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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1196823
審判番号 不服2006-27693  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-07 
確定日 2009-05-07 
事件の表示 平成 7年特許願第280979号「呼出ランプ機構」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 5月 6日出願公開、特開平 9-117565〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成7年10月27日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成18年9月8日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同月27日に手続補正がなされたものである。

第二.平成18年12月27日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年12月27日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「パチンコ島台側にて、各パチンコ機の表側の上方に設けられた呼出ランプ機構において、
各呼出ランプ機構の呼出ランプに電力を供給する電源線を有する横長の略長方形状の配線用基板部材と、
長手方向両端部側で、且つ、前記配線用基板部材の表側で、コネクタを用いて電気的に接続され、呼出ランプ及び該呼出ランプのスイッチ機構を有する横長の略長方形状の呼出ランプ用基板部材とを備え、
前記コネクタは、
前記呼出ランプ用基板部材の裏側に立設されたピンと、
前記配線用基板部材の表側に立設されて、前記ピンがはめ込まれる開口部を有する結合部とから構成され、
前記スイッチ機構は、
前記呼出ランプ用基板部材の表側に設けられ、前記呼出ランプの点灯と消灯を切り替える際に奥向きに押されるものであり、
前記配線用基板部材は、
長手方向略中央に配置されて前記呼出ランプ用基板部材を固定するための固定部材を備え、
前記呼出ランプ用基板部材は、
前記コネクタ及び前記固定部材により支持され、
前記コネクタに近い位置に、前記スイッチ機構が配置される
ことを特徴とする呼出ランプ機構。」(以下「本願補正発明」という。)

2.補正要件(目的)の検討
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、(i)「コネクタ」、(ii)「スイッチ機構」、(iii)「配線用基板部材」、(iv)「呼出ランプ用基板部材」について、各々(i)「前記呼出ランプ用基板部材の裏側に立設されたピンと、前記配線用基板部材の表側に立設されて、前記ピンがはめ込まれる開口部を有する結合部とから構成され」、(ii)「前記呼出ランプ用基板部材の表側に設けられ、前記呼出ランプの点灯と消灯を切り替える際に奥向きに押されるもの」、(iii)「横長」(iv)「横長」との限定を付加するものである。
したがって、本件補正は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-69537号(実開昭63-180093号)のマイクロフィルム、平成18年10月26日付け拒絶査定において周知事項であることを例示する刊行物として挙げられた文献である特開平2-136155号公報及び特開平4-261684号公報、特開平7-116330号公報、特開平7-96078号公報、特開平6-79032号公報、特開平2-277479号公報、並びに平成18年10月26日付け拒絶査定において周知事項であることを例示する刊行物として挙げられた文献である実願昭63-95017号(実開昭64-31788号)のマイクロフィルム、実願平4-25868号(実開平5-76485号)のCD-ROMには、各々以下の事項が記載されている。

(A)実願昭62-69537号(実開昭63-180093号)のマイクロフィルム(以下「刊行物A」という。)
(A-1)「2 実用新案登録請求の範囲 1.列をなして並設された複数のパチンコ台等の遊戯台の所定個数毎に一つのユニットが対応するように設けられ、両端に各ユニット間で接続される中継コネクタを有する主導電線を備えると共に、この主導電線に各台に対応して一端が接続され他端に台側のコネクタと接続される端末コネクタを有する分岐導電線を備えて成る遊戯台用配線ユニット」(第1頁第3?11行)
(A-2)「さて、3は配線ユニットであり、これは例えば1台のパチンコ台1に対して一つのユニットが対応するように各パチンコ台1の上方に配設されている。」(第5頁第6?9行)
(A-3)「而して、4はユニット基体で、その内部配線を原理的に示す第1図に示す。この第1図において、5_(1),5_(2),・・・5_(n)は主導電線で、これはn本(n=3[電源数」・2+N・5[パチンコ台1についての総信号数」+N・2[玉貸し機2についての総信号数])設けられており、その両端には中継コネクタ6,7を有する。」(第5頁19行?第6頁第5行)
(A-4)「これら各主導電線5_(1),・・・5_(6)には夫々分岐導電線8_(1),・・・8_(6)の一端が接続されていて、その各対の他端には、第2図にも示すように、ユニット基体4裏面に位置された夫々端末コネクタ9,10,11を接続している。」(第6頁第12?17行)
(A-5)「19はユニット基体4の前面であるパネル面に配設された呼出し用のランプで、このランプ19には適宜の電源用の主導電線に図示しない分岐導電線及び遊戯者操作スイッチを介して接続されている。」(第7頁第8?12行)
(A-6)「尚、斯様に一つのユニット3において導電線の本数が多いから、その導電線は適宜本数を一つの基板に設けて、その基板を前後に多層に重ねる構成としてユニット3の上下幅寸法を抑えるようにしてもよく、又、特定の導電線のみを基板に設けてもよく、」(第7頁第15?末行)
(A-7)「上記構成の配線ユニット3は、既述したように各パチンコ台1に対応して設けられていて、隣合う配線ユニット3,3,の中継コネクタ6,7が両端にコネクタを有する接続ケーブル20(第2図参照)を介して接続される。この場合、中継コネクタ6,7を直接接続するようにしてもよい。」(第8頁第2?7行)
(A-8)「4 図面の簡単な説明 図面は本考案の一実施例を示し、第1図は内部構成を原理的に表わすユニット単体の背面図、第2図はユニット連結状態の背面図、第3図はパチンコ台との組合せ状態の正面図である。」(第10頁第7?11行)
(A-9)前記記載、及び第2図、第3図から以下のことが明らかである。
すなわち、第2図に示されるユニット基体4の形状が横長の略長方形状であること、さらに上記(A-6)の、上下幅寸法を抑えるために、基板を前後に多層に重ねた旨の記載等を参酌すると、ユニット基体4は、基板を前後に多層に重ねた横長の略長方形状のものであることが分かる。
(A-10)してみると、刊行物Aには以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「列をなして並設された複数のパチンコ台1の各パチンコ台1の上方に設けられた配線ユニット3において、
電源用の主導電線と分岐導電線を適宜本数設けた基板を前後に多層に重ねた横長の略長方形状のユニット基体4と、
当該ユニット基体4の前面であるパネル面に配設され、前記電源用の主導電線に分岐導電線及び遊戯者操作スイッチを介して接続された呼び出し用のランプ19とを備えた配線ユニット3。」

(B)特開平2-136155号公報(以下「刊行物B」という。)
(B-1)「前記第1基板520は役物制御装置500の制御回路を構成する部品の一部(この実施例では、論理領域及び変換領域)を設置するためのもので、その表側の上段部には第2基板530を電気的および機械的に接続するための接続枠521が、・・・。また、この第1基板520の四隅部には第8図に詳しく示すようにそれぞれ前記基板ボックス510中のボス部516の小径部516bに嵌合される嵌合孔525が形成されている。
前記第2基板530は役物制御装置500の配線接続用コネクタ等を設置するためのもので、その裏側上段部には第1基板520と電気的および機械的に接続するための接続凸部531が前記接続枠521中に嵌合し得る大きさ・形状に設けられている。・・・。また、この第2基板530の前側四隅部には前記基板ボックス510内の基板取付ボス516に所定間隔を保って第2基板530を取り付けるための止着スぺーサ536が一体に設けられている。」(第10頁左下欄第9行?同頁右下欄第15行)

(C)特開平4-261684号公報(以下「刊行物C」という。)
(C-1)「【0008】本発明における表示装置1は、第1基板2と第2基板3とを有し、第1基板2の前面には表示基板4を添設し、第2基板3にはMCU(マイクロコンピュータユニット)5を有する表示処理部6を形成する。」
(C-2)「【0009】第1基板2の前後表面にはプリント配線を適宜施すと共に、後面にはトランジスタ、抵抗などのチップ素子7・・・を配設して電気回路(主としてドライブ回路)を形成し、周縁部には例えば雄型コネクタ8を配置する。」
(C-3)「【0011】一方、第2基板3の前後面にはチップ素子7及びMCU5や水晶発振子11などを配設して電気回路を形成し、周縁には雌型コネクタ12を配置し、この雌型コネクタ12と前記第1基板2の雄型コンネクタ8とを接続する。尚、図面の実施例によれば、第1基板2と第2基板3とを背中合せに両コネクタ8,12を接合し、支柱13を介して固定するようになっているが、ケーブルを介して接続するようにしてもよい。」

(D)特開平7-116330号公報(以下「刊行物D」という。)
(D-1)「【0019】図1に示すように、カード処理機70は、薄型ボックス状のケース71内に集約して設けられ、そのケース71の前面に、前記したように光通信部72、利用可表示ランプ73、端数スイッチ74、連結台方向表示器75、カード挿入中表示ランプ76、カード挿入口77、スイッチ用キー78が臨んでいる。そして、その内部構造においては、図1(B)に示すように、中央よりやや上方にカード処理機70の動作を制御する制御回路基板ボックス80が収納固定されている。制御回路基板ボックス80の内部には、後に説明する図6に示される制御部80aが形成された基板が収納されている。また、制御回路基板ボックス80には、覗き窓81が形成され、その覗き窓81から基板のヒューズ82が視認されるようになっている。また、制御回路基板ボックス80に収納される基板には、複数のディップスイッチ83とコネクタ84?86が設けられている。ディップスイッチ83は、後に説明する図7に示すように操作することにより、各種の設定を行うことができるようになっている。また、コネクタ84には、ケース71の背面側に固定されるプリント配線中継基板88に設けられるコネクタ89と接続されるハーネス87が接続されている。プリント配線中継基板88は、上記基板とパチンコ遊技機1の前記払出制御回路基板ボックス46に収納される払出制御回路基板や、後述する電源部122との接続を中継するものであり、このため、プリント配線中継基板88には、遊技機等との接続用ハーネス90を接続するコネクタ91が設けられている。」

(E)特開平7-96078号公報(以下「刊行物E」という。)
(E-1)「【0019】上部ベースユニット61には、上記した構成以外にターミナル基板78が設けられるが、このターミナル基板78は、外部電源供給線が接続される電源コネクタ80、電源スイッチ81、外部(例えば、管理コンピュータ)とパチンコ遊技機1との間の信号線を接続する玉切れ情報出力端子79aと発射制御信号入力端子79bと玉貸情報出力端子79cと補給情報出力端子79d等が設けられたプリント配線基板によって構成されるものである。」
(E-2)「【0040】次に、下部ベースユニット63の一側下部に形成される払出制御回路基板収納部148に取り付けられる基板ボックス149の構成について説明すると、まず、基板ボックス149は、支持カバー150と蓋カバー151とから構成され、その内部に払出制御回路基板152が収納されている。払出制御回路基板152には、景品玉払出装置97や入賞玉処理装置115、あるいはカードユニット50からの配線を接続するためのコネクタ端子153、例えば玉欠乏検出器67の作動時に打球の発射動作を停止させるか否かを選択するセレクトスイッチ154、故障の種類を数値で表示する表示器155、制御動作のプログラム暴走時等にリセットするリセットスイッチ156が設けられ、それらが外部に臨むように蓋カバー151が左右両側で段差状に形成されると共に開口部となっている。そして、その蓋カバー151の段差状部が係止部157となっている。このように形成された基板ボックス149は、その下辺部を払出制御回路基板収納部148から突設される当接片159に当接させ、その上辺部の前記係止部157を払出制御回路基板収納部148から突設される係止爪158に係合することにより、下部ベースユニット63に装着される。」

(F)特開平6-79032号公報(以下「刊行物F」という。)
(F-1)「【0020】ベース体8内には前記入賞装置等が接続された制御回路のプリント配線面が前側面18aに形成された方形板状の制御基板18が密嵌状に装入されている。制御基板18はその各コーナ部に貫挿されたビス40によってベース体8に分離可能に結合されている。
【0021】制御基板18の後側面18bには制御回路に接続されたマイコン等の電子部品群が設置されている。制御基板18の後側面18bの一方の下側コーナ部付近にはキー挿入口19aを有し、複数のゲームモードのうちから1つのゲームモードを選定するとき、例えば、入賞装置における入賞確率を選定するときにキー挿入口19aに差込まれたキーの回動操作によってモードを3段階に切換えるモード設定スイッチ19と、このモード設定スイッチ19によって設定された設定モードを択一的に点灯表示する3つのモード表示LED20とが隣接して設置されている。」

(G)特開平2-277479号公報(以下「刊行物G」という。)
(G-1)「第1図はパチンコ機に設けられた回路のブロック図である。第1図において、入出力基板A70は、コネクタCONa?CONhと2つのFUSEを有し、入出力基板B72は、コネクタCONi?CONmを有し、タッチスイッチ基板73は、コネクタCONp、CONqとタッチスイッチ78とを有し、」(第5頁右上欄第6?12行)

(H)実願昭63-95017号(実開昭64-31788号)のマイクロフィルム(以下「刊行物H」という。)
(H-1)「これにより、このコネクター部(21)に多数の電線(22)を接続したコネクター(23)が差し込まれる時に、回路基板(20)側のコネクター部(21)に対して力が加わったとしても、この回路基板(20)は支持用突起(12)によって支持されるため、回路基板(20)が湾曲したり破損したりするようなことはない。」(第6頁第16頁?第7頁第2行)

(I)実願平4-25868号(実開平5-76485号)のCD-ROM(以下「刊行物I」という。)
(I-1)「【0008】【考案の効果】以上のように本考案の中継端子盤1は、プリント基板2の外周が周壁3bで囲われているため、プリント基盤2と取付基盤3の隙間に異物が入らない。また、プリント基盤2の裏面が支持片3c、3c・・・で支えられるため、プリント基盤2の剛性が高まり、従って、配線時等にプリント基盤2を押圧しても割れて亀裂が入るような虞がない、等の優れた効果がある。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
(A)発明特定事項の対応関係
(A-1)引用発明における「パチンコ台1」は、本願補正発明における「パチンコ機」に相当し、以下同様に、「配線ユニット3」は「呼出ランプ機構」に、「電源用の主導電線」は「電源線」に、「前面」は「表側」に、「呼出し用のランプ19」は「呼出ランプ」に、「遊戯者操作スイッチ」は「呼出ランプのスイッチ機構」に、各々相当する。
(A-2)引用発明の「列をなして並設された複数のパチンコ台1」は本願補正発明の「パチンコ島台」に相当するから、引用発明の「配線ユニット3」はパチンコ島台側にて設けられたものということができる。
また、引用発明の「配線ユニット3」が「パチンコ台1」の表側の上方に設けられていることも明らかである。
(A-3)引用発明の「呼出し用のランプ19」は、電源用の主導電線に接続されているので、ユニット基体4は各配線ユニット3の呼出し用のランプ19に電力を供給する電源用の主導電線、すなわち本願補正発明の「各呼出ランプ機構の呼出ランプに電力を供給する電源線」に相当する構成を有するものといえる。
(A-4)引用発明の「ユニット基体4」と本願補正発明の「配線用基板部材」は、いずれも「基板部材」である点で共通している。
(A-5)引用発明の「呼出ランプ」はユニット基体4の前面であるパネル面に配設されており、「遊戯者操作スイッチ」もユニット基体4の前面側にあることが明らかであるから、引用発明のユニット基体4を構成する基板のうち最も前面側の基板は本願補正発明の「呼出ランプ及び該呼出ランプのスイッチ機構を有する横長の略長方形状の呼出ランプ用基板部材」に相当するものといえる。
(A-6)引用発明における「遊戯者操作スイッチ」が呼出し用のランプ19を点灯又は消灯させるものであることは当然であるから、当該「遊戯者操作スイッチ」と本願補正発明における「スイッチ機構」とは、呼出ランプの点灯と消灯を切り替える際に操作されるものである点で共通する。

(B)一致点
「パチンコ島台側にて、各パチンコ機の表側の上方に設けられた呼出ランプ機構において、
各呼出ランプ機構の呼出ランプに電力を供給する電源線を有する横長の略長方形状の基板部材と、
呼出ランプ及び該呼出ランプのスイッチ機構を有する横長の略長方形状の呼出ランプ用基板部材とを備え
前記スイッチ機構は、
前記呼出ランプの点灯と消灯を切り替える際に操作されるものである呼出ランプ機構。」で一致する。

(C)相違点
(C-1)基板部材に関して、本願補正発明は、固定部材、電源線等が配設された配線用基板部材、呼出ランプ、呼出ランプのスイッチ機構等が配設された呼出ランプ用基板部材のように、機能・用途に応じて積層基板が分離配設されているのに対し、引用発明は、ユニット基体4を構成する基板のうち最も前面側の基板に遊戯者操作スイッチ等を介して呼出し用のランプ19が接続され配設されること以外の構成、すなわち各基板がどのような機能・用途にて分離配設されるか明らかでない点。
(C-2)呼出ランプ用基板部材の電気的接続手段に関して、本願補正発明は、呼出ランプ用基板部材の長手方向両端部側の裏側に立設したピンと、配線用基板部材の表側に立設されて、前記ピンがはめ込まれる開口部を有する結合部とから構成されるコネクタを用いるのに対し、引用発明は、ユニット基体4を構成する基板のうち最も前面側の基板が、どこでどのような手段によって電気的に接続されているか明らかでない点。
(C-3)呼出ランプ用基板部材の固定に関して、本願補正発明は、「配線用基板部材」がその長手方向略中央に配置される固定部材を備え、コネクタ及び固定部材により支持しているのに対し、引用発明は、「前後に多層に重ねた」基板が相互にどのように固定されているか明らかでない点。
(C-4)スイッチ機構に関して、本願補正発明は、呼出ランプ用基板部材の表側、且つコネクタに近い位置に配置されて、呼出ランプの点灯、消灯を切り替える際に奥向きに押されるものであるのに対し、引用発明では、「遊戯者操作スイッチ」の配置に関しても、操作に関しても明らかでない点。

(3)相違点の検討
(3-1)相違点(C-1)について
機能・用途に応じて回路を分離して別基板とし、当該基板を積層すること、及び、そのように積層される基板に、基板同士を積層固定する固定手段として、一方の基板の裏または表にピンを設け、他方の基板の表または裏に当該ピンと嵌合する開口部を備え、当該ピンと当該開口部とを嵌合するコネクタによる電気的接続手段等が配設されることは、刊行物B及びCに示されるように周知の事項(以下「周知技術1」という。)である。
してみると、刊行物Aに、多層に重ねられた基板について「特定の導電線」のみ基板に配設して別基板とすることが示され(上記(1)(A-6)参照)、しかも、電源用の主導電線と、呼出用ランプに接続される分岐導電線のように機能・用途が相違する導電線が存在することから、周知技術1に基づいて、引用発明における前後に多層に重ねた基板を、電源機能と呼出ランプ機能とに機能・用途分離して、各々配線用基板部材、呼出ランプ用基板部材として別基板にし、当該両基板を固定手段にて積層固定すると共にコネクタによって電気的に接続することは、パチンコ機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到できることである。

(3-2)相違点(C-2)について
基板に配設されるコネクタの配置箇所として、コネクタを基板の両端部側に配置することは刊行物B及びCに見られるように周知の事項(以下「周知技術2」という。)であり、しかも、呼出ランプ用基板部材において長手方向の両端部と限定することによる格別の作用効果は認められないので、コネクタを呼出ランプ用基板部材の長手方向両端部に配置することは、当該長手方向における配線用基板部材との長さの大小、配線用又は呼出ランプ用各基板部材の空きスペースなどを勘案して、当業者が適宜採用する設計的事項である。
また、コネクタ結合は、一方の基板のコネクタをピン構成に、他方の基板のコネクタを当該ピンと嵌合する開口部構成にして、当該ピンと開口部を嵌合するものであるが、コネクタ結合を行うピンを一方の基板に配設し、他方の基板に対応する開口部を配設してコネクタ結合したときに奏する効果と、前記したピンと開口部の配設を逆にして前記基板に配設したときに奏する効果とに差異が生じるとは認められないことから、積層された基板の内どちらの基板に配設されたコネクタをピン構成とするかは単なる設計的事項である。
そして、裏側に配設した呼出ランプ用基板部材のコネクタをピン構成とすると、表側に配設された配線用基板部材のコネクタは開口部となり、当該ピンと開口部を嵌合させるためには、当該ピンは呼出ランプ用基板部材の裏側面に立設され、当該開口部は配線用基板部材の表側面に立設されなければならないことは、当然の技術的事項である。

(3-3)相違点(C-3)について
積層固定する為の固定部材の配置を何処にするかは、固定部材の相違による固定方法の相違、配設される固定部材の数等に応じて適宜設定する事項であり、しかも、固定部材が単一のときは固定される対象物の中央に固定部材を配置して固定することは周知の固定部材配置位置であること、さらに、配線用基板部材に配置したこと、及び配線用基板部材の中央に配置したこと等による格別の作用効果は認められないことから、当該相違点は固定部材の相違に応じて適宜行う単なる設計的事項である。
さらに、当該固定部材及びコネクタにより呼出ランプ用基板部材が支持されると記載されている点について検討する。
上記(1)(B-1)に、第1基板520の接続枠521と、第2基板530接続凸部531から成るコネクタ結合にて当該両基板520、530を電気的および機械的に接続する旨記載されているようにコネクタが基板を支持すること、さらには刊行物H及びIに記載されるように基板に力が掛かったときに支持用凸部が基板を支持することは周知の技術知見(以下「周知技術3」という。)であるから、コネクタ結合された積層基板に力が掛かったときに、基板間に配設されているコネクタが、力の掛かった基板に対して前記支持用凸部と同様の作用を為すことは明らかである。
したがって、当該支持は格別のものではない。

(3-4)相違点(C-4)について
引用発明の「遊戯者操作スイッチ」は、呼出し用のランプ19の点灯と消灯を切り替える際に操作されるものであり、刊行物D?Gに示されるように、スイッチング手段を基板に配設することは必要に応じて行われている周知の技術事項(以下「周知技術4」という。)であることを勘案すれば、引用発明において、遊戯者操作スイッチを呼出し用のランプ19が配設されるユニット基体4を構成する基板のうち最も前面側の基板(本願補正発明の「呼出ランプ用基板部材」に相当)に配置することは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、しかも当該遊戯者操作スイッチは遊戯者によって操作されるものであることから、当該基板の表側に配置することは当然と言える技術事項である。
また、スイッチング手段として、ロータリースイッチのような回転形、押しボタンスイッチのような押圧形、トグルスイッチのような起倒形は周知のスイッチ手段であり、特に押圧形を用いたことにより格別の作用効果は認められない。
さらに、スイッチ機構が配置される位置をコネクタに近い位置としたことも、当該「近い位置」とはどのくらいの近さであるのか本件補正における請求項1には限定されておらず、如何なる作用効果が期待できる近さであるか不明であるから、当該配置位置も単なる設計的事項である。

なお、この点に関して請求人は、スイッチ機構が押されることにより基板部材が撓み、呼出ランプ用基板部材と配線用基板部材との間で電気的接続の不良が発生するという本願発明の課題は自明な課題ではなく容易に着想しうる課題でない旨主張する(審判請求の理由書第5頁第16?20行)。
しかしながら、そのような課題及び当該課題に関連する事項は本願の願書に最初に添付された明細書又は図面には記載されておらず、該明細書又は図面から明らかな事項とも認められないことから、前記「近い位置」は単にスイッチ機構をどの辺に配置するかを特定するためのものと解釈するのが妥当なので、当該請求人の主張は採用しない。

(4)まとめ
以上のように各相違点は格別のものではなく、しかもこれらの相違点を総合的に判断しても、格別のものとは認められないので、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1?4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならない。
よって、結論のとおり決定する。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成18年12月27日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年9月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「パチンコ島台側にて、各パチンコ機の表側の上方に設けられた呼出ランプ機構において、
各呼出ランプ機構の呼出ランプに電力を供給する電源線を有する略長方形状の配線用基板部材と、
長手方向両端部側で、且つ、前記配線用基板部材の表側で、コネクタを用いて電気的に接続され、呼出ランプ及び該呼出ランプのスイッチ機構を有する略長方形状の呼出ランプ用基板部材とを備え、
前記配線用基板部材は、
長手方向略中央に配置されて前記呼出ランプ用基板部材を固定するための固定部材を備え、
前記呼出ランプ用基板部材は、
前記コネクタ及び前記固定部材により支持され、
前記コネクタに近い位置に、前記スイッチ機構が配置される
ことを特徴とする呼出ランプ機構。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)本願発明の進歩性についての判断
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から、(i)「コネクタ」、(ii)「スイッチ機構」、(iii)「配線用基板部材」、(iv)「呼出ランプ用基板部材」の各限定事項である、(i)「前記呼出ランプ用基板部材の裏側に立設されたピンと、前記配線用基板部材の表側に立設されて、前記ピンがはめ込まれる開口部を有する結合部とから構成され」、(ii)「前記呼出ランプ用基板部材の表側に設けられ、前記呼出ランプの点灯と消灯を切り替える際に奥向きに押されるもの」、(iii)「横長」(iv)「横長」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1?4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1?4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1?4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.まとめ
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-17 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-12 
出願番号 特願平7-280979
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
▲吉▼川 康史
発明の名称 呼出ランプ機構  
代理人 足立 勉  
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