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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L |
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管理番号 | 1195936 |
審判番号 | 不服2008-12760 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-04-23 |
確定日 | 2009-04-17 |
事件の表示 | 特願2003-326872「水質浄化上水道管」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月10日出願公開、特開2005- 61605〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願の発明 本願は、平成15年8月14日の出願であって、平成20年3月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年1月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項2に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「樹脂製の上水道管(4)と、この上水道管(4)に混合成形する、マイナスイオン及び4?14ミクロンの遠赤外線放射物質のトルマリン鉱石、花崗岩、滑石等の窯土類の岩石の微粉末体とで構成されていることを特徴とする水質浄化樹脂管としての水質浄化水道管。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-50437号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0005】従来の遠赤外線アルミナ系等のセラミックス原科の用途分野に、遠赤外線セラミックスに変わる原料、素材として考えられるものである。前記材料の大きな特長は、常温においても強い電磁波を出したり不要電波を吸収する性質のある所で、一般に言う遠赤外線エネルギーを得るには、加熱が必要となるが、特に三仙石に於いては加熱の必要性は全くいらない。従って用途も随分広がる訳で、以上の特性から本発明は出発されたものである。」 ・「【0090】第26図(A)、(B)は三仙石及び蛇紋石他天然石を粉砕して微粒子とし、水道管又パイプ類の石油化学原料、(塩ビ系)とで混ぜ合わせて、耐久性に優れた殺菌、衛生と活性化に働く水道管と他パイプ類を製造し、水の送水から色々なプラントや装置に使用して行く例である。 【0091】化学原料に上記天然石の微粒子を35%程度混ぜて製造し、上記の効能を得るものであり、最近騒がれている化学製品の廃物処理とその社会環境問題は大きくなるばかりか、これらゴミの捨てる場所も思うようにならず、膨大な経費をかけて焼却装置や遠方迄運んで処分しているのが現状である。化学製品の廃物は一時的に処理しても自然環境破壊防止にはならない訳でこのままで増え続けていくと、21世紀は国内はゴミ列島となってしまうとも言われております。そこで自然原料を35%混ぜることで全体の汚染を35%押えることになる。上記石油化学原料のみならずパイプに係る金属をはじめとする原料に三仙石の粒子を上記比率をもって混ぜ合わせて新しい素材とすると共にパイプ製品とする。又屋上等の貯水槽も同じ方法で造り水垢防止と水を活性化すると共に殺菌にも役立つ貯水槽をもって特徴とする。」 これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「石油化学原料の水道管と、この水道管に混ぜ合わせて製造する、遠赤外線エネルギーを得る三仙石及び蛇紋石他天然石の微粒子とで構成されている殺菌、衛生と活性化に働く石油化学原料の水道管。」 3.対比 本願発明と引用発明を対比すると、その機能・作用からみて、後者の「石油化学原料の水道管」が前者の「樹脂製の上水道管」に相当し、同じく、「混ぜ合わせて製造する」が「混合成形する」に相当する。 また、後者の「遠赤外線エネルギーを得る三仙石及び蛇紋石他天然石の微粒子」と前者の「マイナスイオン及び4?14ミクロンの遠赤外線放射物質のトルマリン鉱石、花崗岩、滑石等の窯土類の岩石の微粉末体」とは、「遠赤外線放射物質の複数の鉱石の微粉末体」なる概念で共通する。 さらに、後者の「殺菌、衛生と活性化に働く石油化学原料の水道管」は、前者の「水質浄化樹脂管としての水質浄化水道管」に相当する。 したがって、両者は、 「樹脂製の上水道管と、この上水道管に混合成形する、遠赤外線放射物質の複数の鉱石の微粉末体とで構成されている水質浄化樹脂管としての水質浄化水道管。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 遠赤外線放射物質の複数の鉱石に関して、本願発明では「マイナスイオン及び4?14ミクロンの」遠赤外線放射物質の「トルマリン鉱石、花崗岩、滑石等の窯土類の岩石」であるのに対し、引用発明では「三仙石及び蛇紋石他天然石」である点。 4.判断 上記相違点について以下検討する。 遠赤外線放射物質として、トルマリン鉱石(登録実用新案第3087989号公報、【0013】、【0014】、以下、「周知例1」という。)、花崗岩(特開2001-186817号公報、【0008】、以下、「周知例2」という。)及び滑石(特開平8-33723号公報、【0002】、以下、「周知例3」という。)を採用することは、いずれも周知技術である。 そして、上記トルマリン鉱石、花崗岩及び滑石がマイナスイオン放射物質であることは、例えば上記周知例1(【0013】、【0014】)、上記周知例2(【0008】)及び特開平11-130692号公報(【0054】)に開示されているように技術常識であり、また、上記トルマリン鉱石、花崗岩及び滑石が4?14ミクロンの遠赤外線放射物質であることは、例えば上記周知例1(【0013】、【0014】)及び上記周知例3(【0002】)に開示されているように技術常識である。 よって、引用発明において上記周知技術を適用して、遠赤外線放射物質の複数の鉱石として、トルマリン鉱石、花崗岩及び滑石を採用することは、当業者にとって容易であり、また、上記技術常識を参酌すると上記周知技術の鉱石は、マイナスイオン及び4?14ミクロンの遠赤外線放射物質であるから、上記周知技術の適用により必然的に相違点に係る本願発明の構成を満たすこととなるのは明らかである。 そして、本願発明の全体構成により奏される効果も、引用発明、上記周知技術及び上記技術常識から当業者が予測し得る範囲内のものである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用発明、上記周知技術及び上記技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-04 |
結審通知日 | 2009-02-10 |
審決日 | 2009-02-23 |
出願番号 | 特願2003-326872(P2003-326872) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 細川 健人 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
米山 毅 大河原 裕 |
発明の名称 | 水質浄化上水道管 |