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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G01D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G01D
管理番号 1201203
審判番号 不服2007-17983  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-28 
確定日 2009-08-11 
事件の表示 特願2004-118909「光学式エンコーダおよびそれを備えた電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-300405、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成16年4月14日の出願であって、その請求項1-3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

すなわち、原査定の拒絶の理由は、次の2点である。
(1)この出願は、発明の詳細な説明の記載に不備があり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。(以下、「理由1」という。)
(2)この出願の請求項1乃至3に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。(以下、「理由2」という。)
そこで、上記理由1及び理由2について、以下検討する。
(1)理由1について
理由1の内容は、本願の明細書の発明の詳細な説明には、本願の請求項1乃至3に係る発明の共通した発明特定事項である「第1受光素子群に属する受光素子からの上記移動体の移動に追従した受光量の変動により交流変動させた入力電流を上記発光手段に供給する駆動回路」を実施するための具体的な駆動回路について十分に記載されていない、というものである。
そこで検討するに、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記発明特定事項の裏付けを為す記載として「・・・受光部103によって、移動体101の移動による受光フォトダイオード113A,113Bの受光量の変動を検出し、移動体101の移動速度に追従した受光フォトダイオード113Aの受光量の変動により、発光部102の発光強度を変動させることができる。」(段落【0031】)との記載があり、また、この作用に関して、「・・・A+の受光フォトダイオード113Aがスリット101aに対向しているときにはLEDの発光量が大きく、かつ、A+の受光フォトダイオード113Aが非光透過部101bに対向しているときにはLEDの発光量が小さくなるように、LEDへの入力電流をAC変動させることにより、受光フォトダイオード113Aにおける受光量の変動が大きくなるから、S/N比を向上させることができる。」(段落【0037】)との記載もある。
よって、発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(2)理由2について
理由2の内容は、本願の請求項1乃至3に係る発明は、特開昭60-218028号公報(以下、「刊行物1」という。)に記載された発明である、というものである。
そこで検討するに、上記刊行物1に記載のエンコーダは、発振回路のパルスCLK0で発光ダイオードを駆動する駆動回路は備えているものの、上記発明特定事項である「第1受光素子群に属する受光素子からの上記移動体の移動に追従した受光量の変動により交流変動させた入力電流を上記発光手段に供給する駆動回路」は備えていない。
そして、原審で周知技術として挙げられた他の刊行物である、特開平3-191826号公報(以下、「刊行物2」という。)、特開2003-4488号公報(以下、「刊行物3」という。)、特開昭60-222719号公報 (以下、「刊行物4」という。)及び特開平6-147918号公報(以下、「刊行物5」という。)のいずれにも上記発明特定事項については記載されていない。
すなわち、刊行物2は、コード板3の回転周波数(すなわち、パルス信号の周波数)の増加に応じて増加する制御電圧で光源を駆動するものであるが、上記構成を備えていない。
刊行物3は、光学式エンコーダにおける受光素子のピッチが3/4p(pは光透過格子ピッチ)のものを、また、刊行物4は同じく光学式エンコーダにおける受光素子のピッチが5/4pのものを、それぞれ示すにとどまる。
さらに、刊行物5は、電源オフ時、内蔵電源により光源をパルス駆動するパルス周波数をエンコーダの回転速度に応じて変えることにより消費電流を低減させたものであるが、上記構成を備えていない。
よって、刊行物2乃至5に記載された周知技術を参酌しても、本願の請求項1乃至3に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるとすることはできない。

また、本願請求項1乃至3に係る発明は、上記発明特定事項を備えたことにより、消費電力を削減することができるとともに、併せて、受光素子の出力信号のS/N比を向上させることができるという明細書に記載の効果を奏するものである。
よって、本願の請求項1乃至3に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び刊行物2乃至5に記載された周知技術によっても、当業者が容易に発明をすることができたものともいえず、また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
したがって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-09 
結審通知日 2009-07-14 
審決日 2009-07-27 
出願番号 特願2004-118909(P2004-118909)
審決分類 P 1 8・ 536- WY (G01D)
P 1 8・ 113- WY (G01D)
P 1 8・ 121- WY (G01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 西島 篤宏
下中 義之
発明の名称 光学式エンコーダおよびそれを備えた電子機器  
代理人 田中 光雄  
代理人 山崎 宏  
代理人 仲倉 幸典  

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