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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1201027
審判番号 不服2008-587  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-10 
確定日 2009-07-23 
事件の表示 特願2001-351861「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月 7日出願公開、特開2003- 37719〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年11月16日の出願(優先権主張 平成13年5月17日 日本(JP))であって、平成19年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年1月23日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年1月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年1月23日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 画像情報を入力するための画像情報入力手段と、
前記画像情報入力手段により入力された画像情報を記憶するための画像情報記憶手段と、
前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を出力するための画像情報出力手段とを備えた画像処理装置において、
前記画像情報記憶手段に記憶されている画像情報を消去するための画像情報消去手段と、
通電中で動作可能状態にある画像処理装置の動作状況を利用履歴として管理しておき、
通電中における該画像処理装置の空き時間を、前記画像情報消去手段を動作させる時間帯として設定するための時間帯管理手段とを備え、
前記時間帯管理手段において設定された前記画像情報消去手段を動作させる時間帯までに前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を消去し、消去完了後は次の処理の開始指示を待つ待機状態となることを特徴とする画像処理装置。」と補正された。
そこで検討すると、上記補正における「前記画像情報消去手段を動作させる時間帯までに前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を消去」する点は、出願当初の明細書に記載されていない。段落【0070】には「消去設定時間が到来する(S13-9)、ハードディスク12内の画像データを消去する(S13-10)。」、つまり、設定された時間になると、画像情報を消去することは記載されているものと認められるが、設定された時間帯までに、画像情報を消去することは記載されておらず、明細書全体からしても上記点が記載されているといえず、自明な事項ともいえない。
してみると、当該補正は、「当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないもの」でないから、上記補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないでなされたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成20年1月23日付けの手続補正は上記のとおり却下され、平成19年7月18日付けの手続補正は前審において却下されているので、本願の請求項に係る発明は、平成18年12月28日付けで手続補正された明細書の特許請求の範囲請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明と認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、以下のとおりのものである。
「画像情報を入力するための画像情報入力手段と、
前記画像情報入力手段により入力された画像情報を記憶するための画像情報記憶手段と、
前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を出力するための画像情報出力手段とを備えた画像処理装置において、
前記画像情報記憶手段に記憶されている画像情報を消去するための画像情報消去手段と、
前記画像情報消去手段を動作させる時間帯を管理するための時間帯管理手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。」

(2)刊行物
原審拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成7年12月8日に頒布された「特開平7-319342号公報」(以下、「刊行物1」という)は、「画像生成装置」に関するものであって、その公報には図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「本発明は、(中略)実行時間が長い或いはシステムに負荷を与える作業をユーザの使用に影響を与えることなく実行することのできる画像生成装置を提供することを目的とする。具体的には、(中略)データファイルの更新、消去を定期的に実行することにより、ユーザーの使用可能なファイルシステムの領域を侵害しないことを目的とする。
(中略)
上記の目的を達成するために本願第1の発明においては、実行時間が長い或いはシステムに負荷を与える作業を実行する時間を予め設定する実行時間設定手段と、この実行時間設定手段で設定された時間に前記作業を自動的に実行する制御手段と、この制御手段での作業の実行に十分な電力を供給し得る電力供給手段とを有すること特徴とする。また、本願第2の発明は、装置全体に電力を供給する第1の電力供給手段と、実行時間が長い或いはシステムに負荷を与える作業の実行に十分な電力を供給し得る第2の電力供給手段と、前記第1の電力供給手段がオフ状態のときに第2の電力供給手段から電力の供給を受けて前記作業を自動的に実行する制御手段とを有することを特徴とする。また、本願第3の発明は、装置全体に電力を供給する第1の電力供給手段と、実行時間が長い或いはシステムに負荷を与える作業の実行に十分な電力を供給し得る第2の電力供給手段と、前記作業の実行を介しする時刻を予め設定する実行時刻設定手段と、この実行時刻設定手段で設定された時刻に前記第1の電力供給手段がオフ状態であるときには第2の電力供給手段から電力の供給を受けて前記作業を自動的に実行する制御手段とを有することを特徴とする。すなわち、請求項1、請求項2及び請求項3に記載の発明では、診断テストプログラムやデータのバックアップなどの実行時間およびシステムの負荷のかかる作業をユーザーが使用しない時間帯、例えば夜間に自動的に実行できるソフトウェアプログラムを有することにより実現される。
また、本願第4の発明は、診断テストの結果や使用状況のデータ等をログデータファイルとして記録する記録手段と、この記録手段に記録されたデータファイルを通信媒体を介して伝送する伝送手段とを有することを特徴とする。また、本願第5の発明は、前記請求項1,2,3,4記載の制御手段は、前記実行時間設定手段で設定された時間内に所定のソフトウエアを通信媒体を介して受信する受信手段と、この受信手段で受信されたソフトウエアの自動実行を行う実行手段とを有することを特徴とする。また、本願第6の発明は、前記請求項1,2,3,4,5記載の作業は、一時的には必要であるが長期的には不必要な画像データ等のファイルの消去或いはファイルシステムの整合性チェック或いはアプリケーションソフトウエアやオペレーティングシステム等による不具合を改善するソフトウエアプログラム或いはバージョンアッププログラム等のソフトウエア或いは最適化等であることを特徴とする。また、本願第7の発明は、前記請求項4に記載の記録手段に記録されたログデータファイルの更新や作成日の古いログデータファイルの消去などを定期的に実行する機能を付加したことを特徴とする。」(2頁段落【0003】ないし3頁段落【0006】)
(イ)「以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明に係る画像生成装置の構成を示したブロック図である。図1を参照するに、ソフトウェア部1は、夜間モード時動作プログラムツール1a、アプリケーションソフト1b及びオペレーティングシステム1c等の各種ソフトウェアを格納し、適宜コンピュータ・ハードウェア部3に供給する。このコンピュータ・ハードウェア部3は、入出力部5と接続されると共に、I/Oバス7を介して外部記憶装置9及び制御部11と接続される。この制御部11は、スキャナ制御部11a、プロッタ制御部11b及びFAX制御部11n等で構成される。この制御部11のスキャナ制御部11aはユニット部13と接続され、FAX制御部11nは電話回線等の通信媒体を介してFAX装置15と接続される。また、ユニット部13は、複数のユニット131 ,132 ,13n によって構成される。(中略)
また、本実施例の画像生成装置においては、通信機能を有し電子計算機に接続可能な2回路以上の電源回路を持つと共に指定した時刻に作業を実行することから、ユーザーが直接使用しない夜間にも電源を確保しているのでFAXの送受信以外の機能を有することが可能となり診断テストプログラムやデータのバックアップなどシステムの負荷の大きい作業や時間のかかる作業を夜間(及び自動的に)実行することができ画像生成装置の保守性を向上することができる。(中略)
また、本実施例の画像生成装置においては、通信機能を有し電子計算機に接続可能な2回路以上の電源回路を持つと共に指定した時刻に作業を実行することから、不用な一時ファイルの消去や画像生成装置が提供するファイルシステムの整合性チェックや最適化をユーザーが直接使用しない夜間に実行することができるできるため、画像生成装置の保守性や信頼性を向上することができる。」(3頁段落【0009】ないし【0014】、図1,2)
(ウ)してみると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されている。
「コンピュータ・ハードウェア部3が、入出力部5と接続されると共に、制御部11と接続され、この制御部11は、スキャナ制御部11a、プロッタ制御部11b及びFAX制御部11n等で構成され、この制御部11の、FAX制御部11nは電話回線等の通信媒体を介してFAX装置15と接続され、実行時間設定手段で設定された時間内に通信媒体を介して受信した所定のソフトウェアを自動実行するものであり、この実行される作業として画像データ等のファイルの消去があり、不用な一時ファイルの消去をユーザーが直接使用しない夜間に実行することができるものであり、装置の診断テストの結果や使用状況のデータをFAXなどの通信媒体を通じて送るものである画像生成装置」

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と刊行物1発明との対比
本願補正発明と刊行物1発明を対比すると、
(ア) 刊行物1発明は、実行される作業として画像データ等のファイルの消去があり、不用な一時ファイルの消去をユーザーが直接使用しない夜間に実行することができるものであるので、刊行物1発明と本願補正発明とは、「前記画像情報記憶手段に記憶されている画像情報を消去するための画像情報消去手段」を備えた点で実質的に一致している。
刊行物1発明の「画像生成装置」において、画像を生成するのになんらかの処理をするのは自明といえるから、刊行物1発明と本願補正発明とは、「画像処理装置」である点で一致している。
(イ)したがって、両者は「画像処理装置において、前記画像情報記憶手段に記憶されている画像情報を消去するための画像情報消去手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。」である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。
a 本願補正発明は、「画像情報を入力するための画像情報入力手段」、「画像情報入力手段により入力された画像情報を記憶するための画像情報記憶手段」及び「前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を出力するための画像情報出力手段」を備えたものであるのに対し、刊行物1発明は、この点明らかでない点
b 本願補正発明は、「前記画像情報消去手段を動作させる時間帯を管理するための時間帯管理手段」を備えたものであるのに対し、刊行物1発明は、ユーザが使用しない時間帯に画像データ等のファイルの消去をおこなうものである点

イ 相違点についての検討
相違点aについて
刊行物1発明は出力のためのプロッタ制御部、FAX制御部を備えるものであるところ、入力装置により画像情報を取り込み、取り込まれた画像情報を一時的にも記憶しておき出力する画像生成装置は周知であり、「画像情報を入力するための画像情報入力手段」、「画像情報入力手段により入力された画像情報を記憶するための画像情報記憶手段」及び「前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を出力するための画像情報出力手段」を備えたものとすることは格別のことといえない。
相違点bについて
引用例1発明は、実行時間設定手段で設定された時間内に通信媒体を介して受信した所定のソフトウェアを自動実行するものであり、この実行される作業として画像データ等のファイルの消去があるところ、上記3(2)(ア)によれば、ユーザの作業していない時間内にファイルの消去をおこなってユーザ作業に影響を与えないようにすることは引用例1発明の課題といえるから、前記画像情報消去手段を動作させる時間帯を管理するための時間帯管理手段を備えたものとしてユーザ作業に影響を与えないようにすることは当業者が容易に推考しうるものといえる。
そして、これら相違点を総合的に考慮しても当業者が推考し難い格別のものであるとすることはできず、また本願補正発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。
したがって、本願補正発明は、刊行物1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(5)なお、請求人は回答書において補正案を提示しているので、参考までにこれについて検討する。
補正案は、以下の点を補正するものである。
ア 請求項1の「前記時間帯管理手段において設定された前記画像情報消去手段を動作させる時間帯までに」を「前記時間帯管理手段において設定された前記画像情報消去手段を動作させる時間になると」に修正する。
イ 請求項1の「 ? 通電中における該画像処理装置の空き時間を、前記画像情報消去手段を動作させる時間帯として設定するための時間帯管理手段と」を、「 ? 通電中における該画像処理装置の連続空き時間が所定時間以上である時間帯を抽出することで、前記画像情報消去手段を動作させる時間帯として設定するための時間帯管理手段と」に修正する。
しかしながら、アの点については、本願発明においても所定の時間になると消去が開始されるものであるからこの補正点は格別のことといえないし、イの点についても、画像を消去する場合所定の時間が必要なことは技術常識であり、上記3(2)(ア)によれば、ユーザの作業していない時間内にファイルの消去をおこなってユーザ作業に影響を与えないようにすることは引用例1発明の課題といえるから消去に必要な所定時間以上の時間帯を抽出するようにすることは当業者が容易に推考しうる程度のことといえる。
してみれば、これらの補正がなされたとしても、当業者が引用例1及び周知技術から容易に推考しえた程度のものといえる。

(6)まとめ
以上のごとく、本願発明は、刊行物1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-08 
結審通知日 2009-05-12 
審決日 2009-06-09 
出願番号 特願2001-351861(P2001-351861)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 561- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣川 浩  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 千葉 輝久
畑中 高行
発明の名称 画像処理装置  
代理人 馬場 信幸  
代理人 神田 正義  
代理人 藤本 英介  
代理人 宮尾 明茂  
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