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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1196652
審判番号 不服2007-11954  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-25 
確定日 2009-04-30 
事件の表示 平成 9年特許願第291034号「プリンタ用ベースユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月11日出願公開、特開平10-211750〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年10月23日(パリ条約による優先権主張平成8年10月23日、米国)の出願であって、平成18年10月24日付け拒絶理由通知に対して、同年12月21日付けで手続補正がされたが、平成19年3月20日付けで拒絶査定され、これに対し、同年4月25日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで明細書の手続補正がなされたものである。



2.平成19年4月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年4月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する

[理 由]
2-1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その補正前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりのものである。
(本件補正前の特許請求の範囲:平成18年12月21日付け手続補正書)
「 【請求項1】 プリンタを上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記プリンタは用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記給紙路へと補給用紙を供給するための給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた、印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記用紙排出口から出力される印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記プリンタの前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための、前記排出口から出力された印刷済み用紙の送り手段及び進路変更手段と、
前記印刷済み用紙送り手段から前記スタッカ手段に向かって下向きに延在する用紙搬送手段とを有し、
前記印刷済み用紙送り手段は前記プリンタの前記排出口から排出された印刷済み用紙と係合可能な第1のフィードローラを有し、
前記用紙搬送手段は、印刷済み用紙を下向きに搬送するべく前記第1のフィードローラと選択的に係合可能なように前記進路変更手段の下方に配置された第1のニップローラと、前記第1のフィードローラ及び前記第1のニップローラの下方に配置され選択的に係合して印刷済み用紙を上向きに搬送可能な第2のフィードローラ及び第2のニップローラとを有し、
当該ベースユニットは、前記第2のフィードローラと第2のニップローラの間を前記印刷済み用紙が上向きに搬送されるとき、印刷済み用紙を前記レシーバ手段へと振り向けるべく前記印刷済み用紙進路変更手段を作動させる手段を含み、
前記印刷済み用紙を前記スタッカ手段に送るとき、前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラが係合し、前記第2のニップローラと前記第2のフィードローラは互いに離間し、
前記印刷済み用紙が上向きに搬送されるとき、前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラは互いに離間し、前記第2のニップローラと前記第2のフィードローラが係合し、前記上向きに搬送される印刷済み用紙は前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラの間を通って前記進路変更手段へと送られ、前記レシーバ手段へ振り向けられることを特徴とするベースユニット。
【請求項2】 プリンタを上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記プリンタは用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記給紙路へと補給用紙を供給するための給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた、印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記用紙排出口から出力される印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記プリンタの前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための、前記排出口から出力された印刷済み用紙の送り手段及び進路変更手段と、
前記印刷済み用紙送り手段から前記スタッカ手段ね向かって下向きに延在する用紙搬送手段と、を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段が前記排出口から用紙を上向きに進路変更するように動作可能であり、さらに、上向きに進路変更された印刷済み用紙を受容するべく前記ベースユニットの上部に組み付けられた印刷済み用紙受容手段を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段は、第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形の揺動可能な進路変更部材を有し、
前記第1の面は概ね平坦であり、前記第2の面は曲折しており、
前記排出口から前記レシーバ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は前記平坦な第1の面が概ね水平方向に延在する第1の位置に置かれ、前記用紙は前記第1の面上で案内されて前記レシーバ手段へと送られ、
前記排出口から前記用紙受容手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を上方へと案内する第2の位置に置かれ、
前記排出口から前記スタッカ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を下方へと案内する第3の位置に置かれ、
前記印刷済み用紙の前記上方への案内及び前記下方への案内が前記進路変更部材の同一面によってなされることを特徴とするベースユニット。
【請求項3】 前記用紙受容手段が、前記用紙をソーティングするためのソーティング手段を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニット。
【請求項4】 前記進路変更部材の前記第3の面が曲折した面からなり、逆転動作された前記用紙搬送手段によって用紙が上向きに搬送されてきたとき、前記第3の位置にある前記進路変更部材の前記第3の面が前記用紙を前記レシーバ手段へと振り向けることを特徴とする請求項2に記載のベースユニット。」

(本件補正後の特許請求の範囲)
「 【請求項1】 プリンタを上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記プリンタは用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記給紙路へと補給用紙を供給するための給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた、印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記用紙排出口から出力される印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記プリンタの前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための、前記排出口から出力された印刷済み用紙の送り手段及び進路変更手段と、
前記印刷済み用紙送り手段から前記スタッカ手段に向かって下向きに延在する用紙搬送手段と、を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段が前記排出口から用紙を上向きに進路変更するように動作可能であり、さらに、上向きに進路変更された印刷済み用紙を受容するべく前記ベースユニットの上部に組み付けられた印刷済み用紙受容手段を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段は、第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形の揺動可能な進路変更部材を有し、
前記第1の面は概ね平坦であり、前記第2の面は曲折しており、
前記排出口から前記レシーバ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は前記平坦な第1の面が概ね水平方向に延在する第1の位置に置かれ、前記用紙は前記第1の面上で案内されて前記レシーバ手段へと送られ、
前記排出口から前記用紙受容手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を上方へと案内する第2の位置に置かれ、
前記排出口から前記スタッカ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を下方へと案内する第3の位置に置かれ、
前記印刷済み用紙の前記上方への案内及び前記下方への案内が前記進路変更部材の同一面によってなされ、前記進路変更部材は、前記用紙の前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置とで逆向きとなるように揺動されることを特徴とするベースユニット。
【請求項2】 前記用紙受容手段が、前記用紙をソーティングするためのソーティング手段を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニット。
【請求項3】 前記進路変更部材の前記第3の面が曲折した面からなり、逆転動作された前記用紙搬送手段によって用紙が上向きに搬送されてきたとき、前記第3の位置にある前記進路変更部材の前記第3の面が前記用紙を前記レシーバ手段へと振り向けることを特徴とする請求項1に記載のベースユニット。」

ここで、本件補正前後の特許請求の範囲を比較すると、本件補正前の独立請求項である請求項2と、本件補正後の独立請求項である請求項1については、補正前後において、その記載が概ね一致すること、ならびに、本件補正前の請求項2を引用する請求項3乃至4は、補正前後において引用する請求項以外の記載は変更されていないことから見て、本件補正後の請求項2は本件補正前の請求項1に対応するものであると考えられる。
上記を踏まえた上で、本件補正がいかなる事項を補正するものであるかについて以下に検討する。


2-2.補正目的について
本件補正のうち、特許請求の範囲に対する補正は、補正前の特許請求の範囲を、以下に示す(い)乃至(は)のとおり補正するものである。
(い)本件補正前の請求項1を削除する補正。
(ろ)本件補正前の請求項2における「スタッカ手段ね向かって」との記載
を、「スタッカ手段に向かって」とする補正。
(は)本件補正前の請求項2について、「前記進路変更部材は、前記用紙の
前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置と
で逆向きとなるように揺動される」との記載を追加する補正。

上記各補正事項について検討する。
(1)補正事項(い)について
補正事項(い)は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものであると認められる。

(2)補正事項(ろ)について
本件補正前の請求項2における「スタッカ手段ね向かって」との記載は、明らかな誤記であることからみて、補正事項(ろ)は、当該誤記を訂正しようとするものであると認められる。
したがって、補正事項(い)は平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであると認められる。

(3)補正事項(は)について
補正事項(は)によって追加された「前記進路変更部材は、前記用紙の前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置とで逆向きとなるように揺動される」との記載が、どのような技術事項を意味するものであるか検討する。
本件補正前の請求項2には
・「第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形の揺動可能な進路変更部
材」
・「進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を上方へと案内する第
2の位置に置かれ、」
・「進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を下方へと案内する第
3の位置に置かれ、」
と記載されている。
上記記載からみて、本件補正前の請求項2に係る発明は、「第2の面」を備えた「進路変更部材」が「揺動」されることにより、「用紙を上方へと案内する第2の位置」と「用紙を下方へと案内する第3の位置」に置かれるものであると特定されているものである。
そして、本件補正前の請求項2に係る発明が、「進路変更部材」が「第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形」であるとの特定を有するものであるから、この「進路変更部材」の形状を考慮すれば、本件補正前の請求項2における「進路変更部材」が、上記「用紙の前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置とで逆向きとなる」という機能を備えていることは自明である。
してみると、補正事項(は)により追加された記載は、本件補正前の請求項2に内在していた事項に過ぎないものであり、実質的に、特許請求の範囲の記載の減縮をするものであるとは認められない。
よって、補正事項(は)は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、また、このような記載を追加する補正は、同項第1号に掲げる請求項の削除、同項第3号に掲げる誤記の訂正、同項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明のいずれにも該当するものではないことは明らかである。

上記のとおりであるから、本件補正のうち、補正事項(ろ)乃至(は)よりなる、補正前の請求項2に対する補正は、全体として、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではないから、本件補正は却下されるべきものである。
しかしながら、上記補正事項(は)は、本件補正前の請求項2に係る発明の技術的内容を実質的に変更するものではなく、かつ、補正前の請求項2に係る発明における「進路変更部材」の揺動方向を限定しようとする補正であると解釈する余地がないとまでは言えないことから、以下では、本件補正のうち、補正前の請求項2に係る発明に対する補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと解釈して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを検討する。


2-3.独立特許要件について
2-3-1.本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものである。
「プリンタを上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記プリンタは用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記給紙路へと補給用紙を供給するための給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた、印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記用紙排出口から出力される印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記プリンタの前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための、前記排出口から出力された印刷済み用紙の送り手段及び進路変更手段と、
前記印刷済み用紙送り手段から前記スタッカ手段に向かって下向きに延在する用紙搬送手段と、を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段が前記排出口から用紙を上向きに進路変更するように動作可能であり、さらに、上向きに進路変更された印刷済み用紙を受容するべく前記ベースユニットの上部に組み付けられた印刷済み用紙受容手段を有し、
前記印刷済み用紙進路変更手段は、第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形の揺動可能な進路変更部材を有し、
前記第1の面は概ね平坦であり、前記第2の面は曲折しており、
前記排出口から前記レシーバ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は前記平坦な第1の面が概ね水平方向に延在する第1の位置に置かれ、前記用紙は前記第1の面上で案内されて前記レシーバ手段へと送られ、
前記排出口から前記用紙受容手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を上方へと案内する第2の位置に置かれ、
前記排出口から前記スタッカ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を下方へと案内する第3の位置に置かれ、
前記印刷済み用紙の前記上方への案内及び前記下方への案内が前記進路変更部材の同一面によってなされ、前記進路変更部材は、前記用紙の前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置とで逆向きとなるように揺動されることを特徴とするベースユニット。」


2-3-2.引用文献
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭61-86335号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図示とともに以下(イ)?(ニ)に示す記載がある。

(イ)「複写機と一体または接離可能に設けた多段給紙装置のカセットまた
はトレイを、コピー終了した転写紙のスタッフ及びソートの機能を具
備するようにコピートレイと兼用したことを特徴とする複写機の紙処
理装置。」(特許請求の範囲)

(ロ)「第1図に示すように、公知の複写機能を具備した複写機本体1の下
部には、この本体1と一体化された状態または接離可能に別体化した
状態で多段給紙装置2を設ける。そして本体1の右下部には、これも
公知の給紙カセット3a,3bを一対配設してあり、給紙コロ4a,
4b及びガイド板5等により転写紙6を図示しない転写ドラムへ案内
するものである。そして複写機本体1の左部には、排紙コロ7,ガイ
ド板8を配し、本体1外にコピー受け9を設け、排紙装置10を構成
している。この排紙装置10は、そのガイド板8の途中にソレノイド
装置などの適宜手段により回転される切換え爪11が配置され、さら
に前記コピー受け9近傍には排紙を検知する排紙センサー12,排紙
ローラ13を設けている。
また前記多段給紙装置2は次のような構成より成っている。すなわ
ち中央部に本実施例の場合には三段のカセット14を受けるカセット
受台15を設けてあり、右部には、前記給紙カセット3a,3b部分
のガイド板5から垂下した箇所に配した中間ローラ16へ前記カセッ
ト14内の転写紙6を搬送する給紙装置17を設ける。この給紙装置
17は、各カセット14の右部に配置した給紙コロ18,フリクショ
ンパット19,加圧アーム20と、各カセット14から給紙された転
写紙を上方へ搬送するために設けたガイド板21と複数の中間ローラ
22とから構成されている。
また多段給紙装置2の左部には、各カセット14に対応して傾斜ガ
イド23と一対の送りローラ24と切換爪体25を各々配置し、各ロ
ーラ間24間をを垂下ガイド26にて連結している。送りローラ24
の最上位のものは前記切換え爪11近傍まで延出するガイド板27に
て中間コロ28を介して連結している。面、前記切換爪体25はソレ
ノイド装置等の適宜手段により回動駆動される。」(第1頁右下欄第
15?第2頁右上欄第9行)

(ハ)「従って、前記切換え爪11を時計方向に回動してガイド板8の通路
を形成すると、コピー終了した転写紙は本体1外のコピー受け9へ導
かれ、またコピー終了した転写紙を多段給紙装置2内にスタック又は
ソートする場合には、切換え爪11を反時計方向に回転し、ガイド板
8の通路を遮断すると前記転写紙を垂下ガイド26へ導き、スタック
モード時には、最上位の切換爪体25を反時計回転させてガイド板2
7の通路を遮断し、最上位のカセット14の蓋14a上にスタックす
るように転写紙を案内する。さらにソートモード時には、複数設けら
れた切換爪体25を順次反時計方向に回動して、ガイド板27,垂下
ガイド26の通路を順次遮断し、順次カセット14の蓋14a上にソ
ートするのである。
そして前記カセット蓋14aの上にソートされた転写紙は、カセッ
ト14全体を前方に引出すようにするか、またはカセット蓋14aの
みを引出し可能に構成することにより取り出すことができる。」(第
2頁左下欄第18行?同頁右下欄第17行)

(ニ)「従って、上記実施例では、本体1と多段給紙装置2を連結した場合
には本体1に装備された給紙カセット3a,3bは不要となり、室の
角に設置でき省スペース化が計れる。」(第2頁右下欄第18行?第
3頁左上欄第1行)

記載(ロ)および第1図からみて、「多段給紙装置2」は、「複写機本体1」を上に載せることのできるものであると認められる。

第1図から、記載(ロ)における「複写機本体1」が、「転写紙を受容して受容した転写紙を内部へと送り込むための給紙路」および「コピー終了した転写紙を排紙する用紙排出口」を有するものであることが看取できる。

第1図から、記載(ロ)および記載(ハ)における「多段給紙装置2」の「給紙手段17」およびコピー終了した転写紙をスタック又はソートできる「カセット14の蓋14a」は、ともに、「複写機本体1」の下方に位置するよう組み込まれたものであることが看取できる。

第1図から、記載(ロ)および記載(ハ)における「多段給紙装置2」の「コピー受け9」は、該「多段給紙装置2」の一側部において組み込まれたものであることが看取できる。

記載(ロ),(ハ)および第1図から、引用文献1に記載された「切換え爪11」は「コピー受け9」と「カセット14の蓋14a」の間に配置されているものであると認められる。

記載(ロ)および記載(ハ)から、引用文献1に記載された「切換え爪11」は、回動されることによりコピー終了した転写紙を「コピー受け9」または「カセット14の蓋14a」のいずれに排紙するかを選択的に振り分けるものであると認められる。

第1図から、記載(ロ)における「送りローラ24」,「垂下ガイド26」および「中間コロ28」は、コピー終了した転写紙をスタック又はソートできる「カセット14の蓋14a」に排紙するために、カセット14の蓋14aに向かって下向きに延在しているものであることが看取できる。

引用文献1の明細書ならびに図面全体を参酌しつつ、上記記載(イ)?記載(ホ)を検討すると、引用文献1には次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)と認められる。
「複写機本体1を上に載せることのできる給紙装置17及びコピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14aを備えた多段給紙装置2であって、前記複写機本体1は転写紙を受容して受容した転写紙を内部へと送り込むための給紙路と、コピー終了した転写紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該多段給紙装置2は、
前記多段給紙装置2に前記複写機本体1の下方に位置するよう組み込まれた給紙手段17と、
前記多段給紙装置2にその一側部において組み込まれたコピー受け9と、
前記多段給紙装置2に前記複写機本体1の下方に位置するよう組み込まれたコピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14aと、
前記コピー受け9と前記コピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14aとの間に配置され、前記複写機本体1の前記排出口から出力されたコピー終了した転写紙を前記コピー受け9または前記コピー終了した転写紙を前記コピー受け9またはスタック又はソートできるカセット14の蓋14aへと選択的に振り分けるために回動する切換え爪11と、
前記切換え爪11から前記コピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14aに向かって下向きに延在する送りローラ24,垂下ガイド26および中間コロ28と、を有する多段給紙装置2。」


(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭63-160972号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図示とともに以下(a)?(b)に示す記載がある。

(a)「ビデオデータを印字するレーザプリンタ、このレーザプリンタを載
置しかつホストコンピュータとのインターフェイスによりレーザプリ
ンタおよび各オプション等のシステム制御を行なうプリンタコントロ
ーラを含むキャビネット、このキャビネットに着脱可能であり大量の
印字用紙をプリンタに供給するための大量給紙ユニット、レーザプリ
ンタよりの印字された用紙を受容し、必要に応じて反転して、排出す
るための反転機、この反転機よりの用紙を受容し区分けするソータを
備えるレーザプリンタシステムにおいて、ソータをレーザプリンタ上
部に反転機に隣接して設置したことを特徴とするレーザプリンタシス
テム。」(特許請求の範囲)

(b)「第1図に示す本発明によるレーザプリンタシステムは、レーザプリ
ンタ1とキャビネット2と大量給紙ユニット3と反転機4の配置に関
しては、第2図に示すものと同じである。第2図と異なるのは、ソー
タ5がレーザプリンタ1の上部にて反転機4に隣接して配置されてい
る点である。レーザプリンタは、複写機と異なり、プリンタ上面に可
動部等がないので、上記の配置が可能となっている。第1図と第2図
とを対比すれば、本発明のレーザプリンタシステムの横方向の所要設
置空間が大幅に減じ、かつソータ台6が不要となっていることが明ら
かに看取される。
効 果
本発明により、レーザプリンタの設置空間を大幅に削減しかつ安全
規格上の問題を減することが可能となった。」(第2頁左下欄第11
行?同頁右下欄第2行)


2-3-3.対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「複写機本体1」と、本件補正発明における「プリンタ」とは、紙に対して印刷を行う「印刷装置」である点で共通している。
引用発明における「給紙装置17及びコピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14aを備えた多段給紙装置2」は、「給紙装置17」によって給紙機能を、「カセット14の蓋14a」によって用紙スタック機能をそれぞれ実現しているものであり、かつ、その上に印刷装置を載せることが可能なものであることから、本件補正発明における「給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニット」に相当する。
引用発明における「転写紙」は、本件補正発明における「用紙」に相当する。
引用発明における「コピー終了した転写紙」は、印刷の終了した用紙を意味するものであると認められることから、本件補正発明における「印刷した用紙」および「印刷済み用紙」に相当する。
引用発明における「コピー受け9」は、コピー終了した転写紙、すなわち、印刷済み用紙を受ける手段であるから、本件補正発明における「印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段」に相当する。
引用発明における「コピー終了した転写紙をスタック又はソートできるカセット14の蓋14a」は、複写機本体1の用紙排出口から排出されたコピー終了した転写紙、すなわち、印刷済み用紙をスタックする手段であるから、本件補正発明における「印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段」,「印刷済み用紙スタック手段」および「スタッカ手段」に相当する。
引用発明における「切換え爪11」は、本件補正発明における「進路変更手段」および「印刷済み用紙進路変更手段」に相当する。
引用発明における「送りローラ24,垂下ガイド26および中間コロ28」は、本件補正発明における「用紙搬送手段」に相当する。

してみると、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致している。
<一致点>
「印刷装置を上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記印刷装置は用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記印刷装置の下方に位置するよう組み込まれた給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記印刷装置の下方に位置するよう組み込まれた印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記複写機本体1の前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための進路変更手段と、
前記進路変更手段から前記スタッカ手段に向かって下向きに延在する用紙搬送手段と、を有するベースユニット。」

一方で、引用発明と、本件補正発明とは、以下の点で相違している。
<相違点1>
本件補正発明の「ベースユニット」は、上に載せることのできる「印刷装置」が「プリンタ」を含むものであると特定されるのに対し、引用発明の「ベースユニット」は、上に載せることのできる「印刷装置」が「複写機本体」を含むものではあるものの、「プリンタ」を含むかどうかについては明示がなく、上記特定を有するものであるかどうか不明である点。

<相違点2>
本件補正発明の「ベースユニット」は、レシーバ手段と印刷済み用紙スタック手段との間に「印刷済み用紙の送り手段」を有すると特定されるのに対し、引用発明の「ベースユニット」は、印刷済み用紙の送り手段に関する明示がなく、上記特定を有するものであるかどうか不明である点。


<相違点3>
本件補正発明の「ベースユニット」は、「上向きに進路変更された印刷済み用紙を受容するべくベースユニットの上部に組み付けられた印刷済み用紙受容手段」を有すると特定されるものであるのに対し、引用発明の「ベースユニット」は、その上部に印刷済み用紙受容手段を有するものではなく、上記特定を有していない点。

<相違点4>
本件補正発明の「印刷済み用紙進路変更手段」は、「排出口から用紙を進路変更するように動作可能」であるとともに、「第1乃至第3の3つの面を有し断面が略三角形の揺動可能な進路変更部材」を有し、該進路変更部材が「第1の面は概ね平坦であり、第2の面は曲折」した用紙案内面を有し、かつ、「排出口からレシーバ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は前記平坦な第1の面が概ね水平方向に延在する第1の位置に置かれ、前記用紙は前記第1の面上で案内されて前記レシーバ手段へと送られ、前記排出口から用紙受容手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を上方へと案内する第2の位置に置かれ、前記排出口からスタッカ手段に用紙を送るとき、前記進路変更部材は曲折した前記第2の面が前記用紙を下方へと案内する第3の位置に置かれ、前記印刷済み用紙の前記上方への案内及び前記下方への案内が前記進路変更部材の同一面によってなされ、前記進路変更部材は、前記用紙の前記第2の面に対する移動方向が前記第2の位置と前記第3の位置とで逆向きとなるように揺動される」動作を行うものであると特定されるものであるのに対し、引用発明の「印刷済み用紙進路変更手段」は、「切換え爪11」が印刷済み用紙の進路を変更するために「回動」されるものではあるものの、用紙を上方に案内する構成および切換爪11の案内面とその動作の関係については明示がなく、上記特定を有していない点。


2-3-4.判断
上記各相違点について検討する。

<相違点1>について
本願の優先日前において、オフィス等で一般的に使用される印刷装置として、複写機もプリンタも慣用されていたものであり、かつ、これらの印刷装置における用紙送りのための機構は、その構成、機能、作用が共通するものである。
そして、引用発明における「ベースユニット」すなわち「多段給紙装置2」は、その上に載置される印刷装置に対して用紙を供給および排出するものであるが、その紙送りのための構成から見て、上に載置される印刷装置が複写機のみに限定されるものではない。したがって、用紙を供給および排出するための装置という引用発明の「多段給紙装置2」の機能ならびに作用からみれば、その上に載置する装置を、一般的に使用されている印刷装置である「プリンタ」とすることは、当該装置の使用者が適宜に採用し得たものに過ぎない。
したがって、上記<相違点1>の構成は、当業者が適宜に採用し得たものである。

<相違点2>について
用紙を複数の方向に進路変更する際に、「進路変更手段」とともに、進路変更手段と協働するローラ等により構成された「用紙の送り手段」を使用する技術は、例えば特開平1-281249号公報(特に第5図?第8図参照。),実願平1-16632号(実開平2-108966号)のマイクロフィルム(特に第2?4図参照。)等に記載されているように、用紙送り装置という技術分野においては周知のものである。
したがって、引用発明において、「進路変更手段」の近傍に、上記周知技術である「進路変更手段」と協働する「用紙の送り手段」を付加し、もって<相違点2>の構成とすることは、当業者ならば容易に想到することができたものである。

<相違点3>について
引用文献2には、「レーザプリンタ1の下方に位置するよう組み込まれた大量給紙ユニット3と、レーザプリンタの上部に位置するよう組み込まれた印刷済み用紙を受容するソータ5とを備えたレーザプリンタシステム」により、レーザプリンタシステムを設置する空間を小さくする技術が記載されている。
ここで、引用発明1と引用文献2に記載された技術とは、印刷装置に用紙を供給する給紙手段と前記印刷装置から排出された印刷済み用紙を受容するスタック手段とを備えたベースユニットと、印刷装置に対し用紙を供給する給紙手段と前記印刷装置から排出された印刷済み用紙を受容するスタック手段と組み込んだ印刷装置システムという、きわめて密接な関連性を有する技術分野に属するものである。
かつ、引用発明1の「ベースユニット」と、引用文献2に記載された印刷装置システムにおける大量給紙ユニット3及びソータ5とは、ともに、印刷装置へ用紙を供給し、印刷装置から印刷済み用紙を受領するという、機能および作用の点で共通しているものである。
かつ、引用発明(前記「2-3-2.引用文献1(1) 記載(ニ)」参照。)も、引用文献2に記載された技術も、ともに、給排紙装置を含んだ印刷装置全体について、スペースの有効活用を図ることを共通した課題として認識していたものである。
したがって、引用発明の「ベースユニット」に対して、さらにスペースの有効活用を図ることを目的として、ベースユニットの上方のスペースに、上記引用文献2に記載された印刷済み用紙を受容する印刷済み用紙受容手段を付加し、もって<相違点3>の構成とすることは、当業者ならば容易に想到することができたものである。(なお、給排紙ユニットを備えた印刷装置という技術分野において、印刷装置システムの上方に印刷済み用紙受容手段を設ける技術は、実願昭62-79293号(実開昭63-188157号)のマイクロフィルム(特に第3図参照。),特開平3-233468号公報(特に第2図参照。)等に記載されているように、周知の技術であることからみても、引用発明1のベースユニットの上方に、印刷済み用紙受容手段を付加することが当業者にとって容易に想到できたものであることが推察される。)

<相違点4>について
上記「<相違点3>について」で述べたように、引用発明の「ベースユニット」に対して、その上方のスペースに印刷済み用紙を受容する印刷済み用紙受容手段を付加することは、当業者ならば容易に想到することができたものである。
そして、引用発明にこのような印刷済み用紙受容手段が付加されると、引用発明における「進路変更手段」は、排出口から送られてくる印刷済み用紙を略水平,下向き,上向きの3方向に進路変更することにより、それぞれ、レシーバ手段,スタッカ手段,印刷済み用紙受容手段に選択的に振り分ける構成となるものと考えられる。
ここで、プリンタ等における用紙搬送という技術分野において、用紙を進路変更する「進路変更手段」における「進路変更部材」が、同一の用紙案内面を使用して複数の方向に用紙を送るよう揺動される技術は、例えば実願平1-16632号(実開平2-108966号)のマイクロフィルム(特に第2?4図参照。),特開平4-141468号公報(特に第2図参照。)等に記載されているように周知のものであり、かつ、この周知技術に使用される「進路変更部材」の形状は、用紙の取り得る進路の数と使用する案内面の数に応じて、適宜設計されるものであると認められる。
したがって、引用発明に、引用文献2に記載された、上方のスペースに印刷済み用紙受容手段を付加する際に、上向き方向の印刷済み用紙の進路が付加されることに対応して、引用発明における「進路変更手段」である「切換え爪11」の具体的な構成として、上記周知技術である、同一の用紙案内面を使用して複数の方向に用紙を送るよう揺動する「進路変更部材」を採用することは、当業者ならば容易に想到することができたものである。
そして、その際の「進路変更部材」の形状として、用紙の取り得る進路の数と使用する案内面の数に応じて適切なものを選択することは、当業者ならば適宜なし得る設計事項に過ぎないものである。
よって、上記<相違点4>の構成は、引用発明,引用文献2に記載された発明,周知技術および技術常識から、当業者ならば容易に想到することができたものである。


2-3-5.独立特許要件についてのまとめ
上記のとおりであるから、<相違点1>乃至<相違点4>の構成は、引用発明,引用文献2に記載された発明,周知技術および技術常識に基づいて当業者が容易に想到することができたものであり、それにより得られる効果も、当業者ならば予測することができた程度のものに過ぎない。

よって、本件補正発明は、引用発明,引用文献2に記載された発明,周知技術および技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
すなわち、本件補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。


2-4.補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正のうち、補正前の請求項2に係る発明に対する補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正後の請求項1に係る発明は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものであると解釈したとしても、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。



3.本願発明について
3-1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたため、本願の請求項1乃至4に記載された発明は、平成18年12月21日付け手続補正書にて補正された前記「2-1.(本件補正前の特許請求の範囲:平成18年12月21日付け手続補正書)」にて示したとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「プリンタを上に載せることのできる給紙機能及び印刷済み用紙スタック機能を備えたベースユニットであって、前記プリンタは用紙を受容して受容した用紙を内部へと送り込むための給紙路と、印刷した用紙を排出する用紙排出口とを有しており、当該ベースユニットは、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記給紙路へと補給用紙を供給するための給紙手段と、
前記ベースユニットにその一側部において組み込まれた、印刷済み用紙を受容するためのレシーバ手段と、
前記ベースユニットに前記プリンタの下方に位置するよう組み込まれた、前記用紙排出口から出力される印刷済み用紙をスタックするためのスタック手段と、
前記レシーバ手段と前記印刷済み用紙スタック手段との間に配置され、前記プリンタの前記排出口から出力された印刷済み用紙を前記レシーバ手段または前記印刷済み用紙スタック手段へと選択的に振り分けるための、前記排出口から出力された印刷済み用紙の送り手段及び進路変更手段と、
前記印刷済み用紙送り手段から前記スタッカ手段に向かって下向きに延在する用紙搬送手段とを有し、
前記印刷済み用紙送り手段は前記プリンタの前記排出口から排出された印刷済み用紙と係合可能な第1のフィードローラを有し、
前記用紙搬送手段は、印刷済み用紙を下向きに搬送するべく前記第1のフィードローラと選択的に係合可能なように前記進路変更手段の下方に配置された第1のニップローラと、前記第1のフィードローラ及び前記第1のニップローラの下方に配置され選択的に係合して印刷済み用紙を上向きに搬送可能な第2のフィードローラ及び第2のニップローラとを有し、
当該ベースユニットは、前記第2のフィードローラと第2のニップローラの間を前記印刷済み用紙が上向きに搬送されるとき、印刷済み用紙を前記レシーバ手段へと振り向けるべく前記印刷済み用紙進路変更手段を作動させる手段を含み、
前記印刷済み用紙を前記スタッカ手段に送るとき、前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラが係合し、前記第2のニップローラと前記第2のフィードローラは互いに離間し、
前記印刷済み用紙が上向きに搬送されるとき、前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラは互いに離間し、前記第2のニップローラと前記第2のフィードローラが係合し、前記上向きに搬送される印刷済み用紙は前記第1のニップローラと前記第1のフィードローラの間を通って前記進路変更手段へと送られ、前記レシーバ手段へ振り向けられることを特徴とするベースユニット。」


3-2.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献およびこれらの記載事項は、前記「2-3-2.引用文献」に記載したとおりである。


3-3.対比・判断
本願発明は、前記「2-2.補正目的について」にて述べたように、実質的に前記「2-3.独立特許要件について」で検討した本件補正発明と、実質的に同一のものである。
そうすると、本願発明と実質的に同一のものである本件補正発明が、上記「2-3.独立特許要件について」に記載したとおり、引用発明,引用文献2に記載された発明,周知技術および技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明,引用文献2に記載された発明,周知技術および技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-26 
結審通知日 2009-03-03 
審決日 2009-03-16 
出願番号 特願平9-291034
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J)
P 1 8・ 571- Z (B41J)
P 1 8・ 573- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 督史清水 康司桐畑 幸▲廣▼  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 江成 克己
上田 正樹
発明の名称 プリンタ用ベースユニット  
代理人 大島 陽一  
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