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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1200982
審判番号 不服2006-27011  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-30 
確定日 2009-07-23 
事件の表示 特願2005-131315「通信装置及び通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月20日出願公開、特開2005-295580〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成11年4月8日に出願した特願平11-100825号の一部を平成17年4月28日に新たな特許出願としたものであって、平成18年7月10日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月19日付けで手続補正がなされたところ、同年10月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月27日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年12月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正は、平成18年9月19日付け手続補正に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1について、次のように補正することを含むものである。

(1)補正前の発明
「着呼に応じて着信音を鳴動させる着信音鳴動手段と、
少なくとも前記着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる1の操作キーとを備えた通信装置であって、
前記操作キーによる前記第1の動作と前記第2の動作を前記着呼の状態に基づいて自動的に切り替えることを特徴とする通信装置。」

(2)補正後の発明
「着呼に応じて着信音を鳴動させる着信音鳴動手段と、
少なくとも前記着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる、テンキーまたはテンキーと同一平面上にあってその近傍にあるキーのうちの1の操作キーとを備えた通信装置であって、
前記操作キーによる前記第1の動作と前記第2の動作を前記着呼の状態に基づいて自動的に切り替えることを特徴とする通信装置。」(当審注:アンダーラインは補正箇所を示す。)

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「1の操作キー」に関し、前記アンダーラインで示した補正箇所のとおりに限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものであるから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)、及び平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記1.(2)で認定したとおりである。

(2)引用例、及び周知例
A.原査定の拒絶理由に引用され本件出願前に公開された特開平7-203526号公報(以下、「引用例」という。)には、「携帯電話機」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は携帯電話機に関する。」(2頁左欄11行?12行)
ロ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・(中略)・・・。
【0004】本発明は、上述の如き事情に鑑みてなされたものであり、着信報知音により、周囲の人々に迷惑をかけることを回避し得る携帯電話機の提供を目的とする。」(2頁左欄22行?38行)
ハ.「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明では、着信報知音を停止させるための鳴音止キーをダイヤルキーや通話キーとは離間した位置に設けるようにし、また請求項2の発明では、前記鳴音止キーをダイヤルキーや通話キーが設けられた機器ケースの面とは異なる面に設けるようにしたものである。
【0006】
【作用】上記発明は何れも、鳴音止キーの設置位置が他のキーの設置位置とは異なっているので、これらの発明によれば、視認しなくても指のさぐりのみで鳴音止キーの位置が確認でき、通話キーなどの他のキーを鳴音止キーと誤って操作する虞は殆ど無い。従って、携帯電話機をポケットや鞄などに入れているときに呼出しがあった場合には携帯電話機を取り出さなくても、鳴音止キーを素速く且つ確実に操作することができ、着信報知の開始から極めて短い時間のうちに報知音を停止させることができる。」(2頁左欄39行?右欄6行)
ニ.「【0007】
【実施例】・・・(中略)・・・。
【0008】(略)
【0009】スイッチ制御部8は、通話キースイッチSW1、鳴音止キースイッチSW2、終話キースイッチSW3或いはダイヤルキー部9のいずれかのダイヤルキースイッチが操作されたときに、対応するスイッチ入力信号を制御部1に送出する回路部である。通話キースイッチSW1は、オフフック状態として通話をするときに操作するスイッチであり(すなわち、一般にオフフックスイッチとも呼ばれているスイッチであり)、鳴音止キースイッチSW2は、着信があり、後述のリンガー14により着信報知音が発せられ、LED12により着信の表示(点滅表示)が行なわれている際に、上記着信報知音の方のみを停止しようとするときに操作されるスイッチである。また、終話キースイッチSW3は通話を終了する際に操作されるスイッチである。
【0010】・・・(中略)・・・駆動回路13は着信直後に制御部1の制御を受けて、リンガー14を駆動して着信報知音を鳴らさせる回路部である。なお、この駆動回路13は基本的には自己宛ての呼出信号が受信されている間リンガー14を駆動するが、リンガー14の駆動中に鳴音止キースイッチSW2が操作されると、制御部1の制御によってその駆動が停止させられるようになっている。」(2頁右欄7行?3頁左欄12行)
ホ.「【0012】次に、以上の如くに構成されている本実施例の動作について説明する。例えば、いま、本実施例は、折畳まれて前記ヒンジ22側を下にして、すなわち図2の(b)に示すような状態でポケットに入れられて電車に乗っている使用者により携帯されているものとする。この状態で着信があったとき、・・・(中略)・・・駆動回路13は上記制御信号を得てリンガー14を駆動して着信報知音を鳴らし、・・・(中略)・・・この着信報知音により着信があったことを認識した当該使用者は、速やかに自己のポケットの中に手を入れ、ポケットの入口近傍に位置している第1ケース20の側面20aに設けられている鳴音止キースイッチSW2を操作すればよい。この鳴音止キースイッチSW2の操作により、スイッチ制御部8は対応するスイッチ入力信号を制御部1に送り、制御部1はこのスイッチ入力信号を受けて駆動回路13に制御信号を送ってリンガー14の駆動を停止させる。これにより、極めて短時間の間にリンガー14からの着信報知音の発生が停止される。」(3頁左欄40行?右欄14行)
ヘ.図2には、ダイヤルキー部9(テンキー)と、該ダイヤルキー部9と同一平面上にあってその近傍にある終話キースイッチSW3が記載されている。

上記摘記事項、及び当該技術分野の技術常識を加味すれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。
「着信があると着信報知音を発するリンガー14と、
ダイヤル動作を実行させるダイヤルキー部9(テンキー)と、該ダイヤルー部9と同一平面上にあってその近傍にある終話動作を実行させる終話キースイッチSW3と、
前記ダイヤルキー部9、及び終話キースイッチSW3とは離間した位置に設けられ、前記リンガー14による着信報知音の鳴動を停止させる鳴音止キースイッチSW2と、
を備えた携帯電話機。」

B.また、例えば、特開平10-336289号公報(以下、「周知例1」という。)には、「電話装置」に関し、図面とともに以下の事項(イ?ハ)が記載され、また、特開昭63-268344号公報(以下、「周知例2」という。)には、「電話機」に関し、図面とともに以下の事項(ニ、ホ)が記載され、また、特開平8-307488号公報(以下、「周知例3」という。)には、「着信音自動調整機能付携帯電話機」に関し、図面とともに以下の事項(へ?チ)が記載され、また、特開平1-298823号公報(以下、「周知例4」という。)には、「自動車電話機」に関し、図面とともに以下の事項(リ?オ)が記載されている。
イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電話装置に関し、詳しくは、通話中に他の電話装置からの発呼があった場合、現在通話中の電話装置との間の回線と上記他の電話装置との間の回線とを切り換えて閉結するいわゆるキャッチホンを利用できる電話装置に関するものである。」(2頁左欄28行?33行)
ロ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この種の電話装置では、従来から設けられているダイヤルボタン等の操作部の他に、新たにキャッチ操作部を設けなければならない。このため、電話装置の操作部の部品点数が増加し、製造コストが上昇していた。特に、近年の電話装置では、ダイヤルボタンとして「*」,「#」等の記号を入力するためのボタンを設けたり、予め不揮発メモリ等の記憶手段に記憶しておいた電話番号を読み出して発呼するためのいわゆる短縮ダイヤル用のボタンを設けたりしており、操作部の構成がきわめて複雑化している。このため、キャッチ操作部を新たに設けるためには、スペース上の課題やデザイン上の課題も生じる。
【0004】そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、新たな操作部を設けることなくキャッチホンを利用可能とした電話装置を提供することを目的としている。」(2頁左欄47行?右欄13行)
ハ.「【0024】このように、ファクシミリ装置1では、キャッチホンを利用するための操作部が、短縮ダイヤルを利用するための操作部と兼用に構成され、キャッチ/短縮ボタン35となっている。このため、新たな操作部を設けることなくキャッチホンを利用することができる。従って、操作パネル11を構成する部品点数を減らして、製造コストを良好に低減することができる。また、キャッチホンを利用するために新たな操作部を設ける必要がないので、スペース上の課題やデザイン上の課題も生じない。従って、開発コストも良好に低減することができる。」(4頁右欄19行?29行)
ニ.「(産業上の利用分野)
この発明は、迷惑電話の撃退等に効果のある電話機に関するものである。」(2頁左上欄14行?16行)
ホ.「すなわち、この実施例では、音声メッセージ選択キーが迷惑電話の撃退機能として主に着信時に使用されることに着目し、着信時には使用しない他の機能キー、ここでは、設定キー19,再ダイヤルキー20,保留キー21と兼用させており、このように構成することによって電話機の外部に設けられるキー数を制限できる。」(5頁左上欄20行?5頁右上欄6行)
ヘ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、携帯電話機に関し、特に着信音を停止させあるいはその音量を低下させるための着信音自動調整機能付き携帯電話機に関するものである。」(2頁左欄22行?26行)
ト.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この場合に着信を知らせる着信音は、使用者が着信のあったことを知った後においても、前記着呼応答、応答保留等の操作をするまで鳴り続けるという欠点があった。・・・(中略)・・・。
【0004】また、着信音を停止させるボタンを設け、該ボタンを押下することによって着信後、着信音を停止させるものがあるが(特開平2-305248号公報)、専用のボタンが必要となる欠点があった。
【0005】(略)
【0006】本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、着信後、直ちに着信音を停止し又はその音量を低下させることができる着信音自動調整機能付携帯電話機の提供を目的する。」(2頁左欄37行?右欄8行)
チ.「【0017】次に、本発明の第二の実施例を図2に沿って説明する。図においてアンテナ1、送受信回路2、着信音出力回路4、ブザー5、キースイッチ6、記憶回路8、表示部9、音声処理部10及び送受話器11は、前記第一の実施例と同様の構成である。制御回路3は、・・・(中略)・・・着信時に前記キースイッチ6の複数のキーを、着信音を停止させあるいは該音量を低下させる信号を出力させるキーとして一時的に割り当てる。この場合に記憶回路8に対象となるキーを登録させておく。その結果、着信時にキースイッチ6の複数のキーの内の何れかが押下され制御回路3に信号が出力されると、制御回路3は、着信音出力回路4からの着信音を停止させ・・・(中略)・・・る。なお、本実施例では着信音の停止等をキースイッチ6の操作により行うので、携帯電話機本体は前記実施例のように折り畳み式のものであっても、そうでなくてもよい。」(3頁右欄1行?18行)
リ.「(産業上の利用分野)
本発明は自動車電話機に関するものであり、特に、応答保留機能を有する自動車電話システムに適用される自動車電話機に関するものである。」(1頁左下欄19行?右下欄2行)
ヌ.「(課題を解決するための手段及び作用)
前記の問題点を解決するために、本発明は、呼出し中に、所定の複数のキーに応答保留の設定機能を持たせるようにした点に特徴がある。
これにより、自動車電話機とは別に応答保留ボタンを取り付ける必要がなくなる・・・(中略)・・・。」(2頁右上欄6行?13行)
ル.「第2図は第1図及び第4?8図に関して後述する本発明の各実施例に適用される自動車電話機の、ハンドセットの一部切断背面図である。
図において、ハンドセットの背面(スピーカ又はマイクが取付けられた面と反対側の面)には、ダイヤルキー1及び各種ファンクションキー2・・・(中略)・・・が設けられている。・・・(中略)・・・。
またファンクションキー2のうち、開始キー2Aは、スピーカ受話機能、すなわちオフフックを行わない状態において、ハンドセットに設けられたスピーカ又はハンドセットの置台(図示せず)に設けられたスピーカから、相手の声を発生させる機能を設定するためのキーである。」(2頁左下欄3行?18行)
オ.「第1図は本発明の第1の実施例の機能ブロック図である。
第1図において、11は、図示されない無線機に接続され、呼出しが行われたか否かを検出する呼出検出手段である。
前記呼出検出手段11により呼出しが検出されると、キー押下判別手段12及びオフフック/オンフック検出手段13が付勢される。・・・(中略)・・・前記オフフック/オンフック検出手段13によるオフフックの検出よりも、キー押下判別手段12によるキー押下の検出が先になされた場合には、応答保留信号発生手段14が付勢され、応答保留信号が前記無線機に出力される。」(3頁右上欄12行?14行)

周知例1?4に記載されているように、「操作キーの数を削減するために、通信装置において通常備わっている1つの操作キーに複数の動作(機能)を割り当てること」は、周知と認められる。また、周知例3、4に記載されているように、「操作キーに割り当てられた複数の機能を電話装置における着呼等、動作状態に応じて自動的に切り替えること」は、周知と認められる。

(3)対比・判断
引用発明と補正後の発明とを対比すると、
イ.引用発明は、「着信があると着信報知音を発するリンガー14」を備え、前記「着呼」、及び「リンガー」は、それぞれ「着信」、「着信音鳴動手段」といえるから、「着呼に応じて着信音を鳴動させる着信音鳴動手段」を備える点で補正後の発明と一致する。
ロ.引用発明は、「ダイヤル動作を実行させるダイヤルキー部9(テンキー)と、該ダイヤルー部9と同一平面上にあってその近傍にある終話動作を実行させる終話キースイッチSW3と、前記ダイヤルキー部9、及び終話キースイッチSW3とは離間した位置に設けられ、前記リンガー14による着信報知音の鳴動を停止させる鳴音止キースイッチSW2と」を備えているから、着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる操作キーが「テンキーまたはテンキーと同一平面上にあってその近傍にあるキーのうちの1の操作キー」である点、すなわち、第1の動作と第2の動作を実行させる操作キーが同一の操作キーで兼用される点を除き、「前記着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる操作キー」を備える点で補正後の発明と一致する。
ハ.引用発明は、「携帯電話機」であるから、「通信装置」である点で補正後の発明と一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「着呼に応じて着信音を鳴動させる着信音鳴動手段と、
前記着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる操作キーとを備えた通信装置。」

(相違点)
補正後の発明は、着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる操作キーが「テンキーまたはテンキーと同一平面上にあってその近傍にあるキーのうちの1の操作キー」であり、すなわち、第1の動作と第2の動作を実行させる操作キーが同一の操作キーで兼用され、また、「前記操作キーによる前記第1の動作と前記第2の動作を前記着呼の状態に基づいて自動的に切り替える」のに対して、引用発明は、前記第1の動作と第2動作を実行させる操作キーが別個の操作キー、すなわち、前記第1の動作を実行させる操作キーが専用の鳴音止キースイッチであり、第2の動作(ダイヤルと終話動作)を実行させる操作キーがダイヤルキー部9(テンキー)と、該ダイヤルー部9と同一平面上にあってその近傍にある終話キースイッチSW3である点。

そこで、相違点について検討する。
周知例1?4に記載されているように、「操作キーの数を削減するために、通信装置において通常備わっている1つの操作キーに複数の動作(機能)を割り当てること」は周知と認められ、また、操作キーの数の削減は、操作キーを有する通信装置において普遍的かつ自明な課題と認められる。
上記周知技術、及び課題によれば、引用発明において、操作キーの数を削減するために、ダイヤルキー9(テンキー)やこのダイヤルキーと同一平面にあってその近傍にある終話スイッチSW3のうちの1つに、ダイヤルや終話等の通常の動作(機能)に加えて鳴音止めの動作(機能)を実行させるようにすること、すなわち、着信音鳴動手段による着信音の鳴動を停止させる第1の動作とその他の第2の動作を実行させる操作キーを「テンキーまたはテンキーと同一平面上にあってその近傍にあるキーのうちの1の操作キー」とすることは、当業者が容易になし得ることである。
また、周知例3、4に記載されているように、「操作キーに割り当てられた複数の機能を電話装置における着呼等、動作状態に応じて自動的に切り替えること」も周知と認められるから、ダイヤルキーや終話スイッチにダイヤル、終話等、通常の動作(機能)に加え、着信音の鳴動を停止させる動作(機能)を実行させるようにした場合、その動作(機能)の切り替えを電話機の動作状態である着呼の状態により自動的に切り替えること、すなわち「前記操作キーによる前記第1の動作と前記第2の動作を前記着呼の状態に基づいて自動的に切り替えること」も当業者が容易になし得ることである。

(4)まとめ
以上のとおり、補正後の発明は、引用例に記載された発明(引用発明)、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成18年12月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年9月19日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(第2.1.(1)補正前の発明、参照)と認められる。

2.引用発明、及び周知技術
引用発明、及び周知技術は、上記第2.3.(2)で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記第2.3.(3)で検討したとおり、引用発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明(引用発明)、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2009-05-20 
結審通知日 2009-05-26 
審決日 2009-06-08 
出願番号 特願2005-131315(P2005-131315)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西脇 博志  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 柳下 勝幸
新川 圭二
発明の名称 通信装置及び通信方法  
代理人 大澤 豊  
代理人 大澤 敬  

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