• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D01F
管理番号 1197464
審判番号 不服2006-18274  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-22 
確定日 2009-05-13 
事件の表示 平成9年特許願第111742号「無機繊維製品」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月4日出願公開、特開平10-292229〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成9年4月15日の特許出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成9年5月7日 手続補正書
平成14年8月6日 手続補正書
平成16年8月5日付け 拒絶理由通知
平成16年10月14日 意見書・手続補正書
平成18年7月20日付け 拒絶査定
平成18年8月22日 審判請求書
平成18年10月25日 手続補正書(方式)

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月14日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される下記のものである。

「アルミナシリカ繊維と、アルミナ繊維を主成分とし、有機バインダーおよび無機バインダーのいずれか1種以上を含み、NaとKの合計が500ppm以下であり、Caが130ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Cuが2ppm以下であり、Niが4ppm以下である無機繊維製品。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要
本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は、「この出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。

1.特開平5-215473号公報(原査定における引用文献1。以下、「刊行物1」という。)
2.特開平4-108115号公報(原査定における引用文献2。以下、「刊行物2」という。)

第4 各刊行物に記載された事項
1 刊行物1
本願の出願前である平成5年8月24日に頒布された刊行物である刊行物1には、以下の事項が記載されている。

(1a)「カサ密度0.3?0.8g/cm^(3) の無機質成形体の内面に、無機繊維製クロスで内側面が被覆されたカサ密度が1.0?2.0g/cm^(3)の無機質被覆層が形成された積層体で、前記無機質被覆層が発熱体の支持部とされていることを特徴とする加熱装置。」(請求項1)

(1b)「請求項1の無機質成形体が複数の分割品で筒状に形成されていることを特徴とする加熱装置。」(請求項3)

(1c)「請求項1の無機質成形体が、アルミナ質繊維、無機質充填材および無機質バインダーから形成されていることを特徴とする加熱装置。」(請求項4)

(1d)「請求項1の積層体中に含まれる下記不純物金属元素の含有率が以下の範囲にあることを特徴とする加熱装置。
ナトリウム(Na)とカリウム(K)の合計:2000ppm以下
銅(Cu) : 50ppm以下
鉄(Fe) : 500ppm以下
ニッケル(Ni) : 50ppm以下」(請求項6)

(1e)「例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエハを加熱処理する各種の工程が含まれる。例えば、酸化処理、拡散処理、CVD処理、エピタキシャル処理、ドーピング処理等の工程である。このような加熱処理に使用される加熱装置の一例においては、被処理体である半導体ウエハが配置される処理容器と、この処理容器を取囲むよう配置された断熱材と、この断熱材の内壁に配置された発熱体とを備えてなる。断熱材としては、従来、セラミックファイバが用いられ、発熱体としては、従来、鉄(Fe)とクロム(Cr)とアルミニウム(Al)の合金線であるカンタル(商品名)線等の抵抗発熱体が用いられている。」(段落【0002】)

(1f)「しかし、MoSi_(2) からなる発熱体を用いて高速で昇温させるプロセスを繰返していくと、セラミックファイバからなる断熱材にスポーリングによるクラックが入りやすく、断熱材の劣化が著しいという問題が発生した。なお、スポーリングとは、断熱材の構成材料が粉塵となって飛散する現象をいう。また、半導体ウエハの加熱処理後、高速で降温させるために処理容器の均熱領域に強制的に冷却媒体を流して冷却するプロセスを繰返していくと、劣化した断熱材からパーティクルが発生し、コンタミネーションの原因となる問題も生じた。さらに、MoSi_(2) からなる発熱体と断熱材との接触部分で両者が反応して発熱体が断線するという問題も生じた。」(段落【0004】)

(1g)「本発明の第1の目的は、耐スポーリング性、耐劣化性、耐反応性の優れた加熱装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、長期間にわたり安定に昇降温できる加熱装置を提供することにある。」(段落【0005】)

(1h)「無機質成形体が複数の分割品で筒状に形成されていると、精密な構造の積層体が得られる。無機質成形体が、アルミナ質繊維、無機質充填材および無機質バインダーから形成されていると、粉塵等の飛散が少ない。アルミナ質繊維が、Al_(2) O_(3) を90wt%以上含有するものであると、耐熱性が向上する。積層体中に含まれる特定の不純物金属元素の含有率を特定値以下に抑制すると、コンタミネーションが小さくなる。」(段落【0007】)

(1i)「無機質被覆層31の内側面を被覆する無機繊維製クロス33としては、アルミナ繊維質クロスが好適であり、無機質成形体32の内面に無機質被覆層31の材料を被覆する際に埋設された状態で張り付けられるものであって、無機質成形体32のクラックおよびパーティクルの発生を抑制するものである。無機質被覆層31は、アルミナ質繊維、無機質充填材、無機質バインダーにより形成することができ、これらの配合割合は、例えば、アルミナ質繊維/無機質充填材/無機質バインダー=10?15/40?60/20?40(wt%)である。」(段落【0010】)

(1j)「アルミナ質繊維としては、通常のAl_(2) O_(3) 成分を70wt%程度以上含有するものが使用可能であるが、高温下での再結晶化に伴う繊維の劣化が小さくて耐熱性の良好なAl_(2) O_(3) を90wt%以上含有するもので、かつ、他の無機質充填材および無機質バインダーの混合物中への均一分散を良好にして補強効果を促す短繊維が好ましい。かかる短繊維の具体例としては、「ルビール」(ニチアス株式会社製,Al_(2) O_(3)/SiO_(2) =95/5(wt%))がある。無機質充填材としては、例えばアルミナ粉末、ムライト粉末等を用いることができる。無機質バインダーとしては、例えばコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等を用いることができる。なお、発熱体として二ケイ化モリブデン(MoSi_(2) )を使用する場合は、被覆層材料としてアルミナ質繊維、アルミナ粉末およびコロイダルアルミナからなる材料で構成することが好ましい。」(段落【0011】)

(1k)「無機質成形体32は、無機質繊維、無機質充填材、無機質バインダーにより形成することができ、これらの配合割合は、例えば、無機質繊維/無機質充填材/無機質バインダー=20?65/35?70/3?10(wt%)である。無機質繊維、無機質充填材、無機質バインダーの具体的材料としては、無機質被覆層31と同様のものを用いることができる。無機質成形体32の厚さは、例えば5?30mm程度である。」(段落【0013】)

(1l)「積層体3において、アルカリ金属であるナトリウム(Na)とカリウム(K)の合計の含有量が2000ppm以下、重金属である銅(Cu)の含有量が50ppm以下、重金属である鉄(Fe)の含有量が500ppm以下、重金属であるニッケル(Ni)の含有量が50ppm以下であることが好ましい。このような不純物金属元素の含有量を小さく抑制することにより、積層体3の耐スポーリング性がさらに向上し、また、耐コンタミネーションも向上する。」(段落【0015】)

2 刊行物2
本願の出願前である平成4年4月9日に頒布された刊行物である刊行物2には、以下の事項が記載されている。

(2a)「アルミナの含有率が40?65重量%の非晶質のアルミナシリカ質繊維からなり、この繊維に含まれるNa及びKの合計が250ppm以下の範囲で、かつこの繊維に含まれるFeが500ppm以下である高耐熱高強度アルミナシリカ質繊維。」(請求項2)

(2b)「通常はアルミナ原料およびシリカ原料のいずれも、合成原料を使用する。

従って本発明で使用するアルミナ原料は普通のバイヤー法以外の製法によるものが好ましい。例えば、アンモニウムミョウバン法や有機金属加水分解法等によって得たアルミナを使用するのが好ましい。
しかし、不純物の多い原料の使用を全く否定するものではない。不純物の多い原料を用いても、不純物を除去する工程を適用すれば、本発明の繊維は製造することが可能である。
シリカ原料についても、天然珪砂は、不純物合有量、特にアルカリ金属の酸化物の含有量か多いので、本発明では使用しにくい。
したがって、本発明ではシリカ原料として合成原料の使用が好ましい。このような原料として四塩化ケイ素や各種アルキルシリケートを出発原料とした合成シリカが挙げられる。
本発明で用いられる原料の例を第1表に示す。比較のために、従来より多く用いられているバイヤー法アルミナ及び天然珪砂(フラタリーサンド)の不純物分析値を示す。
第1表のACL-27、CAH-501はいずれも高純度アルミナ原料の例である。これらのアルミナは不純物含有量がいずれの元素についても重量で100ppm以下である。
この程度の純度であれは、本発明で使用しうる。P-3は高純度シリカ原料の例で、不純物元素はほとんどゼロに近い。これも本発明で使用しうる。」(第3頁右下欄第3行?第4頁左上欄第20行)

(2c)「


」(第7頁第3表)

第5 当審の判断
1 刊行物1に記載された発明
刊行物1の上記摘記事項(1a)には、「加熱装置」の発明の他、「無機質成形体」そのものの発明も記載されていると認められるところ、(1a)中の「無機質成形体」は、上記摘記事項(1k)の記載からみて「無機質繊維/無機質充填材/無機質バインダー=20?65/35?70/3?10(wt%)」の配合割合で形成されるものであり、上記摘記事項(1b)の記載からみて、「複数の分割品で筒状に形成」されたものである。
そうすると、刊行物1には、
「無機質繊維/無機質充填材/無機質バインダー=20?65/35?70/3?10(wt%)で形成され、複数の分割品で筒状に形成された無機質成形体」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

2 本願発明と引用発明との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明の「アルミナシリカ繊維」、「アルミナ繊維」も「無機質繊維」であるから、引用発明の「無機質繊維」は、本願発明の「アルミナシリカ繊維と、アルミナ繊維」を含むものといえる。本願発明の「アルミナシリカ繊維と、アルミナ繊維を主成分とし」について、本願明細書の段落【0024】には「繊維と耐火粉末の重量比は100:0?100:100であり、繊維と耐火粉末の合計と無機バインダーの重量比は100:0?80:20である」と記載されているところ、引用発明の「無機質成形体」は「無機質繊維/無機質充填材/無機質バインダー=20?65/35?70/3?10(wt%)」であり、本願発明と引用発明とでは「無機質繊維」の配合割合について重なり合いが認められるから、引用発明においても「無機質繊維」が主成分となっている態様を含むといえる。
また、引用発明の「無機質成形体」は「無機質バインダー」を含むものであるから、本願発明と同様に「有機バインダーおよび無機バインダーのいずれか1種以上を含」んでいるといえる。さらに、本願発明の「無機繊維製品」とは、本願明細書の段落【0032】、【0041】の記載からみて単に無機繊維を含む配合物を成形したものを含むものと認められ、引用発明の「無機質成形体」も「無機質繊維」を含む「複数の分割品で筒状に形成された…成形体」であることから、引用発明の「無機質成形体」は本願発明の「無機繊維製品」であるといえる。
そうすると、両者は、
「無機質繊維を主成分とし、有機バインダーおよび無機バインダーのいずれか1種以上を含む、無機繊維製品」
という点で一致し、以下の点で相違すると認められる。

相違点1:「無機質繊維」について、本願発明では、「アルミナシリカ繊維と、アルミナ繊維」とからなるのに対し、引用発明では、特定されていない点

相違点2:無機繊維製品中の金属の含有量について、本願発明では、「NaとKの合計が500ppm以下であり、Caが130ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Cuが2ppm以下であり、Niが4ppm以下である」のに対し、引用発明では、「無機質成形体」中の金属の含有量が不明である点

イ 判断
(ア)相違点1について
引用発明の「無機質成形体」は、上記摘記事項(1e)及び(1f)からみて、半導体ウエハを加熱処理する加熱装置の断熱材の一構成要素として用いられるものと認められ、上記摘記事項(1c)及び(1h)からみて、無機質繊維としてアルミナ質繊維が用いられている。
工業炉等の加熱装置の断熱材として、アルミナシリカ繊維とアルミナ繊維を混合して用いることは周知技術であるから(この点について、例えば、特開平7-10641号公報の請求項1、特開平9-87046号公報の段落【0001】及び【0027】及び【0043】、特開昭56-113983号公報の第3頁左上欄第15?20行及び第7頁左上欄の「特定の例」の表、特開平9-4985号公報の段落【0015】を参照)、引用発明において、「無機質繊維」としてアルミナシリカ質繊維とアルミナ繊維とからなるものを用いることは当業者が容易に想到し得たことといえる。

(イ)相違点2について
刊行物1の上記摘記事項(1a)には、「無機質成形体」の他、「無機繊維製クロス」及び「無機質被覆層」からなる「積層体」が記載されており、「無機繊維製クロス」は上記摘記事項(1i)の記載からみてアルミナ繊維質クロスが用いられるものであり、「無機質被覆層」は上記摘記事項(1i)の記載からみてアルミナ質繊維、無機質充填材、無機質バインダーから形成されるものであり、また、「積層体」は上記摘記事項(1d)の記載からみて、不純物金属元素の含有率が
「ナトリウム(Na)とカリウム(K)の合計:2000ppm以下
銅(Cu) : 50ppm以下
鉄(Fe) : 500ppm以下
ニッケル(Ni) : 50ppm以下」
の範囲にあるものである。引用発明の「無機質成形体」は、上記摘記事項(1c)、(1h)?(1k)の記載からみて「無機繊維製クロス」及び「無機質被覆層」と同様の材料からなるものであるから、「積層体」の「不純物金属元素の含有率」と同程度の「不純物金属元素の含有率」を含んでいるものと認められる。
また、刊行物1の上記摘記事項(1l)には「このような不純物金属元素の含有量を小さく抑制することにより、積層体3の耐スポーリング性がさらに向上し、また、耐コンタミネーションも向上する」と記載されており、耐スポーリング性や耐コンタミネーションを向上させるためには不純物金属元素の含有量をできるだけ小さくする必要があることが開示されていると認められる。
さらに、刊行物2の上記摘記事項(2a)?(2c)の記載からみて、「アルミナシリカ質繊維」において、高純度の合成物を用いる等により、繊維に含まれるNa及びKの合計が250ppm以下の範囲で、かつこの繊維に含まれるFeが500ppm以下であり、カルシウム(Ca)が1ppm以下のものを得ることは可能であると認められる。
そうすると、引用発明において、耐スポーリング性や耐コンタミネーションを向上させることを目的として、高純度の合成物を用いる等により、「無機質成形体」の「不純物金属元素」について「NaとKの合計が500ppm以下であり、Caが130ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Feが200ppm以下であり、Cuが2ppm以下であり、Niが4ppm以下である」ものとすることは当業者が容易に想到し得たことといえる。

(ウ)本願発明の効果について
本願発明の効果は、本願明細書の段落【0048】の「本発明の無機繊維製品によると、加熱による繊維の結晶化を抑制できて、耐熱性が向上し、粉塵の発生が極めて少なく、被加熱物との汚染反応性も少ない。この理由により、本発明の無機繊維製品を使用すれば、被加熱物を汚染することがなく、被加熱物の品質および生産量の向上が可能になる」ことであると認められる。
一方、引用発明においても、上記摘記事項(1l)には「このような不純物金属元素の含有量を小さく抑制することにより、積層体3の耐スポーリング性がさらに向上し、また、耐コンタミネーションも向上する」と記載されており、さらに、この「耐スポーリング性」及び「耐コンタミネーション」について、上記摘記事項(1f)には「セラミックファイバからなる断熱材にスポーリングによるクラックが入りやすく、断熱材の劣化が著しいという問題が発生した。なお、スポーリングとは、断熱材の構成材料が粉塵となって飛散する現象をいう。…劣化した断熱材からパーティクルが発生し、コンタミネーションの原因となる問題も生じた」と記載されており、引用発明も、「耐熱性」の向上や「汚染反応性」の低下の効果が奏せられると認められるから、本願発明は引用発明に比べて顕著な効果を奏するとは認められない。

(2)請求人の主張について
請求人は、平成18年8月22日付け審判請求書についての平成18年10月25日付け手続補正書において、「本願発明は、引用文献1とは根本的に技術的思想が異なり、引用文献1の記載より当業者により適宜なしうるものではありません。たとえば、引用文献1の0012段落には、「無機質被覆層(31)の表面は、急熱急冷による構成材料(パーティクル)の粉塵化による飛散防止のため、その表面荒さは20μm以下とすることが好ましい。」とあり、粉塵の発生を解消するために表面荒さを規定する知見が開示されています。すなわち、これは、本願発明のように粉塵の発生を解消するために不純物の濃度を規定するという思想とは根本的に異なっています」、「引用文献1には、不純物濃度を規定することによって、得られる無機繊維製品の、使用中の粉塵の発生を解消するという技術的思想は開示されていません。そして、当然ながら、引用文献1に開示されている程度の不純物濃度の規定のみでは、本願発明が解決しようとする粉塵の発生を解消することは、本願明細書の0026段落、表4および表5の比較例の記載内容からも明らかなように、不可能であります」旨述べている。
しかしながら、上記(1)(イ)及び(ウ)でも述べたように、引用発明においても耐スポーリング性を向上、耐コンタミネーション、すなわち「劣化した断熱材からパーティクルが発生」することを抑制することを目的としており、この目的のために不純物金属元素の含有量をできるだけ小さくする必要があること、すなわち、粉塵の発生を解消するために不純物の濃度をできるだけ小さくするという思想が開示されていると認められる。そして、不純物金属元素の含有量をできるだけ小さくすれば粉塵の発生を解消できることは刊行物1から当業者の予測し得る事項であると認められるから、請求人の上記主張を採用することはできない。

3 まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1?2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-03 
結審通知日 2009-03-10 
審決日 2009-03-24 
出願番号 特願平9-111742
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浅見 節子菊地 則義  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 杉江 渉
橋本 栄和
発明の名称 無機繊維製品  
代理人 田辺 徹  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ