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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1197764
審判番号 不服2007-3581  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-06 
確定日 2009-05-18 
事件の表示 特願2001- 38249「図柄合わせ遊技機及びその制御方法並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月27日出願公開、特開2002-239089〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成13年2月15日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成18年11月28日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成19年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日に手続補正がなされたものである。
また、当審において、平成20年9月17日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から同年11月17日に回答書が提出されている。

第二.平成19年2月6日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年2月6日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】
複数種の図柄を可変表示する可変表示装置と、
遊技者の操作により、上記可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止装置と、
複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、該複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段と、
所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う停止制御手段と、
上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段とを備えた図柄合わせ遊技機において、
上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、該選択入賞態様の入賞確率を変更しないまま、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択したときに用いた該異なる入賞態様の入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更する入賞確率変更手段を有することを特徴とする図柄合わせ遊技機。
【請求項2】?【請求項12】(補正による変更がないので省略)
【請求項13】
複数種の図柄を可変表示する可変表示装置と、遊技者の操作により、上記可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止装置と、複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、該複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段と、所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う停止制御手段と、上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段とを備えた図柄合わせ遊技機の制御方法であって、
上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、該選択入賞態様の入賞確率を変更しないまま、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択したときに用いた該異なる入賞態様の入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更するように、所定の制御プログラムをCPUが実行することにより上記図柄合わせ遊技機を制御することを特徴とする図柄合わせ遊技機の制御方法。
【請求項14】
複数種の図柄を可変表示する可変表示装置と、遊技者の操作により、上記可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止装置と、複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、該複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段と、所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う停止制御手段と、上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段とを備えた図柄合わせ遊技機の制御手段として、コンピュータを機能させるプログラムであって、
上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、該選択入賞態様の入賞確率を変更しないまま、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択したときに用いた該異なる入賞態様の入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更する入賞確率変更手段として、上記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。」

2.補正要件(目的)の検討
請求項1、13、14についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「入賞確率変更手段」又は「入賞確率の変更制御」について、選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったときの入賞態様の確率を、「選択入賞態様の入賞確率を変更しない」、及び「該異なる入賞態様の」とする限定を付加するものである。
してみると、当該補正は、入賞確率変更手段又は入賞確率の変更制御について限定を付加するものであるから特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に相当する。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用された文献に記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-431号公報(以下「引用文献」という)には、図面とともに、
【0013】図1は、本発明に係るスロットマシンの一例を示す全体正面図である。スロットマシン1の機枠1Aにはカバー部材の一例の前面枠1Bが開閉自在に設けられており、その前面枠の上方部分の前面側の所定箇所には表示窓が設けられている。この表示窓には、可変表示装置90(図2参照)によって可変表示される図柄等の識別情報を遊技者に視認させるための可変表示部5L、5C,5Rが設けられている。この左可変表示部5L,中可変表示部5C,右可変表示部5Rは、それぞれに上下3段に識別情報を可変表示可能な大きさに構成されている。・・・
【0015】・・・遊技者がコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示装置90が可変開始されて各可変表示部5L?5Rにより複数種類の識別情報が可変表示される。次に、遊技者が各ストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作すれば、それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示が停止されるように構成されている。なお、遊技者がいずれのストップボタン9L?9Rをも押圧操作しなければ、所定の時間の経過により可変表示装置70が自動的に停止制御される。この可変表示装置90が可変開始されてから停止する1回の可変停止により1ゲームが終了し、可変停止時の表示結果が後述するように特定の識別情報になれば所定の遊技価値が付与可能となる。
【0028】図3は、左,中,右の各リールの外周に描かれた識別情報としての図柄(シンボルマーク)を示す展開図である。図3の左側に示した数字は図柄番号であり、0?20の21個の図柄(シンボルマーク)が各リールの外周に付されている。図3の(a)は左リール6L(図2参照)の外周に描かれた図柄を示したものであり、(b)は中リール6Cの外周に描かれた図柄を示した図であり、(c)は右リール6Rの外周に描かれた図柄を示した図である。可変表示装置70の停止時の表示結果が賭数に応じた有効ライン(当りライン)上において「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。一方、有効な有効ライン上において「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。さらに有効ライン上において「CCC」または「DDD」となれば小役の図柄の組合せが成立してコインが15枚払出される。有効ライン上において「EEE」となれば小役が成立してコインが8枚払出される。有効ライン上において左図柄と中図柄とが共に「F」となれば小役が成立して6枚のコインが払出される。また、有効ライン上において左図柄のみ「F」となれば小役が成立して3枚のコインが払出される。
【0029】さらに、ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中ではない通常ゲーム中に、当りライン上に「G」すなわち「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始される。・・・
【0072】この当選許容値は、たとえば図10(c),(d),図11に示されているように、ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値,レギュラーボーナスゲーム(RB)当選許容値,再ゲーム当選許容値,小役当選許容値の4種類から構成されている。この各当選許容値は、テーブルの形でROM47に記憶されている。・・・BB,RBの判定モードは、後述するように、BB,RBを発生させることが事前に決定されながらも、そのBB,RBに対応する表示結果が可変表示装置90により停止表示されなかった場合に、以降「高確率時」となる。それ以外の場合には「通常時」である。
【0073】また小役判定モードは、小役を発生させることが事前決定されながらも可変表示装置90による表示結果がその決定された小役に対応する表示結果にならなかった場合に、以降「高確率時」となり、・・・
【0074】再ゲーム判定モードは、再ゲームを発生させることが事前決定されながらも可変表示装置の表示結果がその再ゲームに対応する表示結果にならなかった場合に、以降「高確率時」となり、・・・
【0083】S76では、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かすなわち0≦演算結果<b0 であるか否かの判断がなされ、含まれている場合にはS77に進み、ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合(b0 ≦演算結果<b1 )には、S78によりYESの判断がなされてS79に進み、ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。・・・
【0084】S78によりNOの判断がなされた場合にS81に進み、S67の比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果が再ゲーム当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ、含まれていない場合にはS83に進むが、含まれている場合(b1≦演算結果<b2 )にはS82に進み、再ゲーム当選フラグがセットされてS85に進む。・・・S83では、S67の比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果が各小役当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ、含まれていない場合にはそのままS85に進むが、含まれている場合(b2 ≦演算結果<b3 ,b4 ,b5 ,b6 )にはS84に進み、含まれている小役の種類に相当する当選フラグがセットされてS85に進む。
【0094】図13ないし図15は、S98、S102、S106により定義されたリール停止制御の具体的内容を示すフローチャートである。・・・
【0099】一方、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合およびJAC入賞フラグがセットされていない場合にはS121に進み、再ゲーム当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。再ゲーム当選フラグがセットされている場合にはS122に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS123に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にあるJAC図柄を停止しているJAC図柄の有効ライン上に揃えて停止させる制御がなされてS152に進む。・・・
【0100】一方、再ゲーム当選フラグがセットされていない場合にはS125に進み、ビックボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。ビックボーナス当選フラグがセットされている場合にはS126に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS127に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄(本実施の形態ではA)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS128によりビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させた後S152に進む。・・・
【0102】ビックボーナス当選フラグがセットされていない場合にはS132に進み、ボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナス当選フラグがセットされている場合にはS133に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされる。他のリールが停止していない段階ではS134に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にボーナス図柄(本実施の形態ではB)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS135に進みボーナス図柄を有効となっている有効ライン上に停止させる制御が行なわれ、S152に進む。・・・
【0103】一方、S132によりボーナス当選フラグがセットされていないと判断された場合にはS139に進み、小役当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ、小役当選フラグがセットされていると判断された場合にはS140に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、まだ他のリールが停止していない段階ではS144に進む。S144では、セットされた小役当選フラグの種類に対応する小役図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS146に進みただちにリールを停止させてS152に進む。一方、S144により小役図柄があると判断された場合にはS145に進み、その小役図柄を有効ライン上に停止させる制御が行なわれてS152に進む。・・・
【0107】・・・S170により再ゲーム入賞でないと判断された場合にはその入賞が小役入賞であるため、S175Aに進み、払出予定数を小役に対応する値にセットした後S214に進み、各小役判定モードのうち高確率モードになっているものがあるか否かの判断がなされ、ない場合にはそのまま図17に示すコイン払出処理に移行するが、ある場合にはS215に進み、その高確率モードになっている小役判定モードをクリアして「通常時」のモードに切換えた後コイン払出処理に移行する。
【0108】S166によりビッグボーナス入賞であると判断された場合にはS167に進み、・・・このS167の処理後S167aに進み、ボーナスゲーム判定モードが高確率になっているか否かの判断がなされ、なっていない場合にはコイン払出制御に移行するが、なっている場合にはS167bに進み、そのビッグボーナスの高確率判定モードをクリアして通常時に戻した後コイン払出制御に移行する。
【0109】一方、S168により、その入賞がボーナス入賞であると判断された場合には、S169に進み、・・・次にS216によりボーナス高確率モードである旨の判定がなされるとS217に進み、ボーナス高確率モードをクリアしてコイン払出し処理に進むが、S216によりNOの判断がなされると直接コイン払出し処理に進む。
【0112】一方、S170により再ゲーム入賞であると判断された場合にはS170aに進み、再ゲーム判定モードが高確率時のモードになっているか否か判断し、なっている場合にはS170bによりモードのクリアがなされて通常時のモードにする処理がなされる。・・・
【0146】(7) 図18に示したものでは高確率モードへの切換を、遊技者にとって価値の大きい方の遊技状態を優先して切換制御するものを示したが、その代わりに、内部当選しながらいわゆる取りこぼしが発生する毎に、価値の大きさにかかわらずその取りこぼされた遊技状態を高確率モードに制御してもよい。また、たとえばビッグボーナス判定モードが高確率時のモードになっているときにレギュラーボーナスが内部当選して取りこぼした場合に、そのレギュラーボーナス判定モードも高確率時のモードにしてもよい。その後、価値の大きい小さいとは無関係に、2種類以上の遊技状態について高確率時のモードにしてもよい。そして一旦高確率時のモードになった後においては、その高確率時のモードになっている遊技状態に対応した表示結果が導出表示されるまで高確率のモードのままにしておいてもよい。
【0147】図18に示した判定モードの切換制御においては、ある遊技状態について高確率時のモードにした際に他の遊技状態については通常時のモードとなり発生確率は通常時の発生確率になるが、それに代えて、高確率時のモードとなっている遊技状態以外の遊技状態に関しては通常時のモードの発生確率よりもより低い(たとえば1/2?1/5程度)に制御してもよい。このようにすれば、高確率時のモードになっている遊技状態の発生確率を大幅に高い確率に制御することも可能となる。
と記載されており、摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献には、
「 複数種類の識別情報が可変表示される可変表示部5L、5C,5Rが設けられている可変表示装置90と、
遊技者が押圧操作すれば、それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示が停止されるストップボタン9L,9C,9Rと、
ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値、レギュラーボーナスゲーム(RB)当選許容値、再ゲーム当選許容値及び小役当選許容値のいずれかにランダム値Rを用いた演算結果が含まれているか否かの判断がなされ、含まれている場合にはビッグボーナス当選フラグ、ボーナス当選フラグ、再ゲーム当選フラグ及び小役の種類に相当する当選フラグのいずれかがセットされ、
ビッグボーナス当選フラグ、ボーナス当選フラグ、再ゲーム当選フラグ及び小役の種類に相当する当選フラグのいずれかがセットされているか否かの判断が行なわれ、セットされている場合には、現在の図柄番号から4図柄先以内にフラグの種類に対応する図柄があるか否かの判断がなされ、ある場合にはその図柄を有効ライン上に停止させ、
前記可変表示装置90の停止時の表示結果が有効ライン上において「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出され、「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出され、「CCC」または「DDD」となればコインが15枚払出され、「EEE」となればコインが8枚払出され、「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始されるスロットマシン1において、
上記BB,RB,小役及び再ゲームのいずれかを発生させることが事前決定されながらも可変表示装置の表示結果が対応する表示結果にならなかった場合に、以降「高確率時」となり、ビッグボーナス入賞、ボーナス入賞、再ゲーム入賞及び小役入賞のいずれかであると判断された場合には「通常時」に戻すスロットマシン1。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「スロットマシン1」は、本願補正発明の「図柄合わせ遊技機」に相当し、以下同様に、
「複数種類の識別情報が可変表示される」は「複数種の図柄を可変表示する」に、
「可変表示部5L、5C,5Rが設けられている可変表示装置90」は「可変表示装置」に、
「遊技者が押圧操作すれば」は「遊技者の操作により」に、
「それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示」は「上記可変表示装置の可変表示」に、
「可変表示が停止される」は「可変表示を停止させる」に、
「ストップボタン9L,9C,9R」は「可変表示停止装置」に、各々相当する。
さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明の「ビッグボーナスゲーム(BB)」、「レギュラーボーナスゲーム(RB)」、「再ゲーム」及び「小役」は本願補正発明の「複数の入賞態様」に相当し、引用発明において、「ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値、レギュラーボーナスゲーム(RB)当選許容値、再ゲーム当選許容値及び小役当選許容値」(以下「複数の当選許容値」という。)は、それぞれ「BB」、「RB」、「再ゲーム」及び「小役」の入賞確率を決定する値となっていることが明らかである。
そして、引用発明において、複数の当選許容値のいずれかにランダム値Rを用いた演算結果が含まれているか否かの判断がなされ、含まれている場合にはビッグボーナス当選フラグ、ボーナス当選フラグ、再ゲーム当選フラグ及び小役の種類に相当する当選フラグのいずれかがセットされることは、本願補正発明において、複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択することに相当し、引用発明がそのための手段を有していることは明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、該複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段」に相当する構成を備えているということができる。

b.引用発明の「ビッグボーナス当選フラグ、ボーナス当選フラグ、再ゲーム当選フラグ及び小役の種類に相当する当選フラグのいずれかがセットされているか否かの判断が行なわれ、セットされている場合には」は、本願補正発明の「所定条件の下で」に相当し、引用発明において「現在の図柄番号から4図柄先以内にフラグの種類に対応する図柄があるか否かの判断がなされ、ある場合にはその図柄を有効ライン上に停止させ」ることは、本願補正発明において「上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う」ことに相当するとともに、引用発明がそのための手段を有していることは明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う停止制御手段」に相当する構成を備えているということができる。

c.引用発明の「有効ライン上において」は、本願補正発明の「上記所定位置に」に相当し、引用発明において、「前記可変表示装置90の停止時の表示結果」が、「AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」、「EEE」となること及び「JAC」が3つ揃う態様となることは、本願補正発明の「上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示した」ことに相当する。
さらに、引用発明において、「「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出され、「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出され、「CCC」または「DDD」となればコインが15枚払出され、「EEE」となればコインが8枚払出され、「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始される」ことは、本願補正発明において、「選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する」ことに相当するとともに、引用発明がそのための手段を有していることは明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段」に相当する構成を備えているということができる。

d.引用発明の「上記BB,RB,小役及び再ゲームのいずれかを発生させることが事前決定されながらも可変表示装置の表示結果が対応する表示結果にならなかった場合に」は、本願補正発明の「上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき」に相当し、引用発明において「以降「高確率時」となり、ビッグボーナス入賞、ボーナス入賞、再ゲーム入賞及び小役入賞のいずれかであると判断された場合には「通常時」に戻す」ことは、本願補正発明において「所定の高確率終了条件が満たされるまでの間」、「高確率な入賞確率に変更する」ことに相当する。
また、引用発明が「高確率時」にしたり、「通常時」に戻したりする手段を有していることは明らかであるから、引用発明において「上記BB,RB,小役及び再ゲームのいずれかを発生させることが事前決定されながらも可変表示装置の表示結果が対応する表示結果にならなかった場合に、以降「高確率時」となり、ビッグボーナス入賞、ボーナス入賞、再ゲーム入賞及び小役入賞のいずれかであると判断された場合には「通常時」に戻す」ことと、本願補正発明において「上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、該選択入賞態様の入賞確率を変更しないまま、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択したときに用いた該異なる入賞態様の入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更する入賞確率変更手段を有する」こととは、“上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、高確率な入賞確率に変更する手段を有する”点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 複数種の図柄を可変表示する可変表示装置と、
遊技者の操作により、上記可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止装置と、
複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、該複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段と、
所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示停止制御を行う停止制御手段と、
上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段とを備えた図柄合わせ遊技機において、
上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、高確率な入賞確率に変更する手段を有する図柄合わせ遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願補正発明においては「選択入賞態様の入賞確率を変更しないまま、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択したときに用いた該異なる入賞態様の入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更する」のに対し、引用発明においては、そのような入賞確率に変更していない点。

(3)相違点の検討及び判断
引用文献の段落【0114】?【0124】、図10のS163、S210?S213、図18及び図19に記載された実施例においては、BB、RB、小役及び再ゲームのいずれかを取りこぼした場合、それがBBの取りこぼしで既にビッグボーナス判定モードが高確率時のモードになっていれば引き続きビッグボーナス判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0115】及び図18(a)のS219)、BBの取りこぼしでビッグボーナス判定モードが高確率時のモードになっていなければ以降ビッグボーナス判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0115】?【0118】及び図18(a)のS219?S226)、RBの取りこぼしで既にビッグボーナス判定モード又はレギュラーボーナス判定モードが高確率時のモードになっていれば引き続きビッグボーナス判定モード又はレギュラーボーナス判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0119】、【0120】及び図18(b)のS228、S229)、RBの取りこぼしでビッグボーナス判定モード及びレギュラーボーナス判定モードが高確率時のモードになっていなければ以降レギュラーボーナス判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0120】?【0122】及び図18(a)のS229?S234)、小役の取りこぼしで既にビッグボーナス判定モード、レギュラーボーナス判定モード又は小役判定モードが高確率時のモードになっていれば引き続きビッグボーナス判定モード、レギュラーボーナス判定モード又は小役判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0123】及び図19(c)のS236?S238)、小役の取りこぼしでビッグボーナス判定モード、レギュラーボーナス判定モード及び小役判定モードが高確率時のモードになっていなければ以降小役判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0123】及び図19(c)のS238?S241)、再ゲームの取りこぼしで既にビッグボーナス判定モード、レギュラーボーナス判定モード、小役判定モード又は再ゲーム判定モードが高確率時のモードになっていれば引き続きビッグボーナス判定モード、レギュラーボーナス判定モード、小役判定モード又は再ゲーム判定モードのみが高確率時のモードとなり(段落【0124】及び図19(d)のS243?S246)、再ゲームの取りこぼしでいずれの判定モードも高確率時のモードになっていなければ以降再ゲーム判定モードのみが高確率時のモードとなる(段落【0124】及び図19(d)のS246?S247)。
すなわち、上記の実施例においては、摘記した段落【0146】に記載されるように、「高確率モードへの切換を、遊技者にとって価値の大きい方の遊技状態を優先して切換制御するもの」となっているが、同段落【0146】には、「取りこぼしが発生する毎に、価値の大きさにかかわらずその取りこぼされた遊技状態を高確率モードに制御してもよい。」、「ビッグボーナス判定モードが高確率時のモードになっているときにレギュラーボーナスが内部当選して取りこぼした場合に、そのレギュラーボーナス判定モードも高確率時のモードにしてもよい。」、「価値の大きい小さいとは無関係に、2種類以上の遊技状態について高確率時のモードにしてもよい。」、「一旦高確率時のモードになった後においては、その高確率時のモードになっている遊技状態に対応した表示結果が導出表示されるまで高確率のモードのままにしておいてもよい。」と記載され、また、摘記した段落【0147】には、「高確率時のモードとなっている遊技状態以外の遊技状態に関しては通常時のモードの発生確率よりもより低い(たとえば1/2?1/5程度)に制御してもよい。」とも記載されている。
これらの記載は、取りこぼし発生後に「高確率時」となるときの入賞確率については様々な設定をすることができることを示唆しているものということができる。
そして、取りこぼされた遊技状態を高確率モードに制御するものや2種類以上の遊技状態について高確率時のモードとするものが例示されていることから見て、取りこぼされた遊技状態以外の遊技状態を高確率モードに制御することも図柄合わせ遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に推考できるものであり、その際取りこぼされた遊技状態の入賞確率をどのように設定するかも様々考えられるところ、上述のように一旦高確率時のモードになった後においては高確率のモードのまま(本願補正発明の「入賞確率を変更しないまま」に相当)とすることも例示されていることから、“入賞確率を変更しないまま”とすることが当業者にとって困難ということはできない。
したがって、引用発明及び引用文献に記載された入賞確率設定に関する技術(以下「引用文献記載の技術」という。)に基づいて、上記相違点に係る本願補正発明のような構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献記載の技術から当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成19年2月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成18年11月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 複数種の図柄を可変表示する可変表示装置と、
遊技者の操作により、上記可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止装置と、
複数の入賞態様ごとに定められた各入賞確率に応じて、複数の入賞態様の中から任意の入賞態様を選択する入賞態様選択手段と、
所定条件の下で、上記入賞態様選択手段で選択された選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せを所定位置に停止表示させるべく、所定の可変表示図柄数を上限とする停止制御範囲内で、上記可変表示装置の停止制御を行う停止制御手段と、
上記所定位置に、上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが停止表示したとき、該選択入賞態様に応じた特典を遊技者に付与する特典付与手段とを備えた図柄合わせ遊技機において、
上記選択入賞態様に対応する入賞図柄の組合せが所定位置に停止表示しなかったとき、所定の高確率終了条件が満たされるまでの間、該選択入賞態様とは異なる入賞態様の入賞確率を、上記入賞態様選択手段が該選択入賞態様を選択するときに用いた入賞確率よりも高確率な入賞確率に変更する入賞確率変更手段を有することを特徴とする図柄合わせ遊技機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から、「確率変更手段」の限定事項である、「選択入賞態様の入賞確率を変更しない」、及び「該異なる入賞態様の」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(3)」に記載したとおり、引用発明及び引用文献記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-16 
結審通知日 2009-03-19 
審決日 2009-04-06 
出願番号 特願2001-38249(P2001-38249)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 英司薄井 義明  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 深田 高義
川島 陵司
発明の名称 図柄合わせ遊技機及びその制御方法並びにプログラム  
代理人 黒田 壽  
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