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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
管理番号 1196765
審判番号 不服2005-16938  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-02 
確定日 2009-05-07 
事件の表示 特願2003- 82775「自社取扱い並行輸入商品の真正品確認方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-294466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年3月25日に出願したものであって、平成17年7月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月2日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月3日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成20年11月21日付けで平成17年10月3日付け手続補正を却下するとともに、同日付けで拒絶理由を通知したところ、請求人は平成21年2月2日付けで意見書及び手続補正書を提出した。

2.本願発明
本願の請求項1乃至13に係る発明は、平成21年2月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至13に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「少なくともブランド名や価格が商品表示欄に表示されて並行輸入商品に付されるタグ状の商品表示体の任意の位置に固有表示欄を設け、該固有表示欄に、その商品の輸出元業者,輸入時期,前記輸出元業者が並行輸入業者に発行したインボイスの記載事項の中から選択した少なくとも前記インボイスの記載事項を含んだ事項を、前記並行輸入業者が、文字又は記号若しくは図形またはそれらの組合せによる固有の表示形態で機械的読取り手段により読取り可能に記録すると共に、該記録データをコンピュータに記録するステップと、前記商品の出荷段階,展示段階、或は、購入者の購入時又はその後の段階のいずれかにおいて、前記読取手段で読取った前記商品表示体の固有表示欄に記録したデータと前記コンピュータの記録データを比較するステップにより、当該並行輸入業者が前記商品表示体を備えた並行輸入商品が自社が取扱った真正品であるか否かの判別をすることを特徴とする並行輸入商品の真正品確認方法。」

3.引用刊行物
平成20年11月21日付け当審の拒絶の理由に引用された特開2001-222734号公報(以下、「刊行物」という。)には、以下の記載が図示とともにある。

ア.【請求項1】 カード基板上にライセンス商品毎の製品型番を表示する認定番号と、製造数を示すシリアル番号と、ランダム数値による認証キーとを表示した、商品に添付するための商品認定カード。

イ.【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかの商品認定カードの製品型番を表示する認定番号と、製造数を示すシリアル番号と、ランダム数値による認証キーのうちの少なくとも認証キーとを予め認証機関に登録し、通信網の端末より入力される商品認定カードの情報が登録情報の全てに一致した時に、一致又は不一致を示す情報を前記端末に戻すことよりなる商品認定カードの認証方法。

ウ.【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は商品販売において、真正商品であることを識別するための商品認定カードに関する。

エ.【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例による商品認定カード1の平面図である。カードはプラスチック、厚紙等の基板2にホログラムシール3を貼着したものであり、ホログラムシールには光学的に読みとれる情報を記入してもよいし、認証機関を示す標識を施してもよい。基板2には印刷によりブランド商品の製品名やそのブランド製品のライセンシー名つまり製造会社名等が表示される

オ.【0012】図2はこの原理に従い、本発明の商品認定カード1を使用して偽造、改ざんを防ぎ、真正性の判別を行うシステムの構成を示す。図2において、商品認定カード1は、発行機関例えば認証機関13が提供する一定のフォーマットのカードに、先に述べた必要情報を印刷又は記録したものである。例えば、ライセンサー17は外国会社であり、国内の輸入業者等の販売代理店21に自己のブランド商品を供給する製造メーカーである。或いはライセンサー17は、ランセンス商品の製造を行う業者であるライセンシー19にブランド商品の製造を許可するブランド名及びデザイン提供者である。
【0013】ライセンサー17が販売売代理店21に対して所定数のブランド商品を一定数量供給する場合、あるいは製造業者であるライセンシー19に一定数量のブランド製品の製造を許可する場合には、先ず認証機関13に依頼して所要枚数の商品認定カードを作成・発行してもらう。認証機関13はその商品の識別情報(先の3種の情報のすべを真偽判定に使用する場合には、ライセンス商品毎の製品型番を表示する認定番号、製造数を示すシリアル番号、及び商品毎に発生され割り当てられるランダム数値による認証キー)を印刷して商品認定カード1を所要枚数発行してライセンサー17に交付すると共に、自己のデータベース15に、商品認定カードの全ての内容を登録すると共に、ライセンサーから提供された当該商品の説明、映像、等の商品に関する情報を一緒に登録する。

カ.【0015】商品の真偽のチェックは取引のどの段階でも可能であり、ライセンシー19、販売代理店21、又は末端の製品購入者23は、各自の端末からインターネット等の通信網を介していつでも認証機関のデータベースにアクセスることができる。端末からは商品に付されている情報を入力するか、または認証機関が認証キーのみをチェック項目としている場合には認証キーを入力する。認証機関13は入力された情報を自己のデータベース15の内容と比較して、真正商品認定カードかどうかを判断し、その結果を照会者の端末へ戻す。真正商品認定カードの場合にはさらに上記の商品情報を照会者に返す。

キ.【0018】また、本発明の商品認定カードを利用した在庫管理、返品管理、その他の利用方法も可能となる。


上記ア.?カ.の記載によれば、刊行物からは、商品認定カードが添付された商品が真正商品であるか否かを判断する真正商品の確認方法が把握できる。

上記カ.によれば、商品の真偽のチェックは取引のどの段階でも可能であって、「末端の製品購入者」も、通信網を介していつでも認証機関のデータベースにアクセスできるとあるから、真正商品であるか否かの判断は、購入者による購入以降も含む、商品の流通の各種段階のいずれかで行われるものといえる。

上記記載及び図面を含む刊行物全体の記載から、刊行物には、以下の発明が開示されていると認められる。

「ブランド商品の製品名が表示されて商品に添付される商品認定カードに、認証機関が商品の認証キーを印刷すると共に、該認証キーを予め認証機関のデータベースに登録し、商品の流通の各種段階のいずれかで、通信網の端末より入力される認証キーとデータベースの登録情報とを該認証機関が比較し、商品認定カードが添付された商品が真正商品であるか否かを判断する真正商品の確認方法。」 (以下、「刊行物記載の発明」という。)

4.対比
本願発明と刊行物記載の発明とを比較する。
刊行物記載の発明の「商品」は、本願発明の「並行輸入商品」と、「商品」として共通である。
刊行物記載の発明の「ブランド商品の製品名が表示されて商品に添付される商品認定カード」は、本願発明の「少なくともブランド名や価格が商品表示欄に表示されて並行輸入商品に付されるタグ状の商品表示体」と、ブランド名が表示されて商品に付される商品表示体として共通である。
刊行物記載の発明の「認証キー」は、本願発明の「その商品の輸出元業者,輸入時期,前記輸出元業者が並行輸入業者に発行したインボイスの記載事項の中から選択した少なくとも前記インボイスの記載事項を含んだ事項」と、商品表示体に記録されて商品を識別するためのデータとして共通である。
刊行物記載の発明の「商品認定カードに、・・印刷する」は、本願発明の「商品表示体の任意の位置に固有表示欄を設け、該固有表示欄に、・・・・、文字又は記号若しくは図形またはそれらの組合わせによる固有の表示形態で機械的読取り手段により読取り可能に記録する」と、商品表示体に、商品を識別するためのデータを記録する点で共通である。
刊行物記載の発明の「認証機関のデータベース」は、通信網を介してアクセス可能なものだからコンピュータに備わるものといえ、すると刊行物記載の発明の「認証キーを予め認証機関のデータベースに登録し」は、本願発明の「該記録データをコンピュータに記録するステップと」と、商品を識別するためのデータをコンピュータに記録するステップを経る点で共通である。
刊行物記載の発明の「商品の流通の各種段階のいずれかで」は、本願発明の「商品の出荷段階,展示段階、或は、購入者の購入時又はその後の段階のいずれかにおいて」を含んでいる。
刊行物記載の発明の「通信網の端末より入力される認証キーとデータベースの登録情報とを該認証機関が比較し」は、本願発明の「前記読取手段で読取った前記商品表示体の固有表示欄に記録したデータと前記コンピュータの記録データを比較するステップにより」と、商品表示体に記録したデータと、コンピュータに記録したデータとを比較するステップを経る点で共通である。
刊行物記載の発明の「商品認定カードが添付された商品が真正商品であるか否かを判断する真正商品の確認方法」と、本願発明の「商品表示体を備えた並行輸入商品が自社が取扱った真正品であるか否かの判別をすることを特徴とする並行輸入商品の真正品確認方法」とは、商品表示体を備えた商品が真正品であるか否かの判別をする商品の真正品確認方法として共通である。
刊行物記載の発明の「認証機関」は、本願発明の「並行輸入業者」と、商品表示体に商品を識別するためのデータを記録し、かつ、商品が真正品であるか否かの判別をする主体として共通である。

よって両者は、
「ブランド名が表示されて商品に付される商品表示体に、商品を識別するためのデータを記録し、記録されたデータをコンピュータに記録するステップと、商品の出荷段階,展示段階、或は、購入者の購入時又はその後の段階のいずれかにおいて、商品表示体に記録したデータと、コンピュータに記録したデータとを比較するステップにより、商品表示体を備えた商品が真正品であるか否かの判別をする商品の真正品確認方法。」である点で一致し、本願発明において特定されている以下の事項を刊行物記載の発明が備えていない点をもって相違している。

[相違点1]
商品に関し、「並行輸入商品」と特定されている点。
[相違点2]
商品表示体に関し、「少なくともブランド名や価格が商品表示欄に表示され・・タグ状の」と特定されている点。
[相違点3]
商品を識別するためのデータに関し、「その商品の輸出元業者,輸入時期,前記輸出元業者が並行輸入業者に発行したインボイスの記載事項の中から選択した少なくとも前記インボイスの記載事項を含んだ事項」と特定されている点。
[相違点4]
商品表示体にデータを記録し、かつ、商品が真正品であるか否かの判別をする主体に関し、「並行輸入業者」と特定されている点。
[相違点5]
商品表示体へのデータの記録に関し、「商品表示体の任意の位置に固有表示欄を設け、該固有表示欄に、・・・文字又は記号若しくは図形またはそれらの組合わせによる固有の表示形態で機械的読取り手段により読取り可能に記録する」と特定されている点。
[相違点6]
コンピュータに記録したデータと比較する、表示体に記録したデータに関し、「前記読取手段で読取った」と特定されている点。
[相違点7]
真正品であるか否かの判別に関し、「自社が取扱った真正品であるか否かの判別」と特定されている点。

5.判断
上記各相違点について検討する。

・相違点1について
「並行輸入商品」との特定は、商品の流通ルートに並行輸入の過程を含むことを特定するのみであって、商品自体には基本的に何ら変更を与えるものでなく、消費者の購買対象となる商品として真正であることの必要性は自明である。
また刊行物における商品として、例えば上記オ.にも示されるよう、外国で製造された輸入商品は含まれている。
以上より、刊行物記載の発明の真正品確認方法を並行輸入商品に関し適用することは、当業者が適宜行う程度のものである。

なお、意見書にて出願人は、「本願発明は並行輸入商品が自社が取扱ったものであるか否かの確認をしているだけで、刊行物1の発明のように、その商品の真偽の判別をしている訳ではありません。」と陳述するが、先ず、その商品が並行輸入商品として適法に流通するものである以上、「自社取扱い並行輸入商品」とは真正商品であることと同義であるべきで、自社が取り扱ったものか否かの確認は、真正商品の確認を含むというべきである。本願明細書中の記載では、両者の確認は特に区別されていない。また刊行物の上記キ.には「本発明の商品認定カードを利用した在庫管理、返品管理、その他の利用方法も可能となる。」と記載されており、引用発明は真正商品の確認と共に、その他の商品管理における各種利用も意図するものである。

・相違点2について
商品の真正を確認するため商品に付される表示体を、タグ状のものとすることは周知である(例えば、特開2000-3124号公報(【0022】)、特開2002-297036号公報参照。)。また、表示体に適当な表示欄を設けてブランド名や価格を表示することは、必要に応じて適宜なされることに過ぎない。

・相違点3について
並行輸入の流通に関する常識からして、並行輸入商品は、製造元にて付される保証書等、商品の真正を確証するものを既に携えていないことは決して珍しくない。当該商品の真正を確信するに至った並行輸入業者が輸出元業者から直接受け取るインボイス以外、商品のその後の流通過程にて真正品であることを、客観性を保障しつつ裏付ける材料が存在しない状況も、頻繁に生じるものである。
他方、並行輸入商品を識別して、真正品なることを客観的手法によって証明すべき事情も同様に広く存在する。
してみれば、商品を識別して真正品判断の拠り所とするデータにインボイスの記載事項を含ませることは、並行輸入商品を扱うにつき、当業者として利用可能な情報を必要に応じて単に採用した程度のことである。

・相違点4について
商品として並行輸入商品を対象としたとき、並行輸入業者が、その商品の流通全般に関与可能な主たる当事者であることは自明であって、そのような主たる当事者が、商品の真正品確認において商品に記録を付し、かつ真正の判別をする主体となることは、ごく通常のものである。
そして本願発明には、並行輸入商品の真正品確認における記録及び判別の主体に応じた特段の技術的事項も認められない。
よって相違点4は、商品を並行輸入商品と特定したことに単に付随する事項の範囲内のものである。

・相違点5について
一般に、機械的読取り手段の種類に応じて、適した表示欄、表示形態が存在するが、本願補正発明においては機械的読取り手段の種類も限定されず、一体「・・機械的読取り手段によって読み取り可能に記録する」とは、例えば肉眼のみでの読取りを不可とするものか否かも不明である。
よって相違点5は、記録に関する特段の限定をするものにならず、ごく通常の手法によるデータの記録を単に示す程度のものである。

・相違点6について
刊行物記載の発明では、表示体に記録したデータは通信網の端末より入力されるとある。ここで端末からのデータ入力としては、肉眼による読み取りを伴う手入力のみならず、OCR等、機械的にデータを読み取る各種手段が周知である。
よって相違点6は、刊行物記載の発明が開示する事項の範囲内、若しくは単なる周知手段の採用程度のものでしかない。

・相違点7について
先ず「自社」とは、文脈上「並行輸入業者」を意味するものと認める。
ここで自社、すなわち並行輸入業者が取扱う商品が真正品であることは当然の前提といえ、「自社が取扱った」ことが「真正品であるか否かの判別」の実質を変えるものでない。
よって「自社が取扱った真正品であるか否かの判別」との特定は、単に、並行輸入業者が真正品確認の主体であることを強調する程度のものであって、商品を並行輸入商品と特定したことに単に付随し得る事項のうちである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものだから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができず、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-09 
結審通知日 2009-03-11 
審決日 2009-03-24 
出願番号 特願2003-82775(P2003-82775)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 酒井 進
佐藤 宙子
発明の名称 自社取扱い並行輸入商品の真正品確認方法  
代理人 樋口 盛之助  
代理人 小泉 良邦  
代理人 樋口 盛之助  
代理人 小泉 良邦  
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