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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1196106
審判番号 不服2006-15830  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-24 
確定日 2009-04-08 
事件の表示 平成 9年特許願第 47830号「カード及びカード組み合わせセット並びにその収納ファイル」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月12日出願公開、特開平10-119466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年3月3日の出願(国内優先権主張日:平成8年8月28日)であって、平成17年9月29日付けの拒絶理由通知に対して、同年11月9日付けで意見書とともに手続補正書が提出されたが、平成18年6月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月24日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。
なお、当審において審判審尋をかけたが、請求人から回答書等は提出されていない。

第2 平成18年7月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成18年7月24日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の発明
平成18年7月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1及び2についての補正を含むものであり、本件補正により、請求項1は、
「裏返しにして用いられる1枚のカードであって、表面がテーマを表示するためのテーマ表示面になっており、裏面に、中央に1個配置された第1表示区域と、この第1表示区域の周囲に複数個配置された第2表示区域とが設けられ、第1表示区域は前記表面と同じテーマを表示するための区域になっており、それぞれの第2表示区域は、このテーマを分析して得られる各種分析事項を表示するための区域になっている第1カードと、
前記第2表示区域の個数と同数用意され、それぞれが裏返しにして用いられるカードであって、前記第1カードと各表面、各裏面が同じ形式で形成された複数枚の第2カードと、
を含み、
これらの第2カードの表面が前記第1カードの裏面の前記第2表示区域に表示される1個の前記分析事項を表示するための分析事項表示面になっているとともに、前記第2カードの裏面の中央に1個設けられた第1表示区域はこの分析事項と同じ分析事項を表示するための区域になっており、前記第2カードの裏面の前記第1表示区域の周囲に複数個設けられた第2表示区域は、この分析事項をさらに分析して得られる各種詳細分析事項を表示するための区域になっていることを特徴とするカード組み合わせセット。」
と補正された(以下、「本件補正発明」という。下線は審決において付したものである)。

補正後の請求項1は「カード組み合わせセット」であるのに対して、補正前の請求項のうちで当該「カード組み合わせセット」であるのは、補正前請求項4のみである。
してみると、補正後の請求項1は、請求人も説明するとおり、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項4に基づいたもの(審判請求書3頁下から5行参照)であって、その実質的な補正事項は、上記の本件補正発明において下線を付した箇所である。
本件補正について、検討する。
(1)第1、2番目の補正事項について
当該補正により、第1カードが「1枚」であること、第2カードが「(第1カードの)第2表示区域の個数と同数用意され」ることが特定された。
即ち、当該補正は、本件補正発明の「カード組み合わせセット」に含まれる、第1カード及び第2カードの枚数を限定するものである。
(2)第3番目の補正事項について
当該補正は、第2カードの表面が、第1カードの裏面の第2表示区域に表示される「1個」の「分析事項」を表示する表示面であることを特定するものであるところ、第2カードの表面に表示される「分析事項」が「1個」であることは、願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。)には、明記されていない(なお、「1個」に関し、第1表示区域が中央に「1個」配置されていることは、当初明細書の請求項1、段落【0008】等に記載されている。)。
しかしながら、請求人が、願書に最初に添付された図面(以下、「当初図面」という。)の図3及び図4を補正の根拠としているように(審判請求書4頁下から2行参照)、当初図面の図3及び図4には、第2カードの表面に表示される「分析事項」が「1個」である例が記載されている。
又、本件補正発明の第2カードの表面には、「1個の分析事項」以外のものが表示される例は示されていない。
してみると、第2カードの表面に表示される分析事項の数は、「1個の」なる特定事項が有ろうと無かろうと変わるものではないから、当該事項のように補正されても、本件補正発明の技術事項は実質的に変わらない。
(3)第4、5番目の補正事項について
当該補正は、補正前の請求項4の「第1カードと各表面、各裏面が同じ形式で形成された複数枚の第2カード」における「(第1カードと)同じ形式」に関連して、第1カードに関する「裏面に、中央に1個配置された第1表示区域と、この第1表示区域の周囲に複数個配置された第2表示区域」なる記載に倣って、この具体的記載を、第2カードについても追記したものであるから、当該補正事項によって、本件補正発明の技術事項は実質的に変わらない。
(4)まとめ
上記(1)乃至(3)からみて、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、即ち、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、以下、検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭60-120547号(実開昭62-104979号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。
ア.実用新案登録請求の範囲第1項
「1.正方形の用紙に同形状の9個の正方形コマを描き、中央の正方形コマには更に中央部に1個の正方形コマとその外周部に8個の円形コマをロ字状に配設したテーマコマを設け、他の8個の正方形コマには更に同形状の9個の正方形コマを描き、更に各コマの中央部に円形コマを設け、該円形コマと前記テーマコマとの各コマが左右、上下および対角になるように配設し、中央に記入した方策テーマが十文字状かつ対角状に分析表示できる図表にしたことを特徴とする方策分析カード。」
イ.実用新案登録請求の範囲第2項
「2.前記分析カードを9コマのパネルカードに成形加工し、該パネルカードの配設を自在ならしめる実用新案登録請求の範囲第1項記載の方策分析カード。」
ウ.2頁2?4行
「本考案は図表に関するものであるが、特に問題点を体系的に検討分析できるように配設した方策分析カードに関するものである。」
エ.2頁19行?3頁3行
「本考案が解決しようとする問題点は、(1)現状分析、問題提起、目標設定、方策決定までの検討分析を図表化すること、(2)図表化にしたものを更にカード化ないしはパネル化するところにある。」(なお、()数字は、明細書では丸数字である。)
オ.4頁10行?5頁10行
「第1図は、1枚の用紙に本考案を表わした分析カードを示したものである。本図からも明らかのように、分析カード(S)は、1枚の正方形の用紙に9個の正方形(同形)が描かれており、中央部の正方形コマ以外のコマには更に正方形(同形)のコマが描かれている。中央の正方形コマは中央に正方形のコマを設け、更にその外周部に8個の円形コマがロ字状に配設してある。また、他の正方形コマの中央部には円形コマが設けてあり、中央部の円形コマと左右、上下および対角状になるよう配設してある。つまり、中央のテーマコマに描かれている円形コマのAはAに(下の円形コマ)、BはBに(左側の円形コマ)、CはCに(上の円形コマ)、DはDに(右側の円形コマ)、EはEに(左下対角の円形コマ)、FはFに(左上対角の円形コマ)、GはGに(右上対角の円形コマ)、HはHに(右下対角の円形コマ)の位置にそれぞれ配置されるように図表化させてある。また8個の正方形コマには、1から8までの番号を付記してある。」
カ.5頁10?18行
「次に、この分析カード(S)の使用方法について説明すれば、まず中央のテーマコマ内に目標決定するための方策テーマを記入すると共に、各円形コマに目標決定のための項目を記入する。次に、各正方形コマの円形コマに中央の円形コマに対応する目標決定をそれぞれ記入し、更に各コマの1から8の番号枠内にそれぞれの目標決定項目の検討分析項目を記入する。」
キ.6頁6?12行
「第2図は、第1図に示した本考案の分析力ードをパネル化したものである。つまり、9コマの正方形コマを1枚ずつのパネルカード(P)に成形加工し、ケースに収納できるようにすると共にその組み合わせを自在にすることによって、使用目的を多用化させるようにしたものである。」

上記記載を検討すると、引用文献の第2図に示されるパネルカードについて、(P)と指示される正方形のパネルカード(第2図左側のパネルカード参照)と、該(P)と指示される正方形のパネルカードを更に9個の正方形に区画した正方形とは、共に「正方形コマ」と記載されており(上記オ?キ参照)、両者が区別しにくいため、本審決においては、以下、便宜的に、(P)と指示される大きい正方形のパネルカードを「大コマ」と、9個に区画された小さい正方形を「小コマ」と称する。
又、中央に配置されてテーマが記入されるパネルカードは、「大コマ」と同形のものであり、「テーマコマ」と記載されている(上記オ、カ及び第2図参照)ところ、上記カの「中央のテーマコマ内に目標決定するための方策テーマを記入する」との記載をみると、該テーマコマ(第2図における中央のパネルカード)の中央に設けられた「テーマ」なる文字が記載された小コマも「テーマコマ」と記載されており、両者が区別しにくいため、本審決においては、以下、便宜的に、「小コマ」と同形の「テーマコマ」を「小テーマコマ」と称する。
これらの認定に基づいて、上記記載及び図面の記載から、引用文献には、次の発明が記載されている(以下、「引用文献記載発明」という。)。
「それぞれが同形の正方形のパネルカードに成形加工された、1枚のテーマコマと8枚の大コマとからなる方策分析カードであって、
1枚のテーマコマは、中央部に1個の小テーマコマとその外周部に8個の円形コマをロ字状に配設したものであり、
8枚の大コマは、同形状の正方形の9個の小コマが描かれ、中央部の小コマには更に円形コマが描かれたものであり、
テーマコマの中央の小テーマコマには、目標決定するための方策テーマを記入すると共に、その外周部の8個の円形コマには、目標決定のための項目を記入し、
8枚の大コマには、その中央部の円形コマに、テーマコマの外周部の8個の円形コマに記入した目標決定のための項目をそれぞれ記入し、外周の8個の小コマには、目標決定項目の検討分析項目を記入する、方策分析カード。」

3.対比
引用文献記載発明と本件補正発明とは、いずれもカード方式によって所定テーマを教育、学習できるようにしたものとして共通しており、また、引用文献記載発明の「コマ(テーマコマ、大コマ)」と本件補正発明の「カード(第1カード、第2カード)」とは、いずれも縦横各3個のマトリックス状にスペースを配置し、各スペースへの記載を通して思考訓練を行い、教育、学習効果を高める課題を達成するためのものであることにおいても共通している。
よって、引用文献記載発明の「テーマコマ」、「大コマ」は、本件補正発明の「第1カード」、「第2カード」に、それぞれ相当する。
ところで、本件補正発明の「第1カード」と「第2カード」とは、表面及び裏面が同じ形式で形成されているから、裏面における「第1表示区域」と「第2表示区域」とは、「第1カード」であっても「第2カード」であっても同じ形式のものであるところ、本件補正発明に言う「同じ形式」とは、請求項1の記載からみて、「中央に1個配置された(設けられた)第1表示区域」と「第1表示区域の周囲に複数個配置された(設けられた)第2表示区域」とからなる形式であることは明らかである。
念のため付言すれば、それら表示区域の形状は特定されていない。
他方、引用文献発明の「テーマコマ」(「第1カード」に相当)と「大コマ」(「第2カード」に相当)とは、その記入区域(小テーマコマや小コマ)の具体的形状は正方形や円形であって異なるものの、「テーマコマ」も「大コマ」も、中央部に1個の記入区域(小テーマコマと円形コマ)が設けられ、その外周部(周囲)に8個(複数)の記入区域(円形コマと小コマ)が設けられているものであり、又、この記入区域とは表示区域に他ならないから、結局、引用文献記載発明の「テーマコマ」と「大コマ」とは、表示区域を設ける面が「同じ形式」で形成されたものと言える。
そうすると、引用文献記載発明の「テーマコマの中央の小テーマコマ」及び「テーマコマの周囲の円形コマ」は、本件補正発明の「第1カードの第1表示区域」及び「第1カードの第2表示区域」に、引用文献記載発明の「大コマの中央の円形コマ」及び「大コマの周囲の小コマ」は、本件補正発明の「第2カードの第1表示区域」及び「第2カードの第2表示区域」に、それぞれ相当することは明らかである。
次に、引用文献記載発明の記入(表示)区域に記入される事項について検討すると、上記カのとおり、小テーマコマには「方策テーマ」が、テーマコマの周囲の円形コマには「目標決定のための項目」が、大コマの中央の円形コマには、テーマコマの周囲の円形コマに記入した「目標決定のための項目」が、大コマの周囲の小コマには、中央に記入した「目標決定のための項目」を更に分析した「目標決定項目の検討分析項目」が記入され、「方策テーマ」、「目標決定項目」、「検討分析項目」が、上位から下位に体系的に分析されていく階層構造になっていることは明らかであるから、結局、引用文献記載発明において小コマ等に記入される項目は、本件補正発明の裏面の各表示区域に表示される事項と同じものと言える。
そして、本件補正発明のカードの裏面は、表裏面の内の一方の面と言い換えることができ(なお、表面は、他方の面と言い換えることができる。)、他方、引用文献記載発明の表示面は、パネルカードの一方の面と言えるから、本件補正発明と引用文献記載発明とは、表裏面の内の一方の面を表示面とする点で共通するものである。
さらに、引用文献記載発明の「方策分析カード」は、1枚の「テーマコマ」と8枚の「大コマ」とで構成されているから、「セット」と言うことができ、そのセットに含まれる「大コマ」は8枚であるから、「小テーマコマ」(「第1表示区域」に相当)の外周部(周囲)の「円形コマ」(「第2表示区域」に相当)と同数である。
以上の点からみて、本件補正発明と引用文献記載発明とは、以下の点で一致する一方、以下の点で相違するものである。
《一致点》
「1枚のカードであって、一方の面に、中央に1個配置された第1表示区域と、この第1表示区域の周囲に複数個配置された第2表示区域とが設けられ、第1表示区域はテーマを表示するための区域になっており、それぞれの第2表示区域は、このテーマを分析して得られる各種分析事項を表示するための区域になっている第1カードと、
前記第2表示区域の個数と同数用意されたカードであって、前記第1カードと一方の面が同じ形式で形成された複数枚の第2カードと、
を含み、
前記第2カードの一方の面の中央に1個設けられた第1表示区域は、第1カードの一方の面の前記第2表示区域に表示される分析事項と同じ分析事項を表示するための区域になっており、前記第2カードの一方の面の前記第1表示区域の周囲に複数個設けられた第2表示区域は、この分析事項をさらに分析して得られる各種詳細分析事項を表示するための区域になっていることを特徴とするカード組み合わせセット。」
《相違点》
「本件補正発明では、第1カード及び第2カードは裏返しにして用いられるカードであって、第1カードの表面(他方の面)がテーマを表示するためのテーマ表示面になっており、第2カードの表面(他方の面)が前記第1カードの裏面(一方の面)の前記第2表示区域に表示される1個の前記分析事項を表示するための分析事項表示面になっているのに対して、引用文献記載発明では、一方の面を表示区域としているが、他方の面を表示面とするか否かは定かでない点。」

4.判断
(1)相違点について
上記相違点に係る「第1カード及び第2カードは裏返しにして用いられる」なる特定事項は、各カードの表裏両面を、情報を表示する面とすることを特定する事項である。
ところで、学習用カード等、カードの技術分野においては、カードの有効利用、カードにおける情報表示の効率化等のために、カードの表裏両面に情報を記載(表示)することは、例示するまでもなく、当たり前に行われていることであるから、引用文献記載発明のカードについても、他方の面にも情報を記載することは、カード利用者が普通に思いつく程度のことである。
なお、引用文献を検討しても、引用文献記載発明のカードの他方の面が、情報を記載できないような構成(例えば、カードが透明である、他方の面に接着剤層が設けられている等)となっていることを窺わす記載はないから、引用文献記載発明のカードの他方の面に情報を記載することを阻害する要因はない。

同じく相違点に係る「第1カードの表面がテーマを表示するためのテーマ表示面になっており、第2カードの表面が前記第1カードの裏面の前記第2表示区域に表示される1個の前記分析事項を表示するための分析事項表示面になっている」なる特定事項は、各カードの表面(他方の面)を表示面とするについて、該表面に表示される事項を特定する事項である。
即ち、当該事項は、第1カードの表面には「テーマ」が、第2カードの表面には「分析事項」が表示されることを特定するものであるところ、本件補正発明に係る他の特定事項である「裏面に、中央に1個配置された第1表示区域と、…(略)…、第1表示区域は前記表面と同じテーマを表示するための区域になっており、」(請求項1の2?4行)及び「第2カードの裏面の中央に1個設けられた第1表示区域はこの分析事項と同じ分析事項を表示するための区域になっており、」(請求項1の12?14行)なる事項を参酌すると、前記「テーマ」は、第1カードの裏面の中央の第1表示区域に、同じく「分析事項」は、第2カードの裏面の中央の第1表示区域に表示される事項である。
してみると、本件補正発明において、第1カード及び第2カードの表面に表示される事項は、それぞれのカードの裏面に表示される事項の一部であって、且つ、第2カードの表面の表示事項は、第1カードの裏面の表示事項でもあるところ、請求人は、この表裏の表示事項の関係を「互いに関連しており」と主張している(審判請求書7頁13?14行参照)から、結局、本件補正発明の各カードの表面には、その裏面の表示事項と互いに関連する事項が表示されると言える。
そこで検討するに、学習用カード等の技術分野において、各種カードの表面の表示事項と裏面の表示事項とを互いに関連するものとすることは、周知の技術事項(必要とあれば、実願昭54-147330号(実開昭56-63478号)のマイクロフィルム、実願平2-127722号(実開平4-85362号)のマイクロフィルム等参照)であるから、これら周知の技術事項に倣って、引用文献記載発明において、他方の面に何らかの情報を表示する際に、その表示事項を、一方の面の表示事項と互いに関連するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

以上のとおりであるから、引用文献記載発明のカードにおいて、他方の面(第1及び第2カードの表面)に情報を表示すること、そして、他方の面に情報を表示するに際し、その表示情報(表示事項)を、一方の面(第1及び第2カードの裏面)の表示事項とすること、即ち、上記相違点に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「(3)本願発明と引用文献との比較 (b)本願発明と引用文献との相違」の(i)において、「本願発明では、第1カードの裏面の表示事項と第2カードの表面の表示事項は、互いに関連しており、このような本願発明の特徴は、引用文献1に開示されておらず、」(審判請求書7頁13?15行)と主張している。
しかしながら、引用文献記載発明において、大コマの中央の円形コマ(第2カードの裏面の第1表示区域)には、テーマコマの外周部の円形コマ(第1カードの裏面の第2表示区域)の表示事項が表示されるのであるから、大コマの中央の円形コマとテーマコマの外周部の円形コマとの表示事項は、請求人の言う「互いに関連して」いるものであるところ、上記相違点に関する検討のとおり、大コマの他方の面に、一方の面の表示事項を表示することは、当業者が容易に想到し得ることであり、そうであれば、大コマの他方の面(第2カードの表面)には、テーマコマの一方の面(第1カードの裏面)の表示事項が表示されることになるから、結局、引用文献発明に前記周知の事項に倣って「大コマの他方の面に、一方の面の表示事項を表示する」構成を採用した場合には、テーマコマの一方の面(第1カードの裏面)と大コマの他方の面(第2カードの表面)の表示事項は、「互いに関連して」いるものとなることは明らかである。

又、請求人は、同じく(b)の(i)において、「第1カードの表面に前記テーマが表示され、それぞれの第2カードの表面に前記1個の分析事項が表示されるため、第1カードと第2カードの全部の表面を表にした場合には、図3で示されている状態となり、このような状態を、引用文献1?4に示される発明内容から出現させることはできません。」(同7頁19?23行)と主張している。
しかしながら、上記相違点に関する検討のとおり、引用文献記載発明において、テーマコマ(第1カード)及び大コマ(第2カード)の他方の面に、一方の面の表示事項を表示することは、当業者が容易に想到し得ることであり、他方の面に表示事項が表示されている以上、その表示事項を見せるために、コマの他方の面を全て表にして、図3に示される状態にする程度のことは、当業者が容易に想起し得ることである。

ところで、請求人は、「カードの全部の表面を表にする」ことについて、審判請求書の「(3)本願発明と引用文献との比較 (a)本願発明の特徴」の(i)において、「第1カードと第2カードの全部の表面を表にした場合のことを「1階層構造の表示」と、第1カードと第2カードの全部を裏返しにした場合のことを「2階層構造の表示」と説明しており、第1カードと第2カードの表裏を反転させる作業を行うことにより、分析についての学習等を階層的に行えることになる。」(審判請求書6頁14?21行参照)旨、主張している。
さらに、請求人は、同じく「カードの全部の表面を表にする」ことに関連して、カードの片面だけしか使用しない場合の欠点として、平成17年11月9日付け意見書の「4.本願発明と引用文献との対比 (1)補正後の請求項1?5について」の(B)において、「それぞれの分析事項を複数の第2表示区域に記載するときに、上記学習テーマを分析してこれらの分析事項を案出する作業(第1の作業)と、これらの分析事項についての互いの関係を考え、関係の深い分析事項同士を決めて第2表示区域に記載するという作業(第2の作業)と、を同時に行わなければならなくなり、」(同意見書4頁下から8?4行)とも主張している。
なるほど、本件補正発明の「第1カード」と「第2カード」とが、引用文献の第1図に記載される実施例のように、一枚のカード形態として形成されている場合には、上記の「第1の作業」と「第2の作業」において、第1カードの第2表示区域に記載すべき「分析事項」を互いの関係を考慮して記載しなければならず、又、第2カードを記載する際に、第1カードの内容が目に入り、作業の妨げになる可能性があることは認める。
しかしながら、上記「2.引用刊行物」、「3.対比」等で検討しているように、引用文献には、「テーマコマ」と「大コマ」とを一枚のカード形態とする実施例(第1図参照)のみならず、これらを、1枚の「テーマコマ」と8枚の「大コマ」とに分離して別カードの形態とする実施例(第2図参照)が示されており、しかも、本審決において認定した引用文献記載発明は、拒絶理由通知で提示されたとおり、引用文献の第2図記載の実施例に基づくものであり、当該認定が可能であることは請求人が充分想定可能であるから、請求人の主張は、引用文献に記載される一枚のカード形態とした実施例については妥当であるとしても、引用文献記載発明については当たらない。
念のため付記すれば、引用文献記載発明においては、上記「3.対比」に記載したとおり、テーマコマ、大コマの中央の表示事項と、外周部の表示事項とは階層構造になっているから、大コマの他方の面に、一方の面の中央の表示事項を表示した場合、全部のカードの他方の面を表にしたものと、全部のカードの一方の面を表にしたものとが、階層構造になることは言うまでもなく、そうであれば、引用文献記載発明も、請求人が主張する「学習等を階層的に行える」という効果を奏するものである。
さらに、引用文献記載発明は、それぞれのコマが別カードの形態を採っているから、大コマの他方の面に、一方の面の中央の表示事項を表示した場合、請求人の主張する「第1の作業」と「第2の作業」とを同時に行う必要はないことは明らかである。

以上のとおりであるから、請求人の上記主張は、何れも採用できない。

(3)まとめ
以上検討したとおり、上記相違点に係る特定事項は、当業者が容易に採用可能なものであり、それらを採用することにより得られる作用効果も当業者であれば容易に推察可能なものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件補正発明は、引用文献記載発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、平成17年11月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
なお、請求項4は請求項1を引用しているので、転記に当たっては、請求項1も併せて記載する。
「【請求項1】
裏返しにして用いられるカードであって、表面がテーマを表示するためのテーマ表示面になっており、裏面に、中央に1個配置された第1表示区域と、この第1表示区域の周囲に複数個配置された第2表示区域とが設けられ、第1表示区域は前記表面と同じテーマを表示するための区域になっており、それぞれの第2表示区域は、このテーマを分析して得られる各種分析事項を表示するための区域になっていることを特徴とするカード。
【請求項4】
請求項1に記載のカードを含むカード組み合わせセットであって、請求項1に記載のカードである第1カードと、裏返しにして用いられるカードであって、前記第1カードと各表面、各裏面が同じ形式で形成された複数枚の第2カードとを有し、これらの第2カードの表面が第1カードの裏面の第2表示区域に表示される分析事項を表示するための分析事項表示面になっているとともに、第2カードの裏面の第1表示区域はこの分析事項と同じ分析事項を表示するための区域になっており、第2カードの第2表示区域は、この分析事項をさらに分析して得られる各種詳細分析事項を表示するための区域になっていることを特徴とするカード組み合わせセット。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、上記「第22.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本件補正発明の「第1カード」及び「第2カード」について、第1カードが「1枚」、第2カードが「(第1カードの)第2表示区域の個数と同数」という、(セットに含まれる)各カードの枚数に係る特定事項を省いたものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明を特定する事項を全て含み、さらに発明を特定する他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 4.」に記載したとおり、引用文献記載発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献記載発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-03 
結審通知日 2009-02-10 
審決日 2009-02-23 
出願番号 特願平9-47830
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B42D)
P 1 8・ 121- Z (B42D)
P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 菅藤 政明
江成 克己
発明の名称 カード及びカード組み合わせセット並びにその収納ファイル  
代理人 安藤 武  
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