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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1196194
審判番号 不服2006-14399  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-06 
確定日 2009-04-23 
事件の表示 平成11年特許願第273140号「パチンコ機の電力供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月 3日出願公開、特開2001- 87471〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成11年9月27日の出願であって、平成17年6月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年8月25日付けで手続補正がなされ、平成18年5月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月6日付けで審判請求がなされるとともに、同年8月4日付けで手続補正がなされたものである。

第二、平成18年8月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年8月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1a)補正の目的について
本件補正は、平成17年8月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「【請求項1】 パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置と、パチンコ機の種類が異なることによって異なる構成となる複数の電気的機能部品と、パチンコ機の種類が異なることによって交換される電源中継装置とが互いに別々に構成され、電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し、電源中継装置は電源装置から出力された直流電源を複数の電気的機能部品のそれぞれに対して給電することを特徴とするパチンコ機の電力供給装置。
【請求項2】 電源装置が本体枠に設けられ、複数の電気的機能部品が本体枠や本体枠に交換可能に取付けられる遊技盤に搭載され、電源中継装置が本体枠に設けられたことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機の電力供給装置。」
を、以下のような記載に補正するものである。

「【請求項1】 電源装置と複数の電気的機能部品と電源中継装置とが互いに別々に構成され、電源装置は本体枠の裏面に設けられかつ島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し、複数の電気的機能部品は本体枠や本体枠に交換可能に取付けられる遊技盤に搭載され、電源中継装置は電源装置から出力された直流電源を複数の電気的機能部品のそれぞれに対して給電しかつ電源装置の裏側から交換し得るように電源装置に取り付けられたことを特徴とするパチンコ機の電力供給装置。」(以下、「本願補正発明」という。)

本件補正により、「電源装置」及び「複数の電気的機能部品」並びに「電源中継装置」についての「パチンコ機の種類」との関連性を記した修飾句の記載が削除された。ここで、「複数の電気的機能部品」及び「電源中継装置」についての当該補正は、拒絶査定の備考欄における「電気的機能部品及び電源中継装置という発明特定事項の範囲が明確に定まらないので、発明の範囲が不明確である」旨の指摘に基づく、「明りようでない記載の釈明」を目的とするものと解することができるとしても、当該備考欄には「パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置」については「不明確である」旨の指摘はなされていない、即ち拒絶の理由に示されていないから、「電源装置」についての当該補正は、「明りようでない記載の釈明」を目的とするものに該当するとは認められない。そうすると、「パチンコ機の種類」との関連性を記した修飾句の記載が削除された「電源装置」の技術的事項は実質的に拡張されたと認められるから、本件補正は、平成18年法律第55条改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定する、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び明りようでない記載の釈明のいずれをも目的とするものでないことは明らかである。

(1b)むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2a)独立特許要件について
上記「(1b)」に記載のとおり、本件補正は上記改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定する要件を満たしていないが、本件補正による「交換し得る」との限定がなされていない「電源装置」の技術事項が、補正前(平成17年8月25日付け手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1に記載された発明を特定するために必要と認められる事項である「パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置」の技術事項と同義と解することが可能であるとすると、本件補正は、 補正前の発明を特定するために必要と認められる事項である「電源装置が本体枠に設けられ、」を「電源装置は本体枠の裏面に設けられ、」と限定し、また「電源中継装置が本体枠に設けられた」を「電源中継装置は電源装置の裏側から交換し得るように(本体枠に設けられた)電源装置に取り付けられた」に限定するものであるから、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2b)そこで、上記本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(あ)刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平10-295908号公報
周知の刊行物ア;特開平11-179028号公報
(平成11年7月6日公開)
周知の刊行物イ;特開平11-42324号公報
(平成11年2月16日公開)

原査定の拒絶理由通知に引用され、本願出願前に頒布された、特開平10-295908号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
(1-1)「【0009】本発明は、・・・遊技盤の交換時における無駄な交換部材を減らすことができるとともに、遊技性の向上が図れる遊技機を提供することを目的とする。」、
(1-2)「【0016】図1に示すように、パチンコ遊技機1は機枠2(外枠)により囲われており、機枠2の左側には、パチンコ遊技機1と電気的に連絡して遊技カードに基づく遊技球の貸し出しを行うカード式台間球貸機3(カード処理装置)を配置してある。また、機枠2の前面には、額縁状の内枠4(前面枠)を開閉可能に取り付けてある。この内枠4は、機枠2とともに或いは単体で、本発明における遊技機枠を構成する。そして、この内枠4の窓部を臨むように後方から遊技盤5を着脱可能に取り付けてあり、また、内枠4の前方側にはクリア部材保持枠6を開閉可能に取り付けてある。・・・
【0017】このクリア部材保持枠6の前面には、枠ランプ9とスピーカ10等から概略構成された枠装飾部材11を設けてある。・・・また、スピーカ10はクリア部材保持枠6の上部の左右両隅に配設してある。・・・」、
(1-3)「【0021】次に、パチンコ遊技機1の裏側について説明する。図3に示すように、内枠4の背面には遊技盤5を着脱可能な状態で収納する遊技盤収納枠46を設け、該遊技盤収納枠46の背面に裏機構盤50を取り付けてある。・・・
【0022】裏機構盤50には、・・・排出発射制御装置34からの制御に基づいて球導出樋52からの遊技球を排出する排出球抜きユニット53と、・・・パチンコ遊技における遊技球の排出に伴って排出球抜きユニット53に制御信号を送出するとともに駆動信号としての発射勢信号を発射装置21に送出する排出発射制御装置34と、特別変動入賞装置43等の役物装置を制御する役物制御装置45等を取り付けてある。そして、排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等は、中継基盤55を介して電気的に連絡しており、排出発射制御装置34と枠装飾部材11とはケーブル49を介して電気的に連絡している。」、
(1-4)「【0024】また、役物制御装置45は、上記した遊技盤5の背面に一体的に取り付けてある。換言すれば、パチンコ遊技機1の機種毎に仕様が異なる遊技制御装置を遊技盤5に一体的に設けている。このように、機種毎に仕様が異なる役物制御装置45(遊技制御装置)を遊技盤5に一体的に設けたことにより、遊技盤5等を交換してパチンコ遊技機1の機種交換を行う場合において、遊技盤5の着脱と同時に役物制御装置45の交換ができる。・・・」、
(1-5)「【0026】また、パチンコ遊技機1の背面上部にはターミナル基盤58を設けてある。・・・また、このターミナル基盤58には、島設備等から外部交流電源(例えば、AC24V)が供給される。
【0027】次に、図4から図6を参照して、パチンコ遊技機1の電気的構成について説明する。ここで、図4はターミナル基盤58、排出発射制御装置34の制御回路(排出発射制御回路60)、及び役物制御装置45の制御回路(役物制御回路61)等の接続関係を説明するブロック図、図5は排出発射制御回路60が送受する電気信号を説明するブロック図、図6は役物制御回路61の電気的構成を説明するブロック図である。
【0028】図4に示すように、ターミナル基盤58と排出発射制御回路60とが電気的に連絡し、排出発射制御回路60と中継基盤55とが電気的に連絡し、排出発射制御回路60と役物制御回路61とが電気的に連絡している。また、役物制御回路61と中継基盤55も電気的に連絡している。
【0029】ターミナル基盤58には、外部交流電源(AC24V)が供給されるとともに、・・・そして、外部供給電源は排出発射制御回路60の電源回路77に供給され、・・・。
【0030】排出発射制御回路60は、CPU70(中央制御装置)、ROM71(リードオンリメモリ)、RAM72(読み書き可能なメモリ)、入出力回路73、インターフェース回路74(図5参照)、音源75、音声切換回路76、及び電源回路77を備えており、単一のCPU70で排出球抜きユニット53の制御とハンドルユニット57の制御を行っている(図5参照)。
【0031】・・・電源回路77は、供給された外部交流電源を整流して、各種ソレノイド等を作動するための第1の直流電源(DC33V)、各種ソレノイドや装飾ランプ等を作動するための第2の直流電源(DC24V)、各種スイッチやセンサ等を作動するための第3の直流電源(DC12V)、及びCPU70等の回路類を作動させるための第4の直流電源(DC5V)を生成するもので、共通電源部として機能する。
【0032】この排出発射制御回路60には、上記したターミナル基盤58、中継基盤55、役物制御回路61、排出球抜きユニット53、ハンドルユニット57の他に、セーフユニット78、オーバーフロースイッチ79、及びアウト球センサ80を接続してある。・・・
【0033】そして、図5に示すように、排出発射制御回路60と役物制御回路61とに関し、排出発射制御回路60から役物制御回路61へは、外部交流電源(AC24V)、第1の直流電源(+33V)、第2の直流電源(+24V)、第3の直流電源(+12V)、及び賞球数を要求するための要求信号等が供給(送出)され、・・・
【0034】・・・
【0035】この他に、排出発射制御回路60は、枠装飾部材11と電気的に連絡し、発射装置21のパルスモータ35や球送り装置22の球送りソレノイド23には駆動信号を送出する。・・・
【0036】中継基盤55は、図4に示すように、カード式台間球貸機3(カード処理装置)と接続する第1コネクタ91と、排出発射制御回路60と接続する第2コネクタ92と、役物制御回路61と接続する第3コネクタ93と、枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97と接続する第4コネクタ94と、上皿20に設けたカード操作部24と接続する第5コネクタ95と、発射装置21に遊技球を供給する球送り装置22と接続する第6コネクタ96とを備えている。・・・」、
(1-6)「【0043】・・・同時に、排出発射制御装置34のCPU70は、発射時における効果音の音データを音声切換回路76に出力する。この音データは中継基盤55を介してスピーカ10に供給される。スピーカ10はこの音データに基づいて効果音を出力する。」、
(1-7)「【0048】このように、本実施形態においては、排出発射制御装置34(排出関連制御装置)のCPU70等(作動制御部)により、枠装飾部材11(クリア部材保持枠関連装置)を制御している。・・・これにより、遊技盤5や役物制御装置45など機種に応じて仕様が異なる装置類を交換しても、共通制御装置である排出発射制御装置34は交換せずに継続して使用できるので経済的である。・・・」。

(1-8)また、パチンコ遊技機を正面側から見た斜視図である【図1】及びパチンコ遊技機の背面図である【図3】には、「カード式台間球貸機3と枠装飾部材11と排出発射制御装置34と役物制御装置45と中継基盤55とが互いに別々に構成され」ている事項が示されている。

したがって、上記の記載事項を併せると、引用刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる(なお、「役物制御装置45」の取付位置に関して、【0022】では「裏機構盤50」に取り付け、【0024】では「遊技盤5の背面」に取り付けた旨の記載があるが、明細書全体の記載からみて、【0024】記載のとおりに認定した。また、仮に【0022】記載のとおりに認定したとしても、取付位置の相違は設計事項にすぎないものである。)。

「(a)機枠2と機枠2の前面に開閉可能に取り付けられた額縁状の内枠4とで遊技機枠を構成し、
パチンコ遊技機1を囲う機枠2の左側には、パチンコ遊技機1と電気的に連絡してカード式台間球貸機3を配置してあり、
内枠4の前方側には、前面に枠ランプ9とスピーカ10等から概略構成された枠装飾部材11を設けたクリア部材保持枠6を開閉可能に取り付け、
内枠4の背面には遊技盤5を着脱可能な状態で収納する遊技盤収納枠46を設け、該遊技盤収納枠46の背面には裏機構盤50を取り付け、
裏機構盤50には、排出発射制御装置34と、排出発射制御装置34からの制御に基づいて遊技球を排出する排出球抜きユニット53等を取り付け、
遊技盤5の背面には、役物制御装置45を一体的に取り付けてあり、
(b)パチンコ遊技機1の背面上部に設けられたターミナル基盤58と排出発射制御装置34の排出発射制御回路60とが電気的に連絡し、
カード式台間球貸機3と接続する第1コネクタ91と、排出発射制御回路60と接続する第2コネクタ92と、役物制御装置45の役物制御回路61と接続する第3コネクタ93と、枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97と接続する第4コネクタ94と、上皿20に設けたカード操作部24と接続する第5コネクタ95と、発射装置21に遊技球を供給する球送り装置22と接続する第6コネクタ96とを備えている中継基盤55を介して、排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等は、電気的に連絡し、また、排出発射制御回路60と役物制御回路61も電気的に連絡し、
カード式台間球貸機3と枠装飾部材11と排出発射制御装置34と役物制御装置45と中継基盤55とが互いに別々に構成されているパチンコ遊技機1であって、
(c)ターミナル基盤58には、島設備等から外部交流電源(AC24V)が供給され、外部供給電源は排出発射制御装置34の排出発射制御回路60に備えられた電源回路77に供給され、
(d)電源回路77は、供給された外部交流電源を整流して、第1の直流電源(DC33V)、第2の直流電源(DC24V)、第3の直流電源(DC12V)、及び第4の直流電源(DC5V)を生成し、共通電源部として機能するもので、
(e)排出発射制御装置34の排出発射制御回路60から、役物制御装置45の役物制御回路61へは、外部交流電源、第1の直流電源、第2の直流電源、第3の直流電源、及び賞球数を要求するための要求信号等が供給(送出)され、
(f)排出発射制御装置34のCPU70が音声切換回路76に出力する、発射時における効果音の音データは、中継基盤55を介して枠装飾部材11のスピーカ10に供給され、スピーカ10はこの音データに基づいて効果音を出力するものであり、
(g)遊技盤5や役物制御装置45など機種に応じて仕様が異なる装置類を交換しても、共通制御装置である排出発射制御装置34は交換せずに継続して使用でき、無駄な交換部材を減らすことができる、パチンコ遊技機1。」(以下、「引用発明1」という。)

原査定の拒絶理由通知に周知技術として引用された、特開平11-179028号公報(以下、「引用周知刊行物ア」という。)には、以下の記載がある。
(ア-1)「【0016】図7は電気系統の接続関係を示すブロック図である。三方枠基板74には、外部の商用電源用の電源コード86が接続されると共に、・・・分配基板79は三方枠基板74からの電源を主制御基板62、払い出し基板81等に供給する給電機能と、各種の信号を中継する信号中継機能とを有し、リード線を介して主制御基板62、第1ターミナル基板78、払い出し基板81、第1外部接続端子基板80等の他、球切れ表示スイッチ、下皿満杯スイッチ等の検出スイッチに接続されている。・・・」。

したがって、引用周知刊行物アには、
「三方枠基板74からの電源を主制御基板62、払い出し基板81等に供給する給電機能と、各種の信号を中継する信号中継機能とを有する、分配基板79」の発明が記載されていると認められる。

原査定の拒絶理由通知に周知技術として引用された、特開平11-42324号公報(以下、「引用周知刊行物イ」という。)には、以下の記載がある。
(イ-1)「【0033】上タンク31の右方のベース本体35には本体端子板38を設ける。この本体端子板38は外部からの電源を中継したり、ホールコンピュータと各パチンコ機1との間で信号やデータの中継を行う。例えば図19に示すように、基板の上には、外部電源に接続する電源端子CN6、ホールコンピュータと各パチンコ機1との間に介在させるリレー基板へ接続するリレー基板中継コネクタ端子CN5、枠制御基板へ電源を供給する枠制御基板分電端子CN4、・・・遊技盤制御基板へ電源を供給する分電端子CN3等を配設すると共に・・・」。

したがって、引用周知刊行物イには、
「外部からの電源を中継したり、ホールコンピュータと各パチンコ機1との間で信号やデータの中継を行う本体端子板38であって、基板の上には、外部電源に接続する電源端子CN6、枠制御基板へ電源を供給する枠制御基板分電端子CN4、遊技盤制御基板へ電源を供給する分電端子CN3等を配設した、本体端子板38」の発明が記載されていると認められる。
(い)本願補正発明と引用発明1との比較・検討
(い-1)引用発明1の「電源回路77」は、本願補正発明の「電源装置」に相当し、以下同様に、「遊技機枠」は「本体枠」に、「遊技盤5」は「遊技盤」に、「パチンコ遊技機1」は「パチンコ機」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明1の「電源回路77」は、「島設備等から外部交流電源(AC24V)が供給され」、「供給された外部交流電源を整流して、第1の直流電源(DC33V)、第2の直流電源(DC24V)、第3の直流電源(DC12V)、及び第4の直流電源(DC5V)を生成し」、「共通電源部として機能する」ものであるから、引用発明1は本願補正発明の「電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し」の技術事項に相当する技術事項を有している。
(い-3)引用発明1の「中継基盤55」は、「カード式台間球貸機3と接続する第1コネクタ91」、「役物制御装置45の役物制御回路61と接続する第3コネクタ93」、「枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97と接続する第4コネクタ94」等を備え、「中継基盤55を介して、排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等は、電気的に連絡」するものである。ここで、引用発明1の「カード式台間球貸機3」、「役物制御装置45」、「枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97」が何らかの機能を果たす部品であることは明らかであるから、これらは本願補正発明の「複数の電気的機能部品」に相当する。
次に、「カード式台間球貸機3」は機枠2の左側に配置してあり、「役物制御装置45」は遊技盤5の背面に一体的に取り付けてあり、「枠装飾部材11」は内枠4の前方側に開閉可能に取り付けられたクリア部材保持枠6に設けられている。ここで、「遊技盤5」は「内枠4の背面に設けられた遊技盤収納枠46に着脱可能な状態で収納」されるものであり、「機枠2と内枠4とで遊技機枠を構成」するものであるから、引用発明1は本願補正発明の「複数の電気的機能部品は本体枠や本体枠に交換可能に取付けられる遊技盤に搭載され」の技術事項に相当する技術事項を有している。
(い-4)引用発明1の「中継基盤55」は「排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等を電気的に連絡」するものであるから、本願補正発明の「電源中継装置は電源装置から出力された直流電源を複数の電気的機能部品のそれぞれに対して給電し」及び「パチンコ機の電力供給装置」と比較して、「電気的中継手段は複数の電気的機能部品のそれぞれに対して電気的に接続し」及び「パチンコ機の電気的接続装置」において一致する。
(い-5)引用発明1は「排出発射制御装置34」と「カード式台間球貸機3、枠装飾部材11、役物制御装置45」と「中継基盤55」とが「互いに別々に構成」されており、「排出発射制御装置34の排出発射制御回路60」には「電源回路77」が備えられているから、本願補正発明の「電源装置と複数の電気的機能部品と電源中継装置とが互いに別々に構成され、」と比較して、「電源装置と複数の電気的機能部品と電気的中継手段とが互いに別々に構成され、」において一致する。

したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
電源装置と複数の電気的機能部品と電気的中継手段とが互いに別々に構成され、電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し、複数の電気的機能部品は本体枠や本体枠に交換可能に取付けられる遊技盤に搭載され、電気的中継手段は複数の電気的機能部品のそれぞれに対して電気的に接続する、パチンコ機の電気的接続装置。

相違点A
電源装置は、本願補正発明では本体枠の裏面に設けられるのに対し、引用発明1では、裏機構盤50に取り付けられた排出発射制御装置34の排出発射制御回路60に備えられた点。
相違点B
電気的中継手段は、本願補正発明では電源装置から出力された直流電源を給電しかつ電源装置の裏側から交換し得るように電源装置に取り付けられた電源中継装置であるのに対し、引用発明1では電気的に連絡する中継基盤であり、取付場所は明らかでない点。
相違点C
電気的接続装置は、本願補正発明では電力供給装置であるのに対し、引用発明1では電気的に連絡する装置である点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点Aについて
電源装置をパチンコ機の何処に設けるかは、組立時の作業性及び点検時の効率性並びに電源線配置の容易性などを考慮して当業者が必要に応じ適宜なし得る設計上の事項であり、また本体枠の裏面に部材を設けることは引用発明1においても「内枠4の背面に遊技盤収納枠46を設け」る技術が記載されているように通常行われている技術であるから、電源装置を本体枠の裏面に設けることは当業者が容易になし得たものである。
相違点Bについて
電源装置から出力された電源を給電する電源中継装置は、例えば、引用周知刊行物アに記載された「分配基板79」、及び引用周知刊行物イに記載された「本体端子板38」のようにパチンコ機において周知・慣用の技術であり、また交換し得るように取り付けられた電気的中継装置は、例えば、特開平4-325174号公報に記載された「機種変更等の場合に交換される中継端子基板84」(【0033】及び【0034】参照)、及び特開平8-332271号公報に記載された「遊技機の機種ごとに大きさや形状が異なっても共通取付部に取り付けられる中継基板」(【0023】及び【0052】参照)、並びに特開平11-76511号公報(平成11年3月23日公開)に記載された「遊技盤の交換によって機能に変更が生じたときに交換される中継基盤」(【0032】参照)のようにパチンコ機において周知・慣用の技術である。さらに、技術的な関連性の深い装置を相互に近接して取り付けることは組立作業性の観点などから、また裏側から交換することは保安上の観点などから、当該分野において通常行われている技術であり、しかも直流電源を給電することは引用発明1に記載されているから、上記周知・慣用の技術を引用発明1の「電気的中継手段(中継基盤55)」に適用して、相違点Bに係る発明を特定するために必要と認められる事項とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点Cについて
電源装置から出力された電源を給電する電源中継装置は、例えば上記引用周知刊行物ア及びイに記載されているように、パチンコ機において周知・慣用の技術である。そうすると、引用発明1及び上記引用周知刊行物ア並びに上記引用周知刊行物イが「電気的中継装置を有するパチンコ機」において共通しているから、当該周知・慣用の技術を引用発明1の「電気的接続装置」に適用して、相違点Cに係る発明を特定するために必要と認められる事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、効果の点においても、引用発明1は、「機種に応じて仕様が異なる装置類を交換しても、共通制御装置は交換せずに継続して使用でき、無駄な交換部材を減らすことができる」ものであるから、本願補正発明が格別の効果を有するとは認められない。

よって、本願補正発明は、引用発明1及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(う)むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三、本願発明について
平成18年8月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1及び2に係る発明は、上記平成17年8月25日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】 パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置と、パチンコ機の種類が異なることによって異なる構成となる複数の電気的機能部品と、パチンコ機の種類が異なることによって交換される電源中継装置とが互いに別々に構成され、電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し、電源中継装置は電源装置から出力された直流電源を複数の電気的機能部品のそれぞれに対して給電することを特徴とするパチンコ機の電力供給装置。」(以下、「本願発明」という。)

(1)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由通知に引用された刊行物(引用刊行物1及び引用周知刊行物ア並びに引用周知刊行物イ)、及びそれらの記載事項は前記「第二、(2b)(あ)刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

(2)本願発明と引用発明1との比較・検討
(2-1)引用発明1の「電源回路77」は、本願発明の「電源装置」に相当し、以下同様に、「パチンコ遊技機1」は「パチンコ機」に、それぞれ相当する。
(2-2)引用発明1の「電源回路77」は、「島設備等から外部交流電源(AC24V)が供給され」、「供給された外部交流電源を整流して、第1の直流電源(DC33V)、第2の直流電源(DC24V)、第3の直流電源(DC12V)、及び第4の直流電源(DC5V)を生成し」、「共通電源部として機能する」ものであるから、引用発明1は本願発明の「電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し」の技術事項に相当する技術事項を有している。
(2-3)引用発明1の「中継基盤55」は、「カード式台間球貸機3と接続する第1コネクタ91」、「役物制御装置45の役物制御回路61と接続する第3コネクタ93」、「枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97と接続する第4コネクタ94」等を備え、「中継基盤55を介して、排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等は、電気的に連絡」するものである。ここで、引用発明1の「カード式台間球貸機3」、「役物制御装置45」、「枠装飾部材11や枠開閉スイッチ97」が何らかの機能を果たす部品であることは明らかであるから、これらは本願発明の「複数の電気的機能部品」に相当する。
(2-4)引用発明1の「中継基盤55」は「排出発射制御装置34、役物制御装置45、及びカード式台間球貸機3等を電気的に連絡」するものであるから、本願発明の「電源中継装置は電源装置から出力された直流電源を複数の電気的機能部品のそれぞれに対して給電する」及び「パチンコ機の電力供給装置」と比較して、「電気的中継手段は複数の電気的機能部品のそれぞれに対して電気的に接続する」及び「パチンコ機の電気的接続装置」において一致する。
(2-5)引用発明1は「排出発射制御装置34」と「カード式台間球貸機3、枠装飾部材11、役物制御装置45」と「中継基盤55」とが「互いに別々に構成」されており、「排出発射制御装置34の排出発射制御回路60」には「電源回路77」が備えられている。また、引用発明1は「遊技盤5や役物制御装置45など機種に応じて仕様が異なる装置類を交換しても、共通制御装置である排出発射制御装置34は交換せずに継続して使用」でき、即ち「パチンコ遊技機1の機種交換時には、電源回路77が備えられている排出発射制御装置34は交換せずに継続して使用し、役物制御装置45など機種に応じて仕様が異なる装置類を交換」するものであるから、本願発明の「パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置と、パチンコ機の種類が異なることによって異なる構成となる複数の電気的機能部品と、パチンコ機の種類が異なることによって交換される電源中継装置とが互いに別々に構成され、」と比較して、「パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置と、パチンコ機の種類が異なることによって異なる構成となる複数の電気的機能部品と、電気的中継手段とが互いに別々に構成され、」において一致する。

したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
パチンコ機の種類が異なっても共用される電源装置と、パチンコ機の種類が異なることによって異なる構成となる複数の電気的機能部品と、電気的中継手段とが互いに別々に構成され、電源装置は島側電源部から受電した交流電源を直流電源に変換して出力し、電気的中継手段は複数の電気的機能部品のそれぞれに対して電気的に接続する、パチンコ機の電気的接続装置。

相違点X
電気的中継手段は、本願発明ではパチンコ機の種類が異なることによって交換されるものであり、電源装置から出力された直流電源を給電する電源中継装置であるのに対し、引用発明1ではパチンコ機の種類が異なることによって交換されるものであるのかどうか明らかでなく、電気的に連絡する中継基盤である点。
相違点Y
電気的接続装置は、本願補正発明では電力供給装置であるのに対し、引用発明1では電気的に連絡する装置である点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点Xについて
電源装置から出力された電源を給電する電源中継装置は、例えば、引用周知刊行物アに記載された「分配基板79」、及び引用周知刊行物イに記載された「本体端子板38」のようにパチンコ機において周知・慣用の技術であり、またパチンコ機の種類が異なることによって交換される電気的中継装置は、例えば、特開平4-325174号公報に記載された「機種変更等の場合に交換される中継端子基板84」(【0033】及び【0034】参照)、及び特開平8-332271号公報に記載された「遊技機の機種ごとに大きさや形状が異なっても共通取付部に取り付けられる中継基板」(【0023】及び【0052】参照)、並びに特開平11-76511号公報(平成11年3月23日公開)に記載された「遊技盤の交換によって機能に変更が生じたときに交換される中継基盤」(【0032】参照)のようにパチンコ機において周知・慣用の技術である。また、直流電源を給電することは引用発明1に記載されているから、上記周知・慣用の技術を引用発明1の「電気的中継手段(中継基盤55)」に適用して、相違点Xに係る発明を特定するために必要と認められる事項とすることは当業者が容易になし得たものである。

相違点Yについて
電源装置から出力された電源を給電する電源中継装置は、例えば上記引用周知刊行物ア及びイに記載されているように、パチンコ機において周知・慣用の技術である。そうすると、引用発明1及び上記引用周知刊行物ア並びに上記引用周知刊行物イが「電気的中継装置を有するパチンコ機」において共通しているから、当該周知・慣用の技術を引用発明1の「電気的接続装置」に適用して、相違点Yに係る発明を特定するために必要と認められる事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、効果の点においても、引用発明1は、「機種に応じて仕様が異なる装置類を交換しても、共通制御装置は交換せずに継続して使用でき、無駄な交換部材を減らすことができる」ものであるから、本願発明が格別の効果を有するとは認められない。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-19 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 特願平11-273140
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中澤 真吾小林 英司  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
河本 明彦
発明の名称 パチンコ機の電力供給装置  
代理人 宮園 純一  
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