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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1195881
審判番号 不服2007-7113  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-08 
確定日 2009-04-16 
事件の表示 特願2000-11576号「空気調和装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年7月27日出願公開、特開2001-201149号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成12年1月20日の特許出願であって、平成19年2月2日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年2月6日)、これに対し、同年3月8日に審判請求がなされたものである。
本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年12月14日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「圧縮機、室内熱交換器及び室外熱交換器からなる冷媒回路を有し、該室内熱交換器と送風機と吹出口と該吹出口に設けられた送風方向を可変可能な風向ベーンとを有し、送風機の回転数及び風向を変更可能な室内ユニットを被空調室の天井に配置した空気調和装置であって、暖房運転時に所定のタイミングで前記圧縮機の圧縮容量を低下するか若しくは圧縮機の運転を停止するとともに、暖房運転時と略等しい送風機の回転数を維持し、前記風向ベーン角度を経時的に変動させて送風方向を変更させながら前記送風機を運転するサーキュレーション運転を行うことを特徴とする空気調和装置。」

2.刊行物
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平1-169256号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「(1)室内温度検出手段の温度出力と、設定温度検出手段からの温度出力をもとに、室内の熱負荷量を判定する熱負荷量判定手段と、前記室内温度検出手段及び前記温度検出手段が検出した温度を入力信号として室内温度の変化量を測定する温度変化率測定手段と、前記温度変化率測定手段及び熱負荷量判定手段の両者の出力信号に基づき吹出し角度を判定する吹出角度判定手段と、吹出し角度を任意に切替える吹出角度切替手段と、吹出し角度の時間制御手段を備えたことを特徴とする空気調和機。
(2)前記温度変化率測定手段からの出力信号及び熱負荷量判定手段からの出力信号のいずれもがあらかじめ設定された値よりも小さいときのみ時間積算手段及び吹出角度切替手段により吹出角度を天井面に沿う略水平吹出しと、斜め下方吹出しを交互にくり返す吹出角度の時間制御手段を備えたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の空気調和機。」(第1頁左下欄第5行?右下欄第3行)

イ.「1は天井埋込型の空気調和機の室内機であり、天壁2に固定ボルト3により固定され、室内機1の下面は天井4と略同-面上に開口している。室内機1は外殻5と下面グリル6とから構成し、その内部には冷却システムの室内側熱交換器7a、7bが、またその各々と熱交換可能な様に送風機8を設置している。」(第1頁右下欄第10?16行)

ウ.「また各々の吹出し風向をコントロールするため可動式のルーバ12a、12bを設置している。」(第2頁左上欄第5、6行)

エ.「以下本発明の一実施例を第1図から第5図により説明する。尚、従来と同一のものについては説明を省略し、異なる点のみについて述べる。
」(第3頁右上欄第15?17行)

オ.「室14を使用する人が、空気調和機1の電源を投入したのち、ステップ32で所望の室温Tsetに温度設定する。
またステップ33では吸込口10の略中央部に設けた室内温度検出手段19により初期の室温Toを検出する。そしてあらかじめ設定された時間θを経過すれば、再び室内温度検出手段19により室温T_(1)を検出する(ステップ34)。
そしてステップ35では、室温T_(1)と、設定温度Tsetの両者から次式にて熱負荷量ΔT_(L)を計算する。
ΔT_(L)=Tset-T_(1)
そしてあらかじめ設定された基準熱負荷量Δt_(L)と演算した熱負荷量ΔT_(L)とを比較する。ここで熱負荷量ΔT_(L)が基準熱負荷量Δt_(L)よりも大きいとき、つまり室温T_(1)が設定温度Tsetとの差が大きい場合にはNoの側に進み、ルーバ12a,12bの天井面からの角度を大きくとり斜め下方吹出しとなる様ルーバーを駆動する(ステップ36)。一方室温T_(1)と設定温度Tsetとの差が小さいときはYESの側のステップ37へと進む。ステップ37では、初期の室温Toと、一定時間後の室温T_(1)により温度変化率ΔTを次式
ΔT=|To-T_(1)|/θ
にて演算する。そしてステップ38では、あらかじめ設定された基準温度変化率Δtと前記温度変化率ΔTとを比較する。ここで温度変化率ΔTが、基準温度変化率Δtよりも大きい場合、つまり、立上り運転時の様に室14の温度変化が激しく、過渡運転期の場合には、Noの側に進み、ダンパー31a、31bを吹出角度切替手段25a、25bにより斜め下方吹出しとなる様に判定される(ステップ39)。そして吹出角度切替手段25a、25bにより各ダンパー31a、31bを天井面からの角度を大きくとる位置に設定する。この結果、運転開始初期の様な立上り運転時あるいは、外気温と室温との差が非常に大きい様な高負荷がかかる運転時には吹出角度切替手段25a、25bのコイルに通電されず、コイルはちぢんだ状態となり第2図実線の位置に風路29aと斜め下方吹出し口28aが連通するため、第4図の様に温調された空気を直接居住域内に吹き出すことが可能であり、居住域をすばやく設定温度に近づけることができる。そして室14の温度がほぼ設定温度に近づくと熱負荷量ΔT_(L)及び温度変化率ΔTはだんだんと小さくなり、熱負荷量ΔT_(L)は基準熱負荷量Δt_(L)よりも小さく、温度変化率ΔTは基準温度変化率Δtよりも小さくなる。この結果、ステップ38でYESの側に進み通電可能な形状記憶合金でできたコイルからなる吹出角度切替手段25a、25bに通電され温度上昇に伴ないコイルが第2図破線の如く伸びるためダンパー31a、31bは、斜め下方吹出し口28a、28bを遮へいする。従って熱交換した空気は、水平吹出し口27a、27bを通り、天井面に略水平に天井面に沿って吹き出される(ステップ40)。そしてタイマーから成る吹出角度の時間積算手段24によりあらかじめ設定された一定時間だけ水平吹出し状態をキープする。このため吹出した空気は第5図の様に天井4に沿って流れ、対向する側壁15、16の上部にぶつかる。このためぶつかった流れは下方の流れに変化し、側壁15、16に沿って下方に流れていく。そして床17に到達したのち床17を広がりながら、室内機1の吸込口10から吸込まれていき、室14内全体に大きなサーキュレーションを発生させる。このため居住域には強風が発生せず、室14の周囲からソフトな温調が可能となる。そして一定時間が経過すれば、吹出角度切替手段25a、25bのコイルへの通電は停止し、水平吹出し口27aは遮へいされる。このため吹出しの方向は、斜め下方吹出しと変化し居住域へ直接温調された空気を送りこむ。そしてこの斜め下方吹出状態を一定時間維持する。一定時間経過後、再び室内温度変化率及び熱負荷量を判定しこれらのいずれもが小さければ、前述の様に水平吹出しと斜め下方吹出しを交互にくり返す。このため、室14の周囲からソフトに温調しながら、居住域を直接冷暖房も行なうので、より高い快適空間が得られる。」(第4頁左上欄第4行?第5頁左上欄第2行)

カ.「一方、室14の温度が設定温度に近づき、熱負荷量ΔT_(L)及び温度変化率ΔTのいずれもが基準値よりも小さくなれば、吹出す方向を、天井に水平な吹出しと斜め下方吹出しを交互にくり返す様に吹出しを制御する。一定時間だけ天井面に沿った流れを発生させると吹出し空気は、天井面に沿って流れるので、風速は減少しにくく、天井面を温調しながら、側壁15.16に到達したのち側壁15、16に沿って下方に流れていき床面17をへて、室内機1の吸込口10に吸込まれていく。この結果、室14には壁面に沿った大きなサーキュレーションが発生する。つまり室14がほぼ安定した温度に到達すれば、吹出しを居住域外の天井付近とし、居住域を外側から温調することになる。このため、居住域に強い風が到達することがなくなり、風が当ることによる不快感をなくする。又、壁に沿った流れであり、気流は減速しにくく、確実にサーキュレーションする。
特に暖房時には天井4付近に高温空気が滞留しやすいが頭よりずっと上方を無駄に温めていた。この様な高温空気を、水平吹出し流により吹きとばすことにより、居住域内に運び込むことが可能となる。
そして一定時間経過後は、吹出しを斜め下方吹出しとし、居住域内を直接温調することにより、室内機の真下付近の居住者も充分に温調を行なうので、非常に質の高い快適空間を提供できる。」(第5頁左上欄第8行?右上欄第15行)

上記記載事項及び図面の記載内容からみて、刊行物1には、次の発明が記載されている。
「室内側熱交換器7a、7b、送風機8、水平吹出口27a、27b、斜め下方吹出し口28a、28bを有し、
吹出角度を任意に切替可能な室内機1の下面を室14の天井4と略同一面上に開口した空気調和機であって、
暖房時に室14の温度が設定温度に近づき、熱負荷量、及び、温度変化率のいずれもが基準値よりも小さくなれば、吹出角度の時間制御手段により吹出す方向を、天井面に相略水平吹出しと斜め下方吹出しを交互に繰り返すように制御することにより、壁面に沿った大きなサーキュレーションを発生させ、天井4付近に高温空気が滞留しないようにした空気調和機。」

(2-2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-316944号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「また、本発明は、24時間空調モードが選択され、被空調空間内の騒音が一定の条件を下回っている場合には、自動的に圧縮機の運転周波数を所定の設定回転数で運転することにより、快適性の向上および省エネを行なうことを目的としている。」(段落【0010】)

イ.「また、24時間空調モードで運転した場合は、圧縮機の運転周波数を所定の設定回転数で運転するとともに(例えば最小運転周波数)、圧縮機の運転、停止に関わらず、室内送風機が所定の回転数で連続運転するため、サーキュレーション効果により上下の温度差を減少させ快適性を向上させるとともに、省エネを図ることが出来る。
さらに、再度負荷対応空調モードが選択された場合、立ち上がり時間が著しく早くなり快適性向上および省エネを図ることが出来る。」(段落【0029】、【0030】)

ウ.「・・・、暖房時・・・」(段落【0045】)

上記記載事項及び図面の記載内容からみて、刊行物2には、次の発明が記載されている。

「24時間空調モードで運転した場合には、圧縮機の所定の設定回転数での運転、停止にかかわらず、室内送風機を所定回転数で連続運転させ、サーキュレーション効果により上下の温度差を減少させ、快適性を向上させ、省エネを図った空気調和機。」

3.対比
本願発明と刊行物1に記載された発明を対比する。
刊行物1に記載された発明の「室内側熱交換器7a、7b」は、本願発明の「室内熱交換器」に相当し、同様に、
「水平吹出口27a、27b、斜め下方吹出し口28a、28b」は「吹出口」に、
「吹出角度を任意に切替可能」は「風向を変更可能」に、
「室内機1」は「室内ユニット」に、
「室14」は「被空調室」に、
「下面を室14の天井4と略同一面上に開口」は「天井に配置」に、
「空気調和機」は「空気調和装置」に、
「暖房時」は「暖房運転時」に、
それぞれ相当する。

そして、刊行物1に記載された「空気調和機」が、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器からなる冷媒回路を具備することは、当業者にとって明らかである。
また、刊行物1に記載された発明の「室14の温度が設定温度に近づき、熱負荷量、及び、温度変化率のいずれもが基準値よりも小さくな(る)」ことについて検討する。本願明細書の発明の詳細な説明には、「Trs(設定温度)<Tri(室内温度)+1」(段落【0022】)、即ち、室内温度が設定温度に1度以内の範囲にまで近づくことを、「所定のタイミング」としている。したがって、刊行物1に記載された発明の「室14の温度が設定温度に近づき、熱負荷量、及び、温度変化率のいずれもが基準値よりも小さくな(るとき)」は、本願発明の「所定のタイミング」に相当する。
さらに、「圧縮機の圧縮容量」は、「熱負荷量」に比例して制御されるものであり、熱負荷が小さくなれば圧縮機の圧縮容量を小さくするように制御するものである。そして、「圧縮機の圧縮容量」を小さくするためには、「圧縮機の圧縮容量」を低下させるか、「圧縮機」の運転を停止させればよいことは、当業者にとって技術常識である。したがって、刊行物1に記載された発明において、「室14の温度が設定温度に近づき、熱負荷量、及び、温度変化率のいずれもが基準値よりも小さくな(った)」ときには、「圧縮機の圧縮容量は「低下」されるか若しくは「圧縮機の運転」は停止されることになる。
また、刊行物1に記載された発明の「吹出角度の時間制御手段を備え」は、時間制御手段により、吹出角度を時間に応じて変化させるものであるから、本願発明の「風向角度を経時的に変動させて送風方向を変更させ」と同義である。
さらに、刊行物1に記載された発明に「壁面に沿った大きなサーキュレーションを発生させ」とあるが、ここで言う「サーキュレーション」には、圧縮機の圧縮容量が低下した暖房運転時及び圧縮機の運転を停止した送風のみが行われる運転時の両方の運転において行われる「サーキュレーション」が含まれている。一方、本願発明における「サーキュレーション運転」には、圧縮機の圧縮容量が低下した暖房運転時及び圧縮機の運転を停止した送風のみの運転時の両方の運転において行われる「サーキュレーション運転」が含まれている。したがって、刊行物1に記載された発明の「サーキュレーションを発生させ」は、本願発明の「サーキュレーション運転を行う」と同義である。

ゆえに、上記両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「圧縮機、室内熱交換器及び室外熱交換器からなる冷媒回路を有し、該室内熱交換器と送風機と吹出口とを有し、風向を変更可能な室内ユニットを被空調室の天井に配置した空気調和装置であって、暖房運転時に所定のタイミングで前記圧縮機の圧縮容量を低下するか若しくは圧縮機の運転を停止するとともに、前記風向角度を経時的に変動させて送風方向を変更させながら前記送風機を運転するサーキュレーション運転を行う空気調和装置。」

[相違点1]
吹出口について、
本願発明では、吹出口に送風方向を可変可能な風向ベーンを設けているのに対して、
刊行物1に記載された発明では、この発明特定事項を備えていない点。

[相違点2]
暖房運転時に行われる、サーキュレーション運転における送風機の回転数について、
本願発明では、送風機の回転数を変更可能とし、暖房運転時と略等しい送風機の回転数を維持させるのに対して、
刊行物1に記載された発明では、サーキュレーション運転における送風機の回転数をどのような値に制御するのか不明である点。

4.当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
まず、上記相違点1について検討する。
空気調和装置の技術分野において吹出口に送風方向を可変可能な風向ベーンを設けることは、本願出願前周知の技術事項である(例えば、刊行物1の前記2.(2)ウ、特開昭62-276353号公報の第2頁左下欄第13?20行、特開平3-233248号公報の第4頁左下欄第15行?右下欄第5行、特開平6-341692号公報の段落【0011】参照)。
したがって、刊行物1に記載された発明の風向を変更可能な吹出口に、上記周知の風向変更手段を適用することは、当業者が容易になし得たものである。

次に、相違点2について検討する。
本願発明と刊行物2に記載された発明とを対比する。
刊行物2に記載された発明の「24時間空調モードで運転した場合には」、暖房運転が含まれる(前記2.(2-2)ウ)ことから、刊行物2に記載された発明における「24時間空調モード」で暖房運転中の「圧縮機の停止(時)」は、本願発明の「暖房運転時に・・・圧縮機の運転を停止する(とき)」に相当する。
また、刊行物2に記載された発明の「室内送風機」は、24時間空調モードで運転した場合に所定回転数で連続運転することが可能であることから、24時間空調モードでない負荷対応モードで運転した場合には、所定の回転数でない負荷に対応した回転数で運転できることは明らかである。
さらに、刊行物2に記載された発明の「圧縮機の所定の設定回転数での運転、停止にかかわらず、室内送風機を所定回転数で連続運転させ(る)」ことについて検討する。ここで、圧縮機の停止時に、室内送風機を所定回転数で連続運転させると、室内空気が循環される、いわゆる「サーキュレーション運転」が行われることとなる。そして、「サーキュレーション運転」時における室内送風機の回転数と、圧縮機が所定の設定回転数で運転される暖房運転時の室内送風機の回転数とが等しいことを示すものである。
したがって、刊行物2に記載された発明の、「圧縮機の停止(時)」に「室内送風機を所定回転数で連続運転させ(る)」ことは、本願発明の「圧縮機の運転を停止するとともに、暖房運転時と等しい送風機の回転数を維持(させる)」ことと同義である。
また、刊行物2に記載された発明の「室内送風機」は、本願発明の「送風機」に相当し、同様に、「空気調和機」は「空気調和装置」に相当する。

ゆえに、刊行物2に記載された発明は、
「24時間空調モードでの暖房運転時に圧縮機の運転を停止するとともに、送風機の回転数を変更可能とし、暖房運転時と等しい送風機の回転数を維持するように、送風機を運転するサーキュレーション運転を行う空気調和装置。」
と言い換えることができる。

ところで、刊行物1に記載された発明において、サーキュレーション運転が行われるのは、通常運転である「暖房運転時に所定のタイミングで圧縮機の圧縮容量を低下するか若しくは圧縮機の運転を停止する」ときである。一方、刊行物2に記載された発明において、サーキュレーション運転が行われるのは、24時間空調モードでの省エネ暖房運転時に、圧縮機を停止させたときである。
即ち、刊行物1及び2に記載された発明は、共に、サーキュレーション運転を圧縮容量を低下するか若しくは圧縮機の運転を停止させた低負荷運転時に行うという点で共通するものである。
したがって、刊行物1に記載された発明のサーキュレーション運転を、刊行物2に記載された発明のサーキュレーション運転に倣って、上記相違点2において本願発明が備える発明特定事項を具備するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。

また、本願発明の奏する効果についてみても、刊行物1及び2に記載された発明並びに周知の技術事項により奏される効果の範囲内のものである。

よって、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明並びに周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明並びに周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本件のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-13 
結審通知日 2009-02-17 
審決日 2009-03-03 
出願番号 特願2000-11576(P2000-11576)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 一正  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
会田 博行
発明の名称 空気調和装置  
代理人 稲葉 忠彦  
代理人 中鶴 一隆  
代理人 高橋 省吾  
代理人 村上 加奈子  

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