盤の上に載せ、次いで表面実装部品を所望に応じて配置する。半田を再流動させるために基盤を加熱した時に半田ペーストが硬化し、電気的接続が完了する。その後、基盤を洗浄する。 第2の基盤はスルーホール部品を使用する。この名称が意味する様に、これらの電気部品は基盤中のスルーホール又は開口部を通って伸びるリード線を有する。これらのリード線を半田付けして電気的接続を完了する。 混合技術基盤では、表面実装部品とスルーホール部品の組合わせを使用する。表面実装部品は上記の様に組み立て半田付けする。表面実装部品を基盤の第1の側に固定した後、スルーホール部品を基盤上に配置し、部品のリード線を基盤の開口部を通して伸ばし、次の工程で半田付けする。両側組立を行なう場合、基盤を裏返し、第2の表面実装部品に表面実装部品を付ける。 いずれの場合も、基盤の一方の表面(一般的に下側表面)に半田付け作業を行なう必要がある。幾つかの一般的な半田付け方法がある。半田付けの全工程は、実際には単一の機械中で通常行なわれる3つの個別の、不可欠な工程を含む。これらの工程には、(I)フラックス塗布、(II)基盤の予備加熱、及び(III)半田付けがある。半田付けフラックスは、一般的に「ベース金属及び半田から酸化物又は他の表面被膜を除去することにより溶融半田による金属表面の濡れを促進する化学的及び物理的に活性な組成物。フラックスはまた、半田付けの際に表面を再酸化から保護し、溶融半田及びベース金属の表面張力変化させる。」と定義される。プリント回路基盤は、基盤の半田付け準備を効果的に行ない、部品を適切に濡らすために、フラックスで清浄にしなければならない。 4つの一般的な種類のフラックスが商業的に使用されている。これらの中で、ロジン系フラックスが最も広く使用されているが、このフラックスは、引き続いて基盤上のロジンフラックス残留物を除去するための清掃作業を必要とする。残留物は、引き続くプリント回路基盤の試験に悪影響を及ぼすことがある。 別の主要な区分のフラックスには水溶性のものがあるが、このフラックスは、その名称が示唆する様に、水溶液中で洗浄される様に設計されている。しかし様々な理由から、この技術はまだ広く受入れられていない。 同様に、第3の区分は合成の活性化されたフラックスであるが、これは多くの理由から需要が低下している。例えば、残留物を、環境的な問題を引き起こすクロロフルオロカーボン(CFC)系のクリーナーで除去しなければならない。 環境上の問題からより大きな関心が寄せられている第4の種類のフラックスは、ローソリッド(低固体)フラックスと呼ばれている。ローソリッドフラックスは、少量の、例えば5重量%以下の固形分を含む。ローソリッドフラックスは、後に続く洗浄操作を無くすことができる様に、半田付けが完了した後に基盤上に残る残留物の量を抑えるために使用する。 上記の様に、商業的な洗浄作業は一般的にCFCを使用している。現在では、研究の結果、CFCの使用は地球の成層圏のオゾンを破壊するか、又は破壊を助長することが現在分かっている。そのため、プリント回路基盤に対して行なう洗浄作業を無くすことは、半田付け後の洗浄工程により引き起こされるオゾン減少の環境的な問題に対処することになる。一般的に、フラックスは溶剤、媒体、活性剤、界面活性剤及び酸化防止剤を含む。溶剤は、フラックス成分のための液体キャリヤである。溶剤としては、イソプロパノール又は同様の種類のアルコールが使用されることが多い。フラックスの媒体成分は、その後に続く半田付け作業の際に高温溶剤として作用する。他方、活性剤は酸化物の様な汚染物を除去し、半田付け作業のための濡れ易い表面を与える。界面活性剤は半田の濡れ性を助長し、酸化防止剤は部品リード線の再酸化を抑制する。 プリント回路基盤の製造では、非常に僅かな量の、又は小滴の半田フラックス及び粘性材料、すなわち粘度が50センチポアズを超える材料、を始めとする液体材料を塗布しなければならない場合が多い。これらの液体及び粘性材料には、半田フラックスの他に、接着剤、半田ペースト、半田マスク、グリース、オイル、カプセル材料、ポッティングコンパウンド(結合合成物)、インク、及びシリコーンがある。 フラックスをプリント回路基盤に塗布するための公知の構造及び方法には、米国特許第5,328,085号に記載されている様に、リキッドウエーブ、発泡、ブラシ塗り、パッド印刷、又はスプレーがあるが、フラックス塗布の一様性、選択性及び効率のすべての目的を達成するには、どれも不十分であると思われる。 回路基盤の様な基材に塗布するための好ましい方法は、シリンジ又はバルブから粘性材料を分配することである。シリンジ又はバルブ分配は、広く使用されており、空気圧機構又は容積型バルブで達成される。シリンジ分配装置で毎秒4ドットを超える粘性材料を分配することは困難である。 一般的に、米国特許第5,320,250号に記載されている様に、シリンジ分配装置は、分配装置のシリンジ先端を基材に非常に近い所、すなわち非常に小さな滴では0.005インチ、大きな滴では0.060インチの距離、に配置する。粘性材料はシリンジ先端から押し出され、まだシリンジ先端に接続している間に基材と接触する。粘性材料が基材に接触し損なうと、材料は基材に接着せず、滴が形成されない。粘性材料と基材の接触は「濡れ」と呼ばれる。粘性材料が基材の表面に接触した後、先端は引き戻され、生じた糸が破断し、滴が生じる。 先行技術の方式に伴う一つの問題は、液体材料のビードがノズルに糸を引く、又は粘着することであり、そのために分配機構の正確な量の液体材料を分配する能力が悪影響を受けることである。糸引は低圧で、例えばシリンジ中の圧力が乱高下する時に最も起こり易い。この理由から、分配時間が短くなるにつれて、糸引もより頻繁に起こる。分配の最終段階におけるノズル先端からの液体材料の糸引は、シリンジの内圧を負にすることによりある程度回避することができる。しかし、分配を再開すると、ノズル先端における液体の蓄積がほとんどの場合に起こり、その後に続く押出しの安定性に悪影響を及ぼす。 シリンジから液体を分配する別の方法が米国特許第5,320,250号に記載されているが、そこでは分配装置が粘性材料の貯蔵部又はシリンジを含み、その貯蔵部は、そこから粘性材料を連続的に受け取るための室と連絡している。この室は、その外壁を形成するたわみ性の弾性ダイアフラムを有する。衝撃機構が予め決められた運動量をダイアフラムに加え、予め決められた非常に僅かな量の粘性材料を室からノズルを通して高速度で推進する。この非常に僅かな量は粘性材料の非常に小さな噴射の形態をとる。衝撃エネルギーが停止手段により除去されると、室の圧力が急激に下がり、噴射の前方向運動量が噴射を「締め付け」、滴を形成する。多くの粘性材料に対して室を加熱し、その材料の粘度を調整する。貯蔵部は、好ましくは気体で加圧し、粘性材料を室の中に押し込む。この種の設計に関わる問題の一つは、粘性材料の噴射を形成するために加えられる高速度により、噴射の末尾をより小さな滴に分断され、衛星(satellite)を形成する。 先行技術の装置の問題の幾つかを解決するために、2段階配送機構を使用するが、そこでは粘性材料がシリンジ中に粘度に応じて約4psi?約12psiの一定空気圧下で存在し、これが回転容積型ポンプの室中への材料の一定した流れを確保する。このポンプは、毎時25,000ドットもの粘性流体を高密度プリント回路(PC)基盤上に分配する。粘性材料はシリンジ先端から押し出され、まだ先端に接続されている間に基材と接触するので、シリンジからの配送に関連する上記と同じ問題が存在する。 先行技術は、液体又は接着性の粘性材料の滴をPC基盤の様な加工品上に塗布する際の問題の多くを解決した。しかし、迅速に塗布する必要がある場合に、液体又は粘性材料のノズルへの糸引の問題があるために、分配装置を取り付けたロボットは、滴毎に上下に運動しなければならない。この運動のために、滴を塗布できる速度が低下する。 ローソリッドフラックスの分配に関連するもう一つの問題は、フリップチップ及びボールグリッドアレー(BGA)機構の製造における、キャリアに半田フラックスを選択的に塗布することに関連している。フリップチップ機構では、フラックスをマザーボード(母板)とも呼ばれるチップキャリアの相互接続区域に塗布する。次いで、チップの片側上の数百の接続点のそれぞれに、一般的に直径が約0.003インチ?0.005インチ(約3ミル?約5ミル)の半田ボールを有するシリコンダイ又はチップをマザーボード上に載せる。半田を流動させるために、フラックスと接触している半田のボールがチップとマザーボードの間に半田付けされた接続を形成するようにマザーボードを加熱する。ローソリッドで一般的に樹脂系フラックスを塗布する先行技術の方法に関連する問題の一つは、必要以上にフラックスを塗布することである。そのために洗浄時間が長くなり、材料が無駄になり、加工時間が長くなる。その上、マザーボードに塗布するフラックスの厚さが大き過ぎる、すなわち半田ボールの直径よりも厚い場合、半田ボールが融解した時にチップが「浮く」傾向があり、チップとマザーボードの間が整列せず、相互接続が悪くなる。 半田フラックスの塗布に関連するもう一つの問題は、スルーホール部品を有する他の基盤に関連する。この場合、基盤は全体にスルーホール又は開口部を有し、ここに電気部品のリード線がホールに挿入されている。ホール中のリード線の半田付けはフラックスの塗布を必要とするので、リード線を挿入すべきスルーホールの区域だけにフラックスを塗布できるのが非常に有利である。 発明の目的及び概要 本発明の目的は、先行技術の方法及び装置の問題及び制約を解決するために、プリント回路基盤の上に間隔をおいて配置されたノズルオリフィスから少量の液体又は粘性材料を高温で分配するための方法及び装置を提供することである。 本発明の別の目的は、少量の液体又は粘性材料を高温に加熱することにより、少量の液体又は粘性材料を分配するための糸引を少なくし、衛星の形成を最少に抑える方法及び装置を提供することである。 さらに別の目的は、材料が分配されているノズルの末端から材料が離れ、下方に向かって基材上に推進され、基盤上に液体又は粘性材料の非常に小さな滴を形成する様に、バルブをバルブシート(弁座)に対して急速に閉鎖し、材料に運動エネルギーを与えることにより、加熱したノズルの細長いオリフィスを通して液体又は粘性材料の小滴を分配するための方法及び装置を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、多数の滴のうち少なくとも2個が同じ所に落下し、一つになり、所望の形状の基材上に最終的な滴を形成する様に、ノズルの細長いオリフィスを通して変化する数の液体又は粘性材料の滴を基材上に分配するための方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、ノズルヒーターの温度を調整することにより、滴を分配する基材の表面上の液体又は粘性材料の上表面の高さを変えるための方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、フラックスの厚さが半田ボールの直径よりも小さくなる様に、各相互接続点に半田ボールを有するフリップチップを取り付けるべきマザーボードの表面に半田フラックスを塗布するための方法を提供することである。 本発明の別の目的は、半田フラックスの滴が一緒に流動し、所望の厚さの一様な被膜を形成する様に、PC基盤の様な基材の表面上に半田フラックスの複数の滴を選択的に塗布するための方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、加熱延長部品を清掃するためにヒーター機構を容易に取り外せる様に、分配装置ハウジングの加熱延長部品の周りに配置されたヒーター機構を含む、液体又は粘性材料の小適を分配するための装置を提供することである。 本発明の別の目的は、ノズルが薄壁チューブ(管)で構築され、プラスチックで被覆できる液体又は粘性材料の小適を分配するための装置を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、バルブがバルブシートに対して3つの位置を有し、第1の位置で材料の大部分が供給源ならびにノズルに逆流する液体又は粘性材料の小適を分配するための方法を提供することである。第2の位置では、供給源への流れが減少し、残りがノズルに流れ、ノズルから材料の糸を分配する。最後に、バルブがシートに対して座っている場合、供給源からの流れが停止し、ノズルから分配されている流れが壊れ、滴を形成する。 本発明により、フラックス又は表面実装接着剤の様な、少量の液体又は粘性材料を分配するための方法を提供する。この方法は、下記の工程を含む。加圧された液体又は粘性材料が分配装置からバルブ機構に分配される。加圧された液体又は粘性材料は、バルブ機構の中で約22℃?約75℃に加熱され、バルブ機構に取り付けたノズルの細長いオリフィスを通る流れとして分配される。加熱され、加圧された液体又は粘性材料の流れは、バルブ機構を急速に閉鎖することによりノズルから放出され、滴を形成する。滴は下方に向けて、プリント回路基盤上に推進され、回路基盤上に液体又は粘性材料の非常に小さな滴を形成する。 さらに本発明により、少量の液体又は粘性材料を分配するための分配装置を提供する。分配装置は、加圧された液体又は粘性材料のシリンジ及び加圧された液体又は粘性材料がそこを通って分配される出口チューブに接続されているハウジング機構を含む。バルブシート機構は出口チューブの開放末端に取り付けてある。バルブシート機構はその中を通る流動通路を有し、流動通路の一端にバルブシートを有し、通路の反対側の末端にノズルを有する。バルブシャフトの一端は、ハウジング機構を通って伸び、出口チューブから外に突き出て、直角に配置されたバルブシートと係合し、流動通路を閉鎖する。制御機構がバルブシャフトを、バルブシートと係合し、密封する位置及び開放する位置に往復運動させる。バルブシート機構内の液体又は粘性材料を加熱するための加熱素子がバルブシート機構の近くに配置されている。 また本発明により、多数の滴の少なくとも2個が同じ所に落ちて一緒になり、所望の形状を有する基材上に最終的な滴を形成する様に分配装置のノズルの細長いオリフィスを通して基材上に分配される、液体又は粘性材料の滴の数を変化させる方法も開示する。本発明のさらに別の実施態様は、分配装置のバルブシート機構の近くに配置された加熱素子の温度を設定することにより滴を分配する、基材の表面上の液体又は粘性材料の1個以上の滴の上表面の高さを変化させる方法にも関連する。 さらに本発明により、フラックスの滴が一緒に流れ、所望の大きさ又は厚さの一様な被膜又は被覆を形成する様に、PC基盤の様な基材の表面上に半田フラックスの複数の滴を選択的に塗布する方法を開示する。 また、本発明により、細長い加熱された延長部品を有する分配装置ハウジングを含み、加熱延長部品を通って伸びる流動穴の下側末端にバルブシート機構が、取り付けられている、分配装置の参考態様を開示する。 本発明により、少量の液体又は粘性材料を分配する方法を開示する。この方法は、バルブ機構を通って伸びる第1の流動通路の入口末端に液体材料を供給する工程を含み、バルブ機構は、第1流動通路の出口末端の近くに配置されたバルブシート及び第1流動通路の中に配置された往復運動バルブを有する。バルブヘッドがバルブシートから間隔をおいた第1の位置にある時、ノズル機構を通って伸びる第2流動通路は液体材料で満たされている。第2流動通路は、第1流動通路の出口末端から液体材料を受け取る入口部分、及び液体材料を分配する細長いノズルを通って伸びるオリフィスを備えた出口部分を有する。バルブは第1位置からバルブシートの近くに間隔をおいて配置された第2位置に加速され、それによって第1流動通路中の液体材料の大部分の一部が第1流動通路の入口末端に向かって流れ、第1流動通路中の残りの液体材料は出口末端から第2流動通路の中に流れ、細長いノズルの出口から液体材料の流れとして分配される。バルブは第2位置からバルブシートと係合する第3位置に向かって移動し続け、それによって第1流動通路の入口末端に向かう液体材料の流れが減少し、第2流動通路を通る液体材料の流れが急速に増加する。最後に、バルブは第3位置に移動してバルブシートに座り、それによって第1流動通路の入口末端に向かう液体材料の流れは切断され、細長いノズルの出口から分配されている液体材料の流れがノズルオリフィスの出口末端から切れ、滴を形成する。 また本発明により、少量の液体材料を分配するための装置は、薄壁チューブで構築した細長いノズルを有するノズル機構を含む。ノズルの出口末端及びオリフィスはプラスチック被覆することができる。 【図面の簡単な説明】 本発明の現在好ましい実施態様の構造、操作、及び利点を、以下に添付の図面を参照しながら説明するが、 図1は、本発明により、PC基盤上に配置した液体又は粘性材料の分配装置の好ましい実施態様の側方断面図であり、 図2は、細長いノズルオリフィスを備えたノズルを有し、そのノズルオリフィスから液体又は粘性材料の流れを分配する、図1に示すバルブシート機構の拡大した側方断面図であり、 図3は、PC基盤の様な基材上に配置した、基材表面上の単一の位置の上に複数の滴を分配する液体又は粘性材料の分配装置の側方断面図であり、 図4は、基材表面上の単一の位置に分配された滴の数及び温度に応じて様々な高さの滴を有する基材の側面図であり、 図5は、チップキャリア及びチップキャリアに半田取付けするフリップチップの分解立体図であり、 図6は、半田フラックスの複数の滴を上に配置した図5の電気コネクタ区域Aの立体図であり、 図7は、図6に示すフラックス材料の滴の区域の滴が互いの中に流れ込み、フラックスの一様な被覆を形成した後の上面図であり、 図8は、スルーホールを有するプリント回路基盤の上面図であり、 図9は、プリント回路基盤中のスルーホールの周りに塗布した複数の滴を示す、図8の区域Bの拡大図であり、 図10は、フラックスの滴が流れて一つになり被覆を形成した後の、図9に示す区域の上面図であり、 図11は、PC基盤上に半田フラックス被覆を配置するための機構を示し、 図12は、本発明の液体又は粘性材料分配装置の参考態様の前面図であり、 図13は、図12の線13-13に沿って見た側面図であり、 図14は、図13の線14-14を通して見た、本発明の液体又は粘性材料分配装置の参考態様を示す断面図であり、 図15は、加熱機構により取り囲まれ、ノズル機構を含む分配装置ハウジングの細長い加熱された延長部品の拡大図であり、 図16は、図15に示すノズル機構の側方断面図であり、 図17は、別のバルブ機構の上面図であり、 図18は、図17の線18-18に沿って見た側方断面図であり、 図19は、第1位置にあり細長い延長部品内に取り付けた、その下端に固定したノズルキャップを有するバルブを含む、図18に示す別のバルブ機構の側方断面図であり、 図20は、第2位置にあり細長い延長部品内に取り付けた、その下端に固定したノズルキャップを有するバルブを含む、図18に示す別のバルブ機構の側方断面図であり、 図21は、第3位置にあり細長い延長部品内に取り付けた、その下端に固定したノズルキャップを有するバルブを含む、図18に示す別のバルブ機構の側方断面図であり、 図22は、ドットを形成するためのバルブの加速を示す図であり、 図23は、粘性材料の代表的な細長くなる挙動を示すグラフである。 発明の詳細な説明 図1及び2は、標準的な市販されている液体又は粘性材料を充填したシリンジ12から、プリント回路(PC)基盤の様な基材14の上に少量の液体又は粘性材料を分配するための分配装置10を示す。装置10の分配装置ハウジング20は入口18を有し、その中にシリンジ12の出口16が取り付けてある。入口18は、穴22により流動通路25を形成する流動穴24の入口開口部23に接続されている。流動穴24の出口26は出口チューブ30を通って伸び、流動通路31を形成する穴35の第1末端28に接続されており、その通路から加圧された液体又は粘性材料が分配される。バルブシート機構32は、出口チューブ30の第2の開放末端34に取り付けてある。バルブシート機構32はその中を通って伸びる流動通路36を有し、その中にバルブシート38が配置されている。流動通路36の入口末端は出口チューブ30の流動通路31と流動連絡しており、通路36の反対側の出口末端にはノズル40が取り付けてある。 バルブシャフト42は、ハウジング機構20の流動穴24を通り、出口チューブ30の穴35を通り、さらにバルブシート機構32の流動通路36の中に伸びている。バルブシャフト42は、通路36を閉鎖するためにバルブシート38と係合して密封する様に設計された下端44を有する。シャフト42の反対側の上端部46は、分配装置10の制御機構48と係合している。制御機構48は、バルブシャフト42を往復運動させ、バルブシート38と係合させて密封、及び解除する。また本発明により、バルブシート機構32に隣接して加熱素子50が配置され、以下に詳細に説明する様に、バルブシート機構中の非常に少量の液体又は粘性材料を加熱する。 分配装置ハウジング20は、入口18を垂直に配置された流動通路24(そこを通してバルブシャフト42が往復運動する様に受入れられている)に接続する全体的に水平な穴22を含む。密封リング52がシャフト42の周りに密封する関係で、流動通路24の入口23の上に配置されており、穴22を通って流動通路24の中に流れる粘性液体が、バルブシャフト42を通り制御機構48の中に漏れない様にしている。密封リング52は、リング54により所定の位置に固定されており、制御機構48のハウジングブロック56の下側表面により、所定の位置に保持されている。 図1に示す様に、出口チューブ30は、流動通路24の出口26がその穴35の入口開口部60と整列する様に、取付板58の様な通常の手段により分配装置ハウジング20に固定された第1末端を有する。出口チューブ30の第2末端34の上には、ねじ付き接続部(不図示)の様な通常の手段により、バルブシート機構32が固定されている。 バルブシート機構32(図2参照)は、全体的に円筒形の取付本体70を含み、その中を軸方向において段差が付いた穴72が伸びている。この穴72は、出口チューブ30を取り囲み、ねじ山付き接続部(不図示)の様な通常の手段により出口チューブに堅く取り付けた上側末端区域74を有する。軸方向で段差が付いた穴72は、交差し、上側末端区域74よりも小さな直径を有する中間区域76を含む。出口チューブ30の下端部34は、中間区域76及び上側末端区域74が交差する所に形成された肩部77に載っている。中間区域76の中には、カップ状のバルブシート部品78が配置されている。段差の付いた穴72は、中間区域76よりも小さな直径を有し、中間区域と交差して肩部82を形成する下側末端区域80を有し、その肩部に、カップ状のバルブシート部品78が載っている。カップ状バルブシート部品78は、図2に最も分かり易く示す様に、その中を通って伸びる中央の段差の付いた穴84を有する。この穴84は、中央軸87を中心にして、出口チューブ30の穴35と実質的に同軸である細長い上側末端区域86を有する。中央の段差の付いた穴84の下側末端区域88は、上側末端区域86よりも小さな直径を有する。バルブシート38は、上側末端区域86と下側末端区域88の間の中間テーパー区域90により形成される。カップ状バルブシート部品78は、出口チューブ30の下側末端34で取付本体70により対向する穴62の中で穴35に堅く取り付けられている。対向穴62が穴35と交差する地点にある溝93の中に配置されたシールリング92がバルブシート部品78の上側末端に対して密封し、液体又は粘性材料がバルブシート部品78と取付本体70の間に漏れるのを阻止している。バルブシャフト42の下側末端44には、バルブシート38の上に載る全体的に球状のバルブヘッド92がある。ここでは球状のバルブヘッドを開示しているが、所望により他の形状のバルブヘッドも本発明の範囲内に入る。 本発明の第1の特徴は、ろう付け接続の様な通常の手段によりバルブシート部品78の下側末端区域88の中に固定されたノズル機構40である。ノズル機構40は、その中を伸びる流動通路96を含み、この流動通路96は、下側末端区域88を通って伸びる流動通路36と流動連絡する入口区域98を有する。流動通路96は細長いノズルオリフィス100も含み、このオリフィスは、入口区域98と整列し、交差する上側末端、及び液体又は粘性材料の流れが分配される出口末端を有する。細長いノズルオリフィス100は、長さ対直径の比が少なくとも約3対1?約5対1である。細長いノズルは、一般的に長さが約0.016?約0.080インチであり、直径が約0.003?約0.016インチである。オリフィス100の長さは、それが長過ぎる場合は、バルブヘッド92がバルブシート38に対して閉じた時に、液体又は粘性材料がノズル40の末端で分断されないので重要である。反対に、オリフィス100の長さが短過ぎる場合、液体又は粘性材料が糸を形成しないか、又は滴が基材14に直線経路で分配されないであろう。 図2に最も分かり易く示す様に、加熱素子50が取付本体70の周囲のバルブシート機構32に隣接する区域に配置されており、以下により詳細に説明する様に、カップ状バルブシート部品78中の非常に少量の加圧された液体又は粘性材料を加熱する。加熱素子50はミネアポリスのミンコ社(Minco Products Company of Minneapolis,Minn.)から供給されるKapton上に支持されたサーモホイル抵抗ヒーターの形態であり、ワイヤリード線104及び106により温度制御装置に接続されている。 本発明の別の重要な特徴は、バルブヘッド92を、バルブシート38から間隔をおいて配置された第1位置(不図示)と、バルブシート38と係合した第2位置(図2に示す様な)の間で往復運動させるための制御機構に関連する。第2位置は、液体又は粘性材料がバルブシート部品78の上側末端区域86の中に蓄積し、以下に記載する様に温度制御装置102で予め設定された温度に加熱されるので、待機位置である。図1で分かる様に、制御機構48はハウジングブロック56を含む。中央に配置された縦穴110はハウジングブロック56を通って伸び、軸87と同軸に形成されている。バルブシャフト42は、穴110を通って伸び、穴110の上側末端から空気室ブロック113の段差付き穴室112の中に突き出しており、空気室ブロック113が有する下側の穴114は、これよりも大きな直径を有する上側の穴116と交差している。円筒形のシール部品118が中央穴122を有する支持構造120の上に取り付けてあり、この中央穴122を通ってバルブシャフト42が伸びて、そこに固定されている。空気入口124は、チューブ126を経由して加圧空気の供給源(不図示)に接続されている。チューブ126と入口124の間に配置された空気ソレノイド128が、下側の穴114の中でシール118の下に形成された室の中への空気流を制御する。シャフト42の周りの空気シールリング119は、対向する穴121の中で穴110と穴室112の間に配置され、穴110の中への空気の漏れを阻止する。 スプリングハウジング130は、空気室ブロック113の上表面に取り付けてあり、そこに中央穴132が形成されている。スプリング保持部134がバルブシャフト42の上側末端にしっかり取り付けてあり、支持構造120と突き当たっている。カップ状スプリング調節部品136は、スプリングハウジング130にねじ込んで固定してあり、細長い穴138(一端が開き、他端がベース139により閉鎖され、穴141がベースを通って伸びている)、及び穴141の周りの内側表面140を有する。圧縮スプリング142は、スプリング保持部134と、スプリング調節部品136の底表面140の間に伸びている。スプリング調節部品136をスプリング保持部134により近い位置又は保持部からより遠い位置にロックできる様に、ロックナット144がスプリング調節部品136にねじ込んで固定されている。スプリング142の圧縮度は、スプリング調節部品136をスプリング保持部134の方に移動させると増加し、スプリング部品136がスプリング保持部134から遠くに移動させると減少する。 本発明の重要な特徴は、スプリング保持部134上の圧縮スプリング142、最終的にはバルブシャフト42のバルブヘッド92により加えられる閉鎖力に関連する。好ましくは、圧縮スプリング142は約1インチの高さに予め負荷をかけ、約13?約17ポンドの閉鎖力を有する。スプリング142の圧縮量は、前に説明したスプリング調節部品136の位置合わせにより調節することができる。 制御機構48のもう一つの特徴はロッド148に取り付けたノブ146である。このロッドは、穴141の中にねじ込んで固定してあり、圧縮スプリング142の中を通り、スプリング保持部134の上に伸びるバルブシャフト44の上端部と接している。ロッド148を上下に移動させることにより、バルブシャフト42の行程をバルブシート38に対して調節することができる。 本発明の利点をさらに理解するために、以下に操作に関して説明する。先ず、粘度が一般的に約50,000?約250,000センチポアズである液体又は粘性材料のシリンジ12を分配装置ハウジング20の入口開口部18に取り付ける。圧力調整装置152に接続した空気チューブ150及び低圧空気の供給源(不図示)をシリンジ12の入口に接続し、液体又は粘性材料を穴22及びバルブシャフト42の周りの流動通路24の中に約4psi?約30psiの一定圧力で押し込む。待機中の閉鎖位置では、図1及び2に示す様に、バルブヘッド92がバルブシート38の上に載っている間に、カップ状バルブシート部品78が少量の液体又は粘性材料で満たされる。取付本体70は、黄銅の様な熱伝導性材料で形成されて、取付本体70の周囲に配置されており、そこに固定された加熱素子50から、一般的に炭化タングステンで構築されたバルブシート部品78に熱を伝達し、バルブシャフト42を取り囲むバルブシート部品78の中の液体又は粘性材料を加熱する。 操作のこの段階で、接着剤の様な液体又は粘性材料が、(材料に応じて)約22℃?約75℃、好ましくは約40℃?の温度に加熱される。この温度範囲では、粘性モジュラスは比較的一定であるが、弾性率は温度上昇と共に増加する。粘性材料の弾性率増加は、材料がより固くなるが、同時に、実質的に一定の粘性モジュラスに基づいて流体状の品質を示すことを示唆している。粘性材料、粒子のマトリックス、ワックス性の固体触媒及び樹脂の性質は、高温でより流動性となる異なったホットメルト及び他の重合体流体である。したがって、バルブシート部品78の中に位置する粘性材料は短時間だけ加熱される。この短時間加熱の際、粘性モジュラスの弾性率に対する比は減少する。バルブヘッド92がバルブシート90から上がった後、粘性材料はオリフィス100の出口から細い流れとして押し出される。次いで、バルブヘッド92がバルブシート90に当たって閉鎖した後、流動している材料の急激な減速が接着剤の降伏応力に打ち勝ち、流れを分断する。加熱された粘性材料の固体性質により粘性材料は糸になって流れず、オリフィス100の出口101から分断される。接着剤を選択した温度範囲に短時間だけ維持し、触媒が融解して材料の最終的な硬化が起こる温度を超えないことが重要である。この理由から、バルブシート部品78だけを加熱し、分配装置の残りの部分は加熱しない。 バルブを開くには、バルブシャフト42を後退させ、バルブヘッド92をバルブシート38から引き上げる。この工程は、加圧空気を空気ソレノイド128から空気入口124の中に、次いでダイアフラムシール118の下の空気室の中に導入することにより、達成される。空気はシール118に作用し、バルブシャフト42をバルブシート38から離れて圧縮スプリング142に向かう方向に移動させる。この操作の際、加熱された粘性材料がバルブヘッド92とバルブシート38の間、及びノズルオリフィス100の中に流れ込む。同時に、バルブシート部品78の中にあり、バルブシャフト42、バルブヘッド92、及びバルブシート38を取り囲んでいる粘性材料が加熱素子50により所望の温度に加熱される。加熱、加圧された粘性材料はノズル40のオリフィス100の出口101を通って細い流れとして分配され、オリフィス100の出口端末101に接続された糸になって流れる。 本発明の重要な態様は、材料が非常に短い時間は固体として作用し、オリフィス100の出口末端101から放出された時はより流動性の状態に戻る様に、接着性の液体又は粘性材料を高頻度で変形させることである。液体又は粘性材料の糸のオリフィス100からの分断を達成するには、非常に短い時間、すなわち約22.6ミリ秒間、好ましくは約10.3ミリ秒間未満でソレノイド128を切り、スプリング142がバルブ92をバルブシート38に対して移動させ、バルブを閉鎖する。ダイアフラム118の下の空気室112の中の空気は、空気ソレノイド128中の排気通路(不図示)を通して排気される。同時に、圧縮スプリング142がバルブヘッド92をバルブシート38に座った位置に急速に移動させる。これは積極的な排出工程であり、加熱された液体又は粘性材料をオリフィス100の出口末端101から外に押し出す。バルブ92がバルブシート38に対して閉鎖される衝撃力が液体又は粘性材料を通して衝撃波を発生し、これが、現在流れている材料流の急激な減速と組み合わされて、液体又は粘性材料の降伏応力に打ち勝ち、ノズル40の出口末端101から分配される液体又は粘性材料の流れを分断し、材料の滴を形成する。オリフィス100の出口末端101で形成される液体又は粘性材料の糸が細い程、より容易に降伏応力に打ち勝つ。バルブヘッド92の底表面はノズルオリフィス100のテーパー付き入口98に隣接し、バルブ92の閉鎖により発生する衝撃波を消失させることがある液体又は粘性材料の量を最少に抑える様に、ノズル40はバルブヘッド92に対して配置されていることに注意する。 ノズル40から出る液体又は粘性材料の滴は、毎時200,000滴まで、特に毎時約70,000滴までの速度で分配することができる。滴はプリント回路基盤の様な基材14の表面上に堆積するので、表面張力及び回路基盤上への衝撃が滴の最終的な形状に貢献する。最終的な滴の形状を調整する他の要因としては、加熱、複数の小滴を使用して単一の大きな滴を形成すること、及びノズルオリフィス100の出口末端101の回路基盤上の高さがある。最終的な分配段階は、バルブヘッド92のバルブシート38に対する確実な移動により引き起こされるので、各滴の体積量の精度を注意深く調整することができる。粘性材料の性質、粒子のマトリックス、ワックスの様な性質を有する固体触媒及び樹脂は、材料が固体触媒が融解し始め、架橋反応が起こり、材料が固体の固まりになる温度に達した時である。本発明では、バルブシート部品78の中にある粘性材料が触媒融点のすぐ下の温度範囲に加熱され、架橋反応を回避する。加熱の間、粘性モジュラスの弾性率に対する比は低下する。 ノズルから液体又は粘性材料の滴を分配するための第1の実施態様、すなわち材料を流動通路36の中に加圧下で押し込み、バルブ92をバルブシート38に対して閉鎖することにより流動通路から材料を放出する方法は、単一の滴を分配するには有効であるが、各滴の大きさは一般的にバルブヘッド92がバルブシート38から引き戻される時間の長さを変えることにより調整するので、より大きな寸法の滴を形成するには時間がかかる。本発明の第2の実施態様により、同じ大きさの2個以上の滴を基材表面上の単一の場所の上に分配し、複数の滴を組み合わせ、より大きな寸法及び所望の形状を有する単一の滴を形成することにより、より大きな寸法の滴を形成する時間を短縮する。図3に示す様に、前に説明した様な液体又は粘性材料の第1の滴200Aを基材14の上側表面202の上に第1の形状で分配する。次いで、第2の滴200Bを同じ場所に分配し、第1の滴200Aの上に落としてそれと組み合わせ、一般的に第1の滴200Aよりも大きな直径を有する第2の形状の最終的な滴204を形成する。ここでは2個の滴を説明するが、3、4個又はそれより多い滴を同じ場所の上に分配することも本発明の範囲内である。 複数の連続した滴200A、200Bを単一の場所に塗布して所望の寸法及び形状を有する最終的な滴を形成する方法は、必要な時間を大幅に短縮できるので単純にバルブヘッド92をより長時間開いたすなわちバルブシート38から後退させたままにして類似の大きさの滴を形成する場合より有利である。例えば、特定の大きさの単一の滴200Aをバルブシート機構32から15ミリ秒間(15msec)で分配する場合、4倍大きな滴を配量するには、シリンジ中の約10ポンドの圧力により200msecが必要である。他方、4個の単一滴200Aを同じ場所に分配する場合、各滴は15msecで分配され、単一の滴の4倍の大きさを有する滴を分配するには合計60msecとなる。そこで、図3に示す様な装置10を静止位置に置いたまま、バルブヘッド92を急速に後退させ、次いでバルブシート38に対して閉鎖することにより、複数の滴、2、3又は4個の滴を分配する様にプログラム化することができる。次いで装置10を、それを取り付けたロボット装置(不図示)の様な通常の手段により別の位置に移動させ、別の選定した場所の上に複数の滴を塗布することができる。これによって、基材上のどの位置にも、どのような配置にでも、様々な形状及び大きさの滴を迅速に分配する様に、装置10をプログラム化することができる。本発明の別の態様は、液体又は粘性材料の滴200Aの上表面206のその滴を分配する基材14の表面202から上の高さ「c」を変化させることに関する。図4に示す様に、液体又は粘性材料の滴は、左端の滴と比較して、左から右に約2℃ずつの分配温度増加を示している。温度が増加するにつれて、基材14の上表面202上に分配される材料の滴の高さ「c」は減少する。また、滴の温度が増加するにつれて、滴の輪郭も変化し、すなわち分配される材料の滴がより大きな直径を有するように、つまり滴の上表面がより平らになり、基材14の上表面202により近くなる。多数の滴を分配する前に、実験的方法により、分配する材料の温度を望ましい高さが得られる様に設定する。温度は、前に説明した様に、温度制御装置102及び加熱素子50により制御することができる。次いで、滴の上表面206が基材の上側表面から上に所望の高さ「c」になる様に、所望の温度にある材料の滴を基材14の上側表面202の上に分配する。 液体又は粘性材料の少なくとも2個の滴を予め決められた温度で分配し、2個の滴が基材14の上側表面上の単一の場所で互いの上に落下して一つになり、基材の上側表面から上に、単一の滴の高さよりも大きな第2の高さを有する最終的な滴を形成する様にすることも本発明の範囲内である。最終的な滴の高さ及び輪郭は、材料の粘度及びそれが分配される温度により決定される。前に説明した様に、同じ場所の上に液体又は粘性材料の追加の滴を分配して組み合わせ、所望により、より大きな高さの最終的な滴を形成することができる。 本発明の別の実施態様は、PC基盤上に半田フラックスの滴を間隔をおいて選択的に塗布し、次いでそれらの滴を一緒に流し、一様な被覆又は被膜にする方法に関する。図5に関し、マザーボードとも呼ばれる、基盤の上表面304上に示す複数の電気的な相互接続部を有するPC基盤300を示す。これらの相互接続部は、薄い一様なフラックス材料の被膜を塗布すべき基盤区域に相当する周辺部の線306により取り囲まれている。フラックス材料を塗布した後、以下により詳細に説明する様に、多数の相互接続点を有し、接続点のそれぞれに半田の小球310を取り付けたフリップチップ308を基盤300に半田付けする。フリップチップ308は、チップ308の底表面312が基盤300の表面304と同じ方向で上を向く様に、PC基盤の近くに配置する。次いで、自動制御装置を使用し、チップ308の底表面312が基盤300の上表面304に対して配置され、半田球310のそれぞれが、基盤300の上表面304上の相互接続部302の一つと係合する様に、チップ308を裏返す。 オハイオ州ウエストレイクのノードソン コーポレーション(West lake,Nordson Corporation)から市販されているコンベヤ化した選択塗装装置の様な半田フラックスの滴を塗布する代表的な装置を図11に示す。それぞれパレット314上に載せられたPC基盤300が一連の隣接するコンベヤ316、318、320上を移動する。各パレット314及び基盤300は先ずコンベヤ316上の予備加熱区域323を通過し、基盤300は所望の呼び加熱温度、一般的に華氏約100°(F)?華氏約200°(F)、好ましくは約120°F?約130°Fに加熱される。次いで、パレット314は基盤と共に隣接する下流のコンベヤ318の上に移動し、そこでフラックスが、上記の様な分配装置10のバルブシート機構32を通して一連の滴として塗布される。 半田フラックスの滴322は、それらの滴が流れて一つになり一様な被覆又は被膜になる様に選択された場所に選択的に塗布され、各滴の大きさ及び滴間の間隔が選択される。例えば、図5及び6に示す様に、滴322は基盤300上の区域Aに一緒に流れ、図7に示す様な実質的に一様な被覆又は被膜326を形成する様に、図6に示す様な分布で塗布される。滴が確実に一緒に流れ一様な被膜を形成するための各滴の正確な大きさ及び間隔は、半田フラックスの組成及び粘度、半田フラックスの塗布温度、及びPC基盤300の温度により左右される。滴の量、滴の大きさ、滴の間隔、及び滴の列の数を調節し、被覆の所望の区域及び厚さを達成することができる。 半田フラックスをPC基盤に塗布する際の本発明の重要な態様は、正確に分布した滴が流れて一緒になり、縁部が明確に限定された半田フラックスの一様な被膜を形成する様に、半田フラックスを直径約0.125インチ、及び様々な大きさの滴で塗布することである。本発明の塗布方法により、約0.2ミル?約5.0ミルの塗布厚さを達成することができる。シリコンチップ312を半田付けするPC基盤に滴を塗布する典型的な方法では、フラックス層の厚さは約2.5ミル?約3.5ミルである。半田球は直径が一般的に約5ミルであるので、基盤300の表面304とチップ308の底表面312の間に約2ミルの空気間隙が伸びる様に、フラックス層は約2.5ミル及び約3.5ミルに選択する。この間隔の空気間隙で、フラックス支持表面をチップ308の底表面312に対して配置することにより、半田球310とそれらの対応する相互接続部302の間の接触が妨害されるのを防止する。 各基盤308を半田フラックスの滴で被覆した後、基盤は隣接する下流のチップ配置機械(不図示)への出口コンベヤ320の上に移動する。本発明の実施で使用する半田フラックスは、一般的に少量(例えば5重量%以下)の固体を含み、残りがイソプロパノール又は類似のアルコール、ビヒクル、活性剤、界面活性剤及び酸化防止剤であるローソリッドである。半田フラックスの非噴霧塗布は、マスキング又は過剰噴霧がないので、特に有利である。また、アプリケータがPC基盤に接触しないので、PC基盤が損傷を受けることもない。さらに、この自動化された方式は、先行技術の手動塗布又は他の自動塗布方式よりも速く、品質の良い塗布を行なうことができる。 コンベヤ316、318及び320は、プリント回路基盤308及びパレット314を分配ヘッド32の真下で移動させる簡単な一定速度のコンベヤでよい。PC基盤308は分配ヘッド32の真下に配置されると、それ以上移動せず、分配ヘッド32がフラックス塗布ルーチンを進行し、ヘッドの移動は好ましくはマイクロプロセッサー制御装置(不図示)により制御される。例えば、分配ヘッドがPC基盤上を、基盤の配置及び塗布すべき半田フラックス被膜の形状に基づいてプログラム化したパターンで移動する様に、分配ヘッド32を3本までの運動軸X、Y、Zで操作できるロボット上に取り付ける。一般的に、制御装置(不図示)が分配ヘッド32を静止したPC基盤308の上でコンベヤラインに全体的に平行な第1軸(X)に沿って移動させる。次いで、アクチュエータが分配ヘッド32をPC基盤308の上で第2軸(Y)に沿って横方向に移動させる。Z軸運動により、分配ヘッド32をプリント回路基盤に対して位置決めすることができる。分配ヘッドが基盤308を横切って移動する時の分配ヘッドの速度は高いので、分配操作全体は妥当なPC基盤処理速度(毎時1500枚を超えるPC基盤)に入り、商業的に許容される速度である。分配ヘッド32の横方向移動が完了すると、分配ヘッドは第1軸に沿って進行し、分配ヘッドをPC基盤の別の選択された作業経路上で配置する。この工程を、フラックスの滴が基盤の所望の部分の上に分配されるまで続行する。本発明で使用するには、簡単な一定速度コンベヤで十分であるが、PC基盤をフラックス区域を通して漸進的に供給できるより高度なコンベヤを使用することも本発明の範囲に入る。例えば、分配ヘッドを止めて複数回通し、基盤の選択された表面上に複数列の半田フラックスの滴が分配される様に、PC基盤及びパレットを漸進的に移動させる。この別の配置では、基盤と分配ヘッドの間の相対的な運動(第1軸に沿った)は、より複雑で高度のコンベヤ機構により与えられるので、分配ヘッドは横方向で(第2軸に沿って)作動させるだけでよい。 図7に示す様に、フラックスの被膜326が適切に塗布された後、半田球310を含むフリップチップ308を図5に示す様に基盤上に載せる。すなわち、ロボットにより操作される機構(不図示)により、チップ308をPC基盤300上に、チップの底表面312が基盤の上表面304に対して配置され、半田球310のそれぞれが基盤300の上表面304上の選択された相互接続部302と係合する様に配置する。次いで両者を再流動オーブン(不図示)中で加熱することにより、半田が軟化、流動してチップを基盤に相互接続する。フラックスは半田及びキャリア表面を浄化し、酸化物を除去し、チップと基盤の適切な接続及び導電性を確保する。 フリップチップの使用に関してプリント回路基盤に対する半田フラックス被膜を塗布を説明するが、図8に示す様なスルーホールを有する回路基盤328の特定区域にフラックスを選択的に塗布することも、本発明の範囲内に入る。次いで個々のフラックスの滴が互いに流れ、被膜又は被覆330を形成する。フラックスは、図8及び9に示す様に、区域Bの様な特定区域に塗布することができる。これは、選択されたスルーホールだけが、その中を通って伸びる半田付けすべき電気リード線(不図示)を有するので、有利である。 半田フラックス又は接着剤をプリント回路基盤に塗布することに関して説明したが、フリップチップをPC基盤に取り付ける様な電子部品の製造における、フラックス又は表面実装接着剤のドット又は滴を塗布することも、本発明の範囲内に入る。 分配装置10の第1の実施態様は少量の液体又は粘性材料を分配するのに効果的であるが、図13及び14に示す様な参考態様は、以下に説明する別の改良点を含む。分配装置400は、標準的な市販の液体又は粘性材料を充填したシリンジ12から、前に説明したプリント回路基盤の様な基材上に、フラックス又は表面実装接着剤の様な少量の液体又は粘性材料を分配するために使用する。分派位相400は、穴406により入口室408に接続された入口404を有する分配ハウジング402を含む。入口室408は、流動通路412を形成する流動穴410の上に配置されている。流動通路412の下側末端414の中には、プレスばめ及び半田付けの様な手段により出口区域414の中に固定された管状バルブシート機構416が配置されている。管状バルブシート機構416はその中を通って伸びる流動通路418を有し、バルブシート420は管状シート機構416の閉鎖された下側末端を通って伸びる出口開口部422の周りに配置されている。流動通路418の入口末端は流動穴410の流動通路412と流動連絡し、反対側の出口開口部422はノズル424と流動連絡しており、そのノズルは、分配ハウジング402の下側部分を形成する細長い加熱延長部品428の下側末端に固定されたノズルキャップ426により取り付けられている。 バルブシャフト430は、入口室408、流動穴410をとおり、バルブシート機構416の流動通路418の中に伸びている。バルブシャフト430は、バルブシート420と密封する様に係合し、出口開口部422を閉鎖する下側末端432を有する。バルブシャフト430の上部は、分配ハウジング402上に取り付けた制御機構436の中に配置されている。制御機構436は、バルブシャフト430を往復運動させ、バルブシート420と係合させて密封、及び解除する。また本発明により、加熱される延長部品428の周りに加熱機構438が配置され、取り外し可能に固定されており、以下により詳細に説明する様に、流動通路412中の液体又は粘性材料を加熱する。 分配装置ハウジング402は、入口404を入口室 408(そこを通してバルブシャフト430往復運動する様に受入れられている)に接続する全体的に水平な穴406を含む。通常のUカップスプリングシールの様な密封装置440が、シャフト430の周りに密封関係で配置され、室408の上に配置されており、室408を通って流動穴410の中に流れる粘性又は液体が、シャフトの周りでも制御機構436の中にも漏れない様にしている。図15に示す様に、バルブシート機構420は全体的にカップ形状の物体であり、開いた上端部、閉じた下端部、及びその閉じた下端部を通って伸び、その周囲にバルブシート440を有する出口開口部422を有する。バルブシャフト430の下端には全体的に半球状のヘッド444があり、バルブシート440に座る様に係合している。全体的に半球状のヘッド444を開示しているが、所望により他の形状のバルブヘッドも本発明の範囲内に入る。分配する材料の様々な大きさのドットを形成する様に、球及びシートの大きさを選択する。ノズル機構424(図16参照)は、一般的にねじ付きで黄銅又はステンレス鋼で形成するノズルキャップ426、及びノズルキャップ426の閉じた末端450を通る穴448の中に固定した細長いノズル446を含む。ノズル446は一般的に内径が約0.004?約0.016インチのチューブで製造する。このチューブはステンレス鋼材料で製造し、その上端452がノズルキャップ426の内側底表面454と同一平面上になる様に穴448の中に取り付ける。反対側の末端456はノズルキャップ426の外側底表面458を越えて伸びている。バルブヘッド444はノズル446の末端452から間隔をおいて配置されている。ノズル446は穴448の中に押し込み、所定の位置に接着、レーザー溶接又はろう付けすることにより穴の中に固定する。ノズルの構築には、上記の様なステンレス鋼チューブが好ましいが、本発明の譲受人であるノードソン コーポレーションから市販されているホットメルトノズル(部品番号237216)の様な黄銅ホルダーで構築し、ステンレス鋼挿入物を一般的に所定の位置にスウェージ加工した従来のホットメルトノズルで置き換えることも本発明の範囲内である。ノズルホルダー機構424は、ノズルキャップ426の内側即表面454が延長部428の底表面460に押し付けられる様に、加熱延長部品428の末端上に取り付ける。これによって、分配している液体又は粘性材料の加熱延長部品428とノズルキャップ426の内側底表面454の界面における漏れが阻止される。 図14及び15に示すように、加熱延長部品428の周囲に加熱機構438が配置され、複数のねじ(不図示)の様な通常の手段により、そこに固定されている。加熱機構438は、上部外側表面468と底部外側表面470の間に伸びる段差の付いた内側穴466を含むヒーターハウジング464を含む。横穴472がヒーターハウジング464の側壁474から段差の付いた内側穴466に伸びている。加熱素子476は段差の付いた内側穴466の中に配置され、一般的にアルミニウムの様な熱伝達材料で構築されたスプール478、通し穴480を有するが、この通し穴は、加熱延長部品428の外側表面482の上にスライドさせ、取り外しできる様に取り付けられる。サーマルホイル抵抗ヒーター484が外側表面486の周りに巻き付けてあり、その両側でエポキシ488により所定の位置に固定されている。板490が横穴472の開口部を閉鎖し、通常のバルクヘッド電気コネクタ492がその上に取り付けてある。それぞれ2本の2組のワイヤ494及び496が熱抵抗ヒーター484をバルクヘッド電気コネクタ492に接続して温度を制御し、熱抵抗ヒーターに給電している。ワイヤケーブル(不図示)が電気コネクタ492を第1の実施態様で説明した温度制御装置に接続している。 図2に示す様な本発明の第1の実施態様で提供する加熱素子50と比較してた場合の加熱素子462の構造の重要な特徴は、ノズル機構424及び加熱延長部品428を清掃目的で取り外す時に、加熱機構462を加熱延長部品から容易に分離できることである。取り外しは、ねじ込んだノズル機構426を加熱延長部品428から外すことにより簡単に達成できる。次いで、一般的に加熱延長部品を通り、分配ハウジングの中に伸びるねじ(不図示)を除去することにより、加熱延長部品を分配ハウジング402から外すことができる。次に、第1実施態様では問題となる場合があるヒーター制御装置へのワイヤを引っ張ることなく、加熱機構462を加熱延長部品の外側表面480からスライドさせて外すことができる。加熱延長部品を溶剤に浸漬し、そこに蓄積していることがある液体又は粘性材料を清掃できる様にするためには、加熱機構462を加熱延長部品428から除去することが重要である。溶剤は、エポキシを溶解させ、熱抵抗ヒーター484を壊すことがあるので、加熱素子476に接触してはならない。必要であれば、上表面468にある穴466の開口部を通してスプール478をヒーターハウジング464から、取りはずすことができる。スプール478は、穴466の上端部の周囲に配置されたタブ498とスプール478の間の僅かな絞りばめにより所定の位置に保持されている。 第1の実施態様の別の変形は、図14に示す様な、バルブヘッド432をバルブシート420から間隔をおいた第1位置(不図示)及びバルブシート420と係合する第2位置(図14及び15に示す)の間で往復運動させるための制御機構に関する。第2位置は、液体又は粘性材料が流動通路412中に蓄積し、以下に説明する様に、加熱素子476により予め設定された温度に加熱されるので待機位置である。図14で分かる様に、制御機構436はハウジングブロック500を含む。軸方向に配置された縦穴502は、ハウジングブロック500を通って伸び、分配装置400を組み立てた時、バルブシャフト430の周りに同軸で配置される。バルブシャフト430は、穴502を通って伸びて上端から段差付き穴室の中に突き出ており、その段差付き穴室の下側穴506は中間穴508と交差している。その中間穴508は、これよりも大きな直径を有する上側穴510と交差し、止め表面512を形成する。第1実施態様における円筒形密封部品118と実質的に等しい円筒形密封部品514を有する空気作動式ピストン513が支持構造516上に取り付けてあり、その穴518の中をバルブシャフト430が伸び、そこに取り付けてある。ピストン513は穴510の中で往復運動し、ピストンの下の穴の空気の中で空気室507を形成する。ハウジングブロック500を通り、穴502に対して横方向に伸びる空気入口520は、加圧空気の供給源(不図示)に接続されている。図13に示す空気ソレノイド515は分配装置400の正面に取り付けてあり、穴520から空気を受け取る。ソレノイド515は空気室507の中への空気流を制御し、空気ピストン513及び第1実施態様の図1に示す空気シールと実質的に等しい空気シール514の下の空気流を制御する。シール522と等しいシール522がバルブシャフト430の周りで、穴502と中間穴508の間の下側穴506の中に配置され、バルブシャフト430の運動に影響することがある上側穴510の中への空気の漏れを阻止している。 スプリングハウジング523はハウジングブロック500の上表面に取り付けてあり、中央穴524が形成されている。スプリング保持部526はバルブシャフト430の上端部上に固定されており、支持構造516に押付けられている。カップ状スプリング調節部品528はスプリングハウジング522にねじ込んで固定してあり、その中を通る細長い段差付き穴530を有する。圧縮スプリング532が、スプリング保持部526と、穴530の異なった直径を有する2つの部分が交差する所に形成された表面534の間に伸びている。スプリング調節部品528をスプリング保持部526により近い位置に、又はそこからより遠い位置にロックできる様に、ロックナット536がスプリング調節部品528にねじによりねじ込んで固定してある。スプリング532の圧縮は、スプリング部品528がスプリング保持部526に向かって移動すると増加し、これから遠ざかると減少する。第1実施態様に関して説明した様に、圧縮スプリング532によりスプリング保持部526に、さらにバルブシャフト430を通してバルブヘッド432に加えられる閉鎖力は、所望の閉鎖力(一般的に約13?約17ポンド)を与える様に注意深く調節しなければならない。本発明の別の態様は、上側穴530の中に取り付け、設定ねじ540の様な通常の手段により所定の位置に固定する通常の微調整装置538を含むことである。微調整装置538は円筒形の延長部品542を有し、その底表面は、通常はバルブシャフト430の上端546から隔置されている。延長部品542の底表面544とバルブシャフト430の上端の間隔は、流体をノズル機構424を通して分配している時、バルブシートから離れたバルブヘッド432の位置を制御するのに重要である。 図14及び15に示す参考態様の利点をさらに理解するために、以下に図1に示す第1実施態様との違いを取り立てて説明する。液体又は粘性材料(一般的にフラックス又は表面実装接着剤)の加圧シリンジ12を入口開口部404に配置し、液体又は粘性材料を穴406の中に押し込み、次いで入口室408の中、及びその下の流動通路412に流し込み、バルブヘッド432がバルブシート420に接している間に、管状シート機構416内の流動通路418を少量の液体又は粘性材料で満たす。加熱延長部品428は、黄銅の様な熱伝達性材料で形成されており、加熱延長部品428の周りに配置された加熱素子462から熱を伝達し、流動通路412中の液体又は粘性材料を加熱する。液体又は粘性材料を加熱し制御する温度は、分配装置400により分配される特定の材料により異なる。代表的な温度範囲の例は前に記載してある。バルブヘッド432をバルブシート420に対して開閉すると共にシリンジ12により流体圧力を供給することにより、粘性材料はオリフィスからノズル機構424を通り、細い流れとして押し出される。前に詳細に説明した様に、バルブシート420を閉鎖するバルブヘッド432の衝撃により、流動する材料が急激に減速し、流れが滴に分断される。液体又は粘性材料は、加熱延長部品の金属本体を通る熱の伝導により、流動通路412の中及び管状シート機構416の中で加熱される。 空気ソレノイドから空気ピストン514の下の空気室への加圧により、バルブシャフト430及びバルブヘッド432がシート38から後退し、バルブが開く。支持構造516によりバルブシャフト430に固定された空気ピストンは、圧縮スプリング532の力に抗してバルブシートから離れる方向に、微調整装置538の底表面とバルブシャフト430の上端546の間の空間により設定される間隔だけ移動する。微調整により、必要な滴の大きさに応じてこの間隔を正確に制御することができる。 バルブヘッド432はバルブシート420に対して非常に短い時間で、すなわち約1000分の22.6秒間未満、好ましくは約1000分の10.3秒間未満、で閉鎖しなければならない。空気ピストン514の下の空気室504の中にある空気は、排気通路(不図示)を通して空気ソレノイド515の中に排気される。同時に、圧縮スプリング532がバルブヘッド432をバルブシート420に座った位置に急速に移動させる。第1実施態様と同様に、バルブヘッド432のシート420に対する閉鎖の衝撃力がノズル456から分配される液体又は粘性材料の流れを分断し、材料の滴を形成する。 分配装置400の第2実施態様は、少量の液体又は粘性材料を分配するのに効果的に働くが、第2の装置400の管状シート機構416及びノズル機構424をさらに改良した。図17及び18には、第2装置400の管状シート機構416を置き換えられる改良された管状シート機構600を示す。図19、20、及び21は、第2装置400のノズル機構424を置き換えられる改良されたノズル機構602を示す。 図17及び18において、管状シート機構600は、入口末端604、出口末端606及び流動通路608を形成する段差付き軸方向穴607を有する管状部品601で構築されている。段差付き軸方向穴607は、第1直径を有する上側穴壁609及び第1直径よりも小さな第2直径を有する下側穴壁610を含むバルブシート612は上側穴壁609と下側穴壁610が交差する所に配置され、入口末端604よりも出口末端606の近くに位置している。複数の細長い614A、614B、614Cが管状シート機構600の第1穴壁609と一体形成され、内側方向に流動通路608の中に突き出ており、バルブヘッド444’が管状シート機構600の中で往復運動する時にそれを支持する。本願の明細書を通して、プライム付き番号は、同じ、プライム無しの同じ番号により表される構造的要素と実質的に等しい構造的要素を表す。3本の細長いガイド614A、614B、614Cを示しているが、あらゆる形状の異なった数のガイドを使用することも本発明の範囲内に入る。図19、20、及び21には、組み立て、プレスばめ及び半田付けの様な手段により、延長部品428’の出口区域414’の中に固定した管状シート機構600を示す。流動通路608の入口末端604は流動穴410’の流動通路412’と流動連絡し、反対側の出口開口部606は延長部品428’の上にねじ込んで固定したノズル機構602と流動連絡している。 ノズル機構602は、図19、20、及び21に示す様に、内側にねじ山を付け黄銅又はステンレス鋼で形成されたノズルキャップ426’を含む。ノズルキャップ426’の閉じた末端450’を通る穴448’の中に細長いノズル616が固定されている。ノズル616は、細長いオリフィス622を有する円筒形のチューブであり、一般的にステンレス鋼材料で構築され、ノズルキャップ426’の穴448’の中に、ノズルの上端618が閉じた末端450’の内側底表面454’と同一表面上になる様に取り付けてある。ノズル616の反対側の下端は、ノズルキャップ426’の外側表面458’を越えて伸びている。ノズル616は穴448’の中に押し込み、ノズル616の内側表面すなわち細長いオリフィス622が損傷を受けない様に、レーザー溶接、接着又はろう付けなどの方法で穴448’の中に固定されている。ノズル616は、一般的に薄壁チューブで構築され、外径が約0.012?約0.050インチであり、長さが約0.020?約0.100インチである。細長いオリフィスは一般的に直径が約0.002?約0.016インチである。細長いオリフィス622は、長さ対直径の比が約50対1まで、好ましくは少なくとも約25対1、最も好ましくは少なくとも約3対1である。ノズル616の末端620及び末端620に開いている細長いオリフィス622は、テフロン、シリコーンの様な重合体、又はセラミックを含む低エネルギー表面被覆で被覆してあるのが好ましい。低エネルギー表面被覆は、細長いオリフィスを通る流体の流れを改善し、末端620の表面上に粘着する流体の量を減少させる様に機能する。さらに被覆は、ノズルの末端から垂れ下がる材料による濡れを抑え、それによって糸がより小さな直径を有し、より小さな滴を形成する様になる。この効果は、末端620を研磨表面仕上げするか、又はノズル616を完全にプラスチックで構築することによっても達成できる。ノズル616の構築に使用するチューブは、ノズルから分配されている材料が下端620に粘着し、ノズルから分配されている材料の流れがノズルの外径に実質的に等しい直径を有する様になるので、薄い壁を有する。 ノズル機構602は、ノズルキャップ426’の内側底表面454’が延長部品428’の底表面460’に押し付けられる様に取り付ける。これによって、分配されている液体又は粘性材料が延長部品428’とノズルキャップ426’の内側底表面454’の界面から漏れるのを防止する。 再び図19、20、及び21に戻して、バルブシャフト430’は、バルブシート機構600の流動通路608の中に伸びている。バルブシャフト430’は一端にバルブ432’を有し、これがバルブシート612と密封係合し、図18に示すバルブシート機構600の外側開口部606を閉鎖する。バルブシャフト430’の上側部分は、前に説明した様に制御機構436の中に配置されている。制御機構436は、バルブシャフト430’を往復運動させ、バルブ432’をバルブシート612と係合させ、シートから離脱させる。バルブ432’は、図19に示す様なバルブシート612から距離「d」離れた第1位置、図20に示す様な第1位置「d」よりもバルブシート612の近くに間隔をおいた第2位置「e」、及び図21に示す様なバルブシート612と係合した第3の位置を有する。第1位置「d」はバルブシート612から約0.050インチにある。第2位置「e」は、ノズルオリフィス622の直径の約3倍未満の距離、好ましくはノズルオリフィス622の直径の約1.5倍未満の距離にある。すなわち、第2位置はバルブシート612から約0.006?約0.048インチ未満、好ましくはバルブシート612から約0.003?約0.024インチ未満である。 改良した管状シート機構600及び改良したノズル機構602を備えた分配装置400の試験により、分配装置の効果的な運転は、ノズル616から分配される粘性材料の流れを効果的に分断し、ドット形成する効果と、流れを複数の断片に分断して衛星を形成、散布、又は噴霧する好ましくない効果との微妙なバランスであると考えられる。試験により、液体又は粘性材料のドットは、実際にはノズル616の出口末端620から分配される液体又は粘性材料の糸又はカラムとして形成される。バルブ432’がシート612に対して急速に閉鎖することにより発生した糸に対する力が糸の強度を超えた時に、この糸は分断される。ノズル616の出口末端620から伸びる液体又は粘性材料の糸が複数の位置で分断する様に、繊維又は破片を形成せずに分断することが重要である。ある種の状況では、糸が一又は二箇所で分断されるが、第2及び/又は第3の断片が第1及び/又は第2断片の直後にあり一つに合併するので、それでも妥当なドットを形成することがある。しかし、この種の挙動は、衛星を形成することがあるので、最少に抑えるべきである。 分配装置400は、ノズル616の上流に送られる液体又は粘性材料の流れに対する圧力を蓄積することにより、ノズル616から分配される流れを加速し、次いでバルブ432’をシート612に対して急速に閉鎖して流れを減速し、その流れを材料の滴に分断する力を発生する。こうして、ノズル中の剪断流動力と、押し出された流れの中の伸長流動力の複雑で動的なバランスが存在する。これらの力が発生する比は、使用可能などの測定技術でも測定不可能である。 ドット分断を解析するために開発した基本的なモデルにより、ドットを分断するための最小値として600メートル/秒^(2)が推定される。このモデルは、糸の降伏応力(強度)、及び糸の減速と質量による慣性力の間の簡単なバランスである。このモデルは、純粋に粘性の材料に当てはまる伸長降伏応力は剪断降伏応力の3倍であるという仮定に基づいている。このモデルは下記の仮定を使用して開発されている。 d=ドットの直径 r=ドットの半径=2/d c=糸の直径 h=糸の長さ h(d,c)=4r(d)^(3)/6r(c)^(2) ρ=接着剤の密度1xgm./cm^(2) σ=接着剤の降伏応力=500x3Pa(パスカル) M=糸の質量M(d,c)=ρxπxr(c)^(2)xh(d,c) F(c)=分断に必要な力=σy xπxr(c)^(2) a(d,c)=力を発生するのに必要な加速 F(c)/M(d,c) 解析すべきドットの直径が0.020インチである場合、 c=0.006インチ h=0.074インチ M(d,c)=3.432x10^(-5)gm F(c)=2.736x10^(-5)kg m sec^(-2) a(d,c)=797m/sec^(2) 同様に、上記のパラメータを、ドット直径0.008?0.040インチの範囲について計算した。その結果を図22のグラフに示す。 図23は、より一般的な伸長挙動を示すが、これにより、非常に低い(0.001s^(-1))伸長速度では、弾性の影響は無視でき、伸長粘度は剪断粘度の3倍であるので、より高い加速が推定される。より高い速度では、伸長強度(繊維破断点における粘度)は3より数倍高い。必要な加速及び減速する流れを作るには、分配装置を通る複雑な剪断流が必要である。バルブ432’は、最初はバルブシート612から最も遠い第1位置「d」から下方の第2位置「e」に加速する。この距離により、バルブシャフト430’は、大量の材料がノズル616から出る前に必要な速度に加速することができる。バルブ432’の前進速度は、バルブ432’で局所的な高圧を発生するには、少なくとも約50cm/秒、好ましくは80cm/秒、最も好ましくは100cm/秒を超えている必要がある。液体又は粘性の流体は管状部品601の入口末端604に、すなわち液体又は粘性材料の供給源に向かって、あるいは出口末端606に向かって移動することができる。供給源は加圧、すなわち約10psiの下にあるが、612を横切る流動面積よりもはるかに大きな流動面積(バルブシャフト430’と流動穴607の壁の間の輪状区域)の影響により、大部分すなわち約90%の材料が供給源に向かって逆流する。例えば、コンピュータによる流体力学シミュレーションは、供給源に向かって逆流する流体の速度は約70cm/秒であるのに対し、ノズル中の流体の速度は約10cm/秒である。バルブ432’が第2位置、すなわちシートから約1.5?約3ノズル直径に近付くにつれて、バルブ432’とシートの間にある面積はますます狭くなる。この運転段階中、ノズル616を通る流体流動の速度は約20cm/秒に増加し、シート区域における圧力低下は約70psiである。バルブ432’がシート612にますます近付くにつれて、バルブとシートの間の流体流動はより制限される。これが、供給源に戻る流体流動の量を約75%減少させ、ノズル616における流量が約20cm/秒に増加する。バルブ432’が第2位置「e」を通ってバルブシート612に移動した後、バルブ432’とシート612の間の流れはほとんど制限され、そのために流動速度が100cm/秒に近付き、バルブ432’とシート612の間の圧力低下が約500psiになる。この段階で、ノズル616中の流れは約30cm/秒に加速する。この解析では、速度は主としてバルブ432’及びバルブアクチュエータ430’の幾何学的構造及び速度の関数であり、特定の材料にはほとんど無関係である。圧力低下の評価は選択した流体粘度モデルに直接関係する。これらの評価は、粘度(ポアズ)=661+3725/剪断率であるモデルに基づいている。これは、ドットガンで塗布される多くのエポキシ材料に代表的である。バルブ432’がバルブシート612に座ると、材料の排出が直ちに停止し、流動通路608が閉鎖され、供給源からの材料の流れが阻止される。ノズル616中の液体又は粘性材料の流れが直ちに停止する。ノズル616の外の液体又は粘性材料の糸が30cm/秒で移動しており、その一部が0.1ミリ秒間で停止する場合、加速度は600m/秒^(2)を超える。これは前に考察した基本的なモデルで記載した3,000m/秒^(2)の概算よりはるかに高い。材料が1ms、0.1ms、あるいは0.01msで停止するという明確な証拠はないが、0.1msは妥当な見積もりであると考えられる。 ドットの加速及び減速、したがってドットに対する力に影響する重要な変数は、下記の通りである。 a)流体の密度及びドットの大きさにより設定される形成されるドットの質量、 b)ノズル先端における濡れた面積により設定される形成される流れの直径、 c)バルブの直径、速度及び流体粘度により設定されるバルブにより発生する圧力、 d)オリフィスの長さ及び直径により設定されるノズルオリフィス中の圧力低下、 e)シャフトとハウジングの間の輪状区域の長さ、シャフトの直径、及びハウジングの直径により設定されるバルブから供給源に戻る圧力低下、及び f)バルブ直径及びシート直径により設定される、バルブ位置により変化するバルブとシートの間の圧力低下。 本発明が、上記の目的、手段及び利点を満たす液体又は粘性材料の少滴を分配するための装置及び方法を提供していることは明らかである。本発明により、少量又は少滴の液体又は粘性材料を分配するための方法及び装置は、加熱したノズルの細長いオリフィスを通して材料を分配する前に、少量の液体又は粘性材料を先ず加熱することにより達成される。次いでバルブをシートに対して急速に閉鎖し、同時に所望の量の液体又は粘性材料をオリフィスから排出し、バルブのバルブシートに対する閉鎖により材料に加えられるエネルギーにより、オリフィスから材料の滴を分断する。本発明の別の実施態様は、少なくとも2個の滴を同じ所に落下させて組み合わせ、基材上に所望の形状の最終的な滴を形成することにより、ノズルの細長いオリフィスを通して基材上に分配される液体又は粘性材料の滴の数を変化させる方法に関する。本発明の別の実施態様は、ノズルヒーターの温度を設定することにより、滴を分配する基材の表面から上の液体又は粘性材料の1個以上の滴の上表面の高さを変化させる方法に関する。本発明のさらに別の実施態様は、フラックスの滴が一緒に流れ、所望の大きさ及び厚さの一様な被膜を形成する様に、PC基盤の様な基材の表面上にフラックスの複数の滴を選択的に塗布する方法に関する。本発明の参考態様は、分配装置ハウジングにヒーター機構を取りはずしできる様に取り付け、装置の分配部分及びノズルを清掃する時に簡単に取りはずせる様にした分配装置に関する。本発明の別の実施態様は、バルブがバルブシートに対して3つの位置を有する改良されたシート機構、及びノズルが薄壁チューブで構築され、プラスチックで被覆できる改良されたノズル機構に関する。 以上、本発明をその実施態様と組み合わせて説明したが、上記の開示から、当業者には多くの代案、修正及び変形が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、その様な代案、修正及び変形をすべて、付随する請求項の精神及び範囲の中に入るものと考える。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2008-09-30 |
結審通知日 | 2008-10-08 |
審決日 | 2008-10-21 |
出願番号 | 特願平9-519118 |
審決分類 |
P
1
123・
121-
ZA
(B05C)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 元人 |
特許庁審判長 |
早野 公惠 |
特許庁審判官 |
西本 浩司 深澤 幹朗 |
登録日 | 2004-11-12 |
登録番号 | 特許第3616105号(P3616105) |
発明の名称 | 少量の液体材料を分配するための方法及び装置 |
代理人 | 須藤 晃伸 |
代理人 | 重入 正希 |
代理人 | 森田 聡 |
代理人 | 須藤 阿佐子 |
代理人 | 重入 正希 |
代理人 | 竹田 稔 |
代理人 | 近藤 惠嗣 |
代理人 | 近藤 惠嗣 |
代理人 | 森田 聡 |
代理人 | 川田 篤 |