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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1196463 |
審判番号 | 不服2006-28690 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-12-25 |
確定日 | 2009-05-12 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 99198号「プログラム開発支援ツール」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月29日出願公開、特開平11-296359、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成10年4月10日の出願であって、その請求項1?請求項6に係る発明(以下、「本願発明1?本願発明6」という。)は、平成19年1月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項6に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】 ディスク装置に予め記憶されている、複数のプログラム間の呼び出し規則を記述したものであるIDL(インターフェース定義言語)のソース情報を基に、前記プログラムのインターフェース機能を実現するサブプログラムを生成するプログラム開発支援装置において、 前記プログラムを記述するプログラム言語であるCOBOL言語で用いるデータ型、および、該データ型を予め定めた規則に従って記述したものである型定義名称が、予め対応付けて登録される特殊テーブルと、IDLの型情報とCOBOL言語の型情報とが予め対応付けて登録されている標準テーブルと、を有する型変換テーブルを記憶した記憶部と、 前記ディスク装置に記憶されている前記IDLのソース情報から、前記予め定めた規則に従って記述されている型定義名称を抽出し、前記抽出した型定義名称を、前記型変換テーブルの特殊テーブルを用いて、前記COBOL言語のデータ型に変換し、該データ型をコード生成情報として前記ディスク装置に登録し、前記登録されたコード生成情報を用いて、前記サブプログラムを生成するサブプログラム生成部と、 を備えたことを特徴とするプログラム開発支援装置。 【請求項2】 請求項1記載のプログラム開発支援装置において、 前記予め定めた規則に従って記述された型定義名称は、前記IDLのソース情報内の型定義宣言文中から抽出される ことを特徴とするプログラム開発支援装置。 【請求項3】 請求項1記載のプログラム開発支援装置において、 前記予め定めた規則に従って記述された型定義名称は、データの表示型、長さ、および、用途を示す情報を有する ことを特徴とするプログラム開発支援装置。 【請求項4】 ディスク装置に予め記憶されている、COBOL言語により記述されたプログラムの原始コードを基に、該プログラムの呼び出し規則を記述した、IDL(インターフェース定義言語)のソース情報を生成するプログラム開発支援装置において、 前記プログラムを記述するプログラム言語であるCOBOL言語で用いるデータ型、および、該データ型を予め定めた規則に従って記述したものである型定義名称が、予め対応付けて登録される特殊テーブルと、IDLの型情報とCOBOL言語の型情報とが予め対応付けて登録されている標準テーブルと、を有する型変換テーブルを記憶した記憶部と、 前記プログラムが受渡しするデータ型の内の、前記特殊テーブルに登録されているデータ型を、前記特殊テーブルを用いて、型定義名称に変換し、該型定義名称をコード生成情報として前記ディスク装置に登録し、前記登録されたコード生成情報から前記IDLのソース情報を生成するIDLソース生成部と、 を備えたことを特徴とするプログラム開発支援装置。 【請求項5】 請求項4記載のIDLプログラム開発支援装置において、 前記変換のなされた型定義名称は、前記IDLのソース情報内の型定義宣言文中に設定されることを特徴とするプログラム開発支援装置。 【請求項6】 請求項4記載のプログラム開発支援装置において、 前記予め定めた規則に従って記述された型定義名称は、データの表示型、長さ、および、用途を示す情報を有する ことを特徴とするプログラム開発支援装置。」 2.引用文献 平成18年9月20日付け拒絶査定において参考文献とされ、平成19年2月26日付け前置報告において報告された、本願の出願の日前に頒布された刊行物(「FUJITSU ObjectDirectorプログラミングガイド」、富士通株式会社、1998年2月、初版、p.1-2、1-3、2-2、2-3、2-15?2-18、6-26?6-45)(「引用文献A」)には、以下の技術事項が記載されている。 (a)IDLがサポートしているデータ型について、データ型宣言で、インタフェース内で使われるデータ型を定義することができ、基本データ型のうち、整数型、浮動小数点型、文字型、オクテット型、ブーリアン型、any型については、型宣言にtypedefを用いること。(p.2-15) (b)「ObjectDirector」において、COBOLでCORBAのデータ型を扱うために、基本データ型について、CORBAの型宣言(型情報)とCOBOLの型宣言(型情報)とが予め対応付けて登録されている登録集が提供されること。(p.6-26) (c)構造データ型(文字列型、any型、シーケンス型、構造型、共用型、及び配列)の場合のIDLとCOBOL間のマッピングについて記載されている。(p.6-26?6-45) また、前記平成19年2月26日付け前置報告において報告された、本願の出願の日前に頒布された刊行物(「製品紹介 分散オブジェクト基盤対応 COBOL85 Version5.0」、 はいたっく、1998年4月号(通巻371号)、1998年4月1日発行、株式会社日立製作所、p.12?14)(「引用文献B」)には、以下の技術事項が記載されている。 (d)「COBOL adapter for TPBroker」が、IDL?OOCOBOLへの言語マッピングを行い,TPBrokerと連携するためのスタブとスケルトンを生成すること。 (e)「COBOL adapter for TPBroker」が、COBOL85やOOCOBOLで記述したサーバプログラムから、インタフェース情報を読み取り、自動的にCORBAのIDLを生成すること。 3.対比・判断 これに対して、本願発明1?本願発明3は、少なくとも 以下の発明特定事項(イ)(以下、「本願発明1?本願発明3の発明特定事項」という)を備えている。 (イ)型変換テーブルとして、IDLの型情報とCOBOL言語の型情報とが予め対応付けて登録されている標準テーブルとは別に、COBOL言語で用いるデータ型、および、該データ型を予め定めた規則に従って記述したものである型定義名称が、予め対応付けて登録される特殊テーブルを有して、IDLのソース情報から、前記予め定めた規則に従って記述されている型定義名称を抽出し、前記抽出した型定義名称を、前記型変換テーブルの特殊テーブルを用いて、前記COBOL言語のデータ型に変換すること。 また、本願発明4?本願発明6は、少なくとも 以下の発明特定事項(ロ)(以下、「本願発明4?本願発明6の発明特定事項」という)を備えている。 (ロ)型変換テーブルとして、IDLの型情報とCOBOL言語の型情報とが予め対応付けて登録されている標準テーブルとは別に、COBOL言語で用いるデータ型、および、該データ型を予め定めた規則に従って記述したものである型定義名称が、予め対応付けて登録される特殊テーブルを有して、COBOL言語により記述されたプログラムが受渡しするデータ型の内の、前記特殊テーブルに登録されているデータ型を、前記特殊テーブルを用いて、型定義名称に変換し、該型定義名称をコード生成情報として前記ディスク装置に登録し、前記登録されたコード生成情報から前記IDLのソース情報を生成すること。 備考:発明の詳細な説明の段落【0025】における記載「新記述規則では、CORBAのIDLで規定していないCOBOL言語のデータ型を、TYPEDEF構文内の、予め定めたIDLの型情報と、型定義名称とにより定義する。例えば図2の宣言文501の変数「ARG」は、図3(a)に示すように、IDLの型情報「unsigned long」600と、型定義名称「CBL_PACK_9_4V9_3」605とにより定義する。」を参酌すると、TYPDEF構文内の型定義名称を予め定めた規則に従って名称を付与すること、例えば「CBL_PACK_9_4V9_3」と型定義名称を記述することで、前記IDLのTYPEDEFにおいて、COBOL言語で用いるデータ型(整数部4桁、小数部3桁のPACKED10進数形式)を定義するものである。 (イ)について検討する。 引用文献Aには、IDLがサポートしているデータ型に対応するCOBOL言語で用いるデータ型を登録集で規定しているが、IDLで規定していないCOBOL言語におけるデータ型(例えば、整数部4桁、小数部3桁のPACKED10進数形式)について、それをTYPEDEF構文内の型定義名称を使って「CBL_PACK_9_4V9_3」のように定義することについて記載も示唆もなく、引用文献Aの記載から自明ともいえない。 そして、引用文献Bにおいても、「COBOL adapter for TPBroker」の達成すべき機能(IDL?OOCOBOLへの言語マッピングを行い,TPBrokerと連携するためのスタブとスケルトンを生成すること)を記載しているに過ぎず、IDLで規定していないCOBOL言語におけるデータ型(例えば、整数部4桁、小数部3桁のPACKED10進数形式)について、それをTYPEDEF構文内の型定義名称を使って「CBL_PACK_9_4V9_3」のように定義することについて記載も示唆もなく、引用文献Bの記載から自明ともいえない。 そして、本願発明1?本願発明3は、前記発明特定事項(イ)を備えることにより、発明の詳細な説明の段落【0049】記載の「新記述規則により記述されたIDLから、IDLのサポートしていないデータ型の指定を含むCOBOL言語のプログラムのスタブ707およびスケルトン708を生成することができる」という効果を奏するものである。 したがって、本願発明1?本願発明3は、引用文献A及び引用文献Bに記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。 次に、(ロ)について検討する。 引用文献Aには、IDLがサポートしているデータ型に対応するCOBOL言語で用いるデータ型を登録集で規定しているが、IDLで規定していないCOBOL言語におけるデータ型(例えば、整数部4桁、小数部3桁のPACKED10進数形式)について、それをTYPEDEF構文内の型定義名称を使って「CBL_PACK_9_4V9_3」のように定義することについて記載も示唆もなく、引用文献Aの記載から自明ともいえない。 そして、引用文献Bにおいても、「COBOL adapter for TPBroker」の達成すべき機能(「COBOL adapter for TPBroker」が、COBOL85やOOCOBOLで記述したサーバプログラムから、インタフェース情報を読み取り、自動的にCORBAのIDLを生成すること)を記載しているに過ぎず、IDLで規定していないCOBOL言語におけるデータ型(例えば、整数部4桁、小数部3桁のPACKED10進数形式)について、それをどのようにCORBAのIDLにおける型宣言に対応付け、どのようにしてCOBOL言語におけるデータ型に対応するCORBAのIDLを生成することができるのか、記載も示唆もない。 そして、本願発明4?本願発明6は、前記発明特定事項(ロ)を備えることにより、発明の詳細な説明の段落【0068】記載の「IDLのサポートしていないデータ型の指定を含むCOBOL言語のプログラムから、新記述規則により記述したIDLソース809を生成することができる。」という効果を奏するものである。 したがって、本願発明4?本願発明6は、引用文献A及び引用文献Bに記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明1?本願発明6は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした前置報告書の判断は妥当でない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2009-04-22 |
出願番号 | 特願平10-99198 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久保 光宏 |
特許庁審判長 |
赤川 誠一 |
特許庁審判官 |
宮司 卓佳 冨吉 伸弥 |
発明の名称 | プログラム開発支援ツール |
復代理人 | 三品 岩男 |
復代理人 | 三品 岩男 |