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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1196639
審判番号 不服2007-2913  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-25 
確定日 2009-04-30 
事件の表示 特願2001- 33051「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月13日出願公開、特開2002-224312〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年1月31日に特許出願した特願2001-22760号の一部を平成13年2月9日に新たな特許出願としたものであって、平成18年2月17日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年4月28日付けで手続補正がされ、更に同年8月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し同年10月20日付け手続補正がされたが、同年12月13日付けで、同年10月20日付け手続補正の却下及び拒絶査定がされ、これに対し平成19年1月25日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年2月26日付けで手続補正がされたものである。

第2.平成19年2月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年2月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技機本体枠と、当該遊技機本体枠から交換可能な遊技盤と、遊技機の各種の制御を行う主制御手段とを備えた遊技機であって、
前記遊技機の遊技状態に応じた音を生成する第一の音生成手段及び第二の音生成手段と、
前記主制御手段からのコマンド信号に基づいて、前記第一の音生成手段及び第二の音生成手段の内の少なくとも一つを選択し、当該選択した音生成手段に音生成のためのデータ信号を出力する音生成手段選択制御手段と、
所定の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段とを備え、
前記第一の音生成手段は、General MIDI規格に対応したMIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備え、
前記第二の音生成手段は、前記第一の音生成手段とは異なる音源のデータを記憶した第二のROMを有した第二の音源を備え、
前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データは、MIDIデータ用のROMに記憶されたMIDIデータであり、前記MIDI音源ROM又は前記MIDI音源の回路基板と、前記MIDIデータ用のROMとが別々に備えられ、
前記音生成手段選択制御手段が、前記主制御手段からの前記コマンド信号に基づいて、前記複数の音生成手段の内の一つである第一の音生成手段を選択するとともに前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを選択した時には、前記第一の音生成手段は、当該演奏データに基づいて音を生成し、
前記音生成手段選択制御手段が、前記主制御手段からの前記コマンド信号に基づいて、前記第一の音生成手段とは異なる第二の音生成手段を選択した時には、当該コマンド信号に基づいて音を生成し、
前記MIDI音源ROM及び前記MIDI音源の回路基板は、交換可能であることを特徴とする遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

平成18年10月20日の手続補正は審査の段階で却下されているので、上記補正は、平成18年4月28日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の「MIDIデータであり、」との記載を「MIDIデータ用のROMに記憶されたMIDIデータであり、」と限定するとともに、同特許請求の範囲に「前記MIDI音源ROM又は前記MIDI音源の回路基板と、前記MIDIデータ用のROMとが別々に備えられ、」との限定を加入するものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-285234号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・記載事項1
「電気的に作動する遊技装置と、該遊技装置を制御する遊技制御手段とを含む遊技機であって、
効果音を発生可能な効果音発生手段と、
該効果音発生手段を制御して効果音の発生制御を行なう効果音制御手段と、
前記効果音発生手段から発生させる効果音のデータを記憶する効果音データ記憶手段とを含み、
該効果音データ記憶手段には、連続的に効果音を発生させるために経時的な順序で配列された連続音データが記憶されているとともに、前記連続音データの配列の途中には単発的な効果音を発生させるための単発音制御データが含まれており、
前記効果音制御手段は、前記連続音データをその配列に従って読取って連続音を前記効果音発生手段から発生させるとともに、前記単発音制御データを読取った段階でその読取データに従った単発音を前記効果音発生手段から発生させる制御を行なうことを特徴とする、遊技機。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
・記載事項2
「図1は、遊技機の一例のパチンコ100を示す全体正面図である。・・・この打球操作ハンドル103を遊技者が回動操作することにより、玉貯留皿101内に貯留されているパチンコ玉が1つずつ遊技盤1の前面に形成される遊技領域2内に打込まれる。」(段落【0009】)
・記載事項3
「メイン基本回路21には、ワンチップマイクロコンピュータ172が設けられており、ワンチップマイクロコンピュータ172には、制御中枢としてのCPU174と、RAM(ランダムアクセスメモリ)175と、セキュリティチェック回路176とが設けられている。・・・メイン基本回路21に設けられているROM171には、遊技機の制御を行なうための制御用プログラムが記憶されており、この制御用プログラムに従ってCPU174が動作し、I/Oポート170を介して7セグ・LED回路27等に制御指令信号を出力するとともに、サウンドジェネレータ173を介して音回路26に制御指令信号を出力する。また、このI/Oポート170を介して前述したスイッチ回路29等からの信号がCPU174に入力される。」(段落【0015】)
・記載事項4
「図3は、効果音発生用の制御回路を示すブロック図である。この制御回路は、CPU174,バッファIC180,アドレスデコード回路25,サウンドジェネレータ173,音回路26,音量切換スイッチ回路192,スピーカ34から構成されている。バッファIC180は、アドレスデコード回路25から与えられるチップセレクト信号によって、CPU174からのデータを取り込む。さらに、サウンドジェネレータ173内にはCPUインタフェイスコマンドレジスタ182が設けられており、CPU174からチップセレクト信号がCPUインタフェイスコマンドレジスタ182に与えられることによって、CPUインタフェイスコマンドレジスタ182はバッファIC180に取り込まれているデータを取り込む。サウンドジェネレータ173内には、さらにシーケンスコントローラ181が設けられている。このシーケンスコントローラ181は、CPUインタフェイスコマンドレジスタ182に取り込まれたデータを読取り、効果音データが記憶されているデータROM183内の記憶データのうち指定されたデータを読取り、SSG音源(サウンドジェネレータ音源)184やPCM音源185に効果音発生用のデータを出力するものである。このSSG音源184は、LA音源とも呼ばれており、矩形のパルス状の波形を作り出す音源である。シーケンスコントローラ181から与えられる効果音データに従って、SSG音源184は、そのパルス状の波形の振幅を調整することにより音量を調整し、パルス状の波形の周波数を調整することにより音の高低を調整し、さらにシーケンスコントローラ181から与えられるデータに従って音長を調整する。そして、SSG音源184から出力された音データがD/Aコンバータ186,187,188によりデジタルからアナログに変換され、アナログに変換されたデータがミキシング回路190によりミキシングされて音回路26に出力される。このSSG音源184によりメロディ等からなる曲が演奏される。なお、連続音発生用の音源としてはFM音源等であってもよい。」(段落【0029】)
・記載事項5
「一方、PCM音源185は、パルスコードモジュレーション音源のことであり、ドラム音等のリズムや人間の声や擬音等からなる単発音をサンプリングしてデジタルの形で記憶している音源である。シーケンスコントローラ181から与えられるデータに従ってPCM音源185は所定のPCMデータをD/Aコンバータ189に出力し、そのPCMデータがデジタルからアナログに変換された状態で音回路26に与えられる。」(段落【0030】)
・記載事項6
「図4は、CPU174からバッファIC180を介してCPUインタフェイスコマンドレジスタ182に与えられるコマンドデータの内容およびデータROM183に記憶されているデータのエリアマップを示す図である。・・・その8ビットデータのうちの上位2ビットを利用して、入力されるコマンドデータが何をコントロールするデータであるかを指定する。つまり、D7とD6とが共に0の場合には、PCM音源をコントロールするためのコマンドデータであり、D7が0でD6が1の場合には、SSG音源をコントロールするためのコマンドデータであり、D7が1でD6が0の場合には、PCMサンプリング周波数をコントロールするためのコマンドデータであり、D7とD6が共に1の場合には、SSG音源から出力される連続音の速さ(テンポ)を制御するためのコマンドデータである。」(段落【0032】)
・記載事項7
「D7とD6が共に0の場合において、D5とD4とによりチャンネル指定が行なわれてPCM音源から出力させるPCM音データが選択指定される。このD5とD4との2ビットを利用することにより00?11の4種類のPCM音データを指定してスピーカ34から出力させることができる。また、D3はPCM音をスタートさせるかストップさせるかを指定するためのビットであり、1の場合にスタート0の場合にストップを意味する。D2,D1,D0は、PCM音データを選択するためのビットであり、001?111の7種類のPCM音データを選択指定することができる。このように、このD1,D2,D0のビットにより7種類のPCM音データを選択指定し、D5,D4のビットによりその7種類のPCM音データのうちから最大4種類のPCM音データを選択指定し、スピーカ34から同時に4種類のPCM音を発生させることが可能となる。」(段落【0033】
・記載事項8
「D7が0でD6が1の場合において、D5はSSG音データによる演奏をスタートさせるかストップさせるかを決定するビットであり、1の場合にスタート、0の場合にストップを意味する。D4のビットは、演奏の繰返しを行なうか否かを指定するビットであり、1の場合に繰返し有り0の場合に繰返しなしを意味する。シーケンスコントローラ181が後述するSSG音データ(図5(b)参照)のエンドマークを検出した段階でこのD4ビットを確認し、1ならば曲の演奏を再スタートさせる。D3?D0は、連続音コードを指定するビットであり、0000?1111の15曲まで曲を指定することができる。(段落【0034】
・記載事項9
「図4の(b)は、データROMのエリアマップが示されている。このデータROM183には、図4の(b)に示すように、アドレス2とアドレス3に単発音(PCM音)コード1データのスタートアドレスの下位8ビットと上位8ビットが記憶されている。・・・そして、アドレス12とアドレス13に連続音(SSG音)コード1データのスタートアドレスの下位8ビットと上位8ビットが記憶されている。また、アドレス14とアドレス15に連続音コード2データのスタートアドレスの下位8ビットと上位8ビットが記憶されている。このように、アドレス12ないしアドレス2Fまでの領域に、連続音コード1データないし連続音コード15データの各スタートアドレスが記憶されている。そして、アドレス30ないしアドレス7FCFの領域に、単発音データと連続音データとが記憶されている。」(段落【0036】)
・記載事項10
「この単発音データの構成および連続音データの構成はそれぞれ図5(a),図5(b)に示されている。図5(a)は、7種類のPCM音(単発音)データのうちの1つを示すものであり、データのスタートアドレスがmとなっており、mからm+n-1までの領域にPCM音データが記憶されており、最後のアドレスであるm+nにエンドマーク($00)が記憶されている。そして、図5の(a)で示すPCM音(単発音)データが合計7種類データROMに記憶されており、それぞれのデータのスタートアドレスが前述したデータROMのアドレス2ないしアドレスFに記憶されているのである。」(段落【0037】)
・記載事項11
「図5の(b)は、SSG音(連続音)データの構成を示す図である。SSG音(連続音)データは、合計15種類データROMに記憶されており、そのうちの1つが図5(b)に示されている。」(段落【0038】)
・記載事項12
「そして、SSG音データのうちの「アドレス」および「データ」により、SSG音源の場合における音の高低,音量等が指定される。」(段落【0039】)
・記載事項13
「図5の(b)に示されたSSG音データにより、前記効果音データ記憶手段に記憶され、連続的に効果音を発生させるための時系列的に配列された連続音データが構成されている。」(段落【0040】)
・記載事項14
「プロセスフラグとは、パチンコ遊技機の遊技プロセスの変化に応じてその遊技プロセスに応じたサブルーチンプログラムを実行させるべくそのサブルーチンプログラムを指定するためのフラグである。このプロセスフラグは「0」にセットされている場合には、パチンコ玉の始動入賞に伴う始動入賞記憶があるか否かの判断を行なう通常時サブルーチンプログラムが実行される。そして、始動入賞記憶がある場合にはプロセスフラグは「1」にセットされて後述するドラム回転前のサブルーチンプログラムが実行される。このドラム回転前サブルーチンプログラムにより、プロセスフラグは「2」または「3」にセットされ、それぞれ、大当り図柄セットサブルーチンプログラムまたは外れ図柄セットサブルーチンプログラムが実行される。」(段落【0045】)
・記載事項15
「次に、可変入賞球装置の第1の状態が終了した後においては、プロセスフラグが「26」にセットされて開放後(V入賞前)サブルーチンプログラムが実行される。そして、次にプロセスフラグが「27」にセットされて、開放後(V入賞後)サブルーチンプログラムが実行される。そして、最後に、プロセスフラグが「28」にセットされ、後述する大当り動作終了待サブルーチンプログラムが実行される。」(段落【0052】)
・記載事項16
「図8は、データテーブル選択のサブルーチンおよび遊技状態に応じてランダムなタイミングでPCM音を発生させる際の制御を示すフローチャートである。・・・なお、プロセスフラグの値と連続音(SSG音)コードとの対応関係は、図示するように、プロセスフラグが0,1のときに連続音(SSG音)コードが01、プロセスフラグが2?14のときに連続音コードが02、15,16のときに01、17のときに03、18のときに04、19のときに01、20のときに05、21のときに06、22,23のときに07、24,25のときに08、26?28のときに09となる。」(段落【0070】)
・記載事項17
「図8の(b)は、可変表示装置3の回転ドラム4a,4b,4cがそれぞれ停止する際にドラム停止音をPCM音源185から発生させるための制御であり、プロセスフラグ14?18において、プロセスタイマが終了して各回転ドラムが停止される際に実行される。図4(a)のD7?D0の各ビットに04Hがセットされる。その結果、PCM音(単発音)コードをドラム停止時の音にセットする処理が行なわれる。そして、D7?D0に38Hすなわち00111xxxがセットされる。その結果、PCM音源を3チャンネルにセットするとともに発音を開始してドラム停止時音の単発音コード(04H)がセットされたコマンドデータとなる。」(段落【0071】)

以上の記載事項を含む全記載及び図示によれば、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技盤1と、遊技機の制御を行なうCPU174とを備えた遊技機であって、
メロディ等からなる曲を演奏するSSG音源184とドラム音等のリズムや人間の声や擬音等からなる単発音を発生させるPCM音源185と、
CPUインタフェイスコマンドレジスタ182に取り込まれたCPU174からのデータを読取り、効果音データが記憶されているデータROM183内の記憶データのうち指定されたデータを読取り、SSG音源(サウンドジェネレータ音源)184やPCM音源185に効果音発生用のデータを出力するシーケンスコントローラ181と、
SSG音(連続音)データ及びPCM音(単発音)データを記憶するデータROM183とを備え、
CPU174からバッファIC180を介してCPUインタフェイスコマンドレジスタ182に与えられるコマンドデータのD7とD6とが共に0の場合には、PCM音源をコントロールするためのコマンドデータであり、D7が0でD6が1の場合には、SSG音源をコントロールするためのコマンドデータである、遊技機。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「遊技盤1」、「コマンドデータ」は、本願補正発明の「遊技盤」、「コマンド信号」に相当する。
そして、引用発明について以下のことがいえる。
(1)「遊技盤1と、遊技機の制御を行なうCPU174とを備えた遊技機であって」ついて
遊技機本体枠と、当該遊技機本体枠から交換可能な遊技盤は、遊技機の構成として極めて普通のものであって、引用発明も遊技機である以上このような構成を有するものである。また、「CPU174」は遊技機の制御を行うものであるから、本願補正発明の「遊技機の各種の制御を行う主制御装置」に相当する。
そうすると、引用発明は、「遊技機本体枠と、当該遊技機本体枠から交換可能な遊技盤と、遊技機の各種の制御を行う主制御手段とを備えた遊技機であって、」なる構成を実質的に具備するものである。
(2)「メロディ等からなる曲を演奏するSSG音源184とドラム音等のリズムや人間の声や擬音等からなる単発音を発生させるPCM音源185と」について
引用発明の「SSG音源184」は「メロディ等からなる曲を演奏する」ものであり、「PCM音源185」は「ドラム音等のリズムや人間の声や擬音等からなる単発音を発生させる」ものであるから、両者は「音生成手段」ということができる。そして、引用発明の「SSG音源184」は、演奏データに基づいて音を生成するものである本願補正発明の「第一の音生成手段」に相当するものとすることができ、引用発明のもう一方の「音生成手段」である「PCM音源185」は本願補正発明の「第二の音生成手段」に相当するものとなる。
そして、引用発明において、上記記載事項16、17によれば、PCM音は、遊技状態に応じてランダムなタイミングで発生されるものである。また上記記載事項14?16によれば、SSG音源184による演奏は、遊技状態に応じて決まるプロセスフラグに対応した連続音(SSG音)コードにて指定されたデータで行われるものである。これによれば、「SSG音源184」及び「PCM音源185」は、遊技状態に応じた音を生成するものと認められる。
そうすると、引用発明は、「遊技機の遊技状態に応じた音を生成する第一の音生成手段及び第二の音生成手段」なる構成を実質的に具備するものである。
(3)「CPUインタフェイスコマンドレジスタ182に取り込まれたCPU174からのデータを読取り、効果音データが記憶されているデータROM183内の記憶データのうち指定されたデータを読取り、SSG音源(サウンドジェネレータ音源)184やPCM音源185に効果音発生用のデータを出力するシーケンスコントローラ181と」及び「CPU174からバッファIC180を介してCPUインタフェイスコマンドレジスタ182に与えられるコマンドデータのD7とD6とが共に0の場合には、PCM音源をコントロールするためのコマンドデータであり、D7が0でD6が1の場合には、SSG音源をコントロールするためのコマンドデータである」について
CPU174からCPUインタフェイスコマンドレジスタ182に与えられるコマンドデータは、D7とD6の値によってコントロールする対象をPCM音源とするかSSG音源とするか決定すなわち選択するものである。また、シーケンスコントローラ181からSSG音源(サウンドジェネレータ音源)184やPCM音源185に出力される効果音発生用のデータは、「音生成のためのデータ信号」ということができる。そして、「シーケンスコントローラ181」は。これらの制御を行う手段ということができる。
そうすると、引用発明は、「主制御手段からのコマンド信号に基づいて、第一の音生成手段及び第二の音生成手段の内の少なくとも一つを選択し、当該選択した音生成手段に音生成のためのデータ信号を出力する音生成手段選択制御手段」なる構成を実質的に具備するものである。
更に、CPU174からのコマンドデータがSSG音源を選択する場合には、D3?D0に連続音コードを指定して曲が指定(記載事項8)すなわち選択されるものであり、データROM183に記憶された、選択された連続音コードに対応する連続音データに基づいてSSG音源は音を発生させるものである。一方、コマンドデータがPCM音源を選択する場合には、PCM音源はコマンドデータに基づいて音を生成するものである。
そうすると、引用発明は、「音生成手段選択制御手段が、主制御手段からのコマンド信号に基づいて、複数の音生成手段の内の一つである第一の音生成手段を選択するとともに演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを選択した時には、第一の音生成手段は、当該演奏データに基づいて音を生成し、音生成手段選択制御手段が、主制御手段からのコマンド信号に基づいて、第一の音生成手段とは異なる第二の音生成手段を選択した時には、当該コマンド信号に基づいて音を生成し」なる構成を実質的に具備するものである。
(4)「SSG音(連続音)データ及びPCM音(単発音)データを記憶するデータROM183」について
「SSG音(連続音)データ」は「メロディ等からなる曲を演奏する」ためのものであり、データROM183はそれを記憶するものであるから、引用発明は「所定の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段」なる構成を実質的に具備するものである。
また、第二の音生成手段に相当するPCM音源のPCM音(単発音)データは、第一の音生成手段に相当するSSG音源と異なる音源のデータであることは自明であり、データROM183はそれを記憶するものであるから、引用発明と本願補正発明は、演奏データ記憶手段と同じROMで記憶するか別のROMで記憶するかは別として、「第二の音生成手段は、第一の音生成手段とは異なる音源のデータを記憶したROMを有した第二の音源を備え」なる点で一致している。
そうすると、両者は、
「遊技機本体枠と、当該遊技機本体枠から交換可能な遊技盤と、遊技機の各種の制御を行う主制御手段とを備えた遊技機であって、
遊技機の遊技状態に応じた音を生成する第一の音生成手段及び第二の音生成手段と、
主制御手段からのコマンド信号に基づいて、第一の音生成手段及び第二の音生成手段の内の少なくとも一つを選択し、当該選択した音生成手段に音生成のためのデータ信号を出力する音生成手段選択制御手段と、
所定の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段とを備え、
第二の音生成手段は、第一の音生成手段とは異なる音源のデータを記憶したROMを有した第二の音源を備え、
音生成手段選択制御手段が、主制御手段からのコマンド信号に基づいて、複数の音生成手段の内の一つである第一の音生成手段を選択するとともに演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを選択した時には、第一の音生成手段は、当該演奏データに基づいて音を生成し、
音生成手段選択制御手段が、主制御手段からのコマンド信号に基づいて、第一の音生成手段とは異なる第二の音生成手段を選択した時には、当該コマンド信号に基づいて音を生成する遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
第一の音生成手段が、本願補正発明ではGeneral MIDI規格に対応したMIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備えたものであるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点2>
第二の音生成手段の音源のデータが、本願補正発明では第二のROMに記憶されるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点3>
本願補正発明では、演奏データ記憶手段に記憶された演奏データは、MIDIデータ用のROMに記憶されたMIDIデータであり、MIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板と、MIDIデータ用のROMとが別々に備えられたものであるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点4>
本願補正発明では、MIDI音源ROM及び前記MIDI音源の回路基板は、交換可能であるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1>について
General MIDI(以下、「GM規格」という。)は1991年に制定された規格であって広く知られており、GM規格に対応したMIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備えた音生成手段は例を挙げるまでもなく従来周知である。
そうすると、演奏を行うものにGM規格を採用することは普通に想到することであるから、引用発明において、第一の音生成手段をGM規格に対応したものとすること、すなわち、MIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備えたものとし、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得ることに過ぎない。
<相違点2>について
引用発明においては、第二の音生成手段である「PCM音源185」の音源データ(PCM音(単発音)データ)は、演奏データである連続音データを記憶したデータROM183に記憶させているのに対し、本願補正発明では第二のROMに記憶させている点で相違している。
データを記憶させるに当たって、データの種類に応じてROMを別なものとして記憶させるか、一つのROMの中で記憶領域を区切って記憶させるかは、システムを構成する上で適宜決定する設計的事項程度のことに過ぎない。そうすると、引用発明において、データROM183に記憶されているPCM音(単発音)データをそれとは別のROMに記憶させることにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることに過ぎない。
また、遊技機において、音声データをそのためのROMに記憶させることは周知(特開昭63-164982号公報(「音声データROM」参照)、特開平6-246034号公報(「ROM60」参照))であるから、この点からも、引用発明において、データROM183に記憶されているPCM音(単発音)データをそれとは別のROMに記憶させることにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることといわざるを得ない。
<相違点3>について
第一の音生成手段として、GM規格に対応したものとすること、すなわち、MIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備えたものとすることが、当業者にとって容易に想到し得ることは上記したとおりであるが、GM規格に対応したものとする際にその演奏データもGM規格に対応したものとすることは当然のことである。そうすると、引用発明において、データROM183に記憶された演奏データをMIDIデータにすることは当然のことであって、データROM183はMIDIデータ用ROMということになる。また、引用発明において、SSG音源184とデータROM183は別々なものとなっているから、第一の音生成手段であるSSG音源をGM規格に対応したものとした場合に、MIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板と、MIDIデータ用のROMは別々に備えられたものとなる。なお、楽音発生装置において音生成手段と演奏データを記憶したROMを別々にすることは普通に行われていることである。
以上より、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到したことに過ぎない。
<相違点4>について
本願補正発明では「MIDI音源ROM及び前記MIDI音源の回路基板は、交換可能である」とされているが、本願補正発明は、「第一の音生成手段は、General MIDI規格に対応したMIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備え」たものであり、「MIDI音源ROM」と「MIDI音源の回路基板」を選択的構成とするものであることは明らかである。したがって、「第一の音生成手段は、General MIDI規格に対応したMIDI音源ROMを備え」た場合に「MIDI音源ROMは、交換可能」となっており、「第一の音生成手段は、General MIDI規格に対応したMIDI音源の回路基板を備え」た場合に「MIDI音源の回路基板は、交換可能」となっていると解すべきである。
そして、楽音発生手段において音源ROMを交換することは、従来周知(特開平8-248952号公報(段落0002、0003参照)、特開2000-99008号公報(段落0002参照)であるから、第一の音生成手段として、GM規格に対応したもの、すなわち、MIDI音源ROMを備えたものとする際に、そのMIDI音源ROMを交換可能とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることに過ぎない。
また、音源の回路基板を交換可能とすることも、従来周知(特開2000-347662号公報(「音色拡張ボード3」参照)、特開平3-237494号公報(「カード2」参照)であるから、第一の音生成手段として、GM規格に対応したもの、すなわち、MIDI音源の回路基板を備えたものとする際に、そのMIDI音源の基板を交換可能とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることに過ぎない。
以上より、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることに過ぎない。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明の認定
平成19年2月26日付けの手続補正は上記のとおり却下され、平成18年10月20日付けの手続補正は審査の段階で却下されているので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年4月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技機本体枠と、当該遊技機本体枠から交換可能な遊技盤と、遊技機の各種の制御を行う主制御手段とを備えた遊技機であって、
前記遊技機の遊技状態に応じた音を生成する第一の音生成手段及び第二の音生成手段と、
前記主制御手段からのコマンド信号に基づいて、前記第一の音生成手段及び第二の音生成手段の内の少なくとも一つを選択し、当該選択した音生成手段に音生成のためのデータ信号を出力する音生成手段選択制御手段と、
所定の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段とを備え、
前記第一の音生成手段は、General MIDI規格に対応したMIDI音源ROM又はMIDI音源の回路基板を備え、
前記第二の音生成手段は、前記第一の音生成手段とは異なる音源のデータを記憶した第二のROMを有した第二の音源を備え、
前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データは、MIDIデータであり、
前記音生成手段選択制御手段が、前記主制御手段からの前記コマンド信号に基づいて、前記複数の音生成手段の内の一つである第一の音生成手段を選択するとともに前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを選択した時には、前記第一の音生成手段は、当該演奏データに基づいて音を生成し、
前記音生成手段選択制御手段が、前記主制御手段からの前記コマンド信号に基づいて、前記第一の音生成手段とは異なる第二の音生成手段を選択した時には、当該コマンド信号に基づいて音を生成し、
前記MIDI音源ROM及び前記MIDI音源の回路基板は、交換可能であることを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
(1)引用文献
拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、「MIDIデータ用のROMに記憶された」及び「前記MIDI音源ROM又は前記MIDI音源の回路基板と、前記MIDIデータ用のROMとが別々に備えられ、」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.に記載したとおり、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-25 
結審通知日 2009-03-03 
審決日 2009-03-16 
出願番号 特願2001-33051(P2001-33051)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 有家 秀郎
小原 博生
発明の名称 遊技機  
代理人 山本 尚  
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