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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1196212
審判番号 不服2007-3873  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-08 
確定日 2009-04-23 
事件の表示 平成10年特許願第 53358号「情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月14日出願公開、特開平11-244503〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年3月5日の出願であって、平成18年8月1日付の拒絶理由通知に対して平成18年10月4日付で手続補正がなされ、これに対し、同年12月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月8日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに同年3月2日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成19年3月2日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年3月2日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
【1】本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成18年10月4日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
会員番号が記憶された会員IDカードを用いて、遊技台に付設された情報端末にメッセージを送信することが可能な情報提供システムであって、
各情報端末はネットワークに接続されており、
各情報端末には前記会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り可能なカードリーダが設けられており、各情報端末は前記カードリーダに前記会員IDカードが挿入されると挿入された会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り、
会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛にメッセージが入力されると、前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末に前記メッセージを送信可能であり、
前記メッセージが入力された時点では前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合、その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点で当該会員IDカードが挿入された情報端末に、メッセージがあるという告知またはメッセージの表示をすることが可能である、
ことを特徴とする情報提供システム。」から、

「【請求項1】
会員番号が記憶された会員IDカードを用いて、遊技台に付設された情報端末にメッセージを送信することが可能な情報提供システムであって、
各情報端末はネットワークに接続されており、
各情報端末には前記会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り可能なカードリーダが設けられており、各情報端末は前記カードリーダに前記会員IDカードが挿入されると挿入された会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り、
会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛にメッセージが入力されると、前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末に前記メッセージを送信可能であり、
前記メッセージが入力された時点では前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合、
その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点で、当該会員IDカードが挿入された情報端末は、当該会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛のメッセージを受信し、メッセージがあるという告知またはメッセージを表示する、ことを特徴とする情報提供システム。」へと補正されるとともに(下線部は補正事項。)、請求項2は削除され、請求項3は請求項2に繰り上げられた。

【2】補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、
「メッセージが入力された時点では前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合、その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点」で、「会員IDカードが挿入された情報端末」に表示される「メッセージがあるという告知またはメッセージ」について、「表示をすることが可能である」から「表示する」へと改める補正を含むものである。
ここで、実施例を見ると、情報端末として、「各遊技台の情報端末11a?13n」及び「情報キオスク端末19」の2種類の端末が示されているが、本件補正後の請求項1に係る発明の「情報端末」とは「遊技台に付設された情報端末」であるから、これは、前者の「各遊技台の情報端末11a?13n」と対応するものである。そこで、願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)における 「各遊技台の情報端末11a?13n」の表示に関して記載された事項を検討する。
当初明細書には、「各遊技台の情報端末11a?13n」の表示に関して以下の事項が記載されている。
「【0028】
図5及び図6は各遊技台の情報端末11a?13nに現われる液晶タッチ画面を示している。なお、図5は(a)及び(b)からなり、図5(a)は情報メニュー61のタイトルのもとに、台(遊技台)データキー62、耳より情報キー63、「伝言を見る」キー64、「おすすめ台」キー65及び「ポイント情報」キー66を表示している。
・・・
【0029】
次に、「伝言を見る」キー64にタッチすると、図5(a)に示す画面、図6(a)に示す画面又は図6(b)に示す画面が液晶タッチ画面60に表示される。
図5(b)は、伝言がない場合の画面70を示している。「伝言」71及び「伝言はありません」の表示72及び確認キー73が設けられている。確認キー73にタッチすると画面70が消えて、図5(a)に示す画面が現れる。
【0030】
図6(a)は、伝言画面80を示している。伝言画面80において、伝言81、時刻82、ページ83及び伝言内容84の各欄が設けられ、更に、確認キー85及び次キー86が設けられている。
確認キー85にタッチすると、伝言画面80が消えて、図5(a)に示す画面が現れる。また、次キー86にタッチすると、伝言画面80が消えて、図6(b)に示す画面が現れる。
【0031】
図6(b)は、伝言画面90を示している。伝言画面90において、伝言91、時刻92、ページ93及び伝言内容94の各欄が設けられ、更に、確認キー95及び前キー96が設けられている。
確認キー95にタッチすると、伝言画面90が消えて、図5(a)に示す画面が現れる。また、前キー96にタッチすると、伝言画面90が消えて、図6(a)に示す画面が現れる。
【0032】
以上の構成により、プレーヤーが遊技台の情報端末11a?13nを使用することにより、会員IDカード29を他の遊技台の情報端末11a?13nに挿入すること等により特定される特定の他のプレーヤーとメッセージの送受信をすることができる。・・・」
すなわち、当初明細書には、「各遊技台の情報端末11a?13n」の表示に関して、「会員IDカード29を他の遊技台の情報端末11a?13nに挿入すること等により特定される特定の他のプレーヤーとメッセージの送受信をすることができる」(段落【0032】)ものであり、メッセージの受信を行うに際し、各遊技台の情報端末11a?13nに現われる液晶タッチ画面にまず、「情報メニュー61のタイトルのもとに、台(遊技台)データキー62、耳より情報キー63、「伝言を見る」キー64、「おすすめ台」キー65及び「ポイント情報」キー66」(段落【0028】)が表示され、次に、「「伝言を見る」キー64にタッチすると」(段落【0029】)、伝言の有無に応じて、図5(b)の記載の如く「「伝言」71及び「伝言はありません」の表示72及び確認キー73」の表示(段落【0029】)、または、図6(a)に記載の如く「伝言81、時刻82、ページ83及び伝言内容84の各欄」及び「確認キー85及び次キー86」(段落【0030】)の表示のいずれかが液晶タッチ画面60に表示されることが記載されている。
このように、当初明細書には、「会員IDカード29を他の遊技台の情報端末11a?13nに挿入すること」に加え、各遊技台の情報端末11a?13nの液晶タッチ画面に現われた「情報メニュー61」のうち、「「伝言を見る」キー64にタッチする」という操作を経て、プレーヤーは初めて伝言の有無を知ることができるものが開示されるのみである。
これに対し、本件補正後の請求項1の記載によると「その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点で、当該会員IDカードが挿入された情報端末は、当該会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛のメッセージを受信し、メッセージがあるという告知またはメッセージを表示する」と特定されることから、会員IDカードが挿入されることを以て直ちに、「メッセージがあるという告知またはメッセージを表示する」もの、すなわち、「メッセージがあるという告知またはメッセージを表示する」ためにプレーヤーによる画面に現われた『「伝言を見る」キー64にタッチする』という操作を要しないものをも、その請求の範囲に含むものである。
そうすると、本件補正は、明細書の中に新たに、会員IDカードが挿入されることを以て直ちに、「メッセージがあるという告知またはメッセージを表示する」という新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものでないといわなければならない。
したがって、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

【3】補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願発明について
【1】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成19年3月2日付の手続補正が上記のとおり却下されているので、平成18年10月4日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
会員番号が記憶された会員IDカードを用いて、遊技台に付設された情報端末にメッセージを送信することが可能な情報提供システムであって、
各情報端末はネットワークに接続されており、
各情報端末には前記会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り可能なカードリーダが設けられており、各情報端末は前記カードリーダに前記会員IDカードが挿入されると挿入された会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り、
会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛にメッセージが入力されると、前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末に前記メッセージを送信可能であり、
前記メッセージが入力された時点では前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合、その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点で当該会員IDカードが挿入された情報端末に、メッセージがあるという告知またはメッセージの表示をすることが可能である、
ことを特徴とする情報提供システム。」(以下、「本願発明」という。)

【2】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特開平9-239127号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1-1)「【特許請求の範囲】・・・
【請求項3】遊技者が他の特定の遊技者の顧客番号もしくは氏名を入力する入力手段、入力された顧客番号もしくは氏名と台番号を送信する送信手段、どの端末が送信したかを特定するための台番号を設定する台番号設定手段、情報管理装置より調査結果を受信する受信手段、受信した調査結果を表示する表示手段で構成される情報端末と、伝送媒体で接続された情報端末より顧客番号もしくは氏名と台番号を受信する受信手段、受信した顧客番号もしくは氏名の遊技者が現在どの遊技機で遊技しているかを調査する調査手段、調査した結果を受信した台番号に基づいて情報端末に送信する送信手段で構成される情報管理装置で構成される遊技者情報通信システム。
【請求項4】遊技者が他の特定の遊技者に知らせたいメッセージと送信先の顧客番号もしくは氏名を入力する入力手段、入力されたメッセージと送信先の顧客番号もしくは氏名とメッセージ発信元を特定する台番号もしくは入力者の顧客番号もしくは氏名を送信する送信手段、メッセージとメッセージ発信元の顧客番号もしくは氏名もしくは台番号を表示する表示手段で構成される情報端末と、受信した送信先の顧客番号もしくは氏名を元に送信先の顧客が遊技中か否かを調査する調査手段、調査した結果遊技中の場合受信したメッセージとメッセージ発信元を特定する台番号もしくは入力者の顧客番号もしくは氏名を調査結果に基づいた情報端末に送信する送信手段を備えた情報管理装置を備えた請求項3の遊技者情報通信システム。」
(1-2)「【0008】
図1において、パチンコ遊技機10の側近に設置された情報端末20に顧客情報カード18を挿入して遊技を行うと情報管理装置50に伝送媒体19を通して顧客情報が送信される。情報端末20に表示された遊技機情報、顧客情報、景品情報、特だね情報の中から顧客情報を選択し顧客の会員番号もしくは氏名を入力し追加するメッセージが有れば入力することにより、入力された情報が情報管理装置50に送信され、情報管理装置50ではその顧客が何番台で遊技をしているかが判り、その顧客の使用している情報端末20にメッセージと送信者の顧客情報と台番号を送信し、受信した情報端末20はそれらの情報を表示する。・・・
【0009】
図2は情報端末20の詳細図、図7は情報端末20のブロック図である。遊技機情報、顧客情報、景品情報、特だね情報等の情報を表示する液晶表示装置21と情報端末20の操作および情報を入力するタッチパネル22と情報を送受信する際に複数有る情報端末20の中から所定の情報端末20を特定する台番号設定装置23と顧客情報カードを読み込む顧客情報カード読み取り装置24から構成される。」
(1-3)「【0010】
遊技者は遊技をする際に顧客情報カード18を顧客情報読み取り装置24に挿入すると顧客情報カード18に記録されている顧客番号が読み取り手段30で、台番号設定装置23で設定した台番号が台番号設定手段29で読み取られて、送信手段31で伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信される。また遊技を終了する際に顧客情報カードを抜き取ることでも上記情報が情報管理装置50に送信される。情報管理装置50では受信手段57で受信した顧客番号、台番号と時刻を記憶手段58で記憶し、どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したかが調査手段62で判る。
・・・
【0012】
液晶表示装置21に表示されたアクセスしたい情報の部分を押すとタッチパネル22で検出され表示手段27にて所定の画面が液晶表示装置21に表示される。その中で顧客情報の部分を押すと図3の画面になる。ここで顧客番号もしくは氏名を液晶表示装置21の下部に表示されたキーボードでタッチパネル22を通して入力することにより、入力された顧客番号および情報端末20の台番号が送信手段31で伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信される。情報管理装置50では受信手段57で受信し、入力された顧客が店内で遊技しているか否かを補助記憶装置55に記録されている情報を元に調査手段62で調査しその結果を送信手段63で情報端末20に送信する。結果を受信した情報端末20は、受信した結果を液晶表示装置21で表示する。
【0013】
また、他の遊技者に何らかのメッセージを送りたい場合、上記顧客番号もしくは氏名に加えて、予めパチンコ遊技場で設定されたメッセージを選択し入力するか、あるいはタッチパネル22を通して自由な文章を入力する。入力された顧客番号とメッセージは伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信される。情報管理装置50はタッチパネル22で入力された顧客が店内で遊技しているか否かを補助記憶装置55に記録されている情報を元に調査手段62で調査し、遊技している場合は入力されたメッセージとメッセージを入力した顧客の顧客番号もしくはその顧客番号を元に記憶手段58に記録されている氏名を該当する情報端末20に送信手段63で送信する。メッセージを受信した情報端末20は、受信したメッセージと送信した顧客番号もしくは氏名もしくは台番号を液晶表示装置21で表示する。なお遊技していない場合は、その旨を情報管理装置50より情報端末20へ送信、表示される。」
(1-4)図1には、情報端末20と情報管理装置50との間を伝送媒体19を介して接続されていることが記載されるとともに、情報端末20のブロック図である図7には、伝送媒体19が、情報端末20の受信手段25及び情報端末20の送信手段31の双方と接続されていることが記載されている。

また、段落【0013】の最後の一文における「その旨を情報管理装置50より情報端末20へ送信、表示される」は、「その旨が情報管理装置50よりメッセージを入力した情報端末20へ送信、表示される」を意味する記載であることが明らかである。
上記の記載(1-1)?(1-4)及び図面によれば、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる。
「顧客番号が記録された顧客情報カード18を挿入して遊技を行うと、パチンコ遊技機10の側近に設置された情報端末20にメッセージとメッセージを入力した顧客の顧客番号もしくはその顧客番号を元に記憶手段58に記録されている氏名を送信する遊技者情報通信システムであって、
各情報端末20と情報管理装置50との間は伝送媒体19を介して接続されており、
各情報端末20には前記顧客情報カード18に記録されている顧客番号を読み込む顧客情報カード読み取り装置24が設けられており、遊技をする際に顧客情報カード18が前記顧客情報読み取り装置24に挿入されると顧客情報カード18に記録されている顧客番号を読み込み、顧客番号及び台番号が送信手段31で伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信され、また遊技を終了する際に顧客情報カードを抜き取ることでも上記顧客番号及び台番号が情報管理装置50に送信されることにより、情報管理装置50では受信手段57で受信した顧客番号、台番号と時刻を記憶手段58で記憶し、どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したかが調査手段62で判るものであり、
他の遊技者にメッセージを送りたい場合、顧客情報カード18に記録された顧客番号あるいは氏名に加えて、予めパチンコ遊技場で設定されたメッセージを選択し入力するか、あるいはタッチパネル22を通して自由な文章を入力すると、入力された顧客番号とメッセージは伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信され、情報管理装置50はタッチパネル22で入力された顧客が店内で遊技しているか否かを補助記憶装置55に記録されている情報を元に調査手段62で調査し、遊技している場合は入力されたメッセージとメッセージを入力した顧客の顧客番号もしくはその顧客番号を元に記憶手段58に記録されている氏名を該当する情報端末20に送信手段63で送信して、メッセージを受信した情報端末20は、受信したメッセージと送信した顧客番号もしくは氏名もしくは台番号を液晶表示装置21で表示するものであり、
タッチパネル22で入力された顧客が遊技していない場合は、その旨が情報管理装置50よりメッセージを入力した情報端末20へ送信、表示される、
遊技者情報通信システム。」(以下、「引用発明」という。)

[2]引用文献2に記載の技術
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献2(特開平8-103548号公報)には、
【発明の名称】として「遊技場用伝言板システム」と記載され、
【要約】として、「【目的】 遊技客相互間での伝言の交換・・・を表示手段を通じて行い得るという顧客サービスを提供できて集客力の向上を期待できるようにすること。
【構成】 入力端末2は、モニタ3と、このモニタ3上に配置された透明状のタブレットより成る操作部4を有し、その操作部4を通じて文字などを含む伝言内容データをイメージデータとして入力できるようになっている。入力端末2の制御部2aは、操作部4を通じて入力された伝言内容データをイメージデータ記憶部7に記憶させると共に、操作部4による読み出し操作に応じて、イメージデータ記憶部7に記憶された伝言内容データを選択的に読み出してモニタ3に表示する。」と記載されている。
そして、具体的構成として、入力端末2については、段落【0015】に「図1には、上記入力端末2の電気的構成の概略が機能ブロックの組み合わせにより示されている、この図1において、本発明でいう情報読み込み手段に相当したカードリーダ6は、前記挿入口5に挿入された会員カード1の記憶データを読み出すために設けられている。また、本発明でいう記憶手段に相当したイメージデータ記憶装置7は、大容量の記憶装置例えばハードディスク装置や光磁気ディスク装置(大容量RAMでも可)などにより構成されたもので、操作部4により後述のように入力される伝言内容データを含むイメージデータ及び関連データを記憶できるように構成されている。」と記載され、伝言板機能については、段落【0096】に「(2)有効な会員カード1がセットされたときに有効化される伝言板機能として、▲1▼…一旦入力された伝言内容データをモニタ3に表示する際に暗号データの入力が必要となるシークレットモードと、▲2▼…入力されている伝言内容データをモニタ3に対し自由に表示できるオープンモードと、▲3▼…パチンコホールへの苦情・注文・意見などを伝言内容データとして入力できる店舗向けモードとが設定されており、伝言の入力に当たっては上記各モードを予め選択できるようになっている。」(注;上記引用部分において、▲▼の間に算用数字が記載される箇所は、公開公報においては、当該算用数字が○で囲まれて表記されている。)と記載されている。
すなわち、有効な会員カード1がセットされたとき、遊技客相互間における伝言板機能として、伝言内容データをモニタ3に表示する際に暗号データの入力が必要となるシークレットモードと、入力されている伝言内容データをモニタ3に対し自由に表示できるオープンモードとの2つのモードがあるけれど、そのいずれの場合でも、入力された伝言内容データを入力端末2のイメージデータ記憶装置7に記憶させるものである。
したがって、引用文献2には、「入力端末2は、入力された伝言内容データを記憶できるイメージデータ記憶装置7と操作部4とを備え、操作部4による読み出し操作に応じて、イメージデータ記憶部7に記憶された伝言内容データを選択的に読み出してモニタ3に表示する遊技場用伝言板システム。」が記載されていると認められる(以下、「引用文献2記載の技術」という。)。

[3]対比
引用発明は、上記[1]に示した如くのものである。
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「顧客番号」は本願発明の「会員番号」に相当し、同様に、「記録」は「記憶」に、「顧客情報カード18」は「会員IDカード」に、「パチンコ遊技機10」は「遊技台」に、「側近に設置された」は「付設された」に、「情報端末20」は「情報端末」に、「遊技者情報通信システム」は「情報提供システム」に、「読み込む」は「読み取り可能な」に、「顧客情報カード読み取り装置24」は「カードリーダ」に、「予めパチンコ遊技場で設定されたメッセージを選択し入力するか、あるいはタッチパネル22を通して自由な文章を入力すると」は「メッセージが入力されると」にそれぞれ相当しており、さらに引用発明について以下のことがいえる。
(1)引用発明は、「情報端末(情報端末20)にメッセージ」を「送信する」「情報提供システム(遊技者情報通信システム)」であって、「送信する」ことは「送信することが可能な」に包含される下位概念であるから、引用発明のメッセージを「送信する」と本願発明のメッセージを「送信することが可能な」とは一致点である。
(2)引用発明は、「各情報端末(情報端末20)と情報管理装置50との間は伝送媒体19を介して接続されて」いるから、これを、「各情報端末はネットワークに接続されており」と言い換えることができる。
(3)引用発明は、「遊技をする際に顧客情報カード18が前記顧客情報読み取り装置24に挿入されると顧客情報カード18に記録されている顧客番号を読み込み、顧客番号及び台番号が送信手段31で伝送媒体19を通して情報管理装置50に送信され、また遊技を終了する際に顧客情報カードを抜き取ることでも上記顧客番号及び台番号が情報管理装置50に送信されることにより、情報管理装置50では受信手段57で受信した顧客番号、台番号と時刻を記憶手段58で記憶し、どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したかが調査手段62で判るものであ」るから、「どの顧客が何番台で遊技しているか」ということを、会員番号(顧客番号)が記憶(記録)された会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されている情報端末(情報端末20)を調査することにより判断しているといえる。
そして、引用発明は、「他の遊技者にメッセージを送りたい場合」、メッセージの宛先となる遊技者を、「会員IDカード(顧客情報カード18)に記憶(記録)されている会員番号(顧客番号)」を用いて特定しているから、前記の如く宛先を特定して「メッセージが入力されると(予めパチンコ遊技場で設定されたメッセージを選択し入力するか、あるいはタッチパネル22を通して自由な文章を入力すると)」、前記メッセージは、「どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したか」ということを、会員番号(顧客番号)が記憶(記録)された会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されている情報端末(情報端末20)を調査することにより判断し、メッセージの宛先となる遊技者が遊技している場合はメッセージを「該当する情報端末20に送信手段63で送信して」いる。
したがって、引用発明は、本願発明の「会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛にメッセージが入力されると、前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末に前記メッセージを送信可能であり」に相当する構成を備えるといえる。
(4)前記(3)に記載したとおり、引用発明は、「どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したか」ということを、会員番号(顧客番号)が記憶(記録)された会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されている情報端末(情報端末20)を調査することにより判断しているから、情報管理装置50は、会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されてから抜き取られるまでの期間を「遊技をしている」と判断しているといえる。
したがって、引用発明の「タッチパネル22で入力された顧客が遊技していない場合」とは、「タッチパネル22で入力された顧客」すなわち、メッセージの宛先となる遊技者の会員IDカード(顧客情報カード18)がいずれの情報端末(情報端末20)にも挿入されていない状態を意味すると認められるから、これを、「メッセージが入力された時点では(前記)特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合」と言い換えることができる。

[4]一致点・相違点
上記[3]に記載した事項より、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。

一致点;
「会員番号が記憶された会員IDカードを用いて、遊技台に付設された情報端末にメッセージを送信することが可能な情報提供システムであって、
各情報端末はネットワークに接続されており、
各情報端末には前記会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り可能なカードリーダが設けられており、各情報端末は前記カードリーダに前記会員IDカードが挿入されると挿入された会員IDカードに記憶されている会員番号を読み取り、
会員IDカードに記憶された会員番号で特定される遊技者宛にメッセージが入力されると、前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末に前記メッセージを送信可能である、
情報提供システム。」である点。

相違点;
メッセージが入力された時点では特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合に、本願発明は、「その後、任意の情報端末に前記特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入された時点で当該会員IDカードが挿入された情報端末に、メッセージがあるという告知またはメッセージの表示をすることが可能である」のに対し、引用発明は、「その旨が情報管理装置50よりメッセージを入力した情報端末20へ送信、表示される」ものであって、その構成が異なる点。

[5]判断
上記[4]に示した相違点について検討する。
引用文献2に記載の技術は、上記[2]に示した如くのものである。
引用文献2に記載の技術の「伝言内容データ」は本願発明の「メッセージ」に相当する。引用文献2に記載の技術は、「遊技場用伝言板システム」であるが、これは、伝言板機能としてメッセージ(伝言内容データ)をモニタ3に表示するものであるから、これを、「情報提供システム」と称することができる。また、引用文献2に記載の技術の「イメージデータ記憶装置7」を「記憶手段」と言い換えることができ、同様に「モニタ3」を「表示手段」と言い換えることができる。
したがって、引用文献2には、「入力されたメッセージを記憶手段に記憶させ、その後、読み出し操作に応じて記憶手段に記憶されたメッセージを表示手段に表示する情報提供システム。」が開示されているといえる(以下、「引用文献2に開示の技術」という。)。
また、複数の端末機間でメッセージの送受信が可能な端末機の分野において、メッセージが入力された時点では送信先として特定される端末機がない場合に、その後、当該送信先として特定される端末機と通信可能となった時点で当該端末機に、メッセージがあるという告知またはメッセージの表示をすることが可能であることは従来周知の技術であって、例えば、特開平9-215056号公報〔【請求項4】、段落【0045】-【0048】、【0055】、【0056】、【0092】-【0098】を参照〕、特開平5-316560号公報〔段落【0038】-【0042】、図11に記載される第3実施例を参照〕、特開平5-284224号公報〔段落【0026】-【0028】、図5を参照〕、特開平9-284401号公報〔特に段落【0023】-【0029】を参照〕に示されるとおりである。
引用発明と引用文献2に記載の技術はともにパチンコ店に代表される遊技店の情報提供システムであるから、引用発明に引用文献2に記載の技術を適用することに困難性はないし、その際、「情報端末(情報端末20)」も端末機の一種であるから、引用発明に端末機の分野の前記周知技術を適用することに特段の困難性はない。
そして、メッセージが入力された時点では特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されている情報端末がない場合に、「その旨が情報管理装置50よりメッセージを入力した情報端末20へ送信、表示される」という構成を採る引用発明において、前記構成に替えて、前記引用文献2に開示の技術の如く、「入力されたメッセージを記憶手段に記憶させ、その後、読み出し操作に応じて記憶手段に記憶されたメッセージを表示手段に表示する」という技術思想を採用し、その際、具体的手段として端末機の分野の前記周知技術を併せて適用すると、前記[3](3)に示したとおり、引用発明は、「どの顧客が何番台で遊技しているかまたは遊技を終了したか」ということを、会員番号(顧客番号)が記憶(記録)された会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されている情報端末(情報端末20)を調査することにより判断しており、「送信先として特定される端末機」の指定は、会員番号(顧客番号)によってなされる一方、「送信先として特定される端末機と通信可能」となることは、情報端末(情報端末20)に会員IDカード(顧客情報カード18)が挿入されることによって可能となるものであるから、特定される遊技者の会員番号が記憶された会員IDカードが挿入されることによって、メッセージの送信、表示が可能となる構成が採用されることが当然予測される。
以上のとおりであるから、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が想到容易である。

[6]むすび
上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願の他の請求項について論じるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-18 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 特願平10-53358
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
川島 陵司
発明の名称 情報提供システム  
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所  
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