ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1199293 |
審判番号 | 不服2006-24074 |
総通号数 | 116 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-10-25 |
確定日 | 2009-06-18 |
事件の表示 | 特願2000- 54828「画像取扱システム及び画像取扱方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月 7日出願公開、特開2001-243411〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年2月29日の出願であって、平成18年9月15日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年10月25日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年11月8日付で手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年11月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「帳票に表示されている所定の画像を、少なくとも、作製される所定の単票で取り扱い自在とする画像取扱システムであって、 所定数の前記帳票をそれぞれイメージデータとして取得するイメージデータ取得手段と、 前記取得したイメージデータのうち、所定部分の画像データを抽出する画像データ抽出手段と、 前記画像データ抽出手段で抽出した画像データのそれぞれを、少なくとも統一的な大きさとして単一の画像データを元にして所定の必要箇所に転用させるための加工を行う画像データ処理手段と、 前記帳票毎の、前記画像データ抽出手段で抽出されて前記画像データ処理手段で加工された画像データを用いて、当該それぞれの帳票に対応する当該画像データが使用される前記単票を所定数作製する単票作製手段と、 を有することを特徴とする画像取扱システム。」 3.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成8年8月20日に頒布された「特開平8-212263号公報」(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「【請求項1】中央処理装置にネットワークを介して、異なる地域に設置された複数の申込端末が接続された処理システムであって、 申込端末は、受験者の顔写真を入力する人物像入力手段と、文字データを入力するテキスト入力手段とを備え、 中央処理装置は、受験者データベースを格納する記憶手段と、申込端末からの申込受付が完了した旨の情報である受付情報を出力する受付情報出力手段とを備え、 該中央処理装置は、申込端末により入力された受験者の住所、氏名、顔写真を受験者データベースに登録し、受付情報を出力することを特徴とする電子出願による試験関連業務処理システム。」 (2)「【請求項7】中央処理装置が、受験者データベースに基づいて、入学者の顔写真入り身分証明書を作成する身分証明書作成手段を備えることを特徴とする請求項2?6のいずれか1項に記載の電子出願による試験関連業務処理システム。」 ここで、上記「身分証明書作成手段」が、身分証明書を所定数作製することは「身分証明書作成」という業務の性質からみて、当然のことである。 これらの記載事項によれば、引用例1には、「中央処理装置にネットワークを介して、異なる地域に設置された複数の申込端末が接続された処理システムであって、申込端末は、受験者の顔写真を入力する人物像入力手段と、文字データを入力するテキスト入力手段とを備え、中央処理装置は、受験者データベースを格納する記憶手段と、申込端末により入力された受験者の住所、氏名、顔写真を受験者データベースに登録する手段と、受験者データベースに基づいて入学者の顔写真入り身分証明書を所定数作製する身分証明書作製手段を備えた電子出願による試験関連業務処理システム」の発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。 4.対比 本願発明と引用例1発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。 (1)引用例1発明の「顔写真」のデータは本願発明の画像データに相当するものである。 (2)引用例1発明の「身分証明書」は本願発明の単票に相当するものである。 したがって、本願発明と引用例1発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「画像データを用いて単票を所定数作製する単票作製手段を備える画像取扱システム」である点。 (相違点1) 本願発明は帳票に表示されている所定の画像を、少なくとも、作製される所定の単票で取り扱い自在とするものであるのに対し、引用例1発明は帳票に表示されている所定の画像を作製される所定の単票で取り扱い自在とするものではない点。 (相違点2) 本願発明の画像取扱システムは「所定数の帳票をそれぞれイメージデータとして取得するイメージデータ取得手段と、前記取得したイメージデータのうち、所定部分の画像データを抽出する画像データ抽出手段と、前記画像データ抽出手段で抽出した画像データのそれぞれを、少なくとも統一的な大きさとして単一の画像データを元にして所定の必要箇所に転用させるための加工を行う画像データ処理手段」(以下「手段群A」という。)を有しており、単票作製手段は画像データを前記画像データ処理手段より得ているのに対し、引用例1発明は手段群Aを有しておらず、単票作製手段は画像データを「受験者の顔写真を入力する人物像入力手段と文字データを入力するテキスト入力手段とを備えた申込端末」より得ている点。 5.判断 (相違点1)について 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成8年4月23日に頒布された「特開平8-106503号公報」(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0038】ところで、上述した実施例においては、入学志願票7の写真貼付欄28に受験者の証明写真を直接貼付するようにしている。こうすると、OCR装置5で写真部分を読み取った場合に、写真と帳票との境界部分に陰線が生じてしまう。また、OCR機構内部で写真部分が引っかかって写真剥がれたり、詰まる場合も考えられる。そこで、入学志願票7の写真貼付欄28を切抜くとともに、入学志願票7とは異なる台紙上に受験者の証明写真を貼付し、この証明写真を貼付した台紙を、入学志願票7の裏面に当てて、前記証明写真が前記切抜き部分から表面に露出するように、前記台紙と、入学志願票7との位置を調整した後、これら台紙に塗布されている接着剤などによってこの台紙を入学志願票7の裏面に接着させ、これによって入学志願票7の表面から証明写真が突出しないようにする。 【0039】このようにすることにより、写真貼付欄28に証明写真が貼付された入学志願票7をOCR装置5に読み取らせたとき、陰線を生じることなく鮮明な写真読み取りが可能となるとともに、OCR機構内部で、写真が引っかかって剥がれたり、詰まるのを防止できる。 【0040】また、このようにしてOCR装置で読み込まれた写真データも個別に保存され、必要に応じて入学志願票7に印刷したり、別の書類に印刷することも可能である。こうすることにより、受験生が提出する写真も1枚で良く、また、写真の不正改ざんの防止も可能となり、さらに、入学後等において、写真データが必要な時に何時でも印刷することができる等、大学側の学生管理上においても非常に有用な書類処理システムを構築することが可能となる。」 上記記載によれば、引用例2には「受験者の顔写真である証明写真が貼付された入学志願票をOCR装置で読み取らせ、読み込まれた写真データを個別に保存し、別の書類の印刷に用いる発明」(以下「引用例2発明」という。)が記載されていると認められる。 引用例1発明の「試験関連業務処理システム」と引用例2発明の「書類処理システム」は、受験者の顔写真を入力して印刷に用いるものであるという意味において共通の技術分野に属するものであり、引用例2発明の書類処理システムにおける帳票(入学志願票)に表示されている所定の画像(証明写真)を作製される所定の単票で取り扱い自在とする(読み込まれた写真データを個別に保存し、別の書類の印刷に用いる)構成を引用例1発明の試験関連業務処理システムにおいても適用することは当業者であれば容易になし得たことである。 (相違点2)について 引用例2には上記のとおり、「受験者の顔写真である証明写真が貼付された入学志願票をOCR装置で読み取らせ、読み込まれた写真データを個別に保存し、別の書類の印刷に用いる発明」(引用例2発明)が記載されていると認められる。 そして、引用例2発明でいう「OCR装置」が、本願発明の「イメージデータ取得手段」に相当することや、引用例2発明が本願発明の「画像データ抽出手段」に相当する手段を有していることは、引用例2発明の機能からみて、明らかである。 以上のことを、上記「(相違点1)について」の項で検討した事項と併せ考えると、引用例1発明の受験者の顔写真のデータを申込端末より得る構成を、引用例2発明の受験者の顔写真のデータを証明写真が貼付された入学志願票をOCR装置で読み取らせた写真データより得る構成に置換すること、すなわち引用例1発明の単票作製手段が画像データを申込端末より得る構成を、所定数の帳票(入学志願票)をそれぞれイメージデータとして取得するイメージデータ取得手段と、前記取得したイメージデータのうち、所定部分の画像データ(写真データ)を抽出する画像データ抽出手段を設け、単票作製手段が画像データを前記画像データ抽出手段より得る構成に置換することは当業者であれば容易になし得たことである。 また、本願の出願の日前である平成8年10月18日に頒布された「特開平8-272917号公報」(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0014】画像処理手段4は主装置100から構成され、主装置に取り込まれた顔画像と属性情報を編集してカード基材に印刷する為の合成画像として制作する。編集は、例えば、入力した顔画像についてはトリミングや倍率設定、色調や明暗の調整等を、ディスプレイ130上で画像を確認しながらキーボード120やマウス140により指示を与えて行う。」 本願の出願の日前である平成8年11月29日に頒布された「特開平8-315034号公報」(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0026】画像入稿手段6も、テキスト入稿手段と同様ユーザーごとに入稿仕様登録手段で登録された仕様をもとに、入稿する画像のサイズにトリミングまたは拡大縮小しデータベースに登録する。」 本願の出願の日前である平成3年10月2日に頒布された「特開平3-223987号公報」(以下「引用例5」という。)には、次の事項が記載されている。 「領域分割回路402からの領域201、202、203の画像信号は、線密度変換回路403、404、405により、それぞれの領域に適した変換倍率で線密度変換、すなわち拡大縮小処理される。写真領域201および署名領域202の画像信号に対する変換倍率は、申請書100上の領域201、202のサイズ、画像読取り部104の読取りドット密度(この例では16ドット/mm)、および証明書200上の記録様式(各領域のサイズ等)により決定される。」(8頁右上欄10行?20行) 引用例3乃至5の上記記載によれば、顔写真のデータを単票に印刷する際に、前記顔写真のデータのそれぞれの大きさを印刷する単票に合わせて加工する手段、すなわち統一的な大きさとして単一の画像データを元にして所定の必要箇所に転用させるための加工を行う画像データ処理手段を設けることは当業者が通常行っている周知技術であると認められる。 してみれば、引用例1発明の単票作製手段が画像データを申込端末より得る構成を、単票作製手段が画像データを画像データ抽出手段より得る構成に置換する際に、前記画像データ抽出手段で抽出した画像データのそれぞれを、少なくとも統一的な大きさとして単一の画像データを元にして所定の必要箇所に転用させるための加工を行う画像データ処理手段を設けることも、当業者であれば容易になし得たことである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-04-15 |
結審通知日 | 2009-04-21 |
審決日 | 2009-05-07 |
出願番号 | 特願2000-54828(P2000-54828) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和田 財太 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
池田 聡史 田口 英雄 |
発明の名称 | 画像取扱システム及び画像取扱方法 |
代理人 | ▲高▼橋 寛 |