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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1196054
審判番号 不服2007-20499  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-24 
確定日 2009-04-09 
事件の表示 特願2004-105504「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月20日出願公開、特開2005-292356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年3月31日付けの出願であって、平成19年3月13日付けで通知された拒絶理由に対して、同年5月17日付けで手続補正書が提出され、その後、同年6月12日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月24日付けで、審判請求がなされるとともに手続補正書が提出され、その後、当審の審尋に対して平成20年10月17日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成19年7月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年7月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正には、特許請求の範囲を次のように補正しようとする事項が含まれている。

(補正前)
「【請求項1】ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを感光体に照射することにより前記感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記感光体上に生成された可視像を画像形成位置にて被記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の下方にて前記被記録媒体を積層した状態で収納する被記録媒体収納部と、
前記被記録媒体収納部の上方に位置し、前記被記録媒体収納部に収納された被記録媒体を、前記画像形成位置を経由して前記画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
前記被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、前記被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を前記搬送経路に供給する供給ローラと、
前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、前記画像形成装置から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニットと、
前記プロセスユニットの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、
を備え、
前記スキャナユニットは、前記プロセスユニットを前記脱着方向に取り出し可能なように、前記脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、
前記搬送経路の一部は、前記プロセスユニットと前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されており、
前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあること
を特徴とする画像形成装置。」

(補正後)
「【請求項1】ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを感光体に照射することにより前記感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記感光体上に生成された可視像を画像形成位置にて被記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の下方にて前記被記録媒体を積層した状態で収納する被記録媒体収納部と、
前記被記録媒体収納部の上方に位置し、前記被記録媒体収納部に収納された被記録媒体を、前記画像形成位置を経由して前記画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
前記被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、前記被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を前記搬送経路に供給する供給ローラと、
前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニットと、
前記プロセスユニットの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、
を備え、
前記スキャナユニットは、前記プロセスユニットを前記脱着方向に取り出し可能なように、前記プロセスユニットの脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、
前記搬送経路の一部は、前記プロセスユニットと前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されており、
前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあること
を特徴とする画像形成装置。」

この補正事項は、請求項1に関して、補正前の「前記画像形成装置から略水平な脱着方向に取り出し可能な」について、明細書の【0089】や図面の記載を根拠にして、「前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉から略水平な脱着方向に取り出し可能な」と補正して、取り出すための構成を限定し、また、補正前の「前記脱着方向」を「前記プロセスユニットの脱着方向」として、明りょうでない記載の釈明をする程度の補正をしたものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮、及び同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものということができる。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2.引用刊行物の記載事項
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開2001-175123号公報(原査定の引用文献3である。以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付した。

(1a)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に備えられる現像装置、および、その現像装置を備える画像形成装置に関する。」

(1b)「【0022】【発明の実施の形態】図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2に、用紙3を供給するためのフィーダユニット4、供給された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成ユニット5、および、所定の画像が形成された用紙3を排紙してスタックする排紙ユニット6などを備えている。
【0023】フィーダユニット4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙カセット37と、給紙カセット37内に設けられた用紙押圧板38と、給紙カセット37の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ7および給紙パット8と、給紙ローラ7に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ9とを備えている。
【0024】用紙押圧板38は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ7に対して遠い方の端部が揺動可能に支持されるとともに、近い方の端部が上下方向に回動可能とされており、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板38は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ7に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに回動される。給紙ローラ7および給紙パット8は、互いに対向状に配設され、給紙パット8の裏側に配設されるばね10によって、給紙パット8が給紙ローラ7に向かって押圧されている。用紙押圧板38上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板38の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ7に向かって押圧され、その給紙ローラ7の回転によって給紙ローラ7と給紙パット8とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。レジストローラ9は、駆動側および従動側の2つのローラから構成されており、給紙ローラ7から送られてくる用紙3を、所定のレジスト後に、画像形成ユニット5に送るようにしている。なお、レジストローラ9は、後述するドラムカートリッジ20に設けられており、このドラムカートリッジ20とともに、本体ケーシング2に対して着脱される。
【0025】画像形成ユニット5は、スキャナユニット11、現像装置としての現像ユニット12、定着ユニット13などを備えている。
【0026】スキャナユニット11は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光器(図示せず)、回転駆動されるポリゴンミラー14、レンズ15および16、反射鏡17、18および19などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザ光を、鎖線で示すように、ポリゴンミラー14、レンズ15、反射鏡17および18、レンズ16、反射鏡19の順に通過あるいは反射させて、後述する現像ユニット12の感光ドラム21の表面上に高速走査にて照射させている。なお、感光ドラム21上に走査されるレーザ光は、感光ドラム21の回転方向に直交する方向であって、1方向のみで走査されている。
【0027】現像ユニット12は、スキャナユニット11の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるドラムカートリッジ20に、感光体としての感光ドラム21、現像カートリッジ36、スコロトロン型帯電器25、転写ローラ26などを備えている。なお、本体ケーシング2の側壁には、この側壁に着脱自在に取り付けられるカバー部材50が設けられており、ドラムカートリッジ20の着脱は、たとえば、図3に示すように、このカバー部材50を取り外すことにより行なえばよい。
【0028】現像カートリッジ36は、ドラムカートリッジ20に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ22、層厚規制ブレード23、供給ローラ24およびトナーボックス27などを備えている。
【0029】?【0034】(略)
【0035】そして、感光ドラム21の表面は、スコロトロン型帯電器25により一様に正帯電された後、スキャナユニット11からのレーザ光の高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ22の回転により、現像ローラ22上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光ドラム21に対向して接触する時に、感光ドラム21の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム21の表面のうち、レーザ光によって露光され電位が下がっている部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって現像(反転現像)が達成される。
【0036】感光ドラム21の下方には、この感光ドラム21に対向する転写ローラ26が回転可能に配設されている。転写ローラ26は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、感光ドラム21に対して逆極性の転写バイアスが印加されている。そのため、感光ドラム21上に担持された可視像は、用紙3が感光ドラム21と転写ローラ26との間を通る間に用紙3に転写される。
【0037】定着ユニット13は、現像ユニット12の側方下流側に配設され、加熱ローラ32、加熱ローラ32に押圧される押圧ローラ31を備えている。加熱ローラ32は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、現像ユニット12において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ32と押圧ローラ31との間を通過する間に熱定着させるようにしている。
【0038】排紙ユニット6は、搬送ローラ33、排紙ローラ34および排紙トレイ35を備えている。搬送ローラ33は、用紙3の搬送方向における定着ユニット13の下流側に配設され、駆動ローラ41および従動ローラ42の2つのローラが、用紙3を挟んで対向するように配置されている。また、排紙ローラ34は、用紙3の搬送方向において、搬送ローラ33の下流側であって、排紙トレイ35の上方に臨むように設けられており、駆動ローラ43および従動ローラ44の2つのローラが、用紙3を挟んで対向するように配置されている。また、排紙トレイ35は、排紙ローラ34によって排紙される用紙3を積層状にスタックできるように、本体ケーシング2の上部に凹状に形成されている。
【0039】?【0041】(略)
【0042】図2において、このレーザプリンタ1には、本体ケーシング1の下部に、感光ドラム21を駆動するためのモータ51が配設されている。また、本体ケーシング1内であって、このモータ51の側方には、このモータ51のピニオンギヤ52に噛み合う第1中間ギヤ53と、この第1中間ギヤ53と同軸で一体に形成される、より大径の第2中間ギヤ54とが設けられている。また、感光ドラム21の駆動軸55には、感光ドラム21を駆動する駆動手段としての感光ドラム駆動ギヤ56が設けられている。感光ドラム駆動ギヤ56は、ドラムカートリッジ20の側方において、ドラムカートリッジ20から突出される感光ドラム21の駆動軸55に直結されており、ドラムカートリッジ20が本体ケーシング2に装着されている状態では、第2中間ギヤ54と噛み合うように構成されている。そして、モータ51からの駆動は、ピニオンギヤ52、第1中間ギヤ53、第2中間ギヤ54および感光ドラム駆動ギヤ56を介して、感光ドラム21の駆動軸55に伝達され、この駆動軸55が回転駆動されることにより、感光ドラム21が回転される。
【0043】そして、本実施形態のレーザプリンタ1では、感光ドラム駆動ギヤ56が、所定の空間周波数における感光ドラム21の速度変動率が、縞状模様として認識される官能レベルよりも低くなるように構成されている。
【0044】?【0047】(略)
【0048】また、図3に示すように、この感光ドラム駆動ギヤ56は、感光ドラム21の駆動軸55に直結されている、つまり、本体ケーシング2側ではなく、現像ユニット12のドラムカートリッジ20側に取り付けられて、このドラムカートリッジ20とともに、本体ケーシング2に着脱されるように構成されているので、ギヤの精度の向上が図られている。すなわち、たとえば、本体ケーシング2側に感光ドラム駆動ギヤ56が設けられていると、ドラムカートリッジ20を装着する時には、感光ドラム21の駆動軸55と感光ドラム駆動ギヤ56とを連結するためのカップリング機構が必要となるが、このような構成によると、そのようなカップリング機構が不要となり、装置構成の簡略化、および、ギヤの精度の向上を図ることができ、より一層、むらの少ない画像を形成することができる。また、カップリング機構によると、ドラムカートリッジ20を装着した時に、感光ドラム21の駆動軸55と感光ドラム駆動ギヤ56とを連結する必要があるが、このレーザプリンタ1では、感光ドラム駆動ギヤ56が、ドラムカートリッジ20の側方に設けられるとともに、第2中間ギヤ54が、ドラムカートリッジ20が本体ケーシング2に装着されている状態において、その感光ドラム駆動ギヤ56に噛み合うように構成されている、つまり、本体ケーシング2に対するドラムカートリッジ20の挿入方向において、感光ドラム駆動ギヤ56と対向するように設けられているので、装着時においては、ドラムカートリッジ20を本体ケーシング2に挿入するのみで、そのまま、感光ドラム駆動ギヤ56を、第2中間ギヤ54に噛み合わせて駆動を伝達させることができ、これによって、装着時の手間の低減を図ることができながら、かつ確実な装着が達成されている。」

(1c)【図1】は以下のとおりである。



(1d)また、上記(1b)の記載及び【図1】?【図3】の記載から、次の事項が理解される。
・給紙カセット37に収納された用紙は、給紙ローラ7、レジストローラ9により搬送されて、感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置を経由して、加熱ローラ32と押圧ローラ31、搬送ローラ33、排紙ローラ34により、排紙トレイ35に搬送され、これは、全体としてみて、給紙カセット37の上方に位置した搬送経路を形成していること。
・現像ユニット12は、給紙カセット37の上方であって給紙ローラ7に近い位置に配置され、トナーボックス27などを備えること。
・また、現像ユニット12(感光ドラム21、現像カートリッジ36,帯電器25、転写ローラ26などからなる。)は、給紙ローラ7の上部近くを通過して、本体ケーシング2の側壁に着脱自在に取り付けられたカバー部材50を取り外すことにより、略水平方向に取り出し可能であること。
・スキャナユニット11は、現像ユニット12の上方に配置されており、ポリゴンミラー14、レンズ15、反射鏡17および18、レンズ16、反射鏡19などを備え、現像ユニット12着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状となっており、本体ケーシング2の上部に凹状に形成された排紙トレイ35の傾斜にほぼ沿って配置されて、現像ユニット12を着脱方向に取り出しやすいようになっていること。
・また、上記の搬送経路の一部は、現像ユニット12と給紙カセット37とに挟まれた領域に形成されていること。
・感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置は、給紙ローラ7の上端よりも高い位置にあること。

これら記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ポリゴンミラー14でレーザ光を走査し、感光ドラム21の表面上にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーにより可視像化し、感光ドラム21上に担持された可視像を用紙3が感光ドラム21と転写ローラ26との間を通る間に用紙3に転写する画像形成装置であって、
本体ケーシング2内の底部に位置し、用紙3を積層状で収納する給紙カセット37と、
給紙カセット37の上方に位置し、給紙カセット37に収納された用紙を、給紙ローラ7、レジストローラ9により搬送し、感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置を経由して、加熱ローラ32と押圧ローラ31、搬送ローラ33、排紙ローラ34により、排紙トレイ35にまで搬送するための搬送経路と、
給紙カセット37の一端側端部の上方に設けられ、給紙カセット37の最上位にある用紙3を搬送経路に給紙する給紙ローラ7と、
給紙カセット37の上方であって給紙ローラ7に近い位置に配置され、トナーボックス27などを備え、給紙ローラ7の上部近くを通過して、本体ケーシング2の側壁に着脱自在に取り付けられたカバー部材50を取り外すことにより略水平方向に取り出し可能である現像ユニット12と、
現像ユニット12の上方に配置されており、ポリゴンミラー14、レンズ15、反射鏡17および18、レンズ16、反射鏡19などを備えたスキャナユニット11と、
を備え、
スキャナユニット11は、現像ユニット12の着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状となっており、本体ケーシング2の上部に凹状に形成された排紙トレイ35の傾斜にほぼ沿って配置されており、
搬送経路の一部は、現像ユニット12と給紙カセット37とに挟まれた領域に形成されており、
感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置は、給紙ローラ7の上端よりも高い位置にある、
画像形成装置。」

(2)刊行物2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された実願昭58-69748号(実開昭59-173638号)のマイクロフィルム(原査定の引用文献1である。以下、「刊行物2」という。)には、第2図等の記載によれば、
「画像形成装置の下方にある被記録媒体収納部(記録紙カセット)と、
被記録媒体収納部の上方に位置し、被記録媒体を画像形成位置を経由して画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を搬送経路に供給する供給ローラ(給紙ローラ18)とを有し、
搬送経路の一部は、現像装置や感光体ドラムと、前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されている、画像形成装置であって、
感光体ドラムの上方に配置されており、原稿画像の反射光を感光体ドラムに結像するアナログ光学系を有し、
搬送経路上に位置する画像形成位置(感光体ドラムから記録紙への転写位置)は、供給ローラ(給紙ローラ18)の上端よりも低い位置にある、画像形成装置。」
が記載されているものと認められる。

(3)刊行物3
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開昭59-45466号公報(原査定の引用文献2である。以下、「刊行物3」という。)には、第2図等の記載によれば、刊行物2で認定したのと同様の画像形成装置が記載されているものと認められる。

(4)刊行物4
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開平4-329557号公報(原査定の引用文献4である。以下、「刊行物4
3」という。)には、図1、【0014】?【0017】等の記載によれば、
「画像形成装置の下方にある被記録媒体収納部(給紙カセット10)と、
被記録媒体収納部の上方に位置し、被記録媒体を画像形成位置を経由して画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
被記録媒体収納部の上方に位置する画像形成ユニット20(感光体ドラム21、現像装置ユニット40(トナーホッパ42を含む)等)と、
被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を搬送経路に供給する供給ローラ(給紙ローラ11)とを有し、
搬送経路の一部は、画像形成ユニット20と、前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されている、画像形成装置であって、
画像形成ユニット20の上方に配置された、少なくともポリゴンミラーを備えたスキャナユニットは、画像形成ユニット20と、画像形成装置本体の上枠との間に沿うように配置され、背の高いトナーホッパ42に対応して厚みの少ない先細り形状となっている、
画像形成装置。」
が記載されているものと認められる。

(5)刊行物5
前置報告で示された、本願の出願前に頒布された特開2002-162865号公報(以下、「刊行物5」という。)には、【図1】?【図3】、【0005】?【0009】等の記載によれば、
画像形成装置本体の右側面に、倒れこむように開く開閉扉(前カバー22)が設けられ、この開閉扉を開いて、供給ローラ(給紙ローラ14)の上部付近を通過したプロセスカートリッジ30(トナーホッパ32を含む)を略水平方向に取り出すことが記載されており、
「被記録媒体収納部の上方であって供給ローラに近くの位置に配置され、少なくとも感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、供給ローラの上部付近を通過して、画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニット」が開示されているものと認められる。


3.本願補正発明と刊行物1記載の発明との対比・判断
そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
刊行物1記載の発明の「ポリゴンミラー14でレーザ光を走査し、感光ドラム21の表面上にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーにより可視像化し、感光ドラム21上に担持された可視像を用紙3が感光ドラム21と転写ローラ26との間を通る間に用紙3に転写する画像形成装置」は、本願補正発明の「ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを感光体に照射することにより前記感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記感光体上に生成された可視像を画像形成位置にて被記録媒体に転写する画像形成装置」に相当する。
刊行物1記載の発明の「本体ケーシング2内の底部に位置し、用紙3を積層状で収納する給紙カセット37」は、本願補正発明の「前記画像形成装置の下方にて前記被記録媒体を積層した状態で収納する被記録媒体収納部」に相当する。
刊行物1記載の発明の「給紙カセット37の上方に位置し、給紙カセット37に収納された用紙を、給紙ローラ7、レジストローラ9により搬送し、感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置を経由して、加熱ローラ32と押圧ローラ31、搬送ローラ33、排紙ローラ34により、排紙トレイ35にまで搬送するための搬送経路」は、本願補正発明の「前記被記録媒体収納部の上方に位置し、前記被記録媒体収納部に収納された被記録媒体を、前記画像形成位置を経由して前記画像形成装置外まで搬送するための搬送経路」に相当する。
刊行物1記載の発明の「給紙カセット37の一端側端部の上方に設けられ、給紙カセット37の最上位にある用紙3を搬送経路に給紙する給紙ローラ7」は、本願補正発明の「前記被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、前記被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を前記搬送経路に供給する供給ローラ」に相当する。
刊行物1記載の発明の「給紙カセット37の上方であって給紙ローラ7に近い位置に配置され、トナーボックス27などを備え、給紙ローラ7の上部近くを通過して、本体ケーシング2の側壁に着脱自在に取り付けられたカバー部材50を取り外すことにより略水平方向に取り出し可能である現像ユニット12」と、本願補正発明の「前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニット」とは、「前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した又は近い位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部又は上部近くを通過して、前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた扉から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニット」の点で共通する。
刊行物1記載の発明の「現像ユニット12の上方に配置されており、ポリゴンミラー14、レンズ15、反射鏡17および18、レンズ16、反射鏡19などを備えたスキャナユニット11」は、本願補正発明の「前記プロセスユニットの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニット」に相当する。
刊行物1記載の発明の「スキャナユニット11は、現像ユニット12の着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状となっており、本体ケーシング2の上部に凹状に形成された排紙トレイ35の傾斜にほぼ沿って配置されており」と、本願補正発明の「前記スキャナユニットは、前記プロセスユニットを前記脱着方向に取り出し可能なように、前記プロセスユニットの脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており」とは、「前記スキャナユニットは、所定の形状にされており」の点で共通する。
刊行物1記載の発明の「搬送経路の一部は、現像ユニット12と給紙カセット37とに挟まれた領域に形成されており」は、本願補正発明の「前記搬送経路の一部は、前記プロセスユニットと前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されており」に相当する。
刊行物1記載の発明の「感光ドラム21と転写ローラ26との間で可視像を用紙3に転写する位置は、給紙ローラ7の上端よりも高い位置にある」と、本願補正発明の「前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にある」とは、「前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端から所定高さの位置にある」の点で共通する。

そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりと認められる。

[一致点]
「ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを感光体に照射することにより前記感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記感光体上に生成された可視像を画像形成位置にて被記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の下方にて前記被記録媒体を積層した状態で収納する被記録媒体収納部と、
前記被記録媒体収納部の上方に位置し、前記被記録媒体収納部に収納された被記録媒体を、前記画像形成位置を経由して前記画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
前記被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、前記被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を前記搬送経路に供給する供給ローラと、
前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した又は近い位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部又は上部近くを通過して、前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた設けられた扉から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニットと、
前記プロセスユニットの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、
を備え、
前記スキャナユニットは、所定の形状にされており、
前記搬送経路の一部は、前記プロセスユニットと前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されており、
前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端から所定高さの位置にある、
画像形成装置。」


[相違点1]
プロセスユニットを取り出す扉に関して、
本願補正発明では、画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉であるのに対し、
刊行物1記載の発明では、本体ケーシング2の側壁(画像形成装置の供給ローラ側側面)に着脱自在に取り付けられたカバー部材50である点。

[相違点2]
スキャナユニットの形状、画像形成位置の高さ、プロセスユニットの配置に関して、
本願補正発明では、
スキャナユニットは、前記プロセスユニットを前記脱着方向に取り出し可能なように、前記プロセスユニットの脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、
画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあり、
プロセスユニットは、供給ローラに近接した位置に配置され、供給ローラの上部を通過して取り出されるのに対し、
刊行物1記載の発明では、
スキャナユニット11は、現像ユニット12(プロセスユニット)の着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状となっており、本体ケーシング2の上部に凹状に形成された排紙トレイ35の傾斜にほぼ沿って配置されており、
画像形成位置は、給紙ローラ7(供給ローラ)の上端よりも高い位置にあり、
プロセスユニットは、供給ローラに近い位置に配置され、供給ローラの上部近くを通過して取り出される点。

そこで、相違点について検討する。

(相違点1について)
プロセスユニットを取り出す扉に関して、刊行物5には、画像形成装置の側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉が記載されており、
刊行物1記載の発明において、プロセスユニットを取り出す扉として、着脱自在に取り付けられたカバー部材50に代えて、本願補正発明のような、画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉を採用することは、当業者が適宜容易になし得る程度のことである。

(相違点2について)
画像形成位置(転写位置)の高さについて、刊行物2,3には、上記のように、
「画像形成装置の下方にある被記録媒体収納部(記録紙カセット)と、
被記録媒体収納部の上方に位置し、被記録媒体を画像形成位置を経由して画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を搬送経路に供給する供給ローラ(給紙ローラ)とを有し、
搬送経路の一部は、現像装置や感光体ドラムと、前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されている、画像形成装置であって、
感光体ドラムの上方に配置されており、原稿画像の反射光を感光体ドラムに結像するアナログ光学系を有し、
搬送経路上に位置する画像形成位置(感光体ドラムから記録紙への転写位置)は、供給ローラ(給紙ローラ)の上端よりも低い位置にある、画像形成装置。」が記載されており、
言い換えれば、刊行物2,3には、画像形成装置の下方から上方へ向かって、被記録媒体収納部、搬送経路(画像形成位置を含む)、感光体ドラム、アナログ光学系の順に配置されたものにおいて、供給ローラから画像形成位置に至る搬送経路に下がる傾斜を設けて、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くすることが記載されている。
そして、これに接した当業者は、画像形成装置の高さに制限がある(この部分だけを高くすることができない)ので、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くすることで、画像形成位置における画像形成装置の高さを抑えているものと通常、理解するものである。
また、当業者であれば、刊行物2,3に記載のものの光学系は、アナログ光学系であるが、デジタル光学系である、ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットを使用した場合においても、画像形成位置における画像形成装置の高さを抑える手法として、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くする技術が適用可能であるとも認識するものである。
したがって、刊行物1記載の発明において、画像形成位置における画像形成装置の高さに制限があるような場合には、刊行物2,3に記載された、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くする技術を適用することは、当業者にとって困難なことではない。

一方、ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットの形状については、刊行物1記載の発明のような、プロセスユニットの着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状のものだけでなく、刊行物4に記載されたような、背の高いトナーホッパに対応して厚みの少ない先細り形状になっているものも知られており、当業者であれば、状況に応じて、適宜、背の高いトナーホッパに対応して厚みの少ない先細り形状になっているものを採用してみようとするものである。

そして、一般に、画像形成装置の分野において、画像形成装置を構成する各装置の配置や形状を工夫して、できる限りコンパクトな画像形成装置を設計することは、文献を示すまでもなく、周知の課題であり、また、当業者であれば、好適な配置や形状を工夫できる創作能力を有しているものである。
そうすると、刊行物4に記載されたような、背の高いトナーホッパに対応して厚みの少ない先細り形状になっているスキャナユニットを採用する場合には、画像形成位置における画像形成装置の高さが高くなりがちであるから、高さを抑制する必要があるとき(例えば、上方にある排紙トレイとの関係で高くできないときや、画像形成装置の上面を平らにしたいために画像形成位置の部分だけが高くなるのを回避するときなどが考えられる。)には、刊行物2,3に記載された、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くする技術を適用してみることは、当業者が難なく発想できることである。

以上のことを勘案すると、刊行物1記載の発明において、スキャナユニットとして、現像ユニット12(プロセスユニット)の着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状のものに代えて、プロセスユニットの脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状のもの(刊行物4)を採用するとともに、それに伴い、画像形成位置における画像形成装置が高くなることを回避するために、画像形成位置を、供給ローラの上端よりも低い位置となるように、下げること(刊行物2,3)とし、併せてプロセスユニットの配置の微調整も行い、相違点2に係る本願補正発明のごとくなすことは、当業者が容易に想到し得ることといわざるを得ない。

(作用効果について)
刊行物1記載の発明では、スキャナユニット11は、現像ユニット12(プロセスユニット)の着脱方向に対して厚みの変化がほとんどない形状であるが、本体ケーシング2の上部に凹状に形成された排紙トレイ35の傾斜にほぼ沿って、やはり傾斜配置されている。これにより、取り出し方向側(カバー部材12側)に大きなトナーボックス27を有する現像ユニット12が、取り出し方向(着脱方向)に取り出しやすいことは、当業者に明らかである。
刊行物4に記載のスキャナユニットは、画像形成ユニット20の上方に配置された、少なくともポリゴンミラーを備えたスキャナユニットであり、画像形成ユニット20と、画像形成装置本体の上枠との間に沿うように配置され、背の高いトナーホッパ42に対応して厚みの少ない先細り形状となっており、これは、プロセスユニットの着脱方向は別として、形状に関しては、本願補正発明と同様の形状であり(しかも、トナーボックス上付近が細い形状は、本願の図1での形状と同様である。)、刊行物4記載のものも、画像形成装置の高さを抑えていることは、当業者に明らかである。
そして、刊行物1記載の発明において刊行物4に記載のような形状のスキャナユニットを適用した場合にも、プロセスユニットの取り出しが容易になるとともに画像形成装置の高さを抑えることができるという本願補正発明の作用効果は、当然に予測できることである。
また、画像形成位置における画像形成装置の高さも抑えることができるという本願補正発明の作用効果も、刊行物2,3に記載された、画像形成位置(転写位置)の高さを供給ローラの高さよりも低くする技術から、当然に予測し得ることである。

(まとめ)
したがって、本願補正発明は、刊行物1?5に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願の請求項1に係る発明
平成19年7月24日付けの手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1?21に係る発明は、平成19年5月17日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?21に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを感光体に照射することにより前記感光体に静電潜像を形成し、前記感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記感光体上に生成された可視像を画像形成位置にて被記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の下方にて前記被記録媒体を積層した状態で収納する被記録媒体収納部と、
前記被記録媒体収納部の上方に位置し、前記被記録媒体収納部に収納された被記録媒体を、前記画像形成位置を経由して前記画像形成装置外まで搬送するための搬送経路と、
前記被記録媒体収納部の端部近傍の上方に位置し、前記被記録媒体収納部の最上部に積層された被記録媒体を前記搬送経路に供給する供給ローラと、
前記被記録媒体収納部の上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記感光体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、前記画像形成装置から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニットと、
前記プロセスユニットの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、
を備え、
前記スキャナユニットは、前記プロセスユニットを前記脱着方向に取り出し可能なように、前記脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、
前記搬送経路の一部は、前記プロセスユニットと前記被記録媒体収納部とに挟まれた領域に形成されており、
前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあること
を特徴とする画像形成装置。」

なお、本願発明1は、本願補正発明の「前記画像形成装置の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉から略水平な脱着方向に取り出し可能な」の記載から、「の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉」という構成を省き、また、本願補正発明の「前記プロセスユニットの脱着方向」の記載から、「プロセスユニットの」という文言を省いたものである。

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された、
刊行物1:特開2001-175123号公報(原査定の引用文献3)、
刊行物2:実願昭58-69748号(実開昭59-173638号)のマイクロフィルム(原査定の引用文献1)、
刊行物3:特開昭59-45466号公報(原査定の引用文献2)、
刊行物4:特開平4-329557号公報(原査定の引用文献4)
の記載事項は、上記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、上記「第2 3.」で示した相違点1,2のうち、相違点1では相違せず(上記「1.」で示したように「の供給ローラ側側面に設けられた倒れこむように開く開閉扉」という記載は、本願発明1にはない。)、相違点2でのみ相違する。
そして、相違点2に係る構成は、「第2 3.」で示したように、刊行物1記載の発明において刊行物2?4に記載された技術を組み合わせて当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本願発明1は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-05 
結審通知日 2009-02-10 
審決日 2009-02-24 
出願番号 特願2004-105504(P2004-105504)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G03G)
P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 泉 卓也宮崎 恭  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 淺野 美奈
山下 喜代治
発明の名称 画像形成装置  

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