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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1196024
審判番号 不服2006-26829  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-29 
確定日 2009-04-09 
事件の表示 平成10年特許願第234040号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月29日出願公開、特開2000- 61037〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成10年8月20日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成18年8月18日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、同年11月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月26日に手続補正がなされたものである。

第二.平成18年12月26日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年12月26日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
平成18年12月26日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】 機体の前面に、ゲーム用の表示器および装飾用の光源がそれぞれ複数設けられるとともに、ゲーム制御を実施するための主基板と、表示用の制御回路が搭載されたサブ制御基板とを具備し、
前記ゲーム用の表示器および装飾用の光源を構成する表示素子は、それぞれ配置位置や表示素子の種類毎に、個別の表示用基板に配線されるとともに、各表示用基板がそれぞれ前記サブ制御基板に接続されている遊技機であって、
前記複数の表示用基板には、それぞれその基板に配線された表示素子群に対する駆動回路と、自基板に固有の識別データが設定された信号処理回路とが設けられる一方、前記サブ制御基板の制御回路には、各表示用基板の識別データが格納されたメモリが含まれており、
各表示用基板は、サブ制御基板から出力された信号が各表示用基板に順次伝送されるように、シリアルデータ用の信号伝送ラインを介して前記サブ制御基板に順に連ねて接続されており、
前記サブ制御基板は、各表示用基板毎に、その基板に対応する表示素子群のオンオフを制御するための表示制御信号として複数ビット構成の表示制御信号を生成するとともに、この表示制御信号の供給先の表示用基板の識別データを前記メモリから読み出し、読み出した識別データを前記表示制御信号に付加した構成のシリアル信号を前記信号伝送ラインに送出し、
各表示用基板の信号処理回路には、前記信号伝送ラインから取り込んだシリアル信号をパラレル信号に変換して出力するシリアル・パラレル変換回路と、シリアル・パラレル変換回路から出力されたパラレル信号のうち前記識別データに該当する信号が入力されて、その入力信号が示す識別データを前記自基板の識別データと照合する比較回路と、前記出力されたパラレル信号のうち表示制御信号に該当する信号が入力されて、その入力信号を保持するラッチ回路とが含まれており、
前記比較回路からの出力はラッチ回路に入力され、ラッチ回路は、この入力信号が2つの識別データの一致を示すときは保持している表示制御信号を前記駆動回路に送出し、前記入力信号が2つの識別データの不一致を示すときは保持している表示制御信号をリセットする、
ことを特徴とする遊技機。」(以下「本願補正発明」という。)

2.本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲は以下のとおりである。
「【請求項1】 ゲーム制御を実施するための主基板とは独立に、表示用の制御回路が搭載されたサブ制御基板を設けて成る遊技機であって、前記サブ制御基板に対し、それぞれ個別の識別データが設定された複数の表示用基板が信号伝送ラインを介して順に連ねて接続されており、
各表示用基板には、複数個の表示素子に対する駆動回路と、前記信号伝送ラインに送出された信号を取り込んで処理する信号処理回路とが設けられており、
前記サブ制御基板は、各表示用基板につき、それぞれその基板に対応する表示素子のオンオフを制御するための表示制御信号として、複数ビット構成のシリアル信号を生成し、この表示制御信号を当該表示用基板の識別データとともに前記信号伝送ラインに送出し、
前記各表示用基板の信号処理回路には、
前記信号伝送ラインから取り込んだ信号から前記識別データと表示制御信号とを切り分けて検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段により検出された識別データを自基板の識別データと照合する照合手段と、
前記信号検出手段により検出された表示制御信号を保持し、前記照合手段により識別データの一致が判定されたときは、保持している表示制御信号を前記駆動回路にパラレル出力する一方、前記照合手段により識別データの不一致が判定されたときは、保持している表示制御信号をリセットする信号保持手段とが、含まれている遊技機。
【請求項2】(本件補正により削除されたため省略)」

3.補正要件(目的)の検討
本件補正は、請求項2を削除するとともに、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「サブ制御基板」、「複数個の表示素子」、「複数の表示用基板」、「表示用基板の信号処理回路」について補正するものであり、以下本件補正の適否を順次検討する。
(1)「サブ制御基板」についての補正は、補正前においては主基板とは独立に設けて成るものであったのに対し、補正後は「独立に設けて成るもの」との限定が削除されているから、特許請求の範囲を減縮するものではない。
また、上記補正は明りょうでない記載の釈明ではなく、請求項の削除、誤記の訂正でないことも明らかである。
なお、制御回路に各表示用基板の識別データが格納されたメモリが含まれる点、伝送ラインに送出する表示制御信号を当該信号供給先の表示基板の識別データを付加したシリアル信号とする点については、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)「複数個の表示素子」についての補正は、「ゲーム用の表示器および装飾用の光源」を構成する点、「それぞれ配置位置や表示素子の種類毎に、個別の表示用基板に配線される」点で限定されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(3)「複数の表示用基板」についての補正は、その信号処理回路に「シリアル信号をパラレル信号に変換して出力するシリアル・パラレル変換回路」と「パラレル信号のうち表示制御信号に該当する信号が入力されて、その入力信号を保持するラッチ回路」とが含まれる点で、限定を行う補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(4)「表示用基板の信号処理回路」についての補正は、「シリアル信号をパラレル信号に変換して出力するシリアル・パラレル変換回路」を付加し、表示制御信号の保持を「パラレル信号のうち表示制御信号に該当する信号が入力されて、その入力信号を保持するラッチ回路」によって行うものに限定しているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(5)まとめ
したがって、本件補正は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならない。
よって、結論のとおり決定する。

なお、本件補正が同法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、以下の理由により本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正を却下すべきものであることに変わりはない。

4.独立特許要件(特許法第29条第2項)の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-270885号公報(以下「刊行物A」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1-1)「(従来の技術)近年、マイクロコンピュータの普及に伴って、複雑高度な遊技手順を有する遊技機が容易に製造できるようになっている。・・・・。すなわち、遊技機器はランプ、効果音用LSI、ドットマトリクスLEDなど、特に装飾用電子部品の点数を増大させることによって、より変化に富んだものを提供している。」(第1頁右欄第5?16行)
(1-2)「出力手段4は遊技盤12に設けたLED14、装飾ランプ15、およびセンタ役物13と、パチンコ機2の本体側すなわち、中枠46または外枠48に配置したスピーカ16および、パチンコ機2の前面側に設けた打球ハンドル67とを主構成とする。出力手段4は整合手段6を経た演算制御手段5の出力信号に制御され、遊技者の視覚と聴覚とに刺激を与えることによって、パチンコ機2の遊技性を増加させるものである。」(第3頁右下欄第9?18行)
(1-3)「整合手段6はLSIを中心とする電子部品で構成した、シリアル-パラレル変換回路19と、パラレル-シリアル変換回路20と、出力インターフェイス21と、入力インターフェイス22と、表示器制御回路17と、機構制御回路23とを主構成とする。そして、これらの電子部品17,19,20,21,22,23はI/O基板33に実装してあり、I/O基板33は第6図に示すようにセンタ役物13に取付けてある。整合手段6は第11図に示すように、入力手段3および演算制御手段5間と、出力手段4および演算制御手段5間と配置してあり、両手段5,6間の双方向に伝送される信号(データ)の整合を図るもので、パチンコ機2の機種によって構成は異る。」(第4頁左上欄第4?17行)
(1-4)「18は信号線からなるシリアルラインで、整合手段6と演算制御手段5とを接続して両手段5,6間に信号を直列伝送させる。25は信号線からなるパラレルラインで、表示器制御回路17および機構制御回路23と、出力インターフェイス21とを接続して両者17,23および21間に信号を並列伝送させるとともに、入力インターフェイス22と入力手段3とを接続して、両者3,22間に信号を並列伝送させる。」(第4頁左上欄第18行?同頁右上欄第6行)
(1-5)「シリアル-パラレル変換回路19は演算制御手段5からシリアルライン18によって直列伝送された入力信号を出力インターフェイス21に並列伝送(入力)し、出力インターフェイス21は並列伝送された上記入力信号を上記各回路17,23に入力するために整合を図る。」(第4頁右上欄第7?12行)
(1-6)「表示器制御回路17はLEDおよびランプのドライバ回路で、出力インターフェイス21からの入力信号に基いてLED14と装飾ランプ15との発光を制御する。」(第4頁右上欄第19行?同頁左下欄第2行)
(1-7)「演算制御手段5は前記入賞信号の発生と、予め後述のROM27に格納された遊技手順とに基いて出力手段4を制御する制御信号を発生させる。この演算制御手段5はパチンコ機2を制御するためにLSIを中心とする電子部品で構成してあり、これらの電子部品はCPU26、ROM27、RAM28および電力供給回路29を主構成とし、これらの電子部品26,27,28,29は制御基板(第2図破線部参照)31に実装してある。」(第4頁右下欄第5?14行)
(1-8)「なお、本実施例は制御基板31に打球制御回路11を設けた場合を説明したが、これに限定されるものではなく、打球制御回路11は独立基板に実装してもよい。」(第5頁右下欄第2?6行)
(1-9)「セット板41には主にパチンコ球の流路42が設けてあり、44は装飾ランプ15を取付けるランプ基板、43は装飾ランプ15のランプカバーである。」(第5頁右下欄第17?20行)
(1-10)「第2に、演算制御手段と入力手段とをシリアルラインによって結合し、且つ演算制御手段と出力手段とをシリアルラインによって接続しているので、信号線の数すなわち接続箇所はパラレルラインで結合している場合より少なくなり、遊技時における振動などに起因する接触不良発生および、この接触不良発生に起因した不良品発生の可能性が小さくなる。したがって、生産時にはランニングコストが低減し、遊戯機器の遊技(作動)時には遊技器の故障発生率が低減して製品信頼度が向上する。」(第7頁左上欄第11行?同頁右上欄第2行)
(1-11)第3図、第5図及び上記(1-6)、(1-9)の記載から見て装飾ランプ15は複数あり、各装飾ランプ15は、その構成要素としてランプを有し、ランプはそれぞれ個別のランプ基板44に配線されていることが分かる。また、第1図の記載から見て、各ランプ基板44がそれぞれ表示器制御回路17に接続されていることも明らかである。
(1-12)上記(1-1)?(1-10)の記載や図面等からの認定に基づけば、刊行物Aには以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 遊技盤12にLED14および複数の装飾ランプ15を設け、パチンコ機2を制御するための演算制御手段5を実装した制御基板31を具備し、
前記装飾ランプ15を構成するランプは、それぞれ個別のランプ基板44に配線されるとともに、各ランプ基板44がそれぞれ表示器制御回路17に接続されているパチンコ機2であって、
前記I/O基板33に実装してある整合手段6は、LEDおよび前記ランプのドライバ回路である表示器制御回路17と、シリアル-パラレル変換回路19と、パラレル-シリアル変換回路20と、出力インターフェイス21と、入力インターフェイス22と、機構制御回路23とを主構成とし、前記制御基板31に実装してある演算制御手段5は、CPU26、ROM27、RAM28および電力供給回路29を主構成とし、
前記I/O基板33に実装してある整合手段6と前記制御基板31に実装してある演算制御手段5とがシリアルライン18で接続され、
前記制御基板31に実装してある演算制御手段5は、前記LEDおよびランプを制御するための信号を前記シリアルライン18によって直列伝送し、
前記シリアル-パラレル変換回路19は、前記シリアルライン18によって直列伝送された信号を前記出力インターフェイス21に並列伝送し、前記出力インターフェイス21は、前記シリアル-パラレル変換回路19から並列伝送された信号を前記表示器制御回路17に入力するために整合を図るパチンコ機2。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
(A)発明特定事項の対応関係
(A-1)引用発明における「パチンコ機2」は、本願補正発明における「遊技機」に相当し、以下同様に、
「装飾ランプ15」は「装飾用の光源」に、
「ランプ基板44」は「表示用基板」に、
「パチンコ機2を制御するための演算制御手段5を実装した制御基板31」は「ゲーム制御を実施するための主基板」に、
「ランプ」は「表示素子」に、
「LEDおよび前記ランプのドライバ回路である表示器制御回路17」は「表示素子群に対する駆動回路」に、
「シリアル-パラレル変換回路19と、出力インターフェイス21」は「信号処理回路」に、
「演算制御手段5」は「制御回路」に、
「ROM27、RAM28」は「メモリ」に、
「前記LEDおよびランプを制御するための信号」は「表示素子群のオンオフを制御するための表示制御信号」に、
「前記シリアルライン18によって直列伝送し」は「前記信号伝送ラインに送出し」に、
「前記シリアルライン18によって直列伝送された信号」は「前記信号伝送ラインから取り込んだシリアル信号」に、
「出力インターフェイス21に並列伝送し」は「パラレル信号に変換して出力する」に、それぞれ相当する。
(A-2)引用発明の「遊技盤12」はパチンコ機の前面に設けられていることが明らかであるから、引用発明の「LED14および複数の装飾ランプ15」は、本願補正発明の「機体の前面」に相当する場所に設けられているものと認められる。
(A-3)摘記した刊行物Aの前記(1-1)の記載や第5図に示される「LED14」の配置位置からみて、引用発明の「LED14」はドットマトリクスLEDで構成され、ゲームに関与する表示を行うものと認められるので、該「LED14」は本願補正発明の「ゲーム用の表示器」に相当し、「LED」は本願補正発明の「表示素子」に相当する。
(A-4)引用発明の「整合手段6」はI/O基板33に実装してあるから、その主構成である「LEDおよび前記ランプのドライバ回路である表示器制御回路17」と「シリアル-パラレル変換回路19と、出力インターフェイス21」は「I/O基板33」に設けられているといえる。
(A-5)本願補正発明における「サブ制御基板」と「複数の表示用基板」との関係、及び引用発明における「制御基板31」と「I/O基板33」との関係は、いずれも「制御用基板」と「被制御基板」という関係である点で共通している。
(A-6)引用発明において、I/O基板33に実装してある整合手段6と制御基板31に実装してある演算制御手段5とがシリアルライン18で接続されているということは、I/O基板33と制御基板31とが、制御基板31から出力された信号がI/O基板33に順次伝送されるように、シリアルデータ用の信号伝送ラインを介して接続されていることにほかならないので、「I/O基板33は、制御基板31から出力された信号がI/O基板33に順次伝送されるように、シリアルデータ用の信号伝送ラインを介して前記制御基板31に接続されている」ということができる。
(A-7)引用発明の「LEDおよびランプを制御するための信号」が制御基板31に実装してある演算制御手段5で生成されていることは言うまでもないことであるから、引用発明は、制御基板31が、「LEDおよびランプを制御するための信号を生成する」ものということができる。

(B)本願補正発明と引用発明との一致点
機体の前面に、ゲーム用の表示器および複数の装飾用の光源が設けられるとともに、ゲーム制御を実施するための主基板を具備し、
前記装飾用の光源を構成する表示素子は、それぞれ個別の表示用基板に配線されている遊技機であって、
被制御基板には、表示素子群に対する駆動回路と、信号処理回路とが設けられる一方、制御用基板の制御回路にはメモリが含まれており、
被制御基板は、制御用基板から出力された信号が被制御基板に順次伝送されるように、シリアルデータ用の信号伝送ラインを介して前記制御用基板に接続されており、
前記制御用基板は、表示素子群のオンオフを制御するための表示制御信号を生成するとともに、シリアル信号を前記信号伝送ラインに送出し、
前記信号処理回路には、前記信号伝送ラインから取り込んだシリアル信号をパラレル信号に変換して出力するシリアル・パラレル変換回路が含まれる遊技機。

(C)相違点
(C-1)本願補正発明の「ゲーム用の表示器」は複数設けられているのに対し、引用発明の「LED14」は1つ設けられている点。
(C-2)本願補正発明は「表示用の制御回路が搭載されたサブ制御基板」を具備しているのに対し、引用発明はLEDやランプの制御を「制御基板31に実装してある演算制御手段5」すなわち本願補正発明の「主基板」に相当する基板で行っており、「サブ制御基板」に相当する基板を有していない点。
(C-3)本願補正発明には「ゲーム用の表示器を構成する表示素子」が配線される「表示用基板」があるのに対し、引用発明では「LED14」を構成する「LED」が配線される基板があるか否か明らかでない点。
(C-4)本願補正発明では、複数の表示用基板(上記一致点における「被制御基板」)には、それぞれその基板に配線された表示素子群に対する駆動回路と、自基板に固有の識別データが設定された信号処理回路とが設けられ、サブ制御基板(上記一致点における「制御用基板」)に順に連ねて接続されているのに対し、引用発明では、I/O基板33(上記一致点における「被制御基板」)は1つであり、「LED」や「ランプ」は該I/O基板33には配線されておらず、複数のI/O基板が制御基板31(上記一致点における「制御用基板」)に順に連ねて接続されているものではない点。
(C-5)本願補正発明の表示制御信号は複数ビット構成であるのに対し、引用発明のLED14および複数の装飾ランプ15を制御するための信号はどのような構成のものであるか明らかでない点。
(C-6)本願補正発明の「制御回路」には、各表示用基板の識別データが格納されたメモリが含まれ、表示制御信号の供給先の表示用基板の識別データを前記メモリから読み出し、読み出した識別データを前記表示制御信号に付加した構成のシリアル信号を前記信号伝送ラインに送出し、一方、各表示用基板の「信号処理回路」には自基板に固有の識別データが設定され、シリアル・パラレル変換回路と、パラレル信号のうちの前記識別データに該当する信号を前記自基板の識別データと照合する比較回路と、ラッチ回路を備えて、前記自基板に配線されている表示素子を駆動させるか否かを決定しているのに対し、引用発明の「演算制御手段5」及び「整合手段6」はどのようにしてLED14又は複数の装飾ランプ15のいずれを駆動させるか明らかでない点。

(3)相違点の検討
(3-1)相違点(C-1)について
ゲーム用の表示器を複数設けることは、遊技機に普通図柄表示器と特別図柄表示器を設けることが従来広く行われていることからみても分かるように、遊技機における慣用技術であるから、引用発明においてLED14以外にゲーム用の表示器を設けることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が適宜採用する事項である。

(3-2)相違点(C-2)について
主基板からのコマンド指令信号を受けたサブ制御基板が、当該コマンド指令信号に応じた信号を生成してランプや画像表示装置を制御することは、例えば、特開平6-182038号公報(特に段落【0017】及び図4)や特開平7-24108号公報(特に段落【0003】)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるから、引用発明において、LED14および複数の装飾ランプ15を制御するための信号を伝送する手段を制御基板31に代えてサブ制御基板とし、相違点(C-2)に係る本願補正発明のような構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

(3-3)相違点(C-3)について
刊行物Aには、「LED14」を取付ける基板については記載されていないが、装飾ランプ15を取付けるランプ基板44について記載があり(上記4.(1-9)参照)、LED表示器を構成するLEDを基板に配線させることは、従来一般的に行われていることであるから、引用発明において「LED」を基板に配線させることは当業者が適宜行い得る事項である。

(3-4)相違点(C-4)及び(C-6)について
相違点(C-4)及び(C-6)は、相互に密接に関係しているので併せて検討する。
制御用装置によって複数の被制御装置を制御する際に、前記複数の被制御装置のそれぞれに固有の識別データが設定された信号処理回路が設けられるとともに、前記制御用装置に前記複数の被制御装置を順に連ねて接続し、前記制御用装置から出力された信号がシリアルデータ用の信号伝送ラインを介して各被制御装置に順次伝送されるように構成すること、及び制御用装置から出力する信号をシリアルデータ用の信号伝送ラインを介して各被制御装置に順次伝送するに際して、前記制御用装置において、各被制御装置の識別データを制御信号に付加した構成のシリアル信号を前記信号伝送ラインに送出する一方、各被制御装置においては、自装置に固有の識別データが設定され、シリアル・パラレル変換回路と、前記制御用装置において付加された識別データに該当する信号を前記自装置に固有の識別データと照合する比較回路と、ラッチ回路を備えて、自装置の制御を行うことは、(3-6)に後記する文献に記載されるように、情報伝送を行う制御回路の分野において従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
また、特開平9-322156号公報(以下「刊行物B」という。特に図1及び段落【0019】?【0022】及び【0041】を参照。)に記載されるように、遊技機の分野においても、制御対象は異なるが、コントロール部4によって複数の撮像手段1-1?nを制御する際に、前記複数の撮像手段1-1?nのそれぞれにアドレス格納部1aや比較器2-1?n等を設けるとともに、前記コントロール部4に前記複数の撮像手段1-1?nを順に連ねて接続し、前記各撮像手段1-1?nのゲートスイッチ3-1?nを制御すること、及びその様に構成することで指定アドレスをシリアルで送って伝送線路数を減らせることが知られている。
そうしてみると、引用発明に周知技術2を適用して、「I/O基板33」を「LED14」や「装飾ランプ15」用として分割するとともに、分割した各基板にそれぞれの「LED」や「ランプ」を配線し、配線された「LED」や「ランプ」に対する駆動回路と、自基板に固有の識別データが設定された信号処理回路とを設け、演算制御手段5に順に連ねて接続すること、及び演算制御手段5においては、分割した各基板の識別データをROM27に格納し、分割した各基板毎に、その基板に対応する「LED」又は「ランプ」を制御するための信号を生成するとともに、その信号の供給先の基板の識別データをROM27から読み出し、読み出した識別データを前記「LED」又は「ランプ」を制御するための信号に付加した構成の信号をシリアルライン18に送出する一方、前記分割した各基板においては、前記演算制御手段5において付加された識別データと前記自基板に固有の識別データとを照合する比較回路と、ラッチ回路を設けて、相違点(C-4)及び(C-6)に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3-5)相違点(C-5)について
刊行物Aには、LED14や複数の装飾ランプ15等の出力手段4を制御するための信号がどのような構成のものかについて明確には記載されていないが、該信号は演算制御手段5からシリアルライン18によって直列伝送されており(特に上記4.(1-4)及び(1-5)を参照。)、シリアルラインによって直列伝送される信号として複数ビット構成の信号を用いることは、例を挙げるまでもなくごく普通に行われていることであるから、引用発明のLEDおよびランプを制御するための信号を複数ビット構成とし、相違点(C-5)に係る本願補正発明のような構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

(3-6)上記(3-4)で述べた周知技術2に関する文献
・特開平4-40721号公報(以下「刊行物C」という。特に第1、5図、第4頁右上欄下から7行目?同頁右下欄下から2行目、第5頁左上欄第4?第18行及び第5頁右上欄下から6行目?同頁左下欄第8行を参照。)
刊行物Cに記載されている「制御マスタ15」及び「スレーブ・ノード16、17および18」が、それぞれ上記(B)に記載した一致点における「制御用装置」及び「複数の被制御装置」に対応し、刊行物Cに記載されている「通信システム固有のアドレス(記憶回路6の内容)」、「アドレス情報」、「データ情報」、「アドレス・レジスタ4の内容」、「比較器7」及び「データ・ラッチ14」が、それぞれ本願補正発明の「自基板に固有の識別データ(自基板の識別データ)」、「表示用基板の識別データ」、「表示制御信号」、「識別データに該当する信号」、「比較回路」及び「ラッチ回路」に対応する。

・特開昭63-44267号公報(以下「刊行物D」という。特に第1、3図及び第2頁左上欄第9行?第3頁左上欄第3行を参照。)
刊行物Dに記載されている「マスターモジユール5」及び「スレーブモジユール6a?6n」が、それぞれ上記(B)に記載した一致点における「制御用装置」及び「複数の被制御装置」に対応し、刊行物Dに記載されている「自局モジユールのアドレス設定情報(自局アドレス設定情報)」、「モジユール識別用のアドレスコード」、「フアンクシヨンコード」、「カウンタ25の出力信号」、「コンパレータ26」及び「ラツチ回路15」が、それぞれ本願補正発明の「自基板に固有の識別データ(自基板の識別データ)」、「表示用基板の識別データ」、「表示制御信号」、「識別データに該当する信号」、「比較回路」及び「ラッチ回路」に対応する。

(4)まとめ
以上のように各相違点は格別のものではなく、本願補正発明の作用効果も、引用発明、刊行物B記載の技術及び周知技術1、2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物B記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成18年12月26日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年8月18日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(第二.2.にも記載したが再掲する)。
「ゲーム制御を実施するための主基板とは独立に、表示用の制御回路が搭載されたサブ制御基板を設けて成る遊技機であって、前記サブ制御基板に対し、それぞれ個別の識別データが設定された複数の表示用基板が信号伝送ラインを介して順に連ねて接続されており、
各表示用基板には、複数個の表示素子に対する駆動回路と、前記信号伝送ラインに送出された信号を取り込んで処理する信号処理回路とが設けられており、
前記サブ制御基板は、各表示用基板につき、それぞれその基板に対応する表示素子のオンオフを制御するための表示制御信号として、複数ビット構成のシリアル信号を生成し、この表示制御信号を当該表示用基板の識別データとともに前記信号伝送ラインに送出し、
前記各表示用基板の信号処理回路には、
前記信号伝送ラインから取り込んだ信号から前記識別データと表示制御信号とを切り分けて検出する信号検出手段と、
前記信号検出手段により検出された識別データを自基板の識別データと照合する照合手段と、
前記信号検出手段により検出された表示制御信号を保持し、前記照合手段により識別データの一致が判定されたときは、保持している表示制御信号を前記駆動回路にパラレル出力する一方、前記照合手段により識別データの不一致が判定されたときは、保持している表示制御信号をリセットする信号保持手段とが、含まれている遊技機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は、上記「第二.4.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、上記「第二」で検討した本願補正発明から、「複数個の表示素子」についての限定事項である「ゲーム用の表示器及び装飾用のランプ」の構成を省き、「複数の表示用基板」についての限定事項である「ゲーム用の表示器及び装飾用のランプを構成する表示素子は、それぞれ配置位置や種類毎に、個別の表示用基板に配線される」という構成を省き、「サブ制御基板」について、限定事項である「表示制御信号の供給先の表示用基板の識別データを前記メモリから読み出し、読み出した識別データを前記表示制御信号に付加」するという構成を省くとともに、主基板とは独立に設けるという構成を付加し、「表示用基板の信号処理回路」についての限定事項である「シリアル・パラレル変換回路」、「比較回路」及び「ラッチ回路」の構成を省いたものである。
そして、サブ制御基板を主基板とは独立に設ける点は、例えば、上記「第二.4.(3-2)相違点(C-2)について」の項で示した、特開平6-182038号公報(特に段落【0017】及び図4)や特開平7-24108号公報(特に段落【0003】)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)であって、当業者が適宜実施し得る事項である。
そうすると、本願発明の「サブ制御基板を主基板とは独立に設ける点」以外の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第二.4.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用発明、刊行物B記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、「サブ制御基板を主基板とは独立に設ける点」は上述のように当業者が適宜実施し得る事項であるから、本願発明は、引用発明、刊行物B記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物B記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.まとめ
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項(請求項2)に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-06 
結審通知日 2009-02-10 
審決日 2009-02-24 
出願番号 特願平10-234040
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 河本 明彦
森 雅之
発明の名称 遊技機  
代理人 鈴木 由充  
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