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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1195981 |
審判番号 | 不服2005-10828 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-06-09 |
確定日 | 2009-04-09 |
事件の表示 | 特願2000-389455「通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月 5日出願公開、特開2002-189692〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成12年12月21日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 【請求項1】 第一情報処理装置と、プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる第二情報処理装置と、プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる前記第二情報処理装置とは別の第三情報処理装置とを含む通信システムにおいて、 前記第一情報処理装置は、前記第二情報処理装置及び前記第三情報処理装置それぞれに対して、前記印刷装置を駆動するためのプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報と、セットアップの指示とを転送することのできる転送手段を備え、 前記第二情報処理装置は、前記転送手段から転送されてくるセットアップ指示とプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報とに基づいてプリンタドライバのセットアップ処理を実行する実行手段と、プリンタドライバが前記第二情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記第二情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられる出力元の情報処理装置名、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを前記セットアップ対象となったプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送する第一テストプリントデータ転送手段とを備え、 前記第三情報処理装置は、前記転送手段から転送されてくるセットアップ指示とプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報とに基づいてプリンタドライバのセットアップ処理を実行する実行手段と、プリンタドライバが前記第三情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記第三情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられる出力元の情報処理装置名、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを前記セットアップ対象となったプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送する第二テストプリントデータ転送手段とを備えたことを特徴とする通信システム。 2.刊行物の記載 (1)刊行物1の記載 平成20年10月31日付けの当審の拒絶理由通知において引用された、特開2000-215128号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の記載がなされている。 【請求項1】ネットワークを介するクライアント・プロセッサへのネットワークプリンタのインストールを可能にする方法であって、前記ネットワークはプリンタのインストールを管理するプリンタサーバを含み、前記プリンタサーバは、該プリンタサーバがサービスを提供する前記プリンタを登録するメモリを含み、前記プリンタサーバは、(a)前記ネットワークプリンタのプリンタ識別子が前記メモリに付加されたことを認識するステップと、(b)前記プリンタ識別子からの情報を用いて、実行可能インストール・プログラムを生成するステップと、(c)前記実行可能インストール・プログラムを含む電子メールメッセージを前記クライアント・プロセッサに送信するステップと、を含むステップを実行し、前記クライアント・プロセッサは、前記電子メールメッセージを受信して前記実行可能インストール・プログラムを認識し、該実行可能インストール・プログラムをインストールして、前記ネットワークを介して前記ネットワークプリンタを使用することを特徴とする方法。 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、共有ネットワークプリンタに対するアクセスを可能にするプリンタ・ドライバソフトウェアの、クライアント・プロセッサへのリモートインストールを可能にする方法および装置に関し、特に、そのようなインストールを行うために電子メールメッセージを使用する技術に関する。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の第1の目的は、処理において実質的なユーザの介入を必要とすることなく、ネットワークプリンタのプリンタ・ドライバソフトウェアをクライアント・プロセッサにインストールすることができるようにするということである。従って、図1に示すように、ネットワーク10には、複数の要素プロセッサが接続されている。まず、クライアント・プロセッサ14のオペレータがプリンタ・ドライバソフトウェアのインストールに関与する必要なく、プリンタ12をネットワーク10に接続して1以上のクライアント・プロセッサ14によって使用できるようにすることが要求されているものとする。この例では、プリンタ12は、ホストプロセッサ16に接続されており、更にネットワークカード18を有している。ネットワークカード18により、プリンタ12はネットワーク10への相互接続を認識することができ、ホストプロセッサ16と共に、いくつかのネットワークに関連した識別子機能を実行することができる。 【0012】特に、ネットワークカード18は、ネットワーク接続の発生を検知すると、プリンタ12に対し、ホストプロセッサ16の制御のもとでネットワーク10にSLPパケット(Service Location Protocol Packet、サービス・ロケーション・プロトコル・パケット)を発行させる。SLPパケットには、他のデータと共に、プリンタの名前、モデル番号、ハードウェアアドレス、ホスト名およびIPアドレスが含まれている。 【0013】また、ネットワーク10には、サーバ20が接続されている。サーバ20には中央処理装置(CPU)22が設けられており、CPU22は、メモリ24に接続されている。このメモリ24には、本発明を実行するために使用される以下のようなプロシージャが格納されている。 26:バックグラウンド監視プロシージャ 28:プリンタフォルダ 29:プリンタオブジェクト 30:プリンタ/クライアント・インストール・プロシージャ(PCIP) 32:シェル実行可能インストール・プログラム 34:新たなプリンタ実行可能インストール・プログラム(NPIP) 36:電子メールプロシージャ 具体的に説明すると、メモリ24には、バックグラウンド監視プロシージャ26が格納されている。これは、ネットワーク10上のデータの流れを継続して監視し、この例では、ネットワーク10上のSLPパケットメッセージの存在を認識するものである。サーバ20は、SLPパケットを検知すると、プリンタフォルダ28がプリンタ12のプリンタオブジェクトを有しているかを判断する。サーバ20は、そのようなプリンタオブジェクトが存在しないとみなすと、プリンタ12によって発行されるSLPパケットから取得されるデータを用いてプリンタオブジェクト29を生成する。 【0014】プリンタ/クライアント・インストール・プロシージャ30(以下、PCIP)は、プリンタフォルダ28を監視し、新たなプリンタオブジェクト(例えば、プリンタオブジェクト29)の追加を検出する。そして、PCIP30は、新たなプリンタ12の使用を希望する可能性のある1以上のクライアント・プロセッサ14に対し、実行可能なプリンタインストール・プログラムを構成する。このようなプログラムを構成するために、PCIP30は、シェル実行可能インストール・プログラム32にアクセスし、プリンタオブジェクト29からの識別子データを使用して、プリンタ12から受信した必要なパラメータを含むシェル実行可能インストール・プログラム32を生成する。この結果、新たなプリンタ実行可能インストール・プログラム(New Printer Executable Installation Program、以下NPIP)34が生成される。 【0015】その後、PCIP30により、電子メールプロシージャ36がクライアントプロシージャのグループ(クライアント・プロセッサ14はその1つである)に対する電子メールメッセージを用意し、それにNPIP34を添付する。そして、その電子メールメッセージを、ネットワーク10に接続されている電子メールサーバ40を介して、クライアント・プロセッサ14を含む受信者にディスパッチする。 【0016】周知の方法では、電子メールサーバ40は、クライアント・プロセッサ14用に予約されたメールボックス42に電子メールメッセージをNPIP34と共に格納する。その後、ユーザによってクライアント・プロセッサ14が電子メールサーバ40にログオンすると、メールボックス42の内容のダウンロードが可能となり、電子メールメッセージおよび添付されたNPIP34が、クライアント・プロセッサ14のメモリ44にロードされる。クライアント・プロセッサ14にWindowsオペレーティングシステムが搭載されており、更に、NPIP34のデータに適当な接尾語(例えば、.exe)が付されているものとすると、Windowsオペレーティングシステム46は、添付されたNPIP34のメッセージを実行可能プログラムとして認識する。そして、ユーザは、クライアント・プロセッサ14にNPIP34のインストールにとりかかることができる。重要なことは、ユーザが、そのインストールを行うためにいかなるプリンタまたはネットワークパラメータをも入力する必要がないということである。このようなインストールにより、クライアント・プロセッサ14およびプリンタアクセスプロシージャが使用できるネットワークプリンタのリストに、プリンタ12の名前がすべての必要なデータと共に加えられ、それによって更なるユーザの介入を必要とすることなく、クライアント・プロセッサ14とプリンタ12の間の通信が可能となる。 【0017】従って、システム管理者、すなわちオペレーティングサーバであるサーバ20は、単に電子メールメッセージを各クライアント・プロセッサにディスパッチするだけで、関係するクライアント・プロセッサに対し新たにインストールされたネットワークプリンタを容易に通知することができる。更に、新たなネットワークプリンタのユーザは、自動的に、またはユーザの介入によって、配信された実行可能なソフトウェアを実行することにより、クライアント・プロセッサにプリンタ・ドライバソフトウェアをインストールすることができる。実行可能なソフトウェアは各プリンタについてカスタマイズされているため、ユーザの入力は必要なく、そのためエラーの発生する可能性も最小化される。更に、本発明では、インストールを実行するためにクライアント・プロセッサにいかなる専用のソフトウェアも必要としない。Windowsオペレーティングシステムのもとで実行される通常使用可能な電子メール・クライアントソフトウェアにより、本発明が動作することとなる。 以上の記載から、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載発明」という。)が記載されていると認められる。 「 実質的なユーザの介入を必要とすることなく、ネットワークプリンタのプリンタ・ドライバソフトウェアをクライアント・プロセッサにインストールすることができる、ネットワークに、クライアント・プロセッサ、プリンタ及びサーバが接続された装置であって、 サーバは、新たなプリンタの追加を検出すると、新たなプリンタの使用を希望する可能性のある1以上のクライアント・プロセッサに対し、実行可能なプリンタインストール・プログラム(NPIP)を構成し、クライアント・プロセッサに対する電子メールメッセージにNPIPを添付して、その電子メールメッセージをクライアント・プロセッサに送信し、 クライアント・プロセッサは、前記電子メールメッセージを受信し、NPIPを自動的に実行し、プリンタ・ドライバソフトウェアをインストールする装置。」 (2)刊行物2の記載 上記拒絶理由通知において引用された、浅野和則、ほか、“エーアイムック236 Win、MacからLinuxまで 1万円からはじめるネットワーク構築”、初版、エーアイムック株式会社、1999年9月23日、50-56ページ(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がなされている。 ▼ローカル接続のドライバインストール▲ まずは、プリンタをローカル接続したコンピュータにプリンタドライバをインストールしましょう。こちらから先にインストールを始めるのは、ネットワーク接続したパソコンにドライバをインストールする際に、リアルタイムでテストプリントを可能にするためでもあります。 あらかじめ、きちんとケーブルが接続できているか、プリンタの電源が入っているか、「印刷可」あるいは「OnLine」などのボタンが電源ボタンとは別に用意されているプリンタであれば、印刷できる状態にあるかを確認してください。 ●プリンタの追加ウィザードの起動 接続状態が確認ができたら「スタート」ボタンから「設定」の「プリンタ」を選択し「プリンタ」ウィンドウを表示します。ウィンドウの中にある「プリンタの追加」をダブルクリックします(画面1)。 「プリンタの追加ウィザード」が起動し、プリンタの設定が始まります。「次へ」ボタンをクリックします。 ●プリンタの接続方法 次に、プリンタの接続方法を指定します。直接プリンタが接続されているコンピュータの設定を行っていますから、ここでは初期設定のまま、「ローカルプリンタ」が選択された状態で「次へ」ボタンをクリックします(画面2)。 ●プリンタのメーカー名とモデル プリンタの製造元(メーカー)と機種(モデル)を指定します。まずは「製造元」から接続しているプリンタのメーカーを探してクリックします(画面3)。 選択したメーカーのさまざまな機種が「プリンタ」ボックスに表示されるので、接続しているプリンタのモデルをクリックして「次へ」ボタンをクリックします。 接続しているプリンタの機種名が「プリンタ」ボックスにない場合や、購入したプリンタにプリンタドライバが付属している場合については、55ページを参照してください。 ●プリンタポートの指定 プリンタで使用するポートを指定します。ここでは、プリンタケーブルを接続しているポートを選択します(画面4)。通常のプリンタはパラレルポート(LPT1)に接続しているので、そのまま「次へ」ボタンをクリックしてかまいません。 ●プリンタの名前 プリンタの名前を付けます。初期設定では、プリンタのメーカー機種名が表示されています。ここではローカル接続しているので、「ローカルプリンタ」としました(画面5)。初期設定のままでもかまいませんが、今後複数のプリンタを接続するといったように、拡張を考慮する場合は別の名前を付けておくことをお勧めします。ネットワーク内に同じプリンタを複数導入する場合には、別の名前を付けるか、「○×1号機」「○×2号機」といったような枝番を設定しておいたほうがよいでしょう。なお、プリンタ名は2バイト文字(かな漢字など)も使用できます。 プリンタの名前を付けたら「次へ」ボタンをクリックします。 ●印字テスト 印字テストを行うかどうかを指定します。「はい」オプションボタンを選択して、「完了」ボタンをクリックします。 プリンタを利用するうえでは、このテストは行わなくても問題ありませんが、この段階でテストプリントを行っておいたほうが安心でしょう。プリンタドライバが自動的にコピーされ、印字テストの完了を知らせるダイアログボックスが表示されて、プリンタから「Windows98プリンタの印字テスト」が出力されます。 なお、利用しているプリンタの機種によっては、Windows98のSetupディスクを要求するメッセージが表示される場合があります。その場合には、CD-ROMドライブにシステムディスクを挿入し、「OK」ボタンをクリックします。 プリンタの性能によっては、出力されるまでにしばらく時間がかかる場合がありますが、これまでの手順で操作を行っていれば問題なく出力できるはずです。印字テストが問題なく出力できることが確認できたら、次の「印字テスト完了」の画面で「はい」ボタンをクリックしましょう。 すると、「プリンタ」ウィンドウにプリンタのアイコンが表示されます。先ほど設定したプリンタ名がついています。 (53ページ左欄下3行?54ページ右欄20行) ネットワーク接続のコンピュータヘのインストール 次にネットワーク接続しているコンピュータにドライバをインストールします。ここでもきちんとケーブルが接続できているか、プリンタの電源が入っているかを確認してください。また、ネットワーク接続しているプリンタであれば、前項で設定を行ったプリントサーバー(ローカルにプリンタを接続したパソコン)の電源が入っている状態でないと利用できませんから、この点も確認しましょう。 ネットワークプリンタのドライバをインストールするのも、基本的にはローカルプリンタのセットアップと変わりません。ここでは、ネットワークプリンタのセットアップとは異なる部分だけを説明します。 ウィザードに従って、ローカルプリンタヘのドライバのインストールと同様の手順でプリンタの接続方法の選択画面まで進めます。接続方法では「ネットワークプリンタ」オプションボタンを選択して「次へ」ボタンをクリックします(画面9)。 ネットワークプリンタのパス、またはキューを指定します。「ネットワークパスまたはキューの名前」に直接パスを記述することもできますが、プリンタの接続状態を表示し、その中から接続するプリンタを探す方法が確実ですから、「参照」ボタンをクリックします(画面10)。 「プリンタの参照」ウィンドウが表示され、プリンタの接続状況が表示されます(画面11)。ここで、ボックス内に表示しているコンピュータのアイコンの左側についている「+」のアイコンをクリックすると、そのコンピュータに接続されたプリンタが表示されます。利用したいプリンタのアイコンをクリックし、「OK」ボタンをクリックします。 「プリンタの追加」ウィザードに戻り、「ネットワークパスまたはキューの名前」ボックスにパスが表示されています(画面12)。「次へ」ボタンをクリックします。なお、MS-DOSアプリケーションを使用する場合には、「はい」オプションボタンをクリックしますが、ここではMS-DOSのアプリケーションは利用しないこととして、初期設定である「いいえ」オプションボタンがクリックされた状態で先に進みます。 あとは、ローカルプリンタヘのインストール時と同様の手順で行います。インストールが完了したら、印刷してみましょう。プリンタドライバのインストールでテストプリントが問題なく出力されているようであれば、印刷も問題なくできるはずです。 (55ページ右欄11行?56ページ右欄最終行) 以上の記載について、以下の事項が認められる。 刊行物2の印字テストで、プリンタドライバがインストールされた情報処理装置から当該インストールされたプリンタドライバに対応するプリンタへ、データが転送され、プリンタドライバが情報処理装置に正常にインストールされたか確認することは当業者に明らかである。 そして、転送されるデータは、情報処理装置から転送されるから、情報処理装置内の情報といえる。 以上のことから、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2記載発明」という。)が記載されていると認められる。 「プリンタドライバが情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられるデータを当該インストールされたプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送すること。」 3.本願発明と刊行物1記載発明との対比 本願発明と刊行物1記載発明とを対比すると、刊行物1記載発明の「サーバ」、「プリンタ」が、それぞれ、本願発明の「第一情報処理装置」、「印刷装置」に相当する。 刊行物1記載発明の「1以上のクライアント・プロセッサ」は、ネットワークプリンタのプリンタ・ドライバソフトウェアをインストールされるから、「二つのクライアント・プロセッサ」とすると、 本願発明の「プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる第二情報処理装置」、「プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる前記第二情報処理装置とは別の第三情報処理装置」に相当する。 刊行物1記載発明の「プリンタ・ドライバソフトウェアをインストールするNPIP」は、新たなプリンタのプリンタ・ドライバソフトウェアをインストールするから、本願発明の「印刷装置を駆動するためのプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報」といえる。 刊行物1記載発明の「プリンタ・ドライバソフトウェアをインストールするNPIP」は、クライアント・プロセッサがNPIPを自動的に実行し、プリンタ・ドライバソフトウェアをインストールするから、本願発明の「(前記印刷装置を駆動するためのプリンタドライバの)セットアップ指示」といえる。 刊行物1記載発明の「サーバが、プリンタ・ドライバソフトウェアをインストールするためのNPIPを、1以上のクライアント・プロセッサに送信する送信する」ことは、 本願発明の「前記第一情報処理装置は、前記第二情報処理装置及び前記第三情報処理装置それぞれに対して、前記印刷装置を駆動するためのプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報と、セットアップの指示とを転送すること」といえる。 刊行物1記載発明の「クライアント・プロセッサが、NPIPを添付された電子メールメッセージを受信し、NPIPを自動的に実行してプリンタ・ドライバソフトウェアをインストールする」ことは、 本願発明の「転送されてくるセットアップ指示とプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報とに基づいてプリンタドライバのセットアップ処理を実行すること」といえる。 刊行物1記載発明の「ネットワークに、クライアント・プロセッサ、プリンタ及びサーバが接続された装置」は、本願発明の「通信システム」と言える。 すると、本願発明と刊行物1記載発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「 第一情報処理装置と、プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる第二情報処理装置と、プリンタドライバを用いて処理したデータを印刷装置に転送して処理させる前記第二情報処理装置とは別の第三情報処理装置とを含む通信システムにおいて、 前記第一情報処理装置は、前記第二情報処理装置及び前記第三情報処理装置それぞれに対して、前記印刷装置を駆動するためのプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報と、セットアップの指示とを転送することのできる転送手段を備え、 前記第二情報処理装置は、前記転送手段から転送されてくるセットアップ指示とプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報とに基づいてプリンタドライバのセットアップ処理を実行する実行手段を備え、 前記第三情報処理装置は、前記転送手段から転送されてくるセットアップ指示とプリンタドライバをセットアップ対象として指定するための情報とに基づいてプリンタドライバのセットアップ処理を実行する実行手段を備えたことを特徴とする通信システム。」である点。 <相違点1> 本願発明は、第二情報処理装置及び第三情報処理装置が、「プリンタドライバが前記第二(第三)情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記第二(第三)情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられる出力元の情報処理装置名、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを前記セットアップ対象となったプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送する第一(第二)テストプリントデータ転送手段」を備えるのに対して、 刊行物1記載発明は、クライアント・プロセッサが、そのような手段を備えるのか明らかではない点。 4.判断 (1)相違点1について 刊行物1記載発明、刊行物2記載発明は、情報処理装置にプリンタドライバをインストールする点で、同一の技術課題を有する。 “Windows95で,あなたのパソコンライフはこう変わる!<後編>”、ASCII、株式会社アスキー、1995年4月1日発行、19巻、4号、385-392ページ(388ページ「図1 エプソンLP-1000の印字テスト出力」中に示される「ドライバ名:EPAGEMSJ.DRV」及び「ドライバのバージョン:4.00」)に記載されているように、テストプリントにおいて、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを印刷装置へ転送することは、本願出願時、周知技術である。 そして、刊行物1記載発明に刊行物2記載発明及び上記周知技術を適用して、第二情報処理装置が、プリンタドライバが前記第二情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記第二情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられる出力元の情報処理装置名、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを前記セットアップ対象となったプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送する第一テストプリントデータ転送手段を、 第三情報処理装置が、プリンタドライバが前記第三情報処理装置に正常にインストールされたか確認するべく、前記第三情報処理装置内の情報を用いてテストプリントを行う際に用いられる出力元の情報処理装置名、ドライバ名、ドライババージョン情報の少なくとも一つを含むデータを前記セットアップ対象となったプリンタドライバに対応する印刷装置へ転送する第二テストプリントデータ転送手段を備えるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1記載発明、刊行物2記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-06 |
結審通知日 | 2009-02-10 |
審決日 | 2009-02-23 |
出願番号 | 特願2000-389455(P2000-389455) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、津幡 貴生 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
清水 稔 深津 始 |
発明の名称 | 通信システム |
代理人 | 國分 孝悦 |