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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C09J
管理番号 1199226
審判番号 無効2008-800012  
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-01-25 
確定日 2009-05-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2995405号発明「ステッカー等の剥離用ディスク」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2995405号の請求項1?4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成10年 7月14日 出願
平成11年10月29日 特許権の設定登録(特許第2995405
号)
平成20年 1月25日 請求人 :特許無効審判請求書・甲第1号
証?甲第4号証提出
平成20年 4月23日 被請求人:答弁書・訂正請求書・参考資料
提出
平成20年 7月14日 請求人 :弁駁書
平成20年 9月30日 請求人 :口頭審理陳述要領書
請求人 :口頭審理陳述要領書(2)・甲
第1号証?甲第4号証の全訳文及び資料
1?資料5提出
被請求人:口頭審理陳述要領書・乙第1号
証、乙第2号証提出
平成20年 9月30日 口頭審理(特許庁審判廷)
平成20年10月21日 請求人 :上申書・資料1、資料2提出
被請求人:上申書・乙第3号証、乙第3号
証の1、乙第4号証、乙第4号証の1、
参考資料A、参考資料B提出

第2 平成20年4月23日付けの訂正請求の適否について
被請求人は、平成20年4月23日付けで訂正請求書を提出しているので、同訂正請求(以下、「本件訂正」という。)の適否について検討する。

1 本件訂正の時期的要件についての検討
本件訂正請求は、特許法第134条第1項の規定に基いて指定された期間内の平成20年4月23日に提出されたものであるから、第134条の2第1項本文に規定されている時期的要件を満たすものである。

2 訂正請求の内容
被請求人は、前記訂正請求により、願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。本件審判請求時の本件特許明細書の内容と本件特許公報の内容が同一なので、記載箇所については、特許公報の記載箇所で示すことがある。)を前記訂正請求書に添付した訂正明細書に記載したとおりの次の内容に訂正することを請求するものである。
(1)訂正事項(a)
特許請求の範囲の請求項1の「該各突設部間に、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなる」を、
「該各突設部間に、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなる」と訂正する。
(2)訂正事項(b)
本件特許明細書の段落番号【0009】に記載された
「上記目的を達成するために、請求項1にあっては、中心に回転駆動工具への取り付け用の回転軸又は軸孔を有し、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象面に押接する複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて突設することにより、該各突設部間に、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなることを特徴とする。」
を、
「上記目的を達成するために、請求項1にあっては、中心に回転駆動工具への取り付け用の回転軸又は軸孔を有し、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象面に押接する複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて突設することにより、該各突設部間に、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなることを特徴とする。」
と訂正する。

3 本件訂正の目的の適否についての検討
(1)訂正事項(a)について
訂正事項(a)の訂正は、剥離用ディスクを、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制」するものに限定するものであり、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、当該訂正は、本件特許明細書の段落【0016】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。よって、訂正事項(a)は、特許法第134条の2第1項だたし書き第1号の規定に適合するものであり、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項(b)について
訂正事項(b)は、訂正事項(a)により、請求項1の剥離用ディスクを、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制」するものに限定したことに伴い、対応する発明の詳細な説明の記載を整合させるものである。
したがって、訂正事項(b)は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。よって、訂正事項(b)は、特許法第134条の2第1項だたし書き第3号の規定に適合するものであり、また、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。

4 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正を認める。

第3 本件特許の請求項1?4に係る発明
以上のとおり、本件訂正は容認されたから、本件特許に係る発明は、平成20年4月23日付け訂正請求書に添付した明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)の請求項1?請求項4に記載される次のとおりのものと認める(以下、これらを、「本件発明1?4」という。)。
「【請求項1】 中心に回転駆動工具への取り付け用の回転軸又は軸孔を有し、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象物へ回転、押接する際に殴打力と摩擦力の相互作用により当該剥離対象物を剥離、除去するよう、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔を置いて放射状に、かつ一体に突設することにより、該各突設部間に、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなることを特徴とするステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項2】 複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成されていることを特徴とする請求項1記載のステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項3】 分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置されていることを特徴とする請求項2記載のステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項4】 隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されていることを特徴とする請求項1記載のステッカー等の剥離用ディスク。」

第4 当事者の主張
1 審判請求人の主張
審判請求人が提出した審判請求書、口頭審理陳述要領書、上申書及び甲第1?4号証、調書、その他によれば、審判請求人は、次に示すところの(1)?(3)の主張をするものと認められる。
(1)無効理由ア 本件特許の願書に添付した明細書の記載は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たさないものであるため、本件特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきものである。
(2)無効理由イ 本件請求項1?4に係る発明は、甲第1号証?甲第4号証に記載されているから、本件特許は特許法第29条第1項第3号に該当する。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3)無効理由ウ 本件請求項1?4に係る発明は、甲第1号証?甲第4号証記載の発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから特許法第29条第2項に該当する。したがって、本件請求項1?4に係る発明は、特許法第123条第1項第2号により無効とすべきものである。

審判請求書に添付された証拠資料
甲第1号証:米国特許第1507836号明細書
甲第2号証:米国特許第2811816号明細書
甲第3号証:米国特許第1797040号明細書
甲第4号証:米国特許第1926812号明細書
平成20年9月30日提出の口頭審理陳述要領書(2)に添付された資料
資料1:「ゴム劣化・老化、摩耗など寿命阻害要因の紹介」、
株式会社シーブロン化成の資料
資料2:「ゴムの特性一覧表」、三輝工業株式会社の資料
資料3:「天然ゴム(NR)」、MORITEQの資料
資料4:「ゴム、プラスチックゴムの特性」の資料
資料5:「天然ゴム板、耐摩耗ゴム板」の性質が記載された資料
平成20年10月21日提出の上申書に添付された資料
資料1:日本化学会編「化学便覧 基礎編I 改訂4版」(丸善株式会
社、I-553頁、I-554頁)
日本化学会編「化学便覧 応用化学編II 第5版」(丸善株式
会社、平成7年3月15日発行、II-410頁、II-448頁?
449頁)
資料2:1.特開平10-203676号公報(抜粋)
2.特開平11-254909号公報(抜粋)
3.特開平7-47618号公報(抜粋)
4.特開平5-43740号公報(抜粋)

2 被請求人の主張
(1)被請求人が提出した答弁書、口頭審理陳述要領書、上申書、乙第1号証?乙第4号証の1、その他によれば、被請求人は、審判請求人の上記無効理由には、理由がなく、本件特許の願書に添付した明細書の記載は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしているものであるから、本件特許は特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものではなく、本件発明1?4は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものではなく、また、本件発明1?4は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではないから、特許法第123条第1項第2号により無効とすべきものではない、と主張すると認められる。

平成20年9月30日提出の口頭審理陳述要領書に添付された証拠資料
乙第1号証:実公平8-9143号公報
乙第2号証:特開平9-41175号公報
平成20年10月21日提出の上申書に添付された証拠資料
乙第3号証:FLEXSYS Product Data
乙第3号証の1:乙第3号証の訳文
乙第4号証:平成11年(ヨ)第22095号の平成12年2月14日付
け債務者、ゴトー電機株式会社作成準備書面(第3回)
乙第4号証の1:同準備書面添付の乙第二号証及び乙第三号証のコピー
平成20年 4月23日提出の答弁書に添付された資料
参考資料:Rotary Blaster General Catalogue、ゴトー電機株式会社
平成20年10月21日提出の上申書に添付された資料
参考資料A:従来のロール状ディスクによる剥離作用説明図
参考資料B:本件特許の本体ディスクによる剥離作用説明図

第5 当審の判断
1 刊行物の記載
(1)甲第2号証の記載事項(記載事項は、平成20年9月30日提出の口頭審理陳述要領書(2)に貼付された和訳で示し、摘示部分については全訳における該当箇所も併せて指摘する。甲第3号証及び甲第4号証についても同様。)
(1-a)「1 固形物を掃除する回転装置であって、駆動シャフトを受けるための開口部を有する管状のハブと、該ハブより外側方向に伸びるゴムのセグメント部分を含み、該セグメント部分はセグメント部分と一体に形成された突起物により等間隔に配置され、それぞれの部分が伸びだして、近接する部分の表面が接しあう、回転装置。」(4欄34行?41行、訳文 5頁19行?23行)
(1-b)「本発明はゴム、金属またはウッドの表面を研磨するために使用可能なすり減らしまたはすり落とし用の用具に関する。本用具はホワイトサイドウォールタイヤがリキャップされた後、通常集積する層や不純物を除去するにあたって多く利用される。本装置の構成に一定の変更が施されれば、本装置は金属部品を掃除し磨きあげるために使用可能であり、希望するなら、ウッド製品の切断または磨きあげに使用可能である。この改良されたすり落としまたはきれいにするための装置は、運動部分が処理される表面に対し実質的に平行な軸上で回転可能な種類のものである。
本発明の主要な目的は、柔軟なシャフトにより作動可能で、処理される表面に弾力ある研磨作用を施す、すり減らしまたは磨きあげのための回転する用具を提供することである。
別の目的は、くずを取り除いてホワイトタイヤのサイドウォールを元の状態に再生するためタイヤの表面に利用可能な、柔軟で弾力性のあるという特徴を有する回転するすり減らし装置を提供することである。」(1欄15行?34行、訳文 1頁8行?21行)
(1-c)「図1によれば、参照数字1はリキャップされた(図示せず)タイヤを示し、2で示されるホワイトウォール上に広げられた薄いリキャップしたゴムまたは他の不純物の層をその上に含むことが仮定される。ゆえにウォールをもとの白さにもどすにはタイヤに切削跡やその他の傷を残さずにこの物質を除去するのが望ましい。」(2欄17行?21行、訳文 2頁25行?29行)
(1-d)「本用具が形成されるとき、溶融した自然ゴムが要求される形態の、多くの金属板が放射状に配列された型または鋳型の中に流しこまれる。とりはずされる状態の金属板の一つが10でしめされる(図2)。この板の目的は12で示されるゴムセグメントの間にその厚さと幅の、11で示されるスペースを残すことであり、その結果、スペースは平行な側面を有し、セグメントは楔形をしている。」(2欄46行?54行、訳文 3頁3行?8行)
(1-e)「耳13は楔状セグメントのスペーシング要素として役立つのみならず、加えて、塊を加えてこの位置で要素を強化する。このようにして、シャフト7の端部が管ないしハブ4の開口部5ないし6に挿入されると、用具3は高速で回転し、用具の周囲がホワイトサイドウォールのような、掃除されるないしこすりとられるべき表面に当てられるとき、リキャップ時に形成されるゴムの垢ないし細かいかけらはただちに削り、こすり落とされ、本来の白い状態のウォールとなる。セグメントは削りこすり落としが行われる外周で相互に接触するようになり、この相互に圧迫する傾向により、引っ張りないし遅延作用が構成され、これにより穏やかなこすり落とし効果が生じ、その結果、相当な圧力が用具に加えられたとしても、タイヤは全く損傷を受けない。
ゴムの表面からわずかに突き出るすり砕かれたナッツ殻の粒子は微小なこすり取り用の指状突起の役目を果たし、それらがほんの少しだけ外方向に突き出ているという事実により、タイヤのゴム表面が望ましくない切削やこすり取り作動を被らないようされている。
セグメントがある厚みを残している限り、本用具はこの磨きあげないしこすり取りのため継続して使用できることは明白である。なぜならセグメントの厚みが減るにつれて、わずかに突き出たナッツ殻のため表面のこすり取り効果が再生するからであり、ナッツ殻がゴムの本体全体に分布しているからである。このようにして、改良されたこすり取り装置は比較的長い寿命を有する。」(3欄15行?45行、訳文 3頁33行?4頁15行)

(2)甲第3号証の記載事項
(2-a)「本出願は1925年3月27日に私が出願したシリアル番号18774の分割出願であり、本発明は、特に、これに限定されるものではないが自動車の表面、また磨き上げられたまたはワニス塗りの表面の研磨に使用するよう適合された研磨機械の改善に関連しており、本発明の目的の一つはこうした特徴を有する改良された機械を提供することで、その具体例としては湾曲したあるいは不揃いなあるいはでこぼこした表面を効果的に研磨するよう適合された研磨部材であり、本研磨部材は回転可能で、複数の分離した柔軟な円盤状の研磨要素を具現化しており、本研磨要素の外縁は加工操作の対象となる表面の輪郭に自在に適合する。
本発明のさらなる目的はこうした特徴を有する改良された機械において、柔軟な円盤状の研磨要素を具現化した回転可能な研磨部材を提供することであり、本要素の外周は、本機械に圧力がかかると屈曲し、円盤を通常の状態に引き戻そうとする遠心力による作用と協働して、材料の表面の輪郭に適合するようにし、研磨される物質が実質的に連続した表面を実現できるようにする。
本発明のさらなる目的はこうした特徴を有する改良された機械において、研磨部材の外周に間隔を置いて並べられたくぼみ(へこみ)を有し、研磨部材の回転に応じて研磨部材の長手方向に研磨用化合物(研磨用物質)を送り込むことができる、改良された回転可能で柔軟な研磨部材を提供することである。」(1頁左欄1行?38行、訳文 1頁9行?26行)
(2-b)「(チューブ)部材45は好ましくはその一端にショルダー47が設けられる。本(チューブ)部材45は所望の長さと直径を有してもよく、複数の円盤状の研磨要素43を支持するように適合される。これらの(研磨)要素は適当な柔軟な材料で構成され、所望の直径と厚さでよい。研磨要素43は(チューブ)部材45の上に収納され間隔保持部材49が(研磨)要素43の間に介在する。」(2頁左欄6行?15行、訳文 2頁26行?31行)
(2-c)「研磨要素43がこのように一緒に締め付けてあると、圧力がかかった時、研磨要素43の外辺が加工物の表面に当たって屈曲し、これによって柔軟な(研磨)要素43の外辺が加工物に対し実質的に連続した表面を形成するように、隣接した研磨要素43の中間に間隔が形成される。
・・・
柔軟な研磨要素43はそのまわりに配置されたくぼみ(へこみ)44を備え、これらのくぼみまたはへこみはそれぞれの要素の周囲において広がり、研磨用の材料を受取り、加工物上に送り出すのを援助する、明確な輪郭を有するポケットを形成する。
これらの(研磨)要素43は通常の状態では扁平であり、隣接する(研磨)要素43のくぼみがお互いに互い違いの関係になるように、支持用の回転可能な(チューブ)部材45上に配置され、一つの(チューブ)部材45上の(研磨)要素のくぼみの位置は、他の(チューブ)部材45上の対抗する(研磨)要素のくぼみの位置と一致しない。」(2頁左欄37行?右欄78行、訳文 3頁8行?27行)
(2-d)「要素のポケット(くぼみ)44は研磨部材の長さ方向への研磨材料の搬送を援助する手段としての役目を果たす。
明らかにポケット(くぼみ)44は研磨用化合物または物質を機械の、そして研磨部材の所望の長さ方向に送りを与えるように、いかなる所望のまたは好適な方法で配置されてもよい。」(2頁右欄120行?129行、訳文 4頁12行?16行)
(2-e)「1 複数の回転可能な部材からなる研磨機械であって、個々の前記部材は複数の、有意な厚みを持つ柔軟な円盤を備え、その外周部は自由端をなし、前記円盤は円盤の外周に向かって開口するくぼみを有して明確な輪郭を有するポケットを形成し、隣接した円盤のくぼみは相互に連通されず、一つの円盤のくぼみの側面は隣接する円盤の本体部分の間に配置されることを特徴とする研磨機械。」(3頁左欄9行?19行、訳文 4頁21行?26行)
(2-f)図3及び図4には、研磨要素43とくぼみ(へこみ)44とを一定の間隔で備えた円盤状研磨要素が記載されている。(図面頁)

(3)甲第4号証の記載事項
(3-a)「本発明は、一般的にキャンバス、モスリン、フランネル、軟かいフェルトなどの折曲げできる材料でから製造されるタイプのバフホイールの改良に関する。
本発明の主な目的は、高速で回転させることができ、さらに過度に高熱にならないで回転することができる換気バフホイールを提供することである。」(1頁左欄1行?8行、訳文 1頁3行?6行)
(3-b)「図面を参照すると、16は、中心孔17をもち、また中心領域からディスクの外側縁部まで実質的に径方向に切れ目18が延びていて、複数の切片19を形成するあらゆる適切な織物またはフェルトなどの繊維材料で作ることができるディスクを示している。ディスクに切れ目が入れられた後、切片19は交互に図2および4に示すようにほぼ円筒形に上向きに折曲げる。次いで、織物または他の適切な折曲げできる材料の層で形成されたスケルトンリング20は、図6に21で示すように、折曲げした切片に挿入させる。次いで、折曲げ切片を、図7および8に示すように元の位置に戻し、それによってディスクは再び平らになり、リング20はジグザグ形状を取る、またはディスクのハブ22の周りでジグザグを形成する。
ムスリンなどの折曲げできる材料層の側部ディスク23は、ディスクの反対側に配置され、全ての切片は適切な方法で互いに縫い合わされるあるいは固定される。」(1頁右欄59行?80行、訳文 1頁32行?2頁8行)
(3-c)「1.切れ目を有する折曲げできる材料のディスクと、前記ディスクに取り付けられたスケルトンリングで構成され、ディスクの特定部位が前記リングの一方側に位置し、ディスクの他の部位がリングの反対側に配置されたリングと、リングとディスクを互いに固定する固定手段とを備えたバフホイールユニット。」(2頁左欄7行?13行、訳文 2頁30行?33行)

2 対比・判断
(1)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証は、「固形物を掃除する回転装置であって、駆動シャフトを受けるための開口部を有する管状のハブと、該ハブより外側方向に伸びるゴムのセグメント部分を含み、該セグメント部分はセグメント部分と一体に形成された突起物により等間隔に配置され、それぞれの部分が伸びだして、近接する部分の表面が接しあう、回転装置。」(摘記(1-a))に関するものであって、同号証には、「本発明の・・・別の目的は、くずを取り除いてホワイトタイヤのサイドウォールを元の状態に再生するためタイヤの表面に利用可能な、柔軟で弾力性のあるという特徴を有する回転するすり減らし装置を提供することである。」(摘記(1-b))、「本用具が形成されるとき、溶融した自然ゴムが要求される形態の、多くの金属板が放射状に配列された型または鋳型の中に流しこまれる。とりはずされる状態の金属板の一つが10でしめされる(図2)。この板の目的は12で示されるゴムセグメントの間にその厚さと幅の、11で示されるスペースを残すことであり、その結果、スペースは平行な側面を有し、セグメントは楔形をしている。」(摘記(1-d))とあり、回転するすり減らし装置は、スペースとハブとの間に柔軟性のあるゴムで構成される円形のディスクが形成され、その外周に柔軟性があり、ゴムで形成され、ゴムセグメントの間に一定の間隔のスペースが形成されているものであり、「図1によれば、参照数字1はリキャップされた(図示せず)タイヤを示し、2で示されるホワイトウォール上に広げられた薄いリキャップしたゴムまたは他の不純物の層をその上に含むことが仮定される。ゆえにウォールをもとの白さにもどすにはタイヤに切削跡やその他の傷を残さずにこの物質を除去するのが望ましい。」(摘記(1-c))との記載があることからみて、甲第2号証の回転装置は、不純物の層を剥離対象物としてこれをすり減らす、すなわち、剥離対象物を摩擦力で剥離、除去するものと認められる。
したがって、甲第2号証には、
「中心に回転駆動シャフトへの取り付け用の管状のハブを有し、柔軟で弾力性のあるゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象物へ回転、押接する際、摩擦力により当該剥離対象物を剥離、除去するよう、複数のゴムのセグメントを周方向へ一定の間隔を置いて放射状に、かつ一体に突設するとともにゴムのセグメント間に複数のスペースを形成してなる回転装置。」
が記載されているものと認められる(以下、「引用発明」という。)。

(2) 本件発明1について
(2-1) 本件発明1と引用発明との対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「回転駆動シャフトへの取り付け用の管状ハブ」、「ゴムのセグメント」、「スペース」は、各々本件発明1の「回転駆動工具への取り付け用の軸孔」、「板状突設部」、「凹溝部」に相当し、引用発明の「柔軟で弾力性のあるゴム」は、本件発明1の「弾力性を有する軟質のゴム」に相当し、また、引用発明の「回転装置」は、「剥離用ディスク」として使用されるものであるから、両者は、
「中心に回転駆動工具への取り付け用の軸孔を有し、弾力性を有する軟質のゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象物へ回転、押接する際、摩擦力により当該剥離対象物を剥離、除去するよう、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔を置いて放射状に、かつ一体に突設することにより板状突設部間に複数の凹溝部を形成してなる剥離用ディスク」
である点で一致するが、以下のA?Dの点で相違するものと認められる。
A 本件発明1では、複数の板状突設部が剥離対象物へ回転、押接する際に「殴打力と摩擦力の相互作用により当該剥離対象物を剥離、除去する」ものであるのに対して、引用発明では、剥離対象物へ回転、押接する際に、「殴打力により当該剥離対象物を剥離、除去」していない点
B 本件発明1では、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落される」ことにより蓄熱抑制をするものであるのに対して、引用発明では、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落することにより蓄熱抑制しているか否か不明な点
C 本件発明1では、該各突設部間に、「摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなる」ものであるのに対して、引用発明では、複数の凹溝部を、「摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用」として設けているか否か不明な点
D 本件発明1では、剥離用ディスクの用途を「ステッカー等の剥離用」としているのに対して、引用発明では、その用途が「ステッカー等の剥離用」とされてはいない点
(以下、これらの相違点をそれぞれ、「相違点A」?「相違点D」という。)

(2-2) 上記相違点についての判断
ア 相違点Aについて
甲第3号証は、自動車の表面、また磨き上げられたまたはワニス塗りの表面の研磨に使用するよう適合された研磨機械の改善に関するものであって(摘記(2-a)及び(2-e))、同号証には、
「研磨要素43がこのように一緒に締め付けてあると、圧力がかかった時、研磨要素43の外辺が加工物の表面に当たって屈曲し、これによって柔軟な(研磨)要素43の外辺が加工物に対し実質的に連続した表面を形成するように、隣接した研磨要素43の中間に間隔が形成される。
・・・
柔軟な研磨要素43はそのまわりに配置されたくぼみ(へこみ)44を備え、これらのくぼみまたはへこみはそれぞれの要素の周囲において広がり、研磨用の材料を受取り、加工物上に送り出すのを援助する、明確な輪郭を有するポケットを形成する。」(摘記(2-c))
と記載されており、また、図3及び図4には、研磨要素43とくぼみ(へこみ)44とを一定の間隔で備えた円盤状研磨要素が記載されている(摘記(2-f))。柔軟な研磨要素43とくぼみ(へこみ)44とを一定の間隔で備え、研磨要素43の外辺が加工物の表面に当たって屈曲するとは、加工物に一定の殴打力が加わることであり、その結果、剥離対象物を剥離、除去し易くなるものと認められる。してみれば、引用発明において、板状突設部に設けられた凹溝部を広げることによって、「殴打力と摩擦力の相互作用により当該剥離対象物を剥離、除去する」ようにすることは当業者が容易になし得ることである。
被請求人は、この点につき、「甲2号証および甲3号証の発明では、本件特許の請求項1の構成要件(ハ)における『剥離対象物へ回転、押接する際に殴打力と摩擦力の相互作用により当該剥離対象物を剥離、除去するよう、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔を置いて放射状に、かつ一体に突設することにより、』という技術内容については何等記載されていない。」(答弁書8頁6行?10行)との主張をしている。
しかしながら、甲第3号証には、上記のとおり「研磨要素43の外辺が加工物の表面に当たって屈曲し」との記載があり、複数の研磨要素が次々に剥離対象物に対して殴打することは明らかであり、殴打する際、一定の殴打力が働くことによって、剥離対象物が剥離、除去されるものと認められるから、甲第3号証に直接的な記載はなくても、同号証に殴打力により剥離対象物が剥離、除去されることが示唆されているということができる。してみれば、この点についての被請求人の主張は採用することができない。

イ 相違点Bについて
甲第2号証には、「セグメントがある厚みを残している限り、本用具はこの磨きあげないしこすり取りのため継続して使用できることは明白である。なぜならセグメントの厚みが減るにつれて、わずかに突き出たナッツ殻のため表面のこすり取り効果が再生するからであり、ナッツ殻がゴムの本体全体に分布しているからである。」(摘記(1-e))と記載されており、ゴムのセグメントは、その厚みが減るものであり及びセグメントが一定の厚みになるまでは継続して使用できるのであるから、本件発明1の板状突設部に対応する同号証記載のゴムのセグメントが、剥離対象物と接触することにより、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落される」ことは明らかであり、その際に磨耗により脱落する削りカスは、一部の熱を奪うことになるから、その結果として剥離対象物の蓄熱は抑制されるものと認められる。
してみれば、相違点Bは、実質的な相違点ではない。
被請求人は、この点につき、「甲2号証および甲3号証の記載を、請求人の指摘する主張根拠箇所と対比して検討してみると、その明細書および図面の全ての記載を見ても、本件特許発明の特徴であるところの『円形のディスク本体が、摩耗性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成されていることで、摩擦エネルギーの一部を、この接触面の摩耗に費やすことで、摩擦熱の発生が抑制されると共に、ディスク本体内部への蓄熱も低減され、また剥離面の損傷も防止される』ところの技術に関しては、全く記載が無く、またこれを示唆する記述も存在しないのである。」(答弁書7頁5行?11行)及び「甲第2号証記載の発明は、セグメント表面に突き出ているナッツ殻でこすり取り効果を生ぜしめるところ、セグメントを構成するゴムの全体にナッツ殻が分布しているため、あたかも金太郎飴のように、セグメント表面が磨り減り続けても、たえず新しいナッツ殻を表面に露出させることができるという技術である。したがって、前記したように、甲第2号証記載の発明は、この発明特有の以下の効果を奏するものである。
『改良されたこすり取り装置は比較的長い寿命を有する。』、
『本こすり取り用具を長時間酷使した後も十分効果がある。』
(訳文のアンダーライン部分は『被請求人が付記』)
本件特許は、既に詳述した通り、ディスク本体の外周に凹溝部を介して設けられた板状突設部を剥離対象面に接触させることで意図的に摩耗させる技術である点で甲第2号証の発明とは全く異質の技術である。」(上申書10頁20行?11頁5行)との主張をしている。
しかしながら、甲第2号証には、上記のとおり「セグメントがある厚みを残している限り、本用具はこの磨きあげないしこすり取りのため継続して使用できることは明白である。なぜならセグメントの厚みが減るにつれて、」と記載されており、磨きあげないしこすり取りにより、セグメントの厚みは減少すること及びセグメントは一定の厚みがあればそれまで継続的に使用できることが示されており、このことは、セグメントが摩耗性を有することに他ならない。同号証の「改良されたこすり取り装置は比較的長い寿命を有する。」及び「本こすり取り用具を長時間酷使した後も十分効果がある。」との記載についても、セグメントが摩耗性を有し、減り続けることによって、「こすり取り装置は比較的長い寿命を有する」と解され、比較的長い寿命を有するから耐摩耗性であると結論づけることはできない。「接触面の摩耗に費やすことで、摩擦熱の発生が抑制される」点については、上記のとおりである。してみれば、この点についての被請求人の主張も採用することができない。

ウ 相違点Cについて
本件特許明細書には、
「本発明は、上記した従来の技術の粘着剤剥離用回転ロールの有するこのような問題点に鑑みてなされたもので、請求項1にあっては、軟質合成樹脂或いはゴムからなるディスク本体の外周に、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて放射状に突設し、該各板状突設部間に凹溝部を設けて構成することにより、各板状突設部の先端部を剥離対象物に押接して使用する際の摩擦熱の発生抑制効果と放熱効果によって剥離対象物の温度上昇も制限され、」(本件特許明細書、段落【0005】)と記載されており、本件発明1では、剥離用回転ロールに替え、板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて放射状に突設し、該各板状突設部間に凹溝部を設けて構成することにより摩擦熱の発生を抑制し、放熱効果によって剥離対象物の温度上昇を制限するものであるところ、引用発明においても凹溝部を同様に設けているのであるから、発明特定事項としては、両者は同一であり、引用発明において、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却によって剥離対象物の温度上昇が制限されることは予測可能なことである。
してみれば、相違点Cは、実質的な相違点ではない。

エ 相違点Dについて
引用発明の回転装置はゴム、金属またはウッドの表面を研磨するために使用可能なすり減らしまたはすり落とし用の用具に関するものであって、ホワイトサイドウォールタイヤがリキャップされた後、通常集積する層や不純物を除去ために利用されるものである(摘記(1-b))。
本件特許明細書には、「従来、ガラス面、自動車の塗装面等に接着された粘着接着剤シールや接着剤を除去するものとして、粘着剤剥離用回転ロールなるものが、実公平8-9143号公報に開示されている。」(本件特許明細書、段落【0002】)と記載されており、ガラス面、自動車の塗装面等に接着された粘着接着剤シールや接着剤を除去するものとして、ステッカー等の粘着剤剥離用回転ロールは本件特許出願前から知られていたものである。
してみれば、引用発明の回転装置は、通常集積する層や不純物を除去ために利用されるものであるから、引用例の回転装置を用いて、不要となったステッカー等の剥離に使用してみようとすること、すなわち、剥離用ディスクの用途を「ステッカー等の剥離用」とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

オ 本件発明1の効果について
本件発明1は、(1)板状突設部の先端部を剥離対象物に押接し、当該剥離対象物を剥離する際に、摩擦熱の発生を抑制する効果と、放熱及び冷却する効果を伴うため、剥離対象物と、その下地を損傷を伴う温度まで上昇させることがない、(2)回転運動により発生する遠心力をともなった板状突設部の先端部が、剥離対象物にもたらす殴打力と摩擦力の相互作用により、剥離対象物の剥離効率を大幅に向上させることができるという作用効果を有するものであるが(段落【0028】)、(1)の効果については、「イ 相違点Bについて」で示したとおりであり、(2)の効果についても「ア 相違点Aについて」で示したとおりであるから、本件発明1の作用効果を格別のものであるとすることはできない。

(2-3)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、無効審判請求人の提出した甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明の基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本件発明2について
(3-1) 本件発明2と引用発明との対比
本件発明2は、本件発明1において、「複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成されている」ものである。
他方、引用発明では、相違板状突設部が複数層に分割形成されてはいない。
したがって、本件発明2と引用発明とは、相違点A?相違点Dに加えて、さらに以下の点で相違するものと認められる。
E 本件発明2のステッカー等の剥離用ディスクが、「複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成されている」のに対して、引用発明は、板状突設部が複数層に分割形成したものではない点(以下、「相違点E」という。)

(3-2) 上記相違点についての判断
甲第3号証には、「(チューブ)部材45は好ましくはその一端にショルダー47が設けられる。本(チューブ)部材45は所望の長さと直径を有してもよく、複数の円盤状の研磨要素43を支持するように適合される。これらの(研磨)要素は適当な柔軟な材料で構成され、所望の直径と厚さでよい。研磨要素43は(チューブ)部材45の上に収納され間隔保持部材49が(研磨)要素43の間に介在する。」(摘記(2-b))、及び、「柔軟な研磨要素43はそのまわりに配置されたくぼみ(へこみ)44を備え、これらのくぼみまたはへこみはそれぞれの要素の周囲において広がり、研磨用の材料を受取り、加工物上に送り出すのを援助する、明確な輪郭を有するポケットを形成する。」(摘記(2-c))との記載があり、引用発明において、複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成することは、当業者が容易になし得ることであって、格別の創作力を必要とすることではない。
そして、本件発明2の相違点Eに係る発明特定事項の奏する効果として認められる「複数層の各板状突設部先端が、剥離対象面の起伏や凹部、溝部等に対して良く接して効率良く剥離できる」という効果も板状突設部をその横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成することにより生ずる効果であり、予測しうる程度のものであって、格別であるとすることもできない。

(3-3)小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、無効審判請求人の提出した甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明の基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 本件発明3について
(4-1) 本件発明3と引用発明との対比
本件発明3は、本件発明2において、「分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置されている」ものである。
他方、引用発明では、相違板状突設部が複数層に分割形成されてはいないものである。
したがって、本件発明3と引用発明とは、相違点A?相違点Eに加えて、さらに以下の点で相違するものと認められる。
F 本件発明3のステッカー等の剥離用ディスクが、「分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置されている」のに対して、引用発明は、板状突設部が複数層に分割形成されたものではない点(以下、「相違点F」という。)

(4-2) 上記相違点についての判断
甲第3号証には、「これらの(研磨)要素43は通常の状態では扁平であり、隣接する(研磨)要素43のくぼみがお互いに互い違いの関係になるように、支持用の回転可能な(チューブ)部材45上に配置され、一つの(チューブ)部材45上の(研磨)要素のくぼみの位置は、他の(チューブ)部材45上の対抗する(研磨)要素のくぼみの位置と一致しない。」(摘記(2-c))との記載があり、引用発明において、数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成することに加え、分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置することは、当業者が容易になし得ることであって、格別の創作力を必要とすることではない。
そして、本件発明3の相違点Fに係る発明特定事項の奏する効果として認められる「各板状突設部が、断続的に剥離対象面に接触する際に発生する振動が軽減されるようにする」という効果も隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置することにより生ずる効果であり、予測しうる程度のものであって、格別であるとすることもできない。

(4-3)小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、無効審判請求人の提出した甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明の基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 本件発明4について
(5-1) 本件発明4と引用発明との対比
本件発明4は、本件発明1において、「隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されている」ものである。
他方、引用発明では、隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されてはいないものである。
したがって、本件発明4と引用発明とは、相違点A?相違点Dに加えて、さらに以下の点で相違するものと認められる。
G 本件発明4のステッカー等の剥離用ディスクが、「隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されている」のに対して、引用発明は、板状突設部が複数層に分割形成したものではない点(以下、「相違点G」という。)

(5-2) 上記相違点についての判断
甲第4号証は、バフホイールユニットに関するものであって(摘記(3-a)及び(3-c))、同号証には、「図面を参照すると、16は、中心孔17をもち、また中心領域からディスクの外側縁部まで実質的に径方向に切れ目18が延びていて、複数の切片19を形成するあらゆる適切な織物またはフェルトなどの繊維材料で作ることができるディスクを示している。ディスクに切れ目が入れられた後、切片19は交互に図2および4に示すようにほぼ円筒形に上向きに折曲げる。次いで、織物または他の適切な折曲げできる材料の層で形成されたスケルトンリング20は、図6に21で示すように、折曲げした切片に挿入させる。次いで、折曲げ切片を、図7および8に示すように元の位置に戻し、それによってディスクは再び平らになり、リング20はジグザグ形状を取る、またはディスクのハブ22の周りでジグザグを形成する。
ムスリンなどの折曲げできる材料層の側部ディスク23は、ディスクの反対側に配置され、全ての切片は適切な方法で互いに縫い合わされるあるいは固定される。」(摘記(3-b))との記載があり、ジグザグ形状のリング20とムスリンなどの折曲げできる材料層の側部ディスク23とが互いに縫い合わされるあるいは固定されることによって、織物またはフェルトなどの繊維材料で形成されたディスクの構造を安定化することが記載されているものと認められる。
してみれば、ディスクの構造を安定化するために、隣合う板状突設部の先端を側面にて連結板によって交互に連結することは、当業者が容易になし得る改変であって、格別の創作力を必要とすることではない。
そして、本件発明4の相違点Gに係る発明特定事項の奏する効果として認められる、「各板状突設部の基部に発生が予想される部分的破断に対して十分な強度が発現し得て、脱落を回避できるようにする」という効果も予測しうる程度のものであって、格別であるとすることもできない。

(5-3)小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、無効審判請求人の提出した甲第2号証?甲第4号証に記載された発明の基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 明細書の記載要件について
請求人は、訂正後の請求項1の記載は不明瞭であるとして、次の主張をしている。
「被請求人は、請求項1に『剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び』との構成要件を加えた訂正を請求している。
しかしながら、訂正請求後の請求項1における『接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることによる』との記載事項は、方法的記載であり、物の発明としての構成が不明瞭である。
従って、・・・訂正後の請求項1は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」(口頭審理陳述要領書2頁20行?3頁2行)

そこで、以下、当該主張について検討する。
本件特許明細書には、「各板状突設部の先端は、剥離対象面に対して断続的に接触することにより、連続接触する円形ゴムロールに比べ、ディスク一回転あたりの実質的な接触時間が短く、従って、摩擦熱の発生と、剥離対象面への同熱の蓄熱も基本的に少ないことに加え、ディスク材質が有する摩耗性により、摩擦エネルギーの一部が摩耗に消費され、その分摩擦熱の発生が抑制されると共に、若干温度が上昇した板状突設部の接触面も、その一部が摩耗することにより削りカスとなって脱落するためディスクへの蓄熱作用も抑制される。押接力の増加に対し、ディスク材質が有する弾力性により、板状突設部が回転方向に対して後方に反り返り、剥離対象面に実際に加わる押接力が緩衝されることにより、より積極的に摩擦熱の発生を抑制する。」(段落【0016】)との記載がある。
上記記載からみて、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制」とは、摩擦エネルギーで発生した摩擦熱が板状突設部の一部が摩耗した削りカスとともに脱落して失われ、その結果として、剥離対象物の蓄熱が抑制され、摩擦熱の発生抑制されると解されるから、「接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることによる」との記載事項を明瞭でないとすることはできない。
また、「剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制」と特定することにより、板状突設部について、接触面の一部が摩耗により削りカスとなって脱落されることにより、剥離対象物の蓄熱が抑制され、摩擦熱の発生が抑制される材質を有する物という解釈ができ、物の発明として発明を特定できるから、単に方法的記載であるという理由で訂正後の請求項1の記載が明確でないとすることはできない。

8 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1?4は、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
本件発明1?4は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ステッカー等の剥離用ディスク
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】中心に回転駆動工具への取り付け用の回転軸又は軸孔を有し、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象物へ回転、押接する際に殴打力と摩擦力の相互作用により当該剥離対象物を剥離、除去するよう、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔を置いて放射状に、かつ一体に突設することにより、該各突設部間に、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなることを特徴とするステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項2】複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔を置いて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成されていることを特徴とする請求項1記載のステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項3】分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置されていることを特徴とする請求項2記載のステッカー等の剥離用ディスク。
【請求項4】隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されていることを特徴とする請求項1記載のステッカー等の剥離用ディスク。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス面、自動車の塗装面等に貼付されたステッカーや接着剤付シール、又は両面テープを介して接着された被接着物を剥した後に残存する接着剤等を除去するために、ハンドグラインダ等の回転駆動工具に取り付けて使用するステッカー等の剥離用ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス面、自動車の塗装面等に接着された粘着接着剤シールや接着剤を除去するものとして、粘着剤剥離用回転ロールなるものが、実公平8-9143号公報に開示されている。
【0003】
上記剥離用回転ロールは、ロール状とした本体の、剥離対象面に押接する接触面を、弾力性と耐摩耗性を有するゴム又は合成樹脂で形成してあり、回転ロールを回転駆動装置に取り付け、回転させながら外周の円形接触面を剥離対象面に押接することにより、剥離対象面側の粘着剤を摩擦熱によって軟化せしめて剥離させるものである。また、回転駆動装置を人為的に減速することにより回転ロールを低速で回転させ、被剥離物を比較的ゆっくり剥ぎとる方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、上記従来の回転ロールでは、低速の剥離作業を不満に思う作業者も多く、回転ロールの許容回転速度以上で無理な使用をする者も現れ、その結果、当該回転ロールの接触面と被剥離対象物に過大な摩擦熱が発生し、被剥離対象物の下地である自動車の塗装面などに重大な損傷をもたらすことと、ロール本体から高熱による不快、かつ有害な臭いが発生し、作業者の健康を害するおそれがある等の問題があった。為に、有害な摩擦熱の発生が抑制され、かつ剥離対象物の剥離作業を満足でき、剥離作業効率の良い被剥離物の剥離用ディスクの開発が、現在当業者間において希求されている。
【0005】
本発明は、上記した従来の技術の粘着剤剥離用回転ロールの有するこのような問題点に鑑みてなされたもので、請求項1にあっては、軟質合成樹脂或いはゴムからなるディスク本体の外周に、複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて放射状に突設し、該各板状突設部間に凹溝部を設けて構成することにより、各板状突設部の先端部を剥離対象物に押接して使用する際の摩擦熱の発生抑制効果と放熱効果によって剥離対象物の温度上昇も制限され、かつ遠心力を伴った板状突設部先端部が、剥離対象物にもたらす殴打力と摩擦力の相互作用により、剥離効率を向上しようとするのが目的である。
【0006】
さらに、請求項2では、複数の板状突設部を、ディスク本体の厚さ方向へ複数の層に分割することにより、複数層の各板状突設部先端が、剥離対象面の起伏や凹部、溝部等に対して良く接して効率良く剥離できるようにするのが目的である。
【0007】
次に、請求項3では、各層の各板状突設部を、隣接する層の各板状突設部間の凹溝部と対向位置させたことにより、各板状突設部が、断続的に剥離対象面に接触する際に発生する振動が軽減されるようにするのが目的である。
【0008】
請求項4では、隣合う板状突設部の先端を、側面にて交互に連結することにより、各板状突設部の基部に発生が予想される部分的破断に対して十分な強度が発現し得て、脱落を回避できるようにするのが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にあっては、中心に回転駆動工具への取り付け用の回転軸又は軸孔を有し、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴムで構成される円形のディスク本体の外周に、剥離対象面に押接する複数の板状突設部を周方向へ一定の間隔をおいて突設することにより、該各突設部間に、剥離対象物に対する板状突設部の接触面の一部が磨耗により削りカスとなって脱落されることによる蓄熱抑制、摩擦熱の発生抑制及び放熱並びに冷却用としての複数の凹溝部を形成してなることを特徴とする。
【0010】
請求項2にあっては、複数の板状突設部が、その横幅方向へ一定の間隔をおいて周設した複数のスリットによって、複数層に分割形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3にあっては、分割形成された各層の各板状突設部が、隣接する層の各板状突設部の間の凹溝部と対向配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4にあっては、隣合う板状突設部の先端が、側面にて連結板によって交互に連結されていることを特徴とする。
【0013】
【作用】
本発明においては、軸孔又は回転軸をもって回転駆動工具の回転軸又はチャック等に固定し、回転軸又は軸孔を中心として当該剥離用ディスクを回転させ、ディスク外周の複数の板状突設部先端を剥離対象物(ステッカー、シール等)に押接して回転運動により発生する遠心力をともなった板状突設部の先端部が、剥離対象物にもたらす殴打力と摩擦力の相互作用により、剥離対象物を細かな破片状に剥離することになる。
【0014】
一旦剥離された剥離対象物については、適度の大きさを有する破片は単独で脱落し、小さな破片或いは粘着剤等は、各板状突設部先端の摩耗した削りカスに取り込まれながら脱落することにより、剥離対象面から除去される。
【0015】
板状突設部先端の摩耗により、剥離対象物に押接される板状突設部の接触面は常にフレッシュな面が維持されることとなるため、剥離作用に供する摩擦力は常に一定に保たれることになる。また、一旦剥離されたステッカーやシール等の小片等は、板状突設部先端の接触面に再付着しないから、同小片等が自動車等の塗装面を擦ることはなく、従って、同塗装面を傷付けることがない。
【0016】
各板状突設部の先端は、剥離対象面に対して断続的に接触することにより、連続接触する円形ゴムロールに比べ、ディスク一回転あたりの実質的な接触時間が短く、従って、摩擦熱の発生と、剥離対象面への同熱の蓄熱も基本的に少ないことに加え、ディスク材質が有する摩耗性により、摩擦エネルギーの一部が摩耗に消費され、その分摩擦熱の発生が抑制されると共に、若干温度が上昇した板状突設部の接触面も、その一部が摩耗することにより削りカスとなって脱落するためディスクへの蓄熱作用も抑制される。押接力の増加に対し、ディスク材質が有する弾力性により、板状突設部が回転方向に対して後方に反り返り、剥離対象面に実際に加わる押接力が緩衝されることにより、より積極的に摩擦熱の発生を抑制する。
【0017】
さらに、各板状突設部間の凹溝部に存在する空気も、当該ディスクの回転運動によって、剥離対象面に接触しながら移動を繰り返すため、同対象面に対し空冷作用を持つことになる。その結果、当該ディスクは、これが使用される際に、一連の摩擦熱の発生を抑制する効果と、放熱及び冷却する効果を伴うため、剥離対象物と、その下地を損傷を伴う温度まで上昇させることがなく、従って、回転駆動工具を減速して使用するという制約を伴わずに剥離対象物の剥離を可能ならしめる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るステッカー等の剥離用ディスクの実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明ディスクの第1実施形態の斜視図を示し、図2は同上ディスクの第2実施形態の斜視図を示し、図3は同上ディスクの第3実施形態の斜視図を示し、図4は同上ディスクの第4実施形態の斜視図を示し、図5は同上ディスクの第5実施形態の斜視図を示し、図6は第1実施形態のディスクを回転駆動工具に取り付けた使用状態の側面図を示す。
【0019】
図1ないし図5に示す各実施形態のディスクAの本体1は、摩耗性と弾力性を有する軟質の合成樹脂或いはゴム等で一体に円形に成形されている。上記本体1の中心には、図6に例示した回転駆動工具Bの図示しない駆動軸に取り付け金具2と取り付けネジ2aにより取り付けられる軸孔3を貫通して形成させてある。駆動軸にチャックを備えてなる他の回転駆動工具に取り付ける場合は、上記軸孔3に替えて、図示しない回転軸を本体1の中心に突設する。
【0020】
上記本体1の外周には、図6に示す剥離対象面4に押接するための複数の板状突設部5、5・・・を、同一円周上において、周方向へ一定の間隔aをおいて放射状に、かつ一体に突設させてある。この各板状突設部5、5・・・は、本体1の厚さ方向における横幅bを広く、かつ同一幅に形成させてあると共に、周方向における厚さは、基部を厚肉に、これより先端が徐々に薄肉に形成して、図6に示したように、剥離対象面4に押接した際、その押接力により当該各板状突設部5・・・の先端部がその回転方向とは逆方向に湾曲されるようにしてある。
【0021】
そして、上記本体1の外周に複数の板状突設部5、5・・・が突設されることにより、各板状突設部5、5間には、摩擦熱の発生抑制及び放熱用としての凹溝部6、6・・・が形成されるが、この各凹溝部6、6・・・は、上記各板状突設部5、5・・・が上記した厚さに形成されていることで、図示の如く正面略V字形状に形成されている。
【0022】
図1に示した第1実施形態では、各板状突設部5、5・・・を、本体1の軸孔3の中心線cと並行に形成してあるが、図2に示す第2実施形態では、上記中心線cに対し、一定の角度をもって傾斜形成してある。
【0023】
図3に示した第3実施形態は、複数の板状突設部5、5・・・を図1に示した第1実施形態による場合と同様に、軸孔3の中心線cと並行に形成してあるが、上記各板状突設部5、5・・・の横幅b方向へ一定の間隔dをおいて複数(図示例では3個)のスリット7、7・・・を周設することによって、板状突設部5、5・・・が複数層(図示例では4層)8、8a、8b、8cに分割形成させてあり、これによって、各板状突設部5、5・・・の先端部が、剥離対象面4の起伏や凹部、溝等に対し、より効率よく接面することになる。
【0024】
図4に示した第4実施形態は、既述第3実施形態の形状を基本形状とし、板状突設部5、5・・・が複数層(図示例では4層)8、8a、8b、8cに分割されていて、各層8?8cの板状突設部5、5・・・の先端部を、隣接する層の各板状突設部5、5間の各凹溝部6、6・・・に対向配置して形成させてある。これによって、各板状突設部5、5・・・先端部が断続的に剥離対象面4に押接する際に発生する振動が軽減される。
【0025】
図5に示す第5実施形態は、既述第1実施形態の形状を基本形状とし、さらに、隣合う板状突設部5、5の先端部同志を両側面において交互(千鳥)に連結板9によって連結し、外周面に平面略コ字形と逆コ字形を交互に連続させたパターンを形成させてある。これによって、各板状突設部5、5・・・の基部に発生が予想される部分的破断部からの板状突設部の破断脱落が回避される。
【0026】
また、既述各実施形態共に、本体1の構成素材に任意の香料成分を添加することも可能である。このようにすると、合成樹脂、ゴムが持つ不快臭をおさえ、快適な作業環境を提供できる。
【0027】
図6に示す回転駆動工具Bは、市販の代表的なエアー駆動工具であって、一方の手で垂直グリップ10を持ち、他方の手でボディー11を持ちながら、スタートレバー12を握ることで、ディスクAは図示した矢印d方向に回転するので、該ディスクAの板状突設部5、5・・・の先端部を適度な力で剥離対象面4に押接することによって図示しないシール、ステッカー、接着剤等を剥離する。なお、スタートレバー12を離すと、ディスクAの回転は停止する。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、板状突設部の先端部を剥離対象物に押接し、当該剥離対象物を剥離する際に、摩擦熱の発生を抑制する効果と、放熱及び冷却する効果を伴うため、剥離対象物と、その下地を損傷を伴う温度まで上昇させることがなく、従って、回転駆動工具を減速して使用するという制約を伴わず、回転運動により発生する遠心力をともなった板状突設部の先端部が、剥離対象物にもたらす殴打力と摩擦力の相互作用により、剥離対象物の剥離効率を大幅に向上させることができる等、従来品とは比較にならない特段の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るステッカー等の剥離用ディスクの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】
同上ディスクの第2実施形態を示す斜視図である。
【図3】
同上ディスクの第3実施形態を示す斜視図である。
【図4】
同上ディスクの第4実施形態を示す斜視図である。
【図5】
同上ディスクの第5実施形態を示す斜視図である。
【図6】
同上ディスクの使用例を示す側面図である。
【符号の説明】
A ディスク
1 本体
3 軸孔
4 剥離対象面
5 板状突設部
6 凹溝部
7 スリット
8 板状突設部層
9 連結板
a 間隔
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-12-03 
結審通知日 2008-12-10 
審決日 2008-12-25 
出願番号 特願平10-214893
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (C09J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡辺 陽子  
特許庁審判長 原 健司
特許庁審判官 鈴木 紀子
橋本 栄和
登録日 1999-10-29 
登録番号 特許第2995405号(P2995405)
発明の名称 ステッカー等の剥離用ディスク  
代理人 平田 功  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  
代理人 平田 功  
代理人 平田 功  
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