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審決分類 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A47C
審判 訂正 特126 条1 項 訂正する A47C
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する A47C
管理番号 1199231
審判番号 訂正2009-390054  
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2009-04-22 
確定日 2009-06-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3728576号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3728576号に係る明細書を本件審判請求書に添付された全文訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3728576号(平成10年3月26日特許出願、平成17年10月14日設定登録。以下「本件特許」という。)の明細書を、本件審判請求書に添付した全文訂正明細書のとおり、すなわち、以下の訂正事項1?3のとおりに訂正することを求めるものである。(なお、下線は、訂正箇所を示すものである。)

(1)訂正事項1
明細書の特許請求の範囲の請求項1における
「脚の上部に設けた基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設したことを特徴とする椅子の座席。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「脚の上部に設けた平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、この基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設したことを特徴とする椅子の座席。」と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0008】における
「(1) 脚の上部に設けた基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設する。」を、明りようでない記載の釈明を目的として、
「脚の上部に設けた平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、この基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設する。」と訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0027】における
「なお、以上説明した座席は、平面視方形状であるが、円形であってもよい。この場合には、係止片(8)を、円形の基板の周縁の全体に亘って、ほぼ等間隔に設ける必要がある。」を、明りようでない記載の釈明を目的として削除する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について、以下検討する。
(1)訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更について
ア 訂正事項1
訂正事項1の訂正は、本件審判請求による訂正前の請求項1に記載された「基板」に関して、その形状が「平面視が方形状を有する」との限定事項を付加すると共に「基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成する」との限定事項を付加し、さらに、同訂正前の請求項1の「クッション材」及び「表皮材」と、上記「側壁」との関係について「前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ」るとの限定事項を付加したものであるから、訂正事項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1の訂正は、本件審判請求による訂正前の本件特許の明細書における「基板(2)は、…(略)…平面視方形状をなしている」(段落【0013】)、「基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成する」(段落【0009】)及び「基板(2)の側壁(2a)と表皮材(5)との間に介在しているクッション材(4)」(段落【0023】)との記載に基づくものであり、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
そして、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項2
訂正事項2の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正事項1の訂正に伴ない、明細書の対応する箇所の記載を整合させるためのものであり、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当し、また、訂正事項1と同様に、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項3
訂正事項3の訂正は、訂正事項1の訂正により、基板が「平面視が方形状を有する」ものであるとの限定事項が付加されたことに伴ない、当該限定事項の内容と整合しない、座席が円形であってもよいとする旨の明細書の記載を削除するものであり、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当し、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

したがって、本件審判請求による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第3項及び第4項の規定に適合する。

(2)独立特許要件について
上記のように、訂正事項1の訂正は、訂正前の請求項1の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正するものである。また、請求項2?5は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正事項1の訂正は、実質的に、請求項2?5についても特許請求の範囲の減縮を目的として訂正するものである。
そこで、訂正事項1の訂正による訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1?5に係る発明(以下「訂正発明1」?「訂正発明5」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

ア 訂正発明1?5
訂正発明1?5は、全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】 脚の上部に設けた平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、この基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設したことを特徴とする椅子の座席。
【請求項2】 基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、該側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、かつ前記係止片を前記側壁の内方に対向させて設けた請求項1記載の椅子の座席。
【請求項3】 係止片の先端に、外方を向く外れ防止部を設けた請求項1または2記載の椅子の座席。
【請求項4】 外れ防止部の締付紐条受け面が、前記側壁の先端と基板の裏面との中間に位置する請求項3記載の椅子の座席。
【請求項5】 締付紐条が、紐または金属線である請求項1?4のいずれかに記載の椅子の座席。」

イ 公知文献
本件審判の請求人は、本件審判請求書に添付して、以下の公知文献1?5を提出した。
公知文献1:米国特許第2191848号明細書
公知文献2:実願昭49-46214号(実開昭50-135405号)のマイクロフィルム
公知文献3:実公昭35-5517号公報
公知文献4:実公昭39-31020号公報
公知文献5:実公昭42-2988号公報

ウ 公知文献の記載事項
公知文献1には、
「In the said drawing, …(略)…, 1 is a spider which may by mounted on any suitable legs, not shown, and secured thereon is a seat support 2, preferably of sheet metal, and provided with a marginal upturned reinforcing or stiffening flange 3, which of course could be turned down as far as its stiffening function is concerned. Vulcanized, cemented or otherwise securely fixed to the upper surface of the seat support is a cushion 4, preferably of sponge or blown rubber or latex composition, said cushion being of dimensions corresponding to that of the support and being snugly received within the edge flange 3 thereof in the construction shown.(上記の図面では、…(略)…、1は図示しない適当な脚に取り付けられるスパイダーであり、その上に固定されるのは2のシートサポートである。シートサポート2は好ましくは金属薄板からなる。その周縁には上を向いた補強もしくは補剛されたフランジ3があり、補強機能の働きの限り下方に折り曲げることが可能である。クッション4は、シートサポートの上表面部に、加硫処理されるか、セメントで固められるか、または安全に固定される。クッション4はスポンジ、膨張性ゴム、またはラテックスの組成物により整形される。上記クッション4の寸法は、シートサポートの寸法に対応しており、図示のとおり、クッション4はフランジ3の端部によりぴったりと受け止められる。)(邦文は、公知文献1について請求人が提出した翻訳文の対応箇所の記載。以下同様。)」(明細書第1ページ左欄第35?49行)、
「It has been found with a seat cover of the character mentioned, that for best service and to insure the cover retains its centered position, on the seat cusion, some positive means should be supplied to limit the action of the draw cord. Therefore, the seat support is provided with a series of downwardly projecting spaced stop lugs 9 along its back and two side margins, said lugs preferably being in the shape of outwardly opening hooks in reference to the center of the seat, …(略)… The seat cover is positioned over the cushion, and one end of the draw cord 7 is fixed to the seat support as by being looped as at 11 over a lug 9, the free end of the spring 8 being secured to the seat support in tensioned relation as by being secured to a lug 9, and all slack is drawn out of the fabric and the cover is held centered through the tensioned draw cord tending to draw the fabric together as guided and limited by the lugs 9.(シートカバーの上述した特徴からもわかるように、最良に使用するため、またカバーがシートクッションの上の中心位置に保たれるためにも、紐の動きを制限する何かしらの手段が必要である。これ故、シートサポートには後部及び左右両側の縁に沿って、下方に突出する凸部9が間隔を置いて配設されている。これらの凸部は、好ましくは椅子の中心から見て外向きに開口したフックである。…(略)…シートカバーはクッションを覆うように取り付けられ、張紐7の一端は環状(11)にされ、凸部9に引っ掛けられることでシートサポートに固定される。バネ8の遊端部は凸部9に固定されることで、シートサポートに引っ張られた状態で固定され、弛んだ部分は全て布地から引き出される。また、紐が引っ張られた状態にあるため、凸部9により導かれ、その動きが制限されることで布地が引き寄せられるので、カバーは中心位置を保つことが可能となる。)」(明細書第1ページ右欄第7?29行)、
と記載されていると共に、図1(Fig.1.)には、シートサポート2がほぼ平面視方形状であり、当該シートサポート2の角部を含めて凸部9が配設されている点が図示されている。
公知文献2には、
「表皮(1)の周縁に保持部(2)を設け、この内部に心材(3)を通し、底板(4)の周縁に設けた溝部(5)に保持部(2)を収納したことを特徴とする端末を有するシート。」(実用新案登録請求の範囲)、
と記載されていると共に、第1図には、底板(4)が少なくともその周縁の一部に裏面側に延びる側壁を有し、当該側壁の外面に表皮(1)が直接接触して配置された点が図示されている。
公知文献3には、
「図面に示すようにサドル裏板1の上部及び外周にクツシヨン体2を介して表張り3を包被し該表張り3の周縁に断面角型の補強線4を設け且つ前記裏板1に設けた適数の止め片5の上下係合部abにより前記補強線4を含む表張り3の周縁部を抱着して成るサドル表張り緊張装置の構造。」(登録請求の範囲)、
と記載されていると共に、第2図には、少なくとも周縁が平板状のままである裏板1の周縁の側部付近までクツシヨン体2が配置されている点が図示されている。
公知文献4には、
「基板の裏面においてその周側に尖鋭突片と通常の突片を有する係止板の適当数を溶接手段等によつて固着し、基板を被覆したカバーの周縁部に尖鋭突片を突刺すと共にこれを曲折し、さらに他の突片を曲折してカバーの周縁部外面を押圧して成るクツシヨンカバーの取付装置。」(実用新案登録請求の範囲)、
と記載されていると共に、第四図には、少なくとも周縁が平板状のままである基板1が図示されている。
公知文献5には、
「背当体の基台1は金属製としプレス等によつて絞り曲げ加工して突周縁部2を有するように適当の彎曲部を附与させるもので、押え金具6,6’および背当アーム体取付金具7を固着させて形成された基台1の突周縁部2に断面が7字状の…(略)…可とう帯状体Aを…(略)…周装しおき、前記基作1(審決注:「基台1」の誤記)の彎曲部の前向き表面(正面部分)と周装された可とう帯状体Aを包被するようにクツシヨン体Bを当接させ、別に準備された張装線条5を有する表被体Cを整形しながら張装し、張装された表被体Cの内周縁部を押え金具6,6’により押え止め、背当アーム体取付金具7に背当アーム体を取り付ける」(第1ページ右欄第4?19行)
と記載されていると共に、第3図には、基台1が裏面側に曲げられた突周縁部2を有し、当該突周縁部2と表被体Cとの間にクツシヨン体Bが介在させられた点が図示されている。

エ 対比・判断
訂正発明1?5と、公知文献1?5に開示された事項を対比すると、公知文献1?5には、訂正発明1?5の発明特定事項である「平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる」ように形成された「側壁」を有し、当該「側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ」ると共に、かつ、「基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設した」点について、記載も示唆もされていない。
そして、訂正発明1?5は、上記の発明特定事項を有することにより、全文訂正明細書において、具体的な実施の形態について記載された「基板(2)の四隅の曲率半径の小さい円弧状の角部(2c)を覆っている表皮材(5)の角部(5c)は、従来と異なって、基板(2)の内側へ引っ張られるようなことがな」く、「基板(2)の側壁(2a)と表皮材(5)との間に介在しているクッション材(4)は、基板(2)の直線状部(2b)においても、また円弧状の角部(2b)においても押し潰されることがない」(段落【0022】?【0023】)との作用を生じさせることができるのであり、また、「締付紐条を緊張させたとき、基板の角部において、締付紐条が係止片に受け止められ、基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないので、締付紐条を安定した状態に緊張させて、表皮材を確実に基板に設けることができるとともに、座席を所望の形状に形成することができ」、「座席の外周に人がぶつかっても、衝撃を和らげて不快な感じを与えることがない」との効果を奏しつつ、「係止片が、基板の外側に湾曲した部分に沿って締付紐条を受け止めるため、表皮材と基板の側壁とにより、クッション材が押し潰されることがない」(段落【0028】?【0029】)等の発明の効果を奏することができるものと認められる。
したがって、訂正発明1?5は、上記公知文献1?5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、他に訂正発明1?5が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も発見されない。
よって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第3項乃至第5項の規定に適合するものである。
よって結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
椅子の座席
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】脚の上部に設けた平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、この基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設したことを特徴とする椅子の座席。
【請求項2】基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、該側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、かつ前記係止片を前記側壁の内方に対向させて設けた請求項1記載の椅子の座席。
【請求項3】係止片の先端に、外方を向く外れ防止部を設けた請求項1または2記載の椅子の座席。
【請求項4】外れ防止部の締付紐条受け面が、前記側壁の先端と基板の裏面との中間に位置する請求項3記載の椅子の座席。
【請求項5】締付紐条が、紐または金属線である請求項1?4のいずれかに記載の椅子の座席。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子の座席に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5?図7に示すように、従来の代表的な椅子の座席(11)は、脚(3)の上部に設けた基板(12)上にクッション材(4)を設け、このクッション材(4)と基板(12)とを、基板の裏面の中央部を残して表皮材(5)で覆い、かつ中央部と対向する表皮材(5)の側縁(5a)の周囲に形成された筒状の挿通部(7)に、可撓性の締付紐条(6)を挿通し、この締付紐条(6)を緊張させて、表皮材(5)の側縁(5a)を窄めることにより形成されている。
【0003】
クッション材(4)は、基板(12)の縁を裏面側に折り曲げて形成された側壁(12a)と表皮材(5)との間にも延在し、座席の周囲に人体がぶつかったときの緩衝材としての役目をするとともに、座席の縁を円弧状にしてソフトな感じを与えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の椅子の座席(11)において、締付紐条(6)を緊張させたとき、基板(12)の前後左右におけるほぼ直線状部(12b)を覆っている表皮材(5)の直線状部(5b)は、基板(12)の裏面中央部の方へ引っ張られるようなことがない(図6参照)。しかし、基板(12)が方形状をなし、四隅の曲率半径の小さい円弧状の角部(12c)を覆っている表皮材(5)の角部(5c)は、基板(12)の裏面中央部の方へ引っ張られる(図7参照)。
【0005】
そのため、側壁(12a)と表皮材(5)との間おけるクッション材(4)は、基板(12)の直線状部(12b)においては、押し潰されることなく、図6のようになるが、角部(12c)においては、図7に示すように、直線状部(12b)に比してより強く押し潰される。しかも、押し潰される量は、四隅とも不均一である。
【0006】
したがって、従来の座席(11)は、角部を図5および図7の仮想線で示す所望の形状に形成することができず、実線で示す形状に変形するという問題を有している。また、クッション材(4)の弾力に抗して締付紐条(6)を緊張させるため、締付紐条(6)の緊張状態が不安定であり、表皮材(5)が基板(12)に対して位置ずれすることもあった。
特に、椅子を長期間使用すると、クッション材(4)の弾力が低下して、締付紐条(6)が緩み、体裁が悪くなるとともに、表皮材(5)が基板(12)に対してだぶついた不安定な感じを与えることがあった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、締付紐条を安定した状態で緊張させることができるようにした、椅子の座席を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)脚の上部に設けた平面視が方形状を有する基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、この基板上にクッション材を設け、前記クッション材と前記基板とを、前記基板の裏面中央部を残して表皮材で覆い、かつ前記表皮材の周縁に形成された挿通部に可撓性の締付紐条を挿通し、該締付紐条を緊張させて、前記表皮材の周縁を窄めることによって形成した椅子の座席において、
前記側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、前記基板の角部の裏面に、前記締付紐条の内側面を受け止めることにより、締付紐条が基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないようにした係止片を突設する。
【0009】
(2)上記(1)項において、基板の周縁に裏面側に延びる側壁を形成するとともに、該側壁と表皮材との間にクッション材を介在させ、かつ前記係止片を前記側壁の内方に対向させて設ける。
【0010】
(3)上記(1)項または(2)において、係止片の先端に、外方を向く外れ防止部を設ける。
【0011】
(4)上記(3)項において、外れ防止部の締付紐条受け面が、前記側壁の先端と基板の裏面との中間に位置している。
【0012】
(5)上記(1)項?(3)項のいずれかにおいて、締付紐条が、紐または金属線である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1?図4に基づいて説明する。
椅子の座席(1)の基板(2)は、椅子の脚(3)の上部に設けられ、平面視方形状をなしている。基板(2)上には、スラブウレタンからなるクッション材(4)が設けられている。基板(2)とクッション材(4)は、基板(2)の裏面の中央部を残して、表皮材(5)によって覆われている。
【0014】
その中央部と対向する表皮材(5)の周縁(5a)には、可撓性の締付紐条(6)を通すための筒状の挿通部(7)が形成されている。
なお、締付紐条(6)は針金であってもよい。
【0015】
また、挿通部(7)は、周縁(5a)に沿って、かがり糸を螺旋状に巻回し、縫い付けて固定して形成してもよい。
【0016】
基板(2)の全周縁を裏面側に折り曲げて垂直の側壁(2a)が形成されている。ただし、締付紐条(6)の結び目と対向する部分には、結び目を露出させる切欠(図示省略)が形成されている。
【0017】
図3、図4に示すように、基板(2)の各角部(2b)の裏面における側壁(2a)の内方には、環状の締付紐条(6)を内側から受け止める複数の係止片(8)が、角部(2c)に沿って並べて突設されている。
【0018】
係止片(8)の先端には、締付紐条(6)の外れ防止のために、基板(2)の外周方向を向く鉤状の外れ防止部(9)が形成され、係止片(8)は、全体的に逆L字状をなしている。
【0019】
なお、外れ防止部(9)の上面は、基板(2)の側壁(2a)の下端より、やや上方に位置しているのがよい。
【0020】
挿通部(7)に締付紐条(6)を通し、その紐条(6)を引っ張って緊張させると、表皮材(5)の周縁(5a)は、基板(2)の裏面側の中央部、すなわち内側方へ窄まり、表皮材(5)全体が引っ張られた状態になる。
【0021】
引っ張られた締付紐条(6)は、挿通部(7)を介して係止片(8)に受け止められ、それ以上、基板(2)の裏面側中央部の方へ寄ることはない。しかも、紐条(6)は、外れ防止部(9)によって外れるようなことがない。
【0022】
そのため、基板(2)の前後左右の直線状部(実際には若干湾曲させてある)(2b)を覆っている表皮材(5)の直線状部(5b)は、従来と同様に、紐条(6)によって、基板(2)の内側へ引っ張られるようなことはない。また、基板(2)の四隅の曲率半径の小さい円弧状の角部(2c)を覆っている表皮材(5)の角部(5c)は、従来と異なって、基板(2)の内側へ引っ張られるようなことがない。
【0023】
したがって、図2、図3に示すように、基板(2)の側壁(2a)と表皮材(5)との間に介在しているクッション材(4)は、基板(2)の直線状部(2b)においても、また円弧状の角部(2c)においても、押し潰されることがない。
【0024】
これによって、座席(1)は、所望の形状に形成される。
また、クッション材(4)の弾力に抗して締付紐条(6)を緊張させるのではなく、係止片(8)に紐条(6)を受け止めさせているので、紐条(6)の緊張状態が安定し、表皮材(5)が基板(2)に対して位置ずれすることはない。
【0025】
特に、椅子を長期間使用して、クッション材(4)の弾力が低下するようなことがあっても、紐条(6)が緩むことがなく、着座した人に、表皮材(5)が基板(2)に対してだぶついた、不安定な感じを与えるようなことがない。
【0026】
さらに、紐条(6)は、緊張させられたとき、外れ防止部(9)の上面に受け止められ、表皮材(5)の周縁(5a)を基板(2)の裏面に接近させて、表皮材(5)を基板(2)の側壁(2a)の先端に圧接させ、クッション材(4)が表皮材(5)と基板(2)の側壁(2a)の先端との間からはみ出ないようにする。
【0027】
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によると、締付紐条を緊張させたとき、基板の角部において、締付紐条が係止片に受け止められ、基板の裏面側中央部の方へ寄ることがないので、締付紐条を安定した状態に緊張させて、表皮材を確実に基板に設けることができるとともに、座席を所望の形状に形成することができる。
【0029】
請求項2のように、基板の側壁と表皮材との間にクッション材を介在させると、座席の外周に人がぶつかっても、衝撃を和らげて不快な感じを与えることがない。
また、係止片が、基板の外側に湾曲した部分に沿って締付紐条を受け止めるため、表皮材と基板の側壁とにより、クッション材が押し潰されることがない。
【0030】
請求項3のように、係止片の先端に、外れ防止部を形成すると、締付紐条の外れを防止することができる。
【0031】
請求項4のように、外れ防止部の締付紐条受け面を、基板の側壁の先端と基板の裏面との中間に位置させると、締付紐条が、表皮材の周縁部を基板の裏面に接近させて、表皮材を基板の側壁の先端に密着させ、表皮材を基板に確実に取付けることができるとともに、表皮材の周縁が外部に露呈しにくくなるので、体裁がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施形態の座席の底面図である。
【図2】
図1におけるII-II矢視断面図である。
【図3】
図1におけるIII-III矢視断面図である。
【図4】
図1における基板の角部の斜視図である。
【図5】
従来の座席の底面図である。
【図6】
図5におけるVI-VI矢視断面図である。
【図7】
図5におけるVII-VII矢視断面図である。
【符号の説明】
(1)座席
(2)基板
(2a)側壁
(2b)直線状部
(2c)角部
(3)脚
(4)クッション材
(5)表皮材
(5a)周縁
(5b)直線状部
(5c)角部
(6)紐条
(7)挿通部
(8)係止片
(8a)先端
(9)外れ防止部
(11)座席
(12)基板
(12a)側壁
(12b)直線状部
(12c)角部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2009-05-29 
出願番号 特願平10-79467
審決分類 P 1 41・ 85- Y (A47C)
P 1 41・ 832- Y (A47C)
P 1 41・ 841- Y (A47C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小谷 一郎  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 中島 成
増沢 誠一
登録日 2005-10-14 
登録番号 特許第3728576号(P3728576)
発明の名称 椅子の座席  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 森 浩之  
代理人 森 浩之  
代理人 竹沢 荘一  

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