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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B |
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管理番号 | 1196819 |
審判番号 | 不服2006-25514 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-10 |
確定日 | 2009-05-07 |
事件の表示 | 特願2000-144456「ライトワンス型光ディスク用データ記録再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月30日出願公開、特開2001-332019〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許出願(以下「本願」という。)は、平成12年5月17日の出願であって、平成18年2月3日付けで通知した拒絶理由に対し、平成18年4月10日付けで手続補正がなされたところ、平成18年10月10日付けで拒絶すべきものである旨の査定がなされ、これに対して、平成18年11月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、平成18年11月22日付けで手続補正がなされたものである。 これに対し、当審において、平成20年12月18日付けで決定により平成18年11月22日付け手続補正を却下し、同日付けで最後の拒絶理由が通知され、それに応答して平成21年2月17日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成21年2月17日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年2月17日付けの手続補正を却下する。 [理 由] 1.手続補正の内容 平成21年2月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、明細書についてするもので、そのうち、特許請求の範囲については、本件補正前(平成18年4月10日付け手続補正書参照)に 「 【請求項1】 データを書き込もうとするライトワンス型光ディスクが所定の製造者またはあらかじめ登録された製造者によって作られたサポートディスクであるか否かを判定する判定工程と、 前記判定工程によってサポートディスクであると判定されたライトワンス型光ディスクにデータを書き込む際に該ライトワンス型光ディスクのシステム領域に所定の機密フラグを書き込む書き込み工程と、 前記書き込みデータを再生する際に前記前記システム領域内の機密フラグの有無を検査して機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記データの複製物の生成に関する動作を制限し又は前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限するアクセス制限工程と、 を含むことを特徴とするライトワンス型光ディスク用データ記録再生方法。」 とあったものを、 「 【請求項1】 ライトワンス型光ディスクのシステム領域に、その光ディスク固有のID情報が書き込まれている場合、ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定するID情報判定工程と、 前記ID情報判定手段でID情報の一致が判定された場合、前記光ディスクのシステム領域にあらかじめ書き込まれている鍵情報を用いて生データを暗号化データに変換すると共に、この暗号化データを前記光ディスクのユーザエリアに書き込む暗号化データ書き込み工程と、 前記書き込みデータを再生する際に前記光ディスク内の機密フラグの有無を検査して機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限するアクセス制限工程と を含むことを特徴とするライトワンス型光ディスク用データ記録再生方法。」 と補正しようとするものである。(上記下線は、補正箇所で当審で付与した。) 2.特許法17条の2第3項について 本件補正後の請求項1に記載された「ライトワンス型光ディスクのシステム領域に、その光ディスク固有のID情報が書き込まれている場合、ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定するID情報判定工程と、前記ID情報判定手段でID情報の一致が判定された場合、前記光ディスクのシステム領域にあらかじめ書き込まれている鍵情報を用いて生データを暗号化データに変換すると共に、この暗号化データを前記光ディスクのユーザエリアに書き込む暗号化データ書き込み工程」が、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるかについて、以下検討する。 上記「前記光ディスクのシステム領域にあらかじめ書き込まれている鍵情報を用いて生データを暗号化データに変換すると共に、この暗号化データを前記光ディスクのユーザエリアに書き込む暗号化データ書き込み工程」に対応する記載として、当初明細書等の【0048】?【0054】には 「【0048】<ユーザによるデータ書き込み処理>図8は、ユーザ段階で実行されるデータ書き込み動作(以下「ユーザによるデータ書き込み処理」という。)を示すフローチャートである。ユーザは上述の「出荷時情報記録処理」を終えたCD-R1を市場で入手し、そのCD-R1をCD-R記録再生装置10にセットして、図示の処理を開始する。 【0049】この処理を開始すると、まず、ホスト装置21からCD-R記録再生装置10へ書き込み命令が発行される。CD-R記録再生装置10はこの命令に応答してCD-R1のシステム領域からID情報を読み出し(ステップS31)、サポートディスクであるか否かを判定する(ステップS32)。サポートディスクとは、前述のとおり、所定の製造者またはあらかじめ登録された製造者によって作られたディスクのことである。CD-R記録再生装置10はこれらの製造者を識別するためのID情報リスト(以下「サポートリスト」という。)を保持しており、上記のステップS32で当該サポートリストを参照してID情報が登録済みであれば、CD-R記録再生装置10にセットされているCD-R1がサポートディスクであると判定する。 【0050】ステップS32の判定結果が“否”(NO)の場合、すなわち、CD-R記録再生装置10にセットされているCD-R1がサポートディスクでない場合は、ホスト装置21に対してサポートディスクへの交換を促す旨のメッセージ(例えば、“このディスクはセキュリティ対応ではありません。セキュリティ対応のディスクに交換してください。”)を送出(ステップS33)して、ディスク交換後の書き込み続行または書き込み中止を判定(ステップS38)する一方、ステップS32の判定結果が“肯”(YES)の場合、すなわち、CD-R記録再生装置10にセットされているCD-R1がサポートディスクである場合は、以下の処理を実行する。 【0051】まず、記録データに機密フラグを付加する(ステップS34)。この機密フラグは、前述のとおり、再生段階において、復号後の平文データの再利用を禁止するためのチェックフラグとして用いられるものであり、好ましくは、電子透かしのような技術を応用してその存在を秘匿化したデータのことである。次いで、CD-R記録再生装置10にセットされているCD-R1のシステム領域から暗号鍵を読み出し(ステップS36)、その暗号鍵を用いて上記の機密フラグを付加した記録データを暗号化した後、その暗号化データをCD-R1のユーザ領域に記録する(ステップS37)。 【0052】最後に、他のCD-R1に書き込みを行うか否かを判定し(ステップS38)、書き込みを継続する場合は、所要のメッセージ(例えば、“新しいディスクをセットしてください”)をホスト装置21に送出すると共に、書き込み済みのCD-R1をリジェクトしてステップS31以降を繰り返し、書き込みを継続しない場合は書き込み済みのCD-R1をリジェクトして処理を終了する。 【0053】図9は、上記「ユーザによるデータ書き込み処理」のタイムランを示す図である。この図において、ユーザは、CD-R1をCD-R記録再生装置10に装填すると共に、ホスト装置21を操作して所要の書き込み命令をCD-R記録再生装置10に発行する。CD-R記録再生装置10はこの書き込み命令に応答して、CD-R1のシステム領域に書き込まれたID情報を読み出し、所定のID情報リスト(サポートリスト)と照合してサポートディスクであるか否かを判定する。そして、サポートディスクでなければ、ホスト装置21に対してディスクの交換を促し、サポートディスクであれば、ホスト装置21に対してその旨を通知する。ホスト装置21はサポートディスクである旨の通知に応答して、記録データに機密フラグを付加し、CD-R記録再生装置10に対して暗号鍵を要求する。CD-R記録再生装置10はCD-R1のシステム領域から暗号鍵を読み出し、その暗号鍵をホスト装置21に転送する。ホスト装置21は転送された暗号鍵を用いて記録データ(機密フラグを付加したもの)を暗号化し、その暗号化データをCD-R記録再生装置10に転送し、CD-R記録再生装置10は転送された暗号化データをCD-R1に記録する。 【0054】したがって、この「ユーザによるデータ書き込み処理」によれば、所定のサポートリストに記載されたID情報を持つCD-R、要するに、特定の製造者によって作られたCD-Rについてのみ、そのユーザ領域に、機密フラグを付加した記録データを暗号化して記録することができるから、サポートリストに未記載の製造者によって作られたCD-Rとの差別化を図ることができ、市場での優位性を得ることができる。」 とされ、暗号化データ書き込み工程として、「ID情報を読み出して、サポートディスクであるか否かを判定する」ことの記載はされているものの、「ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定」することは記載も示唆もされておらず、また、当初明細書等の他の記載からも把握できない事項であって、自明な事項とも認められない。 なお、審判請求人は平成21年2月17日付け意見書で「(A)まず、『請求項1の、「ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定」することは、当初明細書に記載も示唆もされておらず、また自明な事項とも認められない。』という指摘についてであるが、当初明細書の段落〔0065〕には、「・・・・ホスト装置51は、画面上にID入力を促す旨の所定のGUI(Graphical User Interface)を表示してユーザによるキーボード等からのID入力を受け付け、入力されたID情報をCD-R記録再生装置10に転送する。CD-R再生装置30は、転送されたID情報とCD-R1から読み込んだID情報とを比較し(ステップS43)、一致した場合は正規ユーザ、一致しなかった場合は不正なユーザと判断し、不正ユーザの判断時にはそのまま処理を終了する一方、正規ユーザの判断時には、以下の処理を実行する。」と記載されている。 この記載のうちの「ホスト装置51は、画面上にID入力を促す旨の所定のGUI(Graphical User Interface)を表示してユーザによるキーボード等からのID入力を受け付け」は、請求項1の「ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し」の根拠になり、また、同記載のうちの「ホスト装置51は・・・・入力されたID情報をCD-R記録再生装置10に転送・・・・CD-R再生装置30は、転送されたID情報とCD-R1から読み込んだID情報とを比較し(ステップS43)、一致した場合は・・・・一致しなかった場合は・・・・」は、請求項1の「入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定」の根拠になる。 したがって、請求項1の、「ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定」することは、当初明細書に記載された範囲に含まれている」と補正の根拠を主張する。 しかしながら、段落【0065】は、ユーザ段階で実行されるデータ再生動作についての記載で、要するに、ユーザ段階で実行されるデータ再生動作時に「ユーザに対して照合用のID情報の入力を促し、入力されたID情報と前記システム領域に書き込まれているID情報との一致を判定」することであって、本件補正後の「ID情報の一致が判定された場合、前記光ディスクのシステム領域にあらかじめ書き込まれている鍵情報を用いて生データを暗号化データに変換すると共に、この暗号化データを前記光ディスクのユーザエリアに書き込む」ことは記載も示唆もされておらず、また自明な事項とも認められない。 したがって、上記主張は採用できない。 よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.特許法17条の2第4項について 上記「2.特許法17条の2第3項について」で検討したとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないものであるところ、仮に、本件補正が、当初明細書及び図面に記載した事項の範囲内であるとして、本件補正の目的についても、以下検討する。 本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「前記判定工程によってサポートディスクであると判定されたライトワンス型光ディスクにデータを書き込む際に該ライトワンス型光ディスクのシステム領域に所定の機密フラグを書き込む書き込み工程」について削除し、他の発明特定事項を追加するものであって、当該補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる請求項に記載した発明特定事項を限定することにより特許請求の範囲を減縮することを目的とするものではなく、また、同条第4項の他の号に規定する請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 したがって、仮に、本件補正が、平成18年改正前特許法第17条の2第3項の規定を満たすものとしても、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成21年2月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成18年4月10日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」)に記載された事項により特定される「第2[理由]1.の本件補正前の請求項1」である。 2.当審の最後の拒絶理由について これに対して、当審において通知した最後の拒絶理由通知書の概要は、 「平成18年4月10日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」 というものである。 3.判断 1)平成18年4月10日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記判定工程によってサポートディスクであると判定されたライトワンス型光ディスクにデータを書き込む際に該ライトワンス型光ディスクのシステム領域に所定の機密フラグを書き込む書き込み工程」が本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるかについて、以下検討する。 上記「所定の機密フラグを書き込む書き込み工程」に対応する記載として、当初明細書の【0051】には 「【0051】まず、記録データに機密フラグを付加する(ステップS34)。この機密フラグは、前述のとおり、再生段階において、復号後の平文データの再利用を禁止するためのチェックフラグとして用いられるものであり、好ましくは、電子透かしのような技術を応用してその存在を秘匿化したデータのことである。次いで、CD-R記録再生装置10にセットされているCD-R1のシステム領域から暗号鍵を読み出し(ステップS36)、その暗号鍵を用いて上記の機密フラグを付加した記録データを暗号化した後、その暗号化データをCD-R1のユーザ領域に記録する(ステップS37)。」 とされ「機密フラグ」を「ユーザ領域」に記録することは記載されているものの、「機密フラグ」を「システム領域(ユーザ領域以外の領域)」に記録することについては記載されておらず、また、当初明細書等の記載事項からみて自明なこととも認められない。 したがって、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面には「前記判定工程によってサポートディスクであると判定されたライトワンス型光ディスクにデータを書き込む際に該ライトワンス型光ディスクのシステム領域に所定の機密フラグを書き込む書き込み工程」について記載されておらず、また、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明なものとも認められない。 (2)次に、補正された「前記書き込みデータを再生する際に前記前記システム領域内の機密フラグの有無を検査して機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記データの複製物の生成に関する動作を制限し又は前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限するアクセス制限工程」が、当初明細書等に記載した事項の範囲内であるかについて、以下検討する。 上記「前記書き込みデータを再生する際に前記前記システム領域内の機密フラグの有無を検査して機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記データの複製物の生成に関する動作を制限し又は前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限するアクセス制限工程」に対応する記載として、当初明細書の【0065】【0066】【0073】には、 「【0065】図12は、ユーザ段階で実行されるデータ再生動作(以下「ユーザによるデータ再生処理」という。)を示すフローチャートである。ユーザは、前述のユーザによるデータ書き込み処理によって暗号化データ(記録データに機密フラグを付加して暗号化したもの)が書き込まれたCD-R1を入手し、そのCD-R1をCD-R再生装置30にセットして、そのCD-R1からID情報を読み出す(ステップS41)と共に、ホスト装置51に対してID入力を要求する(ステップS42)。ホスト装置51は、画面上にID入力を促す旨の所定のGUI(Graphical User Interface)を表示してユーザによるキーボード等からのID入力を受け付け、入力されたID情報をCD-R記録再生装置10に転送する。CD-R再生装置30は、転送されたID情報とCD-R1から読み込んだID情報とを比較し(ステップS43)、一致した場合は正規ユーザ、一致しなかった場合は不正なユーザと判断し、不正ユーザの判断時にはそのまま処理を終了する一方、正規ユーザの判断時には、以下の処理を実行する。 【0066】まず、CD-R1のシステム領域に書き込まれている暗号鍵と暗号化データを読み出して(ステップS44、ステップS45)、ホスト装置51に転送する。ホスト装置51は、転送されたデータに機密フラグが含まれているか否かを判定し(ステップS46)、含まれている場合は、暗号鍵を用いてその暗号化データを復号し(ステップS47)、平文のデータに戻してユーザの利用に供する一方、機密フラグが含まれていない場合は、復号動作を行うことなく、そのまま処理を終了する。」 「【0073】コピー元のCD-R再生装置30は、転送されたID情報とCD-R1から読み込んだID情報とを比較し(ステップS53)、一致した場合は正規ユーザ、一致しなかった場合は不正ユーザと判断し、不正ユーザの判断時にはそのまま処理を終了する一方、正規ユーザの判断時には、コピー元のCD-R1のシステム領域に書き込まれている暗号鍵と暗号化データを読み出してホスト装置51に転送する。ホスト装置51は、そのドライバ層51bに実装されたフィルタドライバ51jにより、転送データ中に機密フラグが存在するか否かを判断し(ステップS54)、機密フラグが存在しなければ、転送された暗号鍵を用いて暗号化データを復号し、その復号データをコピー先のCD-R記録再生装置10に転送してコピー先のCD-R1に記録するというコピー処理を実行(ステップS55)して処理を終了する一方、機密フラグが存在していれば、同コピー処理を強制的に中止(ステップS56)して処理を終了する。」 とされている。すなわち、「機密フラグの存在が検出されなかった場合に」「前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限する」こと、及び「機密フラグの存在が」検出された場合に「前記データの複製物の生成に関する動作を制限」することは記載されている。しかし、「機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記データの複製物の生成に関する動作を制限」することについては記載されておらず、また、当初明細書等の記載からみて自明なこととも認められない。 したがって、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面には「前記書き込みデータを再生する際に前記前記システム領域内の機密フラグの有無を検査して機密フラグの存在が検出されなかった場合に前記データの複製物の生成に関する動作を制限し又は前記ライトワンス型光ディスクへのアクセスを制限するアクセス制限工程」について記載されておらず、また、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明なものとも認められない。 4.むすび 以上のとおり、本願の明細書についてした平成18年4月10日付け手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるから、特許法第49条第1号の規定により本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-03-12 |
結審通知日 | 2009-03-13 |
審決日 | 2009-03-25 |
出願番号 | 特願2000-144456(P2000-144456) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
WZ
(G11B)
P 1 8・ 572- WZ (G11B) P 1 8・ 55- WZ (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 戸島 弘詩 |
特許庁審判長 |
江畠 博 |
特許庁審判官 |
漆原 孝治 横尾 俊一 |
発明の名称 | ライトワンス型光ディスク用データ記録再生方法 |
代理人 | 鹿嶋 英實 |