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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B43K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B43K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B43K
管理番号 1195991
審判番号 不服2006-1126  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-18 
確定日 2009-04-10 
事件の表示 平成 9年特許願第124976号「シャ-プペンシル」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月10日出願公開、特開平10-297163〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年4月28日に出願したものであって、平成17年12月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年1月18日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成18年1月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年1月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲(請求項数1)についての補正を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「軸筒の前方に芯の把持・開放をし、かつ、前後動することによって芯を軸筒の前端から繰り出すチャック体が配置され、また、前記軸筒の後方にはチャック体を前後動させるノック部材が配置されたシャープペンシルであって、前記チャック体とノック部材との間であって、且つ、前記軸筒自体に複数の芯が収容可能な芯タンク部を設けると共に、前記チャック体とノック部材とを直線状で、且つ、前記軸筒の長手方向に対して平行に配置された棒状部材で連結したことを特徴とするシャープペンシル。」
と補正された。(下線は補正箇所を示している。)
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「棒状部材」について、「前記軸筒の長手方向に対して平行に配置された」と限定したものであって、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭50-7465号(実開昭51-91039号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物」という。)には、以下の記載が図示とともにある。
ア.「コレットチャックの作動を軸胴尾部のノックで行なうノック式シャープペンシルにおいて、コレットチャックの基部金具とノックとを軸胴内に直接摺嵌すべく大径に形成して、それらの間に確保される軸胴空間を芯収容部とし、該芯収容部の芯繰出中心を避けるようにノックとコレットチャック基部金具との間を細い連結棒で連結してなるノック式シャープペンシル。」(実用新案登録請求の範囲、以下、「引用発明」という。)
イ.「従来のノック式シャープペンシルはコレットチャックの作動を軸胴尾部のノックで行なうようになっているが、コレットチャックとノックとの間の動力伝達部材を、芯収容タンクを兼ねたパイプで構成しているので、軸胴のほかに前記パイプが必要となり、それだけ製品が高価になる欠点があった。」(第1頁下から第3行?第2頁第3行)
ウ.「以下この考案の一実施例を図面に従い説明すると、1は首部筒2と後部筒3をねじ継手管4により連結した軸胴であって、前記ねじ継手管4の内側にはストッパ5で移動範囲が制限されるチャック締めリング6が設けられていると共に、首部筒2の先端には鉛筆芯Aの消耗につれて順次退入して行くスライド芯管7が設けられている。8は上記チャック締めリング6の内側に嵌入して鉛筆芯Aを挟持するコレットチャックであり、この基部金具8aと軸胴1の後端部に嵌挿されたノック9は軸胴1の後部筒3内に直接摺嵌すべく大径に構成され、それらの間に確保される軸胴空間が芯収容部10として形成される。11は上記コレットチャック基部金具8aとノック9との間を連結した1本の細い連結棒であり、これは例えばピアノ線でつくられ一端がノック9の中心孔9aに挿入固定され、且つ芯収容部10の芯繰出中心を避けるべく外周側に向って屈曲され、その先端(他端)がコレットチャック基部金具8aの外周側取付孔12に挿入固定されている。」(第2頁第11行?第3頁第11行)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「軸胴」、「コレットチャック」、「ノック」、「ノック式シャープペンシル」、「芯空間部」及び「連結棒」は、それぞれ本願補正発明の「軸筒」、「チャック体」、「ノック部材」、「シャープペンシル」、「芯タンク部」及び「棒状部材」に相当する。
引用発明の「コレットチャック」が芯の把持・開放をし、かつ、前後動することによって芯を軸筒の前端から繰り出す機能を有すること、軸胴の前方に配置されていることはいずれも技術常識である。
引用発明の「ノック」がコレットチャックを前後動させる機能を有し、軸胴の後方に配置されていることはいずれも技術常識である。
引用発明の「芯空間部」は、コレットチャックの基部金具とノックとの間に確保される軸胴空間であるから、コレットチャックとノックとの間であって、且つ、軸胴自体に複数の芯が収容可能なものといえる。
本願明細書段落【0005】、【0006】には「芯の把持・開放を行うチャック体2が固定された連結部材3が前記軸筒1に対して前後動可能に配置されている。・・・また、前記連結部材3の後端には、軸筒1の内径と略同形の外径を有する芯受け部材5が固定されている。・・・そのノック部材12には、・・・棒状の連結棒13が垂下した状態で別体、或は、一体的に形成されており、その下端は前記芯受け部材5に係合している。」と記載されているから、本願補正発明の「棒状部材で連結」には、芯受け部材等の他の部材を介してチャック体とノック部材を連結することが含まれているものと解することができる。引用発明の連結棒は、基部金具を介してコレットチャックとノックとを連結しているから、本願補正発明に倣ってコレットチャックとノックとを連結棒で連結しているといえる。
よって、両者は、
「軸筒の前方に芯の把持・開放をし、かつ、前後動することによって芯を軸筒の前端から繰り出すチャック体が配置され、また、前記軸筒の後方にはチャック体を前後動させるノック部材が配置されたシャープペンシルであって、前記チャック体とノック部材との間であって、且つ、前記軸筒自体に複数の芯が収容可能な芯タンク部を設けると共に、前記チャック体とノック部材とを棒状部材で連結したシャープペンシル。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]棒状部材に関し、本願補正発明は、「直線状で、且つ、前記軸筒の長手方向に対して平行に配置された」と特定されているのに対し、引用発明は、本願補正発明のような特定がない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
本願補正発明の「直線状」がどのような形状を意味するのか必ずしも明らかではないが、本願明細書段落【0013】には、【図8】に示す第3例について、「前記芯受け部材5の後端の中心部分から後方に向けて板状の棒状部材33を一体形成した例である。チャック圧入孔34の近傍は、芯がチャック体に挿入され易いように、内側に向けて抉られて(凹部35)いる。」という記載があり、段落【0014】(平成17年6月9日付け手続補正後の明細書及び図面〔以下、「補正前明細書等」という。〕では段落【0015】)には、【図12】、【図13】(補正前明細書等では、【図16】、【図17】)に示す例について、「棒状部材39は、芯受け部材5の中央部に位置しているが、その下端部は、水平な脚部40によって前記芯受け部材5の周縁部に連結されている。」という記載があり、芯受け部材5との連結端部について、中心軸を避けた形状の棒状部材が示されている。
そうすると、本願補正発明の「直線状」は、中心軸を避ける程度の曲がりを許容されたものと解さざるを得ない。引用発明の「連結棒」は、芯収容部の芯繰出中心を避けるようにノックとコレットチャック基部金具との間連結してなるもの、即ち、中心軸を避ける程度の曲がりを有しているものであるから、本願補正発明に倣って「直線状」と称することができ、この点においては、実質的に相違しない。
本願補正発明の「軸筒の長手方向に対して平行に配置された」について、上記本願明細書段落【0013】、【0014】の記載から、棒状部材の一部分が軸筒の長手方向に対して平行に配置されているものが含まれていると解さざるを得ない。引用発明の「連結棒」の一部分が軸筒の長手方向に対して平行に配置されているか否か明らかではないが、芯収容部の芯繰出中心を避けるようにノックとコレットチャック基部金具との間を連結するに際し、「連結棒」の一部分をどのように配置するかは必要に応じ適宜設計し得る程度のことである。
また、一般に、長尺な動力伝達部材を動力伝達方向に平行に配置することは周知技術であり、シャープペンシルにおいても、実公平7-2228号公報(「押し棒41」が本願補正発明の「棒状部材」に相当する。)に示すように周知技術であるから、引用発明に該周知技術を適用して、本願補正発明の上記相違点2のような構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

引用発明において本願補正発明の相違点に係る構成を備えることは、引用例の記載、技術常識及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたことであり、係る発明特定事項を採用したことによる本願補正発明の効果も当業者が予測できる範囲のものである。

なお、請求人は、平成18年1月18日付け審判請求書の「4.本願発明と引用文献との対比」の項において、「本願発明は、軸筒と平行な位置に配置された直線状の棒状部材にすることによってチャック体とノック部材を連結しているため、その棒状部材の湾曲作用を極力防止することができ、また、押圧操作の力の作用をその操作方向と同一方向に真っ直ぐに伝達することができ」と主張するが、本願補正発明の「棒状部材」は、中心軸を避ける程度の曲がりを許容されたものであり、棒状部材の一部分が軸筒の長手方向に対して平行に配置されているものが含まれていると解されるから、請求人の主張は、採用できない。

したがって、本願補正発明は、その出願前に頒布された刊行物記載の発明、技術常識及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成18年1月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年6月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「軸筒の前方に芯の把持・開放をし、かつ、前後動することによって芯を軸筒の前端から繰り出すチャック体が配置され、また、前記軸筒の後方にはチャック体を前後動させるノック部材が配置されたシャープペンシルであって、前記チャック体とノック部材との間であって、且つ、前記軸筒自体に複数の芯が収容可能な芯タンク部を設けると共に、前記チャック体とノック部材とを直線状の棒状部材で連結したことを特徴とするシャープペンシル。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比
本願発明と引用発明とを比較すると、両者は、
「軸筒の前方に芯の把持・開放をし、かつ、前後動することによって芯を軸筒の前端から繰り出すチャック体が配置され、また、前記軸筒の後方にはチャック体を前後動させるノック部材が配置されたシャープペンシルであって、前記チャック体とノック部材との間であって、且つ、前記軸筒自体に複数の芯が収容可能な芯タンク部を設けると共に、前記チャック体とノック部材とを棒状部材で連結したシャープペンシル。」
の点で一致し、以下の点で一応相違している。
[相違点]棒状部材に関し、本願発明は、「直線状の」と特定されているのに対し、引用発明は、本願発明のような特定がない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
本願発明の「直線状」がどのような形状を意味するのか必ずしも明らかではないが、本願明細書段落【0013】には、【図8】に示す第3例について、「前記芯受け部材5の後端の中心部分から後方に向けて板状の棒状部材33を一体形成した例である。チャック圧入孔34の近傍は、芯がチャック体に挿入され易いように、内側に向けて抉られて(凹部35)いる。」という記載があり、同じく段落【0013】には、【図10】、【図11】に示す第5例について、「芯受け部材5の中央部に位置するように後方に向けて断面が円形の棒状部材35を一体形成した例である。勿論、芯受け部材5の後端の中央部から形成すると、チャック圧入孔36が塞がってしまうので、芯受け部材5の後端周縁部から脚部35aを介して前記棒状部材35が形成されており、途中部分から中央部に位置するように形成されている。」という記載があり、段落【0014】には、【図12】、【図13】に示す第6例について、「断面が円形の棒状部材37を芯受け部材5の後端周縁部に形成した例である。前記ノック部材によるノック操作の安定性を図るために、上方近傍部にて、前記棒状部材37は芯受け部材5の中央部に位置するように屈曲形成(屈曲部38)されている。」という記載があり、段落【0015】には、【図16】、【図17】(段落【0015】の「図17、図18」は誤記である。)に示す第8例について、「棒状部材39は、芯受け部材5の中央部に位置しているが、その下端部は、水平な脚部40によって前記芯受け部材5の周縁部に連結されている。」という記載があり、芯受け部材5との連結端部について、中心軸を避けた形状の棒状部材が示されている。
そうすると、本願発明の「直線状」は、中心軸を避ける程度の曲がりを許容されたものと解さざるを得ない。引用発明の「連結棒」は、芯収容部の芯繰出中心を避けるようにノックとコレットチャック基部金具との間連結してなるもの、即ち、中心軸を避ける程度の曲がりを有しているものであるから、本願発明に倣って「直線状」と称することができ、実質的に相違しない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物記載の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-03 
結審通知日 2009-02-10 
審決日 2009-02-24 
出願番号 特願平9-124976
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B43K)
P 1 8・ 575- Z (B43K)
P 1 8・ 113- Z (B43K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 酒井 進
佐藤 宙子
発明の名称 シャ-プペンシル  
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