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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1198623 |
審判番号 | 不服2007-10689 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-04-12 |
確定日 | 2009-06-30 |
事件の表示 | 特願2003- 21285「情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムおよび記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月19日出願公開、特開2004-234272、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年1月30日の出願であって、平成19年3月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年4月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年5月10日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成19年5月10日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔結論〕 平成19年5月10日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1.本件補正 平成19年5月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲第1乃至9項の補正を含むものであって、 本件補正前の特許請求の範囲第1項、すなわち、 「 【請求項1】 コンテンツを利用するライセンスを提供するライセンスサーバと、 前記ライセンスサーバから提供されたライセンスに基づき、コンテンツを利用する端末と を備える情報処理システムにおいて、 前記ライセンスサーバは、 前記端末にライセンス照会要求を送信する第1の送信手段 を有し、 前記端末は、 ライセンスを記憶する記憶手段と、 前記ライセンスサーバからライセンス照会要求を受信する受信手段と、 前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する判定手段と、 前記判定手段により、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複すると判定されたとき、前記ライセンスサーバに要求されるライセンスが既に有するライセンスと重複する旨のライセンス重複を、前記ライセンスサーバへ送信する第2の送信手段と を有する ことを特徴とする情報処理システム。」 であったものを、本件補正後の特許請求の範囲第1項、すなわち、 「 【請求項1】 コンテンツを利用するライセンスを提供するライセンスサーバと、 前記ライセンスサーバから提供されたライセンスに基づき、コンテンツを利用する端末と を備える情報処理システムにおいて、 前記ライセンスサーバは、 前記端末にライセンス照会要求を送信する第1の送信手段 を有し、 前記端末は、 ライセンスを記憶する記憶手段と、 前記ライセンスサーバからライセンス照会要求を受信する受信手段と、 前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報のコンテンツ識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報に含まれる複数のコンテンツ識別情報の1つと、一致するかどうかを判定する判定手段と、 前記判定手段により、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報のコンテンツ識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報に含まれる複数のコンテンツ識別情報の1つと、一致すると判定されたとき、前記ライセンスサーバに要求されるライセンスが既に有するライセンスと重複する旨のライセンス重複を、前記ライセンスサーバへ送信する第2の送信手段と を有する ことを特徴とする情報処理システム。」 に補正することを含む。 つまり、本件補正は、 「前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する判定手段」を 「前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報のコンテンツ識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報に含まれる複数のコンテンツ識別情報の1つと、一致するかどうかを判定する判定手段」 に変更する補正(以下、「本件補正事項」という。)を含む。 2.本件補正事項に対する判断 (1) 本件補正事項が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2(以下、単に「特許法第17条の2」という)第4項第1号に規定された「請求項の削除」に該当しないことは明らかである。 (2) 本件補正事項にあるように、「前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する」ことから、「前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報のコンテンツ識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報に含まれる複数のコンテンツ識別情報の1つと、一致するかどうかを判定する」ことに変更するということは、 (「コンテンツ識別情報」を含む)「ライセンス識別情報」について判定していたものから、「コンテンツ識別情報」以外の「ライセンス識別情報」についての判定は行わなくてもよいものに変更されたこと(すなわち、「コンテンツ識別情報」以外の「ライセンス識別情報」について判定を行うための構成が削除されたこと)を意味しているのであるから、 特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。 このことは、本件補正前の「前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する」ことに関する本願明細書の記載、すなわち、 「 【0097】 以上のように、利用規則には、ライセンスによってコンテンツを利用するときの様々な制限を記述することができるので、ライセンスどうしの間には種々の重複が生じることがある。 【0098】 まず、ライセンスの重複は、同一のコンテンツIDを含むライセンスどうしの間で生じうる。即ち、ある2つのライセンスそれぞれに含まれるコンテンツIDが異なる場合には、その2つのライセンスは、異なるコンテンツを利用するのに必要なものであるから、ライセンスの重複は生じない。従って、ライセンスの重複が生じるのは、ある2つのライセンスが、同一のコンテンツIDを含む場合だけである。 【0099】 さらに、ライセンスの重複には、種々の態様がある。 【0100】 即ち、ライセンスの重複には、大きく分けて、ライセンスが完全に重複する場合と、ライセンスの一部が重複する場合とがある。 【0101】 ライセンスが完全に重複する場合とは、ある2つのライセンスにおいて、それぞれの利用規則が完全に一致する場合である。 【0102】 ライセンスの一部が重複する場合とは、ある2つのライセンスにおいて、それぞれの利用規則の一部の項目の内容が一致する場合や、それぞれの利用規則のある項目の内容の一部が重複する場合を意味する。 【0103】 即ち、ある2つのライセンスL1とL2について、それぞれの利用規則の一部の項目の内容が一致する場合とは、ライセンスL1とL2が完全に重複してはいないが、例えば、ライセンスL1の利用規則の項目「視聴期間/回数」において、コンテンツを再生することができる期間が、「2003年1月1日から1年間」と規定されており、ライセンスL2の利用規則の項目「視聴期間/回数」においても、コンテンツを再生することができる期間が、「2003年1月1日から1年間」と規定されている場合である。 【0104】 また、ある2つのライセンスL1とL2について、それぞれの利用規則の一部の項目の内容が重複する場合とは、例えば、ライセンスL1の利用規則の項目「視聴期間/回数」において、コンテンツを再生することができる期間が、「2003年1月1日から1年間」と規定されており、ライセンスL2の利用規則の項目「視聴期間/回数」において、コンテンツを再生することができる期間が、「2003年7月1日から1年間」と規定されている場合である。この場合、ライセンスL1とL2は、コンテンツを2003年7月1日から同年12月31までの期間再生することができる点において重複する。 【0105】 さらに、例えば、ライセンスL1の利用規則の項目「視聴可能地域」において、コンテンツを再生することができる地域が、「日本」と規定されており、ライセンスL2の利用規則の項目「視聴可能地域」において、コンテンツを再生することができる地域が、「アジア」と規定されている場合も、ライセンスL1とL2の利用規則の一部の項目の内容が重複する場合に該当する。即ち、この場合、ライセンスL1とL2は、コンテンツを日本という地域で再生することができる点において重複する。但し、いまのケースでは、説明を簡単にするために、コンテンツを再生することができる期間は、特に制限されていないものとする。」 (なお、下線部は当審において付加) という、「重複」の判定対象はコンテンツ識別情報ではなく「利用規則」である旨の定義からも裏付けられる。 (3) 本件補正前の「前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する判定手段」という記載に誤記はない。 したがって、本件補正事項は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しない。 (4) 本件補正前の「前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する判定手段」という記載は明りょうである。 なお、このことは、平成18年12月14日付けの拒絶理由通知書で指摘された、特許法第36条第6項第2号違反に関する拒絶理由Cは、本件補正の前に提出された平成19年2月14日付けの手続補正書が提出されることによって解消されたため、平成19年3月8日付けの拒絶査定の理由となっていないことからも裏付けられる。 (つまり、本件補正前の特許請求の範囲第1項に対して、「明りょうでない記載」に対する「釈明」は求められていない。) したがって、本件補正前の「前記受信手段がライセンス照会要求を受信すると、前記ライセンス照会要求に含まれるライセンス識別情報が、前記記憶手段に記憶されたライセンスのライセンス識別情報と、一部又は完全に重複するかどうかを判定する判定手段」という記載は明りょうであるのであるから、 本件補正事項は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。 3.むすび したがって、本件補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至9に係る発明は、平成19年2月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認められる。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2009-06-18 |
出願番号 | 特願2003-21285(P2003-21285) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
P 1 8・ 572- WY (G06Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松田 直也 |
特許庁審判長 |
田口 英雄 |
特許庁審判官 |
和田 財太 立川 功 |
発明の名称 | 情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムおよび記録媒体 |
代理人 | 稲本 義雄 |