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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服200730533 審決 特許
不服200421574 審決 特許
不服20056940 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1196483
審判番号 不服2005-13073  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-07 
確定日 2009-04-30 
事件の表示 平成10年特許願第542568号「腎疾患予防又は治療剤」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月15日国際公開、WO98/44937〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年4月4日を国際出願日とする出願であって、平成17年5月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年7月7日に拒絶査定に対する不服審判請求がなされたものである。その後、当審において、平成20年10月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成20年12月5日付けの意見書が提出された。

2.本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成17年4月11日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「1.マッシュルームの親水性溶媒抽出物を有効成分とする腎疾患予防又は治療剤。
2.食品の形態にある請求項1記載の腎疾患予防又は治療剤。
3.マッシュルームの親水性溶媒抽出物を有効成分とする未透析腎不全患者の進行性腎機能障害予防又は治療剤。
4.食品の形態にある請求項3記載の未透析腎不全患者の進行性腎機能障害予防又は治療剤。」

3.当審における拒絶理由
当審における拒絶理由は、本願明細書中に、「マッシュルームの親水性溶媒抽出物」が、「腎疾患の予防又は治療」又は「未透析腎不全患者の進行性腎機能障害予防又は治療」に有効であることを明確に裏付けられていないため、本願請求項1?4に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないので、本願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないというものである。

4.判断
請求項1及び2に係る発明は、「マッシュルームの親水性溶媒抽出物」を有効成分とし、「腎疾患の予防又は治療」を用途とする、請求項3及び4に係る発明は、「マッシュルームの親水性溶媒抽出物」を有効成分とし、「未透析腎不全患者の進行性腎機能障害予防又は治療」を用途とする、医薬用途発明に関するものである。
ところで、請求項1?4に係る発明のような医薬用途発明において、有効成分の由来や製法が特定されていても、その有効成分から特定の医薬用途を予測し、あるいはその効果の程度を知ることは、当業者であっても困難であることから、このような医薬用途発明にあっては、その有効成分が、目的とする医薬用途に実際に有効であることを、明細書中に、薬理実験あるいはそれと同視すべき程度の説明をもって記載し、医薬用途にかかる治療効果を明確に裏付ける必要がある。
そこで、本願明細書の発明の詳細な説明にこれらの記載があるかどうかについて検討する。

本願明細書には、「本発明のマッシュルームの親水性溶媒抽出物は、未透析腎不全患者の腎機能を顕著に改善または維持させる効果を有し、従来、不可避であった腎不全末期患者の透析療法移行を回避ないし大幅に遅らせることができる。」(第5頁第18?20行)と記載され、試験例1?3として、慢性腎不全患者3名の臨床試験の結果が示されている。
そして、その試験の内容は、マッシュルームの親水性溶媒抽出物を含む製剤を、被験者に投与した後の、1/Cr値(血清クレアチニン値の逆数)及びCCr値(クレアチニン)を測定し、その変動を見るものであるが、測定頻度は、試験例1では、薬剤投与開始前に、1/Cr値(血清クレアチニン値の逆数)とCCr値(クレアチニンクリアランス)を、117日前、75日前、5日前の3回、薬剤投与開始後に、1/Cr値を23日目、75日目、93日目の3回、CCr値(クレアチニンクリアランス)を、23日目と75日目の2回、
試験例2では、薬剤投与開始前に、1/Cr値及びCCr値について、5日前の1回、薬剤投与開始後、1/Cr値について、16日目、28日目、56日目の3回、CCr値について、16日目、28日目の2回、
試験例3では、薬剤投与開始前に、1/Cr値について、116日前、74日前の2回、CCr値について、74日前の1回、薬剤投与開始後、1/Cr値及びCCr値について、投与開始日、35日目、49日目の3回、測定しているものである。

この、試験例1?3の測定結果をみると、試験例1では、1/Cr値が、投与開始前0.30、0.28、0.27と変動し、投与開始後0.27、0.30、0.29と変動している。CCr値は、投与開始前19.6、24.1、13.0と変動し、投与開始後13.3、16.7と変動している。試験例2では、1/Cr値が、投与開始前0.19、投与開始後0.18、0.18、0.19と変動し、CCr値は、投与開始前6.9、投与開始後7.5、7.9と変動している。試験例3では、1/Cr値が、投与開始前0.55、0.51と変動し、投与開始後、0.52、0.59、0.58と変動し、CCr値は、投与開始前30.9、投与開始後37.1、53.5、57.5と変動している。
これらの測定値のうち、CCr値についてみると、試験例1では、薬剤の投与を開始した後、75日目の値(16.7)は23日目の値(13.3)に比べ、上昇しているが、薬剤の投与を開始する前でも、75日前の値(24.1)は、117日前の値(19.6)に比べ、上昇していることからすれば、薬剤を投与しなくても、この程度の上昇は生じ得るから、薬剤投与後のCCr値の上昇が、投与薬剤に起因するとは必ずしもいえない。試験例3でも同様に、薬剤投与開始日の値(37.1)と投与後35日目の値(53.5)を比べると、上昇しているが、薬剤投与開始前74日目の値(30.9)と投与開始日の値(37.1)を比べても、投与開始日の値は上昇しているので、この結果だけから、薬剤投与後のCCr値の上昇が、投与薬剤によるものであるとすることはできない。また、1/Cr値についてみても、薬剤投与開始前の値と比べて、薬剤投与開始後の値に格別違いがあるとも認められない。

そもそも、1/Cr値及びCCr値は、もともと日々の変動が大きく、例えば、審判請求人が平成20年12月5日付手続補足書で提出した、参考資料1(第6頁、図3)及び参考資料2(第35頁、図5-3)によっても、月々の高低・変動が大きいことが窺われる。したがって、単に2、3ヶ月間の、しかも、その間2、3回程度の測定によっては、長期的変動を正確に把握するに十分であるとはいえない。
しかも、症例数はわずかに3例と極めて少なく、当該3例の結果のみによって、腎疾患に対する治療効果が裏付けられているとは認めがたい。
審判請求人は、平成20年12月5日付意見書において、
(1)腎不全の進行を改善すること(1/Cr及びCCr値を正常に戻すこと)は事実上不可能であり、腎不全の進行を食い止めること、あるいはその進行速度を緩やかにすること、すなわち、1/Cr及びCCr値の低下速度を抑制ないし緩和することにより、透析治療の開始時期を遅らせることが現在の医療技術が取り得る最善の方法である。
(2)試験例1-3の結果は、投与開始後、1/Cr値及びCCr値はいずれも僅かながら上昇が認められることはあっても、低下傾向は全く認められず、腎機能が維持され低下していないことを示している。これは、腎不全患者においては1/Cr値及びCCr値がいずれも直線的に低下するという現象を効果的に抑制したことを示すものであり、極めて顕著な効果であるといえる。
と主張しているが、試験例1?3は、2、3ヶ月の短期間、2、3回の測定で、症例数が3例と極めて少ないので、そのデータからでは、正しい変動の傾向を知ることはできないことは、前記のとおりであるので、該主張は採用できない。
そして、上記を含む本願明細書の全記載および本件出願日当時の技術常識を考慮しても、有効成分の「マッシュルームの親水性溶媒抽出物」が、「腎疾患の予防又は治療」又は「未透析腎不全患者の進行性腎機能障害予防又は治療」に有効であることを客観的に理解することは困難である。
よって、本願請求項1?4に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-26 
結審通知日 2009-03-02 
審決日 2009-03-17 
出願番号 特願平10-542568
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鶴見 秀紀  
特許庁審判長 森田 ひとみ
特許庁審判官 弘實 謙二
谷口 博
発明の名称 腎疾患予防又は治療剤  
代理人 今城 俊夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 村社 厚夫  
代理人 中村 稔  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 小川 信夫  
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