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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63K
管理番号 1197470
審判番号 不服2006-28850  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-27 
確定日 2009-05-13 
事件の表示 平成 8年特許願第303519号「コネクタボックス装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月19日出願公開、特開平10-127955〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年10月30日の出願であって、平成18年6月21日付けの拒絶理由通知に対して、同年8月2日付けで意見書と共に手続補正書が提出されたところ、同年11月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日付けで拒絶査定不服審判が請求され、平成19年1月16日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。
又、当審において平成20年4月22日付けで審判審尋をかけたところ、同年6月18日付けで回答書が提出されている。

第2 平成19年1月16日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成19年1月16日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正による発明
平成19年1月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1乃至6についての補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された(以下、「本件補正発明」という。)。
「競技場に設けられるハンドホール内に固設されたハウジングに設置されるコネクタボックスであって、該コネクタボックスは所定の外力の継続的付与により昇降自在であり、コネクタボックスの重量に釣り合った力を与える均衡体を設け、上記コネクタボックスは上記外力の継続的付与の終了と同時に上記ハウジングとの摩擦抵抗力によって静止可能であり、競技中は上記コネクタボックスをハンドホール内に内蔵せしめ、測定準備作業中はハンドホール内より出現可能とすることを特徴とするコネクタボックス装置。」
下線は補正箇所を示し、本件補正において付されたとおりである。

ここで、上記補正事項に係る「所定の外力」が、どのような力であるか、検討する。
本件補正発明では、当該「所定の外力」に関連して、「該コネクタボックスは『所定の外力』の継続的付与により昇降自在であり、」及び「上記コネクタボックスは『上記外力』の継続的付与の終了と同時に上記ハウジングとの摩擦抵抗力によって静止可能であり、」と特定されている。
これらの特定事項によれば、本件補正発明に係る「所定の外力」とは、コネクタボックスを昇降させる際、コネクタボックスを(その使用位置まで)引き上げたり、(収納位置まで)降ろしたりするために、操作者がコネクタボックスに対して付与する力であると解される。
本件補正前の請求項1においては、コネクタボックスの昇降に関しては、「該コネクタボックスを昇降自在とし、」と特定されるだけであり、コネクタボックスを昇降させるために、コネクタボックスに付与される力がどのようなものか、特定されていなかった。
してみると、補正前においては、どのような力でコネクタボックスを昇降させるのか特定されていなかったものが、本件補正により、「所定の外力の継続的付与により」と限定されるようになったから、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、即ち、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、以下、検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-149083号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面(特に図4参照)と共に記載されている。
ア.段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は屋外地表付近に埋設して使用する光ケーブル接続用のマンホール又はハンドホール(以下ハンドホールという)を兼ね、道路、河川、公園等の広域の屋外公共空間に分散する映像、音聲、データ等の情報を必要な際に、これら空間に布設された光ファイバを通じてその管理施設に収集あるいは監視し、又管理施設から公共空間に対して必要な際に、情報を配信あるいは提供する目的で使用する屋外埋設用光情報コンセント、及び該コンセントを用いた屋外情報収集システムに関するものである。」
イ.段落【0007】
「【実施例】図1は本発明の屋外埋設用光情報コンセントにおいて、伸縮装置を引伸ばした状態の縦断面図、図2は上面図である。図面において、1は地中に埋設されたハンドホール本体、2はその蓋、3は上記ハンドホール本体1内に設置された光ケーブル6間の直線接続及び/又は分岐接続を行う接続部品を密閉収納したクロージャ、4は直径の異なる金属製筒状体を同心状に組合せて構成された伸縮装置である。」
ウ.段落【0010】
「図4は本発明における伸縮装置の他の具体例の縦断面図で、図4(イ)は収納状態図、図4(ロ)は引延ばした状態図である。図面において、51は底部が密閉された固定用の外筒、52は上記外筒51の内側に同心状に配置された底部が開放された内筒で、該内筒52はその上端部の引伸ばし用ハンドル62を操作することにより、内筒52の下方に取付けたガイドピン54が、外筒51の内側面に設けたガイドレール53上をスライドして外筒51内を上方へスライドして図4(ロ)の状態となる。56は光ケーブル、57は光貫通部、58は光ケーブル56の光ファイバを収納してらせん状又はランダムに蛇行して配線されている光ファイバ保護パイプ、59は光ファイバの上端部に取付けられた光コネクタ、60は光コネクタアダプタ、61は光コネクタアダプタ60の防水蓋、62は内筒52の引伸ばし用のハンドル又は昇降装置、63は装置の上部を覆う扉である。」
エ.段落【0014】4?15行
「又通常時(光情報コンセント不使用時)においては、伸縮装置をマンホールやハンドホール内に収納しておくことにより、伸縮装置の地表からの突出を30mm以下に押えることができるため、車輌や人の通行の妨げ、あるいは破壊工作やいたずらの対象となりにくい安全な構造であり、降雨の影響で地表面から数cm?10数cmの高さまで水没した場合においても、伸縮装置を引伸ばすことにより、光コネクタ部の地表からの高さを30cm程度確保して水面上に保つことができるため、品質の高い光コネクタ接続が容易に実施することができ、自然災害時等いざという時に役に立つ実用性の高い構造である。」
オ.段落【0026】1?6行
「さらに、本発明の屋外埋設用光情報コンセントは、通常時には地表からの突出を押えて車輌、人の運行を妨げ、あるいは破壊工作やいたずらの対象となりにくい上、使用時には降雨の影響で地表が水没した場合においても、品質の高い光接続が容易に行えることから、厳しい環境条件下においても機能が発揮できる。」
カ.図4
図4(ロ)には、上記ウ及び図4(イ)を参酌すると、「外筒の内側面に設けたガイドレールの上端に折曲部が設けられ、内筒の下方に取付けたガイドピンがガイドレール上をスライドし、ガイドレールから折曲部に移動することにより、内筒が、上方への引延ばした状態で静止している状態」が記載されている。

上記記載及び図面等の記載から、引用文献には、次の発明が記載されている(以下、「引用文献記載発明」という。)。
「屋外地表付近に埋設されたハンドホール内に設置される伸縮装置であって、
該伸縮装置は、ハンドホール内に固定される外筒と外筒の内側に同心状に配置される内筒とからなり、
内筒は、内筒下方に取り付けたガイドピンが外筒内測面に設けたガイドレール上をスライドすることにより上方に引延ばされ、該引延ばした状態で、ガイドピンがガイドレール上端の折曲部に移動して静止可能なものであり、
内筒は、通常時はハンドホール内に収納され、使用時はハンドホール内から引延ばすことができる伸縮装置。」

3.対比
引用文献記載発明の伸縮装置は、データ通信用の光ケーブルを接続するための装置であり、通常時は収納され、光ケーブル接続時(使用時)に引延ばされる(引き上げると同義)ものである。
したがって、引用文献記載発明の「外筒」、「内筒」、「伸縮装置」は、本件補正発明の「ハウジング」、「コネクタボックス」、「コネクタボックス装置」にそれぞれ相当する。
又、引用文献記載発明は、内筒の重量に釣り合う均衡体を有しない(この点は相違点として検討する。)ため、内筒を引き上げる力が軽減されるものではないが、内筒を使用位置まで引き上げたり、収納位置に降ろしたりするために、「それなりの力」を継続して付与しなければならないことは言うまでもない。
そして、上記「第2」において検討したとおり、本件補正発明の「所定の外力」とは、コネクタボックスを引き上げたり、降ろしたりするための力のことであるから、引用文献記載発明の(内筒を引き上げるための)「それなりの力」は「所定の外力」と言い換えることができ、又、そのように言い換えても、他の記載と矛盾しない。
さらに、本件補正発明の「競技中」と引用文献記載発明の「通常時」とは、コネクタボックスが内蔵(収納)されている時のことであるから「内蔵時」という点で共通し、同じく「測定準備作業中」と「使用時」とは、コネクタボックスが引き上げられた時のことであるから「引き上げ時」という点で共通する事項である。

以上のとおりであるから、本件補正発明と引用文献記載発明とは、以下の点で一致する一方、以下の点で相違している。

《一致点》
「ハンドホール内に固設されたハウジングに設置されるコネクタボックスであって、該コネクタボックスは所定の外力の継続的付与により昇降自在であり、内蔵時は上記コネクタボックスをハンドホール内に内蔵せしめ、引き上げ時はハンドホール内より出現可能とするコネクタボックス装置。」
《相違点1》
「ハンドホールが、本件補正発明では、競技場に設けられると特定されるのに対して、引用文献記載発明では、屋外に設けられる点。」
《相違点2》
「本件補正発明では、コネクタボックスの重量に釣り合った力を与える均衡体を設けていると特定されるのに対して、引用文献記載発明では、そのような均衡体を有していない点。」
《相違点3》
「本件補正発明では、コネクタボックスは外力の継続的付与の終了と同時にハウジングとの摩擦抵抗力によって静止可能であると特定されるのに対して、引用文献記載発明では、コネクタボックスは外力の継続的付与の終了時にガイドピンをガイドレール上端の折曲部に移動させることにより静止する点。」
《相違点4》
「本件補正発明では、内蔵時が『競技中』と、引き上げ時が『測定準備作業中』と特定されるのに対して、引用文献記載発明では、内蔵時が『通常時』、引き上げ時が『使用時』である点。」

4.判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
競技場内にコネクタボックスを設けることは、従来普通に行われてきたことである(本願明細書の【従来の技術】も参照されたい。)から、本件補正発明において、コネクタボックスを競技場内に設けると特定した点に、格別の意義は認められない。

(2)相違点2について
様々な物体の昇降に関して、その引き上げ力を軽減するために、引き上げる物体の重量と釣り合った力を与える均衡体を設けることは、例えば、実公平7-24531号公報、実公平2-13931号公報、実公平7-43147号公報等に記載されるように、周知の技術事項である。
他方、引用文献記載発明においても、内筒(コネクタボックス)を引き上げる際に、その引き上げ力を軽減したいということは自明の課題であるから、引き上げ力を軽減するために、上記周知の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について
上記(2)において、周知の技術事項として例示した文献には、昇降する物体(以下、「昇降物」という。)の重量と釣り合う均衡体を設けたことにより、引き上げ力の付与を止めると、昇降物が停止(静止)することも記載されている。
即ち、「昇降装置において、昇降物の重量に釣り合う均衡体を設けた場合、引き上げ力の付与を止めると昇降物が静止する」ことも又、周知の技術事項であり、ここに言う「引き上げ力」とは、昇降物を引き上げるための力であるから「所定の外力」と言い換えることができ、結局「均衡体を設けた場合、所定の外力の付与を止めると昇降物が静止する」ことは、周知の技術事項である。
ところで、本件補正発明においては「ハウジングとの摩擦抵抗力によって静止可能である」点も特定事項となっているので、「摩擦抵抗力」について検討する。
2つの物体が接触している場合、摩擦力(摩擦抵抗力)が作用することは技術常識である。
したがって、上記周知の技術事項においても、昇降物が昇降する際に、昇降物とそれをガイドする部材との間に摩擦力が作用するから、「昇降物の静止」に「摩擦力」が関与することは言うまでもなく、結局、上記相違点3に係る特定事項は、上記(2)に例示した文献に記載されるように、周知の技術事項である。
同様に、引用文献記載発明の「伸縮装置」も、図4(イ)、(ロ)を参酌すると、内筒と外筒(ハウジング)との間に(パッキングを介して)摩擦力が作用することは明らかである。
そして、上記「相違点2」に関して検討したとおり、引用文献記載発明に、上記周知の均衡体を適用することは当業者が容易に想到し得ることあり、そうであれば、周知の技術事項を適用した引用文献記載発明は、引き上げ力が軽減されると同時に、引き上げ力(所定の外力)の付与を止めると、均衡体との重量的釣り合い及び摩擦抵抗力により、コネクタボックスが静止することは明らかであるから、相違点3は、周知の技術事項を適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。

(4)相違点4について
上記(1)に記載したように、コネクタボックスを競技場に設けることは、普通に行われていることであり、競技場においては、トラック、フィールド等、選手が競技する近辺に何らかの突出物があると競技の邪魔になることは言うまでもなく、そのため、コネクタボックスは「競技が行われている間」地中に内蔵されるのであるから、コネクタボックスの内蔵時を「競技中」と特定することに、格別の困難性は認められない。
同様に、コネクタボックスは、計器類の点検、或いは、配線の接続等のために地表に引き上げられるものであり、この点検・接続等は、測定のための準備作業であるから、コネクタボックスの引き上げ時を「測定準備作業中」と特定することに、格別の困難性は認められない。
結局、相違点4に係る上記用語は、コネクタボックスを競技場に設置した場合に、当業者が、コネクタボックスの収納・引き上げに関する用語として普通に採用し得るものである。

(5)まとめ
以上のとおりであるから、相違点1?4に係るいずれの特定事項も、当業者が適宜に適用或いは採用可能なものであって、それらを寄せ集めたことにより得られる作用効果も当業者であれば容易に推察可能なものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件補正発明は、引用文献記載発明、及び、周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成18年8月2日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「競技場に設けられるハンドホール内に固設されたハウジングに設置されるコネクタボックスであって、該コネクタボックスを昇降自在とし、コネクタボックスの重量に釣り合った力を与える均衡体を設け、上記コネクタボックスは上記ハウジングとの摩擦抵抗力によって静止可能であり、競技中は上記コネクタボックスをハンドホール内に内蔵せしめ、測定準備作業中はハンドホール内より出現可能とすることを特徴とするコネクタボックス装置。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、上記「第22.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本件補正発明の「コネクタボックスの昇降」について、引き上げる際の力に係る特定事項、及び、「コネクタボックスの静止」について、外力の付与終了に係る特定事項を省いたものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明を特定する事項を全て含み、さらに他の発明を特定する事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 4.」に記載したとおり、引用文献記載発明、及び、周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献記載発明、及び、周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-03 
結審通知日 2009-03-10 
審決日 2009-03-24 
出願番号 特願平8-303519
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63K)
P 1 8・ 575- Z (A63K)
P 1 8・ 121- Z (A63K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤坂 祐樹小齊 信之  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 佐藤 宙子
長島 和子
発明の名称 コネクタボックス装置  
代理人 浅野 勝美  
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