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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65G
管理番号 1198397
審判番号 無効2008-800194  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-10-01 
確定日 2009-06-01 
事件の表示 上記当事者間の特許第4006288号発明「容器搬送装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第4006288号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、特願2002-218628号(平成14年7月26日出願)であり、平成19年8月31日にその発明について特許の設定登録(請求項の数5)されたものである。
そして、本件特許について平成20年10月1日付けで請求人澁谷工業株式会社より無効審判が請求され、平成20年12月19日付けで被請求人三菱重工食品包装機械株式会社より答弁書が提出されたものである。
本件については、さらに、平成21年2月13日に口頭審理が行われ、同日付けで請求人及び被請求人より口頭審理陳述要領書が提出された。

第2.本件特許発明
本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1ないし5に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」という。)。
「【請求項1】
搬送速度の異なるコンベア間で容器を移送する容器搬送装置であって、
前記容器を搬送する第1の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアよりも下流側に設けられる第2の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアにわたって前記容器の搬送路を形成するガイドと、を有し、
前記ガイドは、
前記第1の搬送コンベアによって搬送される前記容器が衝突する第1の領域と、
前記第1の領域よりも下流側に設けられ、前記容器が前記第1の搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した方向に移動する第2の領域と、
前記第2の領域よりも下流側に設けられ、前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアへと前記容器を受け渡す第3の領域とを有し、
前記第1の領域の前記第1の搬送コンベアに対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成され、
前記容器の倒壜速度をV_(fall)、当該容器と前記ガイドとの間の摩擦係数をμ_(gd)、
当該容器と前記ガイドとの間の反発係数をe、前記第1の搬送コンベアの速度をv、前記第1の領域における傾斜角度をθ1とすると、Sinθ1を、
【数1】


の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項2】
前記容器と前記第1の搬送コンベアとの摺動速度をv_(r)、前記搬送方向に対する当該第1の搬送コンベア上における当該容器の摺動方向の角度をβ、当該容器が前記第1の領域に沿って搬送される速度をv_(gd)、当該容器と当該第1の搬送コンベアとの間の摩擦係数をμ_(cn)、重力加速度をg、当該第1の領域に容器が衝突する位置から倒壜が起こりかねない区間の長さをL_(g)とすると、当該第1の領域の長さL_(1)を、
【数2】
L_(1)≧Lg=2v_(r)(v-v_(r)・Cosβ)/e/(1-e)/(μ_(gd)・g)/Cosθ_(1)
とすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記第2の領域の前記第1の領域との接続部近傍における前記第1の搬送コンベアに対する傾斜角度θ_(2)は、当該第1の領域の前記第1の搬送コンベアに対する前記傾斜角度θ_(1)よりも大きく形成され、かつ当該接続部近傍における曲率半径は、前記容器の半径よりも大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記第2の領域の前記第1の搬送コンベアに対する傾斜角度θ_(3)は、30°?50°の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記容器が前記第3の領域から離れ、前記第2の搬送コンベアの搬送方向に当該第2の搬送コンベアの搬送速度と同速度にて搬送されるまでの時間をt_(s)、当該搬送方向をx方向、当該搬送方向に対して垂直な方向をy方向とすると、前記第3の領域は、
【数3】
L_(x)(t)=(v-Cosβ・μ_(cn)・g・(t_(s)-t/2))・t
L_(y)(t)=Sinβ・μ_(cn)・g・(t_(s)-t/2)・t
で表される曲面形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。」

第3.請求人及び被請求人の主張の概略
第3-1.請求人の主張の概略
請求人は、「特許第4006288号発明の請求項1-5に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との趣旨で特許無効審判を請求し、概ね次の1.及び2.のように主張し、証拠方法として審判請求時に甲第1号証及び甲第2号証を提出した。また、平成21年2月13日の口頭審理において、同日付で口頭審理陳述要領書を提出し、次の3.のように主張している。
1.本件特許発明1ないし本件特許発明4は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、又は、本件特許発明1ないし本件特許発明5に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び公知の技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、したがって同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
2.請求人は、審判請求書において、本件特許発明1ないし本件特許発明5を構成要件Aないし構成要件Nに分節し、当該構成要件Aないし構成要件Nと甲第1号証又は甲第2号証との対比を行い、本件特許発明1ないし本件特許発明5と甲第1号証又は甲第2号証との一致点及び相違点の抽出を行い、「甲第1号証又は甲第2号証には構成要件Aないし構成要件Nが記載されている。また、数式自体は記載されていないが、その数式の範囲に入るものが出願前に公知であった。
特に、本願発明のガイドの傾斜角度は理論的に0?90度の範囲をとることが可能であり、従来公知の甲第1号証に記載されたガイドも0?90度の範囲内に設定されており、また、実験によっても明らかであるから、第1の領域における傾斜角度θ1は新規性を有するものではない。」と主張している。

〈証拠方法〉
甲第1号証:実願平1-98283号(実開平3-38822号)のマイクロフイルム
甲第2号証:特開昭57-42413号公報

3.請求人は、平成21年2月13日付け口頭審理陳述要領書において、甲第1号証及び甲第2号証に記載された装置は倒壜を起こさないようにガイドの傾斜角度θ1や、第1搬送コンベアの速度vを設定できることは当然であり、第1搬送コンベアの速度vを高速としたときにガイドの傾斜角度θ1を小さくしなければならないことは、本件特許出願の前から当業者により普通に行われていた事項である。また、下記の資料1ないし3を示し、【数1】に含まれる装置が公知であったと主張している。

<参考資料>
資料1:【数1】における種々のパラメータを具体的数値として設定して、【数1】からSinθ1の値を求めた計算結果を示す表
資料2:ツバキ山久チエイン株式会社のホームページに表示されている摩擦係数の表
資料3:特開昭62-100316号公報

第3-2.被請求人の主張の概略
これに対して、被請求人は、平成20年12月19日付け答弁書において「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」との主張をするとともに、概ね次の1.のように主張している。また、平成21年2月13日の口頭審理において、同日付で口頭審理陳述要領書を提出し、次の2.のように主張している。

1.請求人の甲第1号証に本件特許発明の構成要件EないしHについて開示されているとする主張は漠然としていて具体的な指摘がされていない。甲第1号証及び甲第2号証は、「倒壜」を起こすような「衝突」を考慮したものではなく、甲第1号証及び甲第2号証の装置は、「倒壜を起こさない容器集合装置」であるか否かは不明である。甲第1号証には【数1】のパラメータに関する数値が記載されていないから、第1の領域における傾斜角度θ1が甲第1号証に記載されているという請求人の主張は失当である。

2.甲第1号証及び甲第2号証に記載された装置は、本件特許発明が前提とする「倒壜」を起こすような「衝突」を考慮したものではない。

第4.本件特許発明1についての当審の判断
当審では、まず、本件特許発明1が、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しているか、あるいは、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び公知の技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反しているかについて検討し、次に、本件特許発明2ないし本件特許発明5についても本件特許発明1と同様に検討する。

第4-1.本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものといえるか、あるいは、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び公知の技術に基づいて当業者が容易に発明ができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものといえるかについての検討

1.甲第1号証記載の発明
甲第1号証には、以下の記載がある。
ア)「このような容器集合装置は、第2図に示されたように平行な複数列の供給コンベア1、2、3と、これに並置された平行な複数列の一列化コンベア4、5、6、7、8、9と、これらの供給コンベアと一列化コンベアとに対してこれらを横切るように斜めに配置されたガイド部材10と、搬出コンベア11とから構成されている。複数列の供給コンベア1、2、3によって搬送された複数列の容器Aは、ガイド部材10に沿って一列化コンベア4、5、6、7、8、9に案内される。複数列の一列化コンベア4、5、6、7、8、9は、走行速度が供給コンベア1、2、3から遠ざかるにつれて高速になるように定められているので、ガイド部材10によって案内された容器Aの間隔を徐々に開きながらそれらの間に容器Aを挿入して容器の集合一列化を行っている。搬出コンベア11はこうして集合一列化された容器Aを次の工程に適合した速度でもって搬出する。」(明細書第3ページ第11行ないし同4ページ第8行)

イ)「供給コンベア1、2、3と一列化コンベア4、5、6、7、8、9とには各コンベアを斜めに横切るようにガイド部材10が配置されている。」(明細書第9ページ第18行ないし同第20行)

ウ)「供給コンベア1、2、3の各々には複数の容器Aが互いに連接状態で載置される。各供給コンベア1、2、3によって搬送された複数の列の容器Aは、斜設のガイド部材10に当接しこのガイド部材10に沿って向きを変えて、このガイド部材10に接触した内側容器列とその外側の二列またはそれ以上の多列または入り混じった多列の外側容器列とに変化して一列化コンベア列に移送される。」(明細書第10ページ第5行ないし同第13行)

エ)上記ア)の記載及び図2からみて、甲第1号証に記載された従来の容器集合装置は、供給コンベア1から前記一列化コンベア4、5、6、7、8、9にわたって前記容器Aの搬送路を形成するガイド部材10を有していることが分かる。

オ)上記ア)ないしエ)の記載並びに図1及び図2の記載からみて、図1及び図2における供給コンベア1及びガイド部材10は、それぞれ同じように供給コンベアに対して横切るように斜めに配置されているから、図2の容器集合装置において図1と同様の構成の部分では、図2における容器Aは、図1における容器Aと同様の動きをするものであると認められる。

カ)上記イ)及びエ)から、図1の容器集合装置において、容器Aはガイド部材10に当接するものであるから、図2の容器集合装置においても、容器Aは供給コンベア1を横切るガイド部材10に当接する領域があることが推認され、これを「所定領域1」という。

キ)上記イ)並びに図1及び図2から、甲第1号証に記載された容器集合装置において、容器Aは供給コンベア1から一列化コンベア4、5、6、7、8、9までの区間の上部の領域で斜設のガイド部材10に沿って供給コンベア1の搬送方向に対して傾斜した方向に移動するものであり、当該領域を「所定領域2」という。

ク)上記ア)及び図2より、ガイド部材10は、上記所定領域2よりも下流側に設けられ、供給コンベア1から一列化コンベア4、5、6、7、8、9へと容器Aを受け渡す一列化コンベア4、5、6、7、8、9の上部の領域を有することが分かり、当該領域を「所定領域3」という。

ケ)上記ア)及び図2からみて、ガイド部材10は、所定領域1の供給コンベア1に対する傾斜角度は、搬送方向に対して鋭角に形成されていることが分かる。

上記ア)ないしケ)並びに図1及び図2より、甲第1号証には、次の発明が記載されているといえる。
「走行速度の異なるコンベア間で容器Aを案内する容器集合装置であって、
前記容器Aを搬送する供給コンベア1と、
前記供給コンベア1よりも下流側に設けられる一列化コンベア4、5、6、7、8、9と、
前記供給コンベア1から前記一列化コンベア4、5、6、7、8、9にわたって前記容器Aの搬送路を形成するガイド部材10と、を有し
前記ガイド部材10は、
前記供給コンベア1によって搬送される前記容器Aが当接する所定領域1と、
前記所定領域1よりも下流側に設けられ、前記容器Aが前記供給コンベア1の搬送方向に対して傾斜した方向に移動する所定領域2と、
前記所定領域2よりも下流側に設けられ、前記供給コンベア1から前記一列化コンベア4、5、6、7、8、9へと容器Aを受け渡す所定領域3とを有し、
前記所定領域1の前記供給コンベア1に対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成された容器集合装置。」(以下、「甲第1号証記載の発明」という。)

2.本件特許発明1と甲第1号証記載の発明との対比
本件特許発明1と甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明における「走行速度」は、本件特許発明1における「搬送速度」に相当する。以下、同様に「容器A」は「容器」に、「案内」は「移送」に、「供給コンベア1」は「第1の搬送コンベア」に、「一列化コンベア4、5、6、7、8、9」は「第2の搬送コンベア」に、「ガイド部材10」は「ガイド」に、「所定領域1」は「第1の領域」に、「所定領域2」は「第2の領域」に、「所定領域3」は「第3の領域」にそれぞれ相当する。甲第1号証記載の発明は、容器を集合させるために容器の搬送を行っているから、甲第1号証記載の発明における「容器集合装置」は、本件特許発明1における「容器搬送装置」に相当する。
また、甲第1号証記載の発明において、容器Aの走行方向は、ガイド部材10に当接して方向が変わるのであるから、容器Aとガイド部材10とは何らかの状態で「衝突」が生じているものと認められるから、甲第1号証記載された発明における「当接」は、本件特許発明1における「衝突」に相当する。
そうしてみると、本件特許発明1と甲第1号証記載の発明とは、
「搬送速度の異なるコンベア間で容器を移送する容器搬送装置であって、
前記容器を搬送する第1の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアよりも下流側に設けられる第2の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアにわたって前記容器の搬送路を形成するガイドと、を有し、
前記ガイドは、
前記第1の搬送コンベアによって搬送される前記容器が衝突する第1の領域と、
前記第1の領域よりも下流側に設けられ、前記容器が前記第1の搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した方向に移動する第2の領域と、
前記第2の領域よりも下流側に設けられ、前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアへと前記容器を受け渡す第3の領域とを有し、
前記第1の領域の前記第1の搬送コンベアに対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成された容器搬送装置。」で一致し、次の点で相違する。

相違点1
本件特許発明1は、「容器の倒壜速度をV_(fall)、当該容器と前記ガイドとの間の摩擦係数をμ_(gd)、当該容器と前記ガイドとの間の反発係数をe、前記第1の搬送コンベアの速度をv、前記第1の領域における傾斜角度をθ1」とすると、「Sinθ1」が【数1】の式で示された範囲内にあるのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド部材10の傾斜角度が【数1】の式で示されるような範囲内にあるかどうか不明な点。

3.相違点1についての検討
まず、甲第1号証には、ガイドの傾斜角度について【数1】に相当することを明示するような記載がないことについて、請求人は審判請求書において認めているが、一方で、結果的に本件特許発明1のガイドの傾斜角度は、公知の範囲を含まざるを得ないものであるから、結局本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であって新規性が否定されると主張している。
以下、請求人の主張について検討する。
請求人は、審判請求書の(イB-6)において、【数1】で定義されたガイドの傾斜角度は、倒壜を起こすことがない従来公知の全ての傾斜角度を含んでいるとし、仮想的な搬送速度を設定し一般的な論理の展開を行い本件特許発明1がとり得るガイドの傾斜角度を論じ、本件特許発明1の新規性を否定する主張をしている。しかしながら、当該主張は、甲第1号証記載の発明に根拠を有するものではないので、本件特許発明1が甲第1号証記載の発明であるという主張の理由にはなり得ないものである。
また、審判請求書の(イB-8)に記載する実験によって実測に基づくとする数値による立証については、その測定方法が明らかでなく、甲第1号証記載の発明について再現又は実測したものとはいえないものであり、当該数値に基づいて算出された【数1】の式による計算結果を甲第1号証記載の発明が有するものであったとはいえない。
したがって、上記一般的な考察及び実験による計算結果を勘案したとしても、甲第1号証記載の発明において、そのガイド部が本件特許発明1に規定する【数1】の式の範囲に該当する傾斜角度であったとする主張は、根拠のないものといわざるを得ない。
また、請求人は、上記口頭審理陳述要領書において、甲第1号証記載の発明が倒壜を起こさないようにガイドの傾斜角度や搬送コンベアの速度を設定できることは、当然なことであり、また仮に甲第1号証記載の発明において、搬送コンベアの速度をある速度に設定したときに倒壜を起こすものであれば、その速度において倒壜を起こさないように、トライアンドエラーによってガイドの傾斜角度を設定することは、当業者にとって普通に行われていたことであるから、甲第1号証記載の発明は、倒壜を起こさない装置であると主張している。しかしながら、当該主張は、甲第1号証記載の発明が本件特許発明1に規定する傾斜角度のとり得る可能性について一般的に論ずるにすぎず、具体的に甲第1号証記載の発明におけるガイド部材の傾斜角が本件特許発明1の【数1】の式の範囲内となっていたか、あるいは、甲第1号証記載の発明が倒壜を起こさないように運転されていたというような具体的な事実を示すものではないから、そのような仮想的な主張を根拠に、本件特許発明1の新規性を論ずることはできない。
さらに、請求人は、資料1ないし3を上記口頭審理陳述要領書に添付して提出したので、これらについて次に検討する。
最初に、資料3は、新たに提示された壜類の整列方法並びに装置に関する特許公報であるが、当該資料3に記載された装置は、甲第1号証記載の発明とは全く異なるものであり、甲第1号証記載の発明が資料3に記載された装置と同じ条件で運転されていたとする根拠はない。
次に、資料2は、摩擦係数について件外第3者のホームページから入手し、印刷したものであるが、当該摩擦係数の意味は本件特許発明1に規定する容器とガイドとの摩擦係数とは異なるものであり、しかも、資料2の内容が本件特許の出願前において公然と知られていたとする根拠もなく、資料2に記載されたものが甲第1号証記載の発明に関する数値であるとする根拠もない。
最後に、資料1は、現存する容器(ビール瓶、PETボトル、ビール缶)について径等を測定し、本件特許発明1に規定する数式について計算を行ったと主張するものであるが、上記資料2及び資料3に記載されたことに基づいたものであり、資料2及び資料3が前記のとおり甲第1号証記載の発明とは関係がないものである以上、当該計算によって算出された値が甲第1号証記載の発明のものであるとすることはできない。

そうすると、資料1ないし3に記載された事項が、甲第1号証記載の発明に関するものであったといえる根拠は見い出せず、甲第1号証記載の発明が本件特許発明1に規定する要件を満たすとする請求人の主張は根拠のないものといわざるを得ない。
以上のとおり、請求人の審判請求書における主張及び口頭審理陳述要領書における主張は、いずれもその根拠がないまま無効を主張するものであって、何ら事実に基づくものではないから、とうてい首肯できるものではない。

以上のとおりであるから、甲第1号証記載の発明と本件特許発明とは相違点1で相違し、そして、本件特許発明1は、「本件明細書【図3】ないし【図5】等に示されるモデルにおいて生ずるようなガイドとの衝突によって起こされる倒壜を防止する」という課題を解決するものであり、そして「搬送速度が異なるコンベア間において壜の移送を行う場合であっても、倒壜を起こすことなく壜の搬送および移送を行うことのできる容器搬送装置を提供することができる。」という格別な効果を奏するものであるから、本件特許発明は甲第1号証記載の発明であるとはいえない。

また、請求人は、本件特許発明1は甲第1号証記載の発明及び公知の技術に基づいてその発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが本件特許出願前に容易に発明することができたと主張するが、上記口頭審理陳述要領書に添付された資料1及び資料2は上記のとおり本件特許発明の出願前において公知の技術を示すものとはいえないものであり、また、資料3については容器の搬送速度について一例を示すものにすぎない。
そうすると、請求人の公知の技術についての主張は根拠のないものといわざるを得ず、一方、本件特許発明1は、上記のとおり相応の効果を奏するものであるから、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明及び公知の技術に基づいてその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本件特許出願前に容易に発明することができたということはできない。

4.小括
したがって、甲第1号証記載の発明が、本件特許発明1であるとはいえないので、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものとはいえない。また、本件特許発明1は甲第1号証記載の発明及び公知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえないから、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない。

第4-2.本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものといえるか、あるいは、本件特許発明1は、甲第2号証記載の発明及び公知の技術に基づいて当業者が容易に発明ができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものといえるかについての検討

1.甲第2号証記載の発明
甲第2号証には、以下の記載がある。
タ)「以下図面に表わされた実施例によつて本発明を詳述する。方法実施のための装置は大体において広軌幅コンベヤ1、本来の分離部分2および狭軌幅コンベヤ3から成つている。広軌幅コンベヤ1の終りまたは分離部分2の前方部分において案内路線4が始まり、案内路線は先づ例へば45°の角度αに転向されそして続いて曲線状に狭軌幅コンベヤ3にいたるまで延びている。」(公報第3ページ右上欄第18行ないし同左下欄第5行)

チ)「数軌道で流入するビン7は先づ案内路線4に達し、そして経由してきた軌道、すなわち広軌幅コンベヤ1から出て案内路線4の、45°に屈撓した区間に沿い、分離部分2のフリ-の部分に転向させられそしてこの部分に生ずる速度変換によつて次に高い速度段階に変換され、それによつてピンは分離されそして次いでカ-ブ状の案内路線4に沿つて狭軌幅コンベヤ3の方向に運動させられる。」(公報第3ページ左下欄第15行ないし同右下欄第3行)

ツ)「さらに分離部分2のフリ-の部分における速度段階の相違によつて、夫々外方へ、すなわち案内路線4から押しやられたビンは案内路線4に接合する、ビンの路線内へ通されるようになる。分離部分2の終末において外側にあるプレートコンベヤまたはプレートコンベヤグループの速度は付設された内側のコンベヤに比べて低下され、それによつてビンは相互衝突することなしに密接して上方へ進む。」(公報第3ページ右下欄第3行ないし同第11行)

テ)上記タ)及びチ)並びに図面から次のことが分かる。
甲第2号証の装置は、「広軌幅コンベヤ1よりも下流側にプレートコンベヤが設けられ、前記広軌幅コンベヤ1から前記下流側にプレートコンベヤにわたってビンの搬送路を形成する案内路線4」を有している。

ト)上記タ)及び図面から次のことが分かる。
広軌幅コンベヤ1によって搬送されるビン7は、案内路線4に達するものであるから、案内路線4には、ビン7が接する領域があることが推認され、これを「所定領域A」という。また、前記所定領域Aよりも下流側に設けられ、前記ビン7が前記広軌幅コンベヤ1の搬送方向に対して傾斜した方向に移動する領域があるから、当該領域を「所定領域B」という。さらに、前記所定領域Bよりも下流側に設けられ、前記広軌幅コンベヤ1から狭軌幅コンベヤ3へと前記ビンを受け渡す領域があるから、当該領域を「所定領域C」という。
そうすると、案内路線4は、「広軌幅コンベヤ1によって搬送されるビンが接する広軌幅コンベヤ1上の所定領域Aと、前記所定領域Aよりも下流側に設けられ、前記ビンが前記広軌幅コンベヤ1の搬送方向に対して傾斜した方向に移動する先行のコンベヤ5上の所定領域Bと、前記所定領域Bよりも下流側に設けられ、前記広軌幅コンベヤ1から狭軌幅コンベヤ3へと前記ビンを受け渡す所定領域Cとを有し、前記所定領域Aの前記広軌幅コンベヤ1に対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成」されているといえる。

ナ)「この課題は頭初に述べた種類の方法において本発明に基づき、数軌道で流入する容器は分離部分の範囲において、先づ40?90°の角度範囲内で本来の推進方向に対し横に押し出され」(公報第2ページ右下欄第14行ないし同第17行)

ニ)「分離部分2の、案内路線4に対向する側は少なくとも部分的に開放されていて、倒れたようなビンを排除することができる、この措置はなお、分離部分2の平面が全部開放された側に向つて僅かだけ傾斜していることによつて支援される。」(公報第3ページ左下欄第9行ないし同第14行)

上記タ)ないしニ)から、甲第2号証には、以下の発明が記載されているといえる。
「搬送速度の異なるコンベヤ間でビンを移送する装置であって、
前記ビンを搬送する広軌幅コンベヤ1と、
広軌幅コンベヤ1よりも下流側にプレートコンベヤが設けられ、前記広軌幅コンベヤ1から前記下流側にプレートコンベヤにわたってビンの搬送路を形成する案内路線4と、を有し、
前記案内路線4は、広軌幅コンベヤ1によって搬送されるビンが接する所定領域Aと、前記所定領域Aよりも下流側に設けられ、前記ビンが前記広軌幅コンベヤ1の搬送方向に対して傾斜した方向に移動する所定領域Bと、前記所定領域Bよりも下流側に設けられ、前記広軌幅コンベヤ1から狭軌幅コンベヤ3へと前記ビンを受け渡す所定領域Cとを有し、前記所定領域Aの前記広軌幅コンベヤ1に対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成されている装置。」(以下、「甲第2号証記載の発明」という。)

2.本件特許発明1と甲第2号証記載の発明との対比
本件特許発明1と甲第2号証記載の発明とを対比すると、甲第2号証記載の発明における「コンベヤ」は、本件特許発明1における「コンベア」に相当する。以下、同様に「ビン」は「容器」に、「広軌幅コンベヤ1」は「第1の搬送コンベア」に、「狭軌幅コンベヤ3」は「第2の搬送コンベア」に、「案内路線4」は「ガイド」に、「所定領域A」は「第1の領域」に、「所定領域B」は「第2の領域」に、「所定領域C」は「第3の領域」にそれぞれ相当する。甲第2号証記載の装置は、ビンをコンベアにより搬送を行っているので、甲第2号証記載の発明における「装置」は本件特許発明1における「容器搬送装置」に相当する。
また、甲第2号証記載の発明において、ビンと案内路線4とは、ある角度をもって「当たる」ものであるから、ビンと案内路線4とは何らかの状態で「衝突」するものと認められるから、甲第2号証記載された発明における「当たる」は、本件特許発明1における「衝突」に相当する。
そうしてみると、本件特許発明1と甲第2号証記載の発明とは、
「搬送速度の異なるコンベア間で容器を移送する容器搬送装置であって、
前記容器を搬送する第1の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアよりも下流側に設けられる第2の搬送コンベアと、
前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアにわたって前記容器の搬送路を形成するガイドと、を有し、
前記ガイドは、
前記第1の搬送コンベアによって搬送される前記容器が衝突する第1の領域と、
前記第1の領域よりも下流側に設けられ、前記容器が前記第1の搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した方向に移動する第2の領域と、
前記第2の領域よりも下流側に設けられ、前記第1の搬送コンベアから前記第2の搬送コンベアへと前記容器を受け渡す第3の領域とを有し、
前記第1の領域の前記第1の搬送コンベアに対する傾斜角度は前記搬送方向に対して鋭角に形成された容器搬送装置」で一致し、次の点で相違する。

相違点2
本件特許発明1は、「容器の倒壜速度をV_(fall)、当該容器と前記ガイドとの間の摩擦係数をμ_(gd)、当該容器と前記ガイドとの間の反発係数をe、前記第1の搬送コンベアの速度をv、前記第1の領域における傾斜角度をθ1」とすると、「Sinθ1」が【数1】の式で示された範囲内であるのに対して、甲第2号証記載の発明は、案内路線4の傾斜角度が【数1】の式で示されるような範囲内にあるかどうか不明な点。

3.相違点についての検討
まず、甲第2号証には、ガイドの傾斜角度について【数1】に相当することを明示するような記載がないことについて、請求人は審判請求書において認めているが、一方で、結果的に本件特許発明1のガイドの傾斜角度は、公知の範囲を含まざるを得ないものであるから、結局本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であって新規性が否定されると主張している。
以下、請求人の主張について検討する。
請求人は、審判請求書の(イB-6)において、【数1】で定義されたガイドの傾斜角度は、倒壜を起こすことがない従来公知の全ての傾斜角度を含んでいるとし、仮想的な搬送速度を設定し一般的な論理の展開を行い本件特許発明1がとり得るガイドの傾斜角度を論じ、本件特許発明1の新規性を否定する主張をしている。しかしながら、当該主張は、甲第1号証記載の発明に根拠を有するものではないので、本件特許発明1が甲第2号証記載の発明であるとする理由にはなり得ないものである。
また、審判請求書の(イB-8)に記載する実験によって実測に基づくとする数値による立証については、その測定方法が明らかでなく、甲第2号証記載の発明について再現又は実測したものとはいえないものであり、当該数値に基づいて算出された【数1】の式による計算結果が甲第2号証記載の発明が有していたものであったとはいえない。
したがって、上記一般的な考察及び実験による計算結果を勘案したとしても、甲第2号証記載の発明において、そのガイド部が本件特許発明1に規定する【数1】の式の範囲に該当する傾斜角度であったとする主張は、根拠のないものといわざるを得ない。
また、請求人は、上記口頭審理陳述要領書において、甲第2号証記載の発明が倒壜を起こさないようにガイドの傾斜角度や搬送コンベアの速度を設定できることは、当然なことであり、また仮に甲第2号証記載の発明において、搬送コンベアの速度をある速度に設定したときに倒壜を起こすものであれば、その速度において倒壜を起こさないように、トライアンドエラーによってガイドの傾斜角度を設定することは、当業者にとって普通に行われていたことであるから、甲第2号証記載の発明には倒壜を起こさない装置であると主張している。しかしながら、当該主張は、甲第2号証記載の発明が本件特許発明1に規定する傾斜角度のとり得る可能性について一般的に論ずるにすぎず、具体的に甲第2号証記載の発明におけるガイド部材の傾斜角が本件特許発明1の【数1】の式の範囲内となっていたか、あるいは、甲第2号証記載の発明が倒壜を起こさないように運転されていたというような具体的な事実を示すものではないから、そのような仮想的な主張を根拠に、本件特許発明1の新規性を論ずることはできない。
さらに、請求人は、資料1ないし3を口頭審理陳述要領書に添付して提出したので、これらについて次に検討する。
最初に、資料3は、新たに提示された壜類の整列方法並びに装置に関する特許公報であるが、当該資料3に記載された装置は、甲第2号証記載の発明とは全く異なるものであり、甲第2号証記載の発明が資料3に記載された装置と同様であったか、あるいは、資料3に記載されたような条件で運転されていたとする根拠はない。
次に、資料2は、摩擦係数について件外第3者のホームページから入手し、印刷したものであるが、当該摩擦係数の意味は本件特許発明1に規定する容器とガイドとの摩擦係数とは異なるものであり、しかも、資料2の内容が本件特許出願前において公然と知られていたとする根拠もなく、資料2に記載されたものが甲第2号証記載の発明に関する数値であったとする根拠もない。
最後に、資料1は、現存する容器(ビール瓶、PETボトル、ビール缶)について径等を測定し、本件特許発明1に規定する数式について計算を行ったと主張するものであるが、上記資料2及び資料3に記載されたことに基づいて説明を行うものであり、資料2及び資料3については、前記のとおり甲第2号証記載の発明とは関係がないものである以上、当該計算によって算出された値が甲第2号証記載の発明のものであるとすることはできない。
そうすると、資料1ないし3に記載された事項が、甲第2号証記載の発明に関するものであったといえる根拠は見い出せず、甲第2号証記載の発明が本件特許発明1に規定する要件を満たすとする請求人の主張は根拠のないものといわざるを得ない。
以上のとおり、請求人の審判請求書における主張及び口頭審理陳述要領書における主張は、いずれもその根拠がないまま無効を主張するものであって、何ら事実に基づくものではないから、とうてい首肯できるものではない。

以上のとおりであるから、甲第2号証記載の発明と本件特許発明とは相違点2で相違し、そして、本件特許発明1は、「本件明細書【図3】ないし【図5】等に示されるモデルにおいて生ずるようなガイドとの衝突によって起こされる倒壜を防止する」という課題を解決するものであり、そして「搬送速度が異なるコンベア間において壜の移送を行う場合であっても、倒壜を起こすことなく壜の搬送および移送を行うことのできる容器搬送装置を提供することができる。」という格別な効果を奏するものであるから、本件特許発明は甲第2号証記載の発明であるとはいえない。

また、請求人は、本件特許発明1は甲第2号証記載の発明及び公知の技術に基づいてその発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが本件特許出願前に容易に発明することができたと主張するが、上記口頭審理陳述要領書に添付された資料1及び資料2は上記のとおり本件特許発明の出願前において公知の技術を示すものとはいえないものであり、また、資料3については容器の搬送速度について一例を示すものにすぎない。
そうすると、請求人の公知の技術についての主張は根拠のないものといわざるを得ず、一方、本件特許発明1は、上記のとおり相応の効果を奏するものであるから、本件特許発明1は、甲第2号証記載の発明及び公知の技術に基づいてその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本件特許出願前に容易に発明することができたということはできない。

4.小括
したがって、甲第2号証記載の発明が、本件特許発明1であるとはいえないので、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものとはいえない。また、本件特許発明1は、甲第2号証記載の発明及び公知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない。
また、甲第1号証記載の発明に甲第2号証記載の発明をどのように組み合わせたとしても、依然として上記相違点1または相違点2について、当業者が容易に発明したものとはいえない。

第4-3.結論
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明により、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し同規定に違反して特許された、又は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない。

第5.本件特許発明2ないし本件特許発明5についての判断
本件特許発明2ないし本件特許発明4は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しているか、又は、本件特許発明2ないし本件特許発明5は、甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明及び公知の技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反しているかについての検討する。

1.検討
第4で検討したとおり、本件特許発明1は甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明に対して相違点を有し新規性を有している。そして本件特許発明2ないし本件特許発明4は、本件特許発明1を引用してさらに発明特定事項を限定するものであり、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明と比べると本件特許発明1と同様の相違点及び発明の奏する効果を有するものであるから、本件特許発明2ないし本件特許発明4も、甲第1号証及び甲第2号証に対して新規性を有しているといえる。
同様に、本件特許発明1は甲第1号証記載の発明及び甲第2号証記載の発明並びに公知の技術に対して進歩性を有している。そして本件特許発明2ないし本件特許発明5は、本件特許発明1を引用してさらに発明特定事項を限定するものであり、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明と比べると本件特許発明1と同様の相違点及び発明の奏する効果を有するものであるから、本件特許発明2ないし本件特許発明5も、甲第1号証及び甲第2号証並びに公知の技術に対して進歩性を有しているといえる。

2.小括
以上のとおりであるから、本件特許発明2ないし本件特許発明4は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し同規定に違反して特許された、又は、本件特許発明2ないし本件特許発明5は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、審判請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1ないし本件特許発明5を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-19 
結審通知日 2009-03-24 
審決日 2009-04-20 
出願番号 特願2002-218628(P2002-218628)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 見目 省二  
特許庁審判長 早野 公惠
特許庁審判官 金澤 俊郎
莊司 英史
登録日 2007-08-31 
登録番号 特許第4006288号(P4006288)
発明の名称 容器搬送装置  
代理人 太田 司  
代理人 神崎 真  
代理人 中村 守  
代理人 神崎 真一郎  

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