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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1196952
審判番号 不服2006-11378  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-05 
確定日 2009-05-26 
事件の表示 平成 9年特許願第114739号「ローディング機構」拒絶査定不服審判事件〔平成10年4月10日出願公開、特開平10-92075、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本件審判の請求に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、平成9年5月2日(パリ条約に基づく優先権主張1996(平成8)年5月2日 オランダ王国、1996(平成8)年7月3日 ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成17年6月16日付けの拒絶理由通知に対して、同年12月21日付けで手続補正がされたが、平成18年2月27日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年6月5日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年7月5日付けで手続補正がされたものである。
そして、前置報告書の内容に基づく平成20年11月4日付けの審尋に対し、回答書は提出されていない。

2.平成18年7月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年7月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成18年7月5日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、そのうち特許請求の範囲は、補正前に、
「【請求項1】 情報テクノロジー装置に対して情報ディスクをローディング及びアンローディングするため、第1案内と第2案内とを具え、これらの各案内にディスク端縁を案内するための溝を設け、前記第2案内は、情報ディスクをローディング及びアンローディングするため装置に出し入れする回転駆動可能な移送ホイールにより構成したローディング機構において、第1案内及び第2案内を移動自在に支持し、前記第1案内及び第2案内にほぼU字状の溝を設け、第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、圧力面を設け、これらの圧力面をローディング平面に対して傾斜させ、また第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、ローディング平面にほぼ直交する内側周面を設け、この内側周面の高さを情報ディスクの厚さよりも小さく選択し、ローディングプロセス中に情報ディスクの外側端縁が溝の内側周面に接触しないようにし、第1案内の圧力面の傾斜角を4°?8°の範囲の角度とし、第2案内の圧力面の傾斜角を3°?7°の範囲の角度としたことを特徴とするローディング機構。
【請求項2】 第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、溝の上側面及び下側面で前記ローディング平面に対して傾斜する圧力面を設けた請求項1記載のローディング機構。
【請求項3】 ローディングプロセス中に情報ディスクを第1案内及び第2案内の溝にクランプする請求項1又は2記載のローディング機構。
【請求項4】 エジェクト位置において、前記情報ディスクを第1案内及び第2案内の溝にクランプし、ユーザーが前記情報ディスクを手で溝から引き出すのに最小の力0.7Nを加えるだけで済むようにした請求項3記載のローディング機構。
【請求項5】 前記第1案内を支持セグメントにより構成した請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項6】 前記第1案内を回転駆動自在の移送ホイールにより構成した請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項7】 圧力面の表面の弾性率を、情報ディスクの弾性率よりも大きくし、圧力面の表面の粗さを、ローディングプロセス中に情報ディスクの表面と圧力面との間に摩擦掛合を生ずる力で情報ディスクが溝の圧力面に圧着することができる粗さとした請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項8】 前記移送ホイールの基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置で炭化クロム層によりカバーした請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項9】 前記移送ホイールの基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置でタングステン-カーボン水素化合物層によりカバーした請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項10】 第1案内の基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置で炭化クロム又はタングステン-カーボン水素化合物の層でカバーした請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項11】 圧力面の最大表面粗さRt を2μm?15μmの範囲とし、算術平均粗さRa を0.2μm?1.5μmの範囲とした請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項12】 炭化クロム層又はタングステン-カーボン水素化合物層を蒸着プロセスによって堆積させた請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項13】 請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載のローディング機構を有するデッキ。
【請求項14】 請求項13記載のデッキを有する情報テクノロジー装置。
【請求項15】 請求項13記載のデッキを有するカーラジオ。」
とあったところを、

「【請求項1】 情報テクノロジー装置に対して情報ディスクをローディング及びアンローディングするため、第1案内と第2案内とを具え、これらの各案内にディスク端縁を案内するための溝を設け、前記第2案内は、情報ディスクをローディング及びアンローディングするため装置に出し入れする回転駆動可能な移送ホイールにより構成したローディング機構において、第1案内を第1回動アームの遊端に支持し、また第2案内を第2回動アームの遊端に支持してこれら第1案内および第2案内を情報ディスクのアウトラインに沿って移動自在にし、第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、圧力面を設け、これらの圧力面をローディング平面に対して傾斜させ、また第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、ローディング平面にほぼ直交する内側周面を設け、この内側周面の高さを情報ディスクの厚さよりも小さく選択し、ローディングプロセス中に情報ディスクの外側端縁が溝の内側周面に接触しないようにしたことを特徴とするローディング機構。
【請求項2】 第1案内の溝及び第2案内の溝の各々に、溝の上側面及び下側面で前記ローディング平面に対して傾斜する圧力面を設けた請求項1記載のローディング機構。
【請求項3】 ローディングプロセス中に情報ディスクを第1案内及び第2案内の溝にクランプする請求項1又は2記載のローディング機構。
【請求項4】 エジェクト位置において、前記情報ディスクを第1案内及び第2案内の溝にクランプし、ユーザーが前記情報ディスクを手で溝から引き出すのに最小の力0.7Nを加えるだけで済むようにした請求項3記載のローディング機構。
【請求項5】 第1案内の圧力面の傾斜角を4°?8°の範囲の角度とし、第2案内の圧力面の傾斜角を3°?7°の範囲の角度とした請求項2乃至4のうちいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項6】 前記第1案内を支持セグメントにより構成した請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項7】 前記第1案内を回転駆動自在の移送ホイールにより構成した請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項8】 圧力面の表面の弾性率を、情報ディスクの弾性率よりも大きくし、圧力面の表面の粗さを、ローディングプロセス中に情報ディスクの表面と圧力面との間に摩擦掛合を生ずる力で情報ディスクが溝の圧力面に圧着することができる粗さとした請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項9】 前記移送ホイールの基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置で炭化クロム層によりカバーした請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項10】 前記移送ホイールの基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置でタングステン-カーボン水素化合物層によりカバーした請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項11】 第1案内の基礎材料をスチールとし、このスチールを少なくとも圧力面の位置で炭化クロム又はタングステン-カーボン水素化合物の層でカバーした請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項12】 圧力面の最大表面粗さRt を2μm?15μmの範囲とし、算術平均粗さRa を0.2μm?1.5μmの範囲とした請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項13】 炭化クロム層又はタングステン-カーボン水素化合物層を蒸着プロセスによって堆積させた請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載のローディング機構。
【請求項14】 請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載のローディング機構を有するデッキ。
【請求項15】 請求項14記載のデッキを有する情報テクノロジー装置。」
と補正された。

本件補正の前後の特許請求の範囲を比較すると、本件補正は次の補正事項を含むものである。
(1)本件補正後の請求項1では、補正前の請求項1において発明を特定するために必要な「(第1案内および第2案内に)ほぼU字状の溝を設け」及び「第1案内の圧力面の傾斜角を4°?8°の範囲の角度とし、第2案内の圧力面の傾斜角を3°?7°の範囲の角度とし」が省かれた。
(2)本件補正後の請求項5は、補正前の特許請求の範囲に対応する請求項がなく、新たに追加された請求項である。
(3)本件補正後の請求項6ないし15は、補正前の請求項5ないし14の請求項番号を繰り下げ、引用する請求項番号についても整合を取ったものである。
(4)本件補正前の請求項15は、本件補正により削除された。
なお、請求項2ないし4は、本件補正の前後で、記載上変更がない。

上記の補正事項のうち、(1)は明らかに特許請求の範囲を拡張するものであり、(2)は新たな請求項の追加であるから、いずれも、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号にそれぞれ掲げる「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記の訂正」及び「明りょうでない記載の釈明」のいずれにも該当しない。

したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成18年7月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成17年12月21日付けで手続補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-05-13 
出願番号 特願平9-114739
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
P 1 8・ 571- WY (G11B)
P 1 8・ 572- WY (G11B)
P 1 8・ 573- WY (G11B)
P 1 8・ 574- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 雅博船越 亮  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 樫本 剛
関谷 隆一
発明の名称 ローディング機構  
代理人 来間 清志  
代理人 杉村 興作  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 伊東 忠彦  

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