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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1198662
審判番号 不服2006-23204  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-12 
確定日 2009-06-08 
事件の表示 特願2001-168478「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月17日出願公開、特開2002-360840〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成13年6月4日の特許出願であって、平成18年9月11日付けで拒絶査定がされたのに対し、同年10月12日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年11月6日付けで明細書についての手続補正書(以下、「審判第1補正」という。)が提出されたものである。当審においてこれを審理した結果、平成21年1月13日付けで前記審判第1補正を却下するとともに、同日付けで拒絶理由を通知したところ、平成21年3月16日付けで意見書と手続補正書(以下、「審判第2補正」という。)が提出された。


2.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、審判第2補正により補正された明細書の特許請求の範囲における【請求項1】の記載により特定されるべきものであり、その記載は次のとおりである。

「図柄始動手段(17)と、この図柄始動手段(17)が遊技球を検出することを条件に数字で構成された遊技図柄を変動表示する図柄表示手段(21,60)と、図柄表示手段(21,60)に表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を抽選により決定する図柄決定手段(57)と、変動後に停止した遊技図柄が予め定められた特定態様となることを条件に遊技者に有利な第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段(53)と、この第1利益状態の終了後に遊技者に有利な第2利益状態を発生させるか否かを判定する判定手段(52)とを備えた弾球遊技機において、
前記判定手段(52)が第2利益状態を発生させると判定した場合、第1利益状態終了後の前記図柄表示手段(21,60)による遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間に作動を開始する第2利益状態発生手段(54)と、
前記第2利益状態の発生を報知する為の報知手段(25)と、
前記判定手段(52)が第2利益状態を発生させると判定したことを条件に、前記遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間に前記判定手段(52)の判定結果に基づいて前記図柄決定手段(57)により前記特定態様と異なる予め設定された所定のリーチ図柄態様が決定され、前記図柄表示手段(21,60)による遊技図柄の変動後の停止図柄が前記所定のリーチ図柄態様で停止したときに報知手段(25)を作動させるとともに、前記第2利益状態発生手段(54)に対して第2利益状態を発生させるように指令する制御手段(59)とを備えた、
ことを特徴とする弾球遊技機。」


3.引用刊行物に記載される事項の認定

本願出願前に頒布された刊行物であり、当審の拒絶理由に引用した、特開2000-271297号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がされている。

ア.「複数種類の識別情報を表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示領域における可変表示ゲームに関連して所定の遊技価値を付与可能であるとともに、確率変動状態を発生可能な遊技機であって、
前記所定の遊技価値には、遊技者にとって有利な特別遊技状態を含み、
確率変動状態に突入するかどうかを決定する抽選を行うとともに、該抽選結果に基づいて特別遊技状態の終了後に確率変動状態を発生させる確率変動発生手段と、
確率変動発生手段によって確率変動状態が発生した場合に、その旨を報知する報知手段と、備えるとともに、
前記報知手段は、特別遊技状態の終了後に少なくとも1回以上の前記可変表示装置による識別情報の可変表示が開始された後に、確率変動状態が発生した旨を報知する報知遅延制御手段を有していることを特徴とする遊技機。」(【請求項1】)
イ.「前記報知遅延制御手段は、
特別遊技状態の終了後の前記可変表示装置による識別情報の可変表示ゲームの回数が所定の実行回数に到達したことを条件として、確率変動状態が発生した旨の報知を行うとともに、当該実行回数をランダムに決定するランダム報知遅延制御手段を有していることを特徴とする請求項1記載の遊技機。」(【請求項2】)
ウ.「確変突入を大当り終了の直後に報知してしまうと、稼働があがらないおそれがあり、確変突入に対する報知の工夫が望まれていた。そこで、本発明者は大当りを終了しても、確変への突入をすぐに報知しなければ、面白くなるのではないか、つまり確変突入か否かという遊技者が一番知りたい情報が明らかになるまでの複雑なプロセスが用意されていれば、遊技を面白くできるという点に着目した。そこで本発明は、確変モードへの突入が認識できるまで遊技を自主的に継続させて、遊技機の稼働を上げることのできる遊技機を提供することを目的としている。」(段落【0007】-【0008】)
エ.「図1はパチンコ遊技を行う遊技機の遊技盤を示す正面図である。」(段落【0014】)
オ.「ここで、遊技機には、パチンコ遊技機、パチコン機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、等の弾球遊技機、及びスロットマシーン、パチスロなどが含まれる。・・・・遊技者にとって有利な特別遊技状態とは、例えば、第1種のパチンコ遊技機における特図の可変表示遊技の大当たり状態、普図の可変表示遊技の当たり状態などである。また、第3種のパチンコ遊技機における権利発生の状態、或いは電動役物を複数備えた一般電役機における電動役物を連続して開放させる状態、スロットマシーンでのボーナスゲームなども含まれる。」(段落【0027】)
カ.「ガイドレール2を介して遊技領域中に打込まれた遊技球が、特別図柄始動口を兼ねた普通変動入賞装置6に入賞すると、特別図柄可変表示装置4の変動表示部4aの複数の領域において多数の識別図柄(数字、文字、記号、図柄等よりなるもの)が移動(スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、変動表示ゲーム(特図ゲーム)が行われる。そして、この変動表示ゲーム結果としての停止表示態様が所定の態様(例えば、「7、7、7」などのゾロ目の特定表示結果)であれば、大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する。」(段落【0029】)
キ.「・大当り乱数カウンタ
大当り確率は1/311であり、大当り乱数として0?310のうちの何れか1つ(例えば、始動入賞にて抽出された乱数)がここに格納される。」(段落【0036】)
ク.「・確変報知遅延カウンタ
確率変動状態に突入するか否かの情報を、n回以上特図変動が開始された後に遅延させるために、その遅延させるための特図変動回数をカウンタするためのものである。0?1000の値を格納可能になっている。」(段落【0037】)
ケ.「次いで、ステップステップ12で遊技価値に関連しない乱数の更新を行う。例えば、特図の停止図柄を決定するための乱数(ただし、確変ゲームの結果は画面に表示せず、確変獲得決定図柄の停止図柄を決めるための乱数のようなものはない)等がある。」(段落【0045】)
コ.「大当りが終了すると、再び特図の可変遊技が開始されるが、このとき、大当り終了の時点で確変報知遅延カウンタがn(例えば、n=5)に設定され、大当り終了後に特図変動の停止がある度に確変報知遅延カウンタがデクリメントされていく。そして、確変報知遅延カウンタ=0になる途中の画面(特図変動画面)では、図8(a)に示すように「現在のモード=??」という表示が行われる。すなわち、この時点で確変に突入しているかどうかは未定の表示であり、遊技者には分からない。次いで、特図変動の停止が5回行われて、確変報知遅延カウンタ=0になると、現在のモード(確変モードあるいは通常モード)を表示して遊技者に報知することが行われる。例えば、現在のモードが確変モードである場合には、図8(b)に示すように画面(特図変動画面)に「現在のモード=確変」という表示が行われ、現在のモードが通常モードである場合には、図8(c)に示すように画面(特図変動画面)に「現在のモード=通常」という表示が行われる。これにより、遊技者は現在のモードを確実に認識することができる。」(段落【0060】)


4.引用刊行物記載の発明の認定

以下では、記載事項ア.の内容を、記載事項イ.以降により補充具体化する。
記載事項エ.によれば、「遊技機」は「パチンコ遊技を行う遊技機」である。記載事項カ.によれば、「可変表示ゲーム」は、「遊技球」が「特別図柄始動口」に入賞すると「特別図柄可変表示装置4」において「多数の識別図柄」が変動表示するものである。該「識別図柄」は「数字、文字、記号、図柄等よりなるもの」であるが、その全てである必要はないから「数字」でもよい。そして、「変動表示ゲーム結果としての停止表示態様」が「「7、7、7」などのゾロ目の特定表示結果」であれば、「大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生」するものである。記載事項キ.によれば、大当りか外れかは「乱数」によって決定しており、記載事項ケ.によると、遊技価値に関連しない識別図柄の停止図柄態様も乱数で決定されている。
記載事項イ.において、「報知」を行うまでの「可変表示ゲームの回数が所定の実行回数」は「ランダム」に決定されているが、記載事項ク.によると「1000」回以内という上限が設けられている。記載事項コ.によると、「報知」は「現在のモード=確変」という表示であり、この表示領域は図8によると、識別図柄の変動表示領域の上方である。

以上によれば、引用例1には、

「遊技球が特別図柄始動口に入賞すると、特別図柄可変表示装置4において、数字でもよい多数の識別図柄を変動表示し、大当りか外れかは乱数によって決定したうえで、遊技価値に関連しない識別図柄の停止態様も乱数で決定して、停止表示態様が「7、7、7」などのゾロ目の特定表示結果であれば、大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する可変表示ゲームを行うとともに、確率変動状態を発生可能な、パチンコ遊技を行う遊技機であって、
確率変動状態に突入するかどうかを決定する抽選を行うとともに、該抽選結果に基づいて特別遊技状態の終了後に確率変動状態を発生させる確率変動発生手段と、
確率変動発生手段によって確率変動状態が発生した場合に、その旨を報知する報知手段とを備えるとともに、
前記報知手段は、特別遊技状態の終了後の可変表示ゲーム回数が、1000回の上限内でランダムに決定された実行回数に到達したことを条件として、確率変動状態が発生した旨の報知を、識別図柄の変動表示領域の上方に「現在のモード=確変」という表示で行う、パチンコ遊技を行う遊技機。」

なる発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。


5.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定

引用発明1が「パチンコ遊技を行う遊技機」であることは、本願発明が「弾球遊技機」であることに相当する。
引用発明1における「特別図柄始動口」は、本願発明における「図柄始動手段」に相当し、引用発明1における「数字でもよい多数の識別図柄」は、本願発明における「数字で構成された遊技図柄」に相当する。引用発明1において、「特別図柄可変表示装置4」上で「識別図柄」を変動表示する領域は、本願発明における「図柄表示手段」に相当する。すなわち、「図柄始動手段と、この図柄始動手段が遊技球を検出することを条件に数字で構成された遊技図柄を変動表示する図柄表示手段」を備えた「弾球遊技機」であることは、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、大当りか外れかを乱数で決定するとともに、遊技価値に関連しない識別図柄の停止態様、すなわち「大当り」や「外れ」の停止態様が複数あり得る場合に、その中からいずれの停止態様を選択するかも、乱数で決定しているからには、引用発明1は変動後の識別図柄の停止態様を決定する図柄決定手段を当然に備えており、かつ、該識別図柄の停止態様の決定は抽選に基づいている。すなわち、「図柄表示手段に表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を抽選により決定する図柄決定手段」を備えることも、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において「停止表示態様が「7、7、7」などのゾロ目の特定表示結果であれば、大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する」ことは、本願発明において「変動後に停止した遊技図柄が予め定められた特定態様となることを条件に遊技者に有利な第1利益状態を発生させる」ことに相当する。また、引用発明1がそのための発生手段を備えることは当然であるから、引用発明1と本願発明とは「第1利益状態発生手段」を備える点でも一致している。
引用発明1において、「特別遊技状態の終了後に確率変動状態を発生させる」ことは、該「特別遊技状態の終了」からどの程度「後」に発生させるかはひとまず措くとして、本願発明における「第1利益状態の終了後に遊技者に有利な第2利益状態を発生させる」に相当する。そして、引用発明1において「確率変動状態に突入するかどうかを決定する抽選を行う」手段は、本願発明において「第2利益状態を発生させるか否かを判定する判定手段」に相当する。引用発明1において、「該抽選結果」に基づいて「確率変動状態を発生させる確率変動発生手段」は、本願発明において、「判定手段が第2利益状態を発生させると判定した場合」に「作動を開始する第2利益状態発生手段」に相当する。先に述べたとおり、引用発明1において確率変動状態の発生は「特別遊技状態の終了後」であるから、本願発明において「第2利益状態発生手段」の「作動」の「開始」が「第1利益状態終了後」であることは、直後か否かということはひとまず措くとしても、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「確率変動状態が発生した場合に、その旨を報知する報知手段」として、「「現在のモード=確変」という表示」を行う「識別図柄の変動表示領域の上方」部分は、本願発明における、「前記第2利益状態の発生を報知するための報知手段」に相当する。引用発明1において、そのような確率変動状態の「報知」は、抽選によって確率変動状態に突入するという決定がされたうえで行われるから、「判定手段が第2利益状態を発生させると判定したことを条件に」して「報知手段を作動」することは、引用発明と本願発明との一致点である。また、引用発明1において、「特別遊技状態の終了後の可変表示ゲーム回数」が「1000回の上限内でランダムに決定される実行回数に到達」する時点は、該「上限」を基準として言い換えれば、特別遊技状態終了後の識別図柄の可変表示開始から所定回数の可変表示を完了するまでの間である。そのため、引用発明1における上記の時点は、本願発明における「第1利益状態終了後の前記図柄表示手段による遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間」、及び「前記遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間」に相当する。さらに、引用発明1が、可変表示ゲームが「決定された実行回数に到達」したことで報知を行うことと、本願発明が「遊技図柄の変動後の停止図柄が前記所定のリーチ図柄態様で停止したときに報知手段を作動させる」こととは、「ある回の遊技図柄の変動を契機として、報知手段を作動させる」という点でも一致している。

以上をまとめると、引用発明1と本願発明とは、

「図柄始動手段と、この図柄始動手段が遊技球を検出することを条件に数字で構成された遊技図柄を変動表示する図柄表示手段と、図柄表示手段に表示される遊技図柄の変動後の停止図柄態様を抽選により決定する図柄決定手段と、変動後に停止した遊技図柄が予め定められた特定態様となることを条件に遊技者に有利な第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、この第1利益状態の終了後に遊技者に有利な第2利益状態を発生させるか否かを判定する判定手段とを備えた弾球遊技機において、
前記判定手段が第2利益状態を発生させると判定した場合、第1利益状態終了後に作動を開始する第2利益状態発生手段と、
前記第2利益状態の発生を報知する為の報知手段と、
前記判定手段が第2利益状態を発生させると判定したことを条件に、前記遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間に、ある回の遊技図柄の変動を契機として、報知手段を作動させる、
弾球遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明では、「前記判定手段の判定結果に基づいて前記図柄決定手段により前記特定態様と異なる予め設定された所定のリーチ図柄態様が決定され、前記図柄表示手段による遊技図柄の変動後の停止図柄が前記所定のリーチ図柄態様で停止したときに報知手段を作動させる」のに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点2>
本願発明では、「第1利益状態終了後」の「第2利益状態発生手段」の「作動開始」について、「前記図柄表示手段による遊技図柄の変動表示開始から所定回数の変動表示を完了するまでの間」とし、そのために「報知手段を作動させるとともに、前記第2利益状態発生手段に対して第2利益状態を発生させるように指令する制御手段」を備えているのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。


6.相違点の判断及び本願発明の進歩性

(1)相違点1について
引用発明1において、確率変動状態の報知を開始することとなる、「実行回数に到達」した回の可変表示ゲームは、先に摘示した記載事項ウ.にも示されるとおり、それまで遊技者の期待を引っ張ったうえで、その期待を満足させる報知を行う、特別な変動表示であるから、その回の変動表示については特別な停止図柄態様を用意して、遊技者の興趣を高める演出を行うことも、この種の遊技機における演出をデザインする者であれば、十分に想到できた事項である。ここで、そのような特別な停止図柄態様として、「7、7、4」や「☆、☆、7」等の所定のリーチ図柄態様であり、大当り自体を示す「7、7、7」などのゾロ目とは異なるものを用いることは、たとえば特開2000-271296号公報の段落【0063】や、あるいは特開平10-305128号公報の段落【0082】に示されるように、引用発明1が該当するパチンコ遊技機や、パチンコ遊技機と同列の遊技機として引用例1の記載事項オ.で想定される「スロットマシーン」といった遊技機において、従来から適宜行われている図柄設定に過ぎない。
そして、引用発明1において、確率変動状態の報知を開始する回の可変表示ゲームの停止図柄態様に、上述したようなリーチ図柄態様を用いる際、停止図柄の決定はその他の場合にも用いている図柄の決定手段を用いるとともに、確率変動状態に突入するかどうかの抽選判定に基づいて、当該報知開始回の停止図柄を前述リーチ図柄態様と決定させること、及び、そのような特別なリーチ図柄態様での図柄停止時に合わせて確率変動の報知を行わせることは、いずれも設計事項程度と言わざるを得ない。
すなわち、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、引用発明1において設計事項程度である。

(2)相違点2について
引用発明1では、特別遊技状態終了後の確率変動について、その報知は遅らせていても確率変動の開始自体は遅らせていないが、たとえば実用新案登録第3070014号の登録実用新案公報(平成12年7月14日発行、以下「引用例2」という。)に、
「高入賞率ゲームの開始については、例えば、・・・・特別ゲームの一部(例えば特別ゲームの一部がBBである場合、BBの全部若しくは一部)又は全部が終了した後、即時又は所定ゲーム後若しくは所定時間後に、無条件で或は抽選(例えば特別ゲーム中若しくは後の抽選において、又は特別ゲームを開始する賞に内部当りとなるか否かの抽選において同時に)に当選したことを条件として開始するものとすることができる。」(段落【0040】)
と記載がある如く、特別なゲームの終了後に行う有利なゲームの開始を、特別なゲームの終了後「即時」とするか「所定ゲーム後」とするかは、技術的には、ゲームの設計者が自由に選択できる事項に過ぎない。しかも、先に示した記載事項オ.にあるとおり、引用例1はパチンコ遊技機の大当りと「スロットマシーン」の「ボーナスゲーム」とを同列に想定したものであるから、引用発明1において大当り後の確率変動状態の開始自体を遅らせることは、引用例1が同列と扱う「スロットマシーン」に関して、引用例2に明記された前述の選択肢からも、十分に示唆された事項と言わざるを得ない。
そうであれば、確率変動状態の報知を遅らせることで、記載事項ウ.にあるとおり、大当り終了後から報知実行までの間の遊技者の遊技を継続させる引用発明1のパチンコ機において、確率変動状態の発生自体も、報知と同様に遅らせるようにして、遅れた報知と合わせて確率変動状態を発生させるようにすることは、ゲームの設計として自由に選択できた事項であるとともに、引用例2に明記された選択肢からも十分に示唆された事項と言わざるを得ない。そして、そうするに際して、遅れた報知の報知手段を作動させるとともに、確率変動状態を発生させる手段に対して作動開始を指令する制御手段を設けることは、設計事項である。
すなわち、相違点2に係る本願発明の構成を得ることは、引用発明1において、同引用例1及び引用例2の記載に接した、遊技機の分野における通常の知識を有する者にとっては、想到容易である。

(3)本願発明の進歩性
以上のとおり、相違点1-2は、設計事項あるいは当該相違点に係る本願発明の構成を得ることに困難性がないものであり、また、そのようにして本願発明の構成を採用したことによる効果も、格別のものとは認められない。

したがって、本願発明は引用発明1および引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


7.むすび

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-06 
結審通知日 2009-04-07 
審決日 2009-04-20 
出願番号 特願2001-168478(P2001-168478)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎井海田 隆  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 有家 秀郎
森 雅之
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 岡村 俊雄  

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