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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T |
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管理番号 | 1196324 |
審判番号 | 不服2007-23302 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-23 |
確定日 | 2009-05-12 |
事件の表示 | 平成10年特許願第257404号「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月31日出願公開、特開2000- 90257、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願の請求項1に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1にその記載のあるとおりのものであるところ、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 テクスチャパターンデータを2×2個のピクセルのブロックに分割した際の各ブロック中の位置に対応したピクセルのデータを記憶する4個のテクスチャ記憶手段と、 ラッチ回路、加算器及びマルチプレクサで構成し、任意の基準となるピクセルを含む隣接した2×2個のピクセルのデータを上記テクスチャ記憶手段の2×2個のアドレスを同時に指定して読出す読出手段と、 上記2×2個のピクセルのデータにおける基準となるピクセルのデータの占める割合を予め設定された複数候補の中から選択して設定する割合設定手段と、 上記割合設定手段で設定された割合に基づいて上記読出手段で読出した2×2個のピクセルのデータから1個のピクセルのデータを算出する演算手段と を具備したことを特徴とする画像処理装置。」 2.引用例 (1)特開平08-212357号公報 「複数の画素を含むテクスチャを格納する第1の原画像格納部207と、 そのテクスチャに対する参照点の位置にかかわらず、そのテクスチャに含まれる所定の数の画素に関連する情報を補間処理部204に供給する画素値供給部203と、 その所定の数の画素に関連する情報に基づいて補間画素データを計算することにより、補間処理を実行する補間処理部204とを備えている補間装置。」 すなわち、 「複数の画素を含むテクスチャを格納する第1格納手段と、 該テクスチャに対する参照点の位置にかかわらず、該テクスチャに含まれる所定の数の画素に関連する情報を提供する提供手段と、 該所定の数の画素に関連する情報に基づいて補間画素データを計算することにより、補間処理を実行する補間処理手段とを備えた補間装置であって、 前記提供手段は、前記第1格納手段に格納されているテクスチャから、処理の対象となる第1テクスチャより少なくとも周囲1画素だけ大きい第2テクスチャを切り出す切り出し手段と、 該第2テクスチャを格納する第2格納手段と、 該第1テクスチャに対する参照点の位置に応じて、該第2格納手段に格納されている第2テクスチャの画素にアクセスするためのアドレスを生成するアドレス生成手段とを備えている補間装置。」 また、上記特開平08-212357号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の各記載がある。【0045】 (ア)「【0044】例えば、図3は、参照アドレス2100(u,v)の近傍に4つの画素2110?2140が配置されている例を示す。この場合、画素値供給部203(図2)によって、参照アドレス2100(u,v)の近傍に位置する画素2110?2140のそれぞれの座標値と画素値とが補間処理部204に供給される。ここで、本明細書では、「参照アドレス(u,v)の近傍」とは、そのテクスチャの座標(u,v)を中心とし、半径1画素の円の範囲をいうと定義する。補間処理部204は、補間画素データの値(P_gen)を(数3)に従って求める。 【0045】 【数3】 P_gen=(u1-u)×(v1-v)×a+(u1-u)×(v-v0)×b +(u-u0)×(v-v0)×c+(u-u0)×(v1-v)×d 【0046】ここで、画素2110の座標値を(u0,v0)、画素2110の画素値をa、画素2120の座標値を(u0,v1)、画素2120の画素値をb、画素2130の座標値を(u1,v1)、画素2130の画素値をc、画素2140の座標値を(u1,v0)、画素2140の画素値をdとする。」 (2)特開平04-211878号公報 「ピラミッドテクスチュア座標を電子表示装置の対応する物理テクスチュアメモリアドレスに変換する回路装置であって、該装置が -2次元(2-D)テクスチュア座標ペアと関連レベル座標を受信するピラミッド座標入力と、 -受信された座標ペアとレベル座標から対応する物理テクスチュアメモリアドレスを発生する手段、を具えるものにおいて、物理アドレスが線形(1次元)アドレスであり、かつ物理テクスチュアメモリアドレスを発生する手段が、 -線形アドレス空間のテクセル値の対応アレイを配置する情報を受信レベル座標から発生するページ位置選定手段、および -受信2-Dテクスチュア座標ペアとレベル座標を線形物理テクスチュアメモリアドレスに変換するために上記のページ位置情報を使用する手段を具えるテクスチュアアドレス変換器、を具えること、を特徴とする回路装置。」 また、上記特開平04-211878号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の各記載がある。 (イ)「【0044】完全なアライアシングを許容するために、テクセル値間に3-D(例えばトリリニアー)補間を適用することが知られており、この場合に座標L,U′,V′は分数部(Lf,Uf′,Vf′)ならびに整数部(Li,Ui′,Vi′)を有することができる。U′およびV′座標の分数部は1レベル内の4つの隣接テクセルの方形パッチ間に2-D(例えばバイリニアー)補間を実行するよう使用でき、そしてレベル座標の分数部Lfはピラミッドアレイの2つの隣接レベルからの(2-D補間された)テクセル値間を補間するために使用できる。このために、4つのテクセル値(Ui′,Vi′),(Ui′+1,Vi′),(Ui′,Vi′+1),(Ui′+1,Vi′+1)をレベルLiマップから、およびレベルLi+1マップからの4つのテクセル値を読み取ることが必要である。もしこれらの8つのテクセル値が直列に読まれるなら明らかに速度ペナルティが含まれる。不幸にして、各レベルに対する4つのテクセル値は、もしテクスチュアメモリが今後説明するように2×2パッチアドレシングを許容するようインターリーブされた4個の並列メモリとして構成され、8個の値を2つのメモリ読み取りサイクルのみで読み取れるなら、読み取りポート46を介して並列に読み取ることができる。」 (ウ)「【0066】このパッチアドレシングを可能にするために、特殊アドレスポート64は加算器61の出力から線形テクセルアドレスA1を受信し、かつそれから4つのメモリTRAM1AからTRAM1Dに印加する4つのアドレスA1A-A1Dをそれぞれ発生し、それに応じてパッチ(U,V),(U+1,V),(U,V+1),(U+1,V+1)のテクセル値は4つの対応読み取りポート65A-65D を介して利用可能になる。 【0067】4つの正しいアドレスA1A -A1Dの発生を可能にするため、アドレスポート64はU1とV1がそれぞれ偶であるか奇であるかを規定するスケールされた第1座標ペアU1,V1の整数部の最小桁位ビットU1ilsbとV1ilsbを受信する。パッチアドレシングハードウエア64,65A-65Dの詳細な設計に関して、これはディジタル化されたビデオ影像の変換に使用されたものと同様にでき、その一例はジョエル・エッチ・デドリック(Joel H.Dedrick )の論文、「実時間のディジタル影像変換(Transforming Digital Images in Real Time)」、電子システム設計雑誌(The Electronic System Design Magazine:ESD)、1987年8月、頁81-85の第2図に示されている。既知のハードウエアとの1つの差は図3に示されたシステムのテクセルアレイの線形蓄積を必要とすることである。2-Dアドレス可能なフレーム蓄積メモリを使用するデドリックの回路では、影像の次の行(Y′+1)のテクセル値をアドレスするために単位値0001が垂直座標(Y′)に加算される。 【0068】しかし図3の回路では、線形に蓄積されたテクスチュアマップの次の行V1+1のテクセル値を正しくアドレスするためにアレイの幅w(T・Li)=2^(W1)は線形アドレスA1に加算されなければならない。このために、アドレスポート64はバンクTRAM1に蓄積されたマップのPLLC50により発生された幅インデクスW1をまた受信する。」 (3)特開平10-161633号公報 「補間データ補正部4は、補間データ生成部5で生成された補間比率データ12を、位置データ10に基づいて補正し、補間演算部2a?cに対して補間済補間比率データ15を供給する。 補間演算部2a?cはこの補間済補間比率データ15に基づいて、画素データ6?9についての補間演算を行う。 補間データ補正部4を設けたことにより、補間演算部2a?cには画素データのセレクタが不要となる。 また、並列に処理を行っている補間演算部2a?cそれぞれに同一の補間済補間比率データ15を供給することで、各処理での重複を避け、装置規模の削減をはかった画素補間装置。」 すなわち、 「複数の画素データを補間する画素補間装置において、 データ参照点の座標の小数部である補間比率データ、もしくは補間演算における画素データの重みである補間荷重データと、前記データ参照点の座標の整数部の最下位ビットである位置データを出力する補間データ生成部と、 前記補間比率データもしくは前記補間荷重データと前記位置データとを入力とし、前記位置データに基づいて前記補間比率データもしくは前記補間荷重データを補正して、補正済補間比率データもしくは補正済補間荷重データとして出力する補間データ補正部と、 前記画素データと、前記補正済補間比率データもしくは前記補間済補間荷重データとを入力とし、前記画素データについての補間演算を行い、補間済画素データとして出力する補間演算部と備えたことを特徴とする画素補間装置。」 また、上記特開平10-161633号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の各記載がある。 (エ)「【0035】XMは補正後の水平方向補間比率15a、YMは補正後の垂直方向補間比率15bである。図9に示すようにA、B、C、Dは画素データ、Iは補間演算結果である。また、Xは水平方向の補間比率Yは垂直方向の補間比率であり、それぞれ入力画面における各方向のアドレスの小数部に対応するものである。」 3.対比 本願発明と引用例1(特開平08-212357号公報)に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、本願発明と引用発明とは次の各点で相違する。 (相違点1) 本願発明は、1ブロック中の2×2個のピクセルのデータから1個のピクセルのデータを算出することによりジャギー現象を防止するスムージング処理に関する画像処理装置であるのに対して、 引用発明は、周辺画素の画素値に基づいて、サンプル点の画素値を算出する内挿補間装置である点。 (相違点2) 本願発明に於けるテクスチャ記憶手段の2×2個のアドレスを同時に指定して読み出す読出手段は、ラッチ回路、加算器及びマルチプレクサで構成され、任意の基準となるピクセルを含む隣接した2×2個のピクセルのデータを並列かつ同時かつ高速に指定して読出しているのに対し、 引用発明のマッピングアドレス生成部202は、DDA係数に基づいてポリゴンの座標(x,y)を生成するxy-DDA処理部211と、DDA係数に基づいてそのポリゴンの属性値を生成するアルファ-DDA処理部212と、DDA係数に基づいてそのポリゴンの座標(x,y)に対応するテクスチャの座標(u,v)を生成するuv-DDA処理部213とを含み、ポリゴンの座標(x,y)に対応するテクスチャの座標(u,v)を生成している点。 (相違点3) 本願発明は、2×2個のピクセルのデータにおける基準となるピクセルのデータの占める割合を予め設定された複数候補の中から選択して設定する割合設定手段(この設定手段は図4に開示されている。)を備えているのに対して、 引用発明は、本願発明に示されるような割合設定手段を開示しない点。 (相違点4) 本願発明は、割合設定手段で設定された割合に基づいて読出手段で読出した2×2個のピクセルのデータから1個のピクセルのデータを算出する演算手段を備え、高速なスムージング処理を実行しているのに対して、 引用発明は、所定数の画素に関連する情報が画補間処理部に供給され、その所定数の画素に関連する情報に基づいて補間画素データを計算する内挿補間処理部を備え、内挿補間処理を実行している点。 4.当審の判断 前記相違点3について判断するに、 本願発明のような(例えば、バレルシフタを含む回路構成からなる)割合設定手段を採用することで簡易かつ高速なシフト動作のみによりスムージングの倍率を任意に設定すること(その実現手段は第4図に開示されている。)は、引用例2及び3に記載されていない。 そして、本願発明は、かかる割合設定手段を採用することで、簡易な構成により演算の割合データを生成できるという効果を奏するものである。 以上述べた次第であるから、引用発明に引用例2及び3に記載されている周知技術を適用することによっては、本願発明を構成するに至るとはいえない。 したがって、他の相違点を判断するまでもなく、本願発明は、引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、他に拒絶理由を見いだせない。 よって、結論のごとく審決する。 |
審決日 | 2009-04-24 |
出願番号 | 特願平10-257404 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06T)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 真木 健彦 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 廣川 浩 |
発明の名称 | 画像処理装置 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |