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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23B
管理番号 1198005
審判番号 不服2006-18068  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-17 
確定日 2009-05-28 
事件の表示 平成 9年特許願第219076号「高鮮度・高品質の食品流通加工方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月23日出願公開、特開平11- 46676〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年7月30日の出願であって、以降の手続の経緯は、以下のとおりである。
平成16年10月4日付け 拒絶理由通知
平成16年12月6日 意見書及び手続補正書提出
平成17年1月25日付け 拒絶理由通知
平成17年3月28日 手続補正書提出
平成18年4月5日付け 拒絶理由通知
平成18年6月6日 意見書及び手続補正書提出
平成18年7月11日付け 平成18年6月6日付け手続補正を却下
拒絶査定
平成18年8月17日 審判請求
平成18年9月19日 手続補正書提出
平成18年11月1日 手続補正書(方式)提出
平成19年3月19日付け 審尋
平成19年6月18日 回答書提出
平成20年7月30日付け 平成18年9月19日付け手続補正を却下
拒絶理由通知
平成20年11月4日 意見書及び手続補正書提出

そして、本願の請求項1に係る発明は、平成16年12月6日付け、平成17年3月28日付け及び平成20年11月4日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの次のものである(以下、「本願発明」という。)。

【請求項1】 屠殺・解体により生産した畜産物の生鮮食品を高鮮度・高品質に保持させて流通する方法であって、当該生鮮食品を、その生産と略同時又はその後、直ちに0℃以下の未凍結温度まで冷却させる処理で食品の組織が当該温度に至るまで予冷処理し、次いで、輸送の流通の過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件下で行うことを特徴とする生鮮食品の高鮮度流通方法。

第2 当審で通知した拒絶理由の概要
当審で通知した拒絶の理由の概要は、補正前の本願の請求項1に係る発明は、本願出願前に頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

刊行物1:特開平9-182577号公報
刊行物2:特開平8-116868号公報
刊行物3:特開平8-116869号公報

第3 刊行物に記載された事項
刊行物1?3には、以下の事項が記載されている。

刊行物1:
(1-1)「予め0℃以下の未凍結温度領域中に保持した畜肉素材を適宜の温度帯で原料加工及び原料配合等の1次加工処理した後、更に、0℃以下の未凍結温度領域の環境下にて混練加工処理を施すことを特徴とする畜肉製品の製造方法。」(特許請求の範囲の請求項5)
(1-2)「例えば、収穫直後の野菜、果実、魚貝類等の生鮮食品等を、氷結点以下の未凍結領域における特定の超低温条件下で冷却処理することにより、該生鮮食品等の鮮度を損なうことなく高鮮度に貯蔵することが可能であること、そして、それらは、とりわけ、野菜、果実、魚貝類、畜肉類等の生鮮食品等の保存、加工方法としてきわめて有用なものであること、等の知見を得ている。」(段落【0002】)
(1-3)「ソーセージ等の畜肉製品の原料加工及び原料配合の1次加工処理と混練加工処理の2次加工処理等を、上記の如く、0℃以下の未凍結温度領域の環境下で行うことにより、2次加工製品の物性及び食感等の品質を高度に改善することが可能であり、これらの氷温加工食品の製造方法としても適宜使用することが可能である。」(段落【0014】)
(1-4)「試験例3
(1)試験方法
供試材料として、鳥取県東伯町産の豚肉を用いた。屠殺後、直ちに冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて7日間貯蔵した原料を用い、肉を約3cm角に切断後、塩漬けし、肉挽機にて肉をすりつぶした後、香辛料等のシーズニング処理を施した。その後、サイレントカッターにて攪拌・混合後、ケーシングを行い、乾燥、燻煙、加熱処理を施し、ポークソーセージを得た。なお、肉挽機による肉挽処理及びサイレントカッターによる攪拌・混合処理は、冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて、成分分析、官能検査にて品質を比較検討した。なお、塩漬け処理は、各処理区ともに氷温(-1.2℃、4日間)にて行った。成分分析としては、微量拡散法による揮発性塩基態窒素含量を測定し(表7参照)、また官能検査の結果は表8に示した。」(段落【0031】)
(1-5)「【表7】

」(段落【0032】)
(1-6)「【表8】

」(段落【0033】)
(1-7)「(2)結果
官能検査の結果から、貯蔵に関しては、冷蔵よりも、氷温貯蔵を施したものの方が、外観、味、かおり、テクスチャーの点で優位であることが判明した。さらに、それぞれの貯蔵温度にて貯蔵された肉を冷蔵あるいは氷温の温度でそれぞれ肉挽?攪拌・混合処理を行い、比較検討したところ、氷温の温度にて処理したものの方が官能的に優位であり、特に、においについてはその効果が著しく、また、テクスチャーに関しては、しっかりした歯ごたえがあるとの意見が多かった。また、揮発性塩基態窒素含量の測定結果から、氷温貯蔵の肉を用いて、さらに氷温にて肉挽?攪拌・混合処理を行ったものの揮発性塩基態窒素含量が著しく低いことが明らかとなり、これらの結果は、官能検査の結果を強く支持するものであった。」(段落【0034】前半)
(1-8)「よって、屠殺後、直ちに氷温で貯蔵、熟成した肉を用い、さらに二次加工処理も氷温の温度にて行うことにより、従来技術では得られなかった高品質な味覚・風味を付与し、及びテクスチャーにおいて抜群の製品が得られることが判明した。(ハム、ハンバーグ、ミートボール、その他練り肉を使用した肉製品への応用が可能である。)」(段落【0034】後半)
(1-9)「本発明によれば、次のような効果が得られる。
1)物性及び食感等が高度に改善された高品質の氷温加工食品を製造することができる。
2)穀類製品、魚肉練り製品、畜肉製品等の2次加工製品の物性及び食感等を高度に改善して高品質化することを可能とする新しい氷温加工食品の製造方法を提供することができる。
3)従来製品と比較して、水分含量が高く、製品の柔らかさ、伸び等が良好であり、物性及び食感等が顕著に改善された餅製品を簡便に製造することが可能な新しい餅の製造方法を提供することができる。」(段落【0037】)

刊行物2:
(2-1)「【請求項1】低温コンテナに食品類を収納して0℃以下で該食品類が凍結しない低温度帯にて低温保存するに際して、冷却装置を設置した該低温コンテナの内部の周辺に適宜の形態のテントを架設して該コンテナの収納スペースの温度分布を均一化することを特徴とする低温コンテナによる食品類の低温保存方法。
【請求項2】低温コンテナが、低温輸送用コンテナであることを特徴とする請求項1記載の低温コンテナによる食品類の低温保存方法。
・・・
【請求項4】低温コンテナが、低温輸送トラックコンテナであることを特徴とする請求項1記載の低温コンテナによる食品類の低温保存方法。」(特許請求の範囲の項)

刊行物3:
(3-1)「【請求項1】野菜、果実、魚貝類等の生鮮食品を、0℃以下の非凍結状態に維持された超低温水で冷却処理することを特徴とする生鮮食品の保存方法。」(特許請求の範囲の項)
(3-2)「(3)本発明の生鮮食品の保存方法により処理した生鮮食品を、通常の低温流通輸送手段と組み合わせることにより、収穫直後の鮮度を低下させることなく、高鮮度、高品質の生鮮食品を消費地に供給することができる。」(段落【0027】)

第4 当審の判断
1.刊行物1に記載された発明
刊行物1には、上記摘示(1-1)に挙げた製造方法、すなわち、「予め0℃以下の未凍結温度領域中に保持した畜肉素材を適宜の温度帯で原料加工及び原料配合等の1次加工処理した後、更に、0℃以下の未凍結温度領域の環境下にて混練加工処理を施すことを特徴とする畜肉製品の製造方法。」が記載され、ソーセージも製造できること(摘示(1-3))が記載されているので、「予め0℃以下の未凍結温度領域中に保持した畜肉素材」について、ソーセージの製造の具体例である「試験例3」をみると、試験に供試した畜肉は、「屠殺後、直ちに冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて7日間貯蔵した」ものであることがわかる(摘示(1-4))。
そこで、この「屠殺後、直ちに冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて7日間貯蔵した」について検討すると、冷蔵も氷温も温度を問題にしているのであるから、これ以降の温度に関する記載をみると、「肉挽機による肉挽処理及びサイレントカッターによる攪拌・混合処理は、冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて」行い、「塩漬け処理は、各処理区ともに氷温(-1.2℃、4日間)にて」行っている(摘示(1-4))。これに続く、表7及び表8には、「貯蔵」の欄に「冷蔵」と「氷温」の2つの項目があり、この「冷蔵」と「氷温」のそれぞれの場合に、「肉挽?攪拌・混合」が「冷蔵」である場合と「氷温」である場合が示されている(摘示(1-5)、(1-6))。そして、「(2)結果」の項目に、「貯蔵に関しては、冷蔵よりも、氷温貯蔵を施したものの方が、外観、味、かおり、テクスチャーの点で優位であることが判明した。」(摘示(1-7))と記載されているのであるから、貯蔵は、冷蔵と氷温のそれぞれの状態で行われていることは明らかであり、また、「氷温」が「0℃以下の未凍結温度」を意味することは当業者に自明であるから、上記「予め0℃以下の未凍結温度領域中に保持した畜肉素材」とは具体的には「屠殺後、直ちに氷温(-1.2℃)にて7日間貯蔵したもの」であるといえる。
そうしてみると、刊行物1には、
「屠殺により生産した畜肉素材を直ちに0℃以下の未凍結温度領域中に保持し、適宜の温度帯で原料加工及び原料配合等の1次加工処理した後、更に、0℃以下の未凍結温度領域の環境下にて混練加工処理を施すことを特徴とする畜肉製品の製造方法」
(以下、「引用発明」という。)という発明が記載されているといえる。

2.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、屠殺後に解体して畜肉素材を得ることは当然のことであるから、本願発明における「屠殺・解体により生産した畜産物の生鮮食品」と引用発明における「屠殺により生産した畜肉素材」とは同じものといえ、本願発明における「その生産と略同時、直ちに0℃以下の未凍結温度で食品の組織が当該温度に至るまで予冷処理」することと引用発明における「直ちに0℃以下の未凍結温度領域中に保持」することとは、同じことといえ、引用発明も畜肉素材を「高鮮度・高品質に保持させ」るためのものであるから(摘示(1-2)、(1-8)、(1-9))、両者は、
「屠殺・解体により生産した畜産物の生鮮食品を高鮮度・高品質に保持させる方法であって、当該生鮮食品を、その生産と略同時、直ちに0℃以下の未凍結温度まで冷却させる処理で食品の組織が当該温度に至るまで予冷処理する方法」
で一致し、
(ア)予冷処理の後、引用発明においては、「適宜の温度帯で原料加工及び原料配合等の1次加工処理した後、更に、0℃以下の未凍結温度領域の環境下にて混練加工処理を施すことを特徴とする畜肉製品の製造方法」を発明特定事項としているのに対し、本願発明においては、このような方法を発明特定事項としていない点、
(イ)予冷処理の後、本願発明においては、「次いで、輸送の流通の過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件下で行う流通方法」を発明特定事項としているのに対し、引用発明においては、このような方法を発明特定事項としていない点、
で、相違する。

3.判断
(1)相違点(ア)について
本願明細書には、 「予冷し、次いで、その後の貯蔵、輸送、加工及び/又は保存の過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度にて処理することを特徴としている。」(段落【0005】)、「さらに、上記生鮮食品を原材料として当該生鮮食品を0℃以下の未凍結温度で二次加工することにより適宜の高鮮度・高品質の加工食品とすることが可能である。特に、上記方法は、上記温度条件における熟成、乾燥、発酵、濃縮等の加工品の製造方法として有用である。」(段落【0007】)、「さらに、高品質化を可能にするものとして、他に、ハム、ソーセージ類、ロースト肉類、生肉のたたき、水産練り製品、カレー、シチュー類、おでん等の煮物などが例示されるが、これらに限定されるものではない。」(段落【0009】)との記載があり、本願発明においても、当然に、生鮮食品に適宜加工を施して、ハム、ソーセージ類、ロースト肉類、生肉のたたきに調製するものであり、そのときの温度調整も、用いる材料である生鮮食品に応じて適宜設定しうるものであるから、本願発明も、引用発明における「適宜の温度帯で原料加工及び原料配合等の1次加工処理した後、更に、0℃以下の未凍結温度領域の環境下にて混練加工処理を施す畜肉製品の製造方法」を実質的に包含しているものといえる。
したがって、相違点(ア)は実質的に相違していない。

(2)相違点(イ)について
上記(1)に示したとおり、本願発明においても引用発明においても、予冷した後に加工する工程を実質的に包含しており、このような加工は、「屠殺・解体により畜産物の生鮮食品を生産」する場所とは別異の場所において実施されることが、当技術分野では普通のことであって、それらの場所を互いに結びつけるのが、「輸送の流通の過程」であるいえるところ、上記刊行物2には、0℃以下の未凍結温度の食品を「低温輸送用コンテナ」或いは「低温輸送トラックコンテナ」に収納することが(摘示(2-1))、また、刊行物3には「0℃以下の非凍結状態に維持された超低温水で冷却処理する」「保存方法により処理した生鮮食品を、通常の低温流通輸送手段と組み合わせる」こと(摘示(3-1)、(3-2))がそれぞれ記載されているから、0℃以下の未凍結温度の食品は、輸送されることを前提としていることがわかる。
そして本願発明で特定する流通の過程は、「過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件下で行う」ものであって、例えば「過程の一部を冷蔵条件下で行う」のは極めて普通の低温輸送手段の一つであるから、上記刊行物2及び3に記載された「低温輸送」あるいは「低温流通輸送手段」と重複するものである。
そうすると、引用発明において、予冷処理後に、「輸送の流通の過程」を設け、これを「0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件下で行う」こと、すなわち、「次いで、輸送の流通の過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件下で行う流通方法」とすることは、当業者であれば容易に実施し得る域を出るものではない。

(3)本願発明の効果について
本願明細書には、本願発明の効果として、
「以上、本発明の生鮮食品の高鮮度流通加工方法は、生産後の生鮮食品を高鮮度に保持することを可能にするのみならず、生鮮食品及びその生鮮加工品の0℃以下の未凍結温度での熟成効果を高め、さらに品質劣化の原因となる細菌の増殖を抑制し、高鮮度、高品質、及び安全なる食品の提供を可能にする格別の効果を有する。」(段落【0045】)ことが記載されている。
しかし、低温下では畜肉が熟成されること、及び細菌の増殖が抑制されることは周知の事項であり、生鮮食品を高鮮度に保持できることは、引用発明の効果と同様であり(摘示(1-2))、さらに、刊行物1には、最初の貯蔵工程を氷温で行った場合は、該工程を冷蔵で行った場合よりも効果に優れること、及び、その後の工程においても氷温で行うとさらに効果が高まることが、データをもって示され(摘示(1-4)?(1-7))、「屠殺後、直ちに氷温で貯蔵、熟成した肉を用い、さらに二次加工処理も氷温の温度にて行うことにより、従来技術では得られなかった高品質な味覚・風味を付与し、及びテクスチャーにおいて抜群の製品が得られることが判明した。」(摘示(1-8))という結果が示され、さらに、刊行物3には、「0℃以下の非凍結状態に維持された超低温水で冷却処理」「した生鮮食品を、通常の低温流通輸送手段と組み合わせることにより、収穫直後の鮮度を低下させることなく、高鮮度、高品質の生鮮食品を消費地に供給することができる。」(摘示(3-1)、(3-2))と記載されている。
そうしてみると、上記の本願発明の奏する効果、すなわち、生鮮食品を0℃以下の未凍結温度まで予冷処理し、その後も、流通の過程の一部又は全部を0℃以下の未凍結温度又は冷蔵条件にしておくことにより、高鮮度、高品質、安全な食品を提供できることは、刊行物1及び3に記載されたものから、当業者が予測しうる範囲内のものといえる。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.請求人の主張
(1)請求人は、平成20年11月4日付け意見書において、「しかしながら、試験例3の試験方法における具体的な記載である上記摘示(c)によると、畜肉は「屠殺後、直ちに冷蔵(+5℃)、氷温(-1.2℃)にて7日間貯蔵した原料」であり、屠殺・解体して生産した畜肉を、直ちに冷蔵(+5℃)したものであって、直ちに氷温に予冷処理したものではない。
屠殺・解体して生産した畜肉を、直ちに冷蔵(+5℃)することは、通常のことであり、刊行物1では、屠殺・解体して生産した畜肉を常法により冷蔵(+5℃)した後、氷温(-1.2℃)にて貯蔵したものである。
したがって、引用刊行物1には、「屠殺・解体により生産した畜肉素材を直ちに0℃以下の未凍結温度領域中に保存したもの」については何も記載されていない。」((4)本願発明と引用文献との対比、の項)と主張する。
(2)また、同意見書中に比較試験を提示し、「屠殺・解体により生産した畜肉→直ちに「0℃以下の未凍結温度」」したものと、「屠殺・解体により生産した畜肉→直ちに「冷蔵(+5℃)」」したものとでは、鮮度、品質に差があることを主張する((5)比較試験の提示、の項)

しかしながら、刊行物1に、「屠殺・解体により生産した畜肉素材を直ちに0℃以下の未凍結温度領域中に保存したもの」が記載されていることは、上記「1.」に示したとおりであるから、請求人の上記(1)の主張は刊行物1の記載に基づく主張ではなく、また、「屠殺・解体により生産した畜肉→直ちに「0℃以下の未凍結温度」にした」という点で本願発明と引用発明とは差異がないのであるから、請求人の上記(2)の主張も、引用発明との差異を説明するための試験例とはいえない。
したがって、請求人の主張は失当であり、採用することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、その余のことを検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-30 
結審通知日 2009-04-01 
審決日 2009-04-15 
出願番号 特願平9-219076
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A23B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 恵理子中島 庸子  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 唐木 以知良
橋本 栄和
発明の名称 高鮮度・高品質の食品流通加工方法  
代理人 須藤 政彦  

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